JP7196396B2 - フェライト系鋼成形板、絞り成形方法、および絞り成形金型 - Google Patents

フェライト系鋼成形板、絞り成形方法、および絞り成形金型 Download PDF

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Description

本発明は、フェライト系鋼成形板(以下、金属成形とも称する)、絞り成形方法、および絞り成形金型に関する。
近年、自動車、航空機、船舶、建築材料、家電製品等の分野では、ユーザーのニーズに答えるため、デザイン性が重視されるようになってきている。その為、特に、外装部材の形状は複雑化する傾向にある。
例えば、特許文献1には、パンチの稜線部で生じる線ずれ対策のために,パンチの稜線部に滑り止めを設けて,張力を発生させる成形方法及びプレス成形装置が開示されている。
また、特許文献2には、アウタパネルの成形時,ダイの形状をパンチ意匠面の形状に近づけることによって,パンチ意匠面を高意匠に成形するプレス成形方法が開示されている。
特許第5683193号 特許第4867336号
しかし、外装部材として、複雑な形状の金属成形板を金属板から成形するには、金属板に大きなひずみを与えることが必要であるが、加工量の増加に従い金属成形板表面に微細な凹凸が生じやすく、表面荒れとなって外観上の美観を損ねるという問題がある。
特に、意匠性を高めるために、曲率半径が小さい稜線部を膨出部に有する金属成形板を絞り成形により成形する場合、稜線部の凸側表面に凹凸が発達し、表面荒れとなって外観上の美観を損ね易い。
そこで、本発明の課題は、稜線部の凸部表面の表面荒れの発生が抑制され、稜線部の意匠性に優れた金属成形板を提供することである。
他の本発明の課題は、稜線部の凸部表面の表面荒れの発生が抑制され、稜線部の意匠性に優れた金属成形板が得られる絞り成形方法、および当該絞り成形方法に利用する絞り成形金型を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
<1>
膨出部に稜線部を有し、前記稜線部の延在方向に対して直交方向断面の前記稜線部の凹側表面における最小曲率半径が5mm以下である金属成形板であって、
前記膨出部の重心に最も近い前記稜線部の凸側表面の算術平均表面粗さSaが0.9μm以下であり、
前記稜線部に隣接する板面のうち板厚が最大となる箇所の板厚に対する、前記膨出部の重心に最も近い前記稜線部の板厚比が0.50~0.95であり、
前記膨出部の重心に最も近い前記稜線部の凸側表面におけるビッカース硬さが、前記稜線部に隣接する板面のうち板厚が最大となる箇所におけるビッカース硬さの1.1~1.8倍である金属成形板。
<2>
前記稜線部が、前記金属成形板の縁から10mm以上離れた箇所に配置されている<1>に記載の金属成形板。
<3>
前記稜線部の凸側表面において、前記稜線部に隣接する板面のうち板厚が最大となる箇所における結晶方位のうち、50%以上の結晶方位が任意の結晶方位±20°以内に配向している<1>又は<2>に記載の金属成形板。
<4>
前記金属成形板が鋼製である<1>~<3>のいずれか1項に記載の金属成形板。
<5>
前記金属成形板が、C含有量が0.0080質量%以下で、平均ランクフォード値が1.5以上の鋼製である<4>に記載の金属成形板。
<6>
前記稜線部に隣接する板面のうち板厚が最大となる箇所における、前記金属成形板の表面に平行な{001}面から20°以内の結晶方位を持つ結晶粒の面積分率が0.25以下、かつ平均結晶粒径が15μm以下である<1>~<5>のいずれか1項に記載の金属成形板。
<7>
頂面に稜線部を有し、前記稜線部の延在方向に対して直交方向断面の前記稜線部の凸側表面における最小曲率半径が5mm以下であるパンチと、ダイ及びホルダーと、を用いて、金属板を絞り成形する絞り成形方法であって、
前記ダイ及び前記ホルダーにより前記金属板を押さえた状態で、前記パンチにより前記金属板を絞り成形するとき、
前記稜線部の延在方向中心を通る前記稜線部の延在方向に対する直交方向上にある前記ダイ及び前記ホルダーに押えられた前記金属板が前記ダイの肩部に向かって流入する流入量よりも、前記稜線部の延在方向上ある前記ダイ及び前記ホルダーに押えられた前記金属板が前記ダイの肩部に向かって流入する流入量が小さい絞り成形方法。
<8>
前記金属板における結晶方位のうち、50%以上の結晶方位が任意の結晶方位±20°以内に配向している<7>に記載の絞り成形方法。
<9>
前記金属板が鋼板である<7>又は<8>のいずれか1項に記載絞り成形方法。
<10>
前記鋼板が、C含有量が0.0080質量%以下で、平均ランクフォード値が1.5以上の鋼板である<9>に記載の絞り成形方法。
<11>
前記金属板の表面に平行な{001}面から20°以内の結晶方位を持つ結晶粒の面積分率が0.25以下、かつ平均結晶粒径が15μm以下である<7>~<10>のいずれか1項に記載の絞り成形方法。
<12>
前記ダイが、
前記稜線部の延在方向上にある第一の板押え面を有する第一のダイと、
前記第一のダイと分割され、前記稜線部の延在方向中心を通る前記稜線部の延在方向に対する直交方向上にある第二の板押え面を有する第二のダイと、
を備える<7>~<11>のいずれか1項に記載の絞り成形方法。
<13>
前記第二のダイと前記ホルダーとによる前記金属板を押える面圧よりも、前記第一のダイと前記ホルダーとによる前記金属板を押える面圧が大きい<12>に記載の絞り成形方法。
<14>
前記ホルダーが、
前記稜線部の延在方向上にある第一の板押え面を有する第一のホルダーと、
前記第一のホルダーと分割され、前記稜線部の延在方向中心を通る前記稜線部の延在方向上にある第二の板押え面を有する第二のホルダーと、
を備える<7>~<13>のいずれか1項に記載の絞り成形方法。
<15>
前記ダイと前記第二のホルダーとによる前記金属板を押える面圧よりも、前記ダイと前記第一のホルダーとによる前記金属板を押える面圧が大きい<14>に記載の絞り成形方法。
<16>
前記稜線部の延在方向上にある、前記ダイの板押え面および前記ホルダーの板押え面の一方に設けられた第一のビード部と、
前記稜線部の延在方向中心を通る前記稜線部の延在方向に対する直交方向上にある、前記ダイの板押え面および前記ホルダーの板押え面の一方に設けられた第二のビード部と、
を備え、
前記第二のビード部よりも、前記第一のビード部における前記金属板のビード通過抵抗が大きい<7>~<15>のいずれか1項に記載の絞り成形方法。
<17>
前記パンチにおいて、前記稜線部の延在方向中心を通る前記稜線部の延在方向に対する直交方向に沿って測定した前記稜線部の凸側表面の算術表面粗さRaよりも、前記稜線部の延在方向に沿って測定した前記稜線部の凸側表面の算術表面粗さRaが小さい<7>~<16>のいずれか1項に記載の絞り成形方法。

<18>
頂面に稜線部を有し、前記稜線部の延在方向に対して直交方向断面の前記稜線部の凸側表面における最小曲率半径が5mm以下であるパンチと、ダイ及びホルダーと、を備える絞り成形金型であって、
前記ダイが、
前記稜線部の延在方向上にある第一の板押え面を有する第一のダイと、
前記第一のダイと分割され、前記稜線部の延在方向中心を通る前記稜線部の延在方向に対する直交方向上にある第二の板押え面を有する第二のダイと、
を備える絞り成形金型。
<19>
頂面に稜線部を有し、前記稜線部の延在方向に対して直交方向断面の前記稜線部の凸側表面における最小曲率半径が5mm以下であるパンチと、ダイ及びホルダーと、
前記ホルダーが、
前記稜線部の延在方向上にある第一の板押え面を有する第一のホルダーと、
前記第一のホルダーと分割され、前記稜線部の延在方向中心を通る前記稜線部の延在方向上にある第二の板押え面を有する第二のホルダーと、
を備える絞り成形金型。
<20>
頂面に稜線部を有し、前記稜線部の延在方向に対して直交方向断面の前記稜線部の凸側表面における最小曲率半径が5mm以下であるパンチと、ダイ及びホルダーと、を備える絞り成形金型であって、
前記稜線部の延在方向上にある、前記ダイの板押え面および前記ホルダーの板押え面の一方に設けられた第一のビード部と、
前記稜線部の延在方向中心を通る前記稜線部の延在方向に対する直交方向上にある、前記ダイの板押え面および前記ホルダーの板押え面の一方に設けられた第二のビード部と、
を備え、
前記第二のビード部よりも、前記第一のビード部における金属板のビード通過抵抗が大きい絞り成形金型。
<21>
頂面に稜線部を有し、前記稜線部の延在方向に対して直交方向断面の前記稜線部の凸側表面における最小曲率半径が5mm以下であるパンチと、ダイ及びホルダーと、を備える絞り成形金型であって、
前記パンチにおいて、前記稜線部の延在方向中心を通る前記稜線部の延在方向に対する直交方向に沿って測定した前記稜線部の凸側表面の算術表面粗さRaよりも、前記稜線部の延在方向に沿って測定した前記稜線部の凸側表面の算術表面粗さRaが小さい絞り成形金型。
本発明によれば、稜線部の凸部表面の表面荒れの発生が抑制され、稜線部の意匠性に優れた金属成形板を提供できる。
本発明によれば、稜線部の凸部表面の表面荒れの発生が抑制され、稜線部の意匠性に優れた金属成形板が得られる絞り成形方法、および当該絞り成形方法に利用する絞り成形金型を提供できる。
本実施形態に係る金属成形板の一例を示す概略斜視図である。 本実施形態に係る金属成形板の稜線部の一例を示す拡大概略断面図である。 本実施形態に係る絞り成形金型の一例を示す概略斜視図である。 本実施形態に係る絞り成形金型のパンチの一例を示す拡大概略断面図である。 パンチの稜線部の延在方向から見た、本実施形態に係る絞り成形方法の断面工程図である。 パンチの稜線部の延在方向から見た、本実施形態に係る絞り成形方法の断面工程図である。 パンチの稜線部の延在方向に対する直交方向から見た、本実施形態に係る絞り成形方法の断面工程図である。 パンチの稜線部の延在方向に対する直交方向から見た、本実施形態に係る絞り成形方法の断面工程図である。 本実施形態に係る絞り成形方法において、絞り成形するときの金属板を平面視した模式図である。 平均結晶粒径の測定方法を説明するための模式図である。 平面ひずみ引張変形における相当塑性ひずみと金属成形板表面の算術平均表面粗さSa増加分との関係、および二軸引張変形における相当塑性ひずみと金属成形板表面の算術平均表面粗さSa増加分との関係を示す。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
なお、本明細書において、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
また、「稜線部の延在方向」とは、稜線部のある面を平面視したとき、稜線部の一端と他端とを結んだ直線が延在する方向を意味する。
また、「稜線部の延在方向中心」とは、稜線部のある面を平面視したとき、稜線部の頂部に沿った長さの1/2に位置する部位を意味する。また、稜線部の長さを求めるに当たり、金属成形板の場合、稜線部の延在方向に対して直交方向断面の稜線部の凹側表面における最小曲率半径が5mmより大となった箇所を稜線部の端部とみなす。パンチの場合、稜線部の延在方向に対して直交方向断面の稜線部の凸側表面における最小曲率半径が5mmより大となった箇所を稜線部の端部とみなす。ただし、これら稜線部が、金属成形板の膨出部(縦壁部を有する場合、天板部)、又はパンチの頂面の外側まで延在している場合、金属成形板の膨出部(縦壁部を有する場合、天板部)、又はパンチの頂面の縁を稜線部の端部とみなす。
また、「稜線部の延在方向に対する直交方向」を「稜線部の直交方向」とも称する。
また、「稜線部の延在方向上にある」、「稜線部の直交方向上にある」とは、平面視で当該方向かつ稜線部を通る線上にあるということを意味する。
本実施形態に係る絞り成形方法は、頂面に稜線部を有し、稜線部の延在方向に対して直交方向断面の稜線部の凸側表面における最小曲率半径が5mm以下であるパンチと、金属板を押えるダイ及びホルダーと、を用いて、金属板を絞り成形する絞り成形方法である。
ここで、パンチの稜線部はパンチ肩を意味しない。パンチに2つのパンチ肩がある場合、稜線部はパンチ肩の間の頂面にある。パンチにパンチ肩が無い場合、すなわちドーム形状のパンチの場合、稜線部はパンチの湾曲した面上にある。この場合、パンチの頂面とはプレス方向を横切る面全体を意味する。
頂面に稜線部を有するパンチを使用して、金属板に対して絞り成形を実施すると、膨出部に稜線部を有する金属成形板が得られる。この絞り成形では、金属板に平面ひずみ引張変形が生じて稜線部が成形される。
しかし、平面ひずみ引張変形は、二軸引張変形に比べ、金属板の結晶粒が変形し易く、結晶粒の凹凸の発達が大きくなる。そのため、平面ひずみ引張変形により成形された金属成形板の部位は、表面に表面荒れが生じやすい。
ここで、図9中に、平面ひずみ引張変形における相当塑性ひずみと金属成形板表面の算術平均表面粗さSa増加分との関係、および二軸引張変形における相当塑性ひずみと金属成形板表面の算術平均表面粗さSa増加分との関係を示す。
図9に示すように、二軸引張変形に比べ、平面ひずみ引張変形における相当塑性ひずみが増加するにしたがって、金属成形板表面の算術平均表面粗さSa増加分が大きくなることがわかる。算術平均表面粗さSaが高いほど表面の表面荒れが顕著になる。
そして、相当塑性ひずみが増加するにしたがって、平面ひずみ引張変形と二軸引張変形とにおける金属成形板表面の算術平均表面粗さSa増加分の差が大きくなることがわかる。
意匠性を高めるために、断面の曲率半径の小さい稜線部を成形すると、稜線部の相当塑性ひずみ(以下「加工量」とも称する)が大きくなる。
具体的には、頂面に稜線部の凸側表面における最小曲率半径が5mm以下であるパンチを使用し、膨出部に稜線部の凹側表面における最小曲率半径が5mm以下である金属成形板を成形すると、稜線部の相当塑性ひずみが大きくなる。
図9の関係があるため、このような曲率半径の小さい稜線部を有する金属成形板は、稜線部の凸側表面に表面荒れが顕著に現れる。
そこで、本実施形態に係る絞り成形方法では、ダイ及びホルダーにより金属板を押さえた状態で、パンチにより金属板を絞り成形するとき、パンチにおける稜線部の延在方向中心を通る稜線部の直交方向上にあるダイ及びホルダーにより押えられた金属板がダイの肩部に向かって流入する流入量よりも、パンチの稜線部の延在方向上にあるダイ及びホルダーにより押えられた金属板がダイの肩部に向かって流入する流入量を小さくする。
つまり、金属板に対して、稜線部の延在方向中心を通る稜線部の直交方向に比べ、稜線部の延在方向に付与される張力を大きくして、絞り成形を実施する。
それにより、絞り成形時に、金属板において稜線部が成形される領域に生じる変形モードが平面ひずみ引張変形から二軸引張変形(不等二軸引張り変形から等二軸引張変形までへの変形)に変わる。つまり、平面ひずみ引張変形に比べ、表面荒れが発生し難い二軸引張変形により稜線部が成形されることになる。
そのため、本実施形態に係る絞り成形方法では、稜線部の凸部表面の表面荒れの発生が抑制され、稜線部の意匠性に優れた金属成形板が得られる。
以下、図面を参照しつつ、本実施形態に係る絞り成形方法の詳細について説明する。
<金属成形板>
まず、本実施形態に係る絞り成形方法により得られる金属成形板(以下「本実施形態に係る金属成形板」と称する)について説明する。
本実施形態に係る金属成形板10は、図1に示すように、膨出部13に稜線部12を有する金属成形板である。具体的には、例えば、金属成形板10は、稜線部12を有する天板部14と、天板部14に周囲に隣接する縦壁部16と、縦壁部16に周囲に隣接するフランジ18と、を有する略ハット側の成形板である。つまり、膨出部13は、天板部14と縦壁部16とで構成されている。なお、フランジ18は、一部又は全部が除去されていてもよい。
図1中、D1は稜線部12の延在方向、D2は稜線部12の直交方向を示している。
なお、金属成形板10の形状は、板面に稜線部12を有していれば、上記構成に限られず、目的に応じた種々の形状(ドーム形状等)を採用できる。
稜線部12は、金属成形板10の平面視で、天板部14に直線状に設けられている。また、稜線部12は、稜線部12の直交方向から見た金属成形板10の側面視で、凸状に湾曲した流線状に設けられている。
ここで、稜線部12は、例えば、金属成形板10の縁(例えば、稜線部12の直交方向上にあるフランジ18Aの縁)から10mm以上離れた箇所に配置されている。つまり、稜線部12は、例えば、天板部14と縦壁部16との境界となる稜線部12の延在方向に沿った肩部14A(又は縦壁部16A)よりも内側に設けられている。なお、稜線部12は、稜線部12の延在方向と交わる肩部14B(又は縦壁部16B)を通り抜けて、稜線部12の延在方向上にあるフランジ18Bまで伸びていてもよい。
なお、稜線部12は、上記態様に限られず、平面視で、直線状であってもよいし、流線状であってもよい。また、側面視で、稜線部12は、直線状であってもよいし、流線状であってもよい。
稜線部12は、稜線部12の直交方向かつ板厚方向に沿って切断したときの稜線部12の凹側表面における最小曲率半径が5mm以下(好ましくは4mm以下)となっている(図2参照:図中R1は最小曲率半径を示す)。つまり、稜線部12の加工量が稜線部12に隣接する金属成形板の天板部14より多くなっている。ただし、稜線部12の凸側表面の表面荒れ抑制の観点から、最小曲率半径の下限値は、1mm以上とすることがよい。
ここで、稜線部12の最小曲率半径は、次の通り測定する。まず、稜線部12の凹側表面における3次元形状を、3次元形状測定器により測定する。次に、コンピュータのCADソフトにより、稜線部12の平行方向に沿って、稜線部12の直交方向断面を連続的に取得し、稜線部12の凹側表面における曲率半径で最も小さい箇所を特定する。特定した稜線部12の曲率半径を、最小曲率半径とする。
膨出部13の重心に最も近い稜線部12の凸側表面の算術平均表面粗さSaは、0.9μm以下(好ましくは0.8μm以下)となっている。つまり、稜線部12の凸側表面の表面荒れが低減されている。
稜線部12の凸側表面の算術平均表面粗さSaは、ISO-25178に準じて測定する。具体的には、算術平均表面粗さSaは、稜線部12の凸側の頂点を中心とし、「稜線部12の延在方向に沿った2mm」×「稜線部12の直交方向に沿った2mm」の四方領域(図1及び図2参照:図中Tは四方領域を示す。)を3箇所測定した算術平均値とする。
稜線部12に隣接する板面のうち板厚が最大となる箇所の板厚に対する、膨出部13の重心に最も近い稜線部12の板厚比は、0.95以下となっている。ただし、稜線部12の板厚比の下限値は、0.50以上(好ましくは0.70以上)である。なぜなら、それを下回ると金属板が成形中に破断することが懸念されるためである。
稜線部12に隣接する板面のうち板厚が最大となる箇所の板厚は、絞り成形前の金属板の板厚と見なすことができる。
つまり、上記稜線部12の板厚比が0.95以下とは、稜線部12を成形するとき、金属板に対して板厚減少率5%以上と大きな加工量で、稜線部12が絞り成形されていると見なすことができる。
膨出部13の重心に最も近い稜線部12の凸側表面におけるビッカース硬さ(以下、「稜線部12のビッカース硬さ」とも称する。)は、稜線部12に隣接する板面のうち板厚が最大となる箇所におけるビッカース硬さ(以下、「ビッカース硬さB」とも称する)の1.1倍以上となっている。ただし、稜線部12のビッカース硬度の上限値は、ビッカース硬さBの1.8倍以下(好ましくは1.6倍位)である。なぜなら、それを上回ると金属板が成形中に破断することが懸念されるためである。
なお、稜線部12のビッカース硬さは稜線部12の頂部(図2中、Sと表記)を,凸側表面から測定する.
稜線部12に隣接する板面のうち板厚が最大となる箇所におけるビッカース硬さBは、絞り成形前の金属板のビッカース硬さと見なすことができる。
つまり、上記稜線部12のビッカース硬さがビッカース硬さBの1.1倍以上とは、稜線部12を成形するとき、金属板に対してビッカース硬さで1.1倍以上の加工硬化する大きな加工量で、稜線部12が絞り成形されていると見なすことができる。
なお、稜線部12に隣接する板面は、本実施形態では、稜線部12以外の天板部14、縦壁部16およびフランジ18で構成される板面が相当する。稜線部12に隣接する板面のうち板厚が最大となる箇所は、成形シミュレーションにより特定する。そして、特定した稜線部12に隣接する板面のうち板厚が最大となる箇所において、上記板厚およびビッカース硬さを測定する。
膨出部13の重心は、次の方法により特定する。前述した3次元形状測定器で測定した3次元形状を用い,コンピュータのCADソフト(例えば3DCAD Solidworks等)を用いて膨出部13のみを抽出し、膨出部13の重心を計算する。そして、特定した膨出部13の重心に最も近い稜線部12において、上記板厚およびビッカース硬さを測定する。
ここで、ビッカース硬さは、JIS Z 2244(2009年)に準拠してHV10を測定する。
以上説明した本実施形態に係る金属成形板10は、稜線部の最小曲率半径、稜線部12の板厚比、および稜線部12のビッカース硬さが上記範囲となる絞り成形が施された金属成形板である。そして、金属成形板10は、上記条件で絞り成形により成形されていても、稜線部の凸側表面の算術平均表面粗さSaが0.9μm以下となっている。すなわち、稜線部の凸部表面の表面荒れの発生が抑制され、稜線部の意匠性に優れた金属成形板となっている。
以下、本実施形態に係る金属成形板10の好適な態様について説明する。
金属成形板10の稜線部12の凸側表面において、稜線部12に隣接する板面のうち板厚が最大となる箇所における結晶方位のうち、50%以上(好ましくは65%以上90%以下)の結晶方位が任意の結晶方位±20°以内に配向していることがよい。
つまり、任意の結晶方位に対して20°以内の結晶方位が全体に占める割合は、面積分率で50%以上である。
成形対象である金属板において、50%以上の結晶方位が任意の結晶方位±20°以内に配向していると、成形したとき結晶粒が変形し難く、凹凸が発達し難くなる。ここで、稜線部12に隣接する板面のうち板厚が最大となる箇所は、絞り成形前の金属板に対して成形による歪が付与されていない又は歪みの付与がすくない箇所である。
つまり、絞り成形前の金属板の物性を示す箇所とみなすことができる。そして、この箇所の結晶方位のうち、50%以上の結晶方位が任意の結晶方位±20°以内に配向し、稜線部12の凸側表面で二軸引張変形を実現させれば、表面荒れの発達が小さくなる.
50%以上の結晶方位が任意の結晶方位±20°以内に配向させる方法としては、例えば、材料を80%以上の冷延率で圧下したのち焼鈍再結晶する方法、Siを3.0%程度添加し,圧延・熱処理する方法等が挙げられる。
金属成形板10の結晶方位は、次の通り測定する。金属成形板10における測定対象の表層から0.1mmの板面を、SEMにより観察する。次に、EBSD(Electron BackScattering Diffraction)法により、400μm四方観察領域におけるすべての結晶粒の結晶方位を解析する。そして、得られた各結晶粒の結晶方位から、結晶方位の最頻値と、前記最頻値を示す結晶方位から±20°以内に50%以上の結晶方位が配向しているか算出する。
金属成形板10は、bcc構造(体心立方格子構造)を有する金属成形板が代表として挙げられる。bcc構造を有する金属成形板としては、α-Fe、Li、Na、K、β-Ti、V、Cr、Ta、W等の金属成形板が挙げられる。これらの中でも、鋼製の金属成形板(フェライト系鋼板、ベイナイト単相組織としたベイナイト鋼板、マルテンサイト単相組織としたマルテンサイト鋼板等の金属成形板)が好ましく、フェライト系鋼板がより好ましい。フェライト系鋼板には、金属組織のフェライト分率が100%の鋼板以外に、マルテンサイト、ベイナイト等が存在する鋼板(DP鋼板)も含まれる。
ここで、鋼製の金属成形板のフェライト分率は、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。金属組織のフェライト分率が70%以上とすることで、硬質相と軟質相であるフェライトと硬度差により凹凸の発達が生じ難くなる。その結果、金属成形板の表面荒れの発生が抑制される。
なお、フェライト分率は、次に示す方法により測定できる。鋼製の金属成形板の表面を研磨後、ナイタール溶液に浸漬することで、フェライト組織を現出させ、光学顕微鏡で組織写真を撮影する。その後、前記組織写真の全域の面積に対するフェライト組織の面積を算出する。
特に、金属成形板10は、C含有量が0.0080質量%以下で、平均ランクフォード値が1.5以上の鋼製がよい。具体的には、金属成形板10は、IF鋼板(interstitial free steel)が成形された鋼製の金属成形板がよい。
平均ランクフォード値が低いと、絞り成形性を低下させることが知られている。そのため、鋼成形板において、稜線部12の凸側表面の表面荒れ抑制の観点から、平均ランクフォード値は、1.5以上(好ましくは1.8以上)とすることがよい。ただし、平均ランクフォード値は、例えば2.7以下である。
平均ランクフォード値は、次の通り測定する。鋼製の金属成形板(又は鋼板)の圧延方向に対して、0°、45°及び90°方向の、板状の5号試験片(JIS Z 2241(2011))を採取する。採取した各試験片に対して、10%のひずみを付与する。ひずみ付与前後における、試験片の幅と板厚とから、各試験片に対してr値(ランクフォード値)を算出した。3方向の試験片のランクフォード値の算術平均値を平均ランクフォード値とする。
Cは、一般的なIF鋼においても、Cは鋼板の平均ランクフォード値を低下させることが知られている。そのため、鋼製の金属成形板において、稜線部12の凸側表面の表面荒れ抑制に観点から、C含有量は、0.0080質量%以下(好ましくは0.0060質量%)とすることがよい。ただし、精錬コストの観点から、現実的なC含有量は、例えば、0.00050質量%以上である。
金属成形板10において、稜線部12に隣接する板面のうち板厚が最大となる箇所における、金属成形板10の表面に平行な{001}面から20°以内の結晶方位を持つ結晶粒(以下「{001}結晶粒」とも称する)の面積分率が0.25以下(好ましくは0.02~0.20)、かつ平均結晶粒径が15μm以下(好ましくは1~13μm)であることがよい。
金属板(特に、IF鋼板等、bcc構造を有する鋼板)を絞り成形するとき、平面ひずみ引張変形では、結晶粒の変形が大きくなり、表面荒れの発達が進行するが、二軸引張変形では結晶粒の変形が少なく、表面荒れの発達が著しく低減される。そのため、本実施形態に係る絞り成形方法では、最も加工量が大きい稜線部12の絞り成形における変形モードを平面ひずみ引張変形から二軸引張変形へと制御する。
一方で、金属板(特に、IF鋼板等、bcc構造を有する鋼板)において、{001}結晶粒が最も二軸引張変形(特に、等二軸引張変形および等二軸引張変形に近い不等二軸引張変形)の応力に弱い。つまり、二軸引張変形(特に、等二軸引張変形および等二軸引張変形に近い不等二軸引張変形)に制御した稜線部12の絞り成形では、{001}結晶粒が多く存在すると、{001}結晶粒にひずみが集中しやすく、{001}結晶粒にて凹凸が発達する傾向がある。
加えて、結晶粒が大きいと、凹凸が発達したとき、表面荒れとして認識され易くなる。
ここで、稜線部12に隣接する板面のうち板厚が最大となる箇所は、絞り成形前の金属板に対して成形による歪が付与されていない又は歪みの付与がすくない箇所である。つまり、絞り成形前の金属板の物性を示す箇所とみなすことができる。すなわち、この箇所において、{001}結晶粒の面積分率が0.25以下、かつ平均結晶粒径が15μm以下となっているということは、絞り成形前の金属板の結晶粒もそのようになっているということである。このような物性の金属板を絞り成形すれば、二軸引張変形に制御した絞り成形後の稜線部12の凸側表面において、結晶粒の変形が生じ難く、凹凸が発達し難くなる。そのため、稜線部の凸側表面の表面荒れが抑制され易くなる。すなわち、表面荒れが抑制されやすい金属板を成形したことが、板厚の最大となる箇所の測定結果から推定できる。
{001}結晶粒の平均結晶粒径は次の方法で測定する。SEMを用いて、測定対象となる金属成形板の表面を研磨し、表面から0.1mmの部分を観察し、測定領域を任意に選ぶ。EBSD法を用いて、それぞれの測定領域において、{001}結晶粒を選択する。選択した各{001}結晶粒に2本の試験線を引く。2本の試験線の算術平均を求めることにより、{001}結晶粒の平均結晶粒径を求める。
具体的には次の通りである。図8は、EBSD法による解析結果から平均結晶粒径を求める方法を図示した模式図である。図8を参照して、各{001}結晶粒の重心を通る第一の試験線を、全ての{001}結晶粒において同じ向きとなるように引く。さらに、第一の試験線と互いに直交するように、各{001}結晶粒の重心を通る第二の試験線を引く。2本の第一の試験線及び第二の試験線の長さの算術平均を、その結晶粒の結晶粒径とする。任意の測定領域における、全ての{001}結晶粒の結晶粒径の算術平均を、平均結晶粒径とする。
なお、図8中、Cryは{001}結晶粒、L1は第一の試験線、L2は第二の試験線を示す。
{001}結晶粒の面積分率は次の方法で測定する。SEMを用いて、{001}結晶粒の平均結晶粒径の観察と同様に、金属板の表面を観察し、任意の測定領域を選ぶ。EBSD法を用いて、{001}結晶粒を選択する。各視野において、金属板の表面おける{001}結晶粒の面積分率を算出することで、{001}結晶粒の面積分率を求める。そして、任意の測定領域における{001}結晶粒の面積分率の平均を{001}結晶粒の面積分率とする。
ここで、測定対象となる金属成形板の表面にめっき層等が形成されている場合、めっき層等を除去したうえで、表面を研磨し、{001}結晶粒の平均結晶粒径および{001}結晶粒の面積分率を測定する。
本実施形態に係る金属成形板を得る金属板のうち、平均ランクフォード値、{001}結晶粒の面積分率、{001}結晶粒の平均結晶粒径等を満たす鋼板としては、例えば、質量%で、C:0.00050~0.0080%、Si:0.005~1.0%、Mn:1.50%以下、P:0.100%以下、S:0.010%以下、Al:0.00050~0.10%、N:0.0040%以下、Ti:0.0010~0.10%、Nb:0.0010~0.10%、及び、B:0~0.0030%、を含有し、残部がFe及び不純物である。
この鋼板は、表面ひずみ付与工程、加熱工程、熱間圧延工程、冷却工程、巻取工程、冷間圧延工程、及び、焼鈍工程を経て得ることができる。これら各工程の条件を制御し、{001}結晶粒を低減すると共に、平均結晶粒径を微細化する。
<絞り成形金型>
次に、本実施形態に係る絞り成形方法に利用する絞り成形金型(以下「本実施形態に係る絞り成形金型)について説明する。
本実施形態に係る絞り成形金型20は、図3に示すように、パンチ30と、ダイ40と、ホルダー50と、を備える。
図3は、便宜上、パンチ30は成形面のみを示し、ダイ40は成形面および板押え面のみを示し、ホルダー50は板押え面のみを示し、各部材の全体の形状の立体的な図示を省略している。
絞り成形金型20において、ダイ40を上型、パンチ30を下型としている。ただし、パンチ30を上型、ダイ40を下型としてもよい。
なお、図3中、D11はパンチ30の稜線部32の延在方向、D12はパンチ30の稜線部32を通る稜線部32の直交方向を示している。
パンチ30は、稜線部32を有している。具体的には、パンチ30は、例えば、金属成形板10の天板部14を成形する第一の成形面34(パンチの頂面の一例に相当)と、金属成形板10の縦壁部16を成形する第二の成形面36と、を有している。そして、第一の成形面34に稜線部32を有する。
パンチ30の稜線部32は、稜線部32の直交方向断面の稜線部32の凸側表面における最小曲率半径が5mm以下となっている(図4参照:図中R2」は最小曲率半径を示す)。パンチ30形状(パンチ30の稜線部32を含む形状)は、成形後の金属成形板10の形状(金属成形板10の稜線部12を含む形状)に対応して設計する。
ここで、パンチ30の稜線部32の最小曲率半径は、次の通り測定する。まず、稜線部32の凸部表面における3次元形状を、3次元形状測定器により測定する。次に、コンピュータのCADソフトにより、稜線部32の平行方向に沿って、稜線部32の直交方向断面を連続的に取得し、稜線部32の凸側表面における曲率半径で最も小さい箇所を特定する。特定した稜線部32の曲率半径を、最小曲率半径とする。
パンチ30において、稜線部32の延在方向に沿って測定した稜線部の凸側表面の算術表面粗さRa(以下、「算術表面粗さRa1」とも表記する。)は、稜線部32の延在方向中心を通る稜線部32の直交方向に沿って測定した稜線部32の凸側表面の算術表面粗さRa(以下、「算術表面粗さRa2」とも表記する。)よりも小さくなっている。
算術表面粗さRa1を算術表面粗さRa2よりも小さくすると、絞り成形時において、パンチ30の稜線部32と金属板11との摩擦抵抗が、稜線部32の直交方向よりも稜線部32の延在方向が小さくなる。すなわち、稜線部32の直交方向よりも、稜線部32の延在方向へ、金属板11が延び易くなる。
それにより、ダイ40及びホルダー50により金属板11を押さえた状態で(図5Aおよび図6A参照)、パンチ30により金属板11を絞り成形するとき、金属板11の縁部11Aがダイ40の肩部34Aに向かって流入する流入量よりも、金属板11の縁部11Bがダイ40の肩部34Bに向かって流入する流入量を小さくできる(図7参照)。
そのため、金属成形板10に稜線部12を成形するとき、変形モードが平面ひずみ引張変形から二軸引張変形へと制御しやすくなる。その結果、金属成形板10の稜線部12の凸側表面の表面荒れが抑制されやすくなる。
ここで、算術表面粗さRa1が算術表面粗さRa2よりも小さくする方法としては、研磨方向をパンチ30の稜線部32の延在方向として、パンチ30の稜線部の表面を研磨する方法が挙げられる。
算術表面粗さRaは、JIS B0601(1994)に準じて測定する。
具体的には、算術平均粗さRaは、粗さ曲線を求め、該粗さ曲線の測定値と平均値までの偏差の絶対値を合計し平均することでRaを求める。Raを求めるときの基準長さは0.8mm、カットオフパラメータ、λsは2.5μm、λcは0.8mmとする。
ダイ40は、パンチ30と共に金属板11を挟み込んで成形する成形面42と、ホルダー50と共に金属板11を押える板押え面44と、を有する。ダイ40は、成形面42を有さず、絞り成形時にパンチ30が通過する開口部を有する態様であってもよい。
ダイ40の成形面42は、パンチ30の稜線部32に対応した谷線部42Aを有している。
ダイ40の成形面44は、パンチ30の第一の成形面34(金属成形板10の天板部14を成形する第一の成形面)に対応した第一の成形面42Bと、パンチ30の第二の成形面36(金属成形板10の縦壁部16を成形する第二の成形面)に対応した第二の成形面42Cと、を有している。そして、ダイ40の第一の成形面42Bは、パンチ30の稜線部32に対応した谷線部42Aを有している。
ダイ40は、第一のダイ40Aと、第一のダイ40Aと分割された第二のダイ40Bと、を備えている(図5A、図5B、図6A及び図6B参照)。
第一のダイ40Aは、パンチ30の稜線部32の延在方向上にある金属板11を押える第一の板押え面44Aを有している。
第二のダイ40Bは、パンチ30の稜線部32の延在方向中心を通る稜線部32の直交方向上にある金属板11を押える第二の板押え面44Bを有する第二のダイ40Bと、を備えている。
なお、ダイ40の成形面42は、第一のダイ40Aおよび第二のダイ40Bのいずれに有していてもよい。本実施形態では、ダイ40の成形面42のうち、パンチ30の稜線部32の延在方向に対応する第二の成形面42Cのみ第一のダイ40Aに有し、それ以外の成形面42を第二のダイ40Bが有している態様を示す(図5A、図5B、図6A及び図6B参照)。
第一のダイ40Aの第一の板押え面44Aは、後述する第一のホルダー50Aの第一の板押え面52Aと共に、金属板11を挟み込んで押える。
第二のダイ40Bの第二の板押え面44Bは、後述する第二のホルダー50Bの第二の板押え面52Bと共に、金属板11を挟み込んで押える。
ここで、ダイ40を分割すると、第二のダイ40Bの第二の板押え面44Bと第二のホルダー50Bの第二の押え面52Bとにより金属板11を押える面圧よりも、第一のダイ40Aの第一の板押え面44Aと第一のホルダー50Aの第一の押え面52Aとにより、金属板11を押える面圧を大きくできる。
このように面圧を変えると、パンチ30により金属板11を絞り成形するとき、金属板11の縁部11Aがダイ40の肩部34Aに向かって流入する流入量よりも、金属板11の縁部11Bがダイ40の肩部34Bに向かって流入する流入量を小さくできる(図7参照)。
そのため、金属成形板10に稜線部12を成形するとき、変形モードが平面ひずみ引張変形から二軸引張変形へと制御しやすくなる。その結果、金属成形板10の稜線部12の凸側表面の表面荒れが抑制されやすくなる。
第一のダイ40Aの第一の板押え面44Aには、第一のビード部46Aを有している。
第二のダイ40Bの第二の板押え面44Bには、第二のビード部46Bを有している。
そして、絞り成形時において、第一のビード部46Aにおける金属板11のビード通過抵抗は、第二のビード部46Bよりも大きくなっている。
ここで、以下、ビード部における金属板11のビード通過抵抗を、単に「ビード通過抵抗」とも称する。
ビード通過抵抗は、ビード部を金属板11が通過するときに発生する抵抗力である。つまり、ビード通過抵抗が高いと、絞り成形時の引張り力が高まり、ダイ40の肩部34に向かって流入(つまり金型内側へ流入)する金属板11の流入量が小さくなる。
よって、第一のビード部46Aのビード通過抵抗を第二のビード部46Bよりも大きくすると、パンチ30により金属板11を絞り成形するとき、金属板11の縁部11Aがダイ40の肩部34Aに向かって流入する流入量よりも、金属板11の縁部11Bがダイ40の肩部34Bに向かって流入する流入量を小さくできる(図7参照)。
そのため、金属成形板10に稜線部12を成形するとき、変形モードが平面ひずみ引張変形から二軸引張変形へと制御しやすくなる。その結果、金属成形板10の稜線部12の凸側表面の表面荒れが抑制されやすくなる。
第一のビード部46Aのビード通過抵抗を第二のビード部46Bよりも大きくする態様としては、例えば、(1)第一のビード部46Aのビード数が第二のビード部46Bよりも多い態様、(2)第一のビード部46Aのビード高さが第二のビード部46Bよりも高い態様、(3)第一のビード部46Aのビード頂部断面形状が第二のビード部46Bよりも角張っている態様、(4)(1)~(3)の態様を少なくとも2つ組み合わせた態様が挙げられる。
ここで、図3中、第一のビード部46Aは、ビード数を2本、ビード高さを第二のビード部46Bよりも高くし、ビード頂部断面形状を角状とした態様を示している。そして、第二のビード部46Bは、ビード数を1本、ビード高さを第一のビード部46Aよりも低くし、ビード頂部断面形状を半円状とした態様を示している。
ホルダー50は、ダイ40と共に、金属板11を押える板押え面52を有する部材(しわ押さえ部材とも称される部材)である。
ホルダー50は、絞り成形時にパンチ30が通過する開口部54を有している。そして、ホルダー50は、第一のホルダー50Aと、第一のホルダー50Aと分割された第二のホルダー50Bと、を備えている(図5A、図5B、図6A及び図6B参照)。
第一のホルダー50Aは、パンチ30の稜線部32の延在方向上にある金属板11を押える第一の板押え面52Aを有する。
第二のホルダー50Bは、パンチ30の稜線部32の延在方向中心を通る稜線部32の直交方向上にある金属板11を押える第二の板押え面52Bを有する。
第一のホルダー50Aの第一の板押え面52Aは、第一のダイ40Aの第一の板押え面44Aと共に、金属板11を挟み込んで押える。
第二のホルダー50Bの第二の板押え面52Bは、第二のダイ40Bの第二の板押え面44Bと共に、金属板11を挟み込んで押える。
第一のホルダー50Aの第一の板押え面52Aには、第一のダイ40Aの第一のビード部46Aに対応した第一の凹部54Aを有している。
第二のホルダー50Bの第二の板押え面52Bには、第二のダイ40Bの第二のビード部46Bに対応した第二の凹部54Bを有している。
なお、ホルダー50の板押え面52にビード部を設け、ダイ40の板押え面44にビード部に対応する凹部を設ける態様であってもよい。
ここで、本実施形態に係る絞り成形金型20において、ダイ40及びホルダー50がいずれも分割している態様を説明したが、これに限られず、ダイ40及びホルダー50の一方が分割されている態様であってもよい。
ダイ40が分割され、ホルダー50が分割されていない態様であっても、第二のダイ40Bとホルダー50とにより、パンチ30の稜線部32の延在方向中心を通る稜線部32の直交方向上にある金属板11を押える面圧よりも、第一のダイ40Aとホルダー50とにより、パンチ30の稜線部32の延在方向上にある金属板11を押える面圧が大きくできる。
ダイ40が分割されておらず、ホルダー50が分割されている態様であっても、ダイ40と第二のホルダー50Bとにより、パンチ30の稜線部32の延在方向中心を通る稜線部32の直交方向上に金属板11を押える面圧よりも、ダイ40と第一のホルダー50Aとにより、パンチ30の稜線部32の延在方向上にある金属板11を押える面圧が大きくできる。
いずれの態様でも、面圧を変えることで、パンチ30により金属板11を絞り成形するとき、金属板11の縁部11Aがダイ40の肩部34Aに向かって流入する流入量よりも、金属板11の縁部11Bがダイ40の肩部34Bに向かって流入する流入量を小さくできる(図7参照)。
そのため、金属成形板10に稜線部12を成形するとき、変形モードが平面ひずみ引張変形から二軸引張変形へと制御しやすくなる。その結果、金属成形板10の稜線部12の凸側表面の表面荒れが抑制されやすくなる。
<絞り成形方法>
次に、本実施形態に係る絞り成形方法について説明する。
本実施形態に係る絞り成形方法は、上記本実施形態に係る絞り成形金型を用いて、金属板11を絞り成形する絞り成形方法である。
ここで、図5A~図5Bは、パンチ30の稜線部の延在方向から見た、本実施形態に係る絞り成形方法の断面工程図である。
図6A~図6Bは、パンチ30の稜線部の直交方向から見た、本実施形態に係る絞り成形方法の断面工程図である。
本実施形態に係る絞り成形方法では、図5A及び図6Aに示すように、ダイ40の板押え面44とホルダー50の板押え面52とで、金属板11を押える。
なお、金属板11は、金属成形板10と同様な特性を有する金属板が使用される。
次に、図5B及び図6Bに示すように、ダイ40の板押え面44とホルダー50の板押え面52とで、金属板11を押えた状態で、パンチ30を金属板11の板面に押し付け、パンチ30の成形面(第一の成形面34および第二の成形面36)と、ダイ40の成形面42(第一の成形面42Bおよび第二の成形面42C)とで金属板11を挟み込み。それにより、金属板11を絞り成形し、金属成形板10を得る(図1参照)。
ここで、上述したが、この絞り成形時では、次の態様を採用することにより、パンチ30により金属板11を絞り成形するとき、金属板11の縁部11Aがダイ40の肩部34Aに向かって流入する流入量よりも、金属板11の縁部11Bがダイ40の肩部34Bに向かって流入する流入量を小さくできる(図7参照)。
そして、次の態様の少なくとも一つの態様を採用することで、金属成形板10に稜線部12を成形するとき、変形モードが平面ひずみ引張変形から二軸引張変形へと制御しやすくなる。その結果、金属成形板10の稜線部12の凸側表面の表面荒れが抑制される。
つまり、本実施形態に係る絞り成形方法では、金属成形板10の稜線部12の変形モードが平面ひずみ引張変形から二軸引張変形へとなるように、ダイ40およびホルダー50で押えられた金属板11の流入量を制御する。
具体的には、図7に示すように、パンチ30稜線部32の延在方向中心を通る稜線部32の直交方向上にあるダイ40及びホルダー50に押えられた金属板11(具体的には、金属11の縁部11A)がダイ40の肩部34Aに向かって流入する流入量よりも、パンチ30の稜線部32の延在方向上あるダイ40及びホルダー50に押えられた金属板11(具体的には、金属11の縁部11B)がダイ40の肩部34Bに向かって流入する流入量を小さくする(図7参照)。
ここで、ダイ40の肩部34Aは、パンチ30の稜線部32の延在方向中心を通る稜線部32の直交方向上にある肩部である。一方、ダイ40の肩部34Bは、パンチ30の稜線部32の延在方向上ある肩部である。
図7中、D11はパンチ30の稜線部32の延在方向、D12はパンチ30の稜線部32の延在方向中心を通る稜線部32の直交方向を示している。
態様(1):第一の板押え面44Aを有する第一のダイ40Aと、第一のダイ40Aと分割された第二の板押え面44Bを有する第二のダイ40Bと、を備えるダイ40を使用する。そして、第二のダイ40Bとホルダー50とによる金属板11を押える面圧よりも、第一のダイ40Aとホルダー50とによる金属板11を押える面圧を大きくする。
態様(2):第一の板押え面52Aを有する第一のホルダー50Aと、第一のホルダー50Aと分割された第二の板押え面52Bを有する第二のホルダー50Bと、を備えるホルダー50を使用する。そして、ダイ40と第二のホルダー50Bとによる金属板11を押える面圧よりも、ダイ40と第一のホルダー50Aとによる金属板11を押える面圧を大きくする。
態様(3):パンチ30の稜線部32の延在方向上にある、ダイ40の板押え面44およびホルダー50の板押え面52の一方に設けられた第一のビード部46Aと、パンチ30の稜線部32の延在方向中心を通る稜線部32の直交方向上にある、ダイ40の板押え面44およびホルダーの板押え面52の一方に設けられた第二のビード部46Bと、を備えたダイ40及びホルダー50を使用する。そして、第二のビード部46Bよりも、第一のビード部46Aにおける金属板11のビード通過抵抗を大きくする。
なお、本実施形態では、ダイ40の板押え面44に第一のビード部46Aおよび第二ビード部46Bを設けた態様を示している。
態様(4):稜線部32の延在方向中心を通る稜線部32の直交方向に沿って測定した稜線部32の凸側表面の算術表面粗さRaよりも、稜線部32の延在方向に沿って測定した稜線部32の凸側表面の算術表面粗さRaが小さいパンチ30を使用する。さらに、稜線部32の延在方向に沿った方向の塑性ひずみを増加させるために、稜線部32の凸側表面に潤滑材を塗布してもよい。
ここで、ダイ40及びホルダー50により押えられた金属板11の流入量は、次のように求めることができる。プレス成形前に金属板11の外形線をホルダー50の板押え面52上に描写したのち、金属板11を成形し、成形された金属板11(つまり金属成形板10)の外形線をホルダー50の板押え面52上にさらに描写する。
次に、パンチ30の稜線部32の延在方向中心を通る稜線部32の直交方向の延長線と金属板11の外形線との交点から、前記直行方向の延長線と成形された金属板11(つまり金属成形板10)の外形線との交点までの距離を計る。そして、その距離を、パンチ30の稜線部32の延在方向中心を通る稜線部32の直交方向上にあるダイ40及びホルダー50に押えられた金属板11(具体的には、金属11の縁部11A)がダイ40の肩部34Aに向かって流入する流入量とする。
同様に、パンチ30の稜線部32の延在方向の延長線と金属板11の外形線の交点から、前記延在方向の延長線と成形された金属板11(つまり金属成形板10)の外形線との交点までの距離を計る。そして、その距離を、パンチ30の稜線部32の延在方向上あるダイ40及びホルダー50に押えられた金属板11(具体的には、金属11の縁部11B)がダイ40の肩部34Bに向かって流入する流入量とする。
つまり、各流入量は、成形時に、金属板11がダイ40の肩部34を通過する量である。
また、絞り成形方法において、平面ひずみ引張変形、又は、二軸引張変形が生じることを確認する方法は、例えば、次の通りである。
得られる金属成形板の3次元形状を測定し、数値解析用のメッシュを作製し、コンピュータによる逆解析によって、板材から3次元形状へ至るまでの過程を導出し、前記各メッシュにおける最大主ひずみと最小主ひずみとの比βを算出する。この算出により、平面ひずみ引張変形、又は、二軸引張変形が生じることを確認することができる。
例えば、Comet L3D(東京貿易テクノシステム(株))等の三次元計測機により、金属成形板の三次元形状を測定し、得られた測定データを基に,金属成形板のメッシュ形状データを得る。次に、得られたメッシュ形状データを用いて、ワンステップ法(加工硬化算出ツール「HYCRASH(株式会社JSOL)」等)の数値解析により、金属成形板の形状を元にそれを一度平坦な板に展開し、そこからの金属成形板の伸び、曲げ状態などの形状情報から金属成形板の板厚変化、残留ひずみなどを計算する。この計算によっても、平面ひずみ引張変形、又は、二軸引張変形が生じることを確認することができる。
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
C:0.038、Si:0.012、Mn:0.19、P:0.020、S:0.003、Al:0.041、N:0.003、Ti:0.001、Nb:0.001、B:0.0001を含み、残部がFe及び不純物からなり、縦600mm、横600mm、板厚0.75mm、矩形鋼板を準備した。この矩形鋼板の平均ランクフォード値は1.7、{001}結晶粒の面積率は0.20、{001}結晶粒の平均結晶粒径は15μmであった。そして、矩形鋼板の表面における50%以上の結晶方位は{111}方位±20°以内に配向していた。
この矩形鋼板に対して、図3に示す絞り成形金型(パンチ、ダイ及びホルダーを備える絞り成形金型)を用いて、凹側表面の最小曲率半径が3mmの稜線部を持つ鋼成形板(図1参照)を絞り成形した、
ただし、図3に示す絞り成形金型において、ダイ及びホルダーは、分割されていないダイ及びホルダーを適用した。
そして、図3に示す絞り成形金型を使用した絞り成形時に、パンチの稜線部の延在方向中心を通る稜線部の直交方向に比べ、パンチの稜線部の延在方向に大きな張力が矩形金属板に付与されるようにした。つまり、パンチの稜線部の延在方向中心を通る稜線部の直交方向に上にあるダイ及びホルダーにより押えられた矩形鋼板がパンチの稜線部の直交方向へ流入する流入量よりも、パンチの稜線部の延在方向上にあるダイ及びホルダーにより押えられた矩形金属板が稜線部の延在方向へ流入する流入量が小さくなるようにした。
この絞り成形の成形シミュレーションを実施したところ、金属成形板の稜線部の変形モードは、二軸引張変形となっていた。
(比較例1)
実施例1において、図3に示す絞り成形金型のうち、ダイ及びホルダーとして、全ての板押え面に設けたビード部を同じにしたダイ、および、全てのホルダーの板押え面に設けた凹部を同じにしたホルダーを適用した。
そして、この絞り成形金型を使用した絞り成形時に、パンチの稜線部の直交方向とパンチの稜線部中心を通る稜線部の延在方向とで、同じ張力が矩形金属板に付与されるようにした。
この絞り成形の成形シミュレーションを実施したところ、金属成形板の稜線部の変形モードは、平面ひずみ引張変形となっていた。
(評価)
得られた鋼成形板について、下記1)~5)の特定を調べた。
1)鋼成形板の重心に最も近い稜線部の凸側表面の算術平均表面粗さSa(表中「Sa」と表記)、
2)稜線部に隣接する板面のうち板厚が最大となる箇所の板厚(表中「最大板厚」と表記)
3)鋼成形板の重心に最も近い稜線部の板厚(表中「稜線部板厚」と表記)
4)稜線部に隣接する板面のうち板厚が最大となる箇所におけるビッカース硬さ(表中「最大ビッカース硬さ」と表記)。
5)鋼成形板の重心に最も近い稜線部の凸側表面におけるビッカース硬さ(表中「稜線部ビッカース硬さ」と表記)
その結果を表1に示す。
Figure 0007196396000001

上記結果から、実施例1の絞り成形方法により得られた鋼成形板は、比較例1に比べ、稜線部の凸側表面の算術平均表面粗さSaが低く、稜線部の凸部表面の表面荒れの発生が抑制され、稜線部の意匠性に優れた鋼成形板となっていることがわかる。
10 金属成形板
11 金属板
11A 金属板の縁部
11B 金属板の縁部
12 金属成形板の稜線部
14 金属成形板の天板部
14A 稜線部の延在方向に沿った金属成形板の肩部
14B 稜線部の延在方向と交わる金属成形板の肩部
16 金属成形板の縦壁部
16A 稜線部の延在方向に沿った金属成形板の縦壁部
16B 稜線部の延在方向と交わる金属成形板の縦壁部
18 金属成形板のフランジ
18A 稜線部の直交方向上にある金属成形板のフランジ
18B 稜線部の延在方向上にある金属成形板のフランジ
20 絞り成形金型
30 パンチ
32 パンチの稜線部
34 パンチの第一の成形面
36 パンチの第二の成形面
40 ダイ
40A 第一のダイ
40B 第二のダイ
42 第二の成形面
42A ダイの谷線部
42B ダイの第一の成形面
42C ダイの第二の成形面
44 ダイの板押え面
44A ダイの第一の板押え面
44B ダイの第二の板押え面
46A ダイの第一のビード部
46B ダイの第二のビード部
50 ホルダー
50A 第一のホルダー
50B 第二のホルダー
52 ホルダーの板押え面
52A ホルダーの第一の板押え面
52B ホルダーの第二の板押え面
54 ホルダーの開口部
54A ホルダーの第一の凹部
54B ホルダーの第二の凹部

Claims (13)

  1. 膨出部に稜線部を有し、前記稜線部の延在方向に対して直交方向断面の前記稜線部の凹側表面における最小曲率半径が5mm以下、平均ランクフォード値が1.5以上であるフェライト系鋼成形板であって、
    前記膨出部の重心に最も近い前記稜線部の凸側表面の算術平均表面粗さSaが0.9μm以下であり、
    前記稜線部に隣接する板面のうち板厚が最大となる箇所の板厚に対する、前記膨出部の重心に最も近い前記稜線部の板厚比が0.50~0.95であり、
    前記膨出部の重心に最も近い前記稜線部の凸側表面におけるビッカース硬さが、前記稜線部に隣接する板面のうち板厚が最大となる箇所におけるビッカース硬さの1.1~1.8倍であって、
    前記稜線部の凸側表面において、前記稜線部に隣接する板面のうち板厚が最大となる箇所における結晶方位のうち、50%以上の結晶方位が任意の結晶方位±20°以内に配向しているフェライト系鋼成形板。
  2. 前記稜線部が、前記フェライト系鋼成形板の縁から10mm以上離れた箇所に配置されている請求項1に記載のフェライト系鋼成形板。
  3. 前記稜線部に隣接する板面のうち板厚が最大となる箇所における、前記フェライト系鋼成形板の表面に平行な{001}面から20°以内の結晶方位を持つ結晶粒の面積分率が0.25以下、かつ平均結晶粒径が15μm以下である請求項1または請求項2に記載のフェライト系鋼成形板。
  4. 頂面に稜線部を有し、前記稜線部の延在方向に対して直交方向断面の前記稜線部の凸側表面における最小曲率半径が5mm以下であるパンチと、ダイ及びホルダーと、を用いて、平均ランクフォード値が1.5以上であるフェライト系鋼板を絞り成形する絞り成形方法であって、
    前記ダイ及び前記ホルダーにより前記フェライト系鋼板を押さえた状態で、前記パンチにより前記フェライト系鋼板を絞り成形するとき、
    前記稜線部の延在方向中心を通る前記稜線部の延在方向に対する直交方向上にある前記ダイ及び前記ホルダーに押えられた前記フェライト系鋼板が前記ダイの肩部に向かって流入する流入量よりも、前記稜線部の延在方向上ある前記ダイ及び前記ホルダーに押えられた前記フェライト系鋼板が前記ダイの肩部に向かって流入する流入量が小さい絞り成形方法。
  5. 前記フェライト系鋼板における結晶方位のうち、50%以上の結晶方位が任意の結晶方位±20°以内に配向している請求項4に記載の絞り成形方法。
  6. 前記フェライト系鋼板の表面に平行な{001}面から20°以内の結晶方位を持つ結晶粒の面積分率が0.25以下、かつ平均結晶粒径が15μm以下である請求項4または請求項5に記載の絞り成形方法。
  7. 前記ダイが、
    前記稜線部の延在方向上にある第一の板押え面を有する第一のダイと、
    前記第一のダイと分割され、前記稜線部の延在方向中心を通る前記稜線部の延在方向に対する直交方向上にある第二の板押え面を有する第二のダイと、
    を備える請求項4~請求項6のいずれか1項に記載の絞り成形方法。
  8. 前記第二のダイと前記ホルダーとによる前記フェライト系鋼板を押える面圧よりも、前記第一のダイと前記ホルダーとによる前記フェライト系鋼板を押える面圧が大きい請求項7に記載の絞り成形方法。
  9. 前記ホルダーが、
    前記稜線部の延在方向上にある第一の板押え面を有する第一のホルダーと、
    前記第一のホルダーと分割され、前記稜線部の延在方向中心を通る前記稜線部の延在方向上にある第二の板押え面を有する第二のホルダーと、
    を備える請求項4~請求項8のいずれか1項に記載の絞り成形方法。
  10. 前記ダイと前記第二のホルダーとによる前記フェライト系鋼板を押える面圧よりも、前記ダイと前記第一のホルダーとによる前記フェライト系鋼板を押える面圧が大きい請求項9に記載の絞り成形方法。
  11. 前記稜線部の延在方向上にある、前記ダイの板押え面および前記ホルダーの板押え面の一方に設けられた第一のビード部と、
    前記稜線部の延在方向中心を通る前記稜線部の延在方向に対する直交方向上にある、前記ダイの板押え面および前記ホルダーの板押え面の一方に設けられた第二のビード部と、
    を備え、
    前記第二のビード部よりも、前記第一のビード部における前記フェライト系鋼板のビード通過抵抗が大きい請求項4~請求項10のいずれか1項に記載の絞り成形方法。
  12. 前記パンチにおいて、前記稜線部の延在方向中心を通る前記稜線部の延在方向に対する直交方向に沿って測定した前記稜線部の凸側表面の算術表面粗さRaよりも、前記稜線部の延在方向に沿って測定した前記稜線部の凸側表面の算術表面粗さRaが小さい請求項4~請求項11のいずれか1項に記載の絞り成形方法。
  13. 頂面に稜線部を有し、前記稜線部の延在方向に対して直交方向断面の前記稜線部の凸側表面における最小曲率半径が5mm以下であるパンチと、ダイ及びホルダーと、を備える絞り成形金型であって、
    前記パンチにおいて、前記稜線部の延在方向中心を通る前記稜線部の延在方向に対する直交方向に沿って測定した前記稜線部の凸側表面の算術表面粗さRaよりも、前記稜線部の延在方向に沿って測定した前記稜線部の凸側表面の算術表面粗さRaが小さい絞り成形金型。
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