JP2008229073A - 点吊り装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 劇場などにおける舞台上方の簀の子の上に配備されて吊り物の点吊りを可能にする。
【解決手段】 吊り物Mを吊持する動滑車Pに中間部が巻装される牽引体Wの一端を連結させながらその回転時に牽引体Wの送り出しおよび巻き取りを可能にして上記の動滑車Pの昇降を可能にするメインドラム1を有してなる一方で、上記の牽引体Wの他端を連結させながらその回転時に牽引体Wの送り出しおよび巻き取りを可能にするサブドラム2を有してなると共に、このサブドラム2から送り出されるときおよびこのサブドラム2に巻き取られるときにおける牽引体Wの移動速度がメインドラム1から送り出されるときおよびこのメインドラム1に巻き取られるときにおける牽引体Wの移動速度より低速とされてなる。
【選択図】 図1

Description

この発明は、劇場などにおける舞台上方の簀の子上に配備されて舞台上方などに吊り物を吊持する点吊り装置に関する。
近年の劇場などにおける舞台は、多目的に利用できるように、また、舞台上での演出効果を高めるために種々の工夫がなされているが、この種の舞台には、従来から、大道具や音響器具および照明器具などの吊り物を吊持するための吊り物装置が装備されるとしている。
そして、この吊り物装置として、たとえば、特許文献1および特許文献2に開示されているバトン装置があるが、このバトン装置は、舞台上方の天井に近いところに設けられるに格子状の天井の上、すなわち、簀の子の上などに配設されるドラムに巻装されているワイヤなどの牽引体の下端に長尺の棒状体などからなり吊り物を吊持する吊持体たるバトンを有してなるとしている。
このとき、このバトンは、多くの場合に、舞台の幅方向に延在される、すなわち、客席側から観て舞台の左右方向に延在されるとしており、また、舞台の客席側から舞台の奥側にかけて複数列に配設されるとしている。
それゆえ、このバトン装置にあっては、任意のバトンを選択してこれに吊り物を吊持させると共にそのバトンを昇降させることで、舞台の床上にあるいは舞台上方などに所望の吊り物を配置することが可能になる。
特開平9‐239161号公報(図1参照) 特開平11‐90055号公報(図1、図5および図6参照)
しかしながら、上記した吊り物装置としてのバトン装置にあっては、それ自体が原理的に機能するところに問題がある訳ではないが、種々の態様の吊り物を吊持する、すなわち、点吊りするについて、不向きとされる不具合がある。
すなわち、前述したように、近年の劇場などにおける舞台は、多目的に利用でき、また、舞台上での演出効果を高めるために種々の工夫がなされる傾向にあるが、そのため、従来からの言わば大型の吊り物の他に、立体的であったり平面的であったりするが、比較すれば小型となる吊り物を吊持する、すなわち、点吊りすることが要請されるに至っている。
一方、バトン装置にあっては、吊持体たるバトンが長尺に形成されることからして、これが複数本の牽引体で吊持されるとしており、しかも、全部の牽引体が同期して上下動してバトンに傾斜した状態や歪んだ状態での昇降を発現させないように配慮するとしている。
そこで、このバトン装置を利用して上記したいわば小型の吊り物を吊持する、すなわち、点吊りするとなると、凡そ不要となる長さのバトンが、また、これを昇降させるための駆動源などが利用される不経済性があるのはもちろんのこと、他の吊り物を吊持するためのバトン数に不足を来たしたりする不具合が招来されることになる。
この発明は、上記した事情を鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、劇場などにおける舞台上方の簀の子の上に配備されて言わば小型とされる吊り物を点吊りするのに向き、その汎用性の向上を期待するのに最適となる点吊り装置を提供することである。
上記した目的を達成するために、この発明による点吊り装置の構成を、基本的には、吊り物を吊持する動滑車に中間部が巻装される牽引体の一端を連結させながらその回転時に牽引体を送り出しおよび巻き取りして上記の動滑車の昇降を可能にするメインドラムを有してなる一方で、上記の牽引体の他端を連結させながらその回転時に牽引体を送り出しおよび巻き取りするサブドラムを有してなると共に、このサブドラムから送り出されるときおよびこのサブドラムに巻き取られるときにおける牽引体の移動速度をメインドラムから送り出されるときおよびこのメインドラムに巻き取られるときにおける牽引体の移動速度より低速としてなるとする。
そして、より具体的には、サブドラムの回転速度がメインドラムの回転速度より低速とされてなるとし、このとき、好ましくは、メインドラムが減速比を小さくする高速モータを駆動源にすると共に、サブドラムが減速比を大きくする低速モータを駆動源にしてなるとするのが良い。
そしてまた、この点吊り装置にあっては、簀の子上に載置されて人力操作で簀の子上を移動する台車が簀の子上で転動する車輪を枢着させる後端側部にメインドラムを有すると共に人手による把持を可能にするハンドルを連設させる先端側部にサブドラムを有してなるとしても良い。
それゆえ、この発明の点吊り装置にあっては、吊り物を吊持する動滑車に中間部が巻装される牽引体の一端を連結させながらその回転時に牽引体を送り出しおよび巻き取りして上記の動滑車の昇降を可能にするメインドラムを有してなるとするから、動滑車が言わば小型とされる吊り物を吊持するとき、この吊り物についての吊持、すなわち、点吊りが可能になると共に、メインドラムの回転方向を選択することで、吊り物の昇降が可能とされることになる。
そして、この発明の点吊り装置にあっては、上記の牽引体の他端を連結させながらその回転時に牽引体を送り出しおよび巻き取りするサブドラムを有してなるとするから、このサブドラムの回転方向を選択することで、上記した一端がメインドラムに巻装されている牽引体の中間部に動滑車を介して吊持されている吊り物の昇降が可能とされることになる。
したがって、この発明によれば、まず、メインドラムの他にサブドラムを設けることで、メインドラムに吊持されている吊り物をサブドラムによっても吊持し得る、すなわち、メインドラムとサブドラムとで吊り物の荷重を分担し得ることになり、メインドラムあるいはサブドラム単独とされる場合に比較して、それぞれの構成を軽微にし得ることになる。
また、この発明の点吊り装置にあっては、上記のサブドラムから送り出されるときおよびこのサブドラムに巻き取られるときにおける牽引体の移動速度を上記のメインドラムから送り出されるときおよびこのメインドラムに巻き取られるときにおける牽引体の移動速度より低速としてなるとするから、メインドラムおよびサブドラムに対する回転制御によって、吊り物の昇降速度の高低選択が可能になる。
その結果、この発明によれば、たとえば、長いストロークとなる吊り物の昇降は、サブドラムを併用しても良いが、メインドラムの回転に依存させるようにして時間短縮を可能にすると共に、短いストロークとなる吊り物の昇降は、サブドラムの回転に依存させて、吊り物における慣性の軽減を可能にし得ることになり、また、舞台上にある吊り物の吊持を、すなわち、吊り物の吊り込の場合に、低速のサブドラムを利用することで、この吊り物の吊り込み作業を安全に実践し得ることになる。
以下に、図示した実施形態に基づいて、この発明を説明するが、この発明による点吊り装置は、基本的には、原理図たる図1に示すように、吊り物Mを吊持する動滑車Pに中間部が巻装される牽引体Wの一端を連結させながらその回転時に牽引体Wを送り出しおよび巻き取りして上記の動滑車Pの昇降を可能にするメインドラム1を有してなる。
このとき、吊り物Mは、多くの場合に小型に形成されているであろうが、大型であっても重量を小さくしたり、また、平面的に形成されていたり、立体的に形成されていたりするもので、具体的には、たとえば、紙材や板材で形成される張り子の釣鐘や、同じく紙材や板材で形成されて背景を形成する雲形、あるいは、スピーカー、さらには、背景そのものを描いたいわゆる大道具と称される背景板などが相当する。
そして、このような吊り物Mを吊持するように構成されるこの点吊り装置にあっては、吊り物Mを吊持したことによって、動滑車Pや牽引体W、さらには、各ドラム1,2などの構成各部がいたずらに変形したり破損したりしないように所定の機械的強度を有するように形成されるのはもちろんである。
ちなみに、牽引体Wは、この種の吊り物装置においてそうであるように、多くの場合に、ワイヤロープからなるとしており、要する場合には、チェーンからなり、また、このチェーンは、ワイヤロープと併用されることもある。
それゆえ、この発明にあっては、動滑車Pが言わば小型とされたりいわゆる単体とされたりする吊り物Mを吊持するとき、この吊り物Mの吊持たる点吊りが可能になると共に、メインドラム1の回転方向を選択することで、吊り物Mの昇降を可能にし得ることになる。
一方、この発明による点吊り装置は、同じく図1に示すように、上記の牽引体Wの他端を連結させながらその回転時に牽引体Wを送り出しおよび巻き取りするサブドラム2を有してなるとしている。
そして、この点吊り装置にあって、上記のサブドラム2から送り出されるときおよびこのサブドラム2に巻き取られるときにおける牽引体Wの移動速度は、上記したメインドラム1から送り出されるときおよびこのメインドラム1に巻き取られるときにおける牽引体Wの移動速度より低速になるように設定されてなるとしている。
ところで、牽引体Wの移動速度をメインドラム1側に対してサブドラム2側で低速にするのがこの発明の特徴であるが、これを具現化する方策としては、種々の選択肢があるが、図示するところでは、メインドラム1が減速比を小さくする高速モータを利用することで牽引体Wの移動速度を高速にするとし、サブドラム2が減速比を大きくする低速モータを利用することで牽引体Wの移動速度を低速にするとしている。
このように設定することで、図示しないが、メインドラム1における回転の制御とサブドラム2における回転の制御をそれぞれのスイッチによるとすることが可能になり、その結果、単一のスイッチで言わばメインとサブの二つのドラムにおける回転を制御する場合に比較して制御およびその操作が簡単になり、複雑なシステムの利用も要しないことから、この点吊り装置における製品コストの大幅な低減が可能になる。
なお、上記したメインドラム1およびサブドラム2は、後で説明する図2に示すように、舞台上方の天井に近いところに設けられるに格子状の天井の上、すなわち、簀の子Rの上に配備されると共に、それぞれの駆動源11,21が連設されてなるとしている。
そして、このとき、駆動源11,21として、騒音発生の危惧がない電動モータが選択される場合には、図示しないが、駆動源11は、減速費を小さくする高速モータとされ、駆動源21は、減速比を大きくする低速モータとされ、また、各モータには電源ケーブルが連結されていて、この電源ケーブルが簀の子Rのいわゆる端などに設けられる電源に接続されて、所定の電圧を供給するように設定されるであろう。
また、この点吊り装置にあって、駆動源11,21たる各モータの駆動を簀の子R上に居る裏方の操作によるとしても良いが、多くの場合に、簀の子R上から戻るなどして舞台上に居る裏方がする操作で駆動されるとするであろう。
以上のように、この発明の点吊り装置において、まず、メインドラム1の他にサブドラム2を設けることで、メインドラム1に吊持されている吊り物Mをこのサブドラム2によっても吊持し得ることになり、その限りには、メインドラム1とサブドラム2とで吊り物Mの荷重を分担し得ることになる。
その結果、単一とされるメインドラム1だけで吊り物Mを吊持する設定の場合のメインドラム1を回転させる駆動源11の規模に比較してサブドラム2と協働で吊り物Mを吊持する設定の場合のメインドラム1を回転させる駆動源11の規模をより小型にするなど軽微にし得ることになる。
また、この点吊り装置において、メインドラム1の他に牽引体Wの移動速度をメインドラム1側より低くするサブドラム2を設けることで、サブドラム2によるときにはメインドラム1で吊り物Mを昇降させる場合よりも低速で吊り物Mを昇降させることが可能になる。
その結果、言わば高速で吊り物Mを昇降させる場合にはメインドラム1によるとし、言わば低速で吊り物Mを昇降させる場合にはサブドラムによるとするいわゆる使い分けを可能にし得ることになる。
すなわち、たとえば、メインドラム1の利用で言わば高速で下降している吊り物Mを所定の高さ位置で停止させる場合に比較して、所定位置に至る前に吊り物Mの下降速度をサブドラム2に依存させるとすることで、所定位置で停止される吊り物Mにおける慣性を軽減し得ることになる。
また、たとえば、舞台上にある吊り物Mの吊持を、すなわち、吊り物Mの吊り込みの場合に、低速のサブドラム2を利用することで、この点吊り物Mの吊り込み作業を安全に実践し得ることになる。
また、この点吊り装置にあっては、積極的には考え難いことであるかも知れないが、二つのドラムを有する構成とするから、仮に、一方のドラムが故障して稼働しなくなることがあるとしても、他方のドラムの緊急避難的な稼働が可能なる利点がある。
のみならず、この点吊り装置にあっては、吊り物Mの昇降速度を、すなわち、牽引体Wの移動速度を高低調整するについて、メインドラム1を回転させるかサブドラム2を回転させるかを単に選択すれば足りることになり、熟練が要求されない利点がある。
図2および図3は、この発明による点吊り装置を具体化した一実施形態を示すものであるが、以下にはこれについて少し説明する。
すなわち、この発明による点吊り装置は、簀の子R(図3参照)上に載置されて人力操作で簀の子R上を移動する台車3が簀の子R上で転動する車輪4を枢着させる後端側部にメインドラム1を有すると共に人手による把持を可能にするハンドル5を連設させる先端側部にサブドラム2を有してなるとしている。
台車3は、いわゆるシャシー構造に形成されてなるとするもので、後端側部に平板からなる台部31を有していて、この台部31上にメインドラム1を有すると共に、この台部31の両側部に車輪4を有するとしている。
そして、このとき、メインドラム1には駆動源11としても電動モータが一体的に連設されてなるとしており、この電動モータが台部31に設置されることでメインドラム1の回転が保障されるとしている。
また、車輪4は、図示する点吊り装置が人力によって移動されるとしていることから、いわゆる従動輪とされているが、いわゆるアシスト機能を有する車輪とされても良いことはもちろんである。
一方、この台車3にあっては、先端側部に二枚板からなるブラケット32を有していて、このブラケット32の内側に方向転換用の固定滑車33を枢支させると共に、このブラケット32に連設される台部34上にサブドラム2有するととしている。
そして、このサブドラム2にあっても駆動源21としての電動モータが一体的に連設されてなるとしており、この電動モータが上記の第部34に連設されることでサブドラム2の回転が保障されるとしている。
また、この台車3にあって、上記のブラケット31にはハンドル5が連設されていて、このハンドル5を裏方などと称される作業者が把持して先端側部を持ち上げるようにするとき、上記の車輪4によるこの台車3の移動が可能とされるとしている。
ちなみに、台車3にあって、後端側部の台部31と先端側部のブラケット32とを連結する部位は、適宜の長さを有する桁材からなる桁部35とされていて、この桁部35を設けることで、この台車3における自重を保障して、簀の子R上への設置の際の安定性を得易いようにしている。
また、一端がメインドラム1に連結されている牽引体Wは、固定滑車33に巻装されて下方に垂下され、この図2および図3には図示しないが、吊り物Mを吊持するフックFを有する動滑車Pに巻装されて他端をサブドラム2に連結させるとしている(図1参照)のはもちろんである。
それゆえ、以上のように形成された点吊り装置にあっては、簀の子R上で裏方が所定の位置にこの点吊り装置を移動することで、また、所定の操作が実践されることで、吊り物Mの点吊りが可能とされることになる。
そして、この点吊り装置が簀の子R上に複数配備されることで、その選択された利用が可能になると共に、複数の吊り物Mをいわゆる同時に点吊りすることが可能になる。
この発明による点吊り装置を原理的に示す概略斜視図である。 この発明による点吊り装置の一実施形態を示す平面図である。 図2の点吊り装置の側面図である。
符号の説明
1 メインドラム
2 サブドラム
3 台車
4 車輪
5 ハンドル
11,21 駆動源
M 吊り物
P 動滑車
R 簀の子
W 牽引体

Claims (4)

  1. 吊り物を吊持する動滑車に中間部が巻装される牽引体の一端を連結させながらその回転時に牽引体を送り出しおよび巻き取りして上記の動滑車の昇降を可能にするメインドラムを有してなる一方で、上記の牽引体の他端を連結させながらその回転時に牽引体を送り出しおよび巻き取りするサブドラムを有してなると共に、このサブドラムから送り出されるときおよびこのサブドラムに巻き取られるときにおける牽引体の移動速度をメインドラムから送り出されるときおよびこのメインドラムに巻き取られるときにおける牽引体の移動速度より低速としてなることを特徴とする点吊り装置。
  2. サブドラムの回転速度がメインドラムの回転速度より低速とされてなる請求項1に記載の点吊り装置。
  3. メインドラムが減速比を小さくする高速モータを駆動源にすると共に、サブドラムが減速比を大きくする低速モータを駆動源にしてなる請求項1に記載の点吊り装置。
  4. 簀の子上に載置されて人力操作で簀の子上を移動する台車が簀の子上で転動する車輪を枢着させる後端側部にメインドラムを有すると共に人手による把持を可能にするハンドルを連設させる先端側部にサブドラムを有してなる請求項1に記載の点吊り装置。
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