JP2008225279A - 周期分極反転構造の製造方法 - Google Patents

周期分極反転構造の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】単分域化している強誘電体単結晶基板に電圧印加法によって周期分極反転部を形成するのに際して、分極反転に必要な電圧を低くする。
【解決手段】支持基板4、強誘電体単結晶からなる被処理基板7、被処理基板7の表面7a上に設けられている周期電極11、被処理基板7の背面7b側に設けられている一様電極3A、および被処理基板7と支持基板4とを一様電極を介して接着する接着層5を備えている被処理部品21を使用する。周期電極11と一様電極2Aとの間に電圧を印加することによって被処理基板7に周期分極反転構造22を形成する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、周期分極反転構造の製造方法に関するものである。
強誘電体の分極を強制的に反転させる分極反転構造を周期的に形成することで、表面弾性波を利用した光周波数変調器や、非線型分極の分極反転を利用した光波長変換素子などを実現することができる。特に、非線型光学材料の非線型分極を周期的に反転することが可能となれば、高効率な波長変換素子を作製することができ、これを用いて固体レーザなどの光を変換すれば、印刷、光情報処理、光応用計測制御などの分野に応用できる小型軽量の短波長光源を構成することができる。
強誘電体非線型光学材料に周期状の分極反転構造を形成する手法としては、いわゆる電圧印加法が知られている。この方法では、強誘電体単結晶の基板の一方の主面に周期電極を形成し、他方の主面に一様電極を形成し、両者の間にパルス電圧を印加する。こうした方法は、特許文献1、非特許文献1に記載されている。
特開平8−220578 応用物理学会結晶工学分科会第109回研究会テキスト 「酸化物結晶の導波型光波長変換デバイスへの応用」 栖原 敏明
ニオブ酸リチウム単結晶などの非線型光学材料から第二高調波を発生させるためには、単結晶に周期状の分極反転を形成する必要がある。ノンドープのニオブ酸リチウムに関しては基板の上面に櫛型の電極を周期状に配列し、下面側に一様な電極を形成し、抗電界以上となるように電圧を供給すれば、分極反転構造を得ることができる。しかしながらMgOが添加されたニオブ酸リチウムの場合には、上記と同じような方法で電圧を印加しても、櫛型電極の一部で周期状分極反転構造が得られたものの、他の領域では形成されないことがあり、周期電極の全体にわたって良好な周期状分極反転部を形成することが難しかった。
この問題を解決するため、本出願人は、特許文献2において、第一の導電膜および第二の導電膜を有する下地基板を、強誘電体単結晶基板と積層し、下地基板および強誘電体単結晶基板の全体に電圧を印加することを開示した。
WO 2005/ 019921
しかし、これらの方法では、反転電圧は、例えばMgOドープニオブ酸リチウム基板に周期分極反転構造を形成する場合、室温で2kV 以上の電圧が必要であり、印加時のダメージが基板表面に発生する傾向があった。電圧印加時の環境温度を上げることによって、分極反転に必要な電圧を低くすることはできる。しかし、この場合には、焦電のために表面に異常反転が発生しやすくなり、やはり不良品の発生を招き、これによって歩留り低下を生じさせる可能性があった。
本発明の課題は、単分域化している強誘電体単結晶基板に電圧印加法によって周期分極反転部を形成するのに際して、分極反転に必要な電圧を低くすることである。
本発明は、支持基板、
強誘電体単結晶からなる被処理基板、
被処理基板の表面上に設けられている周期電極、
被処理基板の背面側に設けられている一様電極、および
被処理基板と支持基板とを一様電極を介して接着する接着層を備えている被処理部品を使用し、
周期電極と前記一様電極との間に電圧を印加することによって被処理基板に周期分極反転構造を形成することを特徴とする、周期分極反転構造の製造方法に係るものである。
本発明者は、電圧印加法を適用する被処理基板を、別体の支持基板に対して接着し、この状態で周期電極と一様電極との間に電圧を印加することによって被処理基板に周期分極反転構造を形成する。したがって、被処理基板を薄くすることで、分極反転の形成に必要な印加電圧を著しく低下させることが可能である。これとともに、被処理基板を別体の支持基板に対して接着することで、被処理基板の割れやクラックを防止することができる。被処理基板を単独で十分に薄くした場合には、被処理基板が割れやすく、電圧印加法による周期分極反転構造の形成は不可能であった。この結果、従来の電圧印加法に比べて、著しく低い温度で周期分極反転構造を形成することに成功し、本発明に到達した。
以下、図面を適宜参照しつつ、本発明をさらに詳細に説明する。
図1は、従来法を説明するための模式図である。強誘電体単結晶からなる被処理基板21の表面21aには、ストライプ状の絶縁体23、および絶縁体23と表面21aとを被覆する導電膜24が形成されており、導電膜24が周期電極を形成している。また、被処理基板21の背面21b側に一様電極22が形成されている。電極24と一様電極22との間に電源15から所定のパルス電圧を印加し、周期分極反転構造25を形成する。
しかし、この方法では、被処理基板21にはある程度の厚さが必要である。本発明者の検討によると、例えば被処理基板21がニオブ酸リチウム単結晶からなる場合には、被処理基板の厚さが500μm程度であると分極反転構造が形成できるが、厚さが300μm以下になると、被処理基板の割れやクラックが生じ、周期分極反転構造を形成できなかった。
図2〜図8は、本発明の実施形態に係るものである。
図2に示すように、強誘電体単結晶からなる基体1を準備する。この基体1には凹部1aを形成する。そして、基体1の表面1b上に、バッファ層2および一様電極3を順次形成する。一様電極3およびバッファ層2は、凹部1aの壁面も被覆している。
次いで、図3に示すように、基体1を支持基板4の表面4a上に接着層5を介して接着する。この時点では、凹部6が支持基板4の表面4aと対向するようにする。次いで、基体1の凹部と反対側の表面1cを加工することによって、基体1の厚さを小さくしていく。この薄板化加工の過程で、凹部6は表面1cに対して貫通し、図4に示す状態となる。
すなわち、図4においては、基体の加工によって薄い基板7、8が形成されており、基板7と8とは凹部9によって分離されている。基板7の表面7aは加工面であり、背面7bは、バッファ2A、一様電極3Aおよび接着層5を介して支持基板4に対して接着されている。バッファ層2Aおよび一様電極3Aは、基板7の側面7cを被覆するように延びており、基板7の表面7aに各端面が出ている。基板8の背面および側面もバッファ層2Bおよび導電膜3Bによって被覆されている。
この段階で、基板7の表面7a側に周期電極を形成する。この周期電極の形態は特に限定されず、例えば梯子電極、波板電極、液体電極であってよい。好ましくは、図5に示すように、絶縁体からなるストライプ状の膜10を所定間隔で周期的に形成し、絶縁体10および表面7aを被覆するように導電膜11を設ける。導電膜11は、周期的に設置された絶縁体10によって表面7aから絶縁されるので、周期電極20を形成する。またリード膜12が凹部9を被覆するように形成されている。リード膜12の基板7側の末端は一様電極2Aの末端に電気的に接続されている。リード膜12の基板8側の端部は基板8の表面を被覆する。
この状態で、図6に示すように、電源15の一方の極をリード膜12に接続し、他方の極を電極11に対して接続する。そして被処理基板21に所定のパルス電圧を印加する。このとき、絶縁体10の直下では分極反転が起こらず、電極11と基板7との接触部分から分極反転部16が下へ向かって延びる。この結果、周期分極反転構造22が形成される。
次いで、リード膜12、電極11および絶縁体10を除去する。次いで、図7に示すように、必要に応じて所定のバッファ層18を形成する。あるいは、電極11および絶縁体10を除去した後に、基板7を更に研磨加工し、一層薄くすることによって、スラブ光導波路7Aを形成することもできる。次いで、基板7(7A)の端部および支持基板4を切断し、不要な基板8を除去し、図8の状態とする。
被処理基板を構成する強誘電体単結晶の種類は限定されない。しかし、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)、ニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体、KLiNb15の各単結晶が特に好ましい。
強誘電体単結晶中には、三次元光導波路の耐光損傷性を更に向上させるために、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、スカンジウム(Sc)及びインジウム(In)からなる群より選ばれる1種以上の金属元素を含有させることができ、マグネシウムが特に好ましい。分極反転特性(条件)が明確であるとの観点からは、ニオブ酸リチウム単結晶、ニオブ酸リチウムータンタル酸リチウム固溶体単結晶、タンタル酸リチウム単結晶にそれぞれマグネシウムを添加したものが特に好ましい。また、強誘電体単結晶中には、ドープ成分として、希土類元素を含有させることができる。この希土類元素は、レーザー発振用の添加元素として作用する。この希土類元素としては、特にNd、Er、Tm、Ho、Dy、Prが好ましい。
被処理基板としては、いわゆるZカット基板,オフカットX板、オフカットY板を使用することが特に好適である。
電圧印加法において使用する周期電極、一様電極の材質は限定されないが、Al、Au、Ag、Cr、Cu、Ni、Ni-Cr 、Pd、Taが好ましい。
電圧印加に使用する一様電極、周期電極の材質は、限定されないが、Al、Au、Ag、Cr、Cu、Ni、Ni-Cr、Pd、Taが好ましい。また、絶縁体10の材質は、SiO2、Ta2O5、Al2O3、Si3N4、有機レジストを例示できる。
支持基板の材質は、絶縁性が高く、材質内の体積抵抗率が均一で、所定の構造強度を有していることが必要である。この材質としては、シリコン、サファイア、水晶、ガラスを例示できる。
前記バッファ層(クラッド層)の材質はSiO2、Ta2O5 、Nb2O5 、Al2O3を例示できる。
好適な実施形態においては、前記被処理部品が、一様電極と電気的に接続されているリード膜を備えており、リード膜と周期電極との間に電圧を印加する。こうしたリード膜の材質や形成方法は常法を適用できる。
好適な実施形態においては、基板の側面に沿って一様電極が延びており、一様電極がリード膜と基板の側面で電気的に接続されている。
また、好適な実施形態においては、強誘電体単結晶からなる基体に一様電極を設け、この基体を支持基板に接着し、次いで基体を一様電極と反対側の表面から加工して除去することによって基体を薄くし、基板を作製する。こうした方法であれば、最初から薄い基板を単独でハンドリングする必要がなく、基板の割れやクラックを防止できる。
この際、基体の一様電極側に凹部を形成し、基体を薄くすることによって凹部を基体の表面に対して貫通させることが好ましい。これによって、凹部に基板の側面が露出するので、側面上にリード膜を設けることで容易に電気的導通を図ることができる。
周期分極反転構造を形成するための基板の厚さは限定されないが、印加電圧を低くするため、100 μm以下が好ましく、80μm以下が更に好ましく、40μm以下が最も好ましい。また、この下限は特にないが、実際上は 10μm以上とすることが好ましい。
印加電圧の大きさは限定されないが、本発明の観点からは、0.5 kV以下が好ましく、0.2 kV以下が更に好ましい。印加電圧の下限は特にないが、周期分極反転構造を形成するには0.05kV以上が好ましい。印加電圧のパルス周波数は1Hz〜10000Hzが好ましい。
前記のような電圧印加法を実施するのに際しては、被処理部品の全体を絶縁オイル中に浸漬することが好ましい。こうした絶縁オイルとしては、通常使用されている絶縁オイル、例えばシリコンオイル、フッ素系不活性液体を例示できる。
本発明によって形成された周期状分極反転部は、このような分極反転部を有する任意の光学デバイスに対して適用できる。このような光学デバイスは、例えば、第二高調波発生素子等の高調波発生素子を含む。第二高調波発生素子として使用した場合には、高調波の波長は330−1600nmが好ましい。
図2〜図8を参照しつつ説明した前記方法に従い、周期分極反転構造を形成した。具体的には、図2に示すように、厚さ0.5mm のMgO5%ドープニオブ酸リチウムのZ カット基体1の-Z面1bに、直径1mm 、深さ120um の凹部1aをエキシマレーザーアブレーション法によって形成した。その-Z面1bに、厚さ5000オングストロームのSiO2クラッド(バッファ)層2を成膜した後、SiO2層上にTa電極3を厚さ1000オングストローム成膜した。
図3に示すように、上記基体1を、厚さ0.5mm
のニオブ酸リチウムのZ カット基板4上に接着剤5により貼り合わせた。次いで、基体1の+Z 面1c側を厚さ100 μmになるまで研磨した。これにより、図4に示すように、最初に形成した凹部6が貫通し、露出凹部9が形成された。
基板7の研磨した+Z 面7a上に、周期7 μmの櫛状SiO絶縁体のパターン10をフォトリソグラフィ法によって形成した。そのSiO2パターン10上に、厚さ1000オングストロームのTa電極膜11を形成したのち、0.2kV の電圧を印加し、周期分極反転構造22を形成した。周期分極反転構造22を形成した後、+Z 面7a側をさらに厚さ10umまで研磨し、スラブ光導波路7Aを形成した(図7)。その後、表面に厚さ0.6um のSiO2クラッド18をスパッタ法によって形成した。上記スラブ光導波路基板をダイサーで切断し、長さ5mm 、幅2mm の素子を得た(図8)。素子の両端を端面研磨した。その後、両端に反射防止膜を施した。
この導波路において波長1064nmの固体レーザーを使用して光学特性を測定した。レーザーからの発振出力を5W に調整し、その基本光をレンズで導波路端面に集光した結果、ほぼ100%が導波路に結合できた。導波路基板を温度によって位相整合させた結果、最高2W のSHG 出力が得られた。
分極反転が形成されているのかどうかを確認するため、弗硝酸混合液(弗酸:硝酸=1:2 )で基板7をウェットエッチングした。図9に、ウェハ表面の+z面の観察写真を示す。周期7μmに対応した周期状分極反転構造が一様に得られていることが確認でき、本作製方法が有用であることがわかる。
従来の電圧印加法を説明するための模式図である。 基体1に凹部1a、バッファ層2および一様電極3を形成した状態を示す断面図である。 基体1を支持基板4に接着した状態を示す断面図である。 基体1を加工し、薄い基板7、8を形成した状態を示す断面図である。 基板7上に絶縁体10および電極11を形成した状態を示す断面図である。 周期分極反転構造22を形成している状態を示す断面図である。 図6から絶縁体10および電極11を除去した状態を示す断面図である。 図7の素子から更に不要な部分を除去した状態を示す断面図である。 ウェハ表面の+z面を示す顕微鏡写真である。
符号の説明
1 基体 1a 凹部 2、2A バッファ層 3、3A 一様電極 4 支持基板 5 接着層 6 閉塞した凹部 7 基板 7a 基板7の表面 7b 基板7の背面 10 絶縁体 11 導電膜 20 周期電極 21 被処理部品 22 周期電極

Claims (6)

  1. 支持基板、
    強誘電体単結晶からなる被処理基板、
    前記被処理基板の表面上に設けられている周期電極、
    前記被処理基板の背面側に設けられている一様電極、および
    前記被処理基板と前記支持基板とを前記一様電極を介して接着する接着層を備えている被処理部品を使用し、
    前記周期電極と前記一様電極との間に電圧を印加することによって前記被処理基板に周期分極反転構造を形成することを特徴とする、周期分極反転構造の製造方法。
  2. 前記一様電極と前記接着層との間にバッファ層が設けられていることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 前記被処理部品が、前記一様電極と電気的に接続されているリード膜を備えており、前記リード膜と前記周期電極との間に前記電圧を印加することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
  4. 前記被処理基板の側面に沿って前記一様電極が延びており、この一様電極が前記被処理基板の側面で前記リード膜と電気的に接続されていることを特徴とする、請求項3記載の方法。
  5. 前記強誘電体単結晶からなる基体、
    前記基体上に設けられている一様電極、および
    前記支持基板と前記基体とを前記一様電極を介して接着する前記接着層を備えている部品を使用し、
    前記基体を前記一様電極と反対側の表面から加工することによって前記基体を薄くし、前記被処理基板を作製することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載の方法。
  6. 前記基体の前記一様電極側に凹部が形成されており、前記基体を薄くすることによって前記凹部を前記被処理基板の表面に対して貫通させることを特徴とする、請求項5記載の方法。
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