JP2008224631A - 鉄道レール締結ボルト緩み検査装置 - Google Patents
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【解決手段】 ラインセンサ1がレール踏面41とレールを挟んだ1対の締結ボルトの頂面42が視野に入るように配置され、複数のスポットレーザ投光器2とラインセンサ1の検出軸とがひとつの平面内に来るように、かつスポットレーザのひとつがレール踏面で反射し、他のスポットレーザは測定時に1対の締結ボルトのそれぞれの頂面で少なくともひとつは反射するような位置に配置される。スポットレーザ投光器2を順次切り換えて励起し、点灯切り換えごとにラインセンサ1から得られるレーザ光反射位置に基づき、締結ボルトの頂面42の高さから締結ボルトの緩みを検出する。
【選択図】 図1
Description
締結ボルトの緩み検査は、通常列車運行が少ない夜間に目視やハンマ打撃音の観察により行われるため、多数の熟練保守作業員が必要であり、また人力によるため見落とす可能性があった。
軌道確認車に鉄道レール締結ボルト緩み検査装置を搭載して、ボルト緩みを監視できれば便利である。また、自動的な検査装置を用いて日頃からレールの状態を把握しておけば、予防保全にも役立つ。
特許文献1に開示されたレール締結ボルト緩み検知装置は、レーザ式変位計によってレール頭頂面までの距離を測定するレールセンサーとレーザ式変位計によってレールを挟んだ締結ボルトの頭部までの距離を測定する1対のボルトセンサーとを配置し、ボルトセンサーとレールセンサーの測定値の差からボルトの緩みを検知するものである。緩みを発見した場合は、直近の機会に増し締めをするなど保全作業に反映して対処することができる。
特許文献1の発明は、ボルト頭部の高さをレール頭頂部を基準として算定することによって、正確にボルトの緩みを評価しようとしたものである。
このような変動や偏差に対応できるセンサとして、レーザを機械的にスキャンする方法や、スリット光による光切断計測で広範囲に監視する方法が考えられるが、これらの方法では情報処理が複雑になるため高速走行中に計測を完了させる簡便な装置を得ることができない。
ラインセンサの映像中の反射位置とスポットレーザの照射方向に基づき、三角測量の原理を用いて反射面の高さを求めることができる。車両が上下動することによりラインセンサと反射面の距離が変化して測定値が変化するが、レール踏面の高さを基準として反射面の高さを求めることにより、車両の上下動の影響を除去した絶対的な値を得ることができる。
スポットレーザ投光器の位置とスポットレーザ反射位置から三角測量の要領で、レール踏面の高さとボルト頂面の高さを算定する。レール踏面高さを基準としてボルト頂面の高さとの差を算出すると、車両が上下動していても締結ボルトの頭部高さを正確に得ることができる。この値に基づいて、ボルトの緩みを評価する。
そこで、本発明では、レーザ点灯回路でスポットレーザ投光器を順次切り換えて点灯することにより、映像中に現れるレーザスポットを制限する。また、点灯タイミングと同期してラインセンサの映像出力を取得することにより、点灯した投光器によるレーザ光反射位置だけしか写っていない画像を得ることができる。点灯タイミングを参照すれば、取得した画像中のレーザスポットを照射したスポットレーザ投光器を特定することができる。
レール踏面にレーザ投射する投光器を点灯するときは、レール踏面用の投光器のみを点灯しても良いし、特定のボルト用投光器と一緒に点灯しても良い。いずれの場合も、反射スポット光の数が異なることから、このタイミングを判定することができる。
なお、ボルト用の投光器では、レールを挟んで配置される2つのボルトの間で混同を起こすおそれが少ないので、1個の点灯タイミングでレールを挟んだ2個ずつの投光器を点灯させることができる。
レールの近傍には通常締結ボルト以上の高さを持つものは存在しない。したがって、簡単には、検出された測定値のうちの最大値によってボルト頂面高さと判断することができる。
なお、点灯指令パルスの間隔は、スポットレーザ投光器点灯、ラインセンサ画像取得、画像解析、判定の工程を含めて、約30kHzとすることができる。このパルスレートでは、110km/hrの車速において、1mm間隔で測定ができる。ボルト用スポットレーザ投光器をレールを挟んで3個ずつ設けて順次点灯する構成では、3mm間隔で高さデータを収集することになる。
なお、本発明の鉄道レール締結ボルト緩み検査装置は、レール毎に必要なため車両の両側にそれぞれ設けて使用する。
図1は本実施例の鉄道レール締結ボルト緩み検査装置のセンサ部分のブロック図、図2は本実施例の鉄道レール締結ボルト緩み検査装置の測定回路部分のブロック図、図3は検査装置のセンサ部分の底面図、図4は本実施例の頂面高さ測定原理を説明する線図、図5は本実施例における点灯スケジュールの例を示す表、図6は測定時の信号変化を示すタイムチャート、図7は本実施例における点灯スケジュールの別の例を示す表である。
本実施例の鉄道レール締結ボルト緩み検査装置は、図1に示す、板バネの中央部を締結ボルトで枕木上に圧着し、板バネの先端部でレールの基部を押さえ込むようにしたレール締結装置を対象として、締結ボルトの緩みを検出する装置である。
保護筐体3の中央に配置された1個のラインセンサ1で全ての反射光を観測するため、スポットレーザ投光器2はラインセンサ1のセンサ軸上に並ぶように配設される。また、スポットレーザ投光器2は、レーザ光線が内側に傾くように斜めに設置される。
レールは、図に示すように、枕木43の上に締結ボルトで圧着される板バネ44の先端部で基部を押さえることにより固定されている。
スポットレーザ投光器2には、レール踏面41を照射するレール用投光器L0と、締結ボルト頂面42を照射するためのボルト用投光器L1,L2,・・・,L6がある。ボルト用投光器は、レールを挟んで対照的に配置される2群に分かれ、たとえば図に示すように、それぞれ3個の投光器L1,L2,L3;L4,L5,L6が用いられる。
そこで、軌道確認車搭載用の鉄道レール締結ボルト緩み検査装置では、互いに平行な光路を持つスポットレーザ投光器を水平方向に約30mmずつずらして配置するようにしてある。
スポットレーザ投光器2の先端Lから放射されるスポットレーザは、物の表面に当たって反射する。スポットレーザの照射点Rで反射した光はラインセンサ1の光学中心Cを通過してCCDセンサ11に捕捉され、反射光の入射角によって決まる位置にある光学セルDに光が蓄積される。なお、スポットレーザ投光器2はCCDセンサ11の光学軸の方向に配置されるものとする。図では、ラインセンサSの内部にあるCCDセンサ11を物体の外側の対応位置に等価的に拡大した写像12として表示した。
たとえば、図4に示したように、スポットレーザが枕木表面45に当たっているときの反射位置Rが投影する光学セルDに対して、光路中に締結ボルトが入って締結ボルト頂面42にできた反射点R’の投影される光学セルD’はより外側に寄ることになる。
反射点Rまでの距離Hと光学セルDの位置の関係は、演算によって求めることができるが、スポットレーザ投光器2の設置位置やレーザ光投射方向によっても変化しまた複雑な演算が必要なので、各スポットレーザ投光器毎に実地に試験することによりキャリブレーションして決定しておいてもよい。
こうして反射点Rまでの距離Hを知ると、レール踏面41までの距離との差Δhを求めることにより反射点Rの絶対的な高さを算出することができる。
レール踏面41に照射するスポットレーザは3個のスポットレーザ投光器2を1巡するたびに1回点灯してレール踏面41までの距離を測定し、締結ボルト頂面42の高さを算定するときの基準とする。
第1のフレームはレールの測定Cを行うフレームで、レール用投光器L0を点灯してレール踏面41における反射点が写り込んだCCDセル位置情報に基づいてラインセンサ1からレール踏面41までの距離を求める。
フレームはラインセンサ1の駆動パルスPにより規定される。
第3のフレームでは、同じく2番目のボルト用投光器L2,L5を点灯して、反射点までの距離を求め、レール踏面を基準とした反射点の高さを算定する。また第4のフレームでは、最後のボルト用投光器L3,L4により、その反射点までの距離を求め、レール踏面を基準とした反射点の高さを算定する。
第4フレームで、再び初めに戻り、レール用投光器L0を点灯してレール踏面までの距離を求める。
以下、同じ工程を繰り返して、締結装置がある位置における反射点高さを測定する。
さらに、得られたボルト頂面高さデータに基づき、通常値と比較して予め定めた基準値(たとえば、5mm)より高くなっているボルトが見つかったときに、このボルトに緩みが生じたと判断してボルトの位置情報と一緒に報知する。
位置情報は、軌道確認車の車輪に設置されたキロ程測定器を利用して得ることができる。
保全作業員は、緩みの生じたボルトの位置情報を得て早期に増し締めなどの措置をとることにより予防保全をすることができる。
また、新幹線の枕木はほぼ600mmごとに設けられていて、レール締結ボルトも枕木毎にしか存在しないが、通常、レールの近傍にはレール締結ボルト以外に背の高い物体が存在しないので、検出された反射光の最も高い位置がボルト頂面の位置であると判断しても問題がない。
点灯制御器52は、所定の点灯シーケンスにしたがって多数の投光器2に順番に電源を供給する。図1で例示したセンサ部分には、7個のスポットレーザ投光器が設けられているが、レール踏面41を照射するものとボルト頂面42の高さ検出用のもののそれぞれが正しく機能するように、シーケンスが決められる。
画像取得回路53の出力は判定回路54に入力される。判定回路54は、対応表記憶装置55に予め記憶したセル位置反射面高さ対応表を参照し、反射光を検出したセルの位置に基づいて、レール踏面41とレールを挟んだ2つの領域の反射点位置のセンサ部分から測った距離を算出し、レール踏面41までの距離とレール締結ボルトの頂面42までの距離の差から締結ボルトの高さを算定する。さらに、計測されたボルト頂面42の高さに基づいて締結ボルトの緩みの有無を判定する。
判定回路54では、緩みを生じた締結ボルトの位置を走行距離によって特定して表示することができる。
11 CCD画素
12 CCD画素写像
2 スポットレーザ投光器
3 保護筐体
31 複層ガラス
41 レール踏面
42 締結ボルト頂面
43 枕木
44 板バネ
45 枕木上面
51 パルス発生器
52 点灯制御回路
53 画像取得回路
54 判定回路
55 対応表記憶装置
56 回転検出器
57 カウンタ
58 外部記憶装置
Claims (4)
- ラインセンサと複数のレーザスポット投光器とレーザ点灯回路と画像入力回路と判定回路を備えた鉄道レール締結ボルト緩み検知装置であって、前記ラインセンサはレール踏面と該レールを挟んだ1対の締結ボルトの頂面が視野に入るように配置され、前記複数のレーザスポット投光器と前記ラインセンサの検出軸は一平面内に配置され、前記レーザスポット投光器の少なくともひとつは放射レーザ光が前記レール踏面で反射する位置に配置され、他のレーザスポット投光器は測定時に前記1対それぞれの締結ボルトの頂面で放射レーザ光が少なくともひとつは反射するような位置に配置され、前記レーザ点灯回路が前記レーザスポット投光器を順次切り換えて励起し、前記画像入力回路が前記レーザ点灯切り換えごとに前記ラインセンサからレーザ光反射位置を示す画像を入力して、前記判定回路が前記レーザ光反射位置に基づき求めた前記締結ボルトの頂面の高さおよびレール踏面の高さに基づいて締結ボルトの緩みを検出し結果を提示する鉄道レール締結ボルト緩み検知装置。
- 前記レーザ点灯回路は、前記レール踏面にレーザを投射するレーザスポット投光器の点灯を区切りとした周期的な駆動シーケンスにより前記複数のレーザスポット投光器を点灯することを特徴とする請求項1記載の鉄道レール締結ボルト緩み検知装置。
- 前記判定回路は、前記締結ボルトの頂面の高さを前記レール踏面の高さとの差の最小値に基づいて緩みの有無を判定することを特徴とする請求項1または2記載の鉄道レール締結ボルト緩み検知装置。
- 車輪の回転数を測定して車両の位置を決めるキロ程測定器と併用して緩んだ締結ボルトの位置を確定して示すことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の鉄道レール締結ボルト緩み検知装置。
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