JP2008223968A - 液体封入式防振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】オリフィス通路の流路抵抗による防振効果を極力低下させずに、キャビテーションに起因する異音の発生を抑制することのできる液体封入式防振装置を提供する。
【解決手段】弾性部材13によって車体側取付部材11と、エンジン側取付部材12とを連結したマウント本体10の内部には、液室15が形成されている。液室15は、その一部が可動膜20によって形成された区画部材16により、弾性部材13の変形に伴って内圧が変化する受圧室15aと、可撓性膜14が変形することにより容積変化が許容される平衡室15bとに区画されており、受圧室15a及び平衡室15bは、オリフィス通路17を通じて連通されている。可動膜20には、受圧室15aと平衡室15bとを連通する貫通孔23が形成されるとともに、貫通孔23を覆うことにより閉塞する一方、弾性変形することにより貫通孔23を開放する舌片状の弁体25が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、2つの液室をオリフィス通路によって接続し、液体がオリフィス通路を流動する際の流路抵抗を利用して防振効果を得る液体封入式防振装置に関し、特に自動車用のエンジンマウント等に用いられる液体封入式防振装置に関するものである。
こうした液体封入式防振装置を自動車用のエンジンマウントとして適用したものにあっては、図20に示されるように車体、エンジンにそれぞれ取り付けられる一対の取付部1,2をゴム等の弾性体からなる弾性部材3によって連結することにより、マウント本体4が形成されている。更に、同マウント本体4の内部には、可撓性膜5が設けられて弾性部材3の凹部3aとこの可撓性膜5との間に液室6が形成されるとともに、仕切板7によってこの液室6が弾性部材3側の受圧室6aと可撓性膜5側の平衡室6bとに区画されている。また、仕切板7の周囲には仕切板7を囲むように延びる空間が形成されており、この空間が図20に示されるように開口7aを通じて受圧室6aと接続するとともに、開口7bを通じて平衡室6bと接続し、受圧室6aと平衡室6bとを連通するオリフィス通路8を形成している。そして、これら受圧室6a、平衡室6b及びオリフィス通路8には、エチレングリコール等の非圧縮性の液体が封入されている。
こうしたエンジンマウントによれば、振動が入力されて弾性部材3が変形するのに伴って受圧室6aの容積が変化すると、オリフィス通路8を通じて液体が流動するようになる。その結果、オリフィス通路8の流路抵抗によって振動を減衰させ、弾性部材3の弾性変形だけでは得られない防振効果を得ることができるようになる。
ところで、オリフィス通路8の流路抵抗に基づいて発揮される防振効果は、通路断面積や通路長等々といったオリフィス通路8の緒元や液体の粘性等によって定まる比較的狭い振動周波数域においてのみ得られるものである。しかしながら、自動車用のエンジンマウントにあっては、入力される振動の周波数は車両の走行状態や機関運転状態に応じて変化する。それ故、入力される振動の周波数によっては、防振効果を十分に発揮できない場合がある。そればかりか、このようなエンジンマウントにおいて、オリフィス通路8の流路抵抗により減衰させようとする振動の周波数域よりも極めて高い周波数の振動が入力された場合には、オリフィス通路8の流路抵抗によって受圧室6aと平衡室6bとの間で液体の流動が制限されるため、実質的にオリフィス通路8が閉塞状態となってしまい、それによって高動ばね化が生じて防振効果が著しく低下してしまうという問題がある。
そこで、特許文献1に記載されているように、弾性変形可能な可動膜によって受圧室6aと平衡室6bとを区画することにより、比較的高い周波数の振動が入力されたときに受圧室6a内の内圧変動に伴って可動膜が変形するようにし、受圧室6aの内圧変動を平衡室6bに逃がして高動ばね化を抑制する液体封入式防振装置が提案されている。
また、自動車用のエンジンマウントにおいては、例えば、路面の段差を乗り越えたとき等、衝撃的な荷重が入力された際に、異音が発生することがある。このような異音は、オリフィス通路8を通じて液体の流動が制限されることにより受圧室6aに過大な負圧が生じることによってキャビテーションが発生し、そのキャビテーションにより生じた気泡が崩壊、消滅する際に発生していると考えられている。従って、こうした異音の発生を抑制するためには、衝撃的な荷重が入力された際に、受圧室6aに生じる負圧を速やかに解消する必要がある。
そこで、特許文献2には、受圧室6aと平衡室6bとを仕切る可動膜に受圧室6a側から平衡室6b側まで貫通する切込みを形成した液体封入式防振装置が開示されている。このような液体封入式防振装置をエンジンマウントに適用すれば、衝撃的な荷重が入力された際に受圧室6aと平衡室6bとの圧力差に基づいて可動膜に形成された切込みの周囲が変形することにより、受圧室6aと平衡室6bとの間での液体流動が許容され、受圧室6aに生じる負圧を速やかに解消して異音の発生を抑制することができるようになる。
特公平7‐56314号公報 特公平7‐107416号公報
しかしながら、このように可動膜に切込みを形成したエンジンマウントにおいては、受圧室6aに過大な負圧が生じる場合のみならず、常に切込みを通じて受圧室6aと平衡室6bとの間で液体が流動しやすくなる。その結果、オリフィス通路8を流動する液体の流量を十分に確保することが難しくなり、目的とする防振効果を得ることが困難となるおそれがある。
また、キャビテーションによる気泡が発生するような過大な圧力変動が生じたときにのみ、切込みの周囲が変形するように可動膜の剛性を高くすることも考えられるが、可動膜の剛性を高くした場合には、可動膜の弾性変形によって高動ばね化を抑制する効果が低下してしまう。
このため、可動膜に切込みを形成する構成にあっては、可動膜の弾性変形を許容して高周波振動域における高動ばね化を抑制しつつ、受圧室における過大な負圧の発生を抑制することは困難であり、この点において改善の余地を残している。
尚、こうした課題は自動車のエンジンマウントに限らず、弾性部材からなる可動膜で仕切られた2つの液室をオリフィス通路によって接続した液体封入式防振装置にあっては、概ね共通するものである。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものでありその目的は、こうした液体封入式防振装置において、オリフィス通路の流路抵抗による防振効果を極力低下させずに、キャビテーションに起因する異音の発生を抑制することのできる液体封入式防振装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、振動源及び支持体に取り付けられる一対の取付部を連結する弾性部材と、前記弾性部材と可撓性膜とによって区画形成され液体が封入された液室と、同液室を前記一対の取付部の相対変位により生じる前記弾性部材の変形に伴って内圧が変化する受圧室と前記可撓性膜が変形することにより容積変化が許容される平衡室とに区画する区画部材と、前記受圧室と前記平衡室とを連通するオリフィス通路とを備え、前記区画部材は少なくともその一部が弾性材料からなる可動膜とされた液体封入式防振装置において、前記可動膜は、厚さ方向に貫通して前記受圧室と前記平衡室とを連通する貫通孔が形成されるとともに、同可動膜の前記受圧室側の面に沿って延びて同貫通孔の受圧室側開口を覆うことにより同貫通孔を閉塞する一方、前記受圧室の内圧低下に伴って弾性変形することにより前記貫通孔を開放する舌片状の弁体を備えてなることをその要旨とする。尚、ここでいう貫通孔には、厚さ方向に貫通する切込みからなり、その周囲が変形することによって開口するものも含まれるものとする。
上記請求項1に記載の構成によれば、振動源の振動により一対の取付部に相対変位が生じ、これにより弾性部材が変形して受圧室の内圧が低下する場合には、弁体が可動膜から剥離するように弾性変形し、可動膜に形成された貫通孔が開放されるようになる。その結果、可動膜に形成された貫通孔を通じて平衡室から受圧室への液体の流動が許容され、受圧室内に過大な負圧が発生することを抑制することができる。一方、弾性部材が変形して受圧室の内圧が上昇する場合には、受圧室の内圧により弁体が可動膜に押し当てられて密接するようになるため、貫通孔が閉塞され同貫通孔を通じた液体の流動は抑制される。即ち、キャビテーションの発生するおそれがある受圧室の内圧低下時には貫通孔を通じて平衡室から受圧室への液体の流動を許容する一方、そのおそれのないときには貫通孔を通じた液体の流動を抑制して、オリフィス通路を流動する液体の量を確保することができるようになる。その結果、オリフィス通路の流路抵抗による防振効果を極力低下させずに、キャビテーションに起因する異音の発生を抑制することができるようになる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液体封入式防振装置において、前記可動膜は、厚さ方向に貫通する切込みにより舌片状の前記弁体が形成された受圧室側弾性膜と、厚さ方向に貫通する前記貫通孔が形成された平衡室側弾性膜とを重ね合わせることにより形成されてなることをその要旨とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の液体封入式防振装置において、前記受圧室側弾性膜は、前記弁体が形成される部分の膜厚が相対的に厚く設定されてなることをその要旨とする。
具体的には、請求項2に記載の発明によるように、厚さ方向に貫通する切込みにより舌片状の前記弁体が形成された受圧室側弾性膜と、厚さ方向に貫通する前記貫通孔が形成された平衡室側弾性膜とを重ね合わせることにより、貫通孔を開放、閉塞する弁体が一体に形成された可動膜を形成することができる。
尚、舌片状の弁体が形成される受圧室側弾性膜の厚さによって弁体の剛性が変化するため、受圧室側弾性膜の厚さを調整することにより、弁体の開放する圧力を調整することができる。但しここで、受圧室側弾性膜を厚くすることにより可動膜全体の剛性が高くなると防振装置本体の高動ばね化を抑制する効果が低くなってしまうため、受圧室側弾性膜を厚くする一方で平衡室側弾性膜を薄くする等、必要な防振効果を得ることができるように受圧室側弾性膜の厚さと平衡室側弾性膜の厚さを併せて調整することが望ましい。
この点、請求項3に記載の発明によるように、受圧室側弾性膜における弁体が形成される部分の膜厚を他の部位よりも厚くすることにより、可動膜全体の剛性を極力変化させずに弁体の剛性を高くすることができるようになる。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の液体封入式防振装置において、前記切込みは、馬蹄形状をなすことをその要旨とする。
また具体的には、請求項4に記載の発明のように、受圧室側弾性膜に馬蹄形状の切込みを入れることにより、切込みの内周側の部分により舌片状の弁体を形成することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載の液体封入式防振装置において、前記切込みは、前記弁体の前記可動膜の延伸方向における面積が前記受圧室側から前記平衡室側に向かって次第に小さくなるように傾斜してなることをその要旨とする。
上記構成によれば、弁体は、受圧室側から平衡室側に向かって面積が次第に小さくなるようにその外周面が傾斜したテーパ形状となる。また、弁体の周囲には弁体の形状と対応して傾斜したテーパ面が形成されるようになる。そのため、受圧室の内圧が上昇する場合には、弁体が可動膜に押し当てられて密接するのと併せて、弁体周囲のテーパ面と弁体の傾斜した外周面とが密接するようになり、液体が貫通孔を通じて平衡室側に流動するのをより好適に抑制することができるようになる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体封入式防振装置において、前記可動膜は、前記弁体近傍の膜厚が相対的に厚く設定されてなることをその要旨とする。
上述したように、オリフィス通路の流路抵抗により受圧室と平衡室との間の液体の流動が実質的に行われなくなる高周波の振動時には、可動膜が変形することによって受圧室の内圧変動を平衡室に逃がすことにより、高動ばね化が抑制される。
ところで、弁体は可動膜の受圧室側の面に沿って延び、貫通孔の受圧室側開口を覆っているため、こうした可動膜の変形に伴って弁体近傍部分が大きく撓むと貫通孔が開放されてしまうおそれがある。具体的には、可動膜の変形に伴って弁体と可動膜とが密着している部分が受圧室側に向けて凸となるように大きく変形すると、弁体が弾性変形していなくても可動膜から剥離して、受圧室内にキャビテーションが生じるような負圧が発生していないのにもかかわらず、貫通孔が開放されてしまうおそれがある。
そこで、請求項6に記載の発明によるように、弁体近傍の膜厚を相対的に厚くすることにより、可動膜全体の変形を許容しながら弁体近傍の撓みを抑制し、こうした可動膜の撓みによる貫通孔の開放を抑制することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の液体封入式防振装置において、前記可動膜は、前記貫通孔が形成された可動膜本体と、厚さ方向に貫通する切込みによって、舌片状の弁体が形成されるとともに、同弁体を包囲するようにその外周側の部分が環状に形成された弁部材とからなり、同弁部材の前記舌片状の弁体が前記貫通孔の受圧室側開口を覆うように前記環状の部分が前記可動膜本体に固着されることにより形成されてなることをその要旨とする。
上記請求項7に記載の構成によれば、舌片状の弁体と同弁体を包囲するように環状に形成された部分とからなる弁部材を可動膜に固着させることにより、可動膜に形成された貫通孔を開放、閉塞する弁体を形成するようにしている。また、弁部材において弁体を包囲するように環状に形成された外周側の部分を可動膜に固着させるようにしている。そのため、可動膜における弁体近傍の部分は弁部材が固着された分だけ相対的に厚くなり、可動膜における弁体近傍の剛性を相対的に高くすることができる。従って、請求項6に記載の発明と同様に、可動膜全体の変形を許容しながら弁体近傍の撓みを抑制し、こうした可動膜の撓みによる貫通孔の開放を抑制することができる。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の液体封入式防振装置において、前記切込みは、馬蹄形状をなすことをその要旨とする。
また、請求項8に記載の発明のように、弁部材に馬蹄形状の切込みを入れることにより、切込みの内周側の部分により舌片状の弁体を形成するとともに、切込みの外周側の部分を弁体を包囲するように環状に形成することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項7又は請求項8に記載の液体封入式防振装置において、前記切込みは、前記弁体の前記可動膜の延伸方向における面積が前記受圧室側から前記平衡室側に向かって次第に小さくなるように傾斜してなることをその要旨とする。
上記請求項9に記載の構成によれば、弁体は、受圧室側から平衡室側に向かって面積が次第に小さくなるようにその外周面が傾斜したテーパ形状となる。また、弁体の周囲には弁体の形状と対応して傾斜したテーパ面が形成されるようになる。そのため、受圧室の内圧が上昇する場合には、弁体が可動膜に押し当てられて密接するのと併せて、弁体周囲のテーパ面と弁体の傾斜した外周面とが密接するようになり、液体が貫通孔を通じて平衡室側に流動するのをより好適に抑制することができるようになる。
請求項10に記載の発明は、振動源及び支持体に取り付けられる一対の取付部を連結する弾性部材と、前記弾性部材と可撓性膜とによって区画形成され液体が封入された液室と、同液室を前記一対の取付部の相対変位により生じる前記弾性部材の変形に伴って内圧が変化する受圧室と前記可撓性膜が変形することにより容積変化が許容される平衡室とに区画する区画部材と、前記受圧室と前記平衡室とを連通するオリフィス通路とを備え、前記区画部材は少なくともその一部が弾性材料からなる可動膜とされた液体封入式防振装置において、前記可動膜は、厚さ方向に貫通する切込みによって前記受圧室側から前記平衡室側に向かって前記可動膜の延伸方向における面積が次第に小さくなるように外周面が傾斜した舌片状の弁体が形成されるとともに、同弁体によって閉塞される一方、同弁体が弾性変形することにより開口されるテーパ状の内周面を有する貫通孔が形成されてなることをその要旨とする。
また、請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の液体封入式防振装置において、前記切込みは、馬蹄形状をなすことをその要旨とする。
上記請求項10に記載の構成によれば、弁体は受圧室側から平衡室側に向かって面積が次第に小さくなるようにその外周面が傾斜したテーパ形状となる。また、弁体の周囲には弁体の形状と対応して傾斜したテーパ面が形成される。そのため、受圧室の内圧が低下する場合には、弁体が可動膜から剥離するように弾性変形することにより貫通孔が開口されて平衡室から受圧室への液体の流動が許容される一方、受圧室の内圧が上昇する場合には、弁体が弁体周囲のテーパ面に押し当てられて、弁体の外周面と貫通孔の内周面とが密接するようになり、液体が貫通孔を通じて平衡室側に流動するのを抑制することができるようになる。即ち、キャビテーションの発生するおそれがある受圧室の内圧低下時には貫通孔を通じて平衡室から受圧室への液体の流動を許容する一方、そのおそれのないときには貫通孔を通じた液体の流動を抑制して、オリフィス通路を流動する液体の量を確保することができるようになる。その結果、オリフィス通路の流路抵抗による防振効果を極力低下させずに、キャビテーションに起因する異音の発生を抑制することができるようになる。
また具体的には、請求項11に記載の発明のように、可動膜に馬蹄形状の切込みを入れることにより、切込みの内周側の部分によりこのような舌片状の弁体を形成することができる。
請求項12に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載の液体封入式防振装置において、前記貫通孔及び前記弁体は、前記可動膜の延伸方向における中心から偏心した位置に設けられてなることをその要旨とする。
外周部分が固定されて液室を隔てている可動膜は、受圧室の内圧変動によって変形する場合、その外周部分よりも中心部分のほうが大きく撓む。上述したように可動膜が撓むと、弁体が可動膜から剥離し、受圧室内にキャビテーションが生じるような負圧が発生していないのにもかかわらず、貫通孔が開放されてしまうおそれがある。そこで請求項12に記載の発明によるように、貫通孔及び弁体を可動膜の中心から偏心した位置に設けることにより、可動膜の撓みによって貫通孔が開放されることを抑制することができるようになる。尚、可動膜が固定されている外周側の部分に近くなるほど可動膜本体の撓みは小さくなるため、可動膜の撓みによる貫通孔の開放を抑制する上では、貫通孔及び弁体を可動膜の極力外周側の位置に設けることが望ましい。
(第1の実施形態)
以下、この発明にかかる液体封入式防振装置を、自動車用のエンジンマウントに具体化した第1の実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。
図1は、本実施形態にかかるエンジンマウントの断面構造を示している。図1に示されるように、このエンジンマウントのマウント本体10は車体に固定される車体側取付部材11と、エンジンに連結されるエンジン側取付部材12とを弾性部材13を介して連結することにより形成されている。
車体側取付部材11は、ボルト50によって車体と連結される底部材11aと、円筒部材11bとからなり、これら底部材11aと円筒部材11bとをかしめ加工によって一体に連結することにより有底円筒状に形成されている。円筒部材11bの内周面は、ゴム等の弾性材料によって形成された有底円筒状の弾性部材13の外周面と加硫接着されている。そして、弾性部材13の上端部には、エンジンが連結されるボルト51及び位置決め用のピン52が取り付けられた円盤状のエンジン側取付部材12が加硫接着されている。
こうして形成されたマウント本体10は、図1に示されるようにその内部に弾性部材13の内周面と車体側取付部材11の内周面とによって区画された空間を有している。また、底部材11aと円筒部材11bとの間には、この空間を仕切る可撓性膜14及び区画部材16が挟持されている。可撓性膜14は、ゴム等の変形容易な部材によって形成されており、十分に撓んだ状態で底部材11aと円筒部材11bとの間に挟み込まれている。この可撓性膜14と弾性部材13の内周面とによって区画された空間には、エチレングリコール等の非圧縮性の液体が封入され、液室15が形成されている。そして、この液室15は、図1に示されるように区画部材16によって弾性部材13側の受圧室15aと可撓性膜14側の平衡室15bとに区画されている。
また、図1に示されるように区画部材16の外周部分には、区画部材16を囲むように延びる空間が形成されている。この空間は、区画部材16に形成された連通孔31を通じて受圧室15aと接続するとともに、連通孔32を通じて平衡室15bと接続し、受圧室15aと平衡室15bとを連通するオリフィス通路17を形成している。
以下、図2を併せ参照して区画部材16の構成を詳しく説明する。尚、図2は、区画部材16を分解して示す分解斜視図である。
図2に示されるように区画部材16は、ゴム等の弾性部材からなる可動膜20と、可動膜20を支持する支持部材30とからなっており、支持部材30の内周面37に可動膜20の外周面20aを加硫接着することにより一体に形成されている。可動膜20の詳細な構成については、図3〜5を参照して後述する。
支持部材30は、環状に形成されており、その中心軸方向における中央部分が縮径されているとともに、下端部及び上端部が外周側に向かって延びるように拡径されている。そして、下端部が底部材11aと円筒部材11bとの間に挟み込まれるフランジ部33を形成するとともに、上端部が図1に示されるようにマウント本体10内に挟持された状態において弾性部材13の内周面に当接する当接部34を形成している。また、フランジ部33と当接部34との間の縮径された部分がオリフィス通路17を形成するオリフィス部35となっている。このオリフィス部35には、支持部材30の内周側に貫通する連通孔31,32が設けられている。そして、図2に示されるようにこれら連通孔31,32の間には、仕切壁36が設けられており、オリフィス部35はこの仕切壁36によって支持部材30の周方向に沿って「C」字状に延びる溝を形成するように仕切られている。
この支持部材30の内周面37に可動膜20の外周面20aを加硫接着することにより区画部材16が形成される。そして、図1に示されるように底部材11aと円筒部材11bとの間にこの区画部材16が挟み込まれることにより、弾性部材13の内周面と可撓性膜14との間に形成される液室15は、可動膜20によって受圧室15aと平衡室15bとに区画されるとともに、オリフィス通路17を通じて連通されることとなる。
このように形成された本実施形態のエンジンマウントにあっては、振動が入力されて弾性部材13が変形するのに伴って受圧室15aの容積が変化すると、オリフィス通路17を通じて液体が流動するようになる。その結果、オリフィス通路17の流路抵抗によって振動を減衰させ、弾性部材13の弾性変形だけでは得られない防振効果を得ることができるようになる。
尚、このエンジンマウントにあっては、アイドリング時の低周波振動に対して大きな防振効果を得ることができるようにオリフィス通路17の通路断面積や通路長を調整すべく、支持部材30におけるオリフィス部35の形状や連通孔31,32の位置、仕切壁36の厚さ等が設定されている。
一般に、オリフィス通路の流路抵抗に基づいて発揮される防振効果はこうしたオリフィス通路の諸元と、液室内に封入された液体の粘性等によって定まる比較的狭い振動周波数域においてのみ得られるものである。そのため、オリフィス通路17の流路抵抗により減衰させようとするアイドリング時の振動の周波数域よりも極めて高い周波数の振動が入力された場合には、オリフィス通路17の流路抵抗によって受圧室15aと平衡室15bとの間で液体の流動が制限されるため、実質的にオリフィス通路17が閉塞状態となってしまい、マウント本体10が高動ばね化して防振効果が著しく低下してしまうおそれがある。
そこで、本実施形態のエンジンマウントにあっては、上述のように弾性変形可能な可動膜20によって受圧室15aと平衡室15bとを区画することにより、アイドリング時よりも比較的高い周波数の振動が入力されたときに受圧室15a内の内圧変動に伴って可動膜が変形するようにし、受圧室15aの内圧変動を平衡室15bに逃がしてこうした高動ばね化を抑制するようにしている。
また、一般に液体封入式のエンジンマウントにおいては、例えば、路面の段差を乗り越えたとき等、衝撃的な荷重が入力された際に、異音が発生することがある。このような異音は、オリフィス通路を通じて液体の流動が制限されることにより受圧室に過大な負圧が生じることによってキャビテーションが発生し、そのキャビテーションにより生じた気泡が崩壊、消滅する際に発生していると考えられている。従って、本実施形態のエンジンマウントにあっては、衝撃的な荷重が入力された際に、受圧室15aに生じる負圧を速やかに解消すべく、図2に示されるように可動膜20にチェック弁として機能する弁体25を設けるようにしている。
以下、図3〜5を参照して、可動膜20の具体的な構成を説明する。尚、図3は、可動膜20を分解して示す分解斜視図である。
図3に示されるように可動膜20は、切込み22aが形成されてその周囲が変形することにより開口する貫通孔23が形成された平衡室側弾性膜22と、切込み21aによって貫通孔23を覆う弁体25が形成された受圧室側弾性膜21とを貼り合わせることによって形成されている。尚、受圧室側弾性膜21及び平衡室側弾性膜22はともにゴム等の弾性材料により形成されている。
図4(a)は受圧室側弾性膜21の上面図、図4(b)は図4(a)におけるb‐b線断面図、図4(c)は図4(a)におけるc‐c線断面図である。図4(a)に示されるように受圧室側弾性膜21には、馬蹄形状の切込み21aが形成されており、この切込み21aの内周側の部分が舌片状の弁体25をなしている。切込み21aは、図4(b),(c)に示されるように受圧室側弾性膜21を厚さ方向に貫通するとともに、受圧室側弾性膜21の延伸方向における弁体25の面積が受圧室側から平衡室側に向かって次第に小さくなるように傾斜して延びている。
図5(a)は平衡室側弾性膜22の上面図、図5(b)は図5(a)におけるb‐b線断面図、図5(c)は図5(a)におけるc‐c線断面図である。平衡室側弾性膜22には、図5(a)に示されるように十字状の切込み22aが形成されている。切込み22aは、受圧室側弾性膜21と平衡室側弾性膜22とを重ね合わせたときに、弁体25の平衡室側の面によって覆われる部分(図5(a)に二点鎖線で示される部分)に設けられている。この切込み22aは、図5(b),(c)に示されるように受圧室側から平衡室側に貫通しており、この切込み22aの周囲が変形することによって開口する貫通孔23を形成している。また、切込み22aの長さは、弁体25によって覆われる範囲に収まるように設定されているため、切込み22aの周囲が変形したときに開口する貫通孔23の開口面積は、弁体25の面積よりも小さくなっている。
本実施形態のエンジンマウントにあっては、このように形成された受圧室側弾性膜21と平衡室側弾性膜22とを弁体25及び貫通孔23の部分を除いて貼り合わせることにより、可動膜20を形成している。
こうした可動膜20を備える本実施形態のエンジンマウントの作用について図6を参照して説明する。尚、図6(a),(b)は受圧室15aの内圧変化に応じた可動膜20の変形態様を示す断面図であり、図6(a)は受圧室15aの内圧が低下した場合の可動膜20の変形態様を、また図6(b)は受圧室15aの内圧が上昇した場合の可動膜20の変形態様を示すものである。
振動の入力により車体側取付部材11とエンジン側取付部材12との間に相対変位が生じ、これにより弾性部材13が変形して受圧室15aの内圧が低下する場合には、図6(a)に示されるように弁体25が可動膜20から剥離するように弾性変形するとともに、可動膜20に形成された切込み22aの周囲が変形して貫通孔23が開口するようになる。その結果、図6(a)に矢印で示されるように、この貫通孔23を通じて平衡室15bから受圧室15aへの液体の流動が許容されるようになる。
一方、弾性部材13が変形して受圧室15aの内圧が上昇する場合には、図6(b)に示されるように受圧室15aの内圧により弁体25が可動膜20における貫通孔23の周囲に押し当てられて密接するようになる。そのため、切込み22aの周囲が変形した場合であっても、貫通孔23が受圧室側から閉塞される。
以上説明した第1の実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)キャビテーションの発生するおそれがある受圧室15aの内圧低下時には貫通孔23を通じて平衡室15bから受圧室15aへの液体の流動を許容する一方、そのおそれのないときには貫通孔23を通じた液体の流動を抑制して、オリフィス通路17を流動する液体の量を確保することができるようになる。その結果、オリフィス通路17の流路抵抗による防振効果を極力低下させずに、キャビテーションに起因する異音の発生を抑制することができるようになる。
(2)また、本実施形態では、可動膜20に直接切込み22aによる貫通孔23を形成するとともに、これを覆う弁体25を設けることにより、これらをチェック弁として機能させるようにしている。ここで例えば、別部材として用意したチェック弁を可動膜20に取り付けることにより同等の作用効果を得ることはできる。但しこの場合、受圧室15aの内圧の変動に伴って振動する可動膜20の振動特性がチェック弁の重さ、取付位置、形状等々により大きく異なるものとなる。このため、減衰させようとする振動の周波数領域にあわせて可動膜20の振動特性を設定する際、こうしたチェック弁の重さ等々を考慮することが必要になり、同振動特性の適合作業が煩雑にならざるを得ない。この点、本実施形態によれば、可動膜20の振動特性を大きく変化させることなく、これにチェック弁としての機能を付与することができ、その振動特性の適合作業が煩雑になることを極力抑制することができるようになる。
(3)厚さ方向に貫通する切込み21aにより舌片状の弁体25が形成された受圧室側弾性膜21と、厚さ方向に貫通する切込み22aによる貫通孔23が形成された平衡室側弾性膜22とを重ね合わせることにより、貫通孔23と貫通孔23を開放、閉塞する弁体25とが一体に形成された可動膜20を比較的容易に形成することができる。
(4)受圧室側弾性膜21に馬蹄形状の切込み21aを形成することにより、切込み21aの内周側の部分によって舌片状の弁体25を比較的容易に形成することができる。
(5)切込み21aは、弁体25の面積が受圧室側から平衡室側に向かって次第に小さくなるように傾斜しているため、弁体25は、その外周面が傾斜したテーパ形状となっている。また、弁体25の周囲には弁体の形状と対応して傾斜したテーパ面が形成されている。そのため、受圧室15aの内圧が上昇する場合には、弁体25が可動膜20における貫通孔23の周囲に押し当てられて密接するのと併せて、弁体25周囲のテーパ面と弁体25の傾斜した外周面とが密接するようになり、液体が貫通孔23を通じて平衡室側に流動するのをより好適に抑制することができるようになる。
尚、上記第1の実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、受圧室側弾性膜21に馬蹄形状の切込み21aを設けることによってその内周側の部分により舌片状の弁体25を形成している。そのため、受圧室側弾性膜21の厚さに対応して弁体25の剛性が変化するため、受圧室側弾性膜21の厚さを調整することにより、弁体25の開放する圧力を調整することができる。但しここで、受圧室側弾性膜21を厚くすることにより可動膜20全体の剛性が高くなるとマウント本体10の高動ばね化を抑制する効果が低くなってしまう。そのため、受圧室側弾性膜21を厚くする一方で平衡室側弾性膜22を薄くする等、必要な防振効果を得ることができるように受圧室側弾性膜21の厚さと平衡室側弾性膜22の厚さとを併せて調整することが望ましい。
・また、受圧室側弾性膜21における弁体25が形成される部分の膜厚を他の部位よりも厚くすることにより、可動膜20全体の剛性を極力変化させずに弁体25の剛性を高くすることができるようになる。例えば、図7に示されるように受圧室側弾性膜21における弁体25の厚さのみを相対的に厚くすることにより弁体25の剛性を高くすることもできる。
・上記実施形態では、切込み21aを受圧室側から平衡室側に向かって傾斜させ、可動膜20の延伸方向における弁体25の面積が平衡室側ほど小さくなっている構成を示したが、切込み21aを傾斜させずに厚さ方向に沿って形成することもできる。こうした構成を採用した場合であっても、受圧室15aの内圧が上昇する場合には弁体25が可動膜20における貫通孔23の周囲に押し当てられるため貫通孔23を閉塞することができる。
・受圧室側弾性膜21に形成する切込み21aの形状は必ずしも馬蹄形状でなくてもよい、例えば、「コ」の字状、「H」字状、「く」の字状等、その他、貫通孔23を覆うような舌片状の弁体を形成することのできるものであればよい。
・上記実施形態では、平衡室側弾性膜22に十字状の切込み22aを形成することにより、この切込み22aの周囲が変形することによって開口する貫通孔23を形成する構成を示した。これに対して、平衡室側弾性膜22に形成される貫通孔はこうした構成に限定されるものではない。貫通孔は平衡室側弾性膜22を厚さ方向に貫通し、弁体25が可動膜20から剥離するように弾性変形したときに開放されるように構成されていればよい。即ち、十字形状以外の切込みを設け、この切込みの周囲が変形することにより開口される貫通孔を形成する構成や、こうした切込みに替えて常時開口している貫通孔を設ける構成を採用することもできる。
(第2の実施形態)
以下、図8及び図9を参照して第2の実施形態について説明する。本実施形態は第1の実施形態と可動膜の構成が異なるものであるため、同様の部材については同一の符号を付すのみとしてその説明を割愛し、両者の相違点である可動膜の構成を中心に説明する。
図8(a)は本実施形態にかかる可動膜120の上面図、図8(b)は図8(a)におけるb‐b線断面図、図8(c)は図8(a)におけるc‐c線断面図である。ゴム等の弾性材料により円盤状に形成された可動膜120には、図8(a)に示されるように馬蹄形状の切込み121が形成されており、この切込み121の内周側の部分が舌片状の弁体125をなしている。切込み121は、図8(b),(c)に示されるように可動膜120を厚さ方向に貫通するとともに、可動膜120の延伸方向における弁体125の面積が受圧室側から平衡室側に向かって次第に小さくなるように傾斜して延びている。そのため、弁体125は、その外周面125aが傾斜したテーパ形状となっており、その周囲には弁体125の形状と対応して傾斜したテーパ面120aが形成されている。
このように形成された可動膜120は、第1の実施形態における可動膜20と同様に支持部材30の内周面37に加硫接着され、区画部材16を構成する。そして、可撓性膜14とともに底部材11aと円筒部材11bとの間に挟持されることにより、マウント本体10の内部に形成される液室15を受圧室15aと平衡室15bとに区画する。
こうした可動膜120を備える本実施形態のエンジンマウントの作用について図9を参照して説明する。尚、図9(a),(b)は受圧室15aの内圧変化に応じた可動膜120の変形態様を示す断面図であり、図9(a)は受圧室15aの内圧が低下した場合の可動膜120の変形態様を、また図9(b)は受圧室15aの内圧が上昇した場合の可動膜120の変形態様を示すものである。
受圧室15aの内圧が低下する場合には、図9(a)に示されるように弁体125がテーパ面120aから剥離するように弾性変形することにより、可動膜120には受圧室15aと平衡室15bとを連通する貫通孔123が開口して矢印で示されるように平衡室15bから受圧室15aへの液体の流動が許容されるようになる。
一方、受圧室15aの内圧が上昇する場合には、図9(b)に示されるように弁体125がテーパ面120aに押し当てられて、弁体125の外周面125aとテーパ面120aとが密接するようになり、貫通孔123が閉塞されて液体が貫通孔123を通じて平衡室側に流動するのを抑制することができるようになる。
以上説明した第2の実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(6)キャビテーションの発生するおそれがある受圧室15aの内圧低下時には貫通孔123を通じて平衡室15bから受圧室15aへの液体の流動を許容する一方、そのおそれのないときには貫通孔123を通じた液体の流動を抑制して、オリフィス通路17を流動する液体の量を確保することができるようになる。その結果、オリフィス通路17の流路抵抗による防振効果を極力低下させずに、キャビテーションに起因する異音の発生を抑制することができるようになる。
(7)可動膜120に馬蹄形状の切込み121を入れることにより、比較的容易に切込み121の内周側の部分により舌片状の弁体125を形成するとともに、弁体125が弾性変形するときに開口する貫通孔123を形成することができる。
尚、上記第2の実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記第2の実施形態では、可動膜120に馬蹄形状の切込み121を設けることにより、舌片状の弁体125と、弁体125が弾性変形するときに開口する貫通孔123とを形成する構成を示した。これに対して、可動膜120に設ける切込み121の形状は必ずしも馬蹄形状でなくてもよい。例えば、「コ」の字状、「H」字状、「く」の字状等、切込みの形状を適宜変更した場合であっても、弁体の面積が受圧室側から平衡室側に向かって次第に小さくなるように切込みを傾斜させることにより、受圧室15aの内圧が上昇する場合には、弁体の外周面と貫通孔のテーパ面とが密接して貫通孔が閉塞されるようになる。
(第3の実施形態)
以下、図10及び図11を参照して第3の実施形態について説明する。本実施形態は第1の実施形態と可動膜の構成が異なるものであるため、同様の部材については同一の符号を付すのみとしてその説明を割愛し、両者の相違点である可動膜の構成を中心に説明する。
図10(a)は本実施形態にかかる可動膜220の上面図であり、図10(b)は(a)におけるb‐b線断面図である。図10(b)に示されるようにこの可動膜220は、厚さ方向に貫通する貫通孔223が形成された可動膜本体221と、この可動膜本体221の受圧室側の面に沿って延び貫通孔223を覆う弁体225とによって構成されている。
可動膜本体221は、図10(a)に示されるようにゴム等の弾性材料によって円盤状に形成され、その延伸方向における中心部分に厚さ方向に貫通する貫通孔223が形成されている。また、弁体225は、可動膜本体221と同様にゴム等の弾性材料によって板状に形成されている。そして、弁体225は、その一部(図10(a),(b)における二点鎖線よりも左側の部分)が可動膜本体221に固着され、可動膜本体221の受圧室側の面に沿って延びて受圧室側から貫通孔223を覆っている。
このように形成された可動膜220は、第1の実施形態における可動膜20と同様に支持部材30の内周面37に加硫接着され、区画部材16を構成する。そして、可撓性膜14とともに底部材11aと円筒部材11bとの間に挟持されることにより、マウント本体10の内部に形成される液室15を受圧室15aと平衡室15bとに区画する。
こうした可動膜220を備える本実施形態のエンジンマウントの作用について、図11を参照して説明する。尚、図11(a),(b)は受圧室15aの内圧変化に応じた可動膜220の変形態様を示す断面図であり、図11(a)は受圧室15aの内圧が低下した場合の可動膜220の変形態様を、また図11(b)は受圧室15aの内圧が上昇した場合の可動膜220の変形態様を示すものである。
受圧室15aの内圧が低下する場合には、図11(a)に示されるように弁体225が可動膜本体221から剥離するように弾性変形することにより貫通孔223が開口して、矢印で示されるように平衡室15bから受圧室15aへの液体の流動が許容されるようになる。
一方、受圧室15aの内圧が上昇する場合には、図11(b)に示されるように弁体125が可動膜本体221に押し当てられて可動膜本体221に密接するようになり、貫通孔223が閉塞される。
以上説明した第3の実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(8)キャビテーションの発生するおそれがある受圧室15aの内圧低下時には貫通孔223を通じて平衡室15bから受圧室15aへの液体の流動を許容する一方、そのおそれのないときには貫通孔223を通じた液体の流動を抑制して、オリフィス通路17を流動する液体の量を確保することができるようになる。その結果、オリフィス通路17の流路抵抗による防振効果を極力低下させずに、キャビテーションに起因する異音の発生を抑制することができるようになる。
尚、上記第3の実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記第3の実施形態では、可動膜本体221に弁体225の一部を固着させることにより、厚さ方向に貫通する貫通孔223と、貫通孔223を閉塞する弁体225とを備える可動膜220を形成する構成を示した。これに対して、可動膜220の中央部分を肉厚にして弁体225となる部分を可動膜220と一体に成形したあと、一部を残して弁体225と可動膜220とを切り離す切込みを形成することにより、弁体225が可動膜220から剥離して弾性変形するように形成することもできる。
・また、弁体225は、受圧室15aの内圧の低下に伴って可動膜220から剥離するように弾性変形するため、可動膜本体221に弁体225を固着させる場合には、弁体225の取付強度を十分に向上させることが望ましい。そこで、例えば図12に示されるように可動膜本体221に嵌入孔221aを設け、弁体225を可動膜本体221に固着させる際に「コ」の字状の留具224を嵌入孔221aに嵌入するとともに、弁体225及び留具224を可動膜本体221に固着することにより弁体225の取付強度を向上させる構成を採用することもできる。
・また、図13に示されるように弁体225に突出部225aを設けるとともに、可動膜本体221に突出部225aと対応する嵌入孔221bを設け、この嵌入孔221bに突出部225aを嵌入した状態で弁体225を可動膜本体221に固着させるといった構成を採用することもできる。
・また、弁体225の形状は、可動膜220から剥離するように弾性変形することにより貫通孔223を開口させることのできるものであれば適宜変更することができる。
・尚、弁体225の剛性によって弁体225の開放する圧力を調整することができる。そのため、受圧室15aの内圧がキャビテーションの発生するおそれのある程度にまで低下したときに弁体225が開放されるように弁体225の厚さや形状などを調整することが望ましい。
・また、可動膜本体221に形成される貫通孔の形状は適宜変更することができる。例えば、可動膜本体221に形成される貫通孔223に替えて、第1の実施形態のように厚さ方向に貫通する切込みによって形成され、切込みの周囲が変形することによって開口する貫通孔を形成する構成を採用することもできる。
(第4の実施形態)
以下、図14〜16を参照して第4の実施形態について説明する。
上記第1〜3の実施形態において示した弁体は、いずれも可動膜の受圧室側の面に沿って延びて貫通孔の受圧室側開口を覆っている。こうした弁体を備える可動膜にあっては、可動膜の変形に伴って弁体近傍部分が大きく撓むと貫通孔が開放されてしまうおそれがある。具体的には、可動膜の変形に伴って弁体と可動膜とが密着している部分が受圧室側に向けて凸となるように大きく変形すると、弁体が弾性変形していなくても可動膜から剥離して、受圧室15a内にキャビテーションが生じるような負圧が発生していないのにもかかわらず、貫通孔が開放されてしまうおそれがある。
本実施形態にかかるエンジンマウントは、こうした撓みの影響による弁体の開放を抑制することのできる可動膜を備えている。尚、本実施形態は第1の実施形態と可動膜の構成が異なるものであるため、同様の部材については同一の符号を付すのみとしてその説明を割愛し、両者の相違点である可動膜の構成を中心に説明する。尚、図14は、本実施形態にかかる可動膜320の分解斜視図であり、図15(a)は可動膜320の上面図、図15(b)は(a)におけるb‐b線断面図である。
図14に示されるように可動膜320は、ゴム等の弾性材料によって形成された円盤状の可動膜本体321と、ゴム等の弾性材料によって同可動膜本体321よりも小径の円盤状に形成された弁部材324とからなっている。
可動膜本体321には、その厚さ方向に貫通する貫通孔323が形成されている。また、弁部材324には、厚さ方向に貫通する馬蹄形状の切込み324aが形成され、切込み324aの内周側の部分が舌片状の弁体325を形成するとともに、切込み324aの外周側の部分が弁体325を包囲するように環状に延びる固着部326を形成している。
そして、弁部材324は、図15(a)及び(b)に示されるように弁体325が受圧室側から貫通孔323を覆うように可動膜本体321に重ね合わされ、固着部326が可動膜本体321に固着される。
このように形成された可動膜320は、第1の実施形態における可動膜20と同様に支持部材30の内周面37に加硫接着され、区画部材16を構成する。そして、可撓性膜14とともに底部材11aと円筒部材11bとの間に挟持されることにより、マウント本体10の内部に形成される液室15を受圧室15aと平衡室15bとに区画する。
こうした可動膜320を備える本実施形態のエンジンマウントの作用について図16を参照して説明する。尚、図16(a),(b)は受圧室15aの内圧変化に応じた可動膜320の変形態様を示す断面図であり、図16(a)は受圧室15aの内圧が低下するのに伴って受圧室側に弾性変形する場合の可動膜320の変形態様を、また図16(b)は受圧室15aの内圧が更に低下して弁体325が開放する場合の可動膜320の変形態様を示すものである。
受圧室15aの内圧が低下した場合には、図16(a)に示されるように可動膜320が受圧室側に弾性変形する。このとき弁体325近傍の膜厚は、弁部材324の固着部326が可動膜本体321に固着されている分だけ他の部分よりも相対的に厚くなっている。そのため、弁体325近傍は可動膜320が受圧室側に弾性変形する場合にあっても変形しにくくなる。
また、受圧室15aの内圧が更に低下した場合には、図16(b)に示されるように受圧室15a内の負圧の影響により弁体325が可動膜320から剥離するように弾性変形するようになる。その結果、貫通孔323が開放され、矢印で示されるように貫通孔323を通じて平衡室15bから受圧室15aへの液体の流動が許容されるようになる。
一方、受圧室15aの内圧が上昇する場合には、弁体325は可動膜320に押し当てられるようになり、貫通孔323の周囲と密接して貫通孔323が閉塞されるようになる。
以上説明した第4の実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(9)キャビテーションの発生するおそれがある受圧室15aの内圧低下時には貫通孔323を通じて平衡室15bから受圧室15aへの液体の流動を許容する一方、そのおそれのないときには貫通孔323を通じた液体の流動を抑制して、オリフィス通路17を流動する液体の量を確保することができるようになる。その結果、オリフィス通路17の流路抵抗による防振効果を極力低下させずに、キャビテーションに起因する異音の発生を抑制することができるようになる。
(10)舌片状の弁体325と弁体325を包囲するように環状に形成された固着部326とからなる弁部材324を可動膜本体321に固着させることにより、可動膜本体321に形成された貫通孔323を開放、閉塞する弁体325を形成するようにしている。また、弁部材324において弁体325を包囲するように環状に形成された固着部326を可動膜本体321に固着させるようにしている。そのため、可動膜320における弁体近傍の部分は弁部材324が固着された分だけ相対的に厚くなり、可動膜320における弁体325近傍の剛性を相対的に高くすることができる。従って、可動膜320全体の変形を許容しながら弁体325近傍の撓みを抑制し、可動膜320の撓みによる貫通孔323の開放を抑制することができる。
(11)また、弁部材324に馬蹄形状の切込み324aを入れることにより、比較的容易に切込み324aの内周側の部分によって舌片状の弁体325を形成するとともに、弁体325を包囲するように環状に延びる固着部326を形成することができる。
尚、上記第4の実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・第1の実施形態における切込み21aと同様に弁部材324に形成する切込み324aを傾斜させて設けることにより、可動膜320の延伸方向における弁体325の面積を受圧室側から平衡室側に向かって次第に小さくする構成を採用することもできる。こうした構成を採用した場合には、弁体325は、受圧室側から平衡室側に向かって面積が次第に小さくなるようにその外周面が傾斜したテーパ形状となる。また、弁体325の周囲には弁体325の形状と対応して傾斜したテーパ面が形成されるようになる。そのため、受圧室15aの内圧が上昇する場合には、弁体325が可動膜320に押し当てられて密接するのと併せて、弁体325周囲のテーパ面と弁体325の傾斜した外周面とが密接するようになり、液体が貫通孔323を通じて平衡室側に流動するのをより好適に抑制することができるようになる。
・上記第4の実施形態では、弁部材324に馬蹄形状の切込み324aを設けることによって舌片状の弁体325と、弁体325を包囲するように延びる固着部326とを形成する構成を示した。これに対して、弁部材324に形成する切込み324aの形状は必ずしも馬蹄形状でなくてもよい。例えば、「コ」の字状、「H」字状、「く」の字状等、その他切込みの形状を適宜変更した場合であっても、舌片状の弁体と、弁体を包囲するように延びる固着部とを形成することができる。
・また、上記第4の実施形態では、可動膜320における弁体325近傍の膜厚を相対的に厚くするために、弁体325を包囲する固着部326を備えた弁部材324を可動膜本体321に固着させる構成を示したが、この発明はこうした構成に限定されるものではない。即ち、可動膜における弁体近傍の膜厚をその他の部分よりも相対的に厚くした構成であれば、可動膜全体の弾性変形を許容しながら弁体近傍の剛性を相対的に高くすることができる。そのため、可動膜における弁体近傍の膜厚を相対的に厚くすることのできる構成であれば適宜変更して採用することができる。
尚、上記第1〜4の実施形態はこれを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記第1〜4の実施形態では、可動膜の中央部分に貫通孔及び貫通孔を閉塞する弁体を形成する構成を示した。これに対して、可動膜の中心位置から偏心させて弁体を設ける構成を採用することもできる。外周部分が支持部材30に加硫接着されて液室15を隔てている可動膜は、受圧室15aの内圧変動によって変形する場合、その外周部分よりも中心部分のほうが大きく撓むこととなる。上述したように可動膜が撓むと、弁体が可動膜から剥離し、受圧室15a内にキャビテーションが生じるような負圧が発生していないのにもかかわらず、貫通孔が開放されてしまうおそれがある。そこで、図17に示されるように貫通孔423及び弁体425を可動膜420の中心Cから偏心した位置に設けることにより、可動膜420の撓みによって貫通孔423が開放されることを抑制することができるようになる。具体的には、受圧室15aの内圧が低下して図18(a)に示されるように可動膜420が弾性変形する場合にあっても、可動膜420の外周側部分はその撓みが小さいため、可動膜420の撓みによって貫通孔423が開放されることが抑制される。一方、更に受圧室15aの内圧が低下した場合には、図18(b)に示されるように受圧室15a内の負圧の影響により弁体425が可動膜420から剥離するように弾性変形し、貫通孔423が開放されるようになる。
尚、可動膜が固定されている外周側の部分に近くなるほど可動膜本体の撓みは小さくなるため、可動膜の撓みによる貫通孔の開放を抑制する上では、貫通孔及び弁体を可動膜の極力外周側の位置に設けることが望ましい。
・上記第1〜4の実施形態では、区画部材16として液室15を受圧室15aと平衡室15bとに区画する部分が全体的に弾性材料からなる可動膜によって形成されている構成を示したが、区画部材16は、液室15を区画する部分のうち、その一部に可動膜による弁体か構成されていればよい。例えば、図19に示されるように区画部材116の中央部分のみに貫通孔523と弁体525とを備えた可動膜520を形成する構成を採用することもできる。
・また、区画部材16にこうした弁体を備える可動膜を複数設ける構成や、可動膜に貫通孔を複数形成するとともに、それらを覆う弁体を複数設ける構成を採用することもできる。
・上記第1〜4の実施形態では、本発明にかかる液体封入式防振装置をエンジンマウントに具体化した例を示したが、この発明は、トランスミッションを車体に連結する防振装置等にも適用することができる。また、その他、自動車用の防振装置に限らず、弾性部材からなる可動膜で仕切られた2つの液室をオリフィス通路によって接続した液体封入式防振装置に広く適用することができる。
この発明の第1の実施形態にかかるエンジンマウントの断面図。 同実施形態にかかる区画部材の分解斜視図。 同実施形態にかかる可動膜の分解斜視図。 (a),(b),(c)は同実施形態にかかる受圧室側弾性膜の三面図。 (a),(b),(c)は同実施形態にかかる平衡室側弾性膜の三面図。 (a),(b)は同実施形態にかかる可動膜の変形態様を示す断面図。 第1の実施形態の変更例にかかる可動膜の断面図。 (a),(b),(c)は第2の実施形態にかかる可動膜の三面図。 (a),(b)は同実施形態にかかる可動膜の変形態様を示す断面図。 (a)は第3の実施形態にかかる可動膜の上面図、(b)は(a)におけるb‐b線断面図。 (a),(b)は同実施形態にかかる可動膜の変形態様を示す断面図。 同実施形態の変更例にかかる可動膜の分解斜視図。 同実施形態の変更例にかかる可動膜の分解斜視図。 第4の実施形態にかかる可動膜の分解斜視図。 (a)は同実施形態にかかる可動膜の上面図、(b)は(a)におけるb‐b線断面図。 (a),(b)は同実施形態にかかる可動膜の変形態様を示す断面図。 同実施形態の変更例にかかる可動膜の上面図。 (a),(b)は同変更例にかかる可動膜の変形態様を示す断面図。 同実施形態の変更例にかかるエンジンマウントの断面図。 一般のエンジンマウントの断面図。
符号の説明
10…マウント本体、11…車体側取付部材、12…エンジン側取付部材、13…弾性部材、14…可撓性膜、15…液室、15a…受圧室、15b…平衡室、16…区画部材、17…オリフィス通路、20…可動膜、21…受圧室側弾性膜、21a…切込み、22…平衡室側弾性膜、22a…切込み、23…貫通孔、25…弁体、120…可動膜、120a…テーパ面、121…切込み、123…貫通孔、125…弁体、125a…外周面、220…可動膜、221…可動膜本体、223…貫通孔、225…弁体、320…可動膜、321…可動膜本体、323…貫通孔、324…弁部材、324a…切込み、325…弁体、326…固着部、420…可動膜、421…可動膜本体、423…貫通孔、425…弁体。

Claims (12)

  1. 振動源及び支持体に取り付けられる一対の取付部を連結する弾性部材と、前記弾性部材と可撓性膜とによって区画形成され液体が封入された液室と、同液室を前記一対の取付部の相対変位により生じる前記弾性部材の変形に伴って内圧が変化する受圧室と前記可撓性膜が変形することにより容積変化が許容される平衡室とに区画する区画部材と、前記受圧室と前記平衡室とを連通するオリフィス通路とを備え、前記区画部材は少なくともその一部が弾性材料からなる可動膜とされた液体封入式防振装置において、
    前記可動膜は、厚さ方向に貫通して前記受圧室と前記平衡室とを連通する貫通孔が形成されるとともに、同可動膜の前記受圧室側の面に沿って延びて同貫通孔の受圧室側開口を覆うことにより同貫通孔を閉塞する一方、前記受圧室の内圧低下に伴って弾性変形することにより前記貫通孔を開放する舌片状の弁体を備えてなる
    ことを特徴とする液体封入式防振装置。
  2. 請求項1に記載の液体封入式防振装置において、
    前記可動膜は、厚さ方向に貫通する切込みにより舌片状の前記弁体が形成された受圧室側弾性膜と、厚さ方向に貫通する前記貫通孔が形成された平衡室側弾性膜とを重ね合わせることにより形成されてなる
    ことを特徴とする液体封入式防振装置。
  3. 請求項2に記載の液体封入式防振装置において、
    前記受圧室側弾性膜は、前記弁体が形成される部分の膜厚が相対的に厚く設定されてなる
    ことを特徴とする液体封入式防振装置。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の液体封入式防振装置において、
    前記切込みは、馬蹄形状をなす
    ことを特徴とする液体封入式防振装置。
  5. 請求項2〜4のいずれか一項に記載の液体封入式防振装置において、
    前記切込みは、前記弁体の前記可動膜の延伸方向における面積が前記受圧室側から前記平衡室側に向かって次第に小さくなるように傾斜してなる
    ことを特徴とする液体封入式防振装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体封入式防振装置において、
    前記可動膜は、前記弁体近傍の膜厚が相対的に厚く設定されてなる
    ことを特徴とする液体封入式防振装置。
  7. 請求項1に記載の液体封入式防振装置において、
    前記可動膜は、前記貫通孔が形成された可動膜本体と、厚さ方向に貫通する切込みによって、舌片状の弁体が形成されるとともに、同弁体を包囲するようにその外周側の部分が環状に形成された弁部材とからなり、同弁部材の前記舌片状の弁体が前記貫通孔の受圧室側開口を覆うように前記環状の部分が前記可動膜本体に固着されることにより形成されてなる
    ことを特徴とする液体封入式防振装置。
  8. 請求項7に記載の液体封入式防振装置において、
    前記切込みは、馬蹄形状をなす
    ことを特徴とする液体封入式防振装置。
  9. 請求項7又は請求項8に記載の液体封入式防振装置において、
    前記切込みは、前記弁体の前記可動膜の延伸方向における面積が前記受圧室側から前記平衡室側に向かって次第に小さくなるように傾斜してなる
    ことを特徴とする液体封入式防振装置。
  10. 振動源及び支持体に取り付けられる一対の取付部を連結する弾性部材と、前記弾性部材と可撓性膜とによって区画形成され液体が封入された液室と、同液室を前記一対の取付部の相対変位により生じる前記弾性部材の変形に伴って内圧が変化する受圧室と前記可撓性膜が変形することにより容積変化が許容される平衡室とに区画する区画部材と、前記受圧室と前記平衡室とを連通するオリフィス通路とを備え、前記区画部材は少なくともその一部が弾性材料からなる可動膜とされた液体封入式防振装置において、
    前記可動膜は、厚さ方向に貫通する切込みによって前記受圧室側から前記平衡室側に向かって前記可動膜の延伸方向における面積が次第に小さくなるように外周面が傾斜した舌片状の弁体が形成されるとともに、同弁体によって閉塞される一方、同弁体が弾性変形することにより開口されるテーパ状の内周面を有する貫通孔が形成されてなる
    ことを特徴とする液体封入式防振装置。
  11. 請求項10に記載の液体封入式防振装置において、
    前記切込みは、馬蹄形状をなす
    ことを特徴とする液体封入式防振装置。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の液体封入式防振装置において、
    前記貫通孔及び前記弁体は、前記可動膜の延伸方向における中心から偏心した位置に設けられてなる
    ことを特徴とする液体封入式防振装置。
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