JP2008223194A - 多層抄き無塵紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】挿間紙として使用し、LSI等の半導体素子を装着する電子回路用リードフレームや液晶パネルなどの製造工程において、発塵のトラブルが生じず、またクッション性にも優れ、万一、塵、埃、紙粉などの異物が混入しても、電子回路や液晶パネルの損傷を最小限に抑制することができる無塵紙を提供する。
【解決手段】少なくとも表層、裏層、及び表層と裏層との間に配置される1層又は複数層から成る中間層を有する多層抄き無塵紙であって、中間層の少なくとも1層を、少なくとも熱発泡性粒子と熱溶融性繊維とを含有したクッション層とし、多層抄き無塵紙の密度を0.55〜0.80g/cm3とする。
【選択図】なし
【解決手段】少なくとも表層、裏層、及び表層と裏層との間に配置される1層又は複数層から成る中間層を有する多層抄き無塵紙であって、中間層の少なくとも1層を、少なくとも熱発泡性粒子と熱溶融性繊維とを含有したクッション層とし、多層抄き無塵紙の密度を0.55〜0.80g/cm3とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、LSI等の半導体素子を装着する電子回路用リードフレームに代表される半導体関連分野や液晶パネル製造工程における挿間紙として好適に利用される無塵紙に関する。
LSIを始めとする半導体等のエレクトロニクス産業、医薬品や食品の製造業、および、精密機械工業等の先端産業においては、塵埃等によって製品の欠陥や品質、歩留まり等に重大な悪影響が生じることから、クリーンルーム内に塵埃のない環境を作り、そこで必要とする各種の作業が行われている。そして、クリーンルーム内での各種の作業においては、塵埃の内部への搬入を極力防止するとともに、内部での作業に伴う塵埃の発生を極力抑制することが必要とされる。その一つとして、LSI等の半導体素子を装着する電子回路用リードフレーム等の薄物材料の場合には、外部の衝撃からリードフレームを保護し、リードフレームの損傷を防止する(損傷防止効果)、リードが絡まないようにする、高湿度下でのリードフレーム表面の結露を吸収し、リードフレームの錆発生を防止する(吸水・吸湿効果)などの目的で、各材料間に挿間紙を入れる場合が多く、この挿間紙として、無塵紙が利用されている。
このように挿間紙として使用される無塵紙には、擦ったり、揉んだり、引き裂いたりしても、塵埃が発生しないという特性が要求されている。特に、リードフレームと挿間紙(無塵紙)が擦れた時に無塵紙から発塵しないことや、挿間紙(無塵紙)は、リードフレームの形状に打ち抜かれて使用されるが、この打ち抜き時に発塵が少ないことが要求されている。
また、他の要求特性としては、挿間紙の一般的な特性であるが、厚み精度が高いことや平滑性が高いことが要求される。さらに、リードフレームが銅製を中心とする金属製であり腐食や錆が問題になることから、挿間紙中のイオン分が少ないことも要求されている。
このような無塵紙としては、ポリプロピレン樹脂や不織布をベースに作成された合成紙タイプの無塵紙、及び天然パルプを主体とした原紙にバインダー樹脂を含浸させた含浸紙タイプの無塵紙がある。
合成紙タイプの無塵紙としては、ユポコーポレーション社製の商品名「ユポ」、日清紡社製の商品名「ピーチ」等がある。
しかしながら、この合成紙タイプの無塵紙は、発塵量は極めて少量となるものの、非常に高価であるという問題がある。また、原料の性質上熱に弱く、通常のオフセット印刷やプリンターを用いた印刷が困難となったり、印字性能が低下するという問題があった。
また、含浸紙タイプの無塵紙としては、例えば特許文献1に、原紙の表面に合成樹脂を含浸させ、この原紙が特定の塩素イオン濃度及び特定の硫酸イオン濃度を有する無塵紙が提案されており、特許文献2に、特定の樹脂エマルジョンを用いてなる無塵紙が提案されており、特許文献3に、古紙パルプを配合してなり、特定の物性を有する原紙に、樹脂エマルジョンを塗工・含浸させてなる無塵紙が提案されている。また、特許文献4に、樹脂エマルジョンを含浸させた含浸紙を2枚以上貼り合わせた無塵紙が提案されている。
しかしながら、この含浸紙タイプの無塵紙には、合成紙タイプの無塵紙よりも安価に製造できるという利点はあるものの、発塵抑制効果と、製品のブロッキング、ベタツキ、裁断した際の刃の汚れ、印刷適性、筆記性等の種々の作業性とのバランスが悪いという問題があった。すなわち、発塵抑制効果を向上させるべく、含浸薬剤の種類や含浸量を決定すると、作業性が低下し、逆に作業性を重視すると十分な発塵抑制効果が得られないという問題があった。
さらに、特許文献4に記載の無塵紙は、樹脂エマルジョンの含浸工程を必要とするうえに、得られた含浸紙を貼り合せる工程をも必要とするため、製造コストが高くなるという問題がある。
このように上述のクリーンルーム内での記録用無塵紙の技術や、クリーンルーム内で用いる挿間紙としての技術を用いても、挿間紙用の無塵紙としては未だ十分に要求を満たしていないのが現状である。
さらに、最近は、外部からの圧力を吸収し、リードフレームの変形を防止する、クッション効果も挿間紙に求められている。
無塵紙にクッション性を付与するために、例えば嵩高剤を原料パルプに含有させる、嵩高な特性を持つ機械パルプ、針葉樹パルプを含有させる、原料パルプのフリーネスを高くする、抄紙工程におけるプレス線圧、カレンダー線圧を低くするなどの手段があるが、いずれの手段もパルプ繊維同士の絡み合いを弱くする、又は少なくするものであり、その結果、発塵量の増加を招き、本技術分野における無塵紙としての発塵レベルを確保できないというのが実情である。
本発明は上述したような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、挿間紙として使用し、LSI等の半導体素子を装着する電子回路用リードフレームや液晶パネルなどの製造工程において、発塵のトラブルが生じず、またクッション性にも優れ、万一、塵、埃、紙粉などの異物が混入しても、電子回路や液晶パネルの損傷を最小限に抑制することができる無塵紙を提供することにある。
本発明の上記目的は、少なくとも表層、裏層、及び前記表層と前記裏層との間に配置される1層又は複数層から成る中間層を有する多層抄き無塵紙であって、前記中間層の少なくとも1層を、少なくとも熱発泡性粒子と熱溶融性繊維とを含有したクッション層とし、密度が0.55〜0.80g/cm3に調整されたことを特徴とする多層抄き無塵紙を提供することによって達成される。
前記クッション層には、前記熱発泡性粒子がパルプ固形分に対して固形分換算で1〜12質量%、前記熱溶融性繊維がパルプ固形分に対して固形分換算で1〜10質量%含有されており、また、前記多層抄き無塵紙の坪量に占める前記クッション層の付け量の割合が30〜80質量%であることを特徴とする多層抄き無塵紙を提供することによって、効果的に達成される。
SEMI G67−0996に準じた、さばき試験による50μm以上の発塵量が40個以下であることを特徴とする多層抄き無塵紙を提供することによって、より効果的に達成される。
本発明に係る多層抄き無塵紙によれば、少なくとも表層、裏層、及び表層と裏層との間に配置される1層又は複数層から成る中間層を有する多層抄きとし、この中間層の少なくとも1層を、少なくとも熱発泡性粒子と熱溶融性繊維とを含有したクッション層としたので、発塵防止効果に優れる、すなわち発塵が少なく、発塵によるトラブルが生じず、しかもクッション性に優れるという相反する品質を得ることができる。
また、多層抄き無塵紙の密度を0.55〜0.80g/cm3に調整することにより、発塵防止効果及びクッション性のバランスがより優れたものとなる。
また、各クッション層に、熱発泡性粒子を各クッション層のパルプ固形分に対して固形分換算で1〜12質量%、熱溶融性繊維を各クッション層のパルプ固形分に対して1〜10質量%含有し、また、多層抄き無塵紙の坪量に占めるクッション層の付け量の割合を30〜80質量%としたので、発塵防止効果及びクッション性のバランスがより優れたものとなる。
さらにまた、本発明に係る多層抄き無塵紙はSEMI G67−0996に準じた、さばき試験による50μm以上の発塵量が40個以下である。
以下、本発明に係る多層抄き無塵紙について、表層、中間層、及び裏層の3層の紙層から成る場合を例に詳細に説明する。なお、本発明に係る多層抄き無塵紙は、以下の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲内において、その構成を適宜変更できることはいうまでもない。
本発明に係る多層抄き無塵紙(以下、「本無塵紙」という。)は、表層、1層の中間層、及び裏層の3層の紙層により構成されており、中間層に、熱発泡性粒子と熱溶融性繊維とを含有し中間層をクッション層とした。
なお、本無塵紙は、中間層が2層以上の複数層から構成されても良く、この場合は、中間層の少なくとも1層に熱発泡性粒子と熱溶融性繊維とを含有させてクッション層とすればよい。すなわち、中間層の少なくとも1層がクッション層として構成されれば、本発明の目的は達成することができる。
本無塵紙は、このように多層抄きとすることにより、中間層のみに熱溶融性繊維を含有させることができる。すなわち、表層及び裏層には熱溶融性繊維を含有せずに、無塵紙を構成することができる。これにより、抄紙工程で中間層の熱溶融繊維を溶融させながら製造することができるため、溶融した熱溶融性繊維がドライヤや用具、あるいはロールに付着することがなくなる。なお、単層紙の場合には、紙表面の溶融した熱溶融性繊維がドライヤや用具、ロールに付着するため、操業性が低下してしまう。
本無塵紙の各層の原料パルプは特に限定されない。例えば、木材パルプ、非木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプ等を用いることができる。より具体的には、砕木パルプ(GP)、ストーングランドパルプ(SGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ブリーチケミサーモメカニカルパルプ(BCTMP)等の機械パルプ(MP)、化学的機械パルプ(CGP)、半化学的パルプ(SCP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等のクラフトパルプ(KP)、ソーダパルプ(AP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)等の化学的パルプ(CP)、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)等を原料とする合成パルプ、脱墨パルプ(DIP)、ウエストパルプ(WP)等の古紙パルプ、かすパルプ(TP)、木綿、アマ、麻、黄麻、マニラ麻、ラミー等を原料とするぼろパルプ、わらパルプ、エスパルトパルプ、バガスパルプ、竹パルプ、ケナフパルプ等の茎稈パルプ、靭皮パルプ等の補助パルプなどから、一種又は数種を適宜選択して使用することができる。
ただし、合成パルプは発塵性が低いものの高価であること、非木材パルプ、古紙パルプはパルプ強度が弱く、発塵性が高いこと、機械パルプは微細繊維の割合が多く、この微細繊維に起因する発塵が多いことなどから、LBKPとNBKPなどのクラフトパルプが好ましい。
さらに、LBKPとNBKPとでは、本技術分野における使用方法においては、NBKPよりもLBKPの方が発塵量は少ないが、断裁適性や剛性など他の品質とのバランスの点から、特に原料パルプ全体の60〜95質量%をLBKPとすることが好ましい。
また、原料パルプとして、漂白パルプを使用する場合は、無塩素漂白化学パルプであるECF(Elementary Chlorine Free)パルプ、TCF(Totally Chlorine Free)パルプを使用するのが好ましい。無塩素漂白化学パルプとは、分子状塩素(Cl2)を使用せずに製造した化学パルプであり、ECFパルプとは、分子状塩素を使用せず、二酸化塩素(ClO2)で漂白して製造したパルプで、TCFパルプとは、二酸化塩素(ClO2)のような塩素化合物も一切使用せずに漂白したパルプである。ECFパルプ、TCFパルプは、金属腐食性の強い塩素イオンの含有量が少ないため、銅などからなるリードフレームの腐食が防止される。また、塩素イオンの含有量が少ないと、低温焼却によってもダイオキシン類等の有機塩素化合物が生成される危険が少ないという利点もある。さらに、リードフレームの腐食を防止するという観点からは、塩素イオンのほか、ナトリウムイオン等のあらゆるイオンが少ない方がよいため、JIS P 8133に基づく熱水抽出pHが5以上となるようにするのが好ましい。もっとも、熱水抽出pHが高すぎ強アルカリ領域であると、リードフレームの溶解が生じるおそれがあるため、熱水抽出pHは9以下とするのが好ましい。
本無塵紙は、中間層を構成する原料パルプ中に、熱発泡性粒子と熱溶融性繊維とを含有し、中間層をクッション層とした。これにより、発塵によるトラブルが生じず、しかもクッション性に優れるという相反する品質を満足させることができる。
すなわち、中間層の原料パルプ中に、熱発泡性粒子を混入することにより、抄紙工程のワイヤパート、プレスパートでパルプ繊維同士の絡み合いを確保した上で、熱発泡性粒子を乾燥工程で発泡させクッション性を得ることができる。このため、本無塵紙の使用方法、要求品質において特に有用である。
しかしながら、無塵紙においては、熱発泡性粒子を含有させることによる僅かな発塵も問題になる。発塵を抑制するためには、引用文献に記載のように樹脂を含浸させることも可能ではあるが、製品のブロッキング、ベタツキ、裁断した際の刃の汚れなどが生じるという問題がある。そこで、本無塵紙においては、熱発泡性粒子のほかに、熱溶融性繊維も含有させてクッション層を形成する。
なお、熱溶融性繊維は、中間層だけではなく、表面層(表層及び/又は裏層)にも混抄することが考えられる。しかしながら、熱溶融性繊維を表面層に混抄すると、ドライヤパート等において、熱溶融性繊維がドライヤロール等に付着するおそれがあるため、中間層に混抄するのが好ましい。
すなわち、本無塵紙は中間層の原料パルプ中に、一般紙では使用しない、熱溶融性繊維と熱発泡性粒子とを含有することによって、はじめて発塵によるトラブルが生じず、しかもクッション性に優れるという相反する品質を満足させることができたものである。
以下に、本無塵紙に含有される熱発泡性粒子及び熱溶融性繊維について詳述する。
熱発泡性粒子は、中間層のパルプ固形分に対して1〜12質量%、好ましくは2〜6質量%含有される。熱発泡性粒子の含有率が1質量%未満であると、熱発泡性粒子が発泡した状態であっても、熱発泡性粒子の存在密度が低いため、本無塵紙が所望とするクッション性を得ることができない。一方、熱発泡性粒子の含有率が12質量%を超えると、クッション性には優れるものの、後述する熱溶融性繊維を含有しても、発塵量を抑えることが難しくなる。さらに、無塵紙の層間強度が低下する、熱発泡性粒子の歩留りが低下する、製造コストが高くなるなどの問題も生じる。
なお、無塵紙に含有される熱発泡性粒子の含有率を増加させたい場合には、クッション層1層当りの熱発泡性粒子の含有率は1〜12質量%のままで、クッション層となる中間層を2層以上設けることが好ましい。これにより、本無塵紙が所望とするクッション性を得やすくなる。
この熱発泡性粒子としては、熱可塑性合成樹脂で構成された微細粒子外殻内に低沸点溶剤を封入したものを用いることができる。この熱発泡性粒子は、平均粒径が5〜30μmで、90〜200℃での加熱により直径が4〜5倍、体積が50〜130倍に膨張する。
外殻を構成する熱可塑性合成樹脂としては、例えば、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の共重合体等を挙げることができる。また、外殻内に封入される低沸点溶剤としては、例えば、イソブタン、ペンタン、石油エーテル、ヘキサン、低沸点ハロゲン化炭化水素、メチルシラン等を挙げることができる。
このような熱発泡性粒子としては、例えば、松本油脂製薬株式会社製造の「マツモトマイクロスフェアF−20シリーズ」、「同F−30シリーズ」、「同F−36シリーズ」、「同F−46シリーズ」や、日本フィライト株式会社販売の「エクスパンセルWU」、「同DU」などを使用することができるが、本無塵紙に使用される熱発泡性粒子はこれらに限定されるものではない。
熱発泡性粒子は、外殻を構成する熱可塑性合成樹脂の軟化点以上に加熱され、同時に封入されている低沸点溶剤が気化し蒸気圧が上昇することにより、外殻が膨張して粒子が膨張する。なお、膨張時は、内圧と殻の張力・外圧が釣り合って膨張状態が保持される。熱発泡性粒子は、一般的にはこの状態まで膨張させ、軽量化剤、嵩高化剤、断熱剤などとして利用されている。この膨張状態の熱発泡性粒子にさらに熱が加えられた場合には、膨張して薄くなった殻からガスが透過拡散し、内圧よりも殻の張力・外圧が大きくなってしまい、発泡した粒子が収縮してしまう。
また、本無塵紙に使用される熱発泡性粒子は、乾燥工程でドライヤにより発泡させる。従って、一般的に紙乾燥工程の温度は130℃程度であることから、膨張開始温度が90〜130℃の低温膨張タイプの熱発泡性粒子を用いることが好ましい。特に、膨張開始温度が90℃未満の熱発泡性粒子であると、乾燥工程のドライヤにより発泡させた場合、上述したように一旦膨張した粒子が再び収縮してしまい、所定のクッション性をクッション層となる中間層に付与することが難しくなる。
また、熱溶融性繊維は、中間層のパルプ固形分に対して1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%含有される。熱溶融性繊維の含有率を1質量%以上とすることにより、発塵防止効果が得られる。また、熱溶融性繊維の含有率を10質量%以下とすることにより、吸湿性が著しく低下するのを回避することができる。
熱溶融性繊維としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)系繊維、ポリエチレン(PE)系繊維、EVA系繊維、ビニロン系繊維、PVA系繊維、アラミド系繊維、炭素繊維、レーヨン系繊維、アクリル系繊維、ポリアミド系繊維、ガラス系繊維など種々のものが知られている。
しかしながら、本無塵紙においては、上述した熱発泡性粒子との接着性、パルプ繊維との接着性、原料パルプ中に混合して抄紙できること、抄紙機の乾燥工程で適切に溶融し熱発泡性粒子、パルプ繊維と接着することなどの点から、PET系繊維、PE系繊維、EVA系繊維、ビニロン系繊維、PVA系繊維などを主原料とする熱溶融性繊維を用いることが好ましく、これらの中でも特にPVA系繊維、PET系繊維を主原料とする熱溶融性繊維が熱発泡性粒子の発泡を阻害せず、発塵量の低減効果に優れるので好ましい。
熱溶融性繊維の溶融温度としては、繊維表面の溶融温度が60〜130℃であるものが好ましい。具体的には、ソフィットN720/クラレ製、TJ04CN/帝人製、ビニロンバインダーSML/ユニチカ製、EA−CHOP/チッソ製、エステル4080/ユニチカ製、NBF/ダイワボウ製などが好適に使用できる。
また、本無塵紙のクッション層となる中間層の原料パルプには、上述した熱発泡性粒子、熱溶融性繊維の他に、澱粉、填料、消泡剤、染料、紙力増強剤、防滑剤、pH調整剤等を含有してもよい。
クッション層となる中間層の付け量は、本無塵紙全体の坪量に占めるクッション層の付け量の割合が30〜80質量%、好ましくは40〜80質量%である。これにより、本無塵紙は所望とするクッション性を得ることができる。本無塵紙全体の坪量に占めるクッション層の付け量の割合が30質量%未満であると、所定量の熱発泡性粒子を含有させても、クッション層の厚さが薄くなるため、本無塵紙の所望とするクッション性を得ることができない場合がある。一方、本無塵紙全体の坪量に占めるクッション層の付け量の割合が80質量%を超えると、クッション性を付与するという点では優れるものの、クッション層以外の層(本実施例では表層及び裏層)の付け量が必然的に少なくなる。このため、表層と裏層との間に配置される中間層を均一に被覆できない場合があり、表面性、表面強度の悪化を招くことがある。
本無塵紙の坪量は、使用目的によっても変化するが、200〜800g/m2の範囲内にあることが好ましく、500〜750g/m2の範囲にあることがより好ましい。本無塵紙の坪量が200g/m2未満であると、必然的に中間層の付け量が小さくなり、クッション性に優れる無塵紙を得ることが難しくなる。また、クッション性を得るために、熱発泡性粒子の含有量を増やすなどを行った場合には、上述の如く、熱溶融性繊維を含有させても発塵量を一定量以下に抑えることが難しくなる。一方、本無塵紙の坪量を800g/m2より大きくしても、過剰品質となると共に、製造コストが高くなるだけである。
クッション性が付与される中間層の付け量は130〜730g/m2、好ましくは150〜640g/m2である。また、表層、裏層の付け量はそれぞれ35〜95g/m2とすることが好ましい。表層、裏層の付け量がそれぞれ35g/m2未満であると、表層、裏層が中間層を均一に被覆できない場合があり、表面性の悪化、表面強度の低下を招く場合がある。一方、表層、裏層の付け量がそれぞれ95g/m2を超えると、中間層を均一に被覆するという点では優れるものの、無塵紙全体の坪量はほぼ決まっているため、クッション層となる中間層の付け量が必然的に少なくなる。このため、所定量の熱発泡性粒子をクッション層に含有しても、クッション層の厚さが必然的に薄くなるため、所望とするクッション性を付与することができない場合がある。
また、本無塵紙の紙厚は、従来の無塵紙と同様に、使用用途に応じて300〜1,200μmに調整することが好ましい。すなわち、無塵紙の紙厚が高くなると、電子回路用リードフレームや液晶パネルなどの積層時にスペースを取ることとなる。これを防止するために、紙厚は従来の無塵紙と同様の厚さが好ましい。
また、本無塵紙は、密度が0.55〜0.80g/cm3、好ましくは0.55〜0.75g/cm3となるように調整する。密度が0.55g/cm3未満であると、クッション性には優れるものの、所定量の熱溶融性繊維を含有させたとしても、断面からの紙粉が発生しやすく、所望の発塵防止効果を得ることができない。一方、密度が0.80g/cm3を超えると、本無塵紙の所望とするクッション性を得難くなる。
本無塵紙は、このように全体の密度が0.55〜0.80g/cm3であっても、クッション性値は7〜20%、好ましくは10〜18%である。クッション性値が7%未満であると、本無塵紙の所望とするクッション性が不足する。一方、クッション性値が20%を超えると、発塵防止効果が少なく、発塵量の増加を招くという問題が生じ、本無塵紙を電子部品の挿間紙として使用することが難しくなる。
なお、クッション性値とは、JIS P 8111の標準状態の下で、以下の(1)〜(3)で紙厚(A)及び(B)を求める試験を10cm角に断裁された5枚の試料に対して行い、それぞれの試料について
圧縮率(C)={(A)−(B)}/(A)×100
の式より、圧縮率(C)を求め、この試料ごとの圧縮率(C)を5試料で平均した平均値である。
(1)10cm角に断裁された試料の任意の4箇所にて、JIS P 8118に準じて紙厚を測定し、その平均値を紙厚(A)とする。
(2)また、上記試料を、10cm角、厚み5mmの金属板2枚で挟み、プレス機により8.5MPaの圧力で10分間加圧する。
(3)10分間の加圧後、直ちに(1)で計測した4箇所についてJIS P 8118に準じて紙厚を測定し、その平均値を紙厚(B)とする。
圧縮率(C)={(A)−(B)}/(A)×100
の式より、圧縮率(C)を求め、この試料ごとの圧縮率(C)を5試料で平均した平均値である。
(1)10cm角に断裁された試料の任意の4箇所にて、JIS P 8118に準じて紙厚を測定し、その平均値を紙厚(A)とする。
(2)また、上記試料を、10cm角、厚み5mmの金属板2枚で挟み、プレス機により8.5MPaの圧力で10分間加圧する。
(3)10分間の加圧後、直ちに(1)で計測した4箇所についてJIS P 8118に準じて紙厚を測定し、その平均値を紙厚(B)とする。
また、本無塵紙の表面(表層及び裏層の表面)は使用上擦れる場合が多い。従って、表面強度を向上させたり、滑り性を調整するために、必要に応じて、本無塵紙の表面に水溶性物質を主成分とした塗工液を塗工等することが好ましい。
このような水溶性高分子としては、例えばポリアクリルアミド及びその誘導体、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、澱粉、加工澱粉、ポリスチレン−ブタジエン系、アクリル系、ポリ酢酸ビニル系等のラテックス、ワックスエマルジョン等、この分野で通常用いられる公知の種々のものを単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
また、水溶性高分子は、ガラス転移温度(Tg)が0〜30℃の樹脂であると、無塵紙を積み重ねた状態においてブロッキングせず、また、積み重ねた状態で熱が加わった場合でもブロッキングしないので好ましい。さらにまた、無塵紙を擦ったり、揉んだり、引き裂いたりしたときに塗工液中に含まれる樹脂が粉末となって剥離し、塵埃化したり、金属面や金属メッキ面に傷を付けたりする恐れもない。
樹脂のTgが0℃未満では、無塵紙を積み重ねた状態においてブロッキングしたり、積み重ねた状態で熱が加わった場合にブロッキングしたりすることから好ましくない。一方、樹脂のTgが30℃を超えると、無塵紙を擦ったり、揉んだり、引き裂いたりしたときに樹脂が粉末となって剥離し、塵埃化したり、金属面や金属メッキ面に傷を付けたりすることから好ましくない。
このような水溶性高分子を主成分とする塗工液を、片面当り固形分で0.3〜3.5g/m2、好ましくは0.3〜2g/m2塗工することで良好な表面性を得ることができる。また、本無塵紙の基紙の表面を均一にむらなく被覆できるとともに基紙内部にまで塗工液が十分浸透することになり、無塵紙を擦ったり、揉んだり、引き裂いたりしたときに表面からはもちろん切断面から発塵する恐れがないことから好ましい。
塗工量が0.3g/m2未満では、基紙の表面を均一にむらなく塗工液で被覆することができず、また、基紙内部にまで塗工液を十分に浸透させることができない。従って、無塵紙の表面からパルプ繊維が露出する箇所ができたり、無塵紙の表面に摩擦等が加わることによって毛羽立ちが生じたり、パルプ繊維がちぎれて塵埃となったり、また、無塵紙を擦ったり、揉んだり、引き裂いたりしたときに表面からはもちろん切断面から発塵したりすることになり好ましくない。一方、塗工量が3.5g/m2を超えても無塵紙の発塵防止効果は頭打ちとなると共に、無塵紙の製造コストの上昇に繋がるので好ましくない。
また、本無塵紙の表面に平滑化処理を施しても良い。この平滑化処理は、例えば加圧可能なロール間で本無塵紙を加圧処理することにより実施することが好ましい。平滑化処理を施す際に本無塵紙の表層の表面に接するロールは、平滑な表面を有し、加熱可能な金属製ロールであることが好ましい。
なお、本無塵紙における平滑化処理は、上記の平滑化処理の他、本無塵紙を抄紙する過程で、例えば一対の金属ロールを一組または複数組備えたカレンダーロールによるカレンダー処理(マシンカレンダーによるカレンダー処理)、金属製ロールと樹脂製ロールとを一組または複数組備えたカレンダーロールによるカレンダー処理(ソフトカレンダーによるカレンダー処理)、ヤンキードライヤによる乾燥処理等により実施することもできる。
上述したようにして形成された本無塵紙は、SEMI G67−0996に準じたさばき試験による50μm以上の紙粉の発生量(以下、「さばき発塵紙粉量」という。)が40個以下である。このように本無塵紙は、クッション性値を7〜20%としながらも、50μm以上のさばき発塵紙粉量を40個以下、好ましくは3〜40個、より好ましくは3〜30個とすることができる。これにより、本無塵紙を、例えばLSI等の半導体素子を装着する電子回路用リードフレームや液晶パネルなどの製造工程に用いても、発塵によるトラブルが生じず、しかもクッション性に優れる挿間紙として使用できる。
なお、さばき発塵紙粉量は、以下に示すように、SEMI G67−0996「シート材料から発生する粒子の測定」に準ずるさばき試験によって生じた、50μm以上の紙粉の数(個数/m3)を測定した値である。
(さばき発塵紙粉量の測定)
(1)押切りカッターにて流れ方向50mm×巾方向210mmの大きさに断裁してサンプルを作製する。
(2)流れ方向50mm×巾方向210mmの大きさに断裁されたサンプルを、厚みが15mmになるように積み重ねる。
(3)グローブボックス内で、お札を数える要領でサンプルを扇形に広げ、サンプルの長辺を10回さばく。次に紙の反対側を持ち、同様に扇形に広げ10回さばく。
(4)パーティクルカウンターの数値に変化が無くなるまで、発生した紙粉を吸引し、50μm以上の紙粉の個数を測定する。
(1)押切りカッターにて流れ方向50mm×巾方向210mmの大きさに断裁してサンプルを作製する。
(2)流れ方向50mm×巾方向210mmの大きさに断裁されたサンプルを、厚みが15mmになるように積み重ねる。
(3)グローブボックス内で、お札を数える要領でサンプルを扇形に広げ、サンプルの長辺を10回さばく。次に紙の反対側を持ち、同様に扇形に広げ10回さばく。
(4)パーティクルカウンターの数値に変化が無くなるまで、発生した紙粉を吸引し、50μm以上の紙粉の個数を測定する。
また、本無塵紙は、SEMI G67−0996に準じた摩擦試験による50μm以上の紙粉の発生量(以下、「摩擦発塵紙粉量」という。)が40個以下である。このように本無塵紙は、クッション性値を7〜20%としながらも、50μm以上の摩擦発塵紙粉量を40個以下、好ましくは0〜40個、より好ましくは0〜30個とすることができる。これにより、本無塵紙を、例えばLSI等の半導体素子を装着する電子回路用リードフレームや液晶パネルなどの製造工程に用いても、発塵によるトラブルが生じず、しかもクッション性に優れる挿間紙としてより好適に用いられる。
なお、摩擦発塵紙粉量は、以下に示すように、SEMI G67−0996「シート材料から発生する粒子の測定」に準ずる摩擦試験によって生じた、50μm以上の紙粉の数(個数/m3)を測定した値である。
(摩擦試験による発塵量測定)
(1)押切りカッターにて流れ方向148.5mm×巾方向210mmに断裁してサンプルを作製する。
(2)サンプルを2枚用意し、グローブボックス内で表面と裏面とを向い合わせにして、10秒間に3回の擦り合わせを行う。
(3)グローブボックス内の空気0.1m2をパーティクルカウンターで測定し、擦り合わせによって発生した50μm以上の紙粉の数(個数/m3)を測定とした。
(1)押切りカッターにて流れ方向148.5mm×巾方向210mmに断裁してサンプルを作製する。
(2)サンプルを2枚用意し、グローブボックス内で表面と裏面とを向い合わせにして、10秒間に3回の擦り合わせを行う。
(3)グローブボックス内の空気0.1m2をパーティクルカウンターで測定し、擦り合わせによって発生した50μm以上の紙粉の数(個数/m3)を測定とした。
なお、本無塵紙の抄紙方法については、特に限定されるものではないので、酸性抄紙法、中性抄紙法、アルカリ性抄紙法のいずれであっても良い。しかしながら、一般的な抄紙法は、酸性の抄紙工程で硫酸バンドを使用し、薬品の歩留まりを向上させる方法であるが、この抄紙法での紙のpHを測定すると約4付近となり、この紙が電子回路用リードフレーム等の挿間紙として用いられると、硫酸イオンの影響で、リードフレームの金属の腐食の原因となってしまう。また、クッション層である中間層に熱発泡性粒子を定着剤で定着させ、クッション機能を効率的に発揮させるため、熱水抽出pHが5〜9となるように中性抄紙で製造することが好ましい。
熱発泡性粒子を定着させるための定着剤としては、カチオン性の定着剤が好ましい。具体的には、例えば伯東株式会社製のハクトロンKC100などが使用できる。
また、熱発泡性粒子を効果的に定着させるためには、定着剤を固形分として0.2〜1.2質量%、好ましくは0.4〜0.6質量%含有させる。定着剤の添加量が0.2質量%未満であると熱発泡性粒子の定着が悪く、添加量が1.2質量%を超えると、熱発泡性粒子の定着効果が頭打ちとなり、コストに対する効果を発揮できなくなる。
また、抄紙機も特に限定されるものではないので、例えば長網抄紙機、ツインワイヤ抄紙機、円網抄紙機、円網短網コンビネーション抄紙機等の公知の種々の抄紙機を使用することができる。
以上、本無塵紙について、紙層が表層、中間層及び裏層の3層から成る場合について説明したが、本発明はこのような無塵紙に限らず、例えば紙層を2層とし、4層の紙層から成る無塵紙や、5層の紙層から成る無塵紙であっても良い。なお、複数層の中間層を有する無塵紙においては、中間層の全てをクッション層とする必要はなく、使用目的等に応じて、中間層の少なくとも1層がクッション層として形成されていれば良い。
本発明に係る多層抄き無塵紙の効果を確認するため、以下のような各種の試料を作製し、これらの各試料に対する品質を評価する試験を行った。なお、本実施例において、配合、濃度等を示す数値は、固形分又は有効成分の質量基準の数値である。また、本実施例で示すパルプ・薬品等は一例にすぎないので、本発明はこれらの実施例によって制限を受けるものではなく、適宜選択可能であることはいうまでもない。
本発明に係る12種類の無塵紙(これを「実施例1」ないし「実施例12」とする)と、これらの実施例1ないし実施例12と比較検討するために、5種類の無塵紙(これを「比較例1」ないし「比較例5」とする)を、表1に示すような構成で作製した。また、参考例として2種類の市販の厚紙(これを「比較例6」及び「比較例7」とする)を評価した。
以下の原料を用いて、下記の製造法に従い、表層、裏層及び両層間に位置する中間層(3層)からなる5層構造の無塵紙を得た。
<原料>
・表層及び裏層
原料パルプスラリー:針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を30質量%と、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)を70質量%とからなり、カナディアンスタンダードフリーネス(CSF)を400ccに調整した原料に、紙力剤(商品名「ハーマイドB15」ハリマ化成株式会社製)を固形分換算で0.3質量%、サイズ剤(商品名:「R−22」、近代化学株式会社製)を固形分換算で0.5質量%を配合し、これらの原料に硫酸バンドを添加してpHを6.0に調整してパルプスラリーを得た。
・中間層
原料パルプスラリー:NBKPを30質量%と、LBKPを70質量%とからなり、CSFを400ccに調整した原料に、熱溶融性繊維として、PVA系繊維(商品名「ビニロンバインダーSML」ユニチカ株式会社製、溶融温度60℃)を3質量%、熱発泡性粒子(商品名「マツモトマイクロスフェアF−46」松本油脂製薬株式会社製)を4質量%、熱発泡性粒子の定着剤(「ハクトロンKC100」伯東株式会社製)を0.5質量%、紙力増強剤(商品名「ハーマイドB15」ハリマ化成株式会社製)を0.3質量%、サイズ剤(商品名:「R−22」、近代化学株式会社製)を固形分換算で0.5質量%配合し、これらの原料に硫酸バンドを添加してpHを6.0に調整してパルプスラリーを得た。
これらの原料パルプスラリーを用い、円網5層抄紙機にて表層、3層の中間層、及び裏層の紙層を抄き合わせて、表層の付け量を80g/m2、中間層の合計付け量を540g/m2、裏層の付け量を80g/m2、無塵紙全体の坪量が700g/m2である5層抄きの多層抄き無塵紙とした。
また、この多層抄き無塵紙の表面となる表層及び裏層の表面に、下記の塗工液をカレンダー塗工方式で、各面にそれぞれ0.5g/m2塗布し、多層抄き無塵紙(実施例1)を得た。
・塗工液
水溶性高分子:完全鹸化タイプのポリビニルアルコール(商品名「PVA117」クラレ株式会社製)を使用した。なお、この水溶性高分子の鹸化度は98.5%、重合度は1700である。
水溶液濃度:上記ポリビニルアルコールを水に溶解し、PVA濃度2.5%の水溶液とし、塗工液とした。
・塗工液
水溶性高分子:完全鹸化タイプのポリビニルアルコール(商品名「PVA117」クラレ株式会社製)を使用した。なお、この水溶性高分子の鹸化度は98.5%、重合度は1700である。
水溶液濃度:上記ポリビニルアルコールを水に溶解し、PVA濃度2.5%の水溶液とし、塗工液とした。
(実施例2〜4)
中間層の原料パルプスラリーに含有される熱溶融性繊維の含有率と、中間層の付け量と、無塵紙の坪量と、密度とを表1に示すように変更した他は実施例1と同様にして得た多層抄き無塵紙。
中間層の原料パルプスラリーに含有される熱溶融性繊維の含有率と、中間層の付け量と、無塵紙の坪量と、密度とを表1に示すように変更した他は実施例1と同様にして得た多層抄き無塵紙。
(実施例5〜8)
中間層の原料パルプスラリーに含有される熱発泡性粒子の含有率と、無塵紙の坪量と、中間層の付け量と、密度とを表1に示すように変更した他は実施例1と同様にして得た多層抄き無塵紙。
中間層の原料パルプスラリーに含有される熱発泡性粒子の含有率と、無塵紙の坪量と、中間層の付け量と、密度とを表1に示すように変更した他は実施例1と同様にして得た多層抄き無塵紙。
(実施例9〜11)
中間層の原料パルプスラリーに含有される熱発泡性粒子の含有率と、表層、中間層、及び裏層の各層の付け量と、紙厚と、密度とを表1に示すように変更した他は実施例1と同様にして得た多層抄き無塵紙。
中間層の原料パルプスラリーに含有される熱発泡性粒子の含有率と、表層、中間層、及び裏層の各層の付け量と、紙厚と、密度とを表1に示すように変更した他は実施例1と同様にして得た多層抄き無塵紙。
(実施例12)
中間層の原料パルプスラリーに含有される熱発泡性粒子の含有率と、紙厚と、密度とを表1に示すように変更した他は実施例1と同様にして得た多層抄き無塵紙。
中間層の原料パルプスラリーに含有される熱発泡性粒子の含有率と、紙厚と、密度とを表1に示すように変更した他は実施例1と同様にして得た多層抄き無塵紙。
(比較例1)
中間層の原料パルプスラリーに熱溶融性繊維を含有しなかったことと、無塵紙の坪量と、中間層の付け量と、密度とを表1に示すように変更した他は実施例1と同様にして得た多層抄き無塵紙。
中間層の原料パルプスラリーに熱溶融性繊維を含有しなかったことと、無塵紙の坪量と、中間層の付け量と、密度とを表1に示すように変更した他は実施例1と同様にして得た多層抄き無塵紙。
(比較例2〜3)
中間層の原料パルプスラリーに含有される熱発泡性粒子の含有率と、無塵紙の坪量と、中間層の付け量と、密度とを表1に示すように変更した他は実施例1と同様にして得た多層抄き無塵紙。
中間層の原料パルプスラリーに含有される熱発泡性粒子の含有率と、無塵紙の坪量と、中間層の付け量と、密度とを表1に示すように変更した他は実施例1と同様にして得た多層抄き無塵紙。
(比較例4)
中間層の原料パルプスラリーに含有される熱発泡性粒子の含有率と、表層、中間層、及び裏層の各層の付け量と、紙厚と、密度とを表1に示すように変更した他は実施例1と同様にして得た多層抄き無塵紙。
中間層の原料パルプスラリーに含有される熱発泡性粒子の含有率と、表層、中間層、及び裏層の各層の付け量と、紙厚と、密度とを表1に示すように変更した他は実施例1と同様にして得た多層抄き無塵紙。
(比較例5)
表層、中間層、及び裏層の各層の付け量と、紙厚と、密度とを表1に示すように変更した他は実施例1と同様にして得た多層抄き無塵紙。
表層、中間層、及び裏層の各層の付け量と、紙厚と、密度とを表1に示すように変更した他は実施例1と同様にして得た多層抄き無塵紙。
(比較例6)
市販されているコースター原紙である。
市販されているコースター原紙である。
(比較例7)
市販されているファイル用紙である。
市販されているファイル用紙である。
なお、表1中の「坪量(g/m2)」とは、各試料全層、すなわち無塵紙全体の坪量で、JIS−P8142に記載の「紙及び板紙―坪量測定方法」に準拠して測定した値である。
表1中の「付け量(g/m2)」とは、各試料の層剥離を行い、各層の坪量をJIS−P8142に記載の「紙及び板紙―坪量測定方法」に準拠して測定した値である。
なお、層剥離は以下の手順で行った。まず、各試料から得た各サンプルを室温の水に約1時間浸漬する。水に浸漬した各サンプルを、角を起点として10mmΦ程度の丸棒に巻き付けた後、丸棒を転がして各サンプルをしごく。この操作を各サンプルの四隅の全ての角を起点に繰り返し、各方向からサンプルにしごきの力を加える。これにより、各サンプルの層間の一部が剥離してくるので、これを利用して、表層、中間層、及び裏層に分離して層剥離を行う。層剥離を行った後、各サンプルの各層を熱風乾燥機などで十分に乾燥し、試験に使用した。
「紙厚(μm)」とは、JIS−P8118に記載の「紙及び板紙―厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した値である。
「密度(g/cm3)」とは、JIS−P8142に記載の「紙及び板紙―坪量測定方法」に準拠して測定した坪量と、JIS−P8118に記載の「紙及び板紙―厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した厚さから算出した値である。
これらの全実施例及び比較例についての品質評価、すなわちクッション性値、摩擦発塵紙粉量、及びさばき発塵紙粉量について試験を行った結果は、表2に示すとおりであった。
なお、表2中の「クッション性値(%)」とは上述した測定方法で求めた圧縮率(C)の平均値である。
また、「摩擦試験(個)」とは、摩擦発塵紙粉量のことで、上述した「摩擦試験による発塵量の測定」に記載した方法により測定した値である。
さらにまた、「さばき試験(個)」とは、さばき発塵紙紛量のことで、上述した「さばき発塵紙紛量の測定」に記載した方法により測定した値である。
Claims (3)
- 少なくとも表層、裏層、及び前記表層と前記裏層との間に配置される1層又は複数層から成る中間層を有する多層抄き無塵紙であって、
前記中間層の少なくとも1層を、少なくとも熱発泡性粒子と熱溶融性繊維とを含有したクッション層とし、
密度が0.55〜0.80g/cm3に調整されたことを特徴とする多層抄き無塵紙。 - 前記クッション層には、前記熱発泡性粒子がパルプ固形分に対して固形分換算で1〜12質量%、前記熱溶融性繊維がパルプ固形分に対して固形分換算で1〜10質量%含有されており、
また、前記多層抄き無塵紙の坪量に占める前記クッション層の付け量の割合が30〜80質量%であることを特徴とする請求項1に記載の多層抄き無塵紙。 - SEMI G67−0996に準じた、さばき試験による50μm以上の発塵量が40個以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の多層抄き無塵紙。
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2007
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