JP2020196990A - 食器用塗工紙及び紙製食器 - Google Patents
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Abstract
Description
<食器用塗工紙>
当該食器用塗工紙は、1対の表層と、上記1対の表層の間に配置される複数の中層とを備える。なお、本発明における「食器」は、皿、椀、箸、カップ、コースター、トレー、マドラー、スプーン、フォーク等の食器のみならず、ナイフ、包丁等の調理器具を含む広い概念である。当該食器用塗工紙は、特にナイフ、包丁等の刃物類に好適である。
当該食器用塗工紙は、1対の表層を備える。上記表層は、針葉樹晒クラフトパルプ及び広葉樹晒クラフトパルプを主成分とする。なお、「主成分」とは、質量基準で最も含有量の多い成分をいう。
上記1対の表層の間に配置される複数の中層を備える。中層は、針葉樹晒クラフトパルプ及び広葉樹晒クラフトパルプを主成分とする。また、上記中層における上記針葉樹晒クラフトパルプの上記広葉樹晒クラフトパルプに対する質量比としては、30/70以上40/60以下である。上記中層における上記針葉樹晒クラフトパルプの上記広葉樹晒クラフトパルプに対する質量比を上記範囲とすることで、柔軟性に富む針葉樹クラフトパルプを多く含有するので、中層は良好な柔軟性を備える。従って、上述したように剛度を有し、硬いが折れ易い傾向の一対の表層に柔軟な中層を組み合わされるので、当該食器用塗工紙は強靭性や耐久性に優れる。
当該食器用塗工紙は、表層及び中層に製紙用添加剤としてサイズ剤及び紙力増強剤を含有することが好ましい。
当該食器用塗工紙は、食品等の被対象物由来の水分又は油成分の内部への浸透をより抑制するために、各層にサイズ剤を添加することができる。サイズ剤としては、スチレン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニル無水琥珀酸(ASA)、中性ロジンサイズ剤、ロジンサイズ剤、変性ロジンエマルジョンサイズ剤などが挙げられる。これらの中でもロジンサイズ剤及び変性ロジンエマルジョンサイズ剤が好ましい。
当該食器用塗工紙は、各層に紙力増強剤サイズ剤を添加することができる。紙力増強剤を添加することで、各層に紙製食器として用いるために適切な諸強度を付与できる。
また、当該食器用塗工紙は、本発明の目的とする効果を損ねない範囲でその他の各種製紙用添加剤を含有させてもよい。当該食器用塗工紙に添加可能なその他の添加剤としては、例えば、公知の製紙用薬剤などが挙げられる。
当該食器用塗工紙は、表層の表面に完全鹸化ポリビニルアルコールを含有する表面塗工層を有する。食品等の被対象物由来の水分又は油成分の内部への浸透抑制と表面強度保持のため、食品等の被対象物と接触する表層表面には比較的強い被膜形成が必要であるが、当該食器用塗工紙が上記表面塗工層を有することにより、食器用塗工紙に良好な表面強度を有するとともに、水分又は油成分の内部への浸透抑制効果が高い。
(坪量)
坪量は、JIS−P8124(2011)に準拠して測定される。当該食器用塗工紙の各層の坪量は均等である必要はなく、表層及び中層の坪量は、特に限定されるものではないが、表層1層の坪量としては、90.0g/m2以上300.0g/m2以下が好ましい。また、中層全体の坪量としては、450.0g/m2以上925.0g/m2以下が好ましい。
紙厚は、JIS−P8118(2014)に記載の「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定される。当該食器用塗工紙の紙厚としては、950μm以上1,300μm以下が好ましい。当該食器用塗工紙の紙厚が上記範囲であることで、当該食器用塗工紙の紙層の剥がれを抑制できる。
当該食器用塗工紙の密度としては、0.73g/cm3以上0.88g/cm3以下が好ましい。当該食器用塗工紙の密度が上記範囲であることで、低坪量及び軽量化を可能にしつつ、剛性が優れる。
JIS−P8127(2010)に準拠して測定される当該食器用塗工紙の水分としては、9.0%以上11.0%以下であることが好ましい。当該食器用塗工紙の上記水分が上記範囲であることで、柔軟性が向上するので、当該食器用塗工紙を用いて食器を製造する場合の折機での作業性及び折部の断裂抑制効果を向上できる。
灰分は、JIS−P8251(2003)に準拠して測定される。当該食器用塗工紙の密度としては、0.1%以上10.0%以下が好ましい。当該食器用塗工紙の密度が上記範囲であることで、カールをフラットに調整でき、かつ、層間強度の低下を抑制できる。
表面強度は、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.1 m−72による「表面強度試験方法」に準拠して測定される。当該食器用塗工紙の表面強度の下限としては、10Aが好ましい。当該食器用塗工紙の表面強度が上記範囲であることで、表層の脱落や搬送、加工段階での耐擦傷性を向上できる。
コブサイズ度は、JIS−P8140(1998)に準拠して23℃の蒸留水を使用して測定される。当該食器用塗工紙のコブサイズ度の上限としては、50g/m2が好ましい。当該食器用塗工紙のコブサイズ度が上記上限以上の場合、当該食器用塗工紙が吸湿により波うちやシワの発生を招くおそれがある。
当該耐水耐油紙のZ軸強度としては、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.18−1:2000に準拠して測定されるZ軸強度で380kN/m2以上が好ましい。上記Z軸強度を有することで、食器成形時における層間剥離や皺の発生を抑制できる。
食器用塗工紙の製造方法は特に限定されないが、例えば以下の工程により、公知の多層抄き抄紙機を用いて製造することができる。
(1)パルプ繊維を水に分散させて得たスラリーに、各紙層に対応した添加剤を必要に応じ添加して混合し、各紙層の紙料を調製する。
抄紙方法は特に限定されるものではなく、公知の抄紙機、すなわち長網、円網、ハイブリッドフォーマー、ギャップフォーマー等の抄紙機を使用し、3層以上の多層で抄紙される。抄紙工程では、サイズプレス、メタリングサイズプレス、ゲートロールコーターなどの塗工装置等を使用して、表層の表面に塗工液を塗工して表面塗工層を形成することができる。
乾燥後には、ニップキャレンダー、スーパーキャレンダー、マシンキャレンダー、ソフトキャレンダー等のキャレンダー装置を用いて平滑化処理を行なってもよい。平滑化処理を行うことにより、食器用塗工紙に高い光沢度が付与されて高級感を有する紙製食器に好適に用いることができる。
当該紙製食器は、当該食器用塗工紙から構成される。当該紙製食器は、当該食器用塗工紙から構成されるので、強靭性及び耐久性に優れる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
[フリーネス(mL)]
得られた食器用塗工紙をJIS−P8220−1(2012)のパルプの離解方法に準拠して離解することによって離解パルプとし、この離解パルプをJIS−P8121−2(2012)のカナダ標準ろ水度試験方法に準拠して測定した。
JIS−P8142(1998)に記載の「紙及び板紙−坪量測定方法」に準拠して測定した。
JIS−P8118(2014)に記載の「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
JIS−P8118(2014)に記載の「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
JIS−P8127(2010)に準拠して測定した。
JIS−P8251(2003)に準拠して測定した。
JAPAN TAPPI No.1のワックスによる表面強度試験方法に準拠して測定した。
JIS−P8140(1998)に準拠して測定した。
JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.18−1:2000に準拠して測定した。
折り曲げ強度は、デジタルフォースゲージ(株式会社イマダ製)により測定し、試験条件は以下の通りとした。当該食品用塗工紙を3点折り曲げ治具に固定し、フォースゲイジを下降させた。その際の、荷重を折り曲げ強度(N)とした。なお、試験環境は、温度26℃、湿度70%で行った。
(1)以下に表層及び中層の配合を示す。
(表層)
フリーネス440mLのNBKP:LBKPが10:90の100部のパルプスラリー中に、以下の原料を添加した。
変性ロジンエマルジョン系サイズ剤(星光PMC社の「AL1344」):
固形分で2.5kg/パルプt
アクリルアミド系紙力増強剤(ハリマ化成社の「ハーマイドRB−28」):
固形分で16.0kg/パルプt
(中層)
フリーネス440mLのNBKP:LBKPが35:65の100部のパルプスラリー中に、以下の原料を添加した。
変性ロジンエマルジョン系サイズ剤(星光PMC社の「AL1344」):
固形分で3.5kg/パルプt
アクリルアミド系紙力増強剤(ハリマ化成社の「ハーマイドRB−28」):
固形分で16.0kg/パルプt
(2)このパルプスラリーをワイヤーパートが円網多層抄紙機を用いて表層、5層の中層及び表層の7層構造で抄き合わせた。各層の坪量は表層125g/m2、中層626.5g/m2、裏層125g/m2とし、全坪量880.0g/m2とした。
(3)表層の表面に、以下の塗工量となるようにポリビニルアルコール及びパラフィンワックスを含有する塗工液3.5g/m2をカレンダー塗工して表面塗工層を形成し、実施例1の食器用塗工紙を得た。
ポリビニルアルコール(日本合成化学社製「ゴーセノールN300」):2.7g/m2
パラフィンワックス(ハリマ化成社製「ハリコートRK」):0.2g/m2
スチレン・メタクリル酸共重合体樹脂表面サイズ剤(質量平均分子量9,000、融点100℃、近代化学工業社製「ケイコートSA20」SP値10.0):0.6g/m2
原料の種類、含有量及び物性値を表1及び表2に示すとおりとしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜実施例12及び比較例1〜比較例6の食器用塗工紙を得た。比較例6は部分ケン化80%のポリビニルアルコールを用いた。なお、以下の表1中の「−」は、該当する成分を用いなかったことを示す。
得られた各食器用塗工紙の評価結果を表3に示す。
Claims (5)
- 1対の表層と、上記1対の表層の間に配置される複数の中層とを備え、
上記表層及び中層が針葉樹晒クラフトパルプ及び広葉樹晒クラフトパルプを主成分とし、
上記表層における上記針葉樹晒クラフトパルプの上記広葉樹晒クラフトパルプに対する質量比が5/95以上15/85以下であり、
上記中層における上記針葉樹晒クラフトパルプの上記広葉樹晒クラフトパルプに対する質量比が30/70以上40/60以下であり、
上記表層が完全鹸化ポリビニルアルコールを含有する表面塗工層を表面に有する食器用塗工紙。 - 上記表面塗工層の塗工量が1.0g/m2以上5.0g/m2以下である請求項1に記載の食器用塗工紙。
- 全坪量に対する上記1対の表層の合計の坪量の割合が25.0%以上35.0%以下である請求項1又は請求項2に記載の食器用塗工紙。
- 上記中層の総数が4層以上である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の食器用塗工紙。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の食器用塗工紙から構成される紙製食器。
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