JP2008219280A - 携帯ip電話輻輳制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】VoIP方式の携帯電話システムで、音声通話品質の下限まで最大呼受付数を増加させセッション時間制限を行なって、セッション時間制限を低減、無線回線の空きを少なくし最大受付呼数を増やす。
【解決手段】1)パケット廃棄率を判定し、2)パケット廃棄率が閾値を超えない場合で、2−1)予め決められた受付呼数増加単位Yを増加させても最大受付呼数MSCの最大値を越えない場合は、MSCをY増加し、2−2)Yを増加させるとMSCの最大値を越える場合には、MSCを最大値にしてセッション時間を制限し、3)パケット廃棄率が閾値を超える場合には、セッション時間を制限する。また、生起呼数が閾値を超える時に輻輳制御を行う。超えない時で、輻輳制御中でない場合は、生起呼数とパケット廃棄率を再度観測し、輻輳制御中の場合は、輻輳制御を解除し、生起呼数とパケット廃棄率を再度観測する。
【選択図】図2

Description

この発明は、災害時の通信需要の急増に対して、電話システムが受付可能な端末数を増加させるためのもので、特に、CDMA(符合多重化)を用いた携帯IP電話システムにおいて通信できる端末数を増やすための、携帯IP電話輻輳制御方法に関している。
地震などの大規模災害時には被災地への安否確認などで、固定電話や携帯電話への通信需要(呼量)が急増する。携帯電話は、利用者が普段携帯しているため、災害時の連絡手段として大変有効である。しかし、携帯電話は有限な周波数帯域の中で通信を行うため、通信需要急増時に必要な通信容量(チャネル数)を確保することが難しいという問題がある。実際、2004年10月に発生した新潟県中越地震では、全国から新潟県への電話が平常ピーク時に比べ、固定電話で約50倍、携帯電話で約45倍に達した(非特許文献1)。
従来は、上記のような輻輳状態時は、重要通信を確保するために、図1のように、特別な端末の番号以外は通信を受け付けない発信規制(優先番号方式)が行われている。しかし、この規制により、一般の多くの利用者の端末が使えない状況になってしまう。
一方、周波数資源を有効に利用するシステムとして、近年、W−CDMAシステム(非特許文献2)を初め、CDMA用いた携帯電話が広く普及してきた。また、IP(インターネットプロトコル)により音声通信を行うVoIP(Voice over Internet Protocol)方式が、普及しつつあり、CDMA上での携帯IP電話システムが今後登場、普及すると期待されている。
また、パケット通信を行うCDMAシステムの容量に関する開示(特許文献1、特許文献2)があるが、これは、設計されたシステム容量以上の呼を受け付ける場合の制御に関するものではない。この点において、本発明と相異している。
また、設計されたシステム容量以上の呼を受け付ける場合の制御として、パケット廃棄率を観測し、音声通話品質の限界まで受付けるものの開示(特許文献3)がある。しかし、その効果である呼損率の減少は、呼量が大きく増加している時は、あまり大きくはないという問題と、パケット廃棄率の増加に伴う強制切断率の増加が生じてしまうという問題がある。また、災害時等の時に電話回線が輻輳している時に通話時間を規制し、呼損率を減少させる開示(特許文献4)があるが、通話時間を規制することにより生じる無線回線の空きを、効率よく使用することが出来なかった。また、輻輳時には、直ぐに、普段は規制されない通話時間が規制されてしまうことになる。
ユーザの利便性を考えると、一般に、通話規制はなるべく行わず、規制する場合も通話できる時間は長くなる方が好都合である。
また、上記の開示では、以下のような問題があった。
特許文献3の開示では、非常時の処理において、パケット廃棄率が音声品質の下限になるまで、呼受付け数の増加を続けるのみである。したがって、それ以上の生起呼数の増加には対応できない。つまり、呼量が大きく増加する時の呼損率が減少しづらい。また、呼受付けを増加させるため、パケット廃棄率が増加することになり、その結果、連続してパケット廃棄が起こりやすくなる。ある時間連続してパケット廃棄が起こるとシステムが意図しない通信品質上問題である通信中の強制切断が起こるが、これが、パケット廃棄率の増加に伴い、増加してしまう。
これに対して、本発明では、パケット廃棄率が音声品質の限界より大きくなる時は、セッション時間規制を行う。これによって、呼損率を低下させることが出来る。また、セッション時間規制を行うことで、さらに、無線回線に空きが生じ、無線資源の混雑状況が緩和し、干渉が少なくなり平均受信SIR(Signal to Interference Ratio)が増加する。このため、パケット廃棄率が低下し、パケット廃棄率の増加に伴う強制切断率も低下する。
また、特許文献4の開示では、単に通話時間を規制時間経過後切断する。しかし、本発明では、パケット廃棄率が音声品質の限界になるまでは、通話時間規制、即ち、セッション時間規制を行わない。このため、本発明では、セッション時間が、呼量急増時に直ぐには制限されない。さらに、パケット廃棄率が音声品質の限界を越える場合には、セッション時間規制を行う。これにより、無線回線に空きが生じ、このために起こるパケット廃棄率の減少が生じれば、次の観測ステップで、最大受付呼数を増加する。このように、無線回線の効率的な使用が可能となり、また、最大受付呼数が増加されるので、セッション規制時間を長く設定できる。
特開2000−308137号公報 特開2003−318818号公報 特願2006−008751 特許第3477498号公報 総務省電気通信技術システム課,"平成16年新潟県中越地震 電気通信事業者における被害・復旧等の状況及び今後の対応,"災害時の電気通信サービス確保に関する連絡会報告書,pp1−19,Dec.2005 立川敬二,"W−CDMA移動通信方式,"(社)丸善,2001.
音声通話品質の許容値までシステムの最大呼受付数を増加させることと、各呼のセッション時間制限を順序よく組み合わせることにより、ユーザが不便さを感じるセッション時間制限を低減するとともに、無線回線の空きを少なくし最大受付呼数を増加させる。
この発明を適用することで、通信需要の急増があった場合でも、多くの通話や通信を実現できる。また、ユーザが不便さを感じるセッション時間制限をなるべく少なく出来る。さらに、セッション時間制限をする場合でも、従来に比べて、セッション制限時間の設定を長くでき、通信サービスの品質向上を図ることができる。
まず、この発明は、生起呼数を観測する手段と、パケット廃棄率を観測する手段と、生起呼数を比較判定する手段と、パケット廃棄率を比較判定する手段と、セッション時間を制限する手段と、受付呼数を変更する手段と、を備え、輻輳制御を行うVoIP方式の携帯電話システムに適用するものである。
上記のVoIP方式の携帯電話システムにおいて、輻輳制御を行うために、
(1)パケット廃棄率を判定し、
(2)パケット廃棄率が予め決められた値を超えない場合で、
(2−1)予め決められた受付呼数を増加単位Yだけ増加させても最大受付呼数MSCの最大値MSCmを越えない場合は、最大受付呼数MSCをY増加し、
(2−2)予め決められた数の受付呼数増加単位Yを増加させると最大受付呼数の最大値MSCmを越える場合には、最大受付呼数MSCを最大値MSCmにしてからセッション時間を制限し、
(3)パケット廃棄率が予め決められた値を超える場合には、セッション時間を制限する。
また、上記の輻輳制御は、生起呼数を判定し、生起呼数が予め決められた値を超える時に輻輳制御を行うようにすることもできる。
また、上記の輻輳制御は、生起呼数が予め決められた値を超えない時は、
(1)輻輳制御中でない場合は、生起呼数およびパケット廃棄率を再度観測し、
(2)輻輳制御中の場合は、輻輳制御を解除し、最大受付呼数MSCを元に戻し、セッション時間規制も行わないようにする。そして、呼数およびパケット廃棄率を再度観測する、という繰り返しを行なって、輻輳を監視し管理することができる。
上記で、受付呼数を増加させる方法は、予め決められた数だけ増加させることにより、通信需要の急激な増加に対応できる他、増加によって、最大受付呼数MSCを、最終的にシステムの無線設備の制約から定まる最大受付呼数の最大値MSCmと等しくさせることにより、無駄の発生を防止できる。
また、セッション時間の制限によるセッション規制時間LSTは、nを実数とし、SToを通常時の平均セッション時間とし、XCoを通常時の平均生起呼数とし、XCを生起呼数とし、MSCを最大受付呼数とするとき、
LST=n*STo*XCo/XC、または、
LST=n*STo*MSC/XC、または、
LSTとして予め決められた値を用いることで、効果的な輻輳制御ができる。
また、予め決められた受付呼数増加単位Y、実数n、通常時の平均セッション時間STo、通常時の平均生起呼数XCo、のいずれか少なくとも1つを、時刻、曜日、季節、あるいは暦日、あるいは輻輳の原因となる災害の種類に従って変えることにより、日常の周期的な変動を予め取り入れることができる。
また、生起呼数あるいはパケット廃棄率の観測頻度を、生起呼数あるいはパケット廃棄率の時間あたりの増加率の増大に沿って多くすることによって、急増する生起呼数やパケット廃棄率によって一時的に通信品質が低下することを避けることができる。なお、生起呼数あるいはパケット廃棄率の観測頻度は、それぞれの観測値の変化が状況が異なる時は、それぞれに合うように異なるものとする。
本発明は、図13に示すような通信形態に適用するものである。つまり、交換局につながれた基地局と、基地局と無線で接続された移動局である携帯電話や端末を通じて、移動局間あるいは、移動局と交換局の外にある固定局とを接続し、それらの間の通話や通信を行う携帯電話システムに、本発明を適用するものである。また、1つの基地局のカバーできる範囲(セル)は限られており、広域のサービスエリアをカバーするためには、複数のセルを用いる。この形態は、よく用いられており、これは図4に示す様に、基地局がそれぞれのセルをカバーして、サービスエリアの全域は、複数のセルを稠密に配置してカバーする。例えば、図13のセル、A、Bは、図4のA、Bに対応するものである。
図14に、公知の携帯電話システムの一例を示す。この図の構成に本発明を適用する場合に本発明が関わるのは、特に呼制御処理部(CCP)である。この呼制御処理部は移動交換機(MSC)と移動機との発呼/着呼制御などを行う。
本発明は、パケット廃棄率が音声通話品質が低下して通話しづらくなる限界になるまで最大受付呼数を増加させ、さらに、各呼のセッション時間を制限することで、通信需要の急増に対して、多くの通信を実現するものである。初めに、音声通話品質の下限の許容値まで、システムの最大受付呼数を大きくし、呼量の増加に対応することで、ユーザにとって不便さを感じるセッション時間制限行うことをなるべく少なくする。また、セッション時間制限を行う場合は、これにより、通信周波数帯での混雑度が緩和され、干渉が減少しパケット廃棄率が減少するので、最大受付呼数を増加させることが出来、セッション制限時間の設定を長時間にできる。以下に、この発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の目指す上記のVoIP方式の通話では、一部のパケットが廃棄された場合でも通話内容を判別できる、という特徴がある。しかし、パケット廃棄率が増大するに従って音声通信品質が低下するため、通話を成立させるための限界がある。従って、上記のように音声通話品質の下限の許容値までシステムの最大受付呼数を大きくするためには、パケット廃棄率がその限界を超えないように制御する必要がある。このため、パケット廃棄率の上限として、予め閾値を設定して管理する。
(1)そのために、システムが生起呼数とパケット廃棄率を観測時間間隔毎にカウントする。
(2)つぎに、パケット廃棄率が通話品質を満たすために必要な閾値になるまで、特定呼数分、システムの最大呼受付数を増加させる。
しかし、システムの最大呼受付数を増加させると、干渉が増加し、平均受信SIR(Signal to Interference Ratio)が減少して、所要の受信SIRを満たさなくなることによって起こるパケット廃棄が起こりやすくなる。
(3)、パケット廃棄率が当該閾値に達する場合には、各呼の通信時間であるセッション時間を規制する。
(4)セッション時間を規制した後でも、観測は継続する。
(5)セッション時間を規制したことによって、無線回線の空きが生じ、干渉が減少して、パケット廃棄率が減少すれば、また、システムの最大呼受付数を増加させる。
(6)また、セッション規制時間も生起呼数など状況に従い増減させる。
より具体的には、図2のフローチャートに従って処理を進める。
F1:生起呼数XCとパケット廃棄率Rをシステムが観測する。観測間隔は、呼量の急増が予想される大規模地震などでは、短くするなど、状況に応じて変える。簡便には、生起呼数XCやパケット廃棄率Rの時間あたりの増加率に沿って、観測頻度を高くするとよい。また、生起呼数XCとパケット廃棄率Rの観測間隔は同一である必要はなく、それぞれの観測値の変化状況やシステムの規模などに応じて異なるものとするとよい。
F2:生起呼数XCが、通常時の平均生起呼数XCoのm倍以上になったら、F3へ、そうでなければF10へ進む。mは、輻輳制御判別閾値である。
F3:輻輳制御を実行する。
F4:システムの最大受付呼数MSCを通常時に設計されている値より大きくすると、パケット廃棄率Rが高くなり、音声通信品質が悪くなる。そこで、限界音声品質となるパケット廃棄率a%以上ならばF5へ、そうでなければ、F7へ進む。
F5:セッション時間の制限によるセッション規制時間LSTは、nを実数とし、SToを通常時の平均セッション時間とし、XCoを通常時の平均生起呼数とし、XCを生起呼数とし、MSCを最大受付呼数とするとき、
LST=n*STo*XCo/XC、または、
LST=n*STo*MSC/XC、または、
LSTとして予め決められた値を用い、F6へ進む。
F6:次の観測ステップに進む準備ののちF1に戻る。
F7:F4でパケット廃棄率がa%以上でなければ、最大受付呼数MSCがMSCの最大値MSCmから受付呼数増加単位Yを差し引いた値以下かどうかを判定する。
それ以下であれば、F9へ進み、それ以下でなければ、F8へ進む。
F8:最大受付呼数MSCをMSCの最大値MSCmにし、F5へ進む。
F9:MSCをY増加し、F6へ進む。
F10:輻輳制御中であるかどうかを判定する。制御中であれば、F11へ進み、制御中でなければ、F6へ進む。
F11:制御を解除してF6へ進む。
F6から、F1に戻って上記のフローを繰り返す。
上記において、通常、aは、10程度であるが、サービスを提供する側の判断で、適宜決める。また、Yは、呼量の急増が予想される大規模地震などでは大きくし、MSCを早く大きくするようにするなど、災害の規模などの状況に応じて変える。
また、生起呼数あるいはパケット廃棄率の観測頻度を、生起呼数あるいはパケット廃棄率の時間あたりの増加率の増大に沿って高くすることによって、急増する生起呼数やパケット廃棄率によって一時的に通信品質が低下することを避けることができる。
図2のフローチャートに示す処理を実行するためのブロック構成図を図3に示す。
輻輳制御実行判別装置1では、観測間隔毎に通信要求観測装置13より生起呼数XCが、輻輳制御判別閾値メモリ14より輻輳時と判別するための閾値が入力され、輻輳時かどうかを判別する。その結果を最大受付呼数判別装置2とセッション規制時間判別装置12に通知する。
最大受付呼数判別装置2では、輻輳制御実行判別装置1が、輻輳時と判断している時、パケット廃棄率観測装置3からのパケット廃棄率、パケット廃棄率閾値メモリ4からの閾値aの情報により、パケット廃棄率が閾値aより少なく、かつ、システムの最大受付呼数が最大受付呼数最大値メモリ5の値から最大受付呼数増加単位メモリ6の値を差し引いた値以下の場合、最大受付呼数を最大受付呼数増加単位メモリ6の値だけ増加させるという指示を最大受付呼数制御装置7に送る。もし、システムの最大受付呼数が最大受付呼数最大値メモリ5の値から最大受付呼数増加単位メモリ6の値を差し引いた値より大きい場合は、システムの最大受付呼数を最大受付呼数最大値メモリ5の値にする指示を最大受付呼数制御装置7に送る。また、もし、パケット廃棄率が閾値a以上ならば、セッション規制時間判別装置12にセッション時間規制の指示を送る。また、輻輳制御実行判別装置1が、輻輳時ではないと判別したら、最大受付呼数制御装置7に最大受付呼数を通常時の値にすることを指示する。
最大受付呼数制御装置7では、最大受付呼数判別装置2の指示により、システムの最大受付呼数を制御する。
セッション規制時間判別装置12では、最大受付呼数判別装置2がセッション時間規制の指示を出したら、セッション規制時間LSTを、通信要求観測装置13からの生起呼数XC、通常時平均セッション時間メモリ11からの通常時平均セッション時間STo、通常時平均生起呼数メモリ10から通常時平均生起呼数値XCo、セッション規制時間係数メモリ9からの係数nにより、n×STo×XCo/XCにすることをセッション規制時間制御装置8に指示する。このセッション規制時間は、上記の値だけでなく、予め設計しておいた値や、最大受付呼数判別装置2からその時の最大受付呼数MSCを取得し、n×STo×MSC/XCとしてもよい。そして、輻輳制御実行判別装置1が、輻輳時ではないと判別したら、セッション時間制御装置8にセッション時間規制をしないことを指示する。
セッション規制時間制御装置8では、セッション規制時間判別装置12の指示により、各呼のセッション時間を規制する。また、データ入力装置15から、上記のように外部から入力する必要のあるデータを入力する。
規制時に利用者が通話をしようとする時には、通話開始時に、規制時間を携帯電話端末の表示装置(端末のディスプレイや音声装置)で表示し、セッション規制時間に近くなったら、携帯電話端末のバイブレーション機能や音声出力により切断警告をする。セッション規制時間が経過したら、セッション規制時間制御装置8あるいは携帯電話端末がその通話を切断する。この制御は、初めに制御チャネルにより、携帯電話端末に規制時間が通知されれば、携帯電話端末内のタイマーを用いて、切断も含めて、順次、端末自らが行うようにすることが望ましい。このように携帯電話端末に制御をできるだけ振り向けてしまうことで、無線資源の浪費を抑制し、また基地局側の制御の負担を減らすことが出来る。
図3の構成で、図2のフローチャートに従ってシミュレーションを行なったので、その結果を次に示す。その際の条件は、図15の通りである。
まず、最大呼受付数を増加させた場合の呼損率とパケット廃棄率の関係を図5と図6に示す。通常時の最大受付呼数であるシステム容量は162 call/cellである。システム容量より多くの呼を受け入れると呼損率が下がり、パケット廃棄率が増加するのが分かる。音声品質を満たすために必要なパケット廃棄率の上限値は通常10%とされているので、195 call/cellまで増加できるが、その時の呼損率は、75%であり、最大呼受付数を増加させる前の80%に対し、5%しか減少しない。また、最大呼受付数と強制切断率及び平均受信SIRの関係を図7と図8に示す。最大呼受付数を増加させることで、通信品質上問題である強制切断率は、0%から5%へと増加し、平均受信SIRは、8.5dBから7.9dBへと、減少してしまう。これは、干渉が増加するためである。
そこで、最大呼受付数が195 call/cell の状態の時に、セッション時間を規制(つまり各通話の通話時間を制限)する。セッション規制時間を減少させた場合の呼損率、パケット廃棄率、強制切断率、平均受信SIRをそれぞれ図9、10、11、12に示す。
呼損率は、セッション規制時間が35秒の時に、3%となり、最大呼受付数を増加させた場合だけの5%の減少に比べ大きく減少しているのが分かる。また、制御を全くしなかった時は80%であるので、全体で77%減少したことになる。そして、呼損率は、セッション規制時間の減少とともに減少するので、目標とする呼損率を3%とすると、最大呼受付数を増加させ呼損率を減少させてから、セッション時間規制をすると、その分、セッション規制時間を長く出来ることになる。
図10からパケット廃棄率は、セッション時間の規制を行なうことで減少するのが分かる。これは、セッション時間規制により、規制された時間でセッションが終了し、無線回線の空きが生じることで、干渉が減少するためである。このパケット廃棄率の減少により、最大呼受付数の増加が可能になり、その分、セッション規制時間を長く出来ることになる。
また、セッション規制時間の減少により、増加した通信品質上問題である強制切断率は減少することが、図11により分かる。
平均受信SIRも増加することが図12により分かる。
本発明は、災害時の通信需要の急増に対してだけでなく、お正月の挨拶電話による輻輳や、サッカー場や野球場、コンサート会場など、イベントによる輻輳状態の対策としても利用できる。
種々のイベントや災害の種類ごとに、輻輳制御実行の判別に用いる輻輳制御判別閾値m、受付呼数増加単位Y、実数n、通常時の平均セッション時間STo、通常時の平均生起呼数XCo、などの設定パラメータのすくなくとも1つを、時間帯、あるいは曜日ごとあるいは暦日に従って最適化しておき、本発明を適用する際に、設定パラメータとして状況に応じて変えながら運用することで、呼損率やセッション制限時間などを抑制して、携帯電話ユーザからみた不便を抑制することができる。
従来方式のフローチャートを示す図である。 本発明の輻輳制御のフローチャートを示す図である。 本発明のブロック構成図である。 サービスエリアモデルを示す図である。 最大呼受付数と呼損率の関係を示す図である。 最大呼受付数とパケット廃棄率の関係を示す図である。 最大呼受付数と強制切断率の関係を示す図である。 最大呼受付数と平均受信SIRの関係を示す図である。 セッション規制時間と呼損率の関係を示す図である。 セッション規制時間とパケット廃棄率の関係を示す図である。 セッション規制時間と強制切断率の関係を示す図である。 セッション規制時間と平均受信SIRの関係を示す図である。 通信形態の一例を示す模式図である。 公知の携帯電話システムの一例を示すブロック図である。 シミュレーション条件を示す図である。
符号の説明
1 輻輳制御実行判別装置
2 最大受付呼数判別装置
3 パケット廃棄率観測装置
4 パケット廃棄率閾値メモリ
5 最大受付呼数最大値メモリ
6 最大受付呼数増加単位メモリ
7 最大受付呼数制御装置
8 セッション規制時間制御装置
9 セッション規制時間係数メモリ
10 通常時平均生起呼数メモリ
11 通常時平均セッション時間メモリ
12 セッション規制時間判別装置
13 通信要求観測装置
14 輻輳制御判別閾値メモリ
15 データ入力装置

Claims (7)

  1. 生起呼数を観測する手段と、パケット廃棄率を観測する手段と、パケット廃棄率を比較判定する手段と、セッション時間を制限する手段と、受付呼数を変更する手段と、を備え、輻輳制御を行うVoIP方式の携帯電話システムにおいて、
    (1)パケット廃棄率を判定し、
    (2)パケット廃棄率が予め決められた値を超えない場合で、
    (2−1)予め決められた受付呼数増加単位Yを増加させても受付最大呼数の最大値を越えない場合は、最大受付呼数を増加し、
    (2−2)予め決められた数の受付呼数増加単位Yを増加させると受付最大呼数の最大値を越える場合には、最大受付呼数を最大値にしてからセッション時間を制限し、
    (3)パケット廃棄率が予め決められた値を超える場合には、セッション時間を制限する、
    ことを特徴とする携帯IP電話輻輳制御方法。
  2. 生起呼数が予め決められた値を超えない時で、
    (1)輻輳制御中でない場合は、生起呼数およびパケット廃棄率を再度観測し、
    (2)輻輳制御中の場合は、輻輳制御を解除し、生起呼数およびパケット廃棄率を再度観測する、
    ことを特長とする請求項1に記載の携帯IP電話輻輳制御方法。
  3. 最大受付呼数を増加させる方法は、予め決められた数だけ増加させることとパケット廃棄率が予め決められた値を超えない間は、増加によって、最終的に最大受付呼数の最大値に等しくすることを特徴とする請求項1に記載の携帯IP電話輻輳制御方法。
  4. 上記のセッション時間の制限によるセッション規制時間LSTは、nを実数とし、SToを通常時の平均セッション時間とし、XCoを通常時の平均生起呼数とし、XCを生起呼数とし、MSCを最大受付呼数とするとき、
    LST=n*STo*XCo/XC、または、LST=n*STo*MSC/XC、または、LSTとして予め決められた値を用いる、ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の携帯IP電話輻輳制御方法。
  5. 上記のVoIP方式の携帯電話システムは、生起呼数を予め決められた閾値mと比較判定する手段をさらに備え、生起呼数を判定し生起呼数が予め決められた値を超える時に、上記の輻輳制御を行うVoIP方式の携帯電話システムであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の携帯IP電話輻輳制御方法。
  6. 上記の、予め決められた生起呼数の判定に用いる閾値m、受付呼数増加単位Y、実数n、通常時の平均セッション時間STo、通常時の平均生起呼数XCo、のいずれか少なくとも1つを、時刻、曜日、季節、あるいは暦日、あるいは輻輳の原因となる災害の種類に従って変えることを特徴とする請求項5に記載の携帯IP電話輻輳制御方法。
  7. 生起呼数あるいはパケット廃棄率の観測頻度を、生起呼数あるいはパケット廃棄率の時間あたりの増加率の増大に沿って多くし、また、生起呼数あるいはパケット廃棄率の観測で、それぞれの観測値の変化が異なる時は、それぞれに合うように観測頻度を異なるものとすることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の携帯IP電話輻輳制御方法。
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