JP2008219042A - 層間絶縁用薄膜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Si(OR2)4で表される4官能性アルコキシシランを、有機アミンの存在下にて重縮合反応させて得られるシリカゼオライト微粒子と、少なくとも1個の一価の有機基を有するアルコキシシランを主原料として得られるシリカ前駆体とのモル比が特定範囲に制御され、かつ有機溶媒を含む組成物中の金属不純物量も特定範囲以下に制御されたことを特徴とする層間絶縁膜製造用塗布組成物、およびシリカ結晶化度が特定の範囲であり、かつ膜中のSi元素に対する1価の有機基の含有量が特定の範囲にあることを特徴とする多孔性シリカゼオライト薄膜。
【選択図】なし
Description
低誘電率絶縁膜に関して有機・無機の多くの材料が開発されつつある。比誘電率(k)として2.5以下を得るためには多孔質性を取り入れることが必須であり、さらに純有機材料に対して珪素系結合を含有した方が機械的・熱的強度を得やすいことから、多孔質有機シリカが有望な素材として注目されている。しかし、現段階では、比誘電率が2.3近辺でそのヤングモジュラスが6GPaを超えるような多孔性薄膜を得るのは困難な状況である。
1.(A)下記一般式(1)で表される、n=0のアルコキシシランから選ばれる少なくとも1種のアルコキシシランから得られる、粒子径が1nm以上100nm以下のシリカゼオライト粒子と、
(B)下記一般式(1)及び/又は一般式(2)で表されるアルコキシシランおよびその加水分解物、重縮合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物を含有するシリカ前駆体と、水とを含む組成物であって、かつFe、Na、K、Ti、Cr、Co、Ni、Cu、Zn、W、Biから選ばれる金属含有量の総和が1ppm以下であることを特徴とする層間絶縁膜製造用塗布組成物、
R1 n (Si)(OR2 )4-n (1)
(式中、R1 、R2 は同一でも異なっていてもよく、それぞれ1価の有機基を表し、nは0〜3の整数である)
R3 m (R4 O)3-m Si−(R7 )p −Si(OR5 )3-q R6 q (2)
(式中、R3 、R4 、R5 およびR6 は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ1価の有機基を示し、mおよびqは、同一でも異なっていてもよく、0〜2の数を示し、R7 は酸素原子又は−(CH2 )r −で表される基を示し、rは1〜6を、pは0または1を示す。)
3.更に(C)有機溶媒、を含有することを特徴とする1又は2に記載の層間絶縁膜製造用塗布組成物、
4.更に(D)有機ポリマー、を含有することを特徴とする1〜3のいずれかに記載の層間絶縁膜製造用塗布組成物、
6.4または5に記載の多孔性シリカゼオライト薄膜を用いることを特徴とする配線構造体、
7.6に記載の配線構造体を包含してなる半導体素子、
から成る。
まず、本発明の層間絶縁膜用塗布組成物について説明する。
本発明の層間絶縁用塗布組成物は、(A)シリカゼオライト微粒子と(B)シリカ前駆体原料と水から成るが、成分(A)におけるシリカゼオライト微粒子は珪素原子上に有機基をもたない、一般式(1)においてn=0で表される4官能性のアルコキシシラン(以下、ゼオライト用アルコキシシランとする)を重縮合させてシリカゼオライト結晶性微粒子(シリカライトのようなMFI結晶型のハイシリカゼオライトの微粒子を指す)にまで成長させたものを言う。
ここで、特に本発明のシリカ原料の表現について、本発明において先記した一般式(1)で表れるアルコキシシランにおいて、Si(OR2 )4 を4官能性のアルコキシシランと言い、一般式(1)でnが1の場合、即ちR1 (Si)(OR2 )3 を3官能性のアルコキシシラン、nが2の場合、即ちR1 2(Si)(OR2 )2 を2官能性のアルコキシシラン、nが3の場合、即ちR1 3(Si)(OR2 )を1官能性のアルコキシシランとする。
シリカゼオライト微粒子の粒子径は通常1nm〜100nm、より好ましくは3nm〜80nmであり、特に好ましくは5nm〜50nmである。粒子径が100nmを超えると、薄膜強度が低下するので好ましくない。なお、塗布液中に含まれるシリカゼオライトの粒子径は動的光散乱法によって得られる平均粒子径を意味する。
まず一般式(1)で表されるアルコキシシランのうち、3官能性のアルコキシシランが挙げられる。具体的にはトリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、
また、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、エチルジメトキシシラン、エチルジエトキシシラン、プロピルジメトキシシラン、プロピルジエトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、フェニルジエトキシシランなどのケイ素原子に直接水素原子が結合したものも用いることもできる。
一般式(2)で表されるアルコキシシランのうち、R7 が−(CH2 )p −の化合物で6官能性のアルコキシランの例としては、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリフェノキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリフェノキシシリル)エタン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリフェノキシシリル)プロパン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼンなどが挙げられる。
物中のFe、Na、K、Ti、Cr、Co、Ni、Cu、Zn、W、Biの金属不純物量は1ppm以下に制御される。これらの金属の含有量が1ppmを超えると、先述したようにブレークダウン電圧が低下してしまう。より好ましい金属の含有量は0.5ppm以下、さらに好ましくは0.1ppm以下である。これらの金属元素の含有量はICP−Mass法により評価する。
具体的には、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、
有機溶媒(C)の組成物に占める量は、特に限定される訳ではないが、70重量%以下、好ましくは10重量%以上50重量%以下、さらに好ましくは20重量%以上45重量%以下の範囲にあると成膜性に優れた本発明の塗布組成物を提供することができる。70重量%を超えると塗布時に均一な塗膜を形成しなくなるので好ましくない。
また、直鎖状または分岐状の2元以上のブロックコポリマーで、ブロック部が炭素数1〜8の直鎖状および環状のオキシアルキレン基を繰り返し単位とする有機ポリマーも好適に用いることができる。具体的なブロックコポリマーとしては、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールポリブチレングリコールのような2元ブロックコポリマー、さらにポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールポリブチレングリコールポリエチレングリコールなどの直鎖状の3元ブロックコポリマーのようなポリエーテルブロックコポリマーが挙げられる。
これらのポリマーの構成単位であるモノマーどうしの共重合体や、その他の任意のモノマーとの共重合体を用いてもよい。また有機ポリマーは1種類でも2種類以上を併用してもよい。
上記ポリマーは単独であっても、複数のポリマーの混合であってもよい。またポリマーの主鎖は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の任意の繰り返し単位を有するポリマー鎖を含んでいてもよい。
尚、アルコキシシランの仕込み全量が加水分解および縮合反応したと仮定して得られるシロキサンとは、一般式(1)、(2)のSiOR2 基、SiOR4 基またはSiOR5 基が100%加水分解されてSiOHになり、さらに100%縮合してシロキサン構造になったものを言う。
特に(メタ)アクリレート基を有する場合は、本発明の組成物に、アゾ系やパーオキサイド系等のラジカル重合開始剤を、またはアセトフェノン類、ベンゾフェノン類や、光増感剤として、ケタール類、アントラキノン類などの光ラジカル重合開始剤を添加しておく。活線エネルギー照射処理を行う場合は、塗布後の熱硬化処理の前に、同時に、及び/又は、後に、電子線照射または紫外線照射を行う。場合によっては系内の酸素を窒素等の不活性ガスと置換して行う。
その他、所望であれば、たとえばコロイド状シリカや界面活性剤などの成分を添加してもよいし、感光性付与のための光触媒発生剤、基板との密着性を高めるための密着性向上剤、長期保存のための安定剤など任意の添加物を、本発明の趣旨を損なわない範囲で本発明の塗布組成物に添加することも可能である。
本発明の塗布組成物は、成分(A)を製造する工程と成分(A)、成分(B)およびその他の成分とを混合し、分散させる工程とから成る。
まず成分(A)を製造する方法について説明する。
本発明のシリカゼオライト微粒子は、一般式(1)のSi(OR)4 で表される4官能性のアルコキシシランを以下の有機アミンと水及び/又は有機溶媒との存在下に加水分解、縮合反応させて得られる。
シリカゼオライト微粒子を構成するアルコキシシランは、該ゼオライト用アルコキシシランと、以下に説明するシリカゼオライト結晶化調整剤としての有機アミン、水及び/又は有機溶媒とからなる混合物に反応前に全量添加して良いし、一部ずつ段階的に添加してもよい。
シリカゼオライト微粒子を得るための反応温度は、0〜150℃、好ましくは20〜150℃、より好ましくは20〜100℃である。0℃よりも低いとシリカゼオライト微粒子の結晶化と加水分解の進行が十分でないし、逆に150℃を超えると反応が急激に進行しすぎて、シリカゼオライト微粒子が100nm以上になる可能性が高いため、好ましくない。
反応時間は、反応温度にもよるが通常1時間〜10日、好ましくは4時間〜10日、より好ましくは1日〜5日である。
以上のシリカゼオライト製造条件では、通常シリカゼオライト微粒子以外に微粒子状にまで成長しないシリカゼオライトはじめ、未反応のアルコキシシランを含むその部分加水分解物や部分縮合物などが含まれるので、これらの混合物からシリカゼオライト微粒子を分離する必要がある。
遠心分離の操作はたとえばKUBOTA社製、KUBOTA 7930を用いて行なうことができる。分離に使用するローターの温度は通常0℃〜100℃、好ましくは0℃〜50℃で、ローター回転数は1000〜30000rpm、分離時間は5分から24時間が好ましい。24時間以上回転させても、微粒子の収率はほとんど向上しない。
得られたゼオライト微粒子は通常、水または有機溶媒に再分散された後で、後述するシリカ前駆体と混合されるか、所望されれば再遠心しても良い。
再分散の際に、超音波洗浄器などを用いて分散を加速させることも可能である。
本発明のシリカ前駆体は、通常ケイ素原子上に少なくとも1個の一価の有機基を有するアルコキシシランを含有し、水の存在下にて加水分解、縮合反応させて得られる。より具体的には、前述した、成分(A)を含む分散液と成分(B)、場合に応じて水、有機溶媒(C)、有機ポリマー(D)、触媒などのその他の添加物を混合して、加水分解および縮合反応の条件を設定する。
シリカ前駆体の中には、アルコキシシランの加水分解物のシラノール基が縮合してSi−O−Si結合を形成したものが含まれるが、シラノール基がすべて縮合している必要はなく、一部のシラノール基が縮合したもの、縮合の程度が異なっているものの混合物などを表す。すなわち、アルコキシシランそのものおよび部分加水分解物、部分重縮合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物を部分的に含んでいても良い。
シリカ前駆体を得るための反応温度については、通常0〜150℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは0〜80℃で処理すればよい。0℃よりも低いと加水分解の進行が十分でないし、逆に150℃を超えると反応が急激に進行しすぎて、組成物全体がゲル化してしまう場合があり、好ましくない。
なお、シリカ前駆体を構成するアルコキシシランは、水及び/又は有機溶媒等からなる混合物に反応前に全量添加してもよいし、一部ずつ段階的に添加してもよい。また、シリカ前駆体を調製する反応の前に、水または有機溶媒に分散しているシリカゼオライト微粒子(分散液)を全量添加して良いし、一部ずつ段階的に添加しても良い。
また、シリカ前駆体とシリカゼオライト微粒子とが本発明の塗布組成物中で化学結合していても差し支えない。
前述したようにシリカゼオライト含有シリカ前駆体中のシリカゼオライト微粒子の含有量を高く設定すると、得られた多孔性シリカ薄膜のヤングモジュラスを損なうことなく、従来の欠点であった吸水性が著しく改善され、比誘電率が低くかつ安定する。
本発明で用いることができる酸の具体例としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ酸、トリポリリン酸、ホスフォン酸、ホスフィン酸などの無機酸を挙げることができる。有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、シキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、イソニコチン酸などを挙げることができる。
塩基の具体例としては、本発明で使用することのできる塩基性化合物としては、例えば、ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクラン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンなどを挙げることができる。
酸および塩基は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明で用いられる塗布組成物の原料であるアルコキシシラン、有機溶媒やシリカゼオライト結晶化調整剤などを精製する方法として、化合物が液体の場合には蒸留や陽性または陰性のイオン交換樹脂などで精製することが好ましい。化合物が固体の場合には、いったん溶媒などに溶解した後でイオン交換樹脂などにより、不純物金属を除去する方法が用いられる。イオン交換樹脂で精製する場合、溶液の中に直接交換樹脂を加えて金属を除去してもよいし、あらかじめカラムに充填しておいた交換樹脂中に溶液を流す方法でもよい。
ここで、アルコキシシランの仕込み全量が加水分解および縮合反応したと仮定して得られるシロキサンとは一般式(1)、(2)のSiOR2 基、SiOR4基またはSiOR5 基が100%加水分解されてSiOHになり、さらに100%縮合してシロキサン構造になったものを言う。
本発明で有機ポリマーを添加する場合、そのタイミングについては上記した塗布組成物の製造工程のいずれの段階で添加してもかまわない。予め所定の組成の一部の溶媒に有機ポリマーを溶かしておいてその後に組成物中に添加、混合してもよい。
本発明のシリカゼオライト薄膜は結晶性のシリカゼオライト成分とアモルファス構造を有するアモルファスシリカ構造とから成るが、本発明で主張するような高い機械的強度や十分なCMP耐性を有するためには、以下で定義するシリカゼオライト成分に起因するシリカ結晶化度が一定の範囲にあることが必要である。
ここでシリカ結晶化度は、薄膜中のシリカ基材中のゼオライト結晶の相対量としてIR分光分析(透過型が望ましい)により、以下の方法で求めることができる。
以上のように本発明のシリカゼオライト膜は一定量のシリカゼオライト成分を含むが、このことは該シリカゼオライト膜が多孔質膜であることも意味する。何故ならば、本発明のシリカゼオライト成分は、MFI構造と呼ばれる結晶構造を有するが、該結晶構造は0.55nmの孔を含む多孔構造を有しているからである。本発明では、シリカゼオライト成分が指定の含量含まれ、かつ、もう一方の成分であるアモルファスシリカ成分が多孔質構造に制御された薄膜も含まれる。
また、本発明では、該有機基はシリカゼオライト薄膜中でシリカ原子と共有結合により結合していることが特に好ましいが、そうでないものも含まれる。
次に、本発明の層間絶縁用の多孔性シリカゼオライト薄膜は、前述した層間絶縁膜製造用塗布組成物を基板上に塗布した後に、乾燥および熱処理により塗布液を固化させることにより得ることができる。
本発明において、薄膜の形成は基板上に本発明の塗布組成物を塗布することによって行う。塗布方法としては流延、浸漬、スピンコートなどの周知の方法で行うことができるが、半導体素子の多層配線構造体用絶縁層の製造に用いるにはスピンコートが好適である。薄膜の厚さは塗布組成物の粘度や回転速度を変えることによって0.1μm〜10μmの範囲で制御できる。10μmより厚いとクラックが発生する場合がある。半導体素子の多層配線構造体用の絶縁層としては、通常0.1μm〜5μmの範囲で用いられる。
この操作により、塗布組成物中のシリカゼオライト微粒子とシリカゼオライト微粒子同士の結合、シリカゼオライト微粒子とシリカ前駆体との結合およびシリカ前駆体同士が結合する、いわゆる硬化反応が十分に進行し多孔性シリカゼオライト薄膜が形成される。孔径は、主にゼオライト微粒子中に存在する1nm以下の微細孔と、ゼオライト微粒子同士の結合により形成される粒子間隙に起因する数nmの孔とからなる。これにより、薄膜の密度が下がり、低誘電率化が可能になる。
本発明において加熱は、半導体素子製造プロセス中で通常使用される枚葉型縦型炉あるいはホットプレート型の焼成システムを使用することができる。もちろん、本発明の製造工程を満足すれば、これらに限定されるものではない。
本発明により得られる多孔性シリカ薄膜は、薄膜以外のバルク状の多孔性シリカ体、たとえば反射防止膜や光導波路のような光学的膜や触媒担体はじめ断熱材、吸収剤、カラム充填材、ケーキング防止剤、増粘剤、顔料、不透明化剤、セラミック、防煙剤、研磨剤、インクジェット印刷用メディア、歯磨剤などとして使用することも可能である。
多孔性シリカ薄膜製造用の塗布組成物および薄膜の評価は下記の方法により行った。
(1)シリカ結晶化度
結晶化度はFT−IRによって測定した。まず、塗布組成物を乾燥し、空気中400℃で1時間焼成した。得られた粉末を1mgを100mgのKBrと混合し錠剤にした後で、Perkin Elmer FT−IR(モデルSystem2000)を用いて、FT−IRスペクトルを測定した。440cm-1から480cm-1付近のピーク面積(S1)に対する550cm-1〜650cm-1付近のピークの面積(S2)の比(S2/S1)として、シリカ結晶化度を算出した。
比誘電率およびリーク電流をブレークダウン電圧として、ソリッドステートメジャーメント社製SSM495型自動水銀CV測定装置を用いて測定した。
(3)膜厚測定
理学電機製RINT 2500を用いて測定した。測定条件は、発散スリット:1/6°、散乱スリット:1/6°、受光スリット:0.15mmで検出器(シンチレーションカウンタ)の前にグラファイトモノクロメータをセットした。管電圧と管電流は、それぞれ40kVと50mAで測定したが、必要に応じて変えることができる。また、ゴニオメータの走査法は2θ/θ走査法で、走査ステップは0.02°とした。
MTSSystems Corporation社製ナノインデンター DCMで測定した。測定方法は、バーコビッチ型のダイヤモンド製圧子を試料に押し込み、一定荷重に達するまで負荷したのちそれを除き、変位をモニターすることにより荷重―変位曲線を求めた。表面はコンタクトスティフネスが200N/mになる条件で認識した。硬度の算出は、以下の式による。
H=P/A
ここで、Pは印加した荷重であり、接触面積Aは接触深さhc の関数で次式により、実験的に求めた。
A=24.56hc2
この接触深さは圧子の変位hと次の関係にある。
hc =h−εP/S
ここでεは0.75、Sは除荷曲線の初期勾配である。
ヤングモジュラスの算出はスネドンの式によって求めた。
Er =(√π・S) / 2√A
ここで、複合弾性率Er は次式で表される。
Er =[(1−νs2 )/Es + (1−νi2 )/Ei ]−1
ここで、νはポアソン比、添字Sはサンプル、iは圧子を表す。本発明ではνi =0.07、Ei =1141GPa、また本材料のポアッソン比は未知であるがνs =0.18としてサンプルのヤングモジュラスEs を算出した。
テトラエトキシシラン32.0g、水32.0g、の混合物に、40%テトラ(n−プロピル)アンモニウムヒドロキシド(TPAOH)水溶液25.6gを加え、室温で1日攪拌した後に70℃で4日間攪拌し反応させてシリカゼオライトのサスペンションを得た。その後に以下の遠心分離の条件によりシリカゼオライト粒子を得られたシリカゼオライトサスペンションから分離した。
KUBOTA社製KUBOTA 7930を用いてゼオライト合成溶液からゼオライト微粒子の分離を行なった。実験条件は、Nalgene 社製の遠心分離チューブ(50cc)、ローター温度:15℃、回転数:17000rpm、遠心時間:6時間、加・減速度:急をセットした。遠心分離で得られたゼオライト微粒子を水で洗浄し再遠心をした。この操作を3回行った。最後にゼオライト微粒子を超音波洗浄器を用いて必要な溶媒に再分散した。
水で洗浄された該シリカゼオライト粒子をTPAOH水溶液中に再分散した。この中に、メチルトリエトキシシラン0.29gを加え、70℃で8時間攪拌し反応させた。得られたサスペンションを上述と同様の遠心分離機を使って、回転数6000rpmで0.5時間処理して沈降粒子を除去した後で、粒子径が40nm以下で本発明の塗布組成物を得た。
該組成物の結晶化度は0.60であった。
この溶液を6インチシリコンウェハ上に3ml滴下し、2000rpmにて60秒間回転塗布した。その後空気中室温にて数時間乾燥し、窒素雰囲気下400℃にて2時間加熱焼成して、膜厚が0.55μmの多孔性シリカ薄膜を得た。得られた薄膜の1MHzにおける比誘電率は2.2であり、ブレークダウン電圧は4MV/cm以上であった。ヤングモジュラスは10GPaであった。
実施例1において、得られたゼオライトサスペンションを分離せず、直接その中にメチルトリエトキシシラン2.8gを加えて70℃で8時間反応させた。該組成物を実施例1と同様の操作により、膜厚が0.55μmの多孔性シリカゼオライト薄膜を得た。得られた薄膜の1MHzにおける比誘電率は2.2であり、ヤングモジュラスは10GPaであったが、非誘電率が不安定であり、層間絶縁膜としての性能は十分満足の行くものではなかった。
また、本発明により得られる多孔性シリカ薄膜は、薄膜以外のバルク状の多孔性シリカ体、たとえば反射防止膜や光導波路のような光学的膜や触媒担体はじめ断熱材、吸収剤、カラム充填材、ケーキング防止剤、増粘剤、顔料、不透明化剤、セラミック、防煙剤、研磨剤、インクジェット印刷用メディア、歯磨剤などとして使用することも可能である。
Claims (7)
- (A)下記一般式(1)で表される、n=0のアルコキシシランから選ばれる少なくとも1種のアルコキシシランから得られる、粒子径が1nm以上100nm以下のシリカゼオライト粒子と、
(B)下記一般式(1)及び/又は一般式(2)で表されるアルコキシシランおよびその加水分解物、重縮合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物を含有するシリカ前駆体と、
水とを含む組成物であって、かつFe、Na、K、Ti、Cr、Co、Ni、C
u、Zn、W、Biから選ばれる金属の含有量の総和が1ppm以下であることを特徴とする層間絶縁膜製造用塗布組成物。
R1 n (Si)(OR2 )4-n (1)
(式中、R1 、R2 は同一でも異なっていてもよく、それぞれ1価の有機基を表し、nは0〜3の整数である)
R3 m (R4 O)3-m Si−(R7 )p −Si(OR5 )3-q R6 q (2)
(式中、R3 、R4 、R5 およびR6 は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ1価の有機基を示し、mおよびqは、同一でも異なっていてもよく、0〜2の数を示し、R7 は酸素原子又は−(CH2 )r −で表される基を示し、rは1〜6を、pは0または1を示す。) - 組成物中の成分(A)と成分(B)の重量比(A/B)が、0.5以上であることを特徴とする請求項1に記載の層間絶縁膜製造用塗布組成物。
- 更に(C)有機溶媒、を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の層間絶縁膜製造用塗布組成物。
- 更に(D)有機ポリマー、を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の層間絶縁膜製造用塗布組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の層間絶縁膜製造用塗布組成物を基板上に塗布した後に、乾燥および熱処理により塗布液を固化させて得たことを特徴とする請求項4に記載の層間絶縁用の多孔性シリカゼオライト薄膜。
- 請求項4または5に記載の多孔性シリカゼオライト薄膜を用いることを特徴とする配線構造体。
- 請求項6に記載の配線構造体を包含してなる半導体素子。
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