JP2008218682A - 電気二重層キャパシタ用電解液及び電気二重層キャパシタ - Google Patents

電気二重層キャパシタ用電解液及び電気二重層キャパシタ Download PDF

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一美 千葉
Yasufumi Yamaguchi
容史 山口
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Abstract

【課題】高い耐熱性及び耐久性を持ち、かつ耐電圧に優れ、高電導度で広範な温度範囲において凝固を起こさない電気二重層キャパシタ用電解液及び電気二重層キャパシタを提供すること。
【解決手段】下記一般式1
【化1】
Figure 2008218682

に代表される第四級アンモニウムテトラフルオロボレートを、プロピレンカーボネートとスルホランとの混合溶媒に溶解させてなることを特徴とする電気二重層キャパシタ用電解液及び該電解液を用いて作製されてなる電気二重層キャパシタ。
【選択図】なし

Description

本発明は、電気二重層キャパシタ用電解液及びそれを利用した電気二重層キャパシタに関する。
電気二重層キャパシタは、分極性電極と電解液との界面に形成される電気二重層を利用した電荷蓄積デバイスである。
電気二重層キャパシタに用いられる電解液は、充電時に、活性炭電極と反応しないように電気化学的に安定であることが要求されるほか、広範な温度範囲において液状を呈することが要求される。
従来、電気二重層キャパシタ用電解液としては、特に電導度を考慮し、テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウム(以下、「TEA−BF」と略記する。)に代表される第4級アンモニウム塩からなる電解質を、プロピレンカーボネート(以下、「PC」と略記する。)中に溶解させたものが一般的に用いられている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、PC溶媒は、例えば2.7V充電時には70℃超で活性炭電極と反応するため、該電解液を用いて作製した電気二重層キャパシタは、耐熱性において60〜70℃付近が限界であるという欠点があった。
スルホラン(以下、「SL」と略記する。)等のスルホン化合物からなる溶媒は、耐熱性が高く、該溶媒に電解質を溶解させた電解液は、2.7Vでの充電時にて80℃程度の耐熱性を有するとともに、60℃程度であれば3.0V以上の耐電圧を有することが期待されている一方、SLは融点が28℃、より低い融点を有するメチルスルホランでも6℃であるため、該電解液は低温領域で凝固し、電気二重層キャパシタが使用不能となるという欠点があった(特許文献2乃至3参照)。
低温でのキャパシタの動作を可能とするために、SLに粘度の低い鎖状カーボネートを混合した混合溶媒を使用することが提案されているが、鎖状カーボネートはSLよりも耐電圧に劣り、SLに鎖状カーボネートを混合した混合溶媒を使用した電解液は、SLが有する高耐熱性、高耐電圧性の面で不十分であった。(特許文献4参照)。
さらに、一般的に電気二重層キャパシタ用電解液の電解質として使用されているテトラフルオロホウ酸トリエチルメチルアンモニウム(以下、「TEMA−BF」と略記する。)及びTEA−BFは、高電圧における充電時にホフマン分解を起こしてエチル基が脱離しやすいという欠点を有している。
特開2000−114105号公報 特開H06−275468号公報 特開H03−32203号公報 特開H08−306591号公報
本発明の目的は、高い耐熱性及び耐久性を持ち、かつ耐電圧に優れ、高電導度を示し、広範な温度範囲において凝固を起こさない電気二重層キャパシタ用電解液を提供することにある。また、該電解液を用いて高信頼性の電気二重層キャパシタを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、PC及びSLを含有する混合溶媒に、テトラフルオロホウ酸スピロ−(1,1’)−ビピロリジニウム(以下、「SBP−BF」と略記する。)および/又はテトラフルオロホウ酸ピペリジン−1−スピロ−1’−ピロリジニウム(以下、「PSP−BF」と略記する。)に代表されるテトラフルオロホウ酸スピロ型第4級アンモニウムを溶解させた電解液が、高い耐熱性及び耐久性及び高い耐電圧を有し、かつ、広範な温度範囲において凝固を起こさないことを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、PC及びSLを含有する混合溶媒中に、下記一般式[1]及び/または[2]で表されるテトラフルオロホウ酸スピロ型第4級アンモニウムが電解質として溶解されてなることを特徴とする電気二重層キャパシタ用電解液である。
Figure 2008218682
Figure 2008218682
また、本発明は、前記PC及びSLの容量混合比率が60:40乃至80:20であることを特徴とする前記電気二重層キャパシタ用電解液である。
さらに、本発明は、セパレータを挟み込んだ分極性電極に、前記電気二重層キャパシタ用電解液を含浸させ、これを容器に密閉してなる電気二重層キャパシタである。
本発明の電気二重層キャパシタ用電解液は、PC及びSLを含有する混合溶媒中に、テトラフルオロホウ酸スピロ型第4級アンモニウムが電解質として溶解されてなり、該電解液は、高い耐熱性及び耐久性を示し、かつ、高電導度で広範な温度範囲で凝固を起こさない。特に、該混合溶媒におけるPC容量混合比率が60乃至80、SL容量混合比率が20乃至40である電気二重層キャパシタ用電解液は、より駆動温度が広く、耐熱性に極めて優れている。
また、本発明の電解液を用いて作製した電気二重層キャパシタは、高信頼性で、かつ耐電圧が高く、高電導度で、広範な温度範囲において有効に駆動する。
以下、本発明の電気二重層キャパシタ用電解液について、詳細に説明する。
本発明の電解二重層キャパシタ用電解液は、PC及びSLを含有する混合溶媒中に、前記一般式[1]及び/または[2]で表されるテトラフルオロホウ酸スピロ型第4級アンモニウムを電解質として溶解させてなるものである。
テトラフルオロホウ酸スピロ型第4級アンモニウムは、安定性が高く、PC及びSLの混合溶媒中に高濃度に溶解せしめることができ、極めて高耐電圧の電解液を調製することが可能である。
PC及びSLの混合溶媒における混合比率は、PCの容量混合比率が60乃至80、SLの容量混合比率が20乃至40であることが望ましく、更に望ましくはPCが65乃至75、SLが25乃至35の場合であり、PCが80超、SLが20未満では、SLの添加効果である耐電圧向上効果が劣り、また、PCが60未満、SLが40超では、得られる電気二重層キャパシタの充放電サイクル特性が悪化する場合があり、不都合である。
また、PCとSLのほかに、電解液及び電気二重層キャパシタのサイクル特性を悪化させない範囲において、他の溶媒または添加剤を加えることができる。
上記電解液のテトラフルオロホウ酸スピロ型第4級アンモニウムの濃度は、0.5mol/L超、3.0mol/L以下、好ましくは、0.7mol/L超、2.0mol/L以下である。0.5mol/L以下では、電導度が不足し不都合であり、また、3.0mol/L超では、低温特性が著しく低下するとともに、経済性に劣り不都合である。
本発明の電気二重層キャパシタは、セパレータを挟み込んだ分極性電極に、駆動用電解液となる本発明の電解液を含浸させた後、ステンレス等の外装ケースに収容させて作製される。
上記分極性電極としては、活性炭粉末、活性炭繊維等の炭素材料や貴金属酸化物材料、あるいは導電性高分子材料等が用いられるが、炭素材料が安価で好ましい。また、セパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン系不織布など、公知の素材からなるセパレータを用いることができる。
本発明の電気二重層キャパシタは、フィルム型、コイン型、円筒型、箱形などの形状に作製することができ、特に限定されない。
以下、実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明する。なお、本発明は実施例によりなんら限定されない。
実施例1
PC及びSLの容量混合比率がそれぞれ70、30である混合溶媒に、電解質であるSBP−BFを溶解させて、濃度1.0mol/Lの電気二重層キャパシタ用電解液を調製した。
別に、分極性電極として、活性炭粉末(粒径20μm、比表面積2,000m/g)90質量%とポリテトラフルオロエチレン粉末10質量%とをロールで混練、圧延して厚さ0.4mmのシートを作製した。このシートを、直径13mmφに打ち抜いて、円板状電極を作製した。
円板状電極2枚に、ポリプロピレン製セパレータを挟み込み、先に調製した電解液を真空含浸させた後、ステンレス製外装ケースに収容して、定格電圧3.2V、静電容量1.5Fのコイン型電気二重層キャパシタを完成した。
完成したキャパシタに、温度70℃の恒温槽中、電圧3.2Vを1,000時間印加させて長期信頼性試験を行った。初期及び1000時間後の静電容量値と静電容量の変化率(%)及び内部抵抗値と内部抵抗値の変化率(%)を表1に示す。なお、キャパシタの静電容量は電圧3.2Vで1時間充電後、1mAで放電したときの電圧勾配から求め、表中の値は、サンプル15個の測定値の平均値である。
同様の試験を、温度−40℃の恒温槽中でもそれぞれ行い、初期及び1000時間後の静電容量値と静電容量の変化率(%)及び内部抵抗値と内部抵抗値の変化率(%)を表2に示す。
実施例2
実施例1において、電解質にPSP−BF4を用いた以外は同様にして電気二重層キャパシタ用電解液を得、70℃と−40℃とでの長期信頼性試験を行った結果と温度特性をそれぞれ表1及び表2に示す。
実施例3
実施例1において、PC及びSLの容量混合比率をそれぞれ75、25とした以外は同様にして電気二重層キャパシタ用電解液を得、70℃と−40℃とでの長期信頼性試験を行った結果を表1及び表2に示す。
実施例4
実施例2において、PC及びSLの容量混合比率をそれぞれ75、25とした以外は同様にして電気二重層キャパシタ用電解液を得、70℃と−40℃とでの長期信頼性試験を行った結果を表1及び表2に示す。
実施例5
実施例1において、PC及びSLの容量混合比率をそれぞれ65、35とした以外は同様にして電気二重層キャパシタ用電解液を得、70℃と−40℃とでの長期信頼性試験を行った結果を表1及び表2に示す。
実施例6
実施例2において、PC及びSLの容量混合比率をそれぞれ65、35とした以外は同様にして電気二重層キャパシタ用電解液を得、70℃と−40℃とでの長期信頼性試験を行った結果を表1及び表2に示す。
比較例1
実施例1において、PC及びSLの容量混合比率をそれぞれ85、15とした以外は同様にして電気二重層キャパシタ用電解液を得、70℃と−40℃とでの長期信頼性試験を行った結果を表1及び表2に示す。
比較例2
実施例2において、PC及びSLの容量混合比率をそれぞれ85、15とした以外は同様にして電気二重層キャパシタ用電解液を得、70℃と−40℃とでの長期信頼性試験を行った結果を表1及び表2に示す。
比較例3
実施例1において、PC及びSLの容量混合比率をそれぞれ55、45とした以外は同様にして電気二重層キャパシタ用電解液を得、70℃と−40℃とでの長期信頼性試験を行った結果を表1及び表2に示す。
比較例4
実施例2において、PC及びSLの容量混合比率をそれぞれ55、45とした以外は同様にして電気二重層キャパシタ用電解液を得、70℃と−40℃とでの長期信頼性試験を行った結果を表1及び表2に示す。
比較例5
実施例1において、電解質にTEA−BF4を用いた以外は同様にして電気二重層キャパシタ用電解液を得、70℃と−40℃とでの長期信頼性試験を行った結果と温度特性をそれぞれ表1と表2に示す。
比較例6
実施例1において、電解質にTEMA−BF4を用いた以外は同様にして電気二重層キャパシタ用電解液を得、70℃と−40℃とでの長期信頼性試験を行った結果と温度特性をそれぞれ表1と表2に示す。
比較例7
実施例1において、溶媒に純PCを用いた以外は同様にして電気二重層キャパシタ用電解液を得、70℃と−40℃とでの長期信頼性試験を行った結果と温度特性をそれぞれ表1と表2に示す。
比較例8
実施例1において、電解質にTEA−BF4、溶媒に純PCを用いた以外は同様にして電気二重層キャパシタ用電解液を得、70℃と−40℃とでの長期信頼性試験を行った結果と温度特性をそれぞれ表1と表2に示す。
比較例9
実施例1において、電解質にTEMA−BF4、溶媒に純PCを用いた以外は同様にして電気二重層キャパシタ用電解液を得、70℃と−40℃とでの長期信頼性試験を行った結果と温度特性をそれぞれ表1と表2に示す。
Figure 2008218682
Figure 2008218682
表1より、前記一般式[1]及び/または[2]で表されるスピロ型第四級アンモニウムテトラフルオロボレートをPC及びSLの混合溶媒に溶解させて作製した電解液のみ、3.2Vという従来の電気二重層キャパシタ用電解液としては著しく高い電圧印加条件下における信頼性試験においても、高い耐久性を示すことが明らかである。
また、表2から、一般式[1]及び/または[2]で表されるスピロ型第四級アンモニウムテトラフルオロボレートをPC及びSLの混合溶媒に溶解させて作製した電解液は、広範な温度範囲において凝固を起こさずにキャパシタ特性を発現できた。
よって、実施例1乃至6の、テトラフルオロホウ酸スピロ型第四級アンモニウムをPCとSLとの混合溶媒に溶解させた電解液についてのみ耐電圧が高く、極めて耐久性が高いとともに、広範な温度範囲で使用することができることが明らかである。また、それらの電解液を用いて作製した電気二重層キャパシタは高信頼性、高耐電圧性及び広範な温度範囲における動作特性が向上し、これら全てに優れた特性を兼ね備えていることが確認できた。
本発明のテトラフルオロホウ酸スピロ型第四級アンモニウムをPCとSLの混合溶媒に溶解させた電解液を用いることにより、電気二重層キャパシタの耐電圧性を向上させながら広範な温度範囲で使用することが可能になり、該電解液を用いて作製されてなることを特徴とする電気二重層キャパシタは、小型電子機器から大型自動車用途まで、広範な産業分野においての使用が可能である。

Claims (3)

  1. 下記一般式1、
    Figure 2008218682
    及び/又は下記一般式2、
    Figure 2008218682
    で表される第四級アンモニウムテトラフルオロボレートが、プロピレンカーボネート及びスルホランを含有する混合溶媒中に溶解されてなることを特徴とする電気二重層キャパシタ用電解液。
  2. 前記プロピレンカーボネート及びスルホランの容量混合比率が60:40乃至80:20であることを特徴とする請求項1に記載の電気二重層キャパシタ用電解液。
  3. セパレータを挟み込んだ分極性電極に、請求項1又は2に記載の電気二重層キャパシタ用電解液を含浸させ、これを容器に密閉してなる電気二重層キャパシタ。
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