JP2008216316A - 画像形成装置 - Google Patents

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卓也 関根
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Abstract

【課題】付与する張力を可変にすることで、摩擦係数の減少によるローラとベルトを用いた中間転写体とのスリップの発生を特別な防止用の構成を付加しないでコストの上昇を防止可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数色の画像形成部を備え、各画像形成部からの画像を転写されるベルトを用いた中間転写体がφ20以下の小径ローラに掛け回されて回転する構成の転写装置を備えた画像形成装置において、中間転写体の張力を付与するテンションローラを中間転写体の展張方向一方側に位置させ、該テンションローラへの加圧力として、作像動作中以外の加圧力の方を作像動作中の加圧力を解除することなくその加圧力よりも低く設定したことを特徴とする。
【選択図】図8

Description

本発明は、画像形成装置に関し、さらに詳しくは、中間転写体に用いられるベルトの張力調整機構に関する。
複写機やファクシミリあるいはプリンタさらには印刷機などの画像形成装置においては、潜像担持体である感光体上に担持されている可視像を転写体に転写するようになっている。
転写体には、感光体に直接当接させる記録シートなどの他に、ベルト状の転写体が用いられる場合もある。後者の場合の一つとして、フルカラーを含む多色画像形成がある。
多色画像形成のための構成の一つとして、複数の感光体を用いて各感光体毎に色分解色に対応した静電潜像を形成し、これら各感光体にそれぞれ対峙しながら移動するベルトを中間転写体としてあるいは表面に記録シートを担持する搬送体として用いた構成がある(例えば、特許文献1)。
ベルトを中間転写体として用いる場合には、各感光体上に形成された色毎の画像を順次転写する1次転写工程と順次転写されて重畳された画像を記録シートに一括転写する2次転写工程とが用いられ、また、ベルトを搬送体として用いる場合には表面に担持した記録シートを各感光体に対向させるように移動させる過程で各感光体上の画像を記録シートに重畳転写する行程が用いられる。
中間転写体に用いられるベルトは、複数のローラに掛け回され、テンションローラなどを用いて張力を付与されることによりローラとの間でのスリップを防止されて、スリップが発生した場合の転写位置ずれや回転の不安定化が防止されるようになっている。
しかし、張力を付与した場合には、ローラの曲率半径によってベルトにカールと称される巻き癖が発生することがある。
特に、近年では、装置の小型化が要望されてきており、このためにベルトの展張方向に沿って並置されている各色の作像ユニット間の配置ピッチが小さくされたりベルトが巻き掛けられれるローラも小径化する傾向にある。このため、小径のローラに掛け回されるベルトには張力の作用も相俟って巻き癖が付きやすくなる。
ベルトの巻き癖は、各作像ユニットからの1次転写工程において転写不良を発生される原因となる。つまり、ベルトの巻き癖は、ベルトの展張方向で波打現象として表れ、波打っている部分が凹凸状となり、1次転写工程でのベルトと像担持体として用いられる感光体との間での密着状態が悪化する。このため、感光体との密着範囲が狭くなり、密着範囲の前後では感光体とベルトとの間に微小なギャップが生じてしまい、このギャップ内での異常放電を引き起こして適正な転写が行えずに異常画像が発生する虞がある。また、画像の一括転写が行われる2次転写位置においてもベルトと転写材との密着状態が巻き癖によって適正でないと、転写材に白抜けや転写ムラが発生する虞がある。
一方、適正な張力を維持するにはベルトとこれが掛け回されているローラとの間の摩擦力が適性であることが必要であるであるが、トナーや紙粉などがベルト裏面に付着したような場合にはベルト裏面での摩擦係数が変化してしまい、ローラとの間での適正な摩擦関係が維持できなくなり、結果としてスリップが発生することがあり、適正な回転速度によるベルトの移動が維持できなくなることにより転写位置ずれによる色ずれなどの異常画像が発生してしまう。
従来、上述したベルトの巻き癖による凹凸部の発生をなくすために張力を負荷する際にローラとベルトとの間に発生するスリップを防止する方法として、ローラに掛け回されているベルトにおいて各作像ユニットが並置されている方向と平行する展張面とは別の展張面に張力付加用のテンションローラを設け、このテンションローラによるベルトへの当接圧力を変化させて張力を調整するようにした構成が上記特許文献1に開示されている。
特許文献1においては、ベルトにおける転写位置近傍にテンションローラを設け、テンションローラによるベルトへの加圧力を作用させる場合と加圧を解除する場合とを設定して張力を作用させることが原因するベルトの巻き癖を解消して巻き癖によるスリップを防止する構成が開示されている。
特開平11−352790号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示されているような方法では、付与する張力の値が固定であるため、経時において、トナーや紙粉が中間転写ベルト裏面に付着して、摩擦係数が減少することにより、中間転写駆動ローラと中間転写ベルトとのスリップが発生した場合に対処することができないという新たな問題がある。
また、張力の付与、またその除去を行うために新たに部材を付け加える必要があり、コスト的にも不利である。さらに、張力可変手段は中間転写体の一端部になく、中間転写ベルトと張力可変手段との巻きつき角が小さいため、中間転写ベルトに効率良く圧を加えられず(圧縮距離の増減の割合に対する負荷の増減の割合が小さいため)、負荷の幅が狭まってしまう。中間転写ベルトに効率よく圧をかけられないと、その分、圧縮距離を大きく変動させる必要があり、レイアウトに関して不利となるという問題も含まれている。
本発明の目的は、上記従来の画像形成装置における問題に鑑み、付与する張力を可変にすることで、摩擦係数の減少によるローラとベルトを用いた中間転写体とのスリップの発生を特別な防止用の構成を付加しないでコストの上昇を防止し、かつ、テンションローラを中間転写体の一端部に設けることで、中間転写体とテンションローラの巻きつき角を大きくし、中間転写ベルトに効率よく圧力をかけるようにして圧縮距離を短くすることができ、レイアウトに関しても有利となる構成を備えた画像形成装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は次の構成からなる。
(1)顕像を形成、担持する像担持体をY(イエロー)、C(シアン)、M(マゼンタ)、K(黒)と4色分4つ備え、該像担持体に形成されたトナー像を順次転写可能なベルトからなる中間転写体が設けられ、該像担持体間のピッチが上記中間転写体の駆動ローラ周長の整数倍に設定されて構成されている画像形成装置において、
上記中間転写駆動ローラ径がφ20以下とされ、上記中間転写体は駆動ローラとテンションローラを含む少なくとも2本のローラに無端状ベルトを張設したベルトユニットを備え、該ベルトユニットにおけるテンションローラの加圧力が変更可能であることを特徴とする画像形成装置。
(2)上記テンションローラに対する加圧力は、作像動作中以外の加圧力が、上記中間転写体の駆動モータの回転開始および、顕像の感光体への書き込みから中間転写体へのトナー像の転写、中間転写体から記録媒体に転写してから上記中間転写体の駆動モータが止まるまでの間に相当する作像動作中の加圧力(作像時圧力)と比較して低く設定されていることを特徴とする(1)に記載の画像形成装置。
(3)上記テンションローラの加圧力は、少なくとも2段階の調整が可能であることを特徴とする請求項1またはに記載の画像形成装置。
(4)上記テンションローラの加圧力は、該テンションローラの駆動ローラと中間転写体との間でスリップを検知した時には、その後の作像時圧力が増加されることを特徴とする(1)または(2)に記載の画像形成装置。
(5)上記加圧力を変更可能なテンションローラとして、上記4つの像担持体の並置方向に平行する中間転写体の展張方向一端部に設置され、該中間転写体のクリーニング機構に対向する位置に設けられているローラが用いられることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の画像形成装置。
(6)上記中間転写体の素材は、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂を単独、または複数使用したものであることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載の画像形成装置。
(7)上記中間転写体の膜厚が40〜100μmであることを特徴とする(1)乃至(6)のいずれかに記載の画像形成装置。
(8)上記像担持体に担持される顕像が、レーザビームを用いて形成されることを特徴とする(1)乃至(7)のいずれかに記載の画像形成装置。
(9)上記像担持体に担持される顕像が、電子写真プロセスにより形成されることを特徴とする(1)乃至(7)のいずれかに記載の画像形成装置。
(10)上記潜像担持体がファクシミリ装置に用いられることを特徴とする(1)乃至(7)のいずれかに記載の画像形成装置。
本発明によれば、小径のローラに掛け回されているベルトに対するテンションローラからの加圧力を可変にすることで小径ローラ周面での張力付加の程度を変化させて巻き癖の発生を抑制することができ、さらには、スリップの発生を防止することができる。
特に請求項2記載の発明においては、作像動作中以外のテンションローラの加圧力を、作像動作中の加圧力(作像時圧)と比較して低くすることにより、ベルトのカール癖の発生を予防することが可能となる。
請求項3記載の発明においては、テンションローラの加圧力を調整することで、最適な圧を付与することが可能である。
請求項4記載の発明においては、作像時圧を増加させることにより駆動ローラと中間転写ベルトの摩擦力を高め、スリップを無くすことが可能である。
請求項5記載の発明においては、テンションローラを中間転写ベルトの一端部に設置することで、負荷の選択肢を大きくすることが可能である。また、テンションローラとクリーニング機構対向ローラを同一のローラにすることにより、コストダウンを図ることが可能である。
請求項6記載の発明においては、中間転写ベルトの素材を、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂を単独、または複数使用したものにすることで、ベルトの延びを防ぎ、延びによる色ずれの問題の発生を防止することが可能である。
請求項7記載の発明においては、中間転写ベルトの膜厚を薄くし、カール癖による凹凸が感光体の形状に倣い易くすることで、微小ギャップを生じ難くすることが可能である。
請求項8乃至10記載の発明においては、ベルトの巻き癖を解消すると共にスリップの発生がなくされることによって異常画像の発生が防止された高品質商品の生産が可能である。
以下、図示実施例により本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明実施例による画像情報検知方法が適用される画像形成装置を示しており、同図に示す画像形成装置100は、複数色の画像形成が可能なカラープリンタを示している。なお、本発明は、画像形成装置としてプリンタに限らず、複写機やファクシミリ装置あるいは印刷機さらにはこれら各機能を複合させた装置を含むものである。
図1において、画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な像担持体としての感光体ドラム20Y、20M、20C、20Bkを並設したタンデム構造が採用されている。
図1に示す構成の画像形成装置100は、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20Bkに形成された可視像が、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20Bkに対峙しながら矢印A1方向に移動可能な無端ベルトが用いられる中間転写体(以下、中間転写ベルトという)11に対して1次転写行程を実行してそれぞれの画像が重畳転写され、その後、記録シートなどが用いられる転写紙Sに対して2次転写行程を実行することで一括転写されるようになっている。
各感光体ドラムの周囲には、感光体ドラムの回転に従い画像形成処理するための装置が配置されており、イエロー画像形成を行う感光体ドラム20Yを対象として説明すると、感光体ドラム20Yの回転方向に沿って画像形成処理を行う帯電装置30Y,現像装置40Y、1次転写ローラ12Yおよびクリーニング装置50Yが配置されている。
帯電後に行われる書き込みは、後述する光走査装置8が用いられる。なお、感光体ドラム12Yには、これに対向してクリーニング装置50Yによる残留トナーの除去後に除電を行う除電装置(図示されず)も設けられている。
図1に示す構成において、感光体ドラム20Yおよびこれに対峙する帯電装置30Y,現像スリーブ40Y1を備えた現像装置40Yおよびクリーニング装置50Yは、プロセスカートリッジに纏めて収納されており、プロセスカートリッジは画像形成装置100に対して着脱可能に設けられることにより一括して消耗部品を交換できる構成とされている。
中間転写ベルト11に対する重畳転写は、中間転写ベルト11がA1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20Bkに形成された可視像が、中間転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写されるよう、中間転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y、20M、20C、20Bkに対向して配設された1次転写ローラ12Y、12M、12C、12Bkによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
各感光体ドラム感光体ドラム20Y、20M、20C、20Bkは、A1方向の上流側からこの順で並んでいる。各感光体ドラム感光体ドラム20Y、20M、20C、20Bkは、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の画像をそれぞれ形成するための画像ステーションを構成するプロセスカートリッジに備えられている。
画像形成装置100は、各色毎の画像形成処理を行う4つの作像ステーションと、各感光体ドラム20Y,20M,20C,20Bkの上方に対向して配設されると共に中間転写ベルト11及び1次転写ローラ12Y、12M、12C、12Bkを備えた転写ベルトユニット10と、中間転写ベルト11に対向して配設され中間転写ベルト11に従動し、連れ回りする2次転写手段としての転写ローラである2次転写ローラ5と、中間転写ベルト11に対向して配設され中間転写ベルト11上をクリーニングする中間転写ベルトクリーニング装置13と、これら4つの画像ステーションの下方に対向して配設された光書き込み装置としての光走査装置8とを有している。
本実施例における光走査装置8は、光源としての半導体レーザ、カップリングレンズ、fθレンズ、トロイダルレンズ、ミラーおよび回転多面鏡などを装備しており、各感光体ドラム20Y,20M,20C,20Bkに対して色毎に対応した書き込み光(図1においては、一点鎖線で示されている)を出射して感光体ドラム20Y,20M,20C,20Bkに静電潜像を書込形成する構成とされている。
画像形成装置100には、感光体ドラム20Y,20M,20C,20Bkと中間転写ベルト11との間に向けて搬送される転写紙Sを積載した給紙カセットを有するシート給送装置61と、シート給送装置61から搬送されてきた記録紙Sを、画像ステーションによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、各感光体ドラム20Y,20M,20C,20Bkと中間転写ベルト11との間の転写部に向けて繰り出すレジストローラ対4と、転写紙Sの先端がレジストローラ対4に到達したことを検知する図示しないセンサとが設けられている。
画像形成装置100には、トナー像が転写された転写紙Sにトナー像を定着させるための熱ローラ定着方式の定着ユニットとしての定着装置6と、定着済みの転写紙Sを画像形成装置100の本体外部に排出する排紙ローラ7と、画像形成装置100の本体上部に配設され排出ローラ7により画像形成装置100の本体外部に排出された転写紙Sを積載する排紙トレイ17と、排紙トレイ17の下側に位置し、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを充填されたトナーボトル9Y、9M、9C、9Bkとが備えられている。
転写ベルトユニット10は、中間転写ベルト11、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12Bkの他に、中間転写ベルト11が掛け回されている2次転写バックアップローラ72,クリーニングバックアップローラ73およびテンションローラ74を有している。2次転写バックアップローラ72は2次転写ローラ5と共に中間転写ベルト11を挟持することにより2次転写ニップを構成するために用いられる。2次転写バックアップローラ72,クリーニングバックアップローラ73およびテンションローラ74の一つが駆動ローラとして用いられ、その外径がφ20以下に設定されて小型化が図られている。
クリーニングバックアップローラ73およびテンションローラ74は、中間転写ベルト11に対する張力付勢手段としての機能も備えており、このため、これらローラには、バネなどを用いた付勢手段が設けられている。このような転写ベルトユニット10と、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12Bkと、2次転写ローラ5と、クリーニング装置13とで転写装置71が構成されている。
本実施例における中間転写ベルト11は、素材としてポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂を単独、または複数使用したものが用いられ、延びに対する耐久力を確保して伸びによる色ずれなどを防止できるようになっており、また、転写層の膜厚として、40〜100μmのものが用いられて巻き癖が発生した場合の表面の凹凸が感光体の形状に倣いやすくなるようにされて感光体との間にギャップが生じにくい状態となるようにされている。
シート給送装置61は、画像形成装置100の本体下部に配設されており、最上位の転写紙Sの上面に当接する給紙ローラとしての給送ローラ3を有しており、給送ローラ3が反時計回り方向に回転駆動されることにより、最上位の転写紙Sをレジストローラ対4に向けて給送するようになっている。
定着装置6は、熱源を内部に有する定着ローラ62と、定着ローラ62に圧接された加圧ローラ63とを有しており、トナー像を担持した転写紙Sを定着ローラ62と加圧ローラ63との圧接部である定着部に通すことで、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を転写紙Sの表面に定着するようになっている。
転写装置71に装備されているクリーニング装置13は、詳細な図示を省略するが、中間転写ベルト11に対向当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードとを有しており、中間転写ベルト11上の残留トナー等の異物をクリーニングブラシとクリーニングブレードとにより掻き取り、除去して、中間転写ベルト11をクリーニングするようになっている。クリーニング装置13はまた中間転写ベルト11から除去した残留トナーを搬出し廃棄するための図示しない排出手段を有している。
図2は、本実施例に特徴を説明するための図であり、同図において中間転写ベルト11が掛け回されているローラのうちで、作像部に位置する感光体ドラム画へ位置されている方向と平行する展張面の一方側に位置するクリーニングバックアップローラ73をテンションローラとして用いるようになっている。
図2においてクリーニングバックアップローラ73は、支軸73Aに一端を位置させた加圧バネ75によって中間転写ベルト11に張力を付与する方向に変位する習性が設定されている。
加圧バネ75は、延長方向一端が上記支軸73A側に位置し、延長方向他端が上記張力を付与する方向に変位可能なバネ保持部材76に位置決めされている。
バネ保持部材76は、図示しない駆動装置として用いられるソレノイの励磁状態の切換によって加圧バネ75を伸縮させることによって加圧バネ75の圧縮距離Xを変化させて中間転写ベルト11に対する加圧力Fxを変更できるようになっている。
図3は、バネ保持部材76の変位制御に用いられる制御部の構成を説明するためのブロック図であり、同図において制御部77は、画像形成処理のためのシーケンスプログラムを実行するマイクロコンピュータが用いられ、図示しないインターフェースを介して入力側には操作パネル78がそして出力側にはバネ保持部材76の変位駆動部材に対する動作駆動部79がそれぞれ接続されている。
制御部77は、操作パネル78からの画像形成指令であるジョブ情報を受信することにより、ジョブが開始される作像動作中と、ジョブ終了あるいは待機時などのように画像形成が行われていない作像動作中以外との2段階において中間転写ベルト11の張力を変化させるようになっており、作像動作中以外の時には作像動作中よりも低い圧力を加圧バネ75に生起させるようになっている。
制御部77において加圧バネ75に対する加圧力の変更モードに応じて加圧駆動部79が稼働し、バネ保持部材76の変位量を設定するようになっている。
この場合にいう、作像動作中とは、中間転写ベルト11への画像転写が行われる時期に相当しており、具体的には、中間転写ベルト11の駆動モータの回転開始および、感光体での顕像形成のための画像書き込みから中間転写ベルト11へのトナー像の転写、中間転写ベルト11から転写紙Sに転写してから中間転写ベルト11の駆動モータが止まるまでの間に相当する期間を意味する。
図4は、図3に示した制御部77の動作を説明するためのフローチャートであり、同図において、ジョブ受信が行われると(ST1)、作像開始かどうかが判別され(ST2)、作像動作中に相当する場合にはテンションローラとして用いられるクリーニングバックアップローラ73に対する加圧バネ75の加圧力が設定され(ST3)、作像が開始されてジョブが終了することを判別した結果においてジョブ終了と判断されると、加圧バネ75の圧力を減圧する(ST4〜ST6)。ステップST3において設定される加圧バネ75の加圧力は、中間転写ベルト11とローラとの間でのスリップが発生しない張力が得られる圧力に相当しており、またステップST6で設定される加圧バネ75の加圧力は、スリップが発生しない程度に中間転写ベルト11が弛み、ローラの曲率半径による巻き癖が発生しない程度の圧力とされている。
図5は、制御部77において設定される加圧力がテンションローラとして用いられるクリーニングバックアップローラ73に作用する場合を示す図であり、同図(A)に示す状態は、作像動作中に相当しており、この場合には、バネ保持部材76が加圧バネ75を圧縮する方向に変位(バネ長がX1で示されている)して加圧バネ75の圧力を増加させ(Fx1)、同図(B)に示す状態は作像動作中以外の場合を示しており、この場合には、バネ保持部材76が加圧バネ75を伸張させる方向に変位(バネ長がX2で示され、X2>X1の関係)して加圧バネ75の圧力を図(A)に示した圧力(Fx1)よりも低い圧力(Fx2)に減圧される。
なお、加圧バネ75に対する加圧力は、上述したように作像時圧力とこれよりも低い初期圧力という2段階の設定だけでなく、例えば、中間転写ベルト11の経時劣化などを考慮して経時に応じた初期圧力を設定し、過剰な張力付加による裂断などが発生内容にすることも可能である。
このような少なくとも2段階の圧力設定のための構成としては、図6に示すように、バネ保持部材76に当接する偏心カム80を用いてその回転量を設定することでバネ保持部材76に対する偏心カム80の回転中心からの半径を変化させて加圧バネ75に対する伸縮量を変化させる構成を用いることも可能である。
本実施例は以上のような構成であるから、作像動作中と作像動作中以外とでテンションローラへの加圧力が変更されて密着性を向上させて転写不良を防止できる。特に、作像動作中以外には作像動作中よりも低い加圧力に設定されて小径ローラに掛け回されたベルトへの巻き癖の発生が抑制されると共に加圧力を解除する場合と違ってスリップが生じない程度に接触する圧力を維持されているので、作像動作が再会された場合にテンションローラの加圧力増加によるベルトや感光体への急激な衝撃発生が抑制されることになる。これにより、衝撃によるベルトの剛性低下や感光体への衝撃が原因する書込光学路の変化などによる書込不良が防止されて画像品質の低下が防止されることになる。
次に本発明の実施形態に係る別実施例について説明する。
本実施例の特徴は、中間転写ベルト11にスリップが発生した場合の張力を変更するための加圧力制御にある。
図3において、制御部77には、中間転写ベルト11のスリップを検知するためのスリップ検知部材90が接続されている。
スリップ検知部材90は、中間転写ベルト11の駆動ローラの回転数とこの回転数に基づくベルトの移動量との差を割り出すものであり、駆動ローラに設けられたエンコーダとベルトを対象とした光ピックアップセンサが用いられ、両者の差がスリップ判断の閾値を越えた場合に制御部にスリップ発生信号を出力する。
制御部77では、スリップが発生した場合に中間転写ベルト11の張力を増加させるように加圧バネ75の加圧力を上記差が解消するまでの間増加させるようになっている。
図7は、この場合の動作を説明するためのフローチャートであり、同図において中間転写ベルトを用いている状態である作像動作中において加圧バネ75に対する増圧状態にあるときにスリップが検知処理が実行され(ST10〜ST11)、スリップが発生したかどうかが判別されて(ST12)、スリップ発生と判断した場合には、作像時での圧力をさらに増加させる(ST13)。スリップ発生時に増圧されると、ステップST11においてスリップ検知が継続されてスリップの発生が解消するまで監視され、スリップが解消されると作像動作時の加圧力に設定される(ST14)。
本実施例においては、作像動作時の設定圧力を維持している場合でも発生しうるスリップへの対応が容易に行えることとなり、スリップによる色ずれや時ターなどの不具合を解消することができる。特に、作像動作中の加圧力とは別にスリップ発生を解消する圧力設定ができるので、作像動作中とこれ以外の2段階の圧力設定では不可能であったスリップへの対処が可能となる。
次に本発明の実施形態に係る他の実施例について説明する。
本実施例は、テンションローラの位置に特徴を持つものであり、図8において(A)は、本実施例による構成であるテンションローラ73を中間転写ベルト11の展張方向一方端に配置した場合を示し、(B)は本実施例と違ってテンションローラ(便宜上、符号200で示す)が中間転写ベルト11の展張方向の端部以外に配置されている場合を示している。
図8において、加圧バネ75による加圧力を符号Fxで示すと、中間転写ベルト11に作用する張力は、それぞれ加圧力Fxから得られるベルトのとの当接角度θの大きさによる分力Fx1a,Fx2a,Fx1b,Fx2bとして求められる。
これら分力は、上記角度θに依存することになるが、この角度θが小さいほど大きく得られる(分力Fx1=Fx・cosθ)。
テンションローラがベルトユニットの一端部にあると(中間転写ベルトのテンションローラに対する巻き付き角が大きいため)、必然的にθは小さくなるため、分力Fx1は大きくなる。即ち、Fx1a>Fx1b、Fx2a>Fx2bとなり、テンションローラの加圧力:Fxを効率的にベルトに伝えることができることになる。
本実施例においては、中間転写ベルト11の展張方向一方側に位置するにクリーニングバックアップローラ73をテンションローラとして用いることにより、図8(B)に示した構成のようにクリーニングバックアップローラ(便宜上、符号730で示す)を設けた場合と違って、テンションローラをクリーニングバックアップローラ73によって兼用することができるので、部品点数を省力化が可能となり、コストの上昇が抑えられることになる。
本発明の実施例による画像形成装置の全体構成を説明するための模式図である。 図1に示した画像形成装置に用いられる中間転写体の支持構造の一部を示す図である。 図2に示した中間転写体の張力変更に用いられる制御部の構成を説明するためのブロック図である。 図3に示した制御部の動作を説明するためのフローチャートである。 図2に示した中間転写体の張力変更に用いられる部材の作用を説明するための図である。 図2に示した中間転写体の張力変更に用いられる別実施例を説明するための図である。 図2に示した中間転写体のスリップを防止するための作用を説明するためのフローチャートである。 図2に示した構成におけるテンションロータの配置構成とこの配置構成と異なる構成とを対象として中間転写体に発生する張力の比較について説明するための図である。
符号の説明
100 画像形成装置
11 中間転写ベルト
73 クリーニングバックアップローラ
75 加圧バネ
76 バネ保持部材
77 制御部

Claims (10)

  1. 顕像を形成、担持する像担持体をY(イエロー)、C(シアン)、M(マゼンタ)、K(黒)と4色分4つ備え、該像担持体に形成されたトナー像を順次転写可能なベルトからなる中間転写体が設けられ、該像担持体間のピッチが上記中間転写体の駆動ローラ周長の整数倍に設定されて構成されている画像形成装置において、
    上記中間転写駆動ローラ径がφ20以下とされ、上記中間転写体は駆動ローラとテンションローラを含む少なくとも2本のローラに無端状ベルトを張設したベルトユニットを備え、該ベルトユニットにおけるテンションローラの加圧力が変更可能であることを特徴とする画像形成装置。
  2. 上記テンションローラに対する加圧力は、作像動作中以外の加圧力が、上記中間転写体の駆動モータの回転開始および、顕像の感光体への書き込みから中間転写体へのトナー像の転写、中間転写体から記録媒体に転写してから上記中間転写体の駆動モータが止まるまでの間に相当する作像動作中の加圧力(作像時圧力)と比較して低く設定されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 上記テンションローラの加圧力は、少なくとも2段階の調整が可能であることを特徴とする請求項1またはに記載の画像形成装置。
  4. 上記テンションローラの加圧力は、該テンションローラの駆動ローラと中間転写体との間でスリップを検知した時には、その後の作像時圧力が増加されることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
  5. 上記加圧力を変更可能なテンションローラとして、上記4つの像担持体の並置方向に平行する中間転写体の展張方向一端部に設置され、該中間転写体のクリーニング機構に対向する位置に設けられているローラが用いられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
  6. 上記中間転写体の素材は、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂を単独、または複数使用したものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
  7. 上記中間転写体の膜厚が40〜100μmであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成装置。
  8. 上記像担持体に担持される顕像が、レーザビームを用いて形成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成装置。
  9. 上記像担持体に担持される顕像が、電子写真プロセスにより形成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成装置。
  10. 上記潜像担持体がファクシミリ装置に用いられることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成装置。
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