JP2008212942A - シリンダブロックの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成で、砂中子を破損することなく、確実に、シリンダボアの壁面を構成するライナと、冷却流体が流通されるウォータジャケットとを有するシリンダブロックを製造する。
【解決手段】シリンダボアの壁面を構成するライナ1と、冷却流体が流通されるウォータジャケットとを有するシリンダブロックを製造するための鋳造型は、ウォータジャケットを形成するための砂中子2の外側を保持しこの砂中子2とライナ1との間に溶融されたシリンダブロックの材料の一部3を重力鋳造法により充填するためのキャビティ10を形成する第1型11と、第1型11によって部分的な材料3および砂中子2と一体化されたライナ1の内側を保持するとともに砂中子2の外側に溶融された材料4をダイカスト鋳造法により充填するためのキャビティ20を形成する第2型21と、を備えている。
【選択図】図3

Description

本発明は、シリンダブロックの製造方法に関し、特に、シリンダボアの壁面を構成するライナと、冷却流体が流通されるウォータジャケットとを有するシリンダブロックを製造するための方法に関するものである。
シリンダブロックをダイカスト鋳造するための従来の技術として、特許文献1が知られている。特許文献1には、シリンダブロックをダイカスト鋳造するにあたり、可動ダイスにライナーを挿入後、可動金型側に、駆動機構によって独立して作動するよう設けられた砂中子保持ピンをキャビティ内に突出し、該ピン上へ水ジャケット成形用砂中子を載置して一時的に保持させ、次いで可動ダイスの可動中子金型により上記砂中子を保持した後、上記砂中子保持ピンをキャビティから後退させ、型締することを特徴とする砂中子の保持方法、および、キャビティに対して独立して進退自在に可動金型側に形成され、型締め前に水ジャケット成形用砂中子をキャビティ内に一時的に保持するための砂中子保持ピンと、上記砂中子保持ピンを駆動機構に連結する接続板とを備え、上記砂中子保持ピンは少なくとも2本ないしは2本以上を有して上記砂中子の一側面を載置して保持するよう構成したことを特徴とする砂中子の保持装置が開示されている。
特開平1‐178361号公報
上記特許文献1にあっては、砂中子7に形成された突起7cおよび脚部7dを可動中子金型2、3と可動ダイス1に形成された凹部2a、3a、1bに係嵌することにより金型内に砂中子を保持することが記載されている(公報第3頁左上欄第8行〜同欄第16頁)。すなわち、特許文献1にあっては、砂中子7を突起7cによって金型内に部分的に保持した状態で型締し、プランジャによってキャビティ内に溶湯を充填し鋳造するものであった。そのため、砂中子自体の自重や鋳造時の溶湯衝撃、圧力などによって砂中子が破損し、ウォータジャケットを正しく成形することができず、シリンダブロックの歩留りが悪くなるという問題があった。
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたもので、簡単な構成で、砂中子を破損することなく、確実に、シリンダボアの壁面を構成するライナと、冷却流体が流通されるウォータジャケットとを有するシリンダブロックを製造することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明のシリンダブロックの製造方法に係る発明は、シリンダボアの壁面を構成するライナと、冷却流体が流通されるウォータジャケットとを有するシリンダブロックを製造するための方法であって、前記ライナとウォータジャケットを形成するための砂中子との間に溶融された材料を重力鋳造法により充填して前記ライナと砂中子と該両者の間の材料とを一体化し、該ライナおよび材料と一体化された砂中子の外側にキャビティを形成して、該キャビティ内に溶融化された材料をダイカスト鋳造法により充填することを特徴とするものである。
本発明によれば、ライナと砂中子との間に溶融された材料を重力鋳造法により充填して、内側から外側に向かって順次ライナと充填された材料と砂中子とを一体化させ、しかも、その外側にキャビティを形成して内部に溶融化された材料をダイカスト鋳造法により充填するため、砂中子に部分的に大きな荷重がかかるなどして破損することなく、シリンダボアの壁面を構成するライナが鋳包まれるとともに冷却流体が流通されるウォータジャケットが砂中子によって確実に形成されたシリンダブロックを製造することが可能な方法を提供することができる。
(発明の態様)
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当する。
(1) シリンダボアの壁面を構成するライナと、冷却流体が流通されるウォータジャケットとを有するシリンダブロックを製造するための方法であって、
前記ライナとウォータジャケットを形成するための砂中子との間に溶融された材料を重力鋳造法により充填して前記ライナと砂中子と該両者の間の材料とを一体化し、
該ライナおよび材料と一体化された砂中子の外側にキャビティを形成して、該キャビティ内に溶融化された材料をダイカスト鋳造法により充填することを特徴とするシリンダブロックの製造方法。
(1)項の発明では、ライナとウォータジャケットを形成するための砂中子との間に溶融された材料を比較的低い圧力である重力鋳造法により充填すると、内側から外側に向かって順次ライナと材料と砂中子とが一体化となって成形される。このライナと材料と一体化された砂中子の外側にキャビティを形成してキャビティ内に溶融された材料を比較的高い圧力となるダイカスト鋳造法によって充填しても、砂中子の内側が全面にわたってライナと先の外側に重力鋳造法によって充填された材料によって保持されているため、砂中子に部分的な荷重がかかるなどして破損することなく、シリンダボアの壁面を構成するライナが鋳包まれるとともに冷却流体が流通されるウォータジャケットが砂中子によって確実に形成されたシリンダブロックを製造することが可能な方法を提供することができる。
(2) 前記ライナと砂中子との間に溶融された材料を重力鋳造法により充填する際に砂中子の外側を型により保持することを特徴とする(1)項に記載のシリンダブロックの製造方法。
(2)項の発明では、(1)項に記載の発明において、ライナと砂中子との間に溶融された材料を重力鋳造法により充填する際に、砂中子の外側を型で保持することによって、溶融された材料の充填により砂中子が破損するのを確実に防止できる。
(3) 前記キャビティ内に溶融化された材料をダイカスト鋳造法により充填する際にライナの内側を型により保持することを特徴とする(1)項または(2)項に記載のシリンダブロックの製造方法。
(3)項の発明では、(1)項または(2)項に記載の発明において、キャビティ内に溶融化された材料をダイカスト鋳造法により充填する際にライナの内側を型で保持することによって、キャビティ内に溶融化された材料をダイカスト鋳造法により充填する圧力によりライナと先に充填された材料と一体化された砂中子が破損するのを確実に防止できる。
(4) シリンダボアの壁面を構成するライナと、冷却流体が流通されるウォータジャケットとを有するシリンダブロックを製造するための鋳造型であって、
ウォータジャケットを形成するための砂中子と前記ライナとの間に溶融された材料を重力鋳造法により充填するためのキャビティを形成する第1型と、
該第1型によってライナおよび材料と一体化された砂中子の外側に溶融された材料をダイカスト鋳造法により充填するためのキャビティを形成する第2型と、
を備えたことを特徴とするシリンダブロックを製造するための鋳造型。
(4)項の発明では、第1型によってウォータジャケットを形成するための砂中子と前記ライナとの間に溶融された材料を重力鋳造法により充填するためのキャビティを形成して溶融された材料を比較的低い圧力である重力鋳造法により充填すると、内側から外側に向かって順次ライナと材料と砂中子とを一体化に成形する。その後、第1型でライナおよび材料と一体化された砂中子の外側に溶融された材料をダイカスト鋳造法により充填するためのキャビティを第2型によって形成して、このキャビティに溶融された材料を比較的高い圧力となるダイカスト鋳造法により充填する。砂中子の内側が全面にわたってライナと先の外側に重力鋳造法によって充填された材料によって保持されているため、砂中子に部分的な荷重がかかるなどして破損することなく、シリンダボアの壁面を構成するライナが鋳包まれるとともに冷却流体が流通されるウォータジャケットを砂中子によって確実に形成してなるシリンダブロックを製造することが可能な鋳造型を提供することができる。
(5) 前記第1型が、砂中子の外側を保持する保持部を有していることを特徴とする(4)項に記載のシリンダブロックを製造するための鋳造型。
(5)項の発明では、(4)項に記載の発明において、第1型でライナと材料と砂中子とを一体化に成形する際に、保持部によって砂中子の外側が保持されるため、溶融された材料の充填により砂中子が破損するのを確実に防止できる。
(6) 前記第2型が、第1型で砂中子および材料と一体化されたライナの内側を保持するライナ保持部を有していることを特徴とする(4)項または(5)項に記載のシリンダブロックを製造するための鋳造型。
(6)項の発明では、(4)項または(5)項に記載の発明において、第1型で砂中子および材料と一体化されたライナの内側がライナ保持部により保持されるため、キャビティ内に溶融化された材料をダイカスト鋳造法により充填する圧力によりライナと先に充填された材料と一体化された砂中子が破損するのを確実に防止できる。
最初に、本発明の方法に使用されるシリンダブロックを製造するための鋳造型について、図1〜図4に基づいて詳細に説明する。同一符号は、同様または相当する部分を示すものとする。
シリンダブロックを製造するための鋳造型は、シリンダボアの壁面を構成するライナ1と、冷却流体が流通されるウォータジャケットとを有するシリンダブロックを製造するためのもので、ウォータジャケットを形成するための砂中子2の外側を保持するとともにこの砂中子2とライナ1との間に溶融されたシリンダブロックの材料(以下、単に材料と称する)の一部3を重力鋳造法により充填するためのキャビティ10を形成する第1型11と、この第1型11によって部分的な材料3および砂中子2と一体化されたライナ1の内側を保持するとともに砂中子2の外側に溶融された材料4をダイカスト鋳造法により充填するためのキャビティ20を形成する第2型21と、を備えている。
図1および図2に示すように、第1型11は、下型12と上型13とにより構成されている。下型12と上型13は、少なくとも一方が他方に対して衝合および離間するように相対的に移動可能に構成されている。下型12には、ウォータジャケットを形成するための砂中子2の幅木となる下端部2aが嵌合されてこれを保持する凹部14が形成されている。上型13の内周面には砂中子2の外周面を保持する保持部15が形成されている。図1に示すように、ライナ1は、下型12と上型13により保持された砂中子2の内部に配置される。砂中子2の内周面とライナ1の外周面との間には、溶融されたアルミ合金などの材料(溶融金属材料)3を注湯するキャビティ10が形成される。なお、ライナ1を砂中子2に対して位置決めするための手段として、ライナ1の外周面に砂中子2の内周面と接する脚部を設け、あるいは、下型12または上型13に少なくともライナ2の端部開口を嵌合し得る凸部を設けてもよい。
このように構成された第1型11では、例えば、下型12の凹部14に砂中子2の幅木となる下端部2aを嵌合するとともに上型13と下型12を衝合させると、砂中子2の外周面は、下型12の凹部14において外側に位置する内周面と、上型13の保持部15の内周面とによって全面的に保持される。そして、砂中子2の内部にライナ1を所定の間隔で位置決めし、両者の間に形成されたキャビティ10内に溶融金属材料3を重力鋳造法により注湯する。このとき、重力鋳造法によるために溶融金属材料3の充填圧力が比較的低く、しかも、砂中子2の外周面が均等に第1型11によって保持されているため、砂中子2が破損することがない。溶融金属材料3が固化すると、図2に示すように、内側から外側に向かって順次ライナ1と部分的な材料3と砂中子2とが一体化となって、換言すれば、外側から内側に向かって順次砂中子2と部分的な材料3とライナ1とが一体化となって成形される。この一体化されたライナ1と部分的な材料3と砂中子2は、上型13と下型12を相対的に離間させることにより、第1型11から取り出すことができる。
次に、図3および図4に基づいて、第2型21について説明する。第2型21は、固定型22と、型締め装置に接続されて固定型22に対して近接・離間する方向(図3および図4においては横方向)に移動する可動型23と、固定型22に対する可動型23の移動方向と直交する方向(図3および図4においては縦方向)に移動される複数のスライド型24とにより構成されている。
可動型23の中央には、第1型11によって部分的な材料3および砂中子2と一体化されたライナ1が嵌挿されてその内周面を保持するライナ保持部25が形成されている。また、ライナ保持部25の基端部には、第1型11によってライナ1および部分的な材料3と一体化された砂中子2の幅木となる端部2a(図1および図2における下端部)が嵌合される凹部26が形成されている。
このように構成された第2型21では、可動型23を固定型22から離間させるとともにスライド型24、24を互いに離間させて型開きした状態として、第1型11によって部分的な材料3および砂中子2と一体化されたライナ1を可動型23のライナ保持部25に嵌挿し、砂中子2の幅木となる端部2aを凹部26に嵌合する。このとき、砂中子2の内周面は、ライナ保持部25に保持されたライナ1および第1型11で一体化された部分的な材料3によりバックアップされた状態となっている。
次いで、型締め装置の駆動により固定型22に対して可動型23を近接させると、ライナ保持部25の先端面が所定の力で固定型22に衝合され、型締される。そして、スライド型24、24が可動型23の移動方向と直交する方向であって、ライナ保持部25に近接するよう移動されて型締されると、成形しようとするシリンダブロックの形状に応じたキャビティ20が形成されることとなる。キャビティ20内には、第1型11で充填された溶融金属材料3と同じ溶融金属材料4がダイカスト装置のプランジャにより比較的高圧で充填される。このとき、砂中子2は、第1型11で部分的な材料3およびライナ1と一体化されることにより保持されており、しかも、ライナ1が第2型21の可動型23のライナ保持部25に保持されているため、その内周面が全面にわたってバックアップされた状態となっているために、プランジャによって充填される溶融金属材料4の高い圧力によって破損することがない。
溶融金属材料4が固化すると、図4に示すように、第1型で先に成形された部分的な材料3とダイカスト鋳造法によって充填された材料4が一体となり、内周面にシリンダボアの壁面を構成するライナ1が鋳包まれるとともに、径方向中間位置に冷却流体を流通させるウォータジャケットを形成するための砂中子2が鋳包まれたシリンダブロックが確実に成形される。型締め装置の駆動により固定型22から可動型23を離間させるとともに、スライド型24、24を互いに離間させるように移動させて型開きすると、シリンダブロックをライナ保持部25から抜きとって取り出すことができる。取り出したシリンダブロックから砂中子2を取り去ると、ライナ1が鋳包まれたシリンダブロックの径方向中間位置に有底のウォータジャケットが形成されることとなる。
本発明の第1型にライナと砂中子をセットした状態を示す断面図である。 第1型に溶融金属材料を重力鋳造法により充填して一体化させた状態を説明するための断面図である。 本発明の第2型に、第1型で一体化されたライナと材料と砂中子をセットした状態を示す断面図である。 第2型に溶融金属材料をダイカスト鋳造法により充填してシリンダブロックを成形した状態を説明するための断面図である。
符号の説明
1:ライナ、 2:砂中子、 3:材料、 4:材料、 10:キャビティ、 11:第1型、 15:保持部、 20:キャビティ、 21:第2型、 25:ライナ保持部

Claims (1)

  1. シリンダボアの壁面を構成するライナと、冷却流体が流通されるウォータジャケットとを有するシリンダブロックを製造するための方法であって、
    前記ライナとウォータジャケットを形成するための砂中子との間に溶融された材料を重力鋳造法により充填して前記ライナと砂中子と該両者の間の材料とを一体化し、
    該ライナおよび材料と一体化された砂中子の外側にキャビティを形成して、該キャビティ内に溶融化された材料をダイカスト鋳造法により充填することを特徴とするシリンダブロックの製造方法。
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