JP2008211907A - 永久磁石式発電機の制御装置 - Google Patents

永久磁石式発電機の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】車両用のスタータジェネレータとして用いて好適の永久磁石式発電機の制御装置に関し、電気負荷変動が発生しても発電特性が変化しないようにする。
【解決手段】 永久磁石部材を備えたロータと、ロータの外周側に固定されたステータと、ステータとロータとの間に配置されてステータに対して相対移動する磁束制御籠と、磁束制御籠を移動させることにより磁束を制御するコントローラとを有し、ステータには第1の主巻線と第1の主巻線とは逆向きの弱界磁用副巻線とを設け、電気負荷の変動した際に第1の主巻線の発電特性が変動しないように電気負荷の大きさに応じて弱界磁用副巻線への通電量を補正する。
【選択図】図1

Description

本発明は、永久磁石板式ロータ,前記ロータの外周に配置されたステータ及び前記ロータから前記ステータへの磁束密度を制御する磁束制御装置から成る磁束制御装置を有し、車両用のスタータジェネレータとして用いて好適の永久磁石式発電機の制御装置に関するものである。
近年、自動車において、例えば、電動パワーステアリングやナビゲーションシステムやオーディオ類やIT機器等の電力を使用して作動する各装置が多く搭載されるようになってきており、これらの機器類の普及に伴い自動車の電力消費も増大している。このため、従来型の自動車用発電機ではこの増大する電力消費に応じた電力を発電することは困難になってきており、より大きな発電電力を発生しうる自動車用発電機の開発が要望されている。
発電機としては、従来より永久磁石をロータに用いた永久磁石式発電機が広く知られている。この永久磁石式発電機はロータに永久磁石を用いるので、構造が簡単で大きな発電電力を得ることができる。このため、これを自動車用発電機に適用して発電電力の不足を解消することが考えられる。しかし、永久磁石式発電機は、その磁力が変化しないので、エンジン等の駆動源の回転が変動すると、発電機のロータの回転数が変化し、発電機の発電電圧が変化してしまうため、その発電電力をそのまま機器に用いることは不可能である。
自動車用発電機では、その電圧は12V又は24Vを使用しているが、自動車用エンジンでは、回転数が数百回転(rpm)から数千回転(rpm)まで大幅に変化するため、数百回転(rpm)で12Vにセットされた発電電圧では、数千回転(rpm)では120Vにまで変化してしまい、12V対応の電気機器には使用できない。
永久磁石式発電機を自動車用発電機に適用するためには、エンジン回転数が常に変動するにもかかわらず、発電電圧が略一定となるようにする必要がある。
そこで、特許文献1及び2には、発電効率が高く且つ小型で装置コストを抑えることができるようにした、永久磁石式発電機が提案されている。
この永久磁石式発電機は、ロータに永久磁石部材を配設し、その永久磁石のN極,S極をカバーするステータの櫛部にそれぞれ巻線を巻回し、N極とS極に対応する巻線の巻回方向を互いに逆に巻回し、ステータと回転変動するロータとの間にステータに対して回転移動する磁束制御籠を配置すると共に、ステータにU,V及びW相から成る複数のコイルを巻き上げ、これらのコイルを並列結線した2種のコイル群を常用コイルと低速コイルに構成し、常用コイルと低速コイルとをスイッチを介して直列に結線し、エンジンのアイドリング等の低速時、中速時及び高速時に応答してスイッチのON・OFFを制御して予め決められた所定の発電電圧を得るように制御し、また、磁束制御籠をステータに対して回転移動させて磁束制御籠とステータとの間の空隙量を制御し、予め決められた一定の発電電圧を得るように制御するものである。
特開2005−184948号公報 特開2003−92900号公報
ところで、上述したような永久磁石式発電機において、一定の発電電圧を得る手法について、図10を用いて簡単に説明する。
永久磁石式発電機には、ステータの櫛部に巻回した巻数がN1のコイル(以下N1ターンという)と、ステータに対して回転移動可能でこの移動により櫛部へ流れる磁束を制御しうる磁束制御籠とが設けられている。
また、永久磁石式発電機では、籠位置を固定した場合にはロータ回転数に比例して発電電圧がリニアに上昇する特性を有している。したがって、発電電圧が規定電圧(14V)に達するまでは(ロータの回転数が所定回転数r1に達するまでは)、磁束制御籠を櫛部へ流れる磁束が最大となる位置にして、コイルの界磁により発電を行なう(図10の矢印F1参照)。ここで、線aは、磁束制御籠が磁束を遮らず、櫛部へ流れる磁束が最大となる磁束制御籠位置における発電特性である。
そして、発電電圧が規定電圧に達すると、このままの状態では発電量が過多となってしまうため、ロータの回転数の増加に応じて磁束制御籠を移動させながら櫛部へ流れる磁束を減少させていくことにより、ロータの回転数が変化しても発電電圧は規定電圧を保持するように制御する(図10の矢印F2参照)。ここで、線bは、磁束制御籠により櫛部へ流れる磁束を最小とするような限界の磁束制御籠位置における発電特性であり、このような特性線a〜線bの間で磁束制御籠を回転させて籠位置を制御することにより、ロータ回転数r1〜r2の間で発電電圧を一定に保持することができる。
なお、回転数r2以上の領域では、このN1ターンよりも巻数の少ないN2ターンのコイルに切り替えて、上述と同様の籠位置制御を行うか、或いは、N1ターンとは逆向きに巻き上げられた弱界磁用の巻線に通電し、弱界磁を作用させてN1ターンの界磁を弱めて、籠位置制御を行うことにより規定電圧を発生させる。
しかしながら、このような発電機を自動車に搭載した場合には、図10の線b1及び線b2に示すように、車両の電気負荷の変動(例えばヘッドライトのオンオフやエアコンのオンオフ)によって発電特性が変化してしまうという課題がある。つまり、コイルの巻数及び籠位置の両方を固定した場合であっても、車両側の電気負荷の変動により発電特性の傾きは一定にならず、電気負荷の有り無しによって変化してしまうのである。具体的には、線bで示す発電特性が、電気負荷が増大すると線b1に示すように発電特性の傾きが緩やかとなり、電気負荷が低下すると線b2に示すように発電特性線の傾きが急になる。
このような電気負荷の変動により発電特性が頻繁に変動すると籠位置の急激な制御とターン(コイル)の切り換えが頻発し、制御性が悪化してしまうことになる。
これを図11を用いて簡単に説明すると、図11は所定巻数のコイルに対して籠位置を制御して規定電圧を保持する場合における電気負荷の有無による影響を説明するものである。なお、以下では説明を簡略化するためにロータ回転数を一定とする。
まず、運転点P1において、電気負荷有りで、且つ磁束が最大となる位置で籠を固定して規定電圧を発電しているものとする。この状態で、電気負荷が急激に無くなると、発電特性が実線a1から破線a2に変化する。したがって、ロータ回転数が一定であれば、発電電圧は上昇し、運転点はP2に移行する。
このため、図示しないコントローラでは、電圧フィードバック制御により籠位置を制御して、運転点を破線b2上の点P3に移動する。なお、ここでは破線b2は磁束を最小とする籠位置における発電特性である。また、点P3は規定電圧よりも僅かに高い値になっているが、本制御においては目標値(規定電圧)に対して所定の不感帯が設けられており、この不感帯に位置していれば規定電圧とみなしている。
そして、この後再び電気負荷が加わると、発電特性が破線b2から実線b1に変化し、発電電圧が低下して運転点はP4となる。このため、再び電圧フィードバック制御により規定電圧を発生するように籠位置が制御されて、運転点をP1に戻す。
このように、電気負荷が頻繁に変動すると、運転点が不感帯域をはずれてしまい、頻繁に籠位置の制御が必要となる。なお、上述ではロータ回転数を一定とした場合について説明したが、発電機をエンジンに搭載した場合、実際の運転ではロータ回転数は大幅に変動するため、籠位置の制御はさらに煩雑なものとなり、コイルのターン数を切り換える必要も出てくる。この結果、電気負荷変動の速さに対して電圧フィードバック制御がついていけなくなると、高電圧が生じたり、発電フェール現象が生じてしまうという課題がある。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、電気負荷変動が発生しても発電特性が変化しないようにした、永久磁石式発電機の制御装置を提供することを目的とする。
本発明の永久磁石式発電機の制御装置は、自動車に装備されたエンジンの出力軸に接続されるとともに、ハウジングに回転可能に支持された永久磁石部材を備えたロータと、前記ロータの外周側で前記ハウジングに固定されるとともに、周方向に離隔して形成された複数の櫛部及び該櫛部間のスロット部に配設された巻線を備えたステータと、前記ステータと前記ロータとの間に配置され前記ステータに対して相対移動して前記永久磁石部材から前記ステータの前記櫛部へ流れる磁束を制御する磁束制御籠と、前記磁束制御籠を前記ステータに対して回転移動させるアクチュエータと、前記アクチュエータの作動を制御して前記磁束制御籠を前記ステータに対して移動させることにより前記磁束を制御するコントローラとを有し、前記ロータの回転変動に応じた発電電圧の変動に対して前記磁束制御籠の位置を変更することにより、所定の電圧を発生するように構成された永久磁石式発電機の制御装置であって、前記自動車における電気負荷を検出する電気負荷検出手段を有するとともに、前記スロット部に配設された前記巻線は、第1の巻き数だけ巻き上げられた第1の主巻線と、該第1の主巻線の界磁を弱めるように該第1の主巻線とは逆向きに巻き上げられ有効巻き数が可変の弱界磁用副巻線とを有し、前記コントローラは、電気負荷の変動に関わらず前記第1の主巻線の発電特性が一定となるように、前記電気負荷検出手段で得られる電気負荷の大きさに応じて前記弱界磁用副巻線への通電量を補正することを特徴としている。
また、前記コントローラは、前記発電負荷が最大値のとき前記通電量の補正値が0に設定されるのが好ましい。
また、前記コントローラは、前記発電負荷の減少に伴い前記弱界磁用副巻線への通電量を増大させるように補正するのが好ましい。
本発明の永久磁石式発電機の制御装置によれば、電気負荷が変動しても発電特性を一定に保持することができ、電圧制御を安定化させることができるという利点がある。
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図9は本発明の一実施形態に係る永久磁石式発電機の制御装置について説明するための図であって、これらの図に基づいて説明する。
本実施形態に係る永久磁石式発電機は、図2に示すように、自動車用エンジン1に、エンジン1の始動用モータとエンジン1により駆動される発電機とに兼用されるスタータジェネレータ3として付設されたものである。この永久磁石式発電機3は、エンジン1と、このエンジン1に接続されたトランスミッション2との間に配置され、エンジン1の出力回転によって駆動される。
この永久磁石式発電機3は、図3(a),(b),図4(a),(b)に示すように、エンジン1のシリンダブロック及びトランスミッション(ここでは、自動変速機)2のケースと一体に結合されたハウジング31と、このハウジング31に図示しない軸受を介して回転可能に支持された回転子のロータ33と、ロータ33の外周側に離隔するように配置されハウジング31に固定された回転子のステータ35とを備え、ステータ35とロータ33との間には、ステータ35に対して相対移動して永久磁石部材32からステータ35の櫛部35bへ流れる磁束を制御する磁束制御籠36が配設されている。
ロータ33は、エンジン1の出力軸(クランクシャフト)11に接続され出力軸11と一体に回転するようになっており、ロータ33の外周面には、永久磁石部材32が周設されている。
ステータ35は、ステータコア35aとこのステータコア35aに巻き上げられた巻線(コイル)34とから構成されている。ステータコア35aは、周方向に離隔するように配置され形成された複数の櫛部35bと、これらの櫛部35b間に形成されたスロット部35cと、隣接する櫛部35bを連結するため周方向に延びるブリッジ部35dとを備え、巻線34はスロット部35bに配置されている。
磁束制御籠36は、図4(a),(b)に示すように、ステータ35とロータ33との間の隙間33aに配置され、図示しない軸受を介してハウジング31に回転自在に支持され、ステータ35に対して相対回転して磁束を制御する。この磁束制御籠36は、周方向に離隔するように配置されステータ35の櫛部35bと相対するように突起した複数の歯部36aを備えている。
そして、図4(a)に示すように、複数の歯部36aが、ステータ35の櫛部35bと同位相になると、ステータ35回りに生じる磁束を最大とし、図4(b)に示すように、複数の歯部36aの位相が、ステータ35の櫛部35bの位相とずれると、そのズレ量に応じてステータ35回りに生じる磁束は減少する。
この磁束制御籠36をハウジング31に対して回転させるために、磁束制御籠36には、図3に示すように、アクチュエータとしてのDCモータ(磁束制御用DCモータ)37がウォームギア38を介して接続され、図5に示すように、このDCモータ37をコントローラ(スタータジェネレータ制御ユニット)40により制御するようになっている。
また、ステータコア35aに巻き上げられた巻線34は、図5,図6に示すように、第1の巻き数N1(N1は例えば24)だけ巻き上げられた第1の主巻線(第1メインコイル、N1ターンともいう)34aと、この第1コイル34aの界磁を弱めるように第1メインコイル34aとは逆向きに巻き上げられ有効巻き数が可変の弱界磁用副巻線(サブコイル)34bと、第1の巻き数N1よりも少ない第2の巻き数N2(N2は例えば15)だけ第1メインコイルと同方向に巻き上げられた第2の主巻線(第2メインコイル、N2ターンともいう)34cとが並列に備えられ、整流器42を介してバッテリ41と接続されている。また、この電気回路には、各コイルを選択して使用するためのスイッチ43a〜43cが設けられている。
さらに、第1メインコイル34aは、コイル34a1とコイル34a2とが直列に組み合わされてなり、スイッチ43aを閉成し、スイッチ43b,43cを開成すれば、コイル34a1とコイル34a2とからなる第1メインコイル34aが通電し、巻き数N1に応じた大きな磁界が発生し、スイッチ43cを閉成し、スイッチ34a,43bを開成すれば、第2メインコイル34cが通電し、同一回転条件では巻き数N2に応じて第1メインコイル34aよりも弱い磁界が発生する。
また、第1メインコイル34aの一部であるコイル34a2は、第2の巻き数N2よりも少ない第3の巻き数N3(N3は例えば6)だけ巻き上げられた第3の主巻線(第3メインコイル、N3ターンともいう)として機能し、スイッチ43bを閉成し、スイッチ43a,43cを開成すれば、コイル34a2のみからなる第3メインコイルが通電し、巻き数N3に応じて第2メインコイル34cよりも弱い磁界が発生する。
また、サブコイル34bは、有効巻数を可変制御可能、或いはボリューム調整可能に構成されており、ボリュームを最小にすれば、サブコイル34bは実質的に非通電となる。また、サブコイル34bにはボリューム調整に応じた巻き数分だけ弱界磁電流が流れ、この弱界磁電流に応じて、第1メインコイル34a,第2メインコイル34c,第3メインコイル34a2の界磁を弱めることができるようになっている。
つまり、サブコイル34bは、第1メインコイル34aの通電時には、第1メインコイル34aの界磁を弱める第1の弱界磁用副巻線(第1サブコイル)として機能し、第2メインコイル34cの通電時には、第2メインコイル34cの界磁を弱める第2の弱界磁用副巻線(第2サブコイル)として機能し、第3メインコイル34a2の通電時には、第3メインコイル34a2の界磁を弱める第3の弱界磁用副巻線(第3サブコイル)として機能する。ただし、本実施形態においては、第1メインコイル34aの通電時には、弱界磁電流を用いないので、第1サブコイルとして機能することはない。これは、第1のメインコイル34aと第2のメインコイル34cとの特性の設定によるもので、本実施形態では第1サブコイルとして機能しなくても規定電圧を発生することが可能となっているからである。
これに対して、第1及び第2のメインコイル34a,34cの巻数の関係により、第1のメインコイル34aによる発電領域と第2のメインコイル34cによる発電領域との間に規定電圧を発電できない領域が存在する場合には、第1サブコイルを用いてこれら2つの発電領域の間で規定電圧を発電するようにしてもよい。
さて、スタータジェネレータ制御ユニット40は、永久磁石式発電機による発電時には、ロータの回転速度(即ち、エンジン回転数に応じたロータ回転数)rと、発電電圧Vと
に応じて、磁束制御籠36の回転位相の制御と共に、各スイッチ43a〜43cの開閉制御、及び、サブコイル34bのボリューム調整を行うようになっている。
つまり、原則的には、磁束制御籠36の回転位相により電圧調整を行い、籠制御で調整できる範囲を超えるとターン数を切り替えたり、サブコイル34bにより弱界磁を作用させたりすることにより、電圧を一定値に制御するようになっている。
また、本実施形態では、エンジン1及び発電機3は自動車に搭載されるものであって、この自動車で使用される電気の負荷状態に応じて、上述のサブコイル34bの弱界磁電流(通電量)に対して補正を加えるようになっているが、まずは、補正なしの場合(ここでは、エンジンが搭載される自動車の電気負荷を最大値に固定した場合を補正なしとする)の電圧制御について簡単に説明する。
スタータジェネレータ制御ユニット40は、図1に示すように、ロータ回転数r(=エンジン回転数)が十分に低い低速領域(アイドル〜所定回転数r01)にある状況下では、磁束制御籠36の回転位相を櫛部35bへ流れる磁束が最大となる位置に保持し、スイッチ43aのみを閉成しスイッチ43b,43cは開成して第1メインコイル34aを通電状態にするとともに、サブコイル34bのボリュームを最小にして弱界磁を働かせない状態(有効巻き数0の状態)とする。
このように、図1に示すように、磁束制御籠36を磁束最大位置に保持し、第1メインコイル34a(N1ターン)を通電状態にして弱界磁を働かせない状態が発電電圧を最も高めることができるので、ロータ回転数rが比較的小さくても、発電電圧Vが規定電圧V0に達することになる。ここでは、ロータ回転数rがr01となったところで発電電圧Vが規定電圧V0に達する(線L1参照)。
発電電圧Vが規定電圧V0に達したら、その後は、ロータ回転数rの増大に応じて発電電圧Vが規定電圧V0よりも高くなるので、スタータジェネレータ制御ユニット40では、発電電圧Vをモニターしながら(電圧フィードバック制御)、発電電圧Vが規定電圧V0を保持するように磁束制御籠36を移動させる。
このようにして、磁束制御籠36の移動により磁束を小さくすることができるが、この磁束制御籠36による発電電圧の抑制にも限界がある(線L2参照)。
そこで、磁束制御籠36による磁束制御が限界に達したら(ここでは、ロータ回転数rがr02となったところで磁束制御籠36が磁束を最小にする位置にくる)、その後は、ターン数の切り替えと籠位置の戻しとを行う。具体的には、使用するメインコイルを第1メインコイル34aから第2メインコイル34c(N2ターン)に切り替えるとともに、籠位置を磁束最大位置近傍に戻し、規定電圧を発生させる。
つまり、スイッチ43cのみを閉成しスイッチ43a,43bは開成して第2メインコイル34cを通電状態にするとともに、サブコイル34bのボリュームを最小にしたまま弱界磁を働かせない状態を維持する。そして、その後はスタータジェネレータ制御ユニット40は、発電電圧Vをモニターしながら、発電電圧Vが規定電圧V0を保持するように、磁束制御籠36を位置調整する。
ここで、図1に示すように、本実施形態では、第1メインコイル34aでの発電領域(線L1〜線L2で囲まれた領域)と、第2メインコイル34cでの発電領域(線L3〜線L4で囲まれた領域)とは部分的にオーバラップしている。
このため、第1メインコイル34aを用いて規定電圧を発電中にロータ回転数が上昇していった場合、線L2に達してから(つまり、第1メインコイル34aの発電領域の限界まで達してから)、第2メインコイル34cに切り替えてもよいし、その手前の線L3に達してから(つまり、第2メインコイルの発電領域に入ったら)第2メインコイル34cに切り替えてもよい。
本実施形態では、ロータ回転数の上昇時には、第1メインコイル34aの発電領域の限界まで第1メインコイル34aを用いているので、ロータ回転数がr02を超えたときに第2メインコイル34cに切り替えるが、この場合には、籠位置を磁束最大位置に戻してしまうと発電電圧が規定電圧を超えてしまうので(回転数r02における線L3での発生電圧を参照)、コイル切り替え時には発電電圧が規定電圧を超えないように、磁束最大位置よりも僅かに磁束が小さくなる位置に籠位置が制御される。
そして、ロータ回転数rが増大して、第2メインコイルでの発電領域の限界(線L4参照)に達すると(ロータ回転数rがr03に達すると)、その後は、籠位置を制御しても発電電圧Vが規定電圧V0を上回るようになってしまうので、サブコイル34bにより弱界磁を働かせることにより、第2メインコイル34cによる磁束を弱める。このとき、スタータジェネレータ制御ユニット40は、基本的にはサブコイル34bのボリュームを一定とし、籠位置を戻して発電電圧Vが規定電圧V0となるように制御を行う。そして、ロータ回転数の上昇にともない磁束制御籠36の位置を磁束が小さくなる側に移動させていき、発電電圧が規定電圧となるよう籠位置の制御を行う。なお、この第2メインコイル34c+弱界磁により発電可能な領域は線L5〜線L6で囲まれた領域となる。
さらに、ロータ回転数rがさらに増大すると(ここでは、ロータ回転数rがr04に達すると)、第2メインコイル34cを用いて弱界磁を最大まで働かせても、発電電圧Vが規定電圧V0を上回るようになってしまうので、使用するメインコイルを第2メインコイル34cから第3メインコイル34a2(N3ターン)に切り替えるとともに、サブコイル34bのボリュームを最小にして弱界磁を働かせない状態(有効巻き数0の状態)とする。また、これと同時に磁束制御籠36の位置を磁束が大きくなる側に戻し、その後は籠位置の制御により規定電圧に制御する。なお、この第3メインコイル34a2により発電可能な領域は線L7〜線L8で囲まれた領域となる。
また、ロータ回転数がr05を超えると、サブコイル34bにより弱界磁を働かせることにより、第3メインコイル34a2による磁束を弱める。この第3メインコイル34a2+弱界磁により発電可能な領域は線L9〜線L10で囲まれた領域となる。
以下、ロータ回転領域毎に、ターン数の切り替えとサブコイル34bの作用の状況を簡単に表すと以下のようになる。ただし、以下ではN1ターン,N2ターン,N3ターンは、それぞれメインコイルとして第1メインコイル34a,第2メインコイル34c,第3メインコイル34a2を用いていることを意味しており、弱界磁とは、サブコイル34bを作用させている状態を意味し、αはサブコイル34bにおける補正用の弱界磁電流を加えていることを意味している。なお、αについては後述する。
1.アイドル〜r02:N1ターン+α
2.r02〜r03:N2ターン+α
3.r03〜r04:N2ターン+弱界磁+α
4・r04〜r05:N3ターン+α
5、r05以上:N3ターン+弱界磁+α、
このように、ロータ回転数に対して、コイルの切り替え(ターン数の切り替え)及び弱界磁の付加を行い、さらに籠位置を制御することにより、アイドル回転域付近を除く略全回転領域において一定の電圧(14V)を安定して発電できるようになる。
次に、本発明の要部構成について説明すると、既に〔発明が解決しようとする課題〕の欄でも述べたように、このような発電機3を自動車に搭載した場合には、車両の電気負荷の変動(ヘッドライトのオンオフやエアコンのオンオフ或いはオーディオのオンオフ等)によって発電特性が変化してしまい、発電制御が不安定となるおそれがあった。具体的には図1に示す発電特性線L1〜L10の傾きが電気負荷に応じて変化してしまい、電気負荷が増加すると発電電圧が低下し、逆に電気負荷が減少すると発電電圧が増大する。このため、電気負荷が頻繁に変動すると、電気負荷変動の速さに対して、籠位置の制御やコイルのターン数の切り換えによる電圧フィードバック制御がついていけなくなり、高電圧が生じたり、発電フェール現象が生じてしまう。
そこで、本装置では、電気負荷の大きさに応じてサブコイル34bのボリュームを調整することにより磁束に補正を加え、これにより電気負荷変動が生じても各発電特性線L1〜L10の傾きが一定となるように制御するようになっている。
すなわち、図5に示すように、本装置には当該車両における電気負荷を検出する電流センサ(電気負荷検出手段)50が設けられるとともに、コントローラ40には、上記電流センサ50で検出された電流値に基づいて、図1に示す発電特性線L1〜L10を補正する補正手段54が設けられている。
ここで、電流センサ50は、現在車両で使用されている電気機器に流れる合計電流値Iを検出するものであって、バッテリ41から各電気機器に供給される電流値Iを検出してコントローラ40に出力するようになっている。
また、補正手段54は、図7に示すような複数の補正マップ51〜53から構成されている。このうち、補正マップ51は第1メインコイル34a用の補正マップであり、補正マップ52は第2メインコイル34c用の補正マップであり、また補正マップ53は第3メインコイル34a2用の補正マップである。そして、これらの補正マップ51〜53により、電流値(電気負荷)をパラメータとしてサブコイル34bに対する補正値としての補正用の弱界磁電流αが設定されるようになっている。
ここで、それぞれの補正マップは、図7に示すように電気負荷が小さいときは補正用の弱界磁電流αを大きくして弱界磁電流量を増大させるようにし、また電気負荷が大きいときは補正用の弱界磁電流αは小さくしている。
つまり、サブコイル34bでは、ボリュームを調整して弱界磁電流を変化させることにより磁界の強さを変更することができるので、この特性を利用することで、発電特性線L1〜L10の傾きを変更することができる。そこで、本装置では、車両の電気負荷による発電特性の影響分を相殺するような補正用の弱界磁電流αを予めマップ化しておき、このマップから得られる補正用の弱界磁電流αをサブコイル34bに出力することで、電気負荷の変動が生じても発電特性を不動とすることができ発電制御を安定化させるようにしているのである。
ところで、本実施形態では、図1に示す各発電特性線L1〜L10は、車両の電気負荷がMaxのときの発電特性を表している。また、各補正マップ51〜53で設定される補正用の弱界磁電流αは、検出される電流値(発電負荷)が大きくなるほど小さい値に設定されるような特性を有しており、当該車両で使用される電気機器の電流値が最大値(電気負荷がMax)の時に、補正用の弱界磁電流α=0となるように設定されている。
つまり、図1に示す発電特性線L1〜L10は、電気負荷Maxのときをベースとしたものであって、電気負荷が減少した分だけ線L1〜L10の傾きが急になるのを、電気負荷に応じた補正用の弱界磁電流αを与えることにより、電気負荷の変動に関わらず発電特性を電気負荷Maxの時の特性に固定するようになっている。また、このように電気負荷Maxを基準にして、電気負荷の減少分だけを補完するように補正用の弱界磁電流αを与えることにより制御性を高めている。
本発明の一実施形態に係る永久磁石式発電機の制御装置は上述のように構成されているので、その作用について図9のフローチャートを用いて説明すると、まずステップS1において、エンジン回転数(ロータ回転数)を読み込むとともに、ステップS2において現在の発電電圧を読み込む。そして、ステップS3において、これらの情報に基づいて、規定電圧を発電するようにターン数及び籠位置を設定する。
次に、ステップS4及び/又はステップS5において、ステップS3で設定されたターン数を読み込んで、現在のターン数を認識し、ステップS6〜S8で現在のターン数に応じたマップを選択する。そして、ステップS9〜S11で電気負荷を読み込み、ステップS12〜S14で電気負荷に応じた補正量(弱界磁電流)を設定して出力した後、リターンする。
これを、図8を用いて説明すると、図8は所定巻数(ここでは15T)のコイルに対して籠位置を制御して規定電圧を保持する場合における電気負荷の有無による補正について説明するものであって、図11に対応する図である。なお、以下では説明を簡略化するためにロータ回転数を一定とする。
まず、電気負荷が最大(Max)の状態で、且つ磁束が最大となる位置で籠を固定して規定電圧を発電しているものとする(点P01)。この状態で、電気負荷が急激に低下すると、従来は、発電特性が実線a01から破線a03に変化してしまい、ロータ回転数が一定であれば、運転点はP03に移行して発電電圧が上昇してしまう。このため、コントローラ40では、従来では電圧フィードバック制御により籠位置の制御やターン数の切り替えを行って規定電圧を保持する必要があった。
これに対して、本装置では、電気負荷がMaxの状態から低下しても、発電特性の変化を相殺するように電気負荷低下量に見合った補正用の弱界磁電流αをサブコイル34bに流すので、線a02で示すように発電特性の変化を抑制することができる。このため、ロータ回転数が一定の場合には籠位置を変化させることなく運転点を点P01と同じ位置に保持することができる(点P02参照)。なお、図中、点P01と点P02との間、及び線a01と線a02とでは僅かに差異が生じているが、これは、本装置の作用を説明するためであって、本来は点P01と点P02とは一致しており、同様に線a01と線a02とは一致している。
そして、この状態から、電気負荷が増大すると、再び、発電特性の変化を相殺するように電気負荷増加量に見合った補正用の弱界磁電流αをサブコイル34bに流し、発電特性の変化を抑制する。
以上のように、本装置によれば電気負荷変動が生じても常に発電特性を一定に保持することができ、発電電圧の制御を安定化させることができるという利点がある。
つまり、籠位置の制御についてはロータ回転数の変動にのみ対応させて変化させればよく、籠位置に対する電圧フィードバック制御が簡易なものとなり、高電圧が生じたり発電フェール現象が生じてしまうような事態を回避することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態を適宜変更して実施しうるものであって、電気負荷が変動するような機械に適用されるのであれば、自動車用のスタータジェネレータ以外に適用してもよい。
本発明の一実施形態に係る永久磁石式発電機のロータ回転数に対する界磁制御を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る永久磁石式発電機を装備した車両用エンジンを示す側面図である。 本発明の一実施形態に係る永久磁石式発電機の構成を示す図であり、(a)はその横断面図(ロータ回転軸と直交する断面図)、(b)はその縦断面図(ロータ回転軸に沿った断面図)である。 本発明の一実施形態に係る永久磁石式発電機の磁束制御籠の動作を示す拡大横断面図であり、(a)は磁束制御籠が磁束を最大とする位置にある状態を示し、(b)は磁束制御籠が磁束を減少させる位置にある状態を示す。 本発明の一実施形態に係る永久磁石式発電機の制御ブロック図である。 本発明の一実施形態に係る永久磁石式発電機の制御ブロック図(図5のA部詳細図)である。 本発明の一実施形態に係る永久磁石式発電機の制御装置におけるマップを示す図である。 本発明の一実施形態に係る永久磁石式発電機の制御装置における作用を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る永久磁石式発電機の制御装置における作用を説明するフローチャートである。 従来の永久磁石式発電機の制御装置の課題について説明する図である。 従来の永久磁石式発電機の制御装置の課題について説明する図である。
符号の説明
1 自動車用エンジン
2 トランスミッション
3 スタータジェネレータ
11 エンジン1の出力軸(クランクシャフト)
31 ハウジング
32 永久磁石部材
33 ロータ
33a 隙間
34 巻線(コイル)
34a 第1の主巻線(第1メインコイル、N1ターン、24T)
34a1 第1メインコイル34aの一部(コイル)
34a2 第1メインコイル34aの一部[第3の主巻線(第3メインコイル、N3ターン、6T)]
34b 弱界磁用副巻線(サブコイル)
34c 第2の主巻線(第2メインコイル、N2ターン、15T)
35 ステータ
35a ステータコア
35b 櫛部
35c スロット部
35d ブリッジ部
36 磁束制御籠
36a 歯部
37 アクチュエータとしてのDCモータ(磁束制御用DCモータ)
38 ウォームギア
40 コントローラ(スタータジェネレータ制御ユニット)
41 バッテリ
42 整流器
43a〜43c スイッチ
50 電流センサ(電気負荷検出手段)
51〜53 補正マップ
54 補正手段

Claims (3)

  1. 自動車に装備されたエンジンの出力軸に接続されるとともに、ハウジングに回転可能に支持された永久磁石部材を備えたロータと、
    前記ロータの外周側で前記ハウジングに固定されるとともに、周方向に離隔して形成された複数の櫛部及び該櫛部間のスロット部に配設された巻線を備えたステータと、
    前記ステータと前記ロータとの間に配置され前記ステータに対して相対移動して前記永久磁石部材から前記ステータの前記櫛部へ流れる磁束を制御する磁束制御籠と、
    前記磁束制御籠を前記ステータに対して回転移動させるアクチュエータと、
    前記アクチュエータの作動を制御して前記磁束制御籠を前記ステータに対して移動させることにより前記磁束を制御するコントローラとを有し、
    前記ロータの回転変動に応じた発電電圧の変動に対して前記磁束制御籠の位置を変更することにより、所定の電圧を発生するように構成された永久磁石式発電機の制御装置であって、
    前記自動車における電気負荷を検出する電気負荷検出手段を有するとともに、
    前記スロット部に配設された前記巻線は、第1の巻き数だけ巻き上げられた第1の主巻線と、該第1の主巻線の界磁を弱めるように該第1の主巻線とは逆向きに巻き上げられ有効巻き数が可変の弱界磁用副巻線とを有し、
    前記コントローラは、電気負荷の変動に関わらず前記第1の主巻線の発電特性が一定となるように、前記電気負荷検出手段で得られる電気負荷の大きさに応じて前記弱界磁用副巻線への通電量を補正する
    ことを特徴とする、永久磁石式発電機の制御装置。
  2. 前記コントローラは、前記発電負荷が最大値のとき前記通電量の補正値が0に設定される
    ことを特徴とする、請求項1記載の永久磁石式発電機の制御装置。
  3. 前記コントローラは、前記発電負荷の減少に伴い前記弱界磁用副巻線への通電量を増大させるように補正する
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の永久磁石式発電機の制御装置。
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