JP2008208448A - アルミニウム板一次防錆処理用水性組成物及び一次防錆処理アルミニウム板 - Google Patents

アルミニウム板一次防錆処理用水性組成物及び一次防錆処理アルミニウム板 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化処理、金属化合物処理、粗面化処理等がなくとも、優れた密着性を示し、防錆性、加工性等に優れ、しかも、塗膜表面を親水化できる、アルミニウム板一次防錆処理用水性組成物、及び、一次防錆処理アルミニウム板を提供すること。
【解決手段】中和された酸基を有する重合体セグメント(A)と、ポリシロキサンセグメント(B)とが化学結合してなる複合樹脂(AB)のポリシロキサンセグメント(B)と、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルトリアルコキシシランの縮合物(c)由来のポリシロキサンセグメント(C)とが珪素−酸素結合を介して結合している複合樹脂(ABC)が水性媒体中に溶解又は分散してなる複合樹脂(ABC)の水性化物、及び、前記複合樹脂(ABC)の硬化剤(D)を含有するアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物と、この水性組成物を用いて一次防錆処理してなる一次防錆処理アルミニウム板。
【選択図】なし

Description

本発明は、アルミニウム板表面に直接一次防錆処理を施すことのできる、アルミニウム板一次防錆処理用水性組成物に関する。さらに詳しくは、アルミニウムとの密着性に優れ、アルミニウム板表面に優れた防錆性、加工性、親水性を付与するアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物、及び、このアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物を用いて一次防錆処理してなる一次防錆処理アルミニウム板に関する。
従来、アルミニウムは優れた加工性をもち、軽量である事から、建材、自動車部材、家電、日用品等、多くの物品に使用されてきた。これらに使用されているアルミニウム板は、防錆、表面機能性付与、外観の保持等の理由から、通常表面処理を施されている。この表面処理は、一般にアルミニウム板表面に有機塗膜を形成することにより行われている。しかし、アルミニウム板表面に直接有機塗膜を形成することは困難であり、これまではアルミニウム板表面を一度酸化処理し、或いは金属化合物処理し、又はショットブラスト等で粗面化処理を行い、その後有機塗膜を形成する方法が用いられてきた。しかも、これらの方法では目的に応じて複数回の表面処理を行わなければならず、工程が煩雑であるばかりでなく、製造コストも高いという問題があった。特に、アルミニウム板の重要用途であるアルミフィン等表面親水性が求められる用途の場合は、基材であるアルミニウム板の防錆処理と、最終的な塗膜表面の親水化処理を行わなければならず、一度にこれらの表面処理を行うことのできる、表面処理剤の開発が求められていた。
これらの要求に対し、例えば、アクリル樹脂とオルガノポリシロキサンとを反応させて得られたシリコーンアクリル系樹脂を主成分として含有する有機無機複合塗料を使用する技術が報告されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、前記特許文献1に記載されている表面処理剤は、防錆性、親水性共不十分であり、実用上は使用困難であった。
特開2004−291445号公報
本発明が解決しようとする課題は、酸化処理、金属化合物処理、粗面化処理等がなくとも、アルミニウムに優れた密着性を示し、防錆性、加工性等に優れ、しかも、塗膜表面を親水化できる、アルミニウム板一次防錆処理用水性組成物、及び、この一次防錆処理用水性組成物を用いて一次防錆処理してなる一次防錆処理アルミニウム板を提供することである。
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、中和された酸基を有する重合体セグメント(A)と、ポリシロキサンセグメント(B)とが化学結合してなる複合樹脂(AB)のポリシロキサンセグメント(B)と、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルトリアルコキシシランの縮合物(c)由来のポリシロキサンセグメント(C)とが珪素−酸素結合を介して結合している複合樹脂(ABC)が水性媒体中に溶解又は分散してなる複合樹脂(ABC)の水性化物と、この複合樹脂(ABC)と反応する硬化剤(D)を含有する一次防錆処理用水性組成物は、酸化処理、金属化合物処理、粗面化処理等がなくとも、アルミニウム板との密着性に優れ、アルミニウム板に優れた防錆性、加工性、表面親水性を付与することが可能でこのアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物を用いて一次防錆処理してなるアルミニウム板は、密着性、防錆性、加工性、耐擦り傷性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、中和された酸基を有する重合体セグメント(A)と、ポリシロキサンセグメント(B)とが化学結合してなる複合樹脂(AB)のポリシロキサンセグメント(B)と、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルトリアルコキシシランの縮合物(c)由来のポリシロキサンセグメント(C)とが珪素−酸素結合を介して結合している複合樹脂(ABC)が水性媒体中に溶解又は分散してなる複合樹脂(ABC)の水性化物、及び、前記複合樹脂(ABC)の硬化剤(D)を含有することを特徴とするアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物に関するものである。
また、本発明は、前記アルミニウム板用水性表面処理剤を用いて一次防錆処理剤してなることを特徴とする一次防錆処理アルミニウム板に関するものである。
本発明のアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物は、アルミニウム板表面に酸化処理、金属化合物処理、粗面化処理等がなくとも、優れた密着性を示し、防錆性、加工性等に優れ、しかも、塗膜表面を親水化する表面処理を施すことができる。
また、本発明の一次防錆処理アルミニウム板は、防錆性、加工性、表面親水性に優れる。
以下に、本発明に係るアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物と一次防錆処理アルミニウム板を具体的に説明する。
本発明で使用する複合樹脂(ABC)は、中和された酸基を有する重合体セグメント(A)と、ポリシロキサンセグメント(B)とが化学結合してなる複合樹脂(AB)のポリシロキサンセグメント(B)と、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルトリアルコキシシランの縮合物(c)由来のポリシロキサンセグメント(C)とが珪素−酸素結合を介して結合している複合樹脂であれば良く、例えば、ポリシロキサンセグメント(B)が中和された酸基を有する重合体セグメント(A)の側鎖に化学的に結合したグラフト構造を有する複合樹脂や、前記重合体セグメント(A)の末端にポリシロキサンセグメント(B)が化学的に結合したブロック構造を有する複合樹脂のポリシロキサンセグメント(B)と、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルトリアルコキシシランの縮合物(c)由来のポリシロキサンセグメント(C)とが珪素−酸素結合を介して化学的に結合した構造を有する複合樹脂が挙げられる。
前記複合樹脂(ABC)が有する、前記重合体セグメント(A)と前記ポリシロキサンセグメント(B)との化学的な結合としては、特に限定はないが、例えば、下記構造式(S−1)あるいは下記の構造式(S−2)の結合様式等が挙げられ、なかでも構造式(S−1)の結合様式を有する複合樹脂を使用することが、防錆性と耐候性に優れた塗膜を形成できることから好ましい。
Figure 2008208448
〔但し、構造式(S−1)中の炭素原子は前記重合体セグメント(A)の一部分を構成し、珪素原子と酸素原子は前記ポリシロキサンセグメント(B)の一部分を構成するものである。〕
Figure 2008208448
〔但し、構造式(S−2)中の炭素原子は前記重合体セグメント(A)の一部分を構成し、珪素原子はポリシロキサンセグメント(B)の一部分を構成するものである。〕
前記複合樹脂(ABC)を構成する、重合体セグメント(A)は、水性媒体中に前記複合樹脂(ABC)を分散又は溶解させるため、中和された酸基を有する重合体セグメントであることが必須であり、なかでもポリシロキサンセグメント(B)やその合成原料が有する珪素原子に結合した水酸基や珪素原子に結合した加水分解性基と容易に加水分解縮合して前記構造式(S−1)の結合様式で化学結合することから、酸基と共に、珪素原子に結合した水酸基及び/又は珪素原子に結合した加水分解性基(以下、「珪素原子結合の水酸基及び/又は加水分解性基」と略記する。)を有する重合体(a′)又はその中和物である重合体(a)に由来の重合体セグメントであることが好ましい。前記重合体(a′)及び重合体(a)は、酸基又は中和された酸基を有するポリシロキサン以外の重合体であればよく、その種類としては、例えば、アクリル重合体、フルオロオレフィン重合体、ビニルエステル重合体、芳香族ビニル重合体、ポリオレフィン重合体等のビニル系重合体、ポリウレタン重合体、ポリエステル重合体、ポリエーテル重合体などが挙げられるが、なかでも、ビニル系重合体やポリウレタン重合体が好ましく、アクリル重合体がより好ましい。
前記重合体(a′)中の酸基としては、例えば、カボキシル基、燐酸基、酸性燐酸エステル基、亜燐酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基などが挙げられ、なかでも複合樹脂(ABC)の骨格へ導入しやすいことから、カルボキシル基が好ましい。
そして、かかる酸基を中和する際に使用する塩基性化合物としては、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、2−アミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノールなどの有機アミン類;アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基性化合物;テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムハイドロオキサイドの四級アンモニウムハイドロオキサイドなどを使用することができ、なかでも有機アミン類やアンモニア(アンモニア水でもよい。)を使用することが好ましい。
前記重合体(a)中の中和された酸基は、前記複合樹脂(ABC)が水性媒体中に分散又は溶解してなる水性分散体又は水溶液の良好な保存安定性を維持することから、前記複合樹脂(ABC)100重量%に対して、0.1〜20重量%の割合で存在していることが好ましく、なかでも0.2〜10重量%の割合で存在していることがより好ましい。
また、前記重合体(a′)中の珪素原子に結合した加水分解性基としては、加水分解されることによって珪素原子に結合した水酸基(シラノール基)を生成することが可能な官能基であれば良く、例えば、珪素原子に結合したハロゲン原子、珪素原子に結合したアルコキシ基、珪素原子に結合したアシロキシ基、珪素原子に結合したフェノキシ基、珪素原子に結合したメルカプト基、珪素原子に結合したアミノ基、珪素原子に結合したアミド基、珪素原子に結合したアミノオキシ基、珪素原子に結合したイミノオキシ基、珪素原子に結合したアルケニルオキシ基等が挙げられ、なかでも加水分解反応を容易に進行でき、また、反応後の副生成物を容易に除去できることから、珪素原子に結合したアルコキシ基が好ましい。
前記重合体セグメント(A)は、本発明が奏する効果を阻害しない範囲で、中和された酸基、珪素原子に結合した水酸基及び珪素原子に結合した加水分解性基を除くその他の官能基を有していてもよい。かかるその他の官能基としては、例えば、中和されていないカルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基、カルボン酸無水基、水酸基、ブロックされた水酸基、シクロカーボネート基、エポキシ基、カルボニル基、1級アミド基、2級アミド基、カーバメート基、ポリエチレングリコール基、ポリプロピレングリコール基、及び、下記の構造式(S−3)で示される基等が挙げられる。
Figure 2008208448
前記複合樹脂(ABC)を構成する、ポリシロキサンセグメント(B)としては、例えば、珪素原子結合の水酸基及び/又は加水分解性基を有するポリシロキサンに由来のセグメントが挙げられる。なお、前記珪素原子に結合した加水分解性基としては、前記重合体セグメント(A)において記載した珪素原子に結合した加水分解性基と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
前記ポリシロキサンセグメント(B)としては、なかでも下記一般式(S−4)や(S−5)で示される構造を有するものが好ましい。下記一般式(S−4)や(S−5)で示される構造を有する前記ポリシロキサンセグメントは、三次元網目状のポリシロキサン構造を有することから、得られる塗膜は、耐溶剤性、耐候性などに優れたものである。
Figure 2008208448
Figure 2008208448
〔但し、一般式(S−4)及び(S−5)中、Rは珪素原子に結合した炭素数が4〜12の有機基、R及びRは、それぞれ独立して珪素原子に結合したメチル基又は珪素原子に結合したエチル基である。なお、Rとしては、なかでも珪素原子に結合した炭素数が4〜12の炭化水素基であることが好ましく、フェニル基又は炭素数4のアルキル基であることがより好ましい。R及びRは、いずれも珪素原子に結合したメチル基又は珪素原子に結合したエチル基であることが好ましく、いずれも珪素原子に結合したメチル基であることがより好ましい。〕
前記一般式(S−4)や(S−5)で示される構造を有するポリシロキサンセグメントとしては、オルガノアルコキシシラン、好ましくは珪素原子に結合した炭素数が4〜12の有機基(以下、「珪素原子結合の炭素数4〜12の有機基」と略記する。)を有するモノオルガノトリアルコキシシラン、及び/又は、珪素原子に結合したメチル基及び/又は珪素原子に結合したエチル基(以下、「珪素原子結合のメチル基及び/又はエチル基」と略記する。)の2個を有するジオルガノジアルコキシシランを、加水分解縮合させて得られるポリシロキサンに由来のセグメントが挙げられる。これらポリシロキサンセグメントは、珪素原子結合の炭素数4〜12の有機基と珪素原子結合の水酸基及び/又は加水分解性基、及び/又は、珪素原子結合のメチル基及び/又はエチル基の2個と珪素原子結合の水酸基及び/又は加水分解性基を有するものであり、線状、分岐状、環状のうちの、いずれの構造を有するものでもよい。
前記珪素原子結合の炭素数4〜12の有機基としては、例えば、いずれも珪素原子に結合した炭素数が4〜12の、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。なお、これらの有機基は置換基を有するものであっても良い。
かかる珪素原子結合の炭素数4〜12の有機基としては、珪素原子に結合した炭化水素基が好ましく、例えば、いずれも珪素原子に結合した、n−ブチル基、iso−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、シクロヘキシルメチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、4−メチルフェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基などが挙げられ、なかでも珪素原子に結合したフェニル基又は珪素原子に結合した炭素数4のアルキル基がより好ましい。
前記複合樹脂(ABC)を構成する、ポリシロキサンセグメント(C)は、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルトリアルコキシシランの縮合物(c)に由来のセグメントであり、ここで用いるアルキル基の炭素数が1〜3のアルキルトリアルコキシシランの縮合物(c)は、珪素原子に結合した水酸基及び/又は珪素原子に結合したアルコキシ基を有している。
前記アルキルトリアルコキシシランの縮合物(c)としては、下記一般式(S−6)で示される構造を有するものが好ましい。下記一般式(S−6)で示される構造を有するアルキルトリアルコキシシランの縮合物に由来のポリシロキサンセグメントは、三次元網目状のポリシロキサン構造を有することから、得られる塗膜は、耐溶剤性、耐候性などに優れたものである。
Figure 2008208448
〔但し、一般式(S−6)中のRは炭素数が1〜3個のアルキル基である。〕
前記複合樹脂(ABC)としては、なかでも密着性、防錆性、耐クラック性に優れる塗膜が得られることから、複合樹脂(ABC)100重量部に対して、ポリシロキサンセグメント(B)とアルキルトリアルコキシシランの縮合物(c)に由来するポリシロキサンセグメント(C)と合計量(B+C)が25〜85重量部であるものが好ましく、45〜85重量部であるものがより好ましい。
また、前記複合樹脂(ABC)としては、なかでも耐久性、耐クラック性に優れる塗膜が得られることから、複合樹脂(ABC)100重量部に対して、前記アルキルトリアルコキシシランの縮合物(c)由来のポリシロキサンセグメント(C)の量が15〜60重量部であるものが好ましく、30〜60重量部であるものがより好ましい。
前記複合樹脂(ABC)は、各種の方法で製造できるが、なかでも下記製造工程(I)〜(II)からなる工程で製造することが好ましい。
(I)酸基と珪素原子結合の水酸基及び/又は加水分解性基を併有する重合体(a′)と、オルガノアルコキシシラン(b)及び/又はその加水分解縮合物(b−1)とを加水分解縮合させて、重合体(a′)由来の重合体セグメント(A′)とオルガノアルコキシシラン(b)由来のポリシロキサンセグメント(B)とが化学結合してなる複合樹脂(A′B)を得る工程、
(II)次いで、得られた複合樹脂(A′B)とアルキル基の炭素数が1〜3のアルキルトリアルコキシシランの縮合物(c)を加水分解縮合させて、複合樹脂(A′B)のポリシロキサンセグメント(B)と、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルトリアルコキシシランの縮合物(c)由来のポリシロキサンセグメント(C)とが珪素−酸素結合を介して結合している複合樹脂(A′BC)とした後、この複合樹脂(A′BC)中の酸基を塩基性化合物で中和して複合樹脂(ABC)を得る工程、又は、得られた複合樹脂(A′B)中の酸基を塩基性化合物で中和して複合樹脂(AB)とした後、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルトリアルコキシシランの縮合物(c)を加水分解縮合させて、複合樹脂(AB)のポリシロキサンセグメント(B)と、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルトリアルコキシシランの縮合物(c)由来のポリシロキサンセグメント(C)とが珪素−酸素結合を介して結合している複合樹脂(ABC)を得る工程。
前記製造工程における加水分解縮合反応は、各種の方法で反応を進行させることができるが、製造工程の途中で水と触媒とを供給することで反応を進行させる方法が簡便で好ましい。
なお、前記加水分解縮合反応とは、前記加水分解性基の一部が水などの影響で加水分解され水酸基を形成し、次いで該水酸基や加水分解性基の間で進行する縮合反応を言う。
前記重合体(a′)は、酸基と珪素原子結合の水酸基及び/又は加水分解性基を併有する重合体であり、酸基が中和されていないこと以外は、前記中和された酸基と珪素原子結合の水酸基及び/又は加水分解性基を併有する重合体(a)と全く同一である。
前記重合体(a′)としてビニル系重合体を使用する場合、該ビニル重合体は、例えば、酸基含有ビニル単量体と、珪素原子に結合した水酸基含有ビニル単量体及び/又は珪素原子に結合した加水分解性基含有ビニル単量体と、必要によりその他のビニル単量体を重合させることにより製造することができる。
前記酸基含有ビニル単量体としては、例えば、カルボキシル基、燐酸基、酸性燐酸エステル基、亜燐酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基等の酸基を含有する各種のビニル単量体が挙げられるが、なかでもカルボキシル基(カルボン酸無水基であっても良い。)含有ビニル単量体が好ましい。
前記カルボキシル基含有ビニル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和ポリカルボン酸の無水物類;無水アクリル酸、無水メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸の無水物類;アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸と、酢酸、プロピオン酸、安息香酸などの飽和カルボン酸との混合酸無水物;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノ−n−ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノ−n−ブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノ−n−ブチル等の飽和ジカルボン酸類と、飽和1価アルコール類との各種のモノエステル類(ハーフエステル類);アジピン酸モノビニル、コハク酸モノビニル等の飽和ジカルボン酸のモノビニルエステル類;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸等の飽和ポリカルボン酸の無水物類と、炭素原子に結合した水酸基を含有するビニル系単量体類との付加反応生成物;前記カルボキシル基含有単量体類と、ラクトン類とを付加反応せしめて得られる各種の単量体類等が挙げられ、なかでもビニル重合体に容易に導入できることから、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸類が好ましい。
また、前記カルボキシル基は、ブロックされていても良く、かかるブロックされたカルボキシル基を有するビニル系単量体としては、例えば、トリメチルシリル(メタ)アクリレート、ジメチル−tert−ブチルシリル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルクロトネート等のシリルエステル基含有ビニル系単量体類;1−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシプロパン、2−(メタ)アクリロイルオキシテトラヒドロフラン等のヘミアセタールエステル基ないしはヘミケタールエステル基含有単量体類;tert−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチルクロトネート等のtert−ブチルエステル基含有単量体類等が挙げられる。
前記珪素原子に結合した水酸基含有ビニル単量体としては、例えば、トリヒドロキシビニルシラン、エトキシジヒロドキシビニルシラン、ジエトキシヒドロキシビニルシラン、ジクロロヒドロキシビニルシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリヒドロキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジヒドロキシシラン等が挙げられる。
前記珪素原子に結合した加水分解性基含有ビニル単量体としては、例えば、下記一般式(S−7)で示す加水分解性基を有するビニル単量体を使用することができる。
Figure 2008208448
〔但し、一般式(S−7)中のRはアルキル基、アリール基、アラルキル基等の1価の有機基を、Rはハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基又はアルケニルオキシ基である、また、bは0〜2の整数である。〕
前記一般式(S−7)で示す加水分解性基を有するビニル単量体としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリ(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、2−トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリクロロシラン等が挙げられ、なかでも加水分解反応を容易に進行でき、また反応後の副生成物を容易に除去することが可能なことから、ビニルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
また、前記その他のビニル単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート類;ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレート等のアラルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、4−メトキシブチル(メタ)アクリレート等のω−アルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;スチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル系単量体類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;クロトン酸メチル、クロトン酸エチル等のクロトン酸のアルキルエステル類;ジメチルマレート、ジ−n−ブチルマレート、ジメチルフマレート、ジメチルイタコネート等の不飽和二塩基酸のジアルキルエステル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン等のフルオロオレフィン類;エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のシクロアルキルビニルエーテル類;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−ビニルピロリドン等の3級アミド基含有単量体類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等の水酸基含有ビニルエーテル類;2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−ヒドロキシブチルアリルエーテル等の水酸基含有アリルエーテル類;これら炭素原子に結合した水酸基を含有するビニル系単量体類とε−カプロラクトンなどのラクトン類との付加反応物;
2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジ−n−プロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、4−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチルモルホリン等の3級アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルキノリン等の3級アミノ基含有芳香族ビニル系単量体類;N−(2−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジ−n−プロピルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド等の3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド類;N−(2−ジメチルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(4−ジメチルアミノ)ブチルクロトン酸アミド等の3級アミノ基含有クロトン酸アミド類;2−ジメチルアミノエチルビニルエーテル、2−ジエチルアミノエチルビニルエーテル、4−ジメチルアミノブチルビニルエーテル等の3級アミノ基含有ビニルエーテル類等が挙げられる。
前記その他のビニル単量体は、本発明のアルミニウム板用水性表面処理剤に付与する特性に応じて、本発明が奏する効果を損なわない範囲でその種類及び量を適宜選択することができる。
また、前記重合体(a′)には、前記複合樹脂(ABC)の水性媒体に対する溶解性又は分散性を向上させる目的で、アニオン性基、カチオン性基及びノニオン性基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の親水性基を有するものを使用することができる。
前記重合体(a′)として使用可能なビニル系重合体は、例えば、酸基含有ビニル単量体と、珪素原子に結合した水酸基含有ビニル単量体及び/又は珪素原子に結合した加水分解性基含有ビニル単量体と、必要によりその他のビニル単量体を、塊状ラジカル重合法、溶液ラジカル重合法、非水分散ラジカル重合法等の重合法によって重合させることにより製造することができる。なかでも、製造し易いことから、有機溶剤中で前記ビニル単量体をラジカル重合させることによってビニル系重合体を製造する、いわゆる溶液ラジカル重合法を適用することが好ましい。
前記ラジカル重合法で前記ビニル単量体を重合させる際には、必要に応じて重合開始剤を使用することができる。かかる重合開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ化合物類;tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等の過酸化物類等が挙げられる。
前記有機溶剤としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂肪族系又は脂環族系の炭化水素類;トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、n−ブタノール、エチレングルコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングルコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−アミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のポリアルキレングリコールジアルキルエーテル類;1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、エチレンカーボネート等が挙げられ、これらはそれぞれ単独又は2種以上を併用して使用することができる。
前記重合体(a′)としては、500〜200,000の範囲の数平均分子量を有するものが好ましく、700〜100,000の範囲を有するものがより好ましく、1,000〜50,000の範囲を有するものが特に好ましい。かかる範囲内の数平均分子量を有する重合体(a′)を使用することによって、前記複合樹脂(ABC)を製造する際の増粘やゲル化を防止でき、且つ耐久性に優れた塗膜を形成することができる。
次いで、前記製造工程(I)においてポリシロキサンセグメント(B)を構成するために用いるオルガノアルコキシシラン(b)及び/又はその加水分解縮合物(b−1)について述べる。
前記オルガノアルコキシシラン(b)としては、特に限定はないが、なかでも分散安定性に優れる複合樹脂(ABC)を製造することができ、且つ耐久性に優れた塗膜を形成することができることから、炭素数4〜12の有機基を有するモノオルガノトリアルコキシシランと、メチル基及び/又はエチル基の2個を有するジオルガノジアルコキシシランがいずれも好ましい。
前記オルガノアルコキシシラン(b)の加水分解縮合物(b−1)は、オルガノアルコキシシラン(b)を加水分解縮合させたものであれば良く、特に限定はないが、珪素原子結合の炭素数4〜12の有機基を有するモノオルガノトリアルコキシシラン、及び/又は、珪素原子結合のメチル基及び/又はエチル基の2個を有するジオルガノジアルコキシシランを加水分解縮合させたものがいずれも好ましい。
前記珪素原子結合の炭素数4〜12の有機基を有するモノオルガノトリアルコキシシランとしては、例えば、iso−ブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
前記珪素原子結合のメチル基及び/又はエチル基の2個を有するジオルガノジアルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジアセトキシシラン等が挙げられる。
これらオルガノアルコキシシラン(b)のなかでは、加水分解反応を容易に進行でき、また反応後の副生成物を容易に除去できることから、iso−ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランが好ましい。また、これらオルガノアルコキシシラン(b)は、単独使用でも2種類以上の併用でもよい。
なお、前記製造工程(I)では、オルガノアルコキシシラン(b)の加水分解縮合物(b−1)を単独で用いることも十分可能であるが、加水分解縮合による複合樹脂(A′B)の製造が容易なことから、オルガノアルコキシシラン(b)の単独使用、又は、オルガノアルコキシシラン(b)とその加水分解縮合物(b−1)の併用が好ましく、オルガノアルコキシシラン(b)の単独使用が特に好ましい。ここにおいて、オルガノアルコキシシラン(b)の単独使用とは、オルガノアルコキシシラン(b)のみを用いることであり、オルガノアルコキシシラン(b)を2種以上併用する場合も含む。
前記製造工程(I)における加水分解縮合反応は、各種の方法で反応を進行させることができるが、前記製造工程(I)の途中で水と触媒とを供給することで反応を進行させる方法が簡便で好ましい。
前記触媒としては、例えば塩酸、硫酸、燐酸等の無機酸類;p−トルエンスルホン酸、燐酸モノイソプロピル、酢酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基類;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタン酸エステル類;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリ−n−ブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、モノエタノールアミン、イミダゾール、1−メチルイミダゾール等の塩基性窒素原子を含有する化合物類;テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩類であって、対アニオンとして、クロライド、ブロマイド、カルボキシレート、ハイドロオキサイドなどを有する4級アンモニウム塩類;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、オクチル酸錫、ステアリン酸錫など錫カルボン酸塩等を、単独で使用又は2種以上併用することができる。
前記触媒は、前記オルガノアルコキシシラン(b)及び/又はその加水分解縮合物(b−1)100重量部に対して、0.0001〜10重量部の範囲で使用することが好ましく、0.0005〜3重量部の範囲で使用することがより好ましく、0.001〜1重量部の範囲で使用することが特に好ましい。
また、前記加水分解縮合反応を進行させる際に使用する水は、前記オルガノアルコキシシラン(b)及び/又はその加水分解縮合物(b−1)が有する加水分解性基及び水酸基の1モルに対して、0.05モル以上が適切であり、好ましくは0.1モル以上、特に好ましくは0.5〜3.0モルである。
前記触媒及び水は、一括供給でも逐次供給であってもよく、触媒と水とを予め混合したものを供給しても良い。
前記加水分解縮合反応の反応温度は、0〜150℃の範囲内が適切であり、好ましくは、20〜100℃の範囲内である。また、反応の圧力としては、常圧、加圧下又は減圧下の、いずれの条件においても行うことができる。
前記加水分解縮合反応において生成しうる副生成物であるアルコールや水は、得られる水性表面処理剤の安定性等を低下させる場合には、蒸留などの方法により除去してもよい。
次いで、前記製造工程(II)においてポリシロキサンセグメント(C)を構成するために用いるアルキル基の炭素数が1〜3のアルキルトリアルコキシシランの縮合物(c)について、詳細に述べる。
前記アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルトリアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、なかでも加水分解反応を容易に進行でき、また反応後の副生成物を容易に除去できることから、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシランが好ましい。これらアルキルトリアルコキシシランは、単独使用でも2種類以上の併用でもよい。
前記アルキルトリアルコキシシランからその縮合物(c)を得る方法としては、特に限定はなく、各種の方法が挙げられるが、水と触媒とを供給することで加水分解縮合反応を進行させる方法が簡便で好ましい。
その際に使用する水と触媒については、前記製造工程(I)での加水分解縮合反応と同様の条件で使用することができる。
また、前記製造工程(II)においては、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルトリアルコキシシランの縮合物(c)に加えて、その他のシラン化合物やその加水分解縮合物を併用することができる。
前記その他のシラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランもしくはテトラn−プロポキシシランなどの4官能アルコキシシラン化合物;該4官能アルコキシシラン化合物の加水分解縮合物等が挙げられる。これらは、本発明が奏する効果を損なわない範囲で併用することができる。
前記4官能アルコキシシラン化合物やその加水分解縮合物を併用する場合には、前記ポリシロキサンセグメント(B)とポリシロキサンセグメント(C)を構成する全珪素原子100モル%に対して、該4官能アルコキシシラン化合物やその加水分解縮合物の有する珪素原子が、20モル%を超えない範囲で併用することが好ましい。
本発明のアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物は、水性媒体中に、前記複合樹脂(ABC)を分散又は溶解してなる複合樹脂(ABC)の水性化物、好ましくは複合樹脂(ABC)の水性分散体と、複合樹脂(ABC)の硬化剤(D)を含有させてなるものであり、その製造方法に限定はなく、各種の方法で製造できるが、なかでも前記製造工程(I)〜(II)により複合樹脂(ABC)を製造した後、下記(III)なる製造工程で製造することが好ましい。
(III)前記製造工程(II)で得られた複合樹脂(ABC)を水性媒体と混合して複合樹脂(ABC)を分散又は溶解させた後、得られた複合樹脂(ABC)の水性化物と硬化剤(D)を混合する工程。
本発明で使用する前記水性媒体としては、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−及びイソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル類;N-メチル-2-ピロリドン等のラクタム類、等が挙げられる。本発明では、水のみを用いても良く、また水及び水と混和する有機溶剤との混合物を用いても良く、水と混和する有機溶剤のみを用いても良い。安全性や環境に対する負荷の点から、水のみ、又は、水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましく、水のみが特に好ましい。
次に、本発明で使用する複合樹脂(ABC)の硬化剤(D)としては、複合樹脂(ABC)が有する酸基及び/又は珪素原子に結合した水酸基と反応する官能基を有する化合物であれば良く、適宜選択して用いることができる。前記酸基及び/又は珪素原子に結合した水酸基と反応する官能基としては、例えば、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基等のカルボキシル基と反応するが、珪素原子に結合した水酸基とも反応する官能基;エポキシ基、シクロカーボネート基、アミド基、水酸基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、ヒドラジノ基等のカルボキシル基と反応する官能基;N−ヒドロキシメチルアミノ基、N−アルコキシメチルアミノ基等の珪素原子に結合した水酸基と反応するが、カルボキシル基とも反応する官能基;珪素原子に結合した水酸基、珪素原子に結合した加水分解性基、カルボキシル基等の珪素原子に結合した水酸基と反応する官能基等が挙げられる。
前記硬化剤(D)の具体例としては、珪素原子結合の水酸基及び/又は加水分解性基を有する化合物、イソシアネート基と珪素原子結合の水酸基及び/又は加水分解性基を有する化合物、エポキシ基と珪素原子結合の水酸基及び/又は加水分解性基を有する化合物、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、ポリエポキシ化合物、ポリシクロカーボネート化合物、アミノ樹脂、1級或いは2級アミド基含有化合物、ポリカルボキシ化合物、ポリヒドロキシ化合物、ポリオキサゾリン化合物、ポリカルボジイミド化合物、ポリヒドラジド化合物等が挙げられ、なかでも、珪素原子結合の水酸基及び/又は加水分解性基を有する化合物、エポキシ基と珪素原子結合の水酸基及び/又は加水分解性基を有する化合物、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、ポリエポキシ化合物、ポリオキサゾリン化合物が好ましい。これらはそれぞれ単独で、又は2種以上を併用して使用することができる。なお、前記硬化剤(D)として前記した好ましい硬化剤を用いる場合には、これら好ましい硬化剤と共に、ポリヒドラジド化合物や、アミノ樹脂を併用することも好ましい。
また、前記複合樹脂(ABC)がカルボキシル基又は中和されたカルボキシル基を有する場合には、前記硬化剤(D)としてエポキシ基と珪素原子結合の水酸基及び/又は加水分解性基を有する化合物、ポリエポキシ化合物、ポリオキサゾリン化合物を使用する組み合わせとすることが好ましい。
前記珪素原子結合の水酸基及び/又は加水分解性基を有する化合物としては、例えば、前記複合樹脂(ABC)を製造する際に使用可能なものとして例示したものと同様の珪素原子結合の水酸基及び/又は加水分解性基を有する化合物、又は、これらの加水分解縮合物などが挙げられる。
前記エポキシ基と珪素原子結合の水酸基及び/又は加水分解性を有する化合物としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等や、これらの加水分解縮合物、エポキシ基と加水分解性シリル基を有するビニル系共重合体類などが挙げられる。
前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類;メタ−キシリレンジイソシアネート、α,α,α′,α′−テトラメチル−メタ−キシリレンジイソシアネート等のアラルキルジイソシアネート類;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,3−ビスイソシアナートメチルシクロヘキサン、2−メチル−1,3−ジイソシアナートシクロヘキサン、2−メチル−1,5−ジイソシアナートシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族ないしは脂環式ジイソシアネート類:
前記ポリイソシアネート化合物を、多価アルコール類と付加反応させて得られる、イソシアネート基を有する各種のプレポリマー類;前記ポリイソシアネート化合物を環化三量化させることによって得られる、イソシアヌレート環を有するプレポリマー類;前記ポリイソシアネート化合物と水とを反応させて得られる、ビウレット構造を有するポリイソシアネート類;2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート等のイソシアネート基を有するビニル単量体を必須成分として含有するビニル系単量体類から得られる、イソシアネート基を含有するビニル系共重合体類などが挙げられる。
前記ブロックポリイソシアネート化合物としては、前記ポリイソシアネート化合物を、種々のブロック剤でブロック化したものが挙げられる。前記ブロック剤としては、例えば、メタノール、エタノール、乳酸エステル等のアルコール類;フェノール、サリチル酸エステル等のフェノール性水酸基含有化合物類;ε−カプロラクタム、2−ピロリドン等のアマイド類;アセトンオキシム、メチルエチルケトオキシム等のオキシム類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等の活性メチレン化合物類などが挙げられる。
前記ポリエポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、水添ビスフェノールA等の脂肪族又は脂環式ポリオールのポリグリシジルエーテル類;ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF等の芳香族系ジオールのポリグリシジルエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレ−トのポリグリシジルエーテル類;アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸等の脂肪族又は芳香族ポリカルボン酸のポリグリシジルエステル類;シクロオクタジエン、ビニルシクロヘキセン等の炭化水素系ジエン類のビスエポキシド類;ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート等の脂環式ポリエポキシ化合物;2個以上のエポキシ基を含有するビニル系共重合体類などが挙げられる。
前記ポリオキサゾリン化合物としては、例えば、2,2′−p−フェニレン−ビス−(1,3−オキサゾリン)、2,2′−テトラメチレン−ビス−(1,3−オキサゾリン)、2,2′−オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)等の低分子量のポリ(1,3−オキサゾリン)化合物;2−イソプロペニル−1,3−オキサゾリン等の1,3−オキサゾリン基含有ビニル系単量体の単独重合体もしくはこれと共重合可能なビニル系単量体とを共重合させて得られる、1,3−オキサゾリン基を含有するビニル系重合体などが挙げられる。
前記ポリヒドラジド化合物としては、例えば、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド等の有機酸のジヒドラジド化合物などが挙げられる。
前記アミノ樹脂としては、例えば、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、尿素、グリコウリル等のアミノ基含有化合物を、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等のアルデヒド化合物(又はアルデヒド供給物質)と反応させることによって得られるアルキロール基を有する種々のアミノ樹脂;前記アルキロール基を有するアミノ樹脂と、メタノール、エタノール、n−ブタノール、iso−ブタノール等の低級アルコールとを反応させて得られる、アルコキシアルキル基含有アミノ樹脂などが挙げられる。
前記硬化剤(D)の使用量としては、例えば、硬化剤(D)が、珪素原子結合の水酸基及び/又は加水分解性基を有する化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、アミノ樹脂、ポリカルボキシ化合物である場合には、前記複合樹脂(ABC)の100重量部に対して、硬化剤(D)の固形分量が、0.1〜200重量部の範囲内であることが好ましく、0.5〜150重量部の範囲内であることがより好ましく、1〜100重量部の範囲内であることが特に好ましい。
また、例えば、硬化剤(D)が、エポキシ基と珪素原子結合の水酸基及び/又は加水分解性基を有する化合物、ポリエポキシ化合物、ポリシクロカーボネート化合物、1級或いは2級アミド基含有化合物、ポリヒドロキシ化合物、ポリオキサゾリン化合物、ポリカルボジイミド化合物、ポリヒドラジド化合物等のカルボキシル基と反応する基を有する化合物であり、かつ、前記複合樹脂(ABC)がカルボキシル基を含有する複合樹脂である場合には、前記複合樹脂(ABC)中のカルボキシル基の1当量に対して、硬化剤(D)中のカルボキシル基と反応する基(エポキシ基、シクロカーボネート基、アミド基、水酸基、オキサゾリン基カルボジイミド基、ヒドラジノ基等)の量が、0.2〜5.0当量の範囲内であることが好ましく、0.5〜3.0当量の範囲内であることがより好ましく、0.7〜2.0当量の範囲内であることが特に好ましい。
さらに、例えば、硬化剤(D)が、イソシアネート基と珪素原子結合の水酸基及び/又は加水分解性基を有する化合物、ポリイソシアネート化合物であり、かつ、前記複合樹脂(ABC)が珪素原子結合の水酸基及び/又は加水分解性基を有する複合樹脂である場合には、前記複合樹脂(ABC)中の珪素原子結合の水酸基及び/又は加水分解性基1当量に対して、硬化剤(D)中のイソシアネート基の量が0.1〜10当量の範囲内であることが好ましく、0.3〜5.0当量の範囲内であることがより好ましく、0.5〜2.0当量の範囲内であることが特に好ましい。
また、前記硬化剤(D)としては、前記複合樹脂(ABC)が溶解又は分散している水性分散体と混合した際に、容易に分離しないものが好ましく、例えば、前記水性媒体に分散又は溶解可能なレベルの親水性を有し、前記水性分散体中に均一に分散又は溶解するもの、前記水性媒体中に単独で分散又は溶解させることはできないが、前記水性分散との混合時に複合樹脂(ABC)粒子への侵入、融合、吸着等が起こり、粒子として一体化するもの等が挙げられる。前記水性分散体中に均一に分散又は溶解するものとしては、例えば、後記する実施例5、6、7で用いている大日本インキ化学工業(株)製「バーノックDNW−5000」(イソシアネート基の含有率が13.5重量%のポリイソシアネート化合物の水性分散体、不揮発分80重量%)、第一工業製薬(株)製「エラストロンBN−77」(ブロックポリイソシアネート化合物の水性自己乳化体、固形分31重量%)、日本触媒(株)製「エポクロスWS−500」(オキサゾリン基の当量が220g/eqの1,3−オキサゾリン基含有水溶性樹脂の水性溶液、含有率40重量%)等が挙げられ、また、前記水性分散体との混合時に複合樹脂(ABC)粒子と一体化するものとしては、例えば、後記する実施例1〜4、8、9で用いている3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3GPTMS)、三菱化学(株)製「MKCシリケートMS−51」(縮合度2〜9のポリメトキシシロキサン)、ナガセケムテックス(株)製「デナコールEX−614B」(エポキシ当量が173g/eqのエポキシ化合物)等が挙げられる。
本発明のアルミニウム板用水性表面処理剤には、必要に応じて熱硬化性樹脂を含有させることも可能である。かかる熱硬化性樹脂としては、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、エポキシエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、石油樹脂、ケトン樹脂、シリコン樹脂、あるいはこれらの変性樹脂等が挙げられる。
本発明のアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物には、必要に応じて粘土鉱物、金属、金属酸化物、又はガラス等の各種の無機粒子を使用することができるが、通常は使用しないことが好ましい。金属の種類としては、金、銀、銅、白金、チタン、亜鉛、ニッケル、アルミニウム、鉄、シリコン、ゲルマニウム、アンチモンなどを使用することができ、また、それらの金属酸化物を使用することも可能である。
本発明のアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物には、必要に応じて無機顔料、有機顔料、体質顔料、染料、ワックス、界面活性剤、安定剤、流動調整剤、消泡剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、又は可塑剤等の公知慣用の添加剤等を使用することができる。
このような本発明のアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物は、例えば、一次防錆処理としてアルミニウム板表面に直接塗布し硬化させることにより、密着性、防錆性、加工性と共に、表面親水性にも優れる一次防錆処理鋼板が容易に得られる。
本発明のアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物を用いて形成される塗膜の膜厚は、特に制限はないが、0.1〜10μmであることが好ましく、0.3〜7μmであることがより好ましく、0.3〜5μmであることがもっとも好ましい。前記範囲内の膜厚であれば、硬化塗膜に生じうるクラックを抑制でき、優れた防錆性を有する硬化塗膜を形成することができる。
アルミニウム板に本発明のアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物を塗布する方法としては、例えば、ローラー塗装法、スプレー塗装法、浸漬塗装法、フロー・コーター塗装法、ロール・コーター塗装法、刷毛塗り法などの各種の塗装方法を適用することが可能である。
前記塗装方法によりアルミニウム板表面に本発明のアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物を塗布した後、常温で1〜10日程度放置することや、60〜600℃の温度範囲で10秒間〜2時間程度、好ましくは150〜400℃の温度範囲で20秒間〜10分間加熱することにより、密着性、防錆性、加工性及び表面親水性等に優れた塗膜を有する一次防錆処理アルミニウム板を得ることができる。
したり、60〜600℃の温度範囲で10秒間〜2時間程度加熱することにより、密着性、防錆性、加工性及び表面親水性等に優れた塗膜を有する表面処理アルミニウム板を得ることができる。
次に、本発明を、実施例及び比較例により具体的に説明する。なお、例中の部及び%は、全て重量基準である。
合成例1〔メチルトリメトキシシランの縮合物(c−1)の調製例〕
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、メチルトリメトキシシラン(MTMS)1,421部を仕込んで、60℃まで昇温した。次いで、「A−3」〔堺化学(株)製のiso−プロピルアシッドホスフェート〕0.17部と脱イオン水207部との混合物を5分間で滴下した。滴下終了後、反応容器中を80℃まで昇温し、4時間撹拌して加水分解縮合反応を行なった。次いで、得られた縮合物を、300〜10mmHgの減圧下(メタノールの留去開始時の減圧条件が300mmHgで、最終的に10mmHgとなるまで減圧する条件を言う。以下、同様。)、40〜60℃の温度範囲内で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去して、数平均分子量が1,000で、反応液中の有効成分が70.0%のメチルトリメトキシシランの縮合物(c−1)1,000部を得た。なお、前記反応液中の有効成分とは、MTMS、エチルトリメトキシシラン(ETMS)等のシランモノマーのメトキシ基が全て縮合反応した場合の理論収量(重量部)を縮合反応後の実収量(重量部)で除した値〔シランモノマーのメトキシ基が全て縮合反応した場合の理論収量(重量部)/縮合反応後の実収量(重量部)〕により算出したものである(以下、同様。)。
合成例2〔エチルトリメトキシシランの縮合物(c−2)の調製例〕
合成例1と同様の反応容器に、ETMS1,296部を仕込んで、60℃まで昇温した。次いで、「A−3」0.14部と脱イオン水171部との混合物を5分間で滴下した。滴下終了後、反応容器中を80℃まで昇温し、4時間撹拌して加水分解縮合反応を行なった。次いで、得られた縮合物を、300〜10mmHgの減圧下、40〜60℃の温度範囲内で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去して、数平均分子量が1,100で、反応液中の有効成分が70.0%のエチルトリメトキシシランの縮合物(c−2)1,000部を得た。
合成例3〔ジメチルジメトキシシランの縮合物(c−3)の調製例〕
合成例1と同様の反応容器に、ジメチルジメトキシシラン(DMDMS)1,200部を仕込んで、60℃まで昇温した。次いで、「A−3」0.1部と脱イオン水200部との混合物を5分間で滴下した。滴下終了後、反応容器中を80℃まで昇温し、4時間撹拌して加水分解縮合反応を行なった。次いで、得られた縮合物を、300〜10mmHgの減圧下、40〜60℃の温度範囲内で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去して、数平均分子量が1,000で、反応液中の有効成分が75.0%のジメチルジメトキシシランの縮合物(c−3)990部を得た。
合成例4〔複合樹脂(ABC−1)の水性分散体の調製例〕
合成例1と同様の反応容器に、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(PnP)126部、フェニルトリメトキシシラン(PTMS)59部及びDMDMS62部を仕込んで、80℃まで昇温した。次いで、同温度でメチルメタクリレート(MMA)21部、ブチルメタクリレート(BMA)20部、ブチルアクリレート(BA)14部、アクリル酸(AA)13部、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(MPTS)2部、PnP3.5部及びtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(TBPEH)3.5部を含有する混合物を、前記反応容器中へ4時間で滴下し、滴下終了後、更に同温度で2時間反応させてカルボキシル基と珪素原子に結合した加水分解性基を併有する数平均分子量14,000の重合体(a′−1)を得た後、「A−3」0.016部と脱イオン水45部との混合物を5分間で滴下し、更に同温度で1時間撹拌して加水分解縮合反応を行ない、カルボキシル基と珪素原子に結合した加水分解性基を併有する重合体セグメントとPTMS及びDMDMS由来のポリシロキサンセグメントからなる複合樹脂(A′B−1)を得た。次いで、メチルトリメトキシシランの縮合物(c−1)290部を添加し、更に、脱イオン水59部を添加して同温度で16時間撹拌し、加水分解縮合反応を行なって、前記複合樹脂(A′B−1)とメチルトリメトキシシランの縮合物(c−1)由来のポリシロキサンセグメント(C−1)が結合した複合樹脂(A′BC−1)を含有する反応液を得た。
次いで、得られた反応液を、300〜10mmHgの減圧下、40〜60℃の温度範囲内で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去した後、トリエチルアミン(TEA)15部を添加して複合樹脂(A′BC−1)中のカルボキシル基を中和して複合樹脂(ABC−1)とし、次いで、脱イオン水497部を添加することにより水性媒体中への分散を行ない、不揮発分が35.1%の複合樹脂(ABC−1)の水性分散体1,000部を得た。
合成例5〔複合樹脂(ABC−2)の水性分散体の調製例〕
合成例1と同様の反応容器に、PnP36部、イソプロピルアルコール(IPA)80部、PTMS32部及びDMDMS19部を仕込んで、80℃まで昇温した。次いで、同温度でMMA99部、BMA86部、BA67部、AA16部、MPTS5部、PnP14部及びTBPEH14部を含有する混合物を、前記反応容器中へ4時間で滴下し、滴下終了後、更に同温度で2時間反応させてカルボキシル基と珪素原子に結合した加水分解性基を併有する数平均分子量18,000の重合体(a′−2)を得た後、「A−3」0.9部と脱イオン水24部との混合物を、5分間で滴下し、更に同温度で10時間攪拌して加水分解縮合反応を行ない、カルボキシル基と珪素原子に結合した加水分解性基を併有する重合体セグメントとPTMS及びDMDMS由来のポリシロキサンセグメントからなる複合樹脂(A′B−2)を得た。次いで、TEA18部を添加して複合樹脂(A′B−2)中のカルボキシル基を中和して複合樹脂(AB−2)とした後、メチルトリメトキシシランの縮合物(c−1)124部を添加し、更に、脱イオン水550部を添加して、加水分解縮合による前記複合樹脂(AB−2)とメチルトリメトキシシランの縮合物(c−1)由来のポリシロキサンセグメント(C−1)が結合した複合樹脂(ABC−2)の生成と、複合樹脂(ABC−2)の水性媒体中への分散を行ない、複合樹脂(ABC−2)の分散体を得た。
次いで、得られた分散体を、300〜10mmHgの減圧下、40〜60℃の温度範囲内で2時間蒸留することにより、IPA、生成したメタノール及び水を除去して、不揮発分が40.0%の複合樹脂(ABC−2)の水性分散体1,000部を得た。
合成例6〔複合樹脂(ABC−3)の水性分散体の調製例〕
合成例1と同様の反応容器に、PnP60部、IPA50部、PTMS54部及びDMDMS32部を仕込んで、80℃まで昇温した。次いで、同温度でMMA40部、BMA84部、2−エチルヘキシルメタクリレート(2−EHMA)51部、AA19部、MPTS6部、PnP10部及びTBPEH10部を含有する混合物を、前記反応容器中へ4時間で滴下し、滴下終了後、更に同温度で2時間反応させてカルボキシル基と珪素原子に結合した加水分解性基を併有する数平均分子量17,000の重合体(a′−3)を得た後、「A−3」0.9部と脱イオン水24部との混合物を、5分間で滴下し、更に同温度で10時間攪拌して加水分解縮合反応を行ない、カルボキシル基と珪素原子に結合した加水分解性基を併有する重合体セグメントとPTMS及びDMDMS由来のポリシロキサンセグメントからなる複合樹脂(A′B−3)を得た。次いで、TEA21部を添加して複合樹脂(A′B−3)中のカルボキシル基を中和して複合樹脂(AB−3)とした後、メチルトリメトキシシランの縮合物(c−1)207部を添加し、更に、脱イオン水570部を添加して、加水分解縮合による前記複合樹脂(AB−4)とメチルトリメトキシシランの縮合物(c−1)由来のポリシロキサンセグメント(C−1)が結合した複合樹脂(ABC−3)の生成と、複合樹脂(ABC−3)の水性媒体中への分散を行ない、複合樹脂(ABC−3)の分散体を得た。
次いで、得られた分散体を、300〜10mmHgの減圧下、40〜60℃の温度範囲内で2時間蒸留することにより、IPA、生成したメタノール及び水を除去して、不揮発分が40.3%の複合樹脂(ABC−3)の水性分散体1,000部を得た。
合成例7〔複合樹脂(ABC−4)の水性分散体の調製例〕
メチルトリメトキシシランの縮合物(c−1)207部の代わりにエチルトリメトキシシランの縮合物(c−2)207部を用い、2−EHMA51部の代わりに2−EHMA31部と2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)20部を用いた以外は合成例5と同様にして、不揮発分が40.0%の複合樹脂(ABC−4)の水性分散体1,000部を得た。
比較合成例1〔比較用複合樹脂(RAB−1)の水性分散体の調製例〕
合成例1と同様の反応容器に、PnP60部、MTMS365部及びDMDMS32部を仕込んで、80℃まで昇温した。次いで、同温度でMMA93部、BA53部、MPTS27部、AA7部、2−HEMA20部、PnP10部及びTBPEH10部を含有する混合物を、前記反応容器中へ4時間で滴下し、滴下終了後、更に同温度で2時間反応させてカルボキシル基と珪素原子に結合した加水分解性基を併有する数平均分子量16,000の重合体(Ra′−1)を得た後、「A−3」4.6部と脱イオン水154部との混合物を、5分間で滴下し、更に同温度で10時間撹拌して加水分解縮合を行い、カルボキシル基と珪素原子に結合した加水分解性基を併有する重合体セグメントとMTMS及びDMDMS由来のポリシロキサンセグメントからなる複合樹脂(RA′B−1)を得た。次いで、TEA21部を添加して複合樹脂(RA′B−1)中のカルボキシル基を中和して複合樹脂(RAB−1)とした後、脱イオン水530部を添加して、前記複合樹脂(RAB−1)の水性媒体中への分散を行ない、複合樹脂(RAB−1)の分散体を得た。
次いで、得られた分散体を、300〜10mmHgの減圧下、40〜60℃の温度範囲内で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去して、不揮発分が40.3%の複合樹脂(RAB−1)の水分散体1,000部を得た。
得られた複合樹脂(RAB−1)の水性分散体は、30日間放置した後にはゲル化していた。
比較合成例2〔比較用樹脂(RA−2)の水性分散体の調製例〕
合成例1と同様の反応容器に、PnP36部及びIPA80部を仕込んで、80℃まで昇温した。次いで、同温度でMMA99部、BMA86部、BA67部、AA16部、MPTS5部、PnP14部及びTBPEH14部を含有する混合物を、前記反応容器中へ4時間で滴下し、滴下終了後、更に同温度で2時間反応させてカルボキシル基を有する数平均分子量20,000の重合体(Ra′−2)を得た後、TEA18部を添加して重合体中のカルボキシル基を中和し、更に脱イオン水400部を添加することにより水性媒体中への分散を行ない、比較用樹脂(RA−2)の分散体を得た。
次いで、得られた分散体を、300〜10mmHgの減圧下、40〜60℃の温度範囲内で2時間蒸留することにより、IPA及び水を除去して、不揮発分が40.0%の比較用樹脂(RA−2)の水性分散体710部を得た。
比較合成例3〔比較用樹脂(RAC−3)の水性分散体の調製例〕
合成例1と同様の反応容器に、PnP60部、IPA130部を仕込んで、80℃まで昇温した。次いで、同温度でMMA40部、BMA84部、2−EHMA31部、2−HEMA20部、AA19部、MPTS6部、PnP10部及びTBPEH10部を含有する混合物を、前記反応容器中へ4時間で滴下し、滴下終了後、更に同温度で2時間反応させてカルボキシル基と珪素原子に結合した加水分解性基を併有する数平均分子量17,000の重合体(Ra′−3)を得た。次いで、TEA21部を添加して複合樹脂(Ra′−3)中のカルボキシル基を中和して複合樹脂(RA−3)とした後、ジメチルジメトキシシランの縮合物(c−3)270部を添加し、更に、「A−3」0.5部と脱イオン水700部の混合物を添加して、前記樹脂(RA−3)とジメチルジメトキシシランの縮合物(c−3)由来のポリシロキサンセグメント(C−3)が結合した複合樹脂(RAC−3)の生成と、複合樹脂(RAC−3)の水性媒体中への分散を行ない、複合樹脂(RAC−3)の分散体を得た。
次いで、得られた分散体を、300〜10mmHgの減圧下、40〜60℃の温度範囲内で2時間蒸留することにより、IPA、生成したメタノール及び水を除去して、不揮発分が40.1%の複合樹脂(RAC−3)の水性分散体1,000部を得た。
比較合成例4〔比較用樹脂(RAC−4)の溶剤溶液の調製例〕
合成例1と同様の反応容器に、PnP60部、IPA130部を仕込んで、80℃まで昇温した。次いで、同温度でMMA40部、BMA84部、2−EHMA31部、2−HEMA20部、AA19部、MPTS6部、PnP10部及びTBPEH10部を含有する混合物を、前記反応容器中へ4時間で滴下し、滴下終了後、更に同温度で2時間反応させてカルボキシル基と珪素原子に結合した加水分解性基を併有する数平均分子量17,000の重合体(Ra′−4)を得た。次いで、IPA200部、ジメチルジメトキシシランの縮合物(c−3)270部を添加し、更に、「A−3」0.5部と脱イオン水10部の混合物を添加して、前記樹脂(Ra′−3)とジメチルジメトキシシランの縮合物(c−3)由来のポリシロキサンセグメント(C−3)が結合した、不揮発分45.0%の複合樹脂(RAC−4)溶剤溶液を得た。
前記合成例1〜7及び比較合成例1〜4の内容を下記第1表〜第3表にまとめる。
Figure 2008208448
Figure 2008208448
Figure 2008208448
前記第1表〜第3表の脚注
「MTMS」 :メチルトリメトキシシラン
「ETMS」 :エチルトリメトキシシラン
「DMDMS」 :ジメチルジメトキシシラン
「PTMS」 :フェニルトリメトキシシラン
「MMA」 :メチルメタクリレート
「BMA」 :ブチルメタクリレート
「2−EHMA」:2−エチルヘキシルメタクリレート
「BA」 :ブチルアクリレート
「AA」 :アクリル酸
「MPTS」 :3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン
「2−HEMA」:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
「TBPEH」 :tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
実施例1
合成例4で得た複合樹脂(ABC−1)の水性分散体100部、硬化剤(D)としての3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3GPTMS)5部及びPnP5部を混合して、本発明のアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物を得た。次いで、得られたアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物を、アルミニウム板〔(株)エンジニアリングテストサービス製、JISH4000、A1050P〕上に乾燥膜厚が1μmとなるように塗付し、150℃で10分間乾燥して、一次防錆処理アルミニウム板(P−1)を得た。
次いで、得られた一次防錆処理アルミニウム板(P−1)の一次防錆処理膜の密着性、防錆性と表面親水性を以下のようにして評価した。評価結果を第4表に示す。
密着性:JIS K−5400 8.5.2 碁盤目テープ法に基づいて測定した。前記表面処理アルミニウム板の表面処理膜の上にカッターで1mm幅の切込みを入れ、碁盤目の数を100個とし、全ての碁盤目を覆うようにセロハンテープを貼り付け、すばやく引き剥がして付着して残っている碁盤目の数を数えることにより評価した。評価基準は下記の通りである。
評価基準
○:剥がれなし(残存碁盤目数100個)。
△:残存碁盤目数が60〜99個。
×:残存碁盤目数が59個以下。
防錆性:JIS K−5400 9.1 耐塩水噴霧性試験に基づいて測定した。評価基準は下記の通りである。
評価基準
○:錆びなし。
△:カッターによる切込み部分に錆び発生。
×:全面に錆び発生。
表面親水性:協和界面化学(株)製全自動接触角計DropMaster700を使用し、処理表面の水接触角を測定した。
実施例2〜4
複合樹脂(ABC−1)の水分散体の代わりに、合成例5〜7で得た複合樹脂(ABC−2)の水性分散体を使用した以外は実施例1と同様にして、アルミニウム板一次防錆処理用水性組成物を得、更に、得られたアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物を用いた以外は実施例1と同様にして一次防錆処理アルミニウム板(P−2)〜(P−4)を得た。
次いで、得られた一次防錆処理アルミニウム板(P−2)〜(P−4)の一次防錆処理膜の密着性、防錆性と表面親水化性を、実施例1と同様にして評価した。評価結果を第4表に示す。
実施例5〜9
下記第4表に示す組成で、合成例4で得た複合樹脂(ABC−4)の水性分散体と、大日本インキ化学工業(株)製「バーノックDNW−5000」、第一工業製薬(株)製「エラストロンBN−77」、日本触媒(株)製「エポクロスWS−500」、三菱化学(株)製「MKCシリケートMS−51」、又は、ナガセケムテックス(株)製「デナコールEX−614B」と、PnPを混合して、本発明のアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物をそれぞれ得た。次いで、得られたアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物のそれぞれを用いた以外は実施例1と同様にして、一次防錆処理アルミニウム板(P−5)〜(P−9)を得た後、得られた一次防錆処理アルミニウム板(P−5)〜(P−9)の一次防錆処理膜の密着性、防錆性と表面親水化性を、実施例1と同様にして評価した。評価結果を第5表に示す。
比較例1
硬化剤(D)としての3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3GPTMS)を全く使用しなかった以外は実施例1と同様にして、比較用の一次防錆処理アルミニウム板(RP−1)を得た。
次いで、得られた一次防錆処理アルミニウム板(RP−1)の一次防錆処理膜の密着性、防錆性と表面親水化性を、実施例1と同様にして評価した。評価結果を第6表に示す。
比較例2
比較合成例2で得た複合樹脂(RA−2)の水性分散体100部、3GPTMS5部及びPnP5部を混合して、比較用のアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物を得た。次いで、得られたアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、比較用の一次防錆処理アルミニウム板(RP−2)を得た。
次いで、得られた一次防錆処理アルミニウム板(RP−2)の一次防錆処理膜の密着性、防錆性と表面親水化性を、実施例1と同様にして評価した。評価結果を第6表に示す。
比較例3
比較合成例3で得た複合樹脂(RAC−3)の水性分散体100部、3GPTMS5部及びPnP5部を混合して、比較用のアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物を得た。次いで、得られたアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、比較用の一次防錆処理アルミニウム板(RP−3)を得た。
次いで、得られた一次防錆処理アルミニウム板(RP−3)の一次防錆処理膜の密着性、防錆性と表面親水化性を、実施例1と同様にして評価した。評価結果を第6表に示す。
比較例4
比較合成例4で得た複合樹脂(RAC−4)の溶剤溶液100部を比較用のアルミニウム板一次防錆処理用組成物とし、このアルミニウム板一次防錆処理用組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、比較用の一次防錆処理アルミニウム板(RP−4)を得た。
次いで、得られた一次防錆処理アルミニウム板(RP−4)の一次防錆処理膜の密着性、防錆性と表面親水化性を、実施例1と同様にして評価した。評価結果を第6表に示す。
比較例5
比較合成例4で得た複合樹脂(RAC−4)の溶剤溶液100部、三井サイナミッド(株)製「サイメル300」(メチルメラミン樹脂、不揮発分100%)を混合して、比較用のアルミニウム板一次防錆処理用組成物を得た。次いで、得られたアルミニウム板一次防錆処理用組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、比較用の一次防錆処理アルミニウム板(RP−5)を得た。
次いで、得られた一次防錆処理アルミニウム板(RP−5)の一次防錆処理膜の密着性、防錆性と表面親水化性を、実施例1と同様にして評価した。評価結果を第6表に示す。
Figure 2008208448
Figure 2008208448
Figure 2008208448

Claims (12)

  1. 中和された酸基を有する重合体セグメント(A)と、ポリシロキサンセグメント(B)とが化学結合してなる複合樹脂(AB)のポリシロキサンセグメント(B)と、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルトリアルコキシシランの縮合物(c)由来のポリシロキサンセグメント(C)とが珪素−酸素結合を介して結合している複合樹脂(ABC)が水性媒体中に溶解又は分散してなる複合樹脂(ABC)の水性化物、及び、前記複合樹脂(ABC)の硬化剤(D)を含有することを特徴とするアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物。
  2. 前記複合樹脂(ABC)が、前記ポリシロキサンセグメント(B)と前記ポリシロキサンセグメント(C)を合計で25〜85重量%含有する複合樹脂である請求項1に記載のアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物。
  3. 前記複合樹脂(ABC)が、前記ポリシロキサンセグメント(C)を15〜60重量%含有する複合樹脂である請求項2に記載のアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物。
  4. 前記複合樹脂(ABC)が、前記重合体セグメント(A)と前記ポリシロキサンセグメント(B)とが、下記の構造式(S−1)
    Figure 2008208448
    〔但し、構造式(S−1)中の炭素原子は前記重合体セグメント(A)の一部分を構成し、珪素原子と酸素原子は前記ポリシロキサンセグメント(B)の一部分を構成するものである。〕
    で示される結合を介して結合している複合樹脂である請求項1、2又は3に記載のアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物。
  5. 前記重合体セグメント(A)が、ビニル系重合体由来のセグメントである請求項4に記載のアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物。
  6. 前記アルキルトリアルコキシシランの縮合物(c)が、メチルトリメトキシシラン及び/又はメチルトリエトキシシランを加水分解縮合させて得られる縮合物である請求項1、2又は3に記載のアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物。
  7. 前記硬化剤(D)が、珪素原子に結合した水酸基及び/又は珪素原子に結合した加水分解性基を有する化合物、一分子中にイソシアネート基と珪素原子に結合した加水分解性基を有する化合物、一分子中にエポキシ基と珪素原子に結合した加水分解性基を有する化合物、ポリイソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、ポリエポキシ化合物、ポリシクロカーボネート化合物、アミノ樹脂、1級あるいは2級アミド基含有化合物、ポリカルボキシ化合物及びポリヒドロキシ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1、2又は3に記載のアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物。
  8. 下記工程(I)〜(III)、
    (I)酸基と珪素原子に結合した水酸基及び/又は珪素原子に結合した加水分解性基を併有する重合体(a′)と、オルガノアルコキシシラン(b)及び/又はその加水分解縮合物(b−1)とを加水分解縮合させて、重合体(a′)由来の重合体セグメント(A′)とオルガノアルコキシシラン(b)由来のポリシロキサンセグメント(B)とが化学結合してなる複合樹脂(A′B)を得る工程、
    (II)次いで、得られた複合樹脂(A′B)とアルキル基の炭素数が1〜3のアルキルトリアルコキシシランの縮合物(c)を加水分解縮合させて、複合樹脂(A′B)のポリシロキサンセグメント(B)と、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルトリアルコキシシランの縮合物(c)由来のポリシロキサンセグメント(C)とが珪素−酸素結合を介して結合している複合樹脂(A′BC)とした後、この複合樹脂(A′BC)中の酸基を塩基性化合物で中和して複合樹脂(ABC)を得る工程、又は、得られた複合樹脂(A′B)中の酸基を塩基性化合物で中和して複合樹脂(AB)とした後、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルトリアルコキシシランの縮合物(c)を加水分解縮合させて、複合樹脂(AB)のポリシロキサンセグメント(B)と、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルトリアルコキシシランの縮合物(c)由来のポリシロキサンセグメント(C)とが珪素−酸素結合を介して結合している複合樹脂(ABC)を得る工程、
    (III)次いで、得られた複合樹脂(ABC)を水性媒体と混合して複合樹脂(ABC)を分散又は溶解させた後、得られた複合樹脂(ABC)の水性化物と硬化剤(D)を混合する工程、
    により得られる水性表面処理剤である請求項1、2又は3に記載のアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物。
  9. 前記オルガノアルコキシシラン(b)が、珪素原子に結合した炭素数4〜12の有機基を有するモノオルガノトリアルコキシシラン及び/又は珪素原子に結合したメチル基及び/又は珪素原子に結合したエチル基の2個を有するジオルガノジアルコキシシランである請求項8に記載のアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物。
  10. 前記炭素数4〜12の有機基が、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基である請求項9に記載のアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物。
  11. 前記重合体(a′)が、ビニル系重合体である請求項8に記載のアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のアルミニウム板一次防錆処理用水性組成物を用いて一次防錆処理剤してなることを特徴とする一次防錆処理アルミニウム板。
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