JP2008208191A - ポリウレタン系硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な作業性を有しつつ、耐汚染性と耐久性に優れた硬化物が得られるポリウレタン系硬化性組成物を提供する。
【解決手段】イソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(P)およびポリエーテルモノオール(B)とポリイソシアネート(D)との反応生成物であるポリエーテルモノオール誘導体(Q)を含むポリウレタン系硬化性組成物において、イソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(P)とポリエーテルモノオール誘導体(Q)の組み合わせにおいて、ポリエーテルモノオール(B)がR−O−(R−O)−Hで表されることを特徴とするポリウレタン系硬化性組成物。ただし、前記式において、Rは炭素数8〜20の有機基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、nは5〜85の整数であることを表す。
【選択図】なし

Description

本発明は、シーリング材、防水材、床材用等に好適なポリウレタン系硬化性組成物に関する。
末端にイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーと可塑剤を含有するポリウレタン系硬化性組成物は、シーリング材、防水材、床材等の建築材料、土木材料等の分野で幅広く利用されている。
可塑剤として、最も一般的なものは、ジオクチルフタレート(DOP)、ジオクチルアジペート(DOA)、ビス(2−エチルヘキシル)フタレート(DEHP)等である。
また、総不飽和度の低いポリエーテル系可塑剤(特許文献1および特許文献2)を用いたポリウレタン系硬化性組成物も提案されている。
特許第3347763号公報 特開昭59−109553号公報
しかし、DOP、DOA、DEHP等を用いた硬化性組成物によって得られる硬化物は、可塑剤が移動して表面に浮き出るブリードが起きやすく、耐汚染性、耐久性に劣っている。
また、特許文献1、2で用いられている可塑剤は、粘度が高く作業性に問題があるか、粘度が低い場合には、ポリウレタン系硬化性組成物の硬化物の耐汚染性、耐久性が不充分であった。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであって、良好な作業性を有しつつ、耐汚染性と耐久性に優れた硬化物が得られるポリウレタン系硬化性組成物を目的とする。
前記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]ポリエーテルポリオール(A)とポリイソシアネート(C)との反応生成物であるイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(P)およびポリエーテルモノオール(B)とポリイソシアネート(D)との反応生成物であるポリエーテルモノオール誘導体(Q)を含むポリウレタン系硬化性組成物において、
ポリイソシアネート(D)はポリイソシアネート(C)またはイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(P)と同じものまたはそれらと異なるポリイソシアネートであり、
イソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(P)とポリエーテルモノオール誘導体(Q)の組み合わせにおいてポリエーテルポリオール(A)の100質量部に対するポリエーテルモノオール(B)の割合は1〜200質量部であり、
ポリエーテルモノオール(B)が下式(1)で表され、かつ、下式(2)で表される副生物不飽和度αが0.05meq/g以下であることを特徴とするポリウレタン系硬化性組成物。
−O−(R−O)−H (1)
(ただし、前記式(1)において、Rは炭素数8〜20の有機基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、nは5〜85の整数である。)
α=β−γ (2)
(前記式(2)において、βはJIS K 1557によって測定される総不飽和度、γはR中に含まれる不飽和結合の数から計算される不飽和度である。)
[2]下記の1)〜4)のいずれかの方法により製造される[1]に記載のポリウレタン系硬化性組成物。
1)ポリエーテルモノオール(B)とポリイソシアネート(D)とを反応させてポリエーテルモノオール誘導体(Q)を得た後、さらにポリエーテルポリオール(A)を反応させてイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(P)を得る方法。
2)ポリエーテルモノオール(B)とポリイソシアネート(D)とを反応させて得られたポリエーテルモノオール誘導体(Q)及び別途ポリエーテルポリオール(A)とポリイソシアネート(C)とを反応させて得られたイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(P)を混合する方法。
3)ポリイソシアネート(C)に、ポリエーテルポリオール(A)とポリエーテルモノオール(B)との混合物を反応させる方法。
4)ポリエーテルポリオール(A)とポリイソシアネート(C)を反応させてイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(P)を得た後、さらにポリエーテルモノオール(B)を反応させる方法。
[3]前記ポリエーテルモノオール(B)において、(R−O)単位の80〜100質量%がオキシプロピレン基である[1]または[2]に記載のポリウレタン系硬化性組成物。
[4]前記ポリエーテルモノオール(B)において、Rが炭素数8〜12のアルキル基である[1]〜[3]のいずれかに記載のポリウレタン系硬化性組成物。
[5]シーリング材である[1]〜[4]のいずれかに記載のポリウレタン系硬化性組成物。
本発明によれば、良好な作業性を有しつつ、耐汚染性と耐久性に優れた硬化物が得られるポリウレタン系硬化性組成物を提供できる。
本発明のポリウレタン系硬化性組成物は、ポリエーテルポリオール(A)とポリイソシアネート(C)との反応生成物であるイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(P)およびポリエーテルモノオール(B)とポリイソシアネート(D)との反応生成物であるポリエーテルモノオール誘導体(Q)を含む。
[ポリエーテルモノオール誘導体(Q)]
本発明におけるポリエーテルモノオール誘導体(Q)は、ポリエーテルモノオール(B)とポリイソシアネート(D)との反応生成物である。ここでポリイソシアネート(D)は後述するポリイソシアネート(C)またはイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(P)と同じものまたはそれらと異なるポリイソシアネートである。
[ポリエーテルモノオール(B)]
本発明におけるポリエーテルモノオール(B)は、下式(1)で表される。
−O−(R−O)−H (1)
前記式(1)におけるRは炭素数8〜20の有機基である。Rの炭素数は8〜12であることが好ましい。有機基には、飽和または不飽和の、直鎖または側鎖を有する脂肪族炭化水素基(例えば2−エチルヘキシル基、カプリル基、ラウリル基、トリデシル基、オレイル基、ステアリル基、セチル基);脂環式炭化水素基(例えばシクロノニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基);芳香族炭化水素基(例えばフェニル基、ナフチル基、スチリル化フェニル基、フェニルエチル基)等が挙げられる。中でも脂肪族炭化水素基が好ましい。
は、側鎖を有する方が、高い親油性を有するため好ましい。また、不飽和のものより酸化耐性が強いことから、飽和であるものが好ましく、側鎖を有するアルキル基が特に好ましい。アルキル基としては、炭素数8〜12のものが好ましい。
本発明のポリウレタン系硬化性組成物は、Rが異なる前記式(1)で表されるポリエーテルモノオール(B)に由来するポリエーテルモノオール誘導体(Q)を複数種含んでいてもよい。
ポリエーテルモノオール(B)を選択することにより、従来のエタノールまたはブタノールを末端に有するモノオール可塑剤と比べて、ブリードおよび移行を大幅に抑制できる。これは、炭素数8〜12の有機基、特に、アルキル基が高い親油性を有するため、イソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマーとの親和性に優れるためと考えられる。特に、ひまし油ポリオール等の親油性の高いポリオールを使用したイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマーとの相溶性を大幅に向上できる。
また、ポリエーテルモノオール(B)に由来するポリエーテルモノオール誘導体(Q)を用いた本発明からなるポリウレタン系硬化性組成物の硬化物は、樹脂表面のべたつきが抑制される。これは、アルキル基の部分がウレタン硬化塗膜の表面に配位するためと考えられる。
は炭素数2〜4のアルキレン基、すなわち、(R−O)は炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。該オキシアルキレン基には、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が挙げられる。
ポリエーテルモノオール(B)全体の(R−O)単位の80〜100質量%は、オキシプロピレン基であることが好ましい。特に、オキシプロピレン基100%のものは、付加が均一であり、分子量分布を狭くできる。ポリエーテルモノオール(B)の親水性を向上させたい場合には、オキシエチレン基を含んでいてもよい。ただし、耐水性が低下しやすいため、オキシエチレン基を大量に含むことは好ましくない。ポリエーテルモノオール(B)の親油性を向上させたい場合は、オキシブチレン基を含ませるか、オキシブチレン基100質量%で構成されていてもよい。
また、ポリエーテルモノオール(B)全体の分子中にある複数の(R−O)は、互いに同一の基で構成しても、または異なった基で構成してもよい。さらに(R−O)組成の異なる複数種の化合物1を組み合わせてもよい。
nはオキシアルキレン基の重合数を表し、5〜85の整数である。nは12〜60がより好ましい。
アルキル基Rを炭素数8〜12とすることにより、オキシアルキレン基の重合数nを小さくできる。これはアルキル基Rの方がオキシアルキレン基(R−O)より親油向上効果が大きいためであると考えられる。したがって、ポリエーテルモノオール(B)は、分子量が過大にならず、低粘度である。ゆえに、ポリエーテルモノオール(B)はイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマーと混ざりやすく、可塑化効果が大きい。よって、添加量が少量で済み、得られる硬化物のブリードおよび移行がさらに起きにくくなる。
前記式(1)で表されるポリエーテルモノオール(B)は水酸基末端であるため、反応性可塑剤として機能する。これにより、本発明のポリウレタン系硬化性組成物の硬化物は、ブリードおよび移行の防止効果が特に大きく、経年による伸びの低下、およびひび割れが起きにくい。これは、末端が活性水素基となるためであると考えられる。すなわち、ポリエーテルモノオール(B)の活性水素基が、ポリウレタン系硬化性組成物中においてイソシアネート基とのウレタン結合を形成しポリウレタン系硬化性組成物中に安定して保持されるためであると考えられる。
ポリエーテルモノオール(B)は、下式(2)で表される副生物不飽和度αが0.05meq/g以下である。
α=β−γ (2)
前記式(2)において、βはポリエーテルモノオール(B)の総不飽和度であり、JIS K 1557によって測定される値である。γは前記式(1)のR中に含まれる不飽和結合の数から計算される不飽和度(以下、理論不飽和度γと称する。)である。すなわち、副生物不飽和度αは副生不純物濃度の指標であり、αが低いほど不純物が少なく、分子量分布が狭い。副生物不飽和度αは0.02meq/g以下であることがより好ましい。
たとえば、不飽和結合を1個有するRにプロピレンオキシドを付加して分子量2,000とした場合、Rの理論不飽和度γは1/2,000×1,000=0.5meq/gとなる。総不飽和度βが仮に0.62meq/gだとすれば、副生物不飽和度αは前記式(2)により、0.12meq/gとなる。
ポリエーテルモノオール(B)は、ROH(Rは前記式(1)のRと同じである。)を開始剤として、触媒の存在下、前記(R−O)に対応するアルキレンオキシドを重合することにより得られる。
触媒として、ジエチル亜鉛、塩化鉄、金属ポルフィリン、または複合金属シアン化物錯体を使用すれば、前記式(2)の副生物不飽和度αを0.05meq/g以下にできる。特に、複合金属シアン化物錯体を使用すれば、副生物不飽和度αを0.02meq/g以下とできるため好ましい。複合金属シアン化物錯体は、具体的には、シアン化コバルト亜鉛錯体が挙げられる。一般的な水酸化カリウム(KOH)触媒等のアルカリ触媒では、低分子量の副生モノオールが多量に生成し、副生物不飽和度αが高くなってしまう。副生モノオールが大量に生成すると、得られる硬化物のブリードの要因となるため好ましくない。
[イソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(P)]
本発明におけるイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(P)は、ポリエーテルポリオール(A)と種々のポリイソシアネート(C)を、ポリイソシアネート(C)過剰の条件で反応させることによって得られるものである。
ポリエーテルポリオール(A)としては、触媒の存在下、開始剤にアルキレンオキシドを付加させて得られるポリエーテルポリオール(ポリオキシアルキレンポリオール)が好ましく用いられる。
開始剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。中でもプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンが好ましい。
アルキレンオキシドとしては、開環重合可能なアルキレンオキシドであればよく、特に限定されない。具体例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、スチレンオキシド、ブチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、グリシジルエ−テル、およびグリシジルアクリレ−ト等のグリシジル化合物、およびオキセタンが挙げられる。
本発明においては、一種類のアルキレンオキシドのみを用いてもよく、二種類以上のアルキレンオキシドを併用することもできる。
触媒としては、水酸化カリウム、水素化セシウム、セシウムメトキシド、セシウムエトキシド等のセシウムアルコキシド、水酸化セシウム等のセシウム系化合物、ジエチル亜鉛、塩化鉄、金属ポルフィリン、ホスファゼニウム化合物、複合金属シアン化物錯体が挙げられる。中でも亜鉛エキサシアノコバルテート等の複合金属シアン化物錯体は、低不飽和度のポリエーテルポリオールが得られる点で好ましい。低不飽和度のポリエーテルポリオール(A)を用いると、イソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(P)の粘度を下げることができ、かつ、これを用いたポリウレタン系硬化性組成物を硬化させて得られる硬化体の伸びが向上するため好ましい。
ポリイソシアネート(C)としては、イソシアネート基を2以上有する芳香族系、脂環族系、脂肪族系のポリイソシアネート、それら2種類以上の混合物、およびそれらを変成して得られる変成ポリイソシアネートがある。具体的には、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(クルードMDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等のポリイソシアネート、および、それらのプレポリマー変性体、ヌレート変性体、ウレア変性体、カルボジイミド変性体が挙げられる。
ポリイソシアネート(C)の使用量は、未反応物が残る量であってもよい。また、その未反応物の量が多すぎる場合は、反応終了後に未反応ポリイソシアネート(C)を除去することもできる。得られるポリウレタン系硬化性組成物のイソシアネート基含有量は、イソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(P)とポリエーテルモノオール誘導体(Q)との合計に対して0.1〜5質量%が好ましい。
[ポリウレタン系硬化性組成物]
本発明におけるポリウレタン系硬化性組成物において、イソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(P)とポリエーテルモノオール誘導体(Q)の組み合わせにおいてポリエーテルポリオール(A)の100質量部に対するポリエーテルモノオール(B)の割合は1〜200質量部である。
この際、イソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(P)を構成するポリエーテルポリオール(A)とポリエーテルモノオール(B)の水酸基数の当量比は、約50〜99/1〜50であり、ポリイソシアネート(C)および(D)における合計のイソシアネート基数は、全水酸基数の約1.5〜4.0倍となることが好ましい。なお、以下の記述において、イソシアネート基と水酸基とを反応させる際の割合(モル比)を、NCO/OH比と略する。
本発明におけるポリウレタン系硬化性組成物の製造方法としては、以下の4手法が考えられる。
1)ポリエーテルモノオール(B)とポリイソシアネート(D)とを反応させてポリエーテルモノオール誘導体(Q)を得た後、さらにポリエーテルポリオール(A)を反応させてイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(P)を得る方法。特にポリエーテルモノオール(B)とポリイソシアネート(D)との反応は、ポリイソシアネート(D)の大過剰(NCO/OH比=3〜8)で反応させることが好ましい。
2)ポリエーテルモノオール(B)とポリイソシアネート(D)とを反応させて得られたポリエーテルモノオール誘導体(Q)及び別途ポリエーテルポリオール(A)とポリイソシアネート(C)とを反応させて得られたイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(P)を混合する方法。ここで、ポリエーテルモノオール誘導体(Q)を得る際にはポリイソシアネート(D)を過剰(NCO/OH比=2〜3)とすることが好ましい。またイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(P)を得る際にはポリイソシアネート(C)を過剰(NCO/OH比=1.5〜3)とすることが好ましい。
3)ポリイソシアネート(C)に、ポリエーテルポリオール(A)とポリエーテルモノオール(B)との混合物を反応させる方法。
4)ポリエーテルポリオール(A)とポリイソシアネート(C)を反応させてイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(P)を得た後、さらにポリエーテルモノオール(B)を反応させる方法。ここでイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(P)を得る際にはポリイソシアネート(C)を過剰(NCO/OH比=2〜4)とすることが好ましい。
いずれの方法でも目的のポリウレタン系硬化性組成物を得ることができるが、ポリエーテルモノオール(B)がポリウレタンプレポリマーの末端NCO基を封鎖しにくい理由から、手法としては番号順に好ましい。
本発明のポリウレタン系硬化性組成物には、さらに必要であれば、他の可塑剤、補強剤、充填剤、顔料、タレ止め剤等を含ませてもよい。
本発明のポリウレタン系硬化性組成物は、イソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(P)を硬化成分とする水分(湿気)硬化性の一液型とすることも、硬化剤としてポリエーテルポリオール等を用いる二液型とすることもできる。
一液型とした場合の硬化反応には、硬化促進触媒を適宜使用できる。硬化促進触媒としては、アルキルチタン酸塩、有機珪素チタン酸塩、2−エチルヘキサン酸錫、ジブチル錫ジラウレート等のカルボン酸の金属塩、ジブチルアミン−2−エチルヘキサノエート等のアミン塩、および他の酸性触媒、塩基性触媒を使用できる。また、安定剤または劣化防止剤等を併用すれば、より優れた耐候性および耐熱性を付与できる。
二液型とした場合の硬化剤には、ポリオール、短鎖ジオール、アミン系が挙げられる。中でも反応性が高いアミン系が好ましく、特に芳香族ジアミンが好ましい。
本発明によれば、作業性が良好であり、耐汚染性と耐久性に優れた硬化物が得られるポリウレタン系硬化性組成物を提供できる。
次に、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<<イソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマーの合成>>
実施例等で使用したポリオールとイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマーは、以下のように合成した。
<ポリオール(a)>
グリセリンのプロピレンオキシド付加物(分子量1,000)に、複合金属シアン化物錯体(亜鉛ヘキサシアノコバルテート、以下、DMCという。)を触媒として添加し、プロピレンオキシドを付加させることにより、分子量8,014、総不飽和度0.006meq/gのポリオキシプロピレントリオールを得た。これをポリオール(a)と称する。
<プレポリマー(p)>
前記で得たポリオール(a)877gと、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート123gを混合し(NCO/OH比=3.0)、反応器中80℃で9時間反応を行い、イソシアネート含有率2.71質量%、粘度21,500mPa・s(25℃)のイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマーを得た。これをプレポリマー(p)と称する。
<<ポリエーテルモノオール>>
実施例等で使用した化合物は、以下のとおりである。
(モノオールB1)
2−エチルヘキシルアルコールを開始剤とし、DMCを触媒としてプロピレンオキシドを付加させた分子量2,002、副生物不飽和度α=0.005meq/g(β=0.005meq/g、γ=0meq/g)のポリオキシプロピレンモノオールを得た。これをモノオールB1と称する。
(モノオールB2)
2−エチルヘキシルアルコールを開始剤とし、DMCを触媒としてプロピレンオキシドを付加させた分子量3,419、副生物不飽和度αが0.006meq/g(β=0.006meq/g、γ=0meq/g)のポリオキシプロピレンモノオールを得た。これをモノオールB2と称する。
(モノオールB3)
ラウリルアルコールを開始剤とし、DMCを触媒としてプロピレンオキシドを付加させた分子量2,002、副生物不飽和度αが0.005meq/g(β=0.005meq/g、γ=0meq/g)のポリオキシプロピレンモノオールを得た。これをモノオールB3と称する。
(モノオールB4)
ラウリルアルコールを開始剤とし、DMCを触媒としてプロピレンオキシドを付加させた分子量3,279、副生物不飽和度αが0.006meq/g(β=0.006meq/g、γ=0meq/g)のポリオキシプロピレンモノオールを得た。これをモノオールB4と称する。
(モノオールB5)
ステアリルアルコールを開始剤とし、DMCを触媒としてプロピレンオキシドを付加させた分子量2,011、副生物不飽和度αが0.005meq/g(β=0.006meq/g、γ=0meq/g)のポリオキシプロピレンモノオールを得た。これをモノオールB5と称する。
(モノオールB6)
2−エチルヘキシルアルコールを開始剤とし、水酸化セシウムを触媒としてプロピレンオキシドを付加させた分子量1,981、副生物不飽和度αが0.04meq/g(β=0.04meq/g、γ=0meq/g)のポリオキシプロピレンモノオールを得た。これをモノオールB6と称する。
(モノオールBX1)
n−ブタノールを開始剤とし、DMCを触媒としてプロピレンオキシドを付加させた分子量2,011、副生物不飽和度αが0.005meq/g(β=0.005meq/g、γ=0meq/g)のポリオキシプロピレンモノオールを得た。これをモノオールBX1と称する。
(モノオールBX2)
n−ブタノールを開始剤とし、DMCを触媒としてプロピレンオキシドを付加させた分子量3,259、副生物不飽和度αが0.006meq/g(β=0.006meq/g、γ=0meq/g)のポリオキシプロピレンモノオールを得た。これをモノオールBX2と称する。
(可塑剤1)
ビス(2−エチルヘキシル)フタレート(大八化学工業社製)を可塑剤1と称する。
(モノオールBX3)
2−エチルヘキシルアルコールを開始剤とし、水酸化カリウムを触媒としてプロピレンオキシドを付加させた分子量2,002、副生物不飽和度αが0.10meq/g(β=0.10meq/g、γ=0meq/g)のポリオキシプロピレンモノオールを得た。これをモノオールBX3と称する。
<<測定方法>>
前記可塑剤における、ポリエーテルモノオールの副生物不飽和度αと分子量は、以下のようにして求めた。
(副生物不飽和度α)
総不飽和度βの測定は、JIS K 1557に準じておこなった。すなわち、各モノオールの不飽和結合に酢酸第二水銀を作用させて、遊離する酢酸を水酸化カリウムで滴定した。また、開始剤の理論不飽和度γは計算により求められた。副生物不飽和度αは、α=β―γの式により求められた。
(分子量)
JIS K 1557に準じて水酸基価(OHV)を測定し、下式にて換算して求めた。
56,100×官能基数/OHV=分子量
(開始剤がモノオールの場合、官能基数は1である。)
<<ポリウレタン系硬化性組成物の合成>>
前記で得られたポリオール(a)あるいはプレポリマー(p)と、モノオールB1〜B6、BX1〜BX2、可塑剤1を用いて、下記に示す一液型ポリウレタン系の硬化性組成物を合成した。
(実施例1)
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート540gとモノオールB1の3,460gを混合し(NCO/OH比=2.5)、反応器中80℃で10時間反応を行い、予めイソシアネート基末端化合物を得た。このイソシアネート基末端化合物200gとプレポリマー(p)350g、可塑剤1の50g、重質炭酸カルシウム(商品名:ホワイトンSB、白石カルシウム社製)150g、表面処理微粒炭酸カルシウム(商品名:白艶華CCR、白石カルシウム社製)250gを、ニーダーにて均一に混合(40℃×2時間)して硬化性組成物を得た。
(実施例2)
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート540gとモノオールB1の3,460gを混合し(NCO/OH比=2.5)、反応器中80℃で10時間反応を行い、予めイソシアネート基末端化合物を得た。このイソシアネート基末端化合物150gとプレポリマー(p)400g、可塑剤1の50g、重質炭酸カルシウム(商品名:ホワイトンSB、白石カルシウム社製)150g、表面処理微粒炭酸カルシウム(商品名:白艶華CCR、白石カルシウム社製)250gを、ニーダーにて均一に混合(40℃×2時間)して硬化性組成物を得た。
(実施例3)
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート335gとモノオールB2の3,665gを混合し(NCO/OH比=2.5)、反応器中80℃で10時間反応を行い、予めイソシアネート基末端化合物を得た。このイソシアネート基末端化合物200gとプレポリマー(p)350g、可塑剤1の50g、重質炭酸カルシウム(商品名:ホワイトンSB、白石カルシウム社製)150g、表面処理微粒炭酸カルシウム(商品名:白艶華CCR、白石カルシウム社製)250gを、ニーダーにて均一に混合(40℃×2時間)して硬化性組成物を得た。
(実施例4)
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート540gとモノオールB3の3,460gを混合し(NCO/OH比=2.5)、反応器中80℃で10時間反応を行い、予めイソシアネート基末端化合物を得た。このイソシアネート基末端化合物200gとプレポリマー(p)350g、可塑剤1の50g、重質炭酸カルシウム(商品名:ホワイトンSB、白石カルシウム社製)150g、表面処理微粒炭酸カルシウム(商品名:白艶華CCR、白石カルシウム社製)250gを、ニーダーにて均一に混合(40℃×2時間)して硬化性組成物を得た。
(実施例5)
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート348gとモノオールB4の3,652gを混合し(NCO/OH比=2.5)、反応器中80℃で10時間反応を行い、予めイソシアネート基末端化合物を得た。このイソシアネート基末端化合物200gとプレポリマー(p)350g、可塑剤1の50g、重質炭酸カルシウム(商品名:ホワイトンSB、白石カルシウム社製)150g、表面処理微粒炭酸カルシウム(商品名:白艶華CCR、白石カルシウム社製)250gを、ニーダーにて均一に混合(40℃×2時間)して硬化性組成物を得た。
(実施例6)
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート538gとモノオールB5の3,462gを混合し(NCO/OH比=2.5)、反応器中80℃で10時間反応を行い、予めイソシアネート基末端化合物を得た。このイソシアネート基末端化合物200gとプレポリマー(p)350g、可塑剤1の50g、重質炭酸カルシウム(商品名:ホワイトンSB、白石カルシウム社製)150g、表面処理微粒炭酸カルシウム(商品名:白艶華CCR、白石カルシウム社製)250gを、ニーダーにて均一に混合(40℃×2時間)して硬化性組成物を得た。
(実施例7)
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート545gとモノオールB6の3,455gを混合し(NCO/OH比=2.5)、反応器中80℃で10時間反応を行い、予めイソシアネート基末端化合物を得た。このイソシアネート基末端化合物200gとプレポリマー(p)350g、可塑剤1の50g、重質炭酸カルシウム(商品名:ホワイトンSB、白石カルシウム社製)150g、表面処理微粒炭酸カルシウム(商品名:白艶華CCR、白石カルシウム社製)250gを、ニーダーにて均一に混合(40℃×2時間)して硬化性組成物を得た。
(実施例8)
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート1,401gとポリオール(a)6,139g、モノオールB1の3,460gを混合し(NCO/OH比=2.78)、反応器中80℃で10時間反応を行い、硬化性イソシアネート基末端プレポリマー混合液を得た。この硬化性イソシアネート基末端プレポリマー混合液550gと、可塑剤1の50g、重質炭酸カルシウム(商品名:ホワイトンSB、白石カルシウム社製)150g、表面処理微粒炭酸カルシウム(商品名:白艶華CCR、白石カルシウム社製)250gを、ニーダーにて均一に混合(40℃×1時間)して硬化性組成物を得た。
(実施例9)
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート1,401gとモノオールB1の3,460gを混合し(NCO/OH比=6.49)、反応器中80℃で10時間反応を行い、予めイソシアネート基末端化合物を得た。次いでポリオール(a)6,139gを投入して80℃で8時間反応を行い、硬化性イソシアネート基末端プレポリマー混合液とした。次いでこのイソシアネート基末端プレポリマー混合液550gと、可塑剤1の50g、重質炭酸カルシウム(商品名:ホワイトンSB、白石カルシウム社製)150g、表面処理微粒炭酸カルシウム(商品名:白艶華CCR、白石カルシウム社製)250gを、ニーダーにて均一に混合(40℃×1時間)して硬化性組成物を得た。
(実施例10)
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート1,401gとポリオール(a)6,139gを混合し(NCO/OH比=4.88)、反応器中80℃で8時間反応を行い、次いでモノオールB1の3,460gを投入して80℃で8時間反応を行い、硬化性イソシアネート基末端プレポリマー混合液を得た。このイソシアネート基末端プレポリマー混合液550gと、可塑剤1の50g、重質炭酸カルシウム(商品名:ホワイトンSB、白石カルシウム社製)150g、表面処理微粒炭酸カルシウム(商品名:白艶華CCR、白石カルシウム社製)250gを、ニーダーにて均一に混合(40℃×1時間)して硬化性組成物を得た。
(比較例1)
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート538gとモノオールBX1の3,462gを混合し(NCO/OH比=2.5)、反応器中80℃で10時間反応を行い、予めイソシアネート基末端化合物を得た。このイソシアネート基末端化合物200gとプレポリマー(p)350g、可塑剤1の50g、重質炭酸カルシウム(商品名:ホワイトンSB、白石カルシウム社製)150g、表面処理微粒炭酸カルシウム(商品名:白艶華CCR、白石カルシウム社製)250gを、ニーダーにて均一に混合(40℃×2時間)して硬化性組成物を得た。
(比較例2)
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート350gとモノオールBX2の3,650gを混合し(NCO/OH比=2.5)、反応器中80℃で10時間反応を行い、予めイソシアネート基末端化合物を得た。このイソシアネート基末端化合物200gとプレポリマー(p)350g、可塑剤1の50g、重質炭酸カルシウム(商品名:ホワイトンSB、白石カルシウム社製)150g、表面処理微粒炭酸カルシウム(商品名:白艶華CCR、白石カルシウム社製)250gを、ニーダーにて均一に混合(40℃×2時間)して硬化性組成物を得た。
(比較例3)
プレポリマー(p)350g、可塑剤1の250g、重質炭酸カルシウム(商品名:ホワイトンSB、白石カルシウム社製)150g、表面処理微粒炭酸カルシウム(商品名:白艶華CCR、白石カルシウム社製)250gを、ニーダーにて均一に混合(40℃×2時間)して硬化性組成物を得た。
(比較例4)
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート540gとモノオールBX3の3,460gを混合し(NCO/OH比=2.5)、反応器中80℃で10時間反応を行い、予めイソシアネート基末端化合物を得た。このイソシアネート基末端化合物200gとプレポリマー(p)350g、可塑剤1の50g、重質炭酸カルシウム(商品名:ホワイトンSB、白石カルシウム社製)150g、表面処理微粒炭酸カルシウム(商品名:白艶華CCR、白石カルシウム社製)250gを、ニーダーにて均一に混合(40℃×2時間)して硬化性組成物を得た。
<<評価>>
各実施例と各比較例で使用したポリエーテルモノオール、および各実施例と各比較例で得られた硬化性組成物について、下記評価をおこなった。
(可塑剤粘度)
各可塑剤について、E型粘度計(型番:RE−80U、東機産業社製)を用い、1号ローターにて25℃での20rpmにおける粘度(mPa・s)の測定をおこなった。結果を表1に示す。
(作業性)
実施例と比較例で得られた各硬化性組成物について、BH型粘度計(型番:B8U、東機産業社製)を用い、7号ローターにて25℃での1rpm、10rpmにおける粘度(mPa・s)の測定をおこなった。さらに1rpmでの測定値/10rpmでの測定値の比を計算してチクソトロピー性(チクソ性と略する。)を求めた。結果を表1に示す。
(硬化時間)
実施例と比較例で得られた各硬化性組成物について、JIS A 1439のタックフリー試験に準じて、試験体を作成し、硬化時間の測定をおこなった。すなわち、23℃、相対湿度50%の環境下で、ガラス板(厚さ5mm、大きさ300×300mm)の上に泡が入らないように各硬化性組成物を塗布し、塗布した硬化性組成物の厚さが約3mmになるようにヘラで平らにならした試験体を作成した。これを23℃、相対湿度50%の環境下に静置した。作成した試験体の表面3か所を、エタノールで清浄にした指先で軽く接触し、試験体を作成した時点を測定開始時点に定め、その時点から120分経過後を1回目の接触として、以後30分間隔で、試験体が指先に付着しなくなるまでに要した時間の測定をおこなった。結果を表1に示す。
(耐ブリード性)
実施例1〜7と比較例1〜4で得られた硬化性組成物から得られた試験体に、試験塗膜に浸透しやすいミネラルターペン溶剤型のフッ素樹脂系保護仕上げ材(旭硝子ポリウレタン建材社製:サラセーヌTフッ素弱溶剤)を上塗りして、試験塗膜のブリード性と相関する保護仕上げ材の塗布表面のタック性と接着性を評価した。
タック性における試験体は、前記(硬化時間)の評価で行われたJIS A 1439のタックフリー試験の試験体作成方法と同様の方法で作成した。作成した試験体を23℃、相対湿度50%の環境下に24時間静置した後、サラセーヌTフッ素弱溶剤を塗布し(塗布量0.2kg/m)、さらに23℃、相対湿度50%の環境下で24時間静置した後、試験体の保護仕上げ材のタック性を以下の基準で評価した。
テスター産業社製の恒温槽付きプローブタックテスターを用い、JIS Z0237、ASTM D2979に準拠して測定した。測定条件は温度25℃、接触圧1000g/cm、接触時間10秒、剥離速度10mm/秒であった。なお、評価値は、5回の測定(N=5)の平均値を用いた。
接着性における試験体は、前記(硬化時間)で行われたJIS A 1439のタックフリー試験の試験体作成方法と同様の方法で作成した。作成した試験体を23℃、相対湿度50%の環境下に24時間静置した後、サラセーヌTフッ素弱溶剤を塗布し(塗布量0.2kg/m)、さらに23℃、相対湿度50%の環境下で24時間静置した後、試験体の保護仕上げ材の接着性を、碁盤目試験にて評価した。
碁盤目試験は、JIS K 5400(1990)8.5.2に準じた。すなわち、保護仕上げ材の表面に1mm間隔で11本の切り込みを縦方向と横方向にそれぞれ入れ、1mm角のマス目に100個からなる基板目を作成し、その上からセロハンテープを密着させてから、23℃、相対湿度50%の環境下で、試験体の平面方向に対して垂直方向に0.3〜1秒で一気に剥がしたときに、保護仕上げ材が剥離せずに残ったマス目の数で表した。結果を表1に示す。
(初期物性)
各実施例と各比較例で得られた各硬化性組成物を、2軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)上にアプリケーターにて膜厚500μmになるように塗布し、23℃、相対湿度50%の環境下に1週間置き、空気中の湿気により水分硬化させた。得られたフィルムをダンベルカッターで所定形状に切断し、水分硬化した硬化性組成物をOPPフィルムから剥がして、これを試験片とした。得られた試験片に対して、以下(1)〜(4)の項目について物性測定をおこなった。
(1)伸び100%のときの引張弾性率(100%Mと称する。単位:MPa)
(2)伸び300%のときの引張弾性率(300%Mと称する。単位:MPa)
(3)引張破断強度(Tsと称する。単位:MPa)
(4)破断伸び率(Eと称する。単位:%)
なお、前記(1)〜(4)の項目の測定条件は、JIS−K7311に準拠した。測定機器として引張試験機(型番:UTM−111、TOYO BALDWIN社製)を用い、試験片をダンベル3号にて型抜きし、引張速度200mm/分の条件でおこなった。結果を表2に示す。
(耐候性)
各実施例と各比較例で得られた硬化性組成物を、2軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)上にアプリケーターにて膜厚500μmになるように塗布し、23℃、相対湿度50%の環境下に1週間置き、空気中の湿気により水分硬化させた。得られたフィルムをダンベルカッターで所定形状に切断し、水分硬化した硬化性組成物をOPPフィルムから剥がして、これを試験片とした。得られた試験片に対して温度63度、相対湿度50%の環境下、255W/m(300〜700nm)の紫外線(促進耐候性試験:WOM、スガ試験機社製)を1,000時間照射の後、前記(1)〜(4)の項目について物性測定をおこなった。結果を表2に示す。
Figure 2008208191
Figure 2008208191
表1に示されるように、各実施例で使用した硬化性組成物は、各比較例で使用した硬化性組成物に比べて、耐ブリード性におけるタック性が低かった。
また、表1に示されるように、各実施例で使用した硬化性組成物は、各比較例で使用した硬化性組成物に比べて、耐ブリード性における接着性が低かった。
耐ブリード性の指標であるタック性と接着性が低いことから、各実施例の硬化性組成物は、組成物中の可塑剤が移動して表面に浮き出るブリードが起きにくく、耐汚染性、耐久性に優れていることが確認された。
また、表1に示されるように、モノオールB1〜B6は、モノオールBX1〜3、可塑剤1と同等の粘性を示し、各実施例で使用した硬化性組成物も、各比較例で使用した硬化性組成物と同等の粘性を示した。これらのことから、実施例のモノオールB1〜B6は、粘性を損なうことなく、良好な作業性を有していることが確認された。
また、表2に示されるように、各実施例で使用した硬化性組成物は、各比較例で使用した硬化性組成物と同等の引張弾性率、引張破断強度、破断伸び率を得ることができ、良好な耐久性を有していることが確認された。
したがって、本発明のポリウレタン系硬化性組成物から得られる硬化物は、良好な作業性を有しつつ、耐ブリード性、すなわち耐汚染性と耐久性に優れていることが確認された。
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、良好な作業性を有しつつ、耐汚染性と耐久性に優れた硬化物が得られるポリウレタン系硬化性組成物を提供できる。

Claims (5)

  1. ポリエーテルポリオール(A)とポリイソシアネート(C)との反応生成物であるイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(P)およびポリエーテルモノオール(B)とポリイソシアネート(D)との反応生成物であるポリエーテルモノオール誘導体(Q)を含むポリウレタン系硬化性組成物において、
    ポリイソシアネート(D)はポリイソシアネート(C)またはイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(P)と同じものまたはそれらと異なるポリイソシアネートであり、
    イソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(P)とポリエーテルモノオール誘導体(Q)の組み合わせにおいてポリエーテルポリオール(A)の100質量部に対するポリエーテルモノオール(B)の割合は1〜200質量部であり、
    ポリエーテルモノオール(B)が下式(1)で表され、かつ、下式(2)で表される副生物不飽和度αが0.05meq/g以下であることを特徴とするポリウレタン系硬化性組成物。
    −O−(R−O)−H (1)
    (ただし、式(1)において、Rは炭素数8〜20の有機基であり:Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり:nは5〜85の整数である。)
    α=β−γ (2)
    (ただし、式(2)において、βはJIS K 1557によって測定される総不飽和度であり、γはR中に含まれる不飽和結合の数から計算される不飽和度である。)
  2. 下記の1)〜4)のいずれかの方法により製造される請求項1に記載のポリウレタン系硬化性組成物。
    1)ポリエーテルモノオール(B)とポリイソシアネート(D)とを反応させてポリエーテルモノオール誘導体(Q)を得た後、さらにポリエーテルポリオール(A)を反応させてイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(P)を得る方法。
    2)ポリエーテルモノオール(B)とポリイソシアネート(D)とを反応させて得られたポリエーテルモノオール誘導体(Q)及び別途ポリエーテルポリオール(A)とポリイソシアネート(C)とを反応させて得られたイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(P)を混合する方法。
    3)ポリイソシアネート(C)に、ポリエーテルポリオール(A)とポリエーテルモノオール(B)との混合物を反応させる方法。
    4)ポリエーテルポリオール(A)とポリイソシアネート(C)を反応させてイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(P)を得た後、さらにポリエーテルモノオール(B)を反応させる方法。
  3. 前記ポリエーテルモノオール(B)において、(R−O)単位の80〜100質量%がオキシプロピレン基である請求項1または2に記載のポリウレタン系硬化性組成物。
  4. 前記ポリエーテルモノオール(B)において、Rが炭素数8〜12のアルキル基である請求項1〜3のいずれかに記載のポリウレタン系硬化性組成物。
  5. シーリング材である請求項1〜4のいずれかに記載のポリウレタン系硬化性組成物。
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