JP2008205427A - 気相反応成長装置および気相反応成長方法 - Google Patents

気相反応成長装置および気相反応成長方法 Download PDF

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Abstract

【課題】膜質のばらつきを減少して優れた膜を形成することが可能な気相反応成長装置および気相反応成長方法を提供する。
【解決手段】処理装置1は、基板保持部材としてのサセプタ5と原料供給部材としてのガス供給部材12と加熱部材としてのUVランプ11と波長規制部材としてのフィルタ13とを備える。サセプタ5は半導体基板7を保持する。ガス供給部材12は、サセプタ5に保持された半導体基板7に膜を成長させるための原料ガスを供給する。UVランプ11は、サセプタ5に保持される半導体基板7にエネルギー線(紫外線)を照射することで表面を加熱する。波長規制部材(フィルタ13)は、半導体基板7に照射されるエネルギー線の波長を規制する。
【選択図】図1

Description

この発明は、気相反応成長装置および気相反応成長方法に関し、より特定的には、基板の表面に気相反応成長法を用いて膜を形成する気相反応成長装置および気相反応成長方法に関する。
従来、半導体基板の表面にCVD法(Chemical Vapor Deposition法)などの気相反応成長法を用いて膜を形成する気相反応成長装置(以下、成膜装置ともいう)および気相反応成長方法(以下、成膜方法ともいう)が知られている(たとえば、特許文献1〜4参照)。たとえば、特開平3−287770号公報(特許文献1)では、半導体基板を搭載したサセプタにヒータを埋め込み、当該ヒータからの熱によって半導体基板全体を裏面側(サセプタと接触した裏面側)から加熱した状態で成膜を行なうことが開示されている。また、特開平8−148480号公報(特許文献2)では、成膜時に、半導体基板の上面側および下面側の両方にヒータを配置して、半導体基板全体を両面から加熱している。また、特開平8−264472号公報(特許文献3)では、半導体基板の表面に対向する位置に加熱ランプを配置して、成膜時に当該加熱ランプからの光の照射により半導体基板全体を加熱している。また、特開2001−156008号公報(特許文献4)では、複数の半導体基板を囲むように加熱ランプを配置し、成膜時に当該加熱ランプからの光の照射により半導体基板全体を加熱している。
特開平3−287770号公報 特開平8−148480号公報 特開平8−264472号公報 特開2001−156008号公報
上述した従来の成膜装置および成膜方法では、ヒータや加熱ランプを用いて赤外線領域を含む広い範囲の輻射エネルギーを利用した加熱方法を採用している。このため、以下の理由により、半導体基板の特性のばらつきにより加熱のばらつきが生じた結果、半導体基板上に成長させる膜の膜質にばらつきが生じ、膜質の性能が悪いという問題があった。
一般的に、処理対象物である半導体基板はその表面状態、厚み、キャリア濃度および不純物準位などが均一ではない。そのため、加熱する半導体基板の特性によって赤外線領域のエネルギーの吸収率が変わってくる。したがって、半導体基板毎においてまたは半導体基板の面内において、加熱される温度にばらつきが生じてしまう。その結果、半導体基板上に成長(形成)する膜の膜質にばらつきが生じるという問題があった。
また、加熱される温度にばらつきが生じると、ある部分においては適切な温度に加熱されていても他の部分では適切な温度で加熱されているとは限らない。また、半導体基板上に成長する膜の膜質を向上するために、半導体基板または半導体基板上に形成される膜について選択的に加熱することが望まれる場合もあるが、上記特許文献1〜3では半導体基板を全体的に加熱しているので、半導体基板の特性のばらつきにより全体的に加熱のばらつきが生じる。その結果、半導体基板上に成長させる膜の性能が悪いという問題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、半導体基板の特性のばらつきによる加熱のばらつきを抑制して、膜質のばらつきを減少して優れた膜を形成することが可能な気相反応成長装置および気相反応成長方法を提供することである。
この発明に従った気相反応成長装置は、基板保持部材と、原料供給部材と、加熱部材と、波長規制部材とを備える。基板保持部材は、処理対象物である半導体基板を保持する。原料供給部材は、基板保持部材に保持された半導体基板に膜を成長させるための原料ガスを供給する。加熱部材は、基板保持部材に保持される半導体基板にエネルギー線を照射することで半導体基板を加熱する。波長規制部材は、半導体基板に照射されるエネルギー線の波長を規制する。
この場合、波長規制部材によってエネルギー線の波長を規制することによって、半導体基板または半導体基板上に形成される膜におけるエネルギー線の吸収状態を任意に調整することができる。たとえば、半導体基板の任意の部分において吸収係数が大きくなるようにエネルギー線の波長を波長規制部材によって調整することで、この部分に吸収されるエネルギー線の量を多くすることができる。すなわち、半導体基板の特性のばらつきによる加熱のばらつきを抑制して、選択的に半導体基板にエネルギー線を照射することができる。また、半導体基板の特性のばらつきによる加熱のばらつきを抑制して、半導体基板全体を均一に加熱することもできる。したがって、吸収される波長領域について部分的にばらつきを有する半導体基板をこの吸収のばらつきによる加熱状態のばらつきを抑制して適切な状態で加熱することにより、形成される膜の膜質を改善することが可能になり、かつ膜質のばらつきを減少することができる。
なお、ここで気相反応成長装置とは、膜を成長させるための成膜材料(原料)を気体の状態で供給し、気体状態の当該原料から任意の方法で所定の膜を成長させる装置を意味し、たとえばCVD装置などの成膜装置が挙げられる。
この発明に従った気相反応成長方法は、処理対象物である半導体基板を準備する工程と、成膜工程とを備える。成膜工程では、半導体基板に波長が規制されたエネルギー線を照射しながら、半導体基板上に膜を成長させるための原料ガスを供給する。
この場合、エネルギー線の波長を規制することで半導体基板または半導体基板上に形成される膜におけるエネルギー線の吸収状態を任意に調整することができるので、エネルギー線の照射により半導体基板を選択的に加熱することができる。また、半導体基板の特性のばらつきによる加熱のばらつきを抑制して、半導体基板全体を均一に加熱することもできる。したがって、半導体基板の特性のばらつきによる加熱のばらつきを抑制して、吸収される波長領域について部分的にばらつきを有する半導体基板を加熱状態のばらつきを抑制して適切な状態で加熱することにより、形成される膜の膜質を改善することが可能になり、かつ膜質のばらつきを減少することができる。
このように、本発明によれば、波長規制部材によってエネルギー線の波長を規制することによって、半導体基板におけるエネルギー線の吸収状態を任意に調整することができる。したがって、吸収される波長領域について部分的にばらつきを有する半導体基板を加熱状態のばらつきを抑制して適切な状態で加熱することにより、形成される膜の膜質を改善することが可能になり、かつ膜質のばらつきを減少することができる。
次に図面を用いて、本発明の実施の形態および実施例について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明に従った気相反応成長装置の一例である処理装置の実施の形態1を示す断面模式図である。図1を参照して、本発明に従った処理装置の実施の形態1を説明する。
図1を参照して、処理装置1は、石英などの透明部材からなる反応管2と、当該反応管2の内部に保持され、処理対象物である半導体基板7を保持するためのサセプタ5と、半導体基板7の表面に形成される膜の原料ガスを反応管2の内部に供給するためのガス供給部材12と、サセプタ5と対向する領域であって反応管2の外部(上部)に配置されたUVランプ11と、当該UVランプ11と反応管2との間に配置されたフィルタ13と、サセプタ5の裏面側に配置されたヒータ9とを備える。フィルタ13はUVランプ11から照射されるエネルギー線としての紫外線の波長を規制する(具体的には、フィルタ13に入射する紫外線のうち、特定の波長成分を吸収する一方、他の波長成分を透過させる)機能を有する。フィルタ13としては、たとえば、光学積層薄膜による長波長カットフィルタなどを用いることができる。当該長波長カットフィルタの構造例としては、たとえばNsub/(HL)mH/N0といった構造を用いることができる。なお、Nsubはフィルタの基板を意味する。また、Hは高屈折率薄膜を意味する。また、Lは低屈折率薄膜(上記高屈折率薄膜より屈折率の低い薄膜)を意味する。また、N0は外気雰囲気(たとえば真空、H2(水素ガス雰囲気)、N2(窒素ガス雰囲気)など)を意味する。また、mは積層した膜数(積層数)を意味する。つまり、上述したNsub/(HL)mH/N0で示される長波長カットフィルタの構成は、基板上に高屈折率薄膜と低屈折率薄膜とが交互にそれぞれm層づつ積層し、当該積層構造上にさらに高屈折率薄膜が1層積層され、当該高屈折率薄膜上は外気雰囲気となっている構造となる。また、フィルタ13において規制する波長(この例では反射する波長)は、たとえば積層膜数を適切に設定し、高屈折率薄膜(H)と低屈折率薄膜(L)の膜厚を屈折率に応じて適切に配分・設定する、といった方法で任意に変更できる。
また、フィルタ13により波長が規制された紫外線のピーク波長(最も強度の高い波長成分の波長)は、形成される膜や半導体基板の材料に応じて任意に決定することができる。たとえば、半導体基板7としてGaN基板を用い、当該半導体基板上にAlGaN膜(AlGa(1−x)N(0<x≦1)膜)を形成する場合、フィルタ13として、高屈折率薄膜(H)としてHfO2、MgOなど、低屈折率薄膜(L)としてSiO2、Y23などを用い、積層膜数を適切に設定し、積層膜厚を屈折率に応じて適切に配分・設定することにより、フィルタ13を透過して半導体基板7に照射される紫外線の波長の大部分を420nm以下にすることができる。また、この場合、紫外線のピーク波長を310nm以上370nm以下といった波長範囲に入る値とすることもできる。また、この場合、形成されるAlGaN膜に対する当該紫外線の吸収係数は500cm−1以上1000cm−1以下程度となる。そして、この場合、UVランプ11への投入電力量を調整することにより、半導体基板7の表面温度をたとえば1300℃程度とすることができる。
また、半導体基板7および形成される膜の材質の組合せの他の例としては、たとえばInN基板上のGaN薄膜、InGaN薄膜などがあり、そのときのフィルタ13としては、先に挙げたものの他、高屈折率薄膜(H)として例えばCeO2、La23、TiO2、ZrO2などを材質として用いることができる。この場合、紫外線の波長の大部分は例えば450nm以下とすることができ、また、紫外線のピーク波長を420nmとすることができる。
また、半導体基板7および形成される膜の材質の組合せのさらに他の例としては、たとえばGaAs基板上のAlGaAs薄膜などがあり、そのときのフィルタ13としては、先に挙げたものの他、高屈折率薄膜(H)としてたとえばCdS、Nd23、Pr23、SiO、ZnSeなどを材質として用いることができる。この場合、紫外線の波長の大部分はたとえば800nm以下とすることができ、また、紫外線のピーク波長を900nmとすることができる。
また、ガス供給部材12としては、従来公知の任意の構成の装置を用いることができる。たとえば、原料ガスを蓄積しているタンクと、当該タンクから反応管2へ原料ガスを移送する配管と、配管の経路途中に配置されたマスフローコントローラなどの流量制御部材および原料ガスの供給の開始/停止を制御するための弁などからガス供給部材12は構成されていてもよい。
また、ヒータ9は、反応管2の外側であってサセプタ5の裏面と対向する位置に配置されている。ヒータ9としては、電熱ヒータなど従来公知の任意の加熱装置を用いることができる。
次に、図2を参照しながら、本発明に従った気相反応成長方法の一例としての、図1に示した処理装置1を用いて半導体基板7の表面に膜を形成する成膜方法を説明する。図2は、図1に示した処理装置を用いた成膜方法を説明するためのフローチャートである。
図2に示すように、本発明に従った成膜方法では、まず基板準備工程(S10)を実施する。基板準備工程(S10)では、反応管2の内部においてサセプタ5上に半導体基板7を配置する。その後、反応管2の内部の雰囲気の圧力を所定の値に制御する。このような圧力の制御は、反応管2に接続された図示しない圧力調整部材によって行なうことができる。このような圧力調整部材は、従来公知の任意の構成を採用することができる。たとえば、圧力調整部材として、反応管2に接続された配管、当該配管に接続された排気ポンプ、配管の経路上に配置された開閉弁などからなる装置を用いることができる。
次に、エネルギー線を照射しながら原料ガスを供給する成膜工程(S20)を実施する。この成膜工程(S20)では、具体的には、まずUVランプ11に電力を供給することにより、UVランプ11から紫外線を反応管2に向けて照射する。当該紫外線は、フィルタ13によって特定の波長成分がカットされ、所定の波長成分を有する(所定のピーク波長を有する)波長が規制された紫外線となって、反応管2の内部の半導体基板7の表面に照射される。また、同時にヒータ9にも電力が供給され、サセプタ5を介して半導体基板7を裏面側から加熱する。ただし、このヒータ9による半導体基板7の加熱は、半導体基板7の表面温度をUVランプ11からの紫外線の照射によって安定して成膜温度に保つことが出来る程度であればよい。
ここで、半導体基板7の表面は波長が規制された紫外線の照射により加熱されているので、半導体基板7の表面近傍および形成される膜の表面近傍のみに当該紫外線の大部分を吸収させることができる。このため、半導体基板7の表面近傍および形成される膜の表面近傍のみを効果的に加熱することができる。そのため、半導体基板7の表面近傍の温度を、(半導体基板7の融点に近いような)高温とすることができる。
そして、半導体基板7の表面の温度が所定の温度になった状態で、図1の矢印で示すように、ガス供給部材12により反応管2の内部に原料ガスを供給する。この結果、加熱された半導体基板7の表面において原料ガスから所定の膜が成長する。このように、本実施の形態では、成膜反応が起こる部分(半導体基板7の表面近傍)のみを高温に加熱するので、半導体基板7全体またはその一部が熱で溶融、または軟化するといった問題の発生を防ぐことができる。そのため、半導体基板7の表面近傍(表面層)におけるエネルギー線の吸収状態を任意に調整することができるので、半導体基板7の表面に良好な膜質の膜を形成することができる。
(実施の形態2)
図3は、本発明に従った気相反応成長装置の一例である処理装置の実施の形態2を示す断面模式図である。図3を参照して、本発明に従った処理装置の実施の形態2を説明する。
図3を参照して、処理装置1は、基本的には図1に示した処理装置と同様の構成を備えるが、フィルタとして作用する部材の構成が異なる。すなわち、図3に示した処理装置1では、図1の処理装置1のフィルタ13に対応する構成として、反応管2の上部表面(UVランプ11と対向する外周表面)に形成された表面処理層15が形成されている。当該表面処理層15としては、たとえば長波長カットフィルタの薄膜部分と同様の材質・構造、を用いることができる。また、当該表面処理層15を形成する方法としては、真空蒸着など、任意の方法を用いることができる。
このような構成の処理装置1によっても、図1に示した処理装置1と同様の効果を得ることが出来る。さらに、フィルタとして表面処理層15を利用するので、図1に示したようにフィルタ13を反応管2とは独立した別部材として配置する場合より、処理装置1のサイズを小さくできる。
(実施の形態3)
図4は、本発明に従った気相反応成長装置の一例である処理装置の実施の形態3を示す断面模式図である。図4を参照して、本発明に従った処理装置の実施の形態3を説明する。
図4を参照して、処理装置1は基本的には図1に示した処理装置1と同様の構成を備えるが、図1の処理装置1におけるフィルタ13に対応する構成およびUVランプ11の構成が異なっている。具体的には、図4に示した処理装置1では、UVランプ11の下面にフィルタ17が直接接続されている。また、UVランプ11にはその内部にUVランプ11を冷却するための冷却材20が流れる冷却材流路19が形成されている。当該冷却材流路19は、UVランプ11の外部に配置された図示しない熱交換器に接続される。当該熱交換器においては、UVランプ11において吸熱することにより温度が上昇した冷却材20が、外部の空気などと熱交換することにより冷却される。そして、冷却された冷却材20は、再びUVランプ11へ還流される。冷却材20としては、従来公知の任意の液体または気体を用いることができる。また、熱交換器の構成としても、従来公知の任意の構成を用いることができる。
図4に示した処理装置1によっても、図1に示した処理装置と同様の効果を得ることが出来る。そして、図4に示した冷却材流路19をUVランプ11が備えることにより、UVランプ11において半導体基板7の表面を高温に加熱するためにUVランプ11自体も比較的高温になる場合、UVランプ11を効果的に冷却することができる。また、UVランプ11の下面にフィルタ17が直接接続されているので、そのフィルタ17も冷却材流路19を流れる冷却材20により冷却することができる。そのため、UVランプ11から照射される紫外線によりフィルタ17の温度が過剰に上昇するといった問題の発生を抑制できる。
図5は、図4に示した処理装置1におけるUVランプ11の変形例を示す模式図である。図5を参照して、図4に示したUVランプ11の変形例を説明する。
図5に示したUVランプ11は、基本的には図4に示した処理装置1のUVランプ11と同様の構成を備えるが、UVランプ11を冷却するための冷却部材の構成が異なる。具体的には、図4に示したUVランプ11ではその内部に冷却材流路19を形成し、当該冷却材流路19の内部に冷却材20を流通させていたが、図5に示したUVランプ11では、UVランプ11の上部表面および側面上方を覆うように冷却部材21を配置している。冷却部材21としては、UVランプ11から熱を除去することができれば任意の部材を用いることができる。冷却部材21として、たとえばペルチェ素子などを用いてもよいし、その内部に冷却材を流通させるような冷却ブロック、あるいは放熱フィンが形成された冷却部材などを用いてもよい。このような構成のUVランプ11を処理装置に用いても、図4に示した処理装置1と同様の効果を得ることが出来る。
(実施の形態4)
図6は、本発明に従った気相反応成長装置の一例である処理装置の実施の形態4を示す断面模式図である。図6を参照して、本発明に従った処理装置の実施の形態4を説明する。
図6を参照して、処理装置1は基本的には図1に示した処理装置1と同様の構成を備えるが、UVランプ11およびヒータ9の出力を制御するためのパワー制御部材29、30、および測温部材27、28を備える点が異なる。具体的には、反応管2の上壁を貫通するとともに反応管2の内部に向かって屈曲して延びる保護管23を形成する。当該保護管23の先端部は、UVランプ11の下であって半導体基板7と平面的に重ならない領域に位置する。また、保護管23の先端部は、たとえば半導体基板7が配置されるサセプタ5の表面近傍であって、半導体基板7と重ならない領域に配置されていてもよい。この場合、半導体基板7の温度をより正確に測定することができる。
保護管23の内部の先端部には、UV吸収物質25が配置されている。当該UV吸収物質25としては、たとえば半導体基板7または形成される膜と同じ材質の部材を用いることが好ましい。そして、当該UV吸収物質25に接触するように、測温部材27が配置される。測温部材27としては、たとえば熱電対を用いることができる。このようにすれば、紫外線が照射されたことにより加熱される半導体基板7または形成される膜の温度をUV吸収物質25を介してではあるが比較的正確に測定することができる。
測温部材27は、導電線を介してパワー制御部材29に接続されている。パワー制御部材29は、UVランプ11と接続されている。パワー制御部材29は、測温部材27によって測定される温度データに基づいて、UVランプ11に供給される電力を制御することにより、UVランプ11から出射する紫外線の光量を調節する。たとえば、測温部材27により測定される温度データの目標値(あるいは目標数値範囲)を予め設定しておき、実際に測定された温度データがその目標値より高ければUVランプ11に供給する電力量を小さくし、一方、実際に測定された温度データがその目標値より低ければUVランプ11に供給する電力量を大きくするといった制御を行なうことができる。
また、サセプタ5の下面には凹部が形成され、当該凹部の内部に測温部材28が配置されている。測温部材28としては熱電対を用いることができる。測温部材28は、導電線を介してパワー制御部材30と接続されている。パワー制御部材30はヒータ9と接続されている。パワー制御部材30は、測温部材28からの温度の測定データに基づいて、ヒータ9に供給される電力を制御することにより、ヒータ9からの発熱量を調整する。たとえば、測温部材28により測定される温度データの目標値(あるいは目標数値範囲)を予め設定しておき、実際に測定された温度データがその目標値より高ければヒータ9に供給する電力量を小さくし、一方、実際に測定された温度データがその目標値より低ければヒータ9に供給する電力量を大きくするといった制御を行なうことができる。
このような構成とすることにより、図1に示した処理装置と同様の効果を得ることが出来るとともに、半導体基板7の表面近傍の温度をより正確に制御することができる。このため、安定して高品質の膜を形成することが出来る。
また、図6に示した処理装置1を用いた成膜方法は、基本的には図2に示した成膜方法と同様であるが、成膜工程(S20)において、パワー制御部材29、30によって上述のような制御が行なわれる。このため、成膜工程(S20)における半導体基板7の表面での温度制御の精度を高めることが出来る。
図7は、図6に示した処理装置1の変形例を示す模式図である。図7を参照して、図6に示した処理装置1の変形例を説明する。
図7を参照して、処理装置1は基本的には図6に示した処理装置1と同様の構成を備えるが、図6の測温部材27に対応する構成が異なる。具体的には、図7に示した処理装置1では、反応管2の底壁を貫通するように、石英ロッド33が配置されている。石英ロッド33の先端部は、半導体基板7の側方においてUVランプ11に向かうように配置されている。石英ロッド33には、光学的UV放射モニタ31が接続されている。この光学的UV放射モニタ31は、フィルタ13を透過してきたランプ11からの放射光の強度を測定することにより、半導体基板7の表面温度を模擬的に測定する。この光学的UV放射モニタ31は、パワー制御部材29に接続されている。パワー制御部材29は、図6に示した処理装置1と同様にUVランプ11に接続されている。パワー制御部材29は、光学的UV放射モニタ31からの出力に基づいて、UVランプ11に供給される電力量を調整する。このような構成の処理装置1によっても、図6に示した処理装置1と同様の効果を得ることが出来る。
(実施の形態5)
図8は、本発明に従った気相反応成長装置の一例である処理装置の実施の形態5を示す断面模式図である。図8を参照して、本発明に従った処理装置の実施の形態5を説明する。
図8を参照して、処理装置1は基本的には図1に示した処理装置1と同様の構成を備えるが、UVランプ11およびフィルタ13が反応管2の上部および下部に配置されている点が異なる。具体的には、反応管2の外部において上部および下部にUVランプ11が配置され、当該UVランプ11と反応管2との間にフィルタ13がそれぞれ配置されている。
なお、フィルタ13の代わりに実施の形態2に示すように、表面処理層15を設けてもよい。また、反応管2の上部の波長規制部材および加熱部材は、実施の形態3に示す構成であってもよいし、反応管2の上部および下部の波長規制部材および加熱部材が実施の形態3に示す構成であってもよい。本実施の形態の処理装置1は、実施の形態4に示すパワー制御部材29、30、および測温部材27、28をさらに備えていてもよい。
また、図8に示した処理装置1を用いた成膜方法は、基本的には図2に示した成膜方法と同様であるが、成膜工程(S20)において、半導体基板7の表面および裏面に波長が規制されたエネルギー線を照射することができる。このため、成膜工程(S20)において、厚み方向における特性のばらつきを有する半導体基板7を選択的に加熱することが出来る。
半導体基板7が導電性である場合、半導体基板7においてキャリア濃度のばらつきが大きいため、赤外線領域のエネルギーの吸収率についてばらつきが大きくなる。したがって、本実施の形態における処理装置1および成膜方法において用いる半導体基板7は特に限定されないが、半導体基板の両面から選択的にあるいは全体的に加熱することができるため、化合物半導体基板が好適に用いられ、III−V族化合物半導体基板がより好適に用いられ、GaN基板またはGaAs基板が最も好適に用いられる。
上述した実施の形態と一部重複する部分もあるが、この発明の実施の形態を羅列的に挙げて説明する。この発明に従った気相反応成長装置としての処理装置1は、基板保持部材としてのサセプタ5と、原料供給部材としてのガス供給部材12と、加熱部材としてのUVランプ11と、波長規制部材としてのフィルタ13、17または表面処理層15とを備える。サセプタ5は、処理対象物である半導体基板7を保持する。ガス供給部材12は、サセプタ5に保持された半導体基板7に膜を成長させるための原料ガスを供給する。UVランプ11は、サセプタ5に保持される半導体基板7にエネルギー線(紫外線)を照射することで表面を加熱する。波長規制部材(フィルタ13、17および表面処理層15)は、半導体基板7に照射されるエネルギー線の波長を規制する。
この場合、フィルタ13、17および表面処理層15によってエネルギー線の波長を規制することによって、半導体基板7または半導体基板7上に形成される膜におけるエネルギー線の吸収状態を任意に調整することができる。半導体基板7の任意の部分において吸収係数が大きくなるように波長規制部材(フィルタ13、17および表面処理層15)によってエネルギー線の波長を調整することで、この部分に吸収されるエネルギー線の量を多くすることができる。すなわち、選択的に半導体基板7にエネルギー線を照射することができる。また、半導体基板7の特性のばらつきによる加熱のばらつきを抑制して、半導体基板7全体を均一に加熱することもできる。すなわち、本発明は半導体基板7に照射されるエネルギー線の波長を規制する波長規制部材を備えているので、半導体基板7の特性のばらつきによる加熱のばらつきを抑制することによって、半導体基板7について均一に加熱することと、半導体基板7の任意の部分を所望の温度になるように加熱することとができる。したがって、吸収される波長領域に部分的にばらつきを有する半導体基板7をこの吸収のばらつきによる加熱状態のばらつきを抑制して適切な状態で加熱することにより、形成される膜の膜質を改善することが可能になり、かつ膜質のばらつきを減少することができる。
上記処理装置1において好ましくは、加熱部材としてのUVランプ11は、基板保持部材としてのサセプタ5に保持される半導体基板7の表面にエネルギー線紫外線)を照射することで表面を加熱し、波長規制部材(フィルタ13、17および表面処理層15)は、半導体基板7の表面に照射されるエネルギー線の波長を規制する。
この場合、フィルタ13によってエネルギー線としての紫外線の波長を規制することによって、半導体基板7の特性のばらつきによる加熱のばらつきを抑制して、半導体基板7の表面近傍(表面層)におけるエネルギー線の吸収状態を任意に調整することができる。たとえば、紫外線の波長を、半導体基板7の表面層あるいは半導体基板7表面に形成される膜での吸収係数が大きくなるように波長規制部材(フィルタ13、17および表面処理層15)によって調整することで、半導体基板7の表面層または半導体基板7表面に形成される膜に吸収されるエネルギー線の割合(量)を多くすることができる。この結果、半導体基板7の表面層または形成される膜を選択的にエネルギー線によって加熱することができる。したがって、半導体基板7の厚み方向中央部や裏面側の温度上昇を抑制する一方で、半導体基板7の表面層または形成される膜を局所的に加熱することができる。このため、半導体基板7の表面層または形成される膜の温度を半導体基板7の融点近くの比較的高温にする一方で、半導体基板7の厚み方向中央部や裏面側の温度は当該高温より相対的に低い温度(半導体基板7の材料の融点より十分低い温度)にしておくことが可能になる。成膜条件として半導体基板を構成する材料の融点に近いような高温条件での成膜を行なう場合、上記特許文献1〜3の半導体基板の厚み全体を同じ条件で加熱する装置および方法では、温度条件のばらつきなどによって半導体基板の全体またはその一部が高温のため溶ける、または軟化する、といった問題があったが、本発明ではこの問題を抑制できる。かつ、上記特許文献1〜3では半導体基板を構成する材料の融点に近いような高温条件での成膜を安定して行なうことが難しかったという問題があったが、本発明では半導体基板7の表面においては高温条件下での成膜を行なうことができる。したがって、半導体基板の特性のばらつきによる加熱のばらつきを抑制するとともに半導体基板および半導体基板上に形成される膜について選択的に加熱することによって、成膜温度を高めることで形成される膜の結晶のマイグレーションを改善できるので形成される膜の膜質を改善することが可能になり、優れた膜質の膜を形成できる。
上記処理装置1において、波長規制部材(フィルタ13、17および表面処理層15)は、半導体基板7の表面上に成長する膜に対するエネルギー線の吸収係数が500cm-1以上となるように、エネルギー線の波長を規制するものであってもよい。
この場合、半導体基板7の表面上に成長する膜の比較的表面に近い領域で、エネルギー線がほとんど吸収されることになるので、当該膜の表面近傍の温度のみを効果的に上昇させることができる。たとえば、当該膜に照射されるエネルギー線の当該膜に対する吸収係数が500cm-1である場合、膜の表面からの深さが10μmまでの領域でエネルギー線の約70%が当該膜に吸収され、また、深さが20μmまでの領域でエネルギー線の約90%が吸収されることになる。この結果、半導体基板の特性のばらつきによる加熱のばらつきを抑制し、かつ、半導体基板7の厚み方向中央部や裏面側など、半導体基板7自体の温度を過剰に上昇させることなく、実際に成膜反応が起きる領域(形成される膜の表面層)のみを高温にすることができる。
上記処理装置1において、半導体基板7はGaN(窒化ガリウム)を含んでいてもよく、ガス供給部材12は、原料ガスとして、AlGaN膜を成長させるために用いられるガス(たとえば、トリメチルアルミニウムやトリエチルアルミニウムなど)を半導体基板7の表面に対向する領域に供給してもよい。この場合、優れた膜質のAlGaN膜を成長させるためには、成膜温度を高温にすることが効果的であることから、本発明が特に有効である。
上記処理装置1において、半導体基板7の表面に照射されるエネルギー線は、波長が420nm以下の成分を含むことが好ましい。この場合、形成される膜がAlGaN膜である場合に、当該AlGaN膜に対するエネルギー線の吸収係数を十分大きくすることができるので、形成されるAlGaN膜の表面近傍において照射されるエネルギー線の大部分を吸収させることができる。このため、たとえばGaNからなる半導体基板7自体の温度を過剰に高めることなく、AlGaN膜の表面近傍の温度を十分高くすることができる。かつ、半導体基板7の特性のばらつきによる加熱のばらつきを抑制できる。
上記処理装置1は、半導体基板7の表面の温度を測定する測温部材(測温部材27、28および光学的UV放射モニタ31)をさらに備えていてもよい。この場合、エネルギー線(紫外線)が照射される部分の温度を測温部材によって測定できるので、当該エネルギー線の照射による半導体基板7、半導体基板7の表面、または半導体基板7表面上に形成される膜の表面の温度状態に合せてエネルギー線の照射強度などの条件(UVランプ11に供給される電力量など)を調整することが可能になる。また、当該エネルギー線が照射される部分の温度を測定できるので、当該測定温度が所定の温度範囲に入っているかどうかを確認することができる。このため、半導体基板7の表面での成膜温度を管理することが可能になり、結果的に形成される膜の膜質の品質管理を容易に行なうことが出来る。
上記処理装置1は、測温部材(測温部材27、28および光学的UV放射モニタ31)によって測定される半導体基板7の温度データに基づいて、UVランプ11から照射されるエネルギー線(紫外線)の照射量を調整する制御部材(パワー制御部材29、30)をさらに備えていてもよい。この場合、パワー制御部材29、30によって、半導体基板7、半導体基板7の表面、あるいは形成される膜の表面、つまり成膜反応が起きている部分の温度が半導体基板7の特性のばらつきによる加熱のばらつきを抑制して所定の温度範囲に入るように、エネルギー線の照射量を調整することができる。したがって、形成される膜の膜質を安定して高品質なものとすることができる。
上記処理装置1は、基板保持部材側(サセプタ5側)から半導体基板7を加熱するための補助加熱部材(ヒータ9)をさらに備えている。この場合、半導体基板7の裏面側や厚み方向中央部などの温度を、半導体基板の7表面の成膜反応が起きる部分(エネルギー線が照射される部分)の温度より低い所定の温度に保つことが可能になる。この結果、半導体基板7自体の温度をある程度高めることにより、半導体基板7の特性のばらつきによる加熱のばらつきを抑制して、エネルギー線が照射される半導体基板7の表面層から半導体基板7の裏面側に向かう方向での温度勾配を小さくできる。したがって、半導体基板7の表面層から半導体基板7の裏面側への熱伝導の割合を小さくすることができるので、半導体基板7の表面層の温度条件を安定させることができる。この結果、形成される膜の膜質を高品質なものとすることができる。
上記処理装置1において好ましくは、基板保持部材としてのサセプタ5に保持される半導体基板7の表面および裏面にエネルギー線を照射することで表面および裏面を加熱し、波長規制部材としてのフィルタ13、17および表面処理層15は、半導体基板7の表面および裏面に照射されるエネルギー線の波長を規制する。
この場合、半導体基板7の表面および裏面において波長が規制されたエネルギー線を照射できるので、半導体基板7の特性のばらつきによる加熱のばらつきを抑制して半導体基板7全体を加熱することもできる。また、必要に応じて半導体基板7の表面および裏面の少なくとも一方に波長が規制されたエネルギー線を照射することもできる。そのため、キャリア濃度などの特性のばらつきが大きい半導体基板7上に成膜を行なっても、半導体基板7の特性のばらつきによる加熱のばらつきが抑制されるので、半導体基板7に形成される膜の膜質のばらつきを抑制できる。
上記処理装置1において好ましくは、上記半導体基板7は、化合物半導体基板である。本発明者らは、鋭意研究の結果、化合物半導体基板のキャリア濃度にばらつきが大きいことを見出した。化合物半導体基板毎にキャリア濃度にばらつきがあったり、化合物半導体基板の面内においてキャリア濃度にばらつきがあっても、本発明では化合物半導体基板が吸収する赤外線領域の吸収率のばらつきを抑制してエネルギー線を照射できる。また、ばらつきの大きい半導体基板7の表面および裏面にエネルギー線を照射することによって、より半導体基板7毎および半導体基板7の面内においてより選択的にエネルギー線を照射できる。そのため、化合物半導体基板上に形成する膜を優れた膜質で、その膜質のばらつきを抑制できる。
上記処理装置1において、加熱部材としてUVランプ11を用いる。この場合、入手が容易なUVランプを用いて本発明による処理装置1を比較的容易に構成することができる。なお、UVランプ11としては紫外線を放射することが出来れば任意の光源を用いることができる。
この発明に従った気相反応成長方法としての成膜方法は、処理対象物である半導体基板を準備する工程(S10)と、成膜工程(S20)とを備える。成膜工程(S20)では、半導体基板7に波長が規制されたエネルギー線を照射しながら、半導体基板7上に膜を成長させるための原料ガスを供給する。
この場合、エネルギー線の波長を規制することで半導体基板7または半導体基板7上に形成される膜におけるエネルギー線の吸収状態を任意に調整することができるので、エネルギー線の照射により半導体基板7を選択的に加熱することができる。また、半導体基板7の特性のばらつきによる加熱のばらつきを抑制して、半導体基板7全体を均一に加熱することもできる。すなわち、本発明は波長が規制されたエネルギー線を半導体基板7に照射するので、半導体基板7の特性のばらつきによる加熱のばらつきを抑制することによって、半導体基板7について均一に加熱することと、半導体基板7の任意の部分を所望の温度になるように加熱することとができる。したがって、吸収される波長領域に部分的にばらつきを有する半導体基板7を加熱状態のばらつきを抑制して適切な状態で加熱することにより、形成される膜の膜質を改善することが可能になり、かつ膜質のばらつきを減少することができる。
上記成膜方法において好ましくは、成膜工程(S20)では、半導体基板7の表面に波長が規制されたエネルギー線を照射しながら、半導体基板7の表面と対向する領域に、表面上に膜を成長させるための原料ガスを供給する。
この場合、エネルギー線(図1のUVランプ11から出射する紫外線)の波長を規制することで半導体基板7の表面層または半導体基板7表面に形成される膜での吸収係数を大きくすることができるので、半導体基板7の表面層または半導体基板7表面に形成される膜の表面をエネルギー線の照射により効果的に加熱することができる。つまり、半導体基板7の厚み方向中央部や裏面側の温度上昇を抑制する一方で、半導体基板7の表面層または形成される膜の表面を局所的に加熱することができる。このため、半導体基板7の表面層または形成される膜の表面の温度を基板の融点に近いような比較的高温にする一方で、半導体基板7の厚み方向中央部や裏面側の温度は当該高温より相対的に低い温度にしておくことが可能になる。そのため、半導体基板7の特性のばらつきによる加熱のばらつきを抑制するとともに半導体基板7および半導体基板7上に形成される膜について選択的に加熱することによって、半導体基板7全体またはその一部が高温のため溶ける、または軟化する、といった問題の発生を抑制しつつ、成膜温度を高めることで、形成される膜の結晶のマイグレーションを改善できる。この結果、形成される膜の膜質を改善できる。
上記成膜方法では、成膜工程(S20)において、半導体基板7の表面上に成長する膜に対するエネルギー線の吸収係数が500cm-1以上となるように、エネルギー線の波長が規制されていてもよい。この場合、半導体基板7の特性のばらつきによる加熱のばらつきを抑制して、半導体基板7の表面上に成長する膜の比較的表面に近い領域で、エネルギー線がほとんど吸収されることになるので、当該膜の表面近傍の温度のみを効果的に上昇させることができる。エネルギー線の波長の規制には、図1に示すようなフィルタ13などを用いることができる。
上記成膜方法では、半導体基板7はGaNを含んでいてもよく、原料ガスはAlGaN膜を成長させるために用いられるガスであってもよい。この場合、優れた膜質のAlGaN膜を成長させるためには、成膜温度を高温にすることが有効であることから、本発明が特に効果的である。
上記成膜方法において、波長が規制されたエネルギー線は、波長が420nm以下の成分を含んでいてもよい。また、エネルギー線のピーク波長(最も波長成分の強度が高くなっている波長)が420nm以下であってもよい。この場合、AlGaN膜に対するエネルギー線の吸収係数を十分大きくすることができるので、形成されるAlGaN膜の表面近傍において、照射されるエネルギー線の大部分を吸収させることができる。このため、たとえばGaNからなる半導体基板7自体の温度を過剰に高めることなく、半導体基板7の特性のばらつきによる加熱のばらつきを抑制して、AlGaN膜の表面近傍の温度を十分高くすることができる。
上記成膜方法では、成膜工程(S20)が、半導体基板7の温度を測定する測温工程(図6の測温部材27、28または図7の光学的UV放射モニタ31を用いた温度測定工程)を含んでいてもよい。この場合、エネルギー線が照射される部分の温度を測温部材27、28などによって測定できるので、当該エネルギー線の照射による半導体基板7の表面(または半導体基板7表面上に形成される膜の表面)の温度状態に合せてエネルギー線の照射強度などの条件を調整することが可能になる。
上記成膜方法では、成膜工程(S20)が、上記測温工程によって測定される温度データに基づいて、エネルギー線の照射量を調整する工程(パワー制御部材29、30によって測温部材27、28の測定データに基づいてUVランプへの電力投入量を制御する工程)を含んでいてもよい。この場合、半導体基板7、半導体基板7の表面、あるいは形成される膜の表面(つまり成膜反応が起きている部分)の温度が所定の温度範囲に入るように、エネルギー線の照射量を調整することができる。したがって、半導体基板7の特性のばらつきによる加熱のばらつきを抑制して、形成される膜の膜質を安定して高品質なものとすることができる。
上記成膜方法では、成膜工程(S20)が、エネルギー線が照射される表面と反対側の裏面側から半導体基板7を加熱する補助加熱工程(ヒータ9により基板7を加熱する工程)を含んでいてもよい。この結果、補助加熱工程によって半導体基板7自体の温度をある程度高めることにより、エネルギー線が照射される半導体基板7の表面層から半導体基板7の裏面側に向かう方向での温度勾配を小さくできる。したがって、半導体基板7表面層の温度条件を安定させることができる。
上記成膜方法において好ましくは、成膜工程(S20)では、半導体基板7の表面および裏面に波長が規制されたエネルギー線を照射しながら、半導体基板7の表面と対向する領域に、表面上に膜を成長させるための原料ガスを供給する。
この場合、半導体基板7の表面および裏面において波長が規制されたエネルギー線を照射できるので、半導体基板7の特性のばらつきによる加熱のばらつきを抑制して半導体基板7全体を加熱することもできる。そのため、キャリア濃度などの特性のばらつきが大きい半導体基板7上に成膜を行なっても、半導体基板7の特性のばらつきによる加熱のばらつきが抑制されるので、半導体基板7に形成される膜の膜質のばらつきを抑制できる。
上記成膜方法において好ましくは、準備する工程(S10)では、半導体基板7として化合物半導体基板を準備する。上述したように、本発明者らは、鋭意研究の結果、化合物半導体基板のキャリア濃度にばらつきが大きいことを見出した。化合物半導体基板毎にキャリア濃度にばらつきがあったり、化合物半導体基板の面内においてキャリア濃度にばらつきがあっても、本発明では化合物半導体基板が吸収する赤外線領域の吸収率のばらつきを抑制してエネルギー線を照射できる。また、ばらつきの大きい半導体基板7の表面および裏面にエネルギー線を照射することによって、より半導体基板7毎および半導体基板7の面内においてより選択的にエネルギー線を照射できる。そのため、化合物半導体基板上に形成する膜を優れた膜質で、その膜質のばらつきを抑制できる。
上記成膜方法において、エネルギー線はUVランプ11から出射する紫外線である。この場合、比較的入手が容易なUVランプ11を用いて本発明による成膜方法を実施できる。
本実施の形態では、半導体基板7の表面側のみと、半導体基板7の表面および裏面とに、波長が規制されたエネルギー線を照射する処理装置1および成膜方法を例に挙げて説明したが、本発明は特にこれに限定されず、半導体基板7の裏面側のみであってもよく、波長が規制されたエネルギー線を照射する部分は半導体基板7の任意の部分である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、比較的高温で成膜を行なう気相反応成長装置および気相反応成長方法において得に有利に適用される。
本発明に従った気相反応成長装置の一例である処理装置の実施の形態1を示す断面模式図である。 図1に示した処理装置を用いた成膜方法を説明するためのフローチャートである。 本発明に従った気相反応成長装置の一例である処理装置の実施の形態2を示す断面模式図である。 本発明に従った気相反応成長装置の一例である処理装置の実施の形態3を示す断面模式図である。 図4に示した処理装置におけるUVランプの変形例を示す模式図である。 本発明に従った気相反応成長装置の一例である処理装置の実施の形態4を示す断面模式図である。 図6に示した処理装置の変形例を示す模式図である。 本発明に従った気相反応成長装置の一例である処理装置の実施の形態5を示す断面模式図である。
符号の説明
1 処理装置、2 反応管、5 サセプタ、7 半導体基板、9 ヒータ、11 UVランプ、12 ガス供給部材、13,17 フィルタ、15 表面処理層、19 冷却材流路、20 冷却材、21 冷却部材、23 保護管、25 UV吸収物質、27,28 測温部材、29,30 パワー制御部材、31 光学的UV放射モニタ、33 石英ロッド。

Claims (15)

  1. 処理対象物である半導体基板を保持する基板保持部材と、
    前記基板保持部材に保持された前記半導体基板に膜を成長させるための原料ガスを供給する原料供給部材と、
    前記基板保持部材に保持される前記半導体基板にエネルギー線を照射することで前記半導体基板を加熱する加熱部材と、
    前記半導体基板に照射される前記エネルギー線の波長を規制する波長規制部材とを備える、気相反応成長装置。
  2. 前記加熱部材は、前記基板保持部材に保持される前記半導体基板の表面に前記エネルギー線を照射することで前記表面を加熱し、
    前記波長規制部材は、前記半導体基板の前記表面に照射される前記エネルギー線の波長を規制する、請求項1に記載の気相反応成長装置。
  3. 前記波長規制部材は、前記半導体基板の前記表面上に成長する膜に対する前記エネルギー線の吸収係数が500cm-1以上となるように、前記エネルギー線の波長を規制するものである、請求項2に記載に気相反応成長装置。
  4. 前記半導体基板はGaNを含み、
    前記原料供給部材は、前記原料ガスとして、AlGaN膜を成長させるために用いられるガスを前記半導体基板の前記表面に対向する領域に供給する、請求項2または3に記載の気相反応成長装置。
  5. 前記半導体基板の前記表面に照射される前記エネルギー線は、波長が420nm以下の成分を含む、請求項4に記載の気相反応成長装置。
  6. 前記半導体基板の前記表面の温度を測定する測温部材をさらに備える、請求項2〜5のいずれか1項に記載の気相反応成長装置。
  7. 前記測温部材によって測定される前記半導体基板の前記表面の温度データに基づいて、前記加熱部材から照射される前記エネルギー線の照射量を調整する制御部材をさらに備える、請求項6に記載の気相反応成長装置。
  8. 前記基板保持部材側から前記半導体基板を加熱するための補助加熱部材をさらに備える、請求項2〜7のいずれか1項に記載の気相反応成長装置。
  9. 前記基板保持部材に保持される前記半導体基板の表面および裏面に前記エネルギー線を照射することで前記表面および前記裏面を加熱し、
    前記波長規制部材は、前記半導体基板の前記表面および前記裏面に照射される前記エネルギー線の波長を規制する、請求項1に記載の気相反応成長装置。
  10. 前記半導体基板は、化合物半導体基板である、請求項9に記載の気相成長装置。
  11. 前記加熱部材はUVランプである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の気相反応成長装置。
  12. 処理対象物である半導体基板を準備する工程と、
    前記半導体基板に波長が規制されたエネルギー線を照射しながら、前記半導体基板上に膜を成長させるための原料ガスを供給する成膜工程とを備える、気相反応成長方法。
  13. 前記成膜工程では、前記半導体基板の表面に前記波長が規制された前記エネルギー線を照射しながら、前記半導体基板の前記表面と対向する領域に、前記表面上に膜を成長させるための原料ガスを供給する、請求項12に記載の気相反応成長方法。
  14. 前記成膜工程では、前記半導体基板の表面および裏面に前記波長が規制された前記エネルギー線を照射しながら、前記半導体基板の前記表面と対向する領域に、前記表面上に膜を成長させるための原料ガスを供給する、請求項12に記載の気相反応成長方法。
  15. 前記準備する工程では、前記半導体基板として化合物半導体基板を準備する、請求項14に記載の気相成長方法。
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