以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の一実施の形態における部品実装装置の平面図、図2は本発明の一実施の形態における部品実装装置が備える移載ヘッドの正面図、図3は本発明の一実施の形態における吸着ノズルを備えたノズル保持部の正面図、図4は本発明の一実施の形態における部品実装装置の制御系を示すブロック図、図5(a)は本発明の一実施の形態における移載ヘッド及び部品カメラの正面図、図5(b)は同部品カメラの撮像視野の一例を示す図、図6は本発明の一実施の形態における標体を備えたノズル保持部の正面図、図7は本発明の一実施の形態における標体の分解斜視図、図8は本発明の一実施の形態における標体の下面図、図9(a)は本発明の一実施の形態における標体搭載ステージの平面図、図9(b)は同標体搭載ステージの断面正面図、図9(c)は同標体搭載ステージの側面図、図10は本発明の一実施の形態における校正方法の一例の手順を示すメインルーチンのフローチャート、図11及び図12は本発明の一実施の形態における校正方法の一例の手順を示すメインルーチンに付随するサブルーチンのフローチャートである。
図1において、部品実装装置1は基台2上に基板搬送路3を有しており、この基板搬送路3は基板4を所定位置に搬送して位置決めする。基台2には平面視において直交するY軸テーブル5とX軸テーブル6が設けられており、X軸テーブル6には移動プレート7が設けられている。X軸テーブル6はY軸テーブル5に沿って水平方向に移動自在であり、移動プレート7はX軸テーブル6に沿って水平方向に移動自在である。
図2において、移動プレート7には移載ヘッド8が取り付けられている。移載ヘッド8には上下方向に延びた複数のノズル保持部10が備えられており、各ノズル保持部10の下端部には吸着ノズル11が着脱自在に装着されている。各ノズル保持部10は移載ヘッド8に対して昇降及び回転し、吸着ノズル11は図示しない部品供給部が供給する部品(電子部品)Pを真空吸着によりピックアップする。
図3において、ノズル保持部10は上下方向に延びたシャフト12とシャフト12の下端部に取り付けられたノズルホルダ13から成り、シャフト12はベアリング14によって回転自在に支持されている。ノズルホルダ13の下部には下方に延出した延出部13aが設けられており、この延出部13aに吸着ノズル11の上端部11aが下方から外嵌されて装着される。
ノズルホルダ13の延出部13aにはその外周部から外側に張り出した位置決めピン13bが設けられており、吸着ノズル11にはその位置決めピン13bに下方から嵌合する切欠き部11bが設けられている。吸着ノズル11の上端部11aをノズルホルダ13の延出部13aに外嵌する際に、吸着ノズル11の切欠き部11bをノズルホルダ13の位
置決めピン13bに嵌合させることにより、吸着ノズル11のノズルホルダ13に対する軸回り方向の位置決めをすることができる。ノズルホルダ13の位置決めピン13bはノズルホルダ13の中心軸線13cに対する軸対称の位置に一対設けられており、吸着ノズル11の切欠き部11bもこれに対応して吸着ノズル11の中心軸線11cに対する軸対称の位置に一対設けられている。
ノズルホルダ13の下部には一対の係止フック15がノズルホルダ13を挟んで対向する位置に設けられている。各係止フック15の下端部15aは延出部13aの下方に延びており、中間部はノズルホルダ13の外周に環装されたリング状のばね部材16により締め付け保持されている。係止フック15の下端部15aは、吸着ノズル11がノズルホルダ13に装着される際には吸着ノズル11の上端部11aによって外側に押し広げられ、吸着ノズル11の切欠き部11bがノズルホルダ13の位置決めピン13bに嵌合し、吸着ノズル11の上端部11aがノズルホルダ13の延出部13a外嵌した状態では、ばね部材16の締め付け力によって吸着ノズル11の外周面に設けられた被係止溝11dに嵌入(嵌合)して係止する。
図1及び図2において、移動プレート7には基板カメラ17が撮像面を下方に向けて取り付けられており、移載ヘッド8と一体的に移動する。また、基台2上には部品カメラ18が撮像面を上方に向けて取り付けられている。
図4において、この部品実装装置1が備える制御装置21は、基板搬送路3による基板4の搬送動作及び位置決め動作を行う搬送路駆動部22、Y軸テーブル5に対するX軸テーブル6の移動動作及びX軸テーブル6に対する移動プレート7の移動動作を行うテーブル駆動部23、ノズル保持部10ごとにその昇降動作を行うノズル昇降駆動部24、ノズル保持部10の軸回りの回転動作を行うノズル回転駆動部25及びノズル保持部10内に真空吸着力を発生させる吸着駆動部26の各制御を行う。
制御装置21は、プログラム格納部27に格納された実装プログラム27aに従って部品Pの実装作業を自動的に実行する。この実装プログラムでは、部品Pの実装工程に入る前に、上述のように基板4の位置ずれ検出を行う。基板4の位置ずれ検出は、前工程より搬入された基板4を基板搬送路3により搬送して移載ヘッド8の部品搭載領域内の所定位置に位置決めした後、移載ヘッド8を移動させて基板カメラ17を基板4の上方に位置させ、基板カメラ17により基板4の対角位置に設けられた一対の基準マーク4aを画像認識(撮像)して行う。
制御装置21は、基板4の位置ずれを検出したら、移載ヘッド8を移動させて部品供給部から部品Pをピックアップする。そして、その部品Pを部品カメラ18の上方を移動させて部品カメラ18により画像認識(撮像)し、得られた画像データに基づいて、吸着ノズルに対する部品Pの位置ずれ、すなわち吸着ずれを検出する。そして、このとき得られた吸着ずれと、事前に求めておいた基板4の位置ずれがキャンセルされるように補正した制御データに基づいて移載ヘッド8を移動させ、基板4上の所定の位置に、部品Pを搭載する。
制御装置21が部品Pを基板4上に搭載するときに用いる制御データは基板カメラ17の光軸17aを基準としたものであり、ピックアップした部品Pの位置、すなわち吸着ノズル11の下端部11pの位置は、基板カメラ17の光軸17aからの距離として把握されている。
ここで、ノズル保持部10の中心軸線10aが基板カメラ17の光軸17aと平行な設計上の軸線10bと一致するように正確に配置されているのであれば、吸着ノズル11の
下端部11pは設計上の軸線10b上に位置し、基板カメラ17の光軸17aと吸着ノズル11の下端部11pの間の実際の距離f(図5(a))と、基板カメラ17の光軸17aと設計上の軸線10bの間の距離d(図5(a))とは一致するはずである。しかし、実際にはベアリング14の取り付け精度の関係等からノズル保持部10の中心軸線10aは設計上の軸線10bからわずかながら傾いており、基板カメラ17の光軸17aと設計上の軸線10bの間の距離d(以下、設計上の距離dと称する)と、基板カメラ17の光軸17aと吸着ノズル11の下端部11pの間の実際の距離f(以下、実際の距離fと称する)とは通常一致しない。設計上の距離dと実際の距離fとが一致しない場合、その誤差e(図5(a))の影響は、最終的には部品Pを基板4上に搭載したときの目標位置からの位置ずれとなって現れる。
一方、ノズル保持部10に吸着ノズル11を装着した状態において、吸着ノズル11の下端部11pは通常ノズル保持部10の中心軸線10a上にはなく、ノズル保持部10を上下軸回りに回転させると、吸着ノズル11の下端部11pはノズル保持部10の中心軸線10a回りに回転することになる。このとき吸着ノズル11の下端部11pが描く軌道は図5(b)に示すように部品カメラ18の撮像視野VS内において円軌道Cとして画像認識することができ、部品カメラ18の撮像視野VS内で見たこの円軌道Cの中心位置が、吸着ノズル11の回転中心(以下、符号RPで表す)に相当する。
吸着ノズル11の回転中心RPは後述するように、部品Pの実装工程を開始する前に行う後述の校正作業において、ノズル保持部10に標体30を装着し、ノズル保持部10の回転角度を変えながら、標体30の画像認識を行うことによって予め求められる。なお、上記誤差eと部品Pの吸着ノズル11に対する吸着ずれとは異なるものである。吸着ずれは部品Pの吸着ノズル11の回転中心RPからの位置ずれであって、これは部品カメラ18による部品Pの画像認識によって求められる。
次に、この部品実装装置1において行う校正作業について説明する。ここで行う校正作業の目的は、上記誤差e(設計上の距離dと実際の距離fの間の誤差)による部品Pの実際の搭載位置と目標位置との位置ずれをキャンセルするための校正値を求めることにある。この校正値は、ノズル保持部10の回転角度によって値が異なることが経験上知られており、誤差eをキャンセルするための校正値は、各ノズル保持部10に対し、それぞれ複数の回転角度について求める必要がある。そして、この校正値が求められれば、吸着ノズル11の下端部11pの位置、すなわち実際の距離fは、設計上の距離dに誤差eを加えた値となるため(但しノズル保持部10の回転角度によってその値は異なる)、校正作業後はこの実際の距離fを用いて、電子部品Pを基板4上の正確な位置(目標位置)に実装することができる。なお、この校正作業は折に触れて行うことが必要であるが、特に、部品実装装置1の設備立ち上げ時、移載ヘッド8や部品カメラ18等の再装着を伴う取替え作業の後などに行う必要がある。なお、基板カメラ17は部品カメラ18に比して使用頻度が少なく交換等することは稀だが、交換等した場合には当然に校正作業が必要となる。
先ず、この校正作業で用いる標体30と標体搭載ステージ50について説明する。図6及び図7において、標体30はノズル保持部10から吸着ノズル11が取り外された状態で、吸着ノズル11の代わりにノズル保持部10に取り付けられるものであり、ノズルホルダ13に着脱自在に取り付けられるベース部材31と、このベース部材31の下面32(後述する検査用平面51と対向する面)に固定された標体本体40とを備えている。
ベース部材31は、ノズルホルダ13への装着部を含む上半部である上下方向に延びた円筒部33と、標体本体40が取り付けられる面(検査用平面51と対向する面)を含む下半部である円盤状のフランジ部34が結合されて成り、円筒部33はステンレス鋼等の非磁性材料から形成され、フランジ部34は磁性材料から形成されている。このベース部
材31の製作は例えば、非磁性材料と磁性材料をロー付け或いは圧入等により嵌合結合した後、非磁性材料部分を加工して円筒部33を形成し、磁性材料部分を加工してフランジ部34を形成する方法等による。いずれの方法であっても、円筒部33の切欠き部33bとフランジ部34に設けた後述する第1マーク35aの軸回り方向の精度を高精度に保つことができる。
円筒部33の上端部33aには、ノズルホルダ13の延出部13aに下方から外嵌して装着される開口が設けられるとともに、ノズルホルダ13の位置決めピン13bに下方から嵌合する切欠き部33bが設けられている。この切欠き部33bは吸着ノズル11の切欠き部11bと同様にベース部材31の中心軸線31aに対する軸対称の位置に一対設けられている。ベース部材31がノズルホルダ13に装着された状態では、ベース部材31の中心軸線31aはノズル保持部10の中心軸線10aと一致する。なお、標体30をノズル保持部10に装着した状態におけるノズルホルダ13の位置決めピン13bからベース部材31の下面までの距離は、吸着ノズル11をノズル保持部10に取り付けた状態におけるノズルホルダ13の位置決めピン13bから吸着ノズル11の下端部11pまでの距離と等しくなっている。
円筒部33の上端部33aの外径は吸着ノズル11の上端部11aの外径よりも小径に作られており、ベース部材31をノズルホルダ13に装着した状態であっても係止フック15の下端部15aが接触しないようになっている。これは、後述するようにベース部材31はノズル保持部10内に発生させた真空吸着力によってノズル保持部10に装着され、標体搭載ステージ50上に搭載された後には真空破壊が実行されてベース部材31はノズル保持部10より分離されるが、この際吸着ノズル11のように係止フック15がベース部材31に係止されていると、ベース部材31のノズル保持部10からの切り離しを行うことができないからである。なお、ベース部材31を(すなわち標体30を)ノズル保持部10から分離させるには、吸着駆動部26を作動させてノズル保持部10内に発生させた真空吸着力を解除すればよい。
図7において、ベース部材31の中心軸線31a及び一対の切欠き部33bを通る仮想平面P1とフランジ部34の上面との交線L1上には、ベース部材31の中心軸線31aに対する軸対称の位置に一対の第1マーク35aが設けられている。この第1マーク35aはフランジ部34をその厚さ方向に(ベース部材31の中心軸線31aの延びる方向に)貫通して設けられた孔から成る。また、ベース部材31の中心軸線31aを通って上記仮想平面P1と直交する仮想平面P2とフランジ部34の上面との交線L2上には、ベース部材31の中心軸線31aに対する軸対称の位置に一対の第2マーク35bが設けられている。この第2マーク35bも第1マーク35aと同様に、フランジ部34をその厚さ方向に貫通して設けられた孔から成る。第1マーク35aと第2マーク35bは互いに区別して画像認識できるように、第1マーク35aは第2マーク35bよりも大径に作られている。
図6において、ベース部材31を上下に貫通する貫通路36内には、貫通路36を塞ぐためのシール部材37が嵌着されている。このため、円筒部33に設けられた切欠き部33bとノズルホルダ13の位置決めピン13bを嵌合させたうえで吸着駆動部26を作動させ、ノズル保持部10内に真空吸着力を発生させれば、ベース部材31を(すなわち標体30を)ノズル保持部10に装着することができる。
ベース部材31の貫通路36に嵌着されたシール部材37は、ベース部材31とノズル保持部10との間の気密性を保持する役割も果たしている。ノズル保持部10とベース部材31との気密性を保持するだけの目的であれば、シール部材はノズル保持部10側に設ける方が製造上は簡単であるが、本実施の形態における校正作業では、ノズル保持部10
はその後の部品実装工程で吸着ノズル11が装着されることになるためシール部材をノズル保持部10側に設けるわけにはいかず、ベース部材31側に設けるようにしたものである。
ベース部材31の円筒部33の上端部33aに設けられた開口の内径はノズルホルダ13の延出部13aが遊嵌する程度に延出部13aの外径よりも大きく作られており、ノズルホルダ13の延出部13aとベース部材31の円筒部33の上端部33aとを容易に嵌合させ得るようになっている。
図7及び図8において、標体本体40は平板部材41に複数の指標42を形成したものである。平板部材41の形状や寸法は実際の実装部品の形状や寸法に近いものとされる。指標42は画像認識手段である基板カメラ17及び部品カメラ18による画像認識の対象となるものであり、互いの位置関係が明確に画像認識できる配置で平板部材41に形成される。本実施の形態では、平板部材41は厚さ0.15mm程度のステンレス鋼の薄板から成り、指標42はこの平板部材41に穿設された孔から成る。指標42は平板部材41の形状に合わせて矩形状に16個並んで配設されており、レーザー加工により、正確なピッチ(±0.001mm)で、表裏とも同一となる正確な形状(±0.001mm)に形成されている。この標体本体40は、平板部材41の中央部の上面が接着剤等の接着手段によって、ベース部材31の下面32の中央部に固定されている。なお、平板部材41は高精度な加工が可能な非磁性材料であればよく、その材料はガラス等であってもよい。ガラスを平板部材41とする場合には、指標42をエッチング印刷により形成することができる。
各指標42は平板部材41をその厚さ方向に貫通するように設けられているので、標体本体40をベース部材31から分離させた状態において、標体本体40の上下両側から16個の指標42を認識することができる。なお、標体本体40がベース部材31の下面32に取り付けられた状態で四隅に位置する計4つの指標42(符号を42aとして示す)が上方から画像認識できるようにするため、ベース部材31のフランジ部34には4つの標体認識穴38が設けられている(図7)。
図9において、標体搭載ステージ50は、上面の少なくとも一部に標体30を搭載させるための検査用平面51を有した平板状部材52と、検査用平面51に搭載された標体30が基板カメラ17によって画像認識されるまでの間の一定時間のみ平板状部材52を介して標体30を検査用平面51上に固定保持する固定保持手段53を備えている。本実施の形態では平板状部材52は上面の2箇所に矩形状の検査用平面51を有しており、平板状部材52は、各検査用平面51を上面とする2つの検査用部分52aと、これら2つの検査用部分52aを保持する保持部分52bとから成る。各検査用部分52aは磁性材料から成る矩形状の板部材であり、保持部分52bはこれら2つの検査用部分52aが嵌合される2つの矩形状の孔を有した非磁性材料から成る矩形状の板部材である。固定保持手段53はバッテリ54、バッテリ54からの電力供給を受けて平板状部材52の検査用部分52aを磁化し、検査用平面51上に搭載された標体30を磁力により検査用平面51上に固定するする電磁石55のほか、近接検知センサ(近接検知手段)56及び継電器57を備えて成る。近接検知センサ56は例えばフォトセンサから成り、標体30が検査用平面51に近接したことを検知する。継電器57はディレータイマーリレーから成り、近接検知センサ56により標体30が検査用平面51に近接したことが検知された後、検査用平面51に搭載された標体30が基板カメラ17によって画像認識されるまでの一定時間のみバッテリ54と電磁石55の間の回路接続を行って電磁石55を励磁する。
平板状部材52は基板搬送路3により搬送可能な大きさ、すなわち実際の部品実装工程において部品Pが実装される基板4と同程度の大きさに形成されており、上記固定手段5
3の構成品が全て平板状部材52の面内領域内に収まるように設けられているので、基板4と同様に、基板搬送路3によって部品実装装置1内の所定の位置に搬送させて位置決めすることができる。
次に、図10に示すメインルーチンのフローチャートと図11及び図12に示すサブルーチンのフローチャートを用いて本部品実装装置1における校正作業の手順の一例を説明する。これらフローチャートはプログラム格納部27に格納された校正プログラム27b(図4)の内容を示すものである。この校正プログラムに従った校正作業は、標体搭載ステージ(以下、単にステージと称する)50が基板搬送路3に投入されることによって開始される。このステージ50の基板搬送路3への投入は前工程から送られてくるようにしてもよいし、作業者が手作業で送り込んでもよい。
基板搬送路3内にステージ50が投入されたら、制御装置21は基板搬送路3を駆動してステージ50を移載ヘッド8の部品搭載領域内へ搬送し、所定の位置に位置決めする(ステップS1)。この際、標体30はステージ50の検査用平面51の中央部に設けられた標体30の目標搭載位置である標体搭載部51aに載置されている。
ステージ50を所定の位置に位置決めしたら、制御装置21は移載ヘッド8をステージ50の上方に移動させ、基板カメラ17によってステージ50の対角上の2箇所に設けられた一対の基準マーク50aの画像認識を行う。そして、得られた画像データに基づいて基準マーク50aの位置と予め定めた基準位置との比較を行い、ステージ50の位置ずれを検出する(ステップS2)。
ステージ50の位置ずれを検出したらノズル保持部番号カウンタcの値を1に初期化するとともに(ステップS3)、ノズル保持部10の回転角度カウンタmの値を1に初期化する(ステップS4)。ここで、ノズル保持部番号カウンタcの最大値は移載ヘッド8が備えるノズル保持部10の数に一致する。また、回転角度カウンタmの最大値は所定の画像データを取る際におけるノズル保持部10の回転角度に応じて定まる。本実施の形態のように、ノズル保持部10の回転角度を90度ずつ変化させてノズル保持部10の回転角度が90度、180度、270度及び0度であるときの画像データを取得しようとする場合には、mの最大値は4(360÷90)となる。なお、mの値とノズル保持部10の回転角度との対応は、m=1のとき90度、m=2のとき180度、m=3のとき270度、m=4のとき0度とする。
ステップS4が終了したら、ステップS5に進む。ステップS5では、c番目のノズル保持部10に標体30を装着する。このc番目のノズル保持部10への標体30の装着は、制御装置21が移載ヘッド8を移動させてc番目のノズル保持部10を検査用平面51上に載置された標体30の直上に位置させ、そのまま降下させることによって行う。そして、降下させたノズル保持部10のノズルホルダ13に設けられた位置決め突起13bを標体30のベース部材31の円筒部33に形成された切欠き部33bに上方から嵌合させる。
ここで、m=1のときには、ノズル保持部10は常に回転角度が初期値の0度の状態で検査用平面51上の標体30と結合(嵌合)する。これは、後述の記載から分かるように、1つのノズル保持部10についての校正は、ノズル保持部10の回転角度が初期値の0度の状態で終わるようになっているからであり、このため検査用平面51上の標体30も1つのノズル保持部10についての校正が終わった状態では次に校正しようとするノズル保持部10の回転角度が0度の状態で嵌合し得る回転姿勢となっている。但し、c=1の時にはそれ以前の工程がないので、c=1かつm=1におけるノズル保持部10の位置決め突起13bと標体30の切欠き部33bがノズル保持部10の回転角度が0度の状態で
嵌合し得るように、検査用平面51上の標体30の回転姿勢を予め(人為的に)調整しておいてやる必要がある。
c番目のノズル保持部10を降下させることによってそのノズル保持部10の位置決め突起13bが標体30の切り欠き部33bに嵌合したら、制御装置21はc番目のノズル保持部10内に真空吸着力を発生させる。これによりc番目のノズル保持部10に標体30が装着された状態となる。
ステップS5が終了したら、c=1かつm=1であるか否かの判断を行う(ステップS6)。そして、c=1かつm=1であった場合にはステップS7に進んだうえで次のステップS8に進み、c=1かつm=1でなかった場合にはステップS7をスキップしてステップS8に進む。
ステップS7では、1番目のノズル保持部10に装着されている標体30を用いて部品カメラ18の校正を行う。具体的には、1番目のノズル保持部10に装着されている標体30を部品カメラ18の撮像視野VS内で移動させ、標体30のベース部材31に設けられた第1マーク35a及び第2マーク35bを画像認識し、公知の方法によって、部品カメラ18のオフセット量及び傾き角の検出とカメラスケールの設定を行う。部品カメラ18がラインセンサの場合は、各ノズル保持部10をスキャン方向に移動させて検出することができる。
また、この部品カメラ18の校正過程では、ノズル保持部10の実際の回転角度と制御上の指令値との対応関係を求める。すなわち、ノズル保持部10の回転方向のずれ(θずれ)の校正を行う。ノズル保持部10の回転角度は、例えば、ノズルホルダ13に形成された2つの位置決め突起13bを結ぶ線が基準の状態からどれだけ傾いているかによって定義することができ、部品カメラ18の撮像画像から、ベース部材31に設けられた第1マーク35aの位置を画像認識することによって求めることができる。このようなノズル保持部10の実際の回転角度と制御上の指令値との対応関係が必要となるのは、制御上の指令値が0度のときにノズル保持部10の実際の回転角度も0度となるように予め調整していたとしても、指令値が大きくなってくると、ノズル保持部10の実際の回転角度は制御上の指令値と一致するとは限らなくなり、その誤差を求めてこれを補正する必要があるからである。
なお、このように、ベース部材31に設けられた第1マーク35aの位置からノズルホルダ13の位置決め突起13bの位置を求めることができるのは、前述のように、ベース部材31のフランジ部34に設けられた第1マーク35aは、ベース部材31の中心軸線31a及び一対の切欠き部33bを通る仮想平面P1内に位置しているので、ベース部材31を下面32側から見たときに、第1マーク35aが検出される位置はベース部材31に形成された切欠き部33bの位置と一致しており、またベース部材31がノズルホルダ13に装着されている状態では、ベース部材31の切欠き部33bの位置とノズルホルダ13の位置決め突起13bの位置は一致しているからである。すなわち、ベース部材31に設けられた第1マーク35aは、ベース部材31がノズル保持部10に取り付けられた状態で下方から画像認識することができ、その位置によってノズル保持部10の回転角度を検知することができるものとなっている。
ステップS8では、現在m=1であるか否かの判断を行う。そして、m=1であった場合にはステップS9に進んだ上で次のステップS10に進み、m=1でなかった場合にはステップS9はスキップしてステップS10に進む。
ステップS9では、吸着ノズル11の回転中心RPの検出を行う(図11に示すサブル
ーチン)。なお、ここでいう吸着ノズル11の回転中心RPとは、正確に言えば、ノズル保持部10に吸着ノズル11が装着してあったとした場合における、吸着ノズル11の回転中心RPである。
吸着ノズル11の回転中心RPの検出にあたっては、先ず、ノズル保持部10の回転角度カウンタnの値を1に初期化する(ステップS91)。回転角度カウンタnの最大値は4とし、nの値とノズル保持部10の回転角度との対応は、n=1のとき90度、n=2のとき180度、n=3のとき270度、n=4のとき0度とする。
ステップS91が終了したら、次のステップS92に進む。ステップS92では、ノズル保持部10を実際に回転させて、ノズル保持部10の回転角度を現在のnに対応する回転角度にセットする。そして、標体30を部品カメラ18の直上に移動させ、部品カメラ18で標体30の画像認識を行う(ステップS93)。
ステップS93が終了したら、次いで現在の回転角度カウンタnの値が最大値(ここでは4)であるか否かの判断を行う(ステップS94)。この判断において、現在の回転角度カウンタnの値が最大値でなかった場合には、ステップS95に進んでnの値に1を加えてステップS92に戻る。そして、ノズル保持部10の回転角度を新たなnに対応する回転角度にセットしたうえで(ステップS92)、標体30の画像認識を行う(ステップS93)。一方、ステップS94の判断において現在のnの値が最大値であった場合には、ステップS96に進む。これによりステップS91からステップS96に至る間にノズル保持部10の回転角度が90度、180度、270度及び0度である場合の標体30の各画像が得られる。
ステップS96では、上記工程において得られた4つの画像それぞれに映し出されている標体本体40に配置されている16個の指標42の中心(図8において符号Qで示す)の平均位置を求め、これを吸着ノズル11の回転中心RPとして算出する。そして、ステップS96が終わったらこのサブルーチンを抜け、メインルーチンに復帰してステップS10に進む。
ステップS10では、誤差eの検出を行う(図12のサブルーチン)。この誤差eの検出は、標体30を目標位置である検査用平面51の標体搭載部51aに実際に搭載して行う。これには先ず、現在の回転角度カウンタmの値が1であるか否かの判断を行う(ステップS101)。ここでm=1でなかった場合には、ノズル保持部10の回転角度を0度にセットしたうえで(ステップS102)、部品カメラ18により標体30を撮像し(ステップS103)、後の工程(ステップS104)で必要となる、ノズル保持部10の回転角度が0度であるときの標体30の画像データを取得したうえで次のステップS104に進む。一方、ステップS101の判断においてm=1であった場合には、直近のステップS9において既に標体30の画像データが得られているので、ステップS102,S103をスキップしてそのままステップS104に進む。
ステップS104では、直近のステップS9(m=1のとき)或いは直前のステップS103(m=1以外のとき)で得られたノズル保持部10の回転角度が0度であるときの標体30の画像データから、吸着ノズル11に対する標体本体40の位置ずれを検出する。これは、その標体30の画像データに基づいて、直近のステップS9で求めた吸着ノズル11の回転中心RPと標体本体40の中心Qとの位置ずれを検出して求めることができる。
ステップS104が終了したら、ノズル保持部10を実際に回転させて、ノズル保持部10をの回転角度を現在のmに対応する回転角度にセットし(ステップS105)、標体
30を検査用平面51上の標体搭載部51aに搭載する(ステップS106)。このステップS106における標体30の標体搭載部51への搭載は、ステップS2で検出したステージ50の位置ずれとステップS104で算出した吸着ノズル11の回転中心RPに対する標体本体40の位置ずれがキャンセルされるように補正した制御データで移載ヘッド8を移動させて行い、標体30が制御データに基づいた搭載位置(標体搭載部51aの位置)に達したところでノズル保持部10を降下させ、ベース部材31の下面32が検査用平面51に上方から接触したら、ノズル保持部10内の真空吸着力を解除してノズル保持部10から標体30を分離させる。これにより標体30が検査用平面51上に搭載される。
標体30を検査用平面51上の標体搭載部51aに搭載したら、基板カメラ17をステージ50の上方に移動させ、標体本体40を画像認識する(ステップS107)。標体30が検査用平面51上に搭載されている状態では、標体本体40が備える4つの指標42aはベース部材31のフランジ部34に形成された4つの標体認識穴38を介して上方から画像認識することができるので、基板カメラ17はこれら4つの標体認識穴38を介して画像認識できる4つの指標42の位置に基づいて標体本体40の中心位置を求める。
標体本体40の中心位置を求めたら、その位置と目標位置とを比較して、標体本体30の実際の搭載位置と目標位置との位置ずれを計測する(ステップS108)。なお、平板部材41の色を白色系とし、背景となる標体搭載部51a及び標体30のフランジ部34の色を黒色系としておけば、コントラストがよくなって、標体本体40の各指標42aの認識がし易くなる。
前述のように、標体30を検査用平面51上に搭載する際には、ステップS2で検出したステージ50の位置ずれとステップS104で算出した吸着ノズル11の回転中心RPに対する標体本体40の位置ずれがキャンセルされるように補正した制御データで移載ヘッド8を移動させるようにするので、標体30の実際の搭載位置と目標位置との位置ずれはそのまま誤差eとなり、制御装置21はその誤差eをキャンセルする値を、現在のcの値に対応するc番目のノズル保持部10における、回転角度カウンタmの値に対応するノズル保持部10の回転角度についての校正値として記憶部28(図4)に記憶させる(ステップS109)。ステップS109が終了したらこのステップS10のサブルーチンを抜け、メインルーチンに復帰してステップS11に進む。
ところで、上記ステップS106では、ノズル保持部10が降下して標体30が検査用平面51に上方から接近したとき、その標体30の検査用平面51への接近はステージ50に備えられた近接検知センサ56によって検知され、継電器57はその近接検知センサ56による検知に基づいて、標体30が基板カメラ17によって画像認識されるまでの一定時間のみバッテリ54から電磁石55へ電力を供給して電磁石55を励磁し、ベース部材31の下半部の磁性材料から形成されたフランジ部34は電磁石55によって磁化された平板状部材52の検査用部分52aに引き付けられる。なお、上記「一定時間」は、詳細には、標体30を検査用平面51にタッチダウン(接地)させた直後から、この標体30の搭載時の位置ずれを確認するための画像認識を行うまでであり、この間のみ標体30は検査用平面51上に固定される。
ここで、仮に標体30を検査用平面51上にタッチダウンさせる前から電磁石55の励磁を開始するものとすると、標体30ベース部31のフランジ部34が磁力に影響を受けてタッチダウンのときに標本30が検査用平面51上で位置ずれをする可能性がある。このため本実施の形態では、ノズル保持部10が下降して標体30が検査用平面51に近接したことを検出する近接検知センサ56を設けており、上記標体30の位置ずれが起きないようにしている。
なお、確実に標体30が検査用平面51にタッチダウンした直後に電磁石55の励磁が開始されるようにするため、近接検知センサ56等によって標体30が検査用平面51から一定の距離の位置に近づいたことを検出したときに、タイマーやコンデンサ等によって一定時間(標体30が近づいたことを検出してから標体30がタッチダウンするまでの時間を見越した時間)が経過した後に電磁石55の励磁が開始されるようにしてもよい。
上記構成により、標体30は検査用平面51上の標体搭載部51aに搭載されてから基板カメラ17よって画像認識がなされるまでの間、検査用平面51上にしっかりと固定される。このため、ノズル保持部10から標体30が分離された際に標体30がノズル保持部10との接触により衝撃が与えられたとしても、標体30が検査用平面51からずれたりはずれたりすることがない。一方、基板カメラ17による標体本体40の画像認識が終了した後には、継電器57によってバッテリ54から電磁石55への電力の供給は遮断されて電磁石55は消磁されるので、その後の標体30の検査用平面51からの引き離しは容易である。なお、ベース部31のフランジ部34は電磁石55により磁化された平板状部材52の検査用部分52aと接触して磁化されるが、ベース部材31の円筒部33は非磁性材料から形成されているため、電子部品を扱うことから磁化されることを極度に嫌うノズル保持部10に対して悪影響を与えない。
なお、本実施の形態では、検査用平面51が2つ設けられているが、これは2つの標体30を用いて2つのノズル保持部10についての校正作業を同時に行うことができるようにしているためである。しかし、ここでの説明では1つの標体30を用いて2つのノズル保持部10を1つずつ校正する例を示しているので、標体30は2つの検査用平面51のいずれか一方に搭載すればよい。
ステップS11では、現在の回転角度カウンタmの値が最大値(m=4)であるか否かの判断を行う。そして、mの値が最大値でなかった場合にはmに1を加えたうえで(ステップS12)、ステップS5に戻り、ステップS5以下の工程を前述の要領で繰り返す。なお、ステップS10を終えてステップS5に戻る場合、ステップS10を終了した直後のノズル保持部10はその回転角度を変えることなく保持しておくので、次のステップS5ではノズル保持部10はそのまま降下させるだけで標体30と結合(嵌合)させることができる。
mの値が4となるまでステップS5以下の工程が繰り返されることにより、現在のcの値に対応するc番目のノズル保持部10についての回転角度90度(m=1)、180度(m=2)、270度(m=3)及び0度(m=4)についての各誤差eが求められ、これらの回転角度についての校正値が記憶部28に記憶される。
なお、上記のように90度、180度、270度及び0度の各回転角度についての校正値を求めるのは、部品Pを基板4に実装するときの位置ずれはノズル保持部10の回転角度、すなわち部品Pの取り付け位置(回転姿勢)によって異なることが知られており、実際の部品Pの基板4への搭載実装時に、部品Pの取り付け位置に応じた補正ができるようにするためである。
ステップS11においてmの値が最大値である場合にはステップS13に進み、現在のcの値が最大値(c=2)であるか否かの判断を行う。そして、cの値が最大値でなかった場合には、cの値に1を加えたうえで(ステップS14)、ステップS4に戻り、ステップS4以下の工程を前述の要領で繰り返す。なお、ステップS14を経てステップS4に戻ったとき、ノズル保持部10の回転角度は0度になっている。これは、ステップS11においてmの値が最大値となるのはm=4のときであり、その直前のステップS9にお
いて、ノズル保持部10はその回転角度を0度として標体30を検査用平面51上に搭載しているからである。このように、ステップS14を経てステップS4に戻ったときのノズル保持部10の回転角度が初期値の0度であるということは、或る1つのノズル保持部10についての校正が終了して次のノズル保持部10に校正対象が移行したとき、新しい校正対象となったノズル保持部10に最初に標体30を結合(嵌合)させるときのノズル保持部10の回転角度は初期値の0度ということになる。
前述のように、ノズル保持部10の実際の回転角度と制御上の指令値とは0度以外では必ずしも一致するとは限らないが、本実施の形態では、実際のノズル保持部10の回転角度と制御上の指令値との誤差がほとんどない回転角度が0度の状態で標体30と嵌合させることができるので、ノズル保持部10と標体30との結合(嵌合)を確実に行うことができる。
一方、ステップS13において、現在のcの値が最大値であった場合には、一連の校正プログラム28bを終了する。校正プログラム28bが終了したときには、全てのノズル保持部10について、それぞれの回転角度が90度、180度、270度及び0度である場合の誤差eをキャンセルする校正値が記憶部28に記憶された状態となる。
このような手順によって全てのノズル保持部10を対象とした校正値が求められたら、前述のように、その校正値を用いて実際に電子部品Pを基板4へ実装することになる。
以上説明したように、本実施の形態に示した部品実装装置1及びその校正方法では、校正用の標体30が、吸着ノズル11が取り外された状態の移載ヘッド8のノズル保持部10に着脱自在に装着されるベース部材31と、ベース部材31の下面32(検査用平面51と対向する面)に固定され、画像認識の対象となる指標42を有した標体本体40とを備えて成り、従来の校正用の標体に相当する標体本体40がベース部材31により保護された構成となっているので、標体としては従来のものよりもはるかに大きく、取り扱いが容易であり、紛失しにくいため作業性がよく、校正作業に要する時間を大幅に短縮することができる。また、高精度の加工を要する標体本体40のみをベース部材31とは別個に製作して後で両者を結合すればよいので、工作も容易である。
ここで、前述のように、標体30のベース部材31に設けられた2種類のマーク(第1マーク35a及び第2マーク35b)は、ノズルホルダ13に設けられた位置決めピン13bに対して精度よく形成されているので、これらのマークの位置から、ノズルホルダ13の位置決めピン13bの位置を正確に取得することができる。また、これらのマークを認識することで部品カメラ18の校正、具体的には、部品カメラ18が一次元のCCDカメラである場合のX軸テーブル6の移動方向に対する傾き、スケール及び位置を確認することができ、更に、ノズル保持部10の回転方向の原点合わせ及び吸着ノズル11の回転中心RPの算出を行うことができる。
また、前述のように、標体本体40の指標42は精度よく形成されており、上下両方向から認識することができるので、所定の回転角度で標体30を検査用平面51上に搭載し、基板カメラ17で標体本体40の指標42aを上側から画像認識することで、標体本体40の位置を求めることができる。
なお、上述の実施の形態では、標体本体40の位置ずれを、ステップS10において示したように、標体30を装着したノズル保持部10を軸回りに回転させて部品カメラ18から標体本体40の画像認識を行うことによって求めていたが、他の方法によってもよい。例えば、ノズル保持部10の回転角度を0度にした状態で部品カメラ18により標体本体40の画像認識を行ってその位置ずれを求めた後、ノズル保持部10の回転角度を所定
の角度に変えて標体30を実際に検査用平面51上に搭載し、基板カメラ17によって標体30を画像認識してその目標位置からの位置ずれを求め、搭載前に求めた位置ずれと搭載後に求めた位置ずれを比較することによってノズル保持部10に対する標体本体40の位置ずれを求めることができる。ここで、標体30を検査用平面51に搭載する前に画像認識するときのノズル保持部10の回転角度を常に0度とするのは、吸着ノズル11の回転中心RPが設計上の軸線10bと一致しておらず誤差eを生じているときには、その誤差eによる位置ずれはノズル保持部10の回転角度によって異なる傾向にあるため、位置ずれに対する基準を共通にしておいた方が制御上都合がよいからである。
また、ベース部材31がノズル保持部10に取り付けられた状態で下方から画像認識することができ、その位置によってノズル保持部10の回転角度を検知することができるマーク(第1マーク35a)がベース部材31に設けられているので、ノズル保持部31の実際の回転角度と制御上の指令値との対応関係を求める作業を校正作業に組み込んだ形で行うことができ、従来必要であった上記対応関係を求めるための専用の検査具を脱着する工程が不要となるので、校正作業に要する時間を更に短縮することができる。
ここで、上述の実施の形態では、ノズルホルダ13への装着部を含む上半部である円筒部33の全体が非磁性材料から形成され、検査用平面51と対向する面(下面32)を含む下半部であるフランジ部34の全体が磁性材料から形成された磁性材料部となっていたが、これは、ベース部材31のノズル保持部10への装着部が非磁性材料から形成され、検査用平面51と対向する面(下面32a)の少なくとも一部に磁性材料から成る磁性材料部が設けられていればよい。例えば、円筒部33及びフランジ部34を含むベース部材31の全体を非磁性材料から形成するとともに、磁性体から成る磁性材料部材をフランジ部34に取り付け、その磁性材料部材の表面がフランジ部34の下面32から露出するようにした構成としてもよい。
また、移載ヘッド8によって標体30が搭載される標体搭載ステージ50が、上面の少なくとも一部に標体30を搭載させるための検査用平面51を有した平板状部材52と、検査用平面51上に搭載された標体30が画像認識されるまでの間の一定時間のみ平板状部材を介して標体30を検査用平面51上に固定保持する固定保持手段53とを備えており、標体30の画像認識時にはその標体30を検査用平面51上にしっかりと固定する一方、標体30の画像認識が終了した後には容易に標体30を検査用平面51から取り外すことができるようになっているので、検査用平面に両面テープを貼り付けて検査用平面上に搭載された標体を固定保持していた従来と比較し、校正作業に要する時間を大幅に短縮することができる。
また、上述の実施の形態では、検査用平面51は基板型の標体搭載ステージ50に形成されたものであり、基台2に対して移動自在な構成であったが、このような構成は必須ではなく、上面の少なくとも一部に標体を搭載させるための検査用平面を有した平板状部材と、検査用平面上に搭載された標体が画像認識されるまでの間の一定時間のみ平板状部材を介して標体を検査用平面上に固定保持する固定保持手段とを備えているのであれば、基台2に固定されたものであってもよい。しかし、上述の実施の形態のように、検査用平面51を備えた平板状部材52が基台2に対して移動自在であり、基板搬送路3により搬送可能な大きさに形成されるとともに、固定手段53の構成品が全て平板状部材52の面内領域内に収まるように設けられたユニット型の構成となっているのであれば、校正作業の開始時に通常の実装用の基板と同様にして基板搬送路3上に投入しさえすれば、その後は自動で校正作業を実行させることができるという構成にすることができる。
更に、上述の実施の形態において示した部品実装装置1が複数台並設してなる部品実装ラインについては、各部品実装装置1が所要の校正値を求めるために使用する標体搭載ス
テージ50を全ての部品実装装置1が共通に使用するようにし、その共通に使用する標体搭載ステージ50を各部品実装装置1が備える基板搬送路3を用いて隣接する部品実装装置間で順次受け渡しながら各部品実装装置1が所要の校正値を求めるようにすることができる。このような部品実装ラインでは、最初の部品実装装置1に標体搭載ステージ50を投入すれば、各部品実装装置1は前工程に位置する部品実装装置1から標体搭載ステージ50を受け取り、校正が終わると後工程に位置する部品実装装置1に送るというようにして校正を連続的に実行していくので、直列的に並べられた全ての部品実装装置1についての校正作業が自動かつ連続的に行われるようになる。このため従来に比べ、複数台の部品実装装置1から成る部品実装ラインについて行う一連の校正作業を極めて簡単に、かつ短時間に行うことが可能となる。なお、このような部品実装ラインでは、校正用の標体は標体搭載ステージ50に載置された状態で、標体搭載ステージ50とともに、次の部品実装装置1へ搬送されていくことになる。
なお、本実施の形態では、固定保持手段53がバッテリ54、電磁石55、近接検知センサ56(近接検知手段)及び継電器57から成るものとして説明したが、このような構成に代えて、平板状部材52に検査用平面51に開口する吸着孔を設け、固定保持手段をバッテリ、バッテリからの電力供給を受けて平板状部材52に設けられた吸着孔を介して空気を吸引し、検査用平面51上に搭載された標体(この標体は上述の実施形態に示したような磁性材料部を有した標体に限られない)を吸着力により検査用平面51上に固定する空気吸引手段、移載ヘッド8にピックアップされた標体が検査用平面51に近接したことを検知する近接検知手段及び近接検知手段により標体が検査用平面51に近接したことが検知された後、検査用平面51に搭載された標体が画像認識されるまでの一定時間のみ空気吸引手段を作動させる継電器を備えた構成とすることもできる。このような構成であっても、標体の画像認識時にはその標体を検査用平面51上にしっかりと固定する一方、標体の画像認識が終了した後には容易に標体を検査用平面51から取り外すことができ、従来と比較して校正作業に要する時間を大幅に短縮することができる効果が得られる。
また、本実施の形態では、吸着ノズル11を取り外した状態のノズル保持部10に標体30を着脱自在に取り付け、ノズル保持部10の回転角度を所定の回転角度にセットしたうえで標体30を検査用平面51上に搭載し、検査用平面51上に搭載された標体30の実際の搭載位置と目標位置との位置ずれを画像認識によって検出する工程を複数回繰り返して行うことにより、そのノズル保持部を対象とした所要の校正値を求めることができるようになっているが、そのノズル保持部10について行う最後に行う工程では、標体30の検査用平面51上への搭載を、ノズル保持部10の回転角度を初期値(0度)に設定した状態で行うようになっている。このため、1つのノズル保持部10についての校正が終了し、次のノズル保持部10に校正の対象が移行した場合には、その新たなノズル保持部10はノズル保持部10の回転角度を初期値、すなわち実際の回転角度と制御上の指令値との誤差がほとんどない回転角度で標体30と嵌合することになり、ノズル保持部10への標体30の装着の失敗が起き難くなるので、移載ヘッド8が備える全てのノズル保持部10を対象とする所要の校正を自動で行わせることが可能となる。
また、本実施の形態では、ノズル保持部10の回転角度を変えて所要のデータを取得する際、ノズル保持部10の回転角度を90度ずつ変えてデータを求めるようにしていたが、変化させる回転角度は90度でなくてもよく、180度や30度、60度などであってもよい。