JP2008202119A - 耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材 - Google Patents

耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材 Download PDF

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Abstract

【課題】工業的な規模での生産が容易で、表面部からの耐延性き裂発生特性に優れ、地震負荷を受ける橋梁や建築などの地上構造物分野に用いて好適な高張力鋼材の提供。
【解決手段】C:0.01〜0.12%、Si:0.05〜0.5%、Mn:0.4〜2%、P≦0.05%、S≦0.003%、Al:0.002〜0.05%、N:0.0015〜0.01%を含み、残部はFeと不純物からなり、(Si/30)+(Mn/20)+(Cu/20)+(Ni/60)+(Cr/20)+(Mo/15)+(V/10)+5B≧0.08%を満足し、鋼材表面部のミクロ組織において、フェライトの分率が10〜40%、ベイナイトの分率が50%以上で、平均粒径が5μm以下である耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材に関し、詳しくは、延性き裂の発生が構造物の終局的な破壊の原因となる鋼構造分野に用いられるのに好適な表面部からの耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材、特に、地震負荷を受ける橋梁や建築などの地上構造物分野に用いられるのに好適な表面部からの耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材に関する。
1995年初頭に発生した兵庫県南部地震は、鋼構造物にも大きな被害をもたらしたことは良く知られている。地震の震度自体が予期していたレベルを上回るレベルであったという設計上の理由が、大きな原因であるとされているが、多数の破壊現場での観察により、溶接の不具合など人為的な原因もなかったとはいえない。
土木・建築分野では大地震に強い構造形式に関する研究が盛んに行われているが、上記の人為的な不具合なども考慮すれば、鋼材特性にその安全性確保機能を持たせるという考えも重要である。なお、土木・建築分野で適用されている材料は、主に日本工業規格(JIS)で規定された規格材である。
具体的には、橋梁分野では、JIS G 3106(2004)に規定されている「溶接構造用圧延鋼材」が、また、建築分野では上記のJIS G 3106(2004)に加えて、JIS G 3136(1994)に規定されている「建築構造用圧延鋼材」が、主に用いられている。
しかしながら、上記の鋼材の耐破壊特性は、0℃あるいは−5℃におけるシャルピー特性としての「吸収エネルギー」のみを保証するものであり、地震負荷を受けた際の挙動に関しては極めて平凡なものでしかない。したがって、現下の状況からすれば、鋼材に対する先進的な機能付与のニーズは強く、こうした高機能鋼材が適用あるいは規格化される機運は高まっていると考えられる。
なお、兵庫県南部地震で起こった鋼構造の破壊形態に関する特徴の一例が、非特許文献1に報告されている。
すなわち、非特許文献1は、神戸市港湾幹線(ハーバーウェイ)P75橋脚の破壊事故について詳細に調査したものであるが、これによると、前記の橋脚が、隅角部に存在する溶接止端部あるいは母材から延性き裂が発生し、それが進展して、「脆性破壊」に至ったことが示されている。
この例に示されるように、橋脚の地震時の破壊事故は「脆性破壊」という極めて壊滅的な破壊であるが、その破壊の前段階には、「延性き裂」の存在がある。したがって、構造物の地震時の安全性を高めるひとつのポイントとして、耐延性き裂発生特性を向上させるということが挙げられる。なお、上記の「延性き裂」は鋼板など鋼材の表面部から発生するものであり、表面部での耐延性き裂発生特性が構造物の安全性に対して重要な位置を占めていると考えられる。
一般に、常温で丸棒を引張試験した場合などにも「延性き裂」が発生して破壊するが、この場合の破壊は、通常最も応力多軸度の高い試験片の中心部から「延性き裂」が発生し、それが連結してき裂が進展した後に破断する形式であり、実構造物で見られる表面から発生する延性破壊とは全く異なるものである。
延性破壊特性に着目した技術は、例えば、特許文献1〜6に開示されている。
すなわち、特許文献1に、ミクロ組織が実質的にフェライト組織、パーライト組織及びベイナイト組織より構成されている鋼板であって、板の両表面部及び中心部の三層に分けたとき、両表面部は板厚の各5%以上に亘って、円相当粒径:7μm以下の面積、アスペクト比:2〜4のフェライト粒を有するフェライト組織を50%以上有し、且つ当該部分のベイナイト分率が5〜25%以下である層で構成され、中心部は板厚の50%以上に亘って、円相当平均粒径:4〜10μm、アスペクト比:2以下のフェライト粒を有し、当該部分のベイナイト分率が10%以下である層で構成されている「アレスト特性および延性破壊特性に優れた鋼板」が開示されている。
特許文献2に、ミクロ組織が実質的にフェライト組織及びパーライト組織より構成されている鋼板であって、板の両表面部及び中心部の三層に分けたとき、両表面部は板厚の各5%以上に亘って、円相当粒径:5μm以下の面積、アスペクト比:2〜4のフェライト粒を有するフェライト組織を50%以上有する層で構成され、中心部は板厚の50%以上に亘って、円相当平均粒径:4〜10μm、アスペクト比:2以下のフェライト粒を有する層で構成されている「アレスト特性および延性破壊特性に優れた鋼板」が開示されている。
特許文献3に、公称応力ー公称歪み曲線における降伏後の降伏棚が1%以上で、且つ公称応力が最大となる公称歪み(εu)から求めた加工硬化指数(n=ln(1+εu))が0.15以上である「高歪負荷状態での耐延性破壊特性に優れた鋼材」が開示されている。
特許文献4に、フェライトと第二相との混合組織からなり、冷間塑性歪のない状態で降伏伸びが0.5%以下で、さらに好ましくは降伏比が75%以上である「延性亀裂発生特性に優れた構造用鋼材」が開示されている。
特許文献5に、圧延途中の厚みをtとしたとき、板厚方向に両表面から0.05t以上0.15t以下の表層領域に対して、Ar3変態点以上900℃以下の未再結晶温度域においてε≧0.5となる相当塑性歪εを付与し、その後前記表層領域の残留累積相当塑性歪量εrがεr≧0.5を満足する時間内に、両表面から板厚t/4位置より芯部側の内部領域の温度をAr3変態点以上に維持しつつ、前記表層領域を2〜15℃/sの冷却速度にて450〜650℃の温度範囲となるまで冷却し、次いで、圧延を再開し、この圧延では前記内部領域に対して0.35≦εr<0.55の残留累積相当塑性歪εrを付与する圧延を行ない、Ar3変態点以上にて圧延を完了すると共に、加工発熱および内部顕熱によって前記表層領域をAr3変態点以下まで複熱させ、その後平均冷却速度が1〜10℃/sとなる様に冷却を行なう「アレスト特性および延性破壊特性に優れた厚鋼板の製造方法」が開示されている。
特許文献6に、質量%で、C:0.04〜0.16%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.5〜2.0%、P:0.03%以下、S:0.01%以下を含み、必要に応じてさらに、Cu:1.0%以下、Ni:2.0%以下、Cr:0.5%以下、Mo:0.5%以下、Nb:0.05%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下、B:0.005%以下の一種または二種以上を含有し、残部が実質的にFeからなり、Ceq≦0.40の鋼を、950℃以上、1200℃以下に加熱後、Ar3点以上で累積圧下率50%以上の圧延を行い、その後直ちにAr3点以上から10℃/s以上の冷却速度で加速冷却を開始後、Ar3−30℃〜Ar3−100℃において一旦冷却を停止し、Pcmを「C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B(%)」として、(0.2×t/Pcm)秒から(0.5×t/Pcm)秒保持した後、再び500℃以上まで、10℃/s以上で加速冷却する「延性および疲労亀裂伝播特性に優れた鋼材の製造方法」が開示されている。
特開2000−328177号公報 特開2000−309851号公報 特開2002−30379号公報 特開2003−221641号公報 特開2003−221619号公報 特開2005−314811号公報 岡下勝彦、大南亮一、道場康二、山本晃久、富松実、丹治康行、三木千壽:土木学会論文集、No.591/I−43(1998)p.243
前述の特許文献1、特許文献2及び特許文献5で開示された技術における「耐延性破壊特性」は、JIS 1B号試験片である原厚ままの全厚引張試験片を用いて評価したものである。
しかしながら、通常、全厚引張試験を行うと、板厚中心部から延性き裂が発生するいわゆる「カップアンドコーン型」で破壊してしまう。
このため、上記の特許文献1、特許文献2および特許文献5で提案された技術は、「表面部における」延性き裂の発生が構造物の終局的な破壊の原因となる鋼構造分野において必ずしも適用できるとはいえないものである。
特許文献3で開示された技術は、表面切欠き付き試験体を用いた引張試験で「耐延性破壊特性」を評価したものである。
しかしながら、表面部に切欠きが存在している場合には、延性き裂の発生点は「板厚内部」となってしまう。
このため、上記の特許文献3で提案された技術も、「表面部における」延性き裂の発生が構造物の終局的な破壊の原因となる鋼構造分野において必ずしも適用できるとはいえないものである。
特許文献4で開示された技術は、0℃における延性き裂発生時のCTOD(弾塑性破壊靱性)が0.40mm以上になることをもって「耐延性き裂発生特性」に優れるとするものである。そして、ASTM E1820−2000に準拠した1TCTコンパクト破壊靱性試験片を用いた破壊靱性試験によって延性き裂発生時のCTODを測定している。
しかしながら、全厚のコンパクト試験の場合には、初期亀裂が板厚を貫通して導入されているため、延性き裂の発生位置は板厚中心部になってしまう。
このため、上記の特許文献4で提案された技術も、前記した特許文献1〜3や特許文献5で提案された技術と同様に、「表面部における」延性き裂の発生が構造物の終局的な破壊の原因となる鋼構造分野において必ずしも適用できるとはいえないものである。
特許文献6で開示された技術は、JIS Z 2204の曲げ試験片を用いて曲げ試験を行ったり、鋼板表層部よりJIS Z 2202のシャルピー衝撃試験片を表面ノッチとなるように採取し、3点曲げ負荷を与えた時にノッチ底より延性き裂が0.1mm発生した時点での押し込み変位量を測定して、「延性」を評価するものである。
このため、「表面部における」延性き裂の発生が構造物の終局的な破壊の原因となる鋼構造分野において適用可能ではある。
しかしながら、板厚内で均質な,微細なフェライトとミクロ組織中に分散して存在する微細構造パーライトを主体とするミクロ組織を有する鋼材を得るために、
〈1〉Ar3点以上から「Ar3−30℃」〜「Ar3−100℃」を10℃/s以上の冷却速度で加速冷却して、フェライトの再結晶粗大化を抑制し微細フェライトを生成させる、
〈2〉「Ar3−30℃」〜「Ar3−100℃」において一旦冷却を停止して(0.2×t/Pcm)秒から(0.5×t/Pcm)秒保持して、鋼板表面と鋼板内部の温度を均一化し、板厚方向に均質なミクロ組織、機械的性質を得るとともに、圧延方向断面(L面)や幅方向断面(C面)で見られるバンド状の粗大パーライトの生成を抑制する、
〈3〉再び500℃以上まで、10℃/s以上で加速冷却して、微細な構造を有するパーライト組織を分散生成させる、
といった複雑な加速冷却工程を経る必要がある。
このため、特許文献6で提案された技術は、工業的な製造工程での「生産性」という観点から、必ずしも現実的なものとはいえない。
そこで、本発明の目的は、工業的な規模での生産が容易であり、表面部における延性き裂の発生が構造物の終局的な破壊の原因となる鋼構造分野に用いて好適な、特に、地震負荷を受ける橋梁や建築などの地上構造物分野に用いて好適な、表面部からの耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材を提供することである。
延性き裂の発生に関する研究は、古くからなされているが、鋼材内部から発生するものが主体であった。
例えば、材料学的因子の解明事例として、G.LeRoyらは、「A Model of Ductile Fracture Based on the Nucleation and Growth of Voids」(Acta Metall.、29(1981)、p.1509)において、引張試験による破断延性と炭化物体積率との関係を明らかにしている。これによると、硬質第二相の体積割合が大きくなると延性は低下する。
また、力学的な観点から、J.W.Hancockらが、「On the Mechanisms of Ductile Failure in High−Strength Steels Subjected to Multi−Axial Stress−States」(Journal of Mech. Phys. Solids、24(1976)、p.147)において、延性き裂発生の限界歪は応力多軸度の影響を大きく受けることを明らかにしている。つまり、応力多軸度が高くなる部位では、限界歪は急激に低下する。
一方、表面部からの延性き裂発生に関しては、岡本らが、「高張力鋼の延性および延性破壊過程に及ぼすMnS介在物の影響」(鉄と鋼、63(1977)、p.1878)において、不純物元素であるSの含有量が高くなると表面部からの延性き裂が発生しやすくなることを明らかにしている。
さらに、力学的には、表面部からの延性き裂発生は、内部からの延性き裂発生の場合と同様に、応力多軸度と相当塑性歪で整理されている。
しかしながら近年、M.Toyodaらが、「Ductile Fracture Initiation Behavior of Pipe under A Large Scale of Cyclic Bending」(Pipeline Technology、II(2000)、p.87)において、表面部からの延性き裂発生は応力多軸度依存型の限界条件を示すものではなく、相当塑性歪一定型の限界条件で良好な整理がなされることを明らかにしている。
そこで、本発明者らは、前記した課題解決のためには、鋼材表面部の延性き裂発生特性を評価する手法を確立することが必要であるとの考えの下に、多数の鋼材を用いて詳細な検討を行った。
その結果、先ず、鋼材表面部の延性き裂発生特性に対して、M.Toyodaらが提唱した上記の「相当塑性歪一定型」の基準が好適であることが明らかになった。
そこで次に、種々の化学組成を有する低炭素合金鋼材の表面から、0.1mmRの鋭い環状切欠きを設けた丸棒引張試験を採取し、単調に引張載荷した後、様々な負荷レベルで途中止めを行うことにより延性き裂が発生した時点での負荷レベルを把握し、また、この試験と並行してFEM解析を実施し、このFEM解析によって延性き裂が発生した負荷レベルでの切欠き先端における相当塑性歪(以下、この延性き裂発生時の相当塑性歪を延性き裂発生の「限界歪」という。)を求めた。
なお、上記環状切欠きを設けた丸棒引張試験の形状は図1に示すとおりであり、図1の(a)は全体図、(b)は環状切欠き部の詳細図である。
その結果、次の知見(a)〜(f)が得られた。
(a)最も汎用的に用いられている「フェライト」と「パーライト」の混合組織を有する鋼材であるいわゆる「フェライト・パーライト鋼材」では、表面部のミクロ組織を極めて細粒にした場合であっても、表面部からの延性き裂発生の限界歪は、100%程度である。
(b)高溶接性高強度鋼材として一般に用いられるマルテンサイト組織、あるいは焼き戻しマルテンサイト組織からなる鋼材では、初期転位密度が高いためか、表面部からの延性き裂発生の限界歪はさらに低く、高くても90%程度である。
(c)鋼中に含まれる硬質介在物の量が少ないほど、表面部からの延性き裂発生の限界歪が大きく「耐延性き裂発生特性」が良好である。
(d)硬質相と軟質相からなる複合組織において、「耐延性き裂発生特性」を改善するための硬質相と軟質相の好適な割合が存在し、硬質相が軟質相より多く存在する場合の表面部からの「耐延性き裂発生特性」は良好である。これは硬質相が連結して力を伝達することと関係があると考えられる。一方、軟質相が複合組織の殆どを占める場合には、表面部からの延性き裂発生の限界歪が小さく「耐延性き裂発生特性」が低い。これは、硬質相近傍の軟質相組織において歪集中が顕著化するためと考えられる。
(e)上記のような硬質相と軟質相からなる複合組織鋼材の場合には、その粒径が小さい方が表面部からの延性き裂発生の限界歪が大きく、「耐延性き裂発生特性」が良好である。
(f)また、上記のような硬質相と軟質相からなる複合組織鋼材の場合には、硬質相と軟質相の硬さ比の大きい方が表面部からの延性き裂発生の限界歪が大きく、「耐延性き裂発生特性」が良好である。
そこで、工業的な規模での生産を念頭に、さらに検討を加えた結果、下記の知見(g)〜(i)を得た。
(g)硬質相と軟質相からなる複合組織鋼材において、表面部からの「耐延性き裂発生特性」を改善するために硬質相として「パーライト」や「マルテンサイト」の割合を高めた場合には、鋼材としての基本的な特性、すなわち、シャルピー衝撃特性に代表される耐脆性破壊特性が顕著に低下することから現実的ではない。したがって、硬質相としては「ベイナイト」を用いるのがよい。
(h)硬質相としての「ベイナイト」および軟質相としての「フェライト」を含むミクロ組織に占める「ベイナイト」と「フェライト」の各割合が特定の範囲にあり、しかも、「フェライト」と「ベイナイト」の粒径が小さい場合に、極めて良好な表面部からの「耐延性き裂発生特性」が確保される。この場合には、第3相として含まれる他の「相」が表面部からの延性き裂発生の限界歪に及ぼす影響は極めて小さい。
(i)式中の元素記号を、その元素の質量%での含有量として、「PP=(Si/30)+(Mn/20)+(Cu/20)+(Ni/60)+(Cr/20)+(Mo/15)+(V/10)+5B」で表されるPPの値が0.08以上あれば、鋼材表面部において、ベイナイトの分率が50%以上であるミクロ組織を確実に得ることができる。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記(1)〜(8)に示す耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材にある。
(1)質量%で、C:0.01〜0.12%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.4〜2%、P:0.05%以下、S:0.003%以下、Al:0.002〜0.050%およびN:0.0015〜0.01%を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、下記(1)式で表されるPPの値が0.08%以上を満足し、鋼材表面部のミクロ組織において、フェライトの分率が10〜40%、ベイナイトの分率が50%以上で、かつ、平均粒径が5μm以下であることを特徴とする耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材。
PP=(Si/30)+(Mn/20)+(Cu/20)+(Ni/60)+(Cr/20)+(Mo/15)+(V/10)+5B・・・(1)。
ここで、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
(2)Feの一部に変えて、質量%で、Cu:0.8%以下、Ni:1%以下、V:0.1%以下およびB:0.002%以下のうちの1種以上を含有することを特徴とする上記(1)に記載の耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材。
(3)Feの一部に変えて、質量%で、Cr:1%以下を含有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材。
(4)Feの一部に変えて、質量%で、Mo:0.8%以下およびNb:0.1%以下のうちの1種以上を含有することを特徴とする上記(1)から(3)までのいずれかに記載の耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材。
(5)Feの一部に変えて、質量%で、Ti:0.1%以下を含有することを特徴とする上記(1)から(4)までのいずれかに記載の耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材。
(6)Feの一部に変えて、質量%で、Ca:0.004%以下を含有することを特徴とする上記(1)から(5)までのいずれかに記載の耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材。
(7)Feの一部に変えて、質量%で、Mg:0.006%以下を含有することを特徴とする上記(1)から(6)までのいずれかに記載の耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材。
(8)Feの一部に変えて、質量%で、希土類元素:0.004%以下を含有することを特徴とする上記(1)から(7)までのいずれかに記載の耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材。
なお、「鋼材表面部」とは、鋼材の最表面から100μmまでの位置をいう。
また、「ベイナイト」とは、ラス状ベイニティックフェライトの界面に、セメンタイト若しくはいわゆる「MA constituent」、またはその両者が存在した組織であり、ベイニティックフェライトの内部にセメンタイトが点列状に配列するいわゆる「下部ベイナイト」を含むものを意味し、上記の組織が焼戻しされた組織も含むものとする。なお、板厚が厚く冷却速度が小さい場合や、水冷停止温度が高く水冷停止後の空冷時間が長い場合には、ベイニティックフェライトの合体によってその見かけ上の形態がラス状から粒状に変化するが、この場合の組織も「ベイナイト」に含むものとする。
上記の「MA constituent」とは、炭素が濃縮した残留オーステナイト若しくはマルテンサイト、または両者の混合した組織である。
「粒径」は、次の定義によるものとする。
すなわち、組織間の方位差が15°以上である大傾角粒界を全て「粒界」とし、その「粒界」で囲まれた領域を1つの「粒」とした場合の、2次元的な観察面における「粒」の最も長い径と直交する方向の粒界間距離をもって「粒径」と定義する。
そして、「粒径」の平均値については、20個以上の「粒」をランダムに計測した場合の算術平均とする。
希土類元素(以下、「REM」という。)は、Sc、Y及びランタノイドの合計17元素の総称であり、REMの含有量はREMの中の1種または2種以上の元素の合計含有量を指す。
以下、上記(1)〜(8)に示す耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材に係る発明を、それぞれ、「本発明(1)」〜「本発明(8)」という。また、総称して「本発明」ということがある。
本発明の耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材は、工業的な規模での生産が容易であり、表面部からの耐延性き裂発生特性に優れるので、表面部における延性き裂の発生が構造物の終局的な破壊の原因となる鋼構造分野、特に、地震負荷を受ける橋梁や建築などの地上構造物分野に用いることができる。
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、化学成分の含有量の「%」は「質量%」を意味する。
(A)化学組成:
C:0.01〜0.12%
Cは、母材の強度を確保するのに有効な元素である。しかしながら、その含有量が0.01%未満では母材に必要な強度が確保できないだけでなく、溶融線(以下、「FL」という。)でのラス形成が不十分になって、FL近傍の溶接熱影響部(以下、「HAZ」という。)の靱性も低下する。一方、その含有量が0.12%を超えると、HAZ、なかでもFL近傍のHAZの靱性劣化が著しくなる。したがって、Cの含有量を0.01〜0.12%とした。なお、Cの含有量は0.03〜0.10%とすることが好ましい。
Si:0.05〜0.50%
Siは、脱酸剤として必要な元素であり、0.05%以上含有させる。しかしながら、Siは、焼き入れままマルテンサイトの焼戻し過程に影響を及ぼし、含有量で0.50%を超える過剰なSiは、溶接後の冷却過程において過飽和に固溶しているCのマルテンサイト中からのセメンタイトへの分解析出反応を抑制していわゆる「自己焼戻し(オートテンパー)」を遅延させたり、島状マルテンサイトを増加させたりして、溶接部の靱性を低下させる。さらに、介在物量の増加を通じて母材靱性も低下させる。よって、Siの含有量は0.05〜0.50%とした。なお、溶接部の靱性向上の観点からは、Siの含有量はできるだけ少ない方がよい。好ましいSi含有量の範囲は、0.05〜0.40%である。
Mn:0.4〜2%
Mnは、脱酸剤、母材の強度と靱性の確保およびHAZの焼入性確保のために有効な元素である。しかしながら、その含有量が0.4%未満では、これらの効果が得られないだけでなく、HAZにいわゆる「フェライトサイドプレート」が生成してラスの形成が不十分になり、溶接部の靱性が低下する。一方、含有量で2%を超える過剰なMnは、中心偏析による板厚方向での母材特性の不均一をもたらす。したがって、Mnの含有量を0.4〜2%とした。なお、Mnの含有量は0.8〜1.6%とすることが好ましい。
P:0.05%以下
Pは、不純物として鋼中に不可避的に存在する元素であり、その含有量が0.05%を超えると、顕著な延性き裂発生特性の劣化を伴う。したがって、Pの含有量を0.05%以下とした。なお、Pの含有量は0.035%以下とすることが好ましい。
S:0.003%以下
Sは、不純物として鋼中に不可避的に存在する元素である。その含有量が高いと中心偏析を助長したり、延伸したMnSが多量に生成して、耐延性き裂発生特性の低下を招き、特に、その含有量が0.003%を超えると、耐延性き裂発生特性の低下が著しくなる。したがって、Sの含有量を0.003%以下とした。Sは少ないほど好ましいため、含有量の下限は特に規定するものではない。
Al:0.002〜0.050%
Alは、脱酸剤として必要な元素であり、0.002%以上含有させる。しかしながら、含有量で0.050%を超える過剰なAlは、AlNなどの析出物の増加を通じて母材部および溶接部の靱性を低下させる。したがって、Alの含有量を0.002〜0.050%とした。なお、Alの含有量は0.01〜0.035%とすることが好ましい。
N:0.0015〜0.01%
Nは、AlNやTiNの形成を通じてHAZ組織を微細化する作用を有するので、0.0015%以上含有させる。しかしながら、Nの含有量が多くなり、特に、0.01%を超えると、析出物の生成を通して耐延性き裂発生特性の低下を招いてしまう。したがって、Nの含有量を0.0015〜0.01%とした。なお、Nの含有量は0.0020〜0.0060%とすることが好ましい。
PPの値:0.08%以上
前記(1)式で表されるPPの値は鋼材表面部におけるベイナイトの分率に影響を及ぼす指標であり、PPの値が0.08%以上であれば、鋼材表面部において、ベイナイトの分率が50%以上という所望のミクロ組織を確実に得ることができる。したがって、前記(1)式で表されるPPの値を0.08%以上とした。なお、PPの値の上限は、マルテンサイト変態を防止しベイナイト分率を確保する理由から0.15である。
上記の「ベイナイト」は、ラス状ベイニティックフェライトの界面に、セメンタイト若しくはいわゆる「MA constituent」、またはその両者が存在した組織であり、ベイニティックフェライトの内部にセメンタイトが点列状に配列するいわゆる「下部ベイナイト」を含むものを意味し、上記の組織が焼戻しされた組織も含むこと、さらに、板厚が厚く冷却速度が小さい場合や、水冷停止温度が高く水冷停止後の空冷時間が長い場合には、ベイニティックフェライトの合体によってその見かけ上の形態がラス状から粒状に変化するが、この場合の組織も「ベイナイト」に含むことは、既に述べたとおりである。
上記の理由から、本発明(1)に係る耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材の化学組成は、C、Si、Mn、P、S、AlおよびNを上述した範囲で含有し、残部はFeおよび不純物からなり、(1)式で表されるPPの値が0.08%以上を満足することとした。
なお、本発明(1)に係る耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材は、そのFeの一部に代えて、必要に応じてさらに、
第1群:Cu:0.8%以下、Ni:1%以下、V:0.1%以下およびB:0.002%以下のうちの1種以上、
第2群:Cr:1%以下、
第3群:Mo:0.8%以下およびNb:0.1%以下のうちの1種以上、
第4群:Ti:0.1%以下、
第5群:Ca:0.004%以下、
第6群:Mg:0.006%以下、
第7群:REM:0.004%以下、
の各グループの元素の1種以上を選択的に含有させることができる。
すなわち、前記第1群〜第7群のグループの元素の1種以上を任意元素として添加し、含有させてもよい。
以下、上記の任意元素に関して説明する。
第1群:Cu:0.8%以下、Ni:1%以下、V:0.1%以下およびB:0.002%以下のうちの1種以上
第1群の元素であるCu、Ni、VおよびBは、母材の強度を高める作用を有するので、この効果を得るために上記の元素を添加し、含有させてもよい。以下、第1群の各元素について詳しく説明する。
Cu:0.8%以下
Cuは、母材の強度を高めるのに有効な元素である。この効果を確実に得るには、Cuの含有量は0.05%以上とすることが望ましい。しかしながら、Cuの含有量が0.8%を超えると、Ac3変態点以下の温度に加熱されたHAZの靱性を劣化させる。したがって、添加する場合のCuの含有量は、0.8%以下とした。なお、添加する場合のCuの含有量は、0.05〜0.8%とすることが好ましく、0.10〜0.40%であればより好ましい。
Ni:1%以下
Niは、母材の強度向上に有効な元素である。この効果を確実に得るには、Niの含有量は0.05%以上とすることが望ましい。しかしながら、Niは高価な元素であり、1%を超えて多量に含有させることは経済性を大きく損なう。したがって、添加する場合のNiの含有量は、1%以下とした。なお、添加する場合のNiの含有量は、0.05〜1%とすることが好ましく、0.20〜0.50%であればより好ましい。
V:0.1%以下
Vは、主に焼戻し時の炭窒化物析出により、母材の強度を向上させる作用を有する。この効果を確実に得るには、Vの含有量は0.005%以上とすることが望ましい。しかしながら、0.1%を超えてVを含有させても、母材の強度向上効果が飽和するうえに、靱性の低下をきたす。したがって、添加する場合のVの含有量は、0.1%以下とした。なお、添加する場合のVの含有量は、0.005〜0.1%とすることが好ましく、0.020〜0.070%であれば一層好ましい。
B:0.002%以下
Bは、母材の強度を高めるのに有効な元素である。この効果を確実に得るには、Bの含有量は0.0001%以上とすることが望ましい。しかしながら、Bの含有量が多くなって0.002%を超えると、粗大な硼化物が析出して靱性の低下を招く。したがって、添加する場合のBの含有量は、0.002%以下とした。なお、添加する場合のBの含有量は、0.0001〜0.002%とすることが好ましく、0.0005〜0.0015%であればより好ましい。
なお、上記のCu、Ni、VおよびBは、そのうちのいずれか1種のみ、または2種以上の複合で含有することができる。
第2群:Cr:1%以下
第2群の元素であるCrは、耐炭酸ガス腐食性を高め、また、焼入れ性を高めるのに有用な元素である。これらの効果を確実に得るには、Crの含有量は0.05%以上とすることが望ましい。しかしながら、Crの含有量が多くなって1%を超えると、他の元素が本発明で規定する条件を満たしていても、HAZの硬化の抑制が難しくなるうえに耐炭酸ガス腐食性向上効果も飽和する。したがって、添加する場合のCrの含有量は1%以下とした。なお、添加する場合のCrの含有量は、0.05〜1%とすることが好ましく、0.10〜0.60%であれば一層好ましい。
第3群:Mo:0.8%以下およびNb:0.1%以下のうちの1種以上
第3群の元素であるMoおよびNbは、母材の強度と靱性を高める作用を有するので、この効果を得るために上記の元素を添加し、含有させてもよい。以下、第3群の各元素について詳しく説明する。
Mo:0.8%以下
Moは、母材の強度と靱性を向上させる作用を有する。この効果を確実に得るには、Moの含有量は0.05%以上とすることが望ましい。しかしながら、Moの含有量が0.8%を超えると、特にHAZの硬さが高くなって、靱性と耐硫化物応力割れ性を損なう。したがって、添加する場合のMoの含有量は0.8%以下とした。なお、添加する場合のMoの含有量は、0.05〜0.8%とすることが好ましく、0.05〜0.50%であればより好ましい。
Nb:0.1%以下
Nbは、組織を微細化して、母材の強度と靱性を向上させる作用を有する。これらの効果を確実に得るには、Nbの含有量は0.003%以上とすることが望ましい。しかしながら、Nbの含有量が多くなって0.1%を超えると、粗大な炭化物、窒化物や炭窒化物を形成して、靱性の低下を招く。したがって、添加する場合のNbの含有量は0.1%以下とした。なお、添加する場合のNbの含有量は、0.003〜0.1%とすることが好ましく、0.005〜0.040%であれば一層好ましい。
なお、上記のMoおよびNbは、そのうちのいずれか1種のみ、または2種の複合で含有することができる。
第4群:Ti:0.1%以下
第4群の元素であるTiは、脱酸作用を有する元素である。Tiには、AlおよびMnとともに酸化物を形成し、組織を微細化する作用もある。これらの効果を確実に得るには、Tiの含有量は0.005%以上とすることが望ましい。しかしながら、Tiの含有量が多くなって0.1%を超えると、形成される酸化物がTi酸化物、あるいはTi−Al酸化物となって分散密度が低下し、特に小入熱溶接した場合のHAZにおける組織微細化効果が失われる。したがって、添加する場合のTiの含有量は0.1%以下とした。なお、添加する場合のTiの含有量は、0.005〜0.1%とすることが好ましく、0.005〜0.020%であればより好ましい。
第5群:Ca:0.004%以下、
第5群の元素であるCaは、溶接割れや水素誘起割れを抑制する作用を有する。すなわち、Caは、鋼中のSおよびOと反応して溶鋼中で酸硫化物(オキシサルファイド)を形成するが、この酸硫化物はMnSなどと異なって圧延加工で圧延方向に延伸することがなく圧延後も球状で存在するため、延伸した介在物の先端などを割れの起点とする溶接割れや水素誘起割れが抑制される。この効果を確実に得るには、Caの含有量は0.0005%以上とすることが望ましい。しかしながら、Caの含有量が0.004%を超えると、靱性の劣化を招くことがある。したがって、添加する場合のCaの含有量は0.004%以下とした。なお、添加する場合のCaの含有量は、0.0005〜0.004%とすることが好ましく、0.0005〜0.0020%であればより好ましい。
第6群:Mg:0.006%以下、
第6群の元素であるMgは、微細なMg含有酸化物を生成し、オーステナイト粒を微細化する作用を有する。この効果を確実に得るには、Mgの含有量は0.0001%以上とすることが望ましい。しかしながら、Mgの含有量が0.006%を超えると、酸化物が多くなりすぎて延性の低下をきたす。したがって、添加する場合のMgの含有量は0.006%以下とした。なお、添加する場合のMgの含有量は、0.0001〜0.006%とすることが好ましく、0.0003〜0.0030%であれば一層好ましい。
第7群:REM:0.004%以下、
第7群の元素であるREMは、HAZの組織の微細化およびSを固定する作用を有する。こうした効果を確実に得るには、REMの含有量は0.0005%以上とすることが望ましい。なお、REMは介在物となって清浄度を低下させるが、REMを含有させることによって形成される介在物は、比較的靱性低下への影響が小さいので、0.004%以下のREMを含む場合の前記介在物による母材の靱性低下は許容できる。したがって、添加する場合のREMの含有量は0.004%以下とした。なお、添加する場合のREMの含有量は、0.0005〜0.004%とすることが好ましく、0.0003〜0.0020%であればより好ましい。
既に述べたように、「REM」は、Sc、Y及びランタノイドの合計17元素の総称であり、REMの含有量はREMの中の1種または2種以上の元素の合計含有量を指す。
上記の理由から、本発明(2)に係る耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材の化学組成は、本発明(1)に係る耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材のFeの一部に代えて、上記第1群の元素、すなわち、Cu:0.8%以下、Ni:1%以下、V:0.1%以下およびB:0.002%以下のうちの1種以上を含有することとした。
本発明(3)に係る耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材の化学組成は、本発明(1)または本発明(2)に係る耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材のFeの一部に代えて、上記第2群の元素であるCrを1%以下含有することとした。
本発明(4)に係る耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材の化学組成は、本発明(1)から本発明(3)までのいずれかに係る耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材のFeの一部に代えて、上記第3群の元素、すなわち、Mo:0.8%以下およびNb:0.1%以下のうちの1種以上を含有することとした。
本発明(5)に係る耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材の化学組成は、本発明(1)から本発明(4)までのいずれかに係る耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材のFeの一部に代えて、上記第4群の元素であるTiを0.1%以下含有することとした。
本発明(6)に係る耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材の化学組成は、本発明(1)から本発明(5)までのいずれかに係る耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材のFeの一部に代えて、上記第5群の元素であるCaを0.004%以下含有することとした。
本発明(7)に係る耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材の化学組成は、本発明(1)から本発明(6)までのいずれかに係る耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材のFeの一部に代えて、上記第6群の元素であるMgを0.006%以下含有することとした。
本発明(8)に係る耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材の化学組成は、本発明(1)から本発明(7)までのいずれかに係る耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材のFeの一部に代えて、上記第7群の元素であるREMを0.004%以下含有することとした。
(B)鋼材表面部のミクロ組織:
高張力鋼材を、表面部における延性き裂の発生が構造物の終局的な破壊の原因となる鋼構造分野、特に、地震負荷を受ける橋梁や建築などの地上構造物分野に安全に用いるためには、その鋼材表面部のミクロ組織を、フェライトの分率が10〜40%、ベイナイトの分率が50%以上で、かつ、平均粒径が5μm以下であるものとする必要がある。
鋼材表面部のミクロ組織において、上記「フェライトの分率」、「ベイナイトの分率」および「平均粒径」のいずれか1つでも上記の範囲から外れると、表面部からの延性き裂発生の限界歪が小さく「耐延性き裂発生特性」の低い鋼材となってしまう。
なお、既に述べたように、「鋼材表面部」とは、鋼材の最表面から100μmまでの位置をいう。
また、「ベイナイト」は、ラス状ベイニティックフェライトの界面に、セメンタイト若しくはいわゆる「MA constituent」、またはその両者が存在した組織であり、ベイニティックフェライトの内部にセメンタイトが点列状に配列するいわゆる「下部ベイナイト」を含むものを意味し、上記の組織が焼戻しされた組織も含むこと、さらに、板厚が厚く冷却速度が小さい場合や、水冷停止温度が高く水冷停止後の空冷時間が長い場合には、ベイニティックフェライトの合体によってその見かけ上の形態がラス状から粒状に変化するが、この場合の組織も「ベイナイト」に含むことは、既に述べたとおりである。
また、組織間の方位差が15°以上である大傾角粒界を全て「粒界」とし、その「粒界」で囲まれた領域を1つの「粒」とした場合の、2次元的な観察面における「粒」の最も長い径と直交する方向の粒界間距離をもって「粒径」と定義すること、さらに、20個以上の「粒」をランダムに計測した場合の算術平均を「粒径」の平均値とすることも、既に述べたとおりである。
前記「鋼材表面部」のミクロ組織における「相」に関しては、フェライトの分率が10〜40%、ベイナイトの分率が50%以上でありさえすれば、第3相として他の相を含んでいても構わない。
なお、上記「鋼材表面部」のミクロ組織におけるベイナイトの分率の上限は、軟質相がゼロになってしまっては所望の効果が発揮されないことから95%である。
また、上記「鋼材表面部」のミクロ組織における平均粒径の下限は特に規定する必要はないが、1μm未満の細粒になった場合には粒界三重点などにセメンタイトが単体で析出し、局部的な歪集中を助長することから1μmとなる。
なお、本発明に係る耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材は、前記(A)項に記載の化学組成を有する鋼を溶製した後、造塊分塊法や連続鋳造法によりスラブを作製し、その後に例えば、次に示す〔1〕〜〔4〕あるいは〔1〕〜〔5〕の工程を順に経ることにより、製造することができる。
〔1〕スラブの加熱:
鋼材の組織の細粒化は、組織の受け継ぎを通じて母材表面部の最終組織に影響を及ぼす。スラブの加熱温度を低温化することで顕著な微細化効果が得られるが、加熱温度が低すぎると所望の板厚までの圧延が困難になるとともに、析出物の固溶−析出挙動が滞ることにより強度不足が生じる。
具体的には、900℃未満の低温での加熱では所望の板厚までの圧延が困難になるとともに、鋼材の強度不足が顕著化する。一方、1150℃を超える加熱では、組織の微細化が進まない。したがって、900〜1150℃にスラブを加熱することが好ましい。
〔2〕加熱後のスラブの水冷:
加熱炉から抽出したスラブは熱間圧延を行うために圧延機に送られるが、圧延機に噛み込ませる前に、加熱炉で発生した一次スケールを除去する目的で、「スケールブレーカー」と呼ばれる高圧水によるスケール除去装置を通過させる。
上記の高圧水によるスラブ表面の処理は、スケールを除去するだけではなく、水冷によりスラブ表面のごく一部の部位をフェライト変態させる作用を有する。なお、スラブ表面が水冷中止状態になると、上記のフェライト変態した部位は、内部からの複熱により再度オーステナイトに逆変態する。そして、この変態挙動が複数回繰り返されることにより、圧延前のスラブ表面の組織は微細になる。
したがって、この加熱後のスラブの水冷工程は極めて有用であるので、例えば、図2に示すように、スケールブレーカーのスラブ迎え側でのノズルの傾き角度(θ)を10〜35゜とし、19.6MPa以上(200kgf/cm2以上)の水圧で行えばよい。
なお、上記スケールブレーカーの水圧の上限は特に定めなくとも良いが、通常は設備的仕様制約より決定され、およそ39.2MPaである。
〔3〕圧延:
オーステナイトの未再結晶域で圧延を行うことにより、オーステナイト中に微細なサブグレインを形成させることができるので、変態後の組織を微細化することができる。
特に、オーステナイトの未再結晶域で圧延を行うことにより、表面部の組織は顕著に微細化する。
この場合、圧延の仕上温度もある程度低い方がよく、900℃以下とすることが望ましい。しかしながら、圧延の仕上温度が低すぎると、十分なベイナイト分率が確保できないので、圧延の仕上温度は750℃以上に制御するのが望ましい。
〔4〕圧延後の冷却:
圧延終了後の冷却方法は、例えば、空冷や水冷など、冷却設備や製品の厚さなどに応じて適宜決定すればよい。
なお、仕上圧延で導入された格子欠陥(転位)をより多く維持して最終的な組織を微細化するために、少なくとも600℃までを10℃/s以上の冷却速度で冷却することが望ましい。
〔5〕焼戻し:
上記〔4〕の冷却後は、必要に応じて700℃以下の温度で焼戻しを行ってもよい。焼戻しすることにより、強度を調整することができ、また、靱性を改善することができる。なお、700℃を超える温度で焼戻しを行うと強度の低下が大きくなる。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1および表2に示す化学組成を有する鋼1〜30および鋼X1〜X7の厚さ300mmのスラブを準備し、表3に示す条件で厚板圧延を行い、板厚25mmの厚鋼板を製造した。
表1および表2中の鋼1〜30は、化学組成が本発明で規定する範囲内にある鋼である。一方、表2中の鋼X1〜X7は、化学組成が本発明で規定する条件から外れた比較例の鋼である。
また、表3の「水冷」欄における「−」は、「水冷」せず空冷したことを示す。同様に、表3の「焼戻し温度」欄における「−」は、「焼戻し」を実施していないことを示す。なお、表3に記載した焼戻し温度における保持時間は60分とした。
Figure 2008202119
Figure 2008202119
Figure 2008202119
このようにして得た各鋼板について、引張特性、衝撃特性、表面部のミクロ組織および耐延性き裂発生特性を調査した。
引張試験は、平行部の直径が12.5mmのJIS Z 2201(1998)に記載の10号引張試験片を採取して室温で行い、降伏強さ(YS)と引張強さ(TS)を測定した。なお、上記の引張試験片は、鋼板の幅方向中央部における板厚方向の1/4近辺部から、圧延方向と平行に採取した。
引張特性の目標は、300MPa以上のYSと490MPa以上のTSを有することとした。
衝撃試験は、JIS Z 2202(1998)に記載の幅10mmのVノッチ試験片を採取してシャルピー衝撃試験を行い、脆性破面率を測定して破面遷移温度(vTrs)を求めた。なお、上記のシャルピー衝撃試験片は、鋼板の幅方向中央部における板厚方向の1/4近辺部から、圧延方向と平行に採取した。
衝撃特性の目標は、vTrsが−40℃以下であることとした。
表面部のミクロ組織については、鋼板の表面部を含むように幅方向中央部から圧延方向と平行に試験片を切り出し、樹脂に埋め込んで鏡面研磨した後、ナイタルで腐食して光学顕微鏡にて観察し、組織(相)を同定してミクロ組織における「ベイナイト」と「フェライト」の各分率を算定した。さらに、40個の「粒」をランダムに計測して「平均粒径」を求めた。
耐延性き裂発生特性は、各鋼板の表面直下から、前述の図1に示す0.1mmRの鋭い環状切欠きを設けた丸棒試験片を採取し、室温で単調に引張載荷して調査した。この際、0.05mmの長さに延性き裂が成長した時点を延性き裂の発生と見なし、さらに、それぞれの応力歪曲線を基に実施したFEM解析を重ね合わせて、延性き裂発生時の相当塑性歪、つまり、延性き裂発生の限界歪を算出した。
なお、FEM解析時のノッチ先端の要素寸法は最小片を30μmとすることで統一した。
耐延性き裂発生特性の目標は、上記のようにして算出した延性き裂発生の限界歪が150%以上であることとした。
表4および表5に、上記の各試験結果をまとめて示す。
Figure 2008202119
Figure 2008202119
表4及び表5から、本発明で規定する条件を満たす試験番号1、試験番号4〜10および試験番号13〜34の鋼板は、延性き裂発生の限界歪が150%以上であり、耐延性き裂発生特性に優れており、しかも、引張特性および衝撃特性も目標を達成していることが明らかである。
これに対して、本発明で規定する条件から外れた試験番号の場合、引張特性、衝撃特性および耐延性き裂発生特性の少なくともいずれかにおいて劣っている。
すなわち、試験番号2および試験番号3の鋼板は、試験番号1の場合と同じ化学組成が本発明で規定する範囲内にある鋼1を用いたものであるが、表面部のミクロ組織におけるフェライト分率がそれぞれ、80%および70%と高く、しかも、平均粒径が粗大化してそれぞれ、6.2μmと6.8μmであるので延性き裂発生の限界歪が小さく、耐延性き裂発生特性が劣っている。
試験番号11および試験番号12の鋼板は、試験番号10の場合と同じ化学組成が本発明で規定する範囲内にある鋼8を用いたものであるが、表面部のミクロ組織における平均粒径が粗大化してそれぞれ、5.6μmと6.5μmであるので、延性き裂発生の限界歪が小さく、耐延性き裂発生特性が劣っている。
試験番号35の鋼板は、鋼X1のC含有量が本発明の規定を超える0.13%で、しかも、表面部のミクロ組織における平均粒径が5.6μmと粗大化しているので、vTrsが上昇して衝撃特性が低下しており、さらに、延性き裂発生の限界歪が小さく、耐延性き裂発生特も劣っている。
試験番号36の鋼板は、鋼X2のSi含有量が本発明の規定を超える0.52%であるので、vTrsが上昇して衝撃特性が低下し、さらに、延性き裂発生の限界歪が小さく、耐延性き裂発生特も劣っている。
試験番号37の鋼板は、鋼X3のMn含有量が本発明の規定を超える2.20%であるので、vTrsが上昇して衝撃特性が低下し、さらに、延性き裂発生の限界歪が小さく、耐延性き裂発生特も劣っている。また、TSは471MPaであって目標に達していない。
試験番号38の鋼板は、鋼X4のAl含有量が本発明の規定を超える0.051%であるので、vTrsが上昇して衝撃特性が低下し、さらに、延性き裂発生の限界歪が小さく、耐延性き裂発生特も劣っている。また、YSおよびTSはそれぞれ、271MPaと403Mpaであって、双方ともその目標に達していない。
試験番号39の鋼板は、鋼X5のN含有量が本発明の規定を超える0.0108%であるので、vTrsが上昇して衝撃特性が低下し、さらに、延性き裂発生の限界歪が小さく、耐延性き裂発生特も劣っている。
試験番号40の鋼板は、vTrsは低く衝撃特性は良好であるものの、鋼X6のPPの値が本発明の規定を下回る0.048%であるので、表面部のミクロ組織において十分なベイナイト分率が得られておらず、さらに、平均粒径も粗大化して5.6μmであるので、延性き裂発生の限界歪が小さく、耐延性き裂発生特性が劣っている。また、YSおよびTSはそれぞれ、231MPaと344Mpaであって、双方ともその目標に達していない。
試験番号41の鋼板は、vTrsは低く衝撃特性は良好であるものの、鋼X7のC含有量が本発明の規程を超える0.17%で、PPの値もが本発明の規定を下回っているので、表面部のミクロ組織において十分なベイナイト分率が得られておらず、さらに、平均粒径も粗大化して6.7μmであるので、延性き裂発生の限界歪が小さく、耐延性き裂発生特性が劣っている。
本発明の耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材は、工業的な規模での生産が容易であり、表面部からの耐延性き裂発生特性に優れるので、表面部における延性き裂の発生が構造物の終局的な破壊の原因となる鋼構造分野、特に、地震負荷を受ける橋梁や建築などの地上構造物分野に用いることができる。
耐延性き裂発生特性調査のために用いた環状切欠きを設けた丸棒引張試験の形状を示す図で、(a)は全体図、(b)は環状切欠き部の詳細図である。 スケールブレーカーのスラブ迎え側でのノズルの傾き角度(θ)について説明する図である。

Claims (8)

  1. 質量%で、C:0.01〜0.12%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.4〜2%、P:0.05%以下、S:0.003%以下、Al:0.002〜0.050%およびN:0.0015〜0.01%を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、下記(1)式で表されるPPの値が0.08%以上を満足し、鋼材表面部のミクロ組織において、フェライトの分率が10〜40%、ベイナイトの分率が50%以上で、かつ、平均粒径が5μm以下であることを特徴とする耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材。
    PP=(Si/30)+(Mn/20)+(Cu/20)+(Ni/60)+(Cr/20)+(Mo/15)+(V/10)+5B・・・(1)
    ここで、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
  2. Feの一部に変えて、質量%で、Cu:0.8%以下、Ni:1%以下、V:0.1%以下およびB:0.002%以下のうちの1種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材。
  3. Feの一部に変えて、質量%で、Cr:1%以下を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材。
  4. Feの一部に変えて、質量%で、Mo:0.8%以下およびNb:0.1%以下のうちの1種以上を含有することを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材。
  5. Feの一部に変えて、質量%で、Ti:0.1%以下を含有することを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材。
  6. Feの一部に変えて、質量%で、Ca:0.004%以下を含有することを特徴とする請求項1から5までのいずれかに記載の耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材。
  7. Feの一部に変えて、質量%で、Mg:0.006%以下を含有することを特徴とする請求項1から6までのいずれかに記載の耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材。
  8. Feの一部に変えて、質量%で、希土類元素:0.004%以下を含有することを特徴とする請求項1から7までのいずれかに記載の耐延性き裂発生特性に優れる高張力鋼材。
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