JP2008201971A - 繊維強化複合材料用液状付加硬化性シリコーン組成物、繊維強化シリコーン複合材料およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】強化繊維と組合せて成形した場合、耐熱性および強度に優れた成形品を与える繊維強化複合材料用液状付加硬化性シリコーン組成物、繊維強化シリコーン複合材料、および該複合材料の製造方法を提供する。
【解決手段】下記(a)、(b)および(c)成分:(a)ケイ素原子に対し、アルケニル基のモル比率が0.3〜2.0であるオルガノポリシロキサン、(b)ケイ素原子に結合した水素原子を有し、ケイ素原子に対する該水素原子のモル比率が0.3〜2.0であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、および(c)白金族金属系触媒、を含む繊維強化複合材料用液状付加硬化性シリコーン組成物;上記液状付加硬化性シリコーン組成物をマトリックスとし、これを強化繊維と混合しそして硬化させた繊維強化シリコーン複合材料。
【選択図】なし
【解決手段】下記(a)、(b)および(c)成分:(a)ケイ素原子に対し、アルケニル基のモル比率が0.3〜2.0であるオルガノポリシロキサン、(b)ケイ素原子に結合した水素原子を有し、ケイ素原子に対する該水素原子のモル比率が0.3〜2.0であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、および(c)白金族金属系触媒、を含む繊維強化複合材料用液状付加硬化性シリコーン組成物;上記液状付加硬化性シリコーン組成物をマトリックスとし、これを強化繊維と混合しそして硬化させた繊維強化シリコーン複合材料。
【選択図】なし
Description
本発明は、耐熱性および強度に優れる繊維強化複合材料用液状付加硬化性シリコーン組成物に関するものである。詳しくは、本発明は、強化繊維と混合し、硬化させて得られる成形品が航空機部材、宇宙機部材、人工衛星部材、自動車部材等に好適に用いることができる繊維強化複合材料用液状付加硬化性シリコーン組成物、該組成物を硬化させて得られる繊維強化シリコーン複合材料、および該シリコーン複合材料の製造方法に関する。
ガラス繊維や炭素繊維などの強化繊維とエポキシ樹脂、フェノール樹脂などのマトリックス樹脂とから構成される繊維強化複合材料は、軽量でありながら優れた機械的特性を有するため、スポーツ、航空宇宙、船舶、自動車産業用途に広く用いられている。
近年、繊維強化複合材料の用途拡大に伴い、繊維強化複合材料には、種々の物性が要求されてきており、その一つとして耐熱性の向上が挙げられる。繊維強化複合材料の耐熱性はマトリックス樹脂の耐熱性に依存しており、この改良として多官能性エポキシ樹脂を用いることや(特許文献1)、ポリアミック酸オリゴマーを用いることが知られている(特許文献2)。また、シロキサンポリマーとアラミド繊維とからなる複合体において、比較的低重合度のシリコーンを縮重合で架橋することにより耐熱性を向上させることも知られている(特許文献3)。更に、有機樹脂とシリコーン樹脂を組み合わせたモジュラス保持性の高い複合材料も知られている(特許文献4)。
しかしながら、マトリックス樹脂として多官能性エポキシ樹脂を使用する場合、耐熱性は未だ充分なものではなく、ポリアミック酸オリゴマーを用いる場合は、溶融粘度が高いため作業性が悪く、作業性を向上させるために溶剤を使用しなければならず、環境への悪影響が懸念され、また、硬化時、縮合により水が発生し、強度低下をもたらす。マトリックス樹脂として、比較的低重合度のシリコーンを縮重合で架橋する場合も、縮合により水又はアルコールが発生し、強度低下をもたらすという問題がある。また、有機樹脂とシリコーン樹脂を組み合わせた場合も高温時、充分な強度が得られないという問題がある。
特開2006-291095号公報
特開2004-331801号公報
特許3862267号公報
特表2006-518798号公報
しかしながら、マトリックス樹脂として多官能性エポキシ樹脂を使用する場合、耐熱性は未だ充分なものではなく、ポリアミック酸オリゴマーを用いる場合は、溶融粘度が高いため作業性が悪く、作業性を向上させるために溶剤を使用しなければならず、環境への悪影響が懸念され、また、硬化時、縮合により水が発生し、強度低下をもたらす。マトリックス樹脂として、比較的低重合度のシリコーンを縮重合で架橋する場合も、縮合により水又はアルコールが発生し、強度低下をもたらすという問題がある。また、有機樹脂とシリコーン樹脂を組み合わせた場合も高温時、充分な強度が得られないという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、強化繊維と組み合わせて硬化させた場合、耐熱性および強度に優れ、航空機部材、宇宙機部材、人工衛星部材、自動車部材等に好適に用いることができる複合材料を与える繊維強化複合材料用液状付加硬化性シリコーン組成物、該組成物を硬化させて得られる繊維強化シリコーン複合材料、および該複合材料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、強化繊維と、マトリックス樹脂として液状付加硬化性シリコーン組成物とを用いることにより得られる繊維強化シリコーン複合材料製品が上記課題を解決することを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、第一に、下記(a)成分、(b)成分、および(c)成分を含む繊維強化複合材料用液状付加硬化性シリコーン組成物を提供する。
(a)成分;ケイ素原子に対し、アルケニル基のモル比率が0.3〜2.0であるオルガノポリシロキサン、
(b)成分;ケイ素原子に結合した水素原子を有し、ケイ素原子に対する該水素原子のモル比率が0.3〜2.0であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、および
(c)成分;白金族金属系触媒。
(a)成分;ケイ素原子に対し、アルケニル基のモル比率が0.3〜2.0であるオルガノポリシロキサン、
(b)成分;ケイ素原子に結合した水素原子を有し、ケイ素原子に対する該水素原子のモル比率が0.3〜2.0であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、および
(c)成分;白金族金属系触媒。
本発明は、第二に、上記液状付加硬化性シリコーン組成物をマトリックスとし、それを強化繊維と混合しそして硬化させた繊維強化シリコーン複合材料を提供する。
本発明は、第三に、上記繊維強化複合材料用液状付加硬化性シリコーン組成物を強化繊維と混合し、この混合物を加熱して硬化させることを特徴とする繊維強化シリコーン複合材料の製造方法を提供する。
本発明の製造方法により得られる繊維強化シリコーン複合材料は、強化繊維として例えばガラス繊維、炭素繊維等の高強度で汎用されている材料を利用することができ、マトリックスとして耐熱性に優れる汎用されているシリコーン材料を用いるため、耐熱性および強度に優れている。そのため、この繊維強化シリコーン複合材料は、高温に晒される航空機部材、宇宙機部材、人工衛星部材、電気・電子機器部材、建築用部材、自動車部材として好適に用いることができる。更に、本発明の製造方法により、このような繊維強化シリコーン複合材料を、資源の無駄な消費を抑制しつつ製造することができる。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
[複合材料]
本明細書において「複合材料」とは、複合材料用液状付加硬化性シリコーン組成物と強化繊維の混合物を、付加反応により硬化させた材料を意味する。液状付加硬化性シリコーン組成物は、複合材料全質量の10〜95質量%であるのが好ましく、20〜80質量%であるのが更に好ましい。
本明細書において「複合材料」とは、複合材料用液状付加硬化性シリコーン組成物と強化繊維の混合物を、付加反応により硬化させた材料を意味する。液状付加硬化性シリコーン組成物は、複合材料全質量の10〜95質量%であるのが好ましく、20〜80質量%であるのが更に好ましい。
[強化繊維]
本明細書において「強化繊維」とは、繊維強化シリコーン複合材料用液状付加硬化性シリコーン組成物と複合することによって機械的強度を向上することができる繊維であって、上記の複合材料の基材となる繊維を意味する。強化繊維としては、公知の高強度且つ耐熱性の繊維が使用し得、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維等の無機質繊維、及びアラミド繊維、ポリエステル繊維、脂肪族ケトン繊維等の有機質繊維が挙げられるが、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、及びアラミド繊維好ましい。強化繊維の繊維径は、好ましくは0.1〜50μm、特に好ましくは1〜30μmである。
本明細書において「強化繊維」とは、繊維強化シリコーン複合材料用液状付加硬化性シリコーン組成物と複合することによって機械的強度を向上することができる繊維であって、上記の複合材料の基材となる繊維を意味する。強化繊維としては、公知の高強度且つ耐熱性の繊維が使用し得、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維等の無機質繊維、及びアラミド繊維、ポリエステル繊維、脂肪族ケトン繊維等の有機質繊維が挙げられるが、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、及びアラミド繊維好ましい。強化繊維の繊維径は、好ましくは0.1〜50μm、特に好ましくは1〜30μmである。
[付加硬化性シリコーン組成物]
付加硬化性シリコーン組成物は前記(a)、(b)および(c)成分を含む。
<(a)成分>
(a)成分のオルガノポリシロキサンは、付加硬化性シリコーン組成物のベースポリマーであり、ケイ素原子に結合したアルケニル基のモル比率がケイ素原子に対し、0.3〜2.0、好ましくは0.3以上で2.0未満、更に好ましくは0.5〜1.5、特に好ましくは0.7〜1.0である。上記モル比が0.3未満であると複合材料がゴム状となり、機械的強度が劣り、一方、2.0を超えると該オルガノポリシロキサンの製造が困難で、汎用性が少なく、経済上不利である。(a)成分としては公知のオルガノポリシロキサンを使用することが出来る。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という。)により測定された(a)成分のオルガノポリシロキサンの重量平均分子量はポリスチレン換算で好ましくは300〜10,000程度である。さらに(a)成分のオルガノポリシロキサンの25℃における粘度は、1〜10,000mPa・sであることが好ましく、10〜3,000mPa・s程度であることが特に好ましい。該粘度がこの範囲内にあると、繊維間にシロキサンが浸透しやすく、また取扱も容易となる。(a)成分のオルガノポリシロキサンは、基本的には、原料の入手のしやすさの観点から、分子鎖(主鎖)がジオルガノシロキサン単位(R1 2SiO2/2単位)の繰返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基(R1 3SiO1/2単位)で封鎖された、分岐を有しない直鎖状構造、または分子鎖が該ジオルガノシロキサン単位の繰返しからなる、分岐を有しない環状構造を有するが、三官能性シロキサン単位(R1SiO3/2単位)やSiO4/2単位等の分岐状構造を部分的に含有していてもよい(上記式中、R1は同一または異種の非置換もしくは置換の、炭素原子数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8の一価炭化水素基である)。
付加硬化性シリコーン組成物は前記(a)、(b)および(c)成分を含む。
<(a)成分>
(a)成分のオルガノポリシロキサンは、付加硬化性シリコーン組成物のベースポリマーであり、ケイ素原子に結合したアルケニル基のモル比率がケイ素原子に対し、0.3〜2.0、好ましくは0.3以上で2.0未満、更に好ましくは0.5〜1.5、特に好ましくは0.7〜1.0である。上記モル比が0.3未満であると複合材料がゴム状となり、機械的強度が劣り、一方、2.0を超えると該オルガノポリシロキサンの製造が困難で、汎用性が少なく、経済上不利である。(a)成分としては公知のオルガノポリシロキサンを使用することが出来る。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という。)により測定された(a)成分のオルガノポリシロキサンの重量平均分子量はポリスチレン換算で好ましくは300〜10,000程度である。さらに(a)成分のオルガノポリシロキサンの25℃における粘度は、1〜10,000mPa・sであることが好ましく、10〜3,000mPa・s程度であることが特に好ましい。該粘度がこの範囲内にあると、繊維間にシロキサンが浸透しやすく、また取扱も容易となる。(a)成分のオルガノポリシロキサンは、基本的には、原料の入手のしやすさの観点から、分子鎖(主鎖)がジオルガノシロキサン単位(R1 2SiO2/2単位)の繰返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基(R1 3SiO1/2単位)で封鎖された、分岐を有しない直鎖状構造、または分子鎖が該ジオルガノシロキサン単位の繰返しからなる、分岐を有しない環状構造を有するが、三官能性シロキサン単位(R1SiO3/2単位)やSiO4/2単位等の分岐状構造を部分的に含有していてもよい(上記式中、R1は同一または異種の非置換もしくは置換の、炭素原子数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8の一価炭化水素基である)。
(a)成分としては、例えば、下記平均組成式(1);
R1 aSiO(4−a)/2 (1)
(式中、R1は上記で定義したとおりであり、aは好ましくは1.5〜2.8、より好ましくは1.8から2.5、さらにより好ましくは1.95〜2.05の範囲の数である。)
で示され、且つケイ素原子に対しアルケニル基をモル比率が0.3〜2.0で有するオルガノポリシロキサンが用いられる。
R1 aSiO(4−a)/2 (1)
(式中、R1は上記で定義したとおりであり、aは好ましくは1.5〜2.8、より好ましくは1.8から2.5、さらにより好ましくは1.95〜2.05の範囲の数である。)
で示され、且つケイ素原子に対しアルケニル基をモル比率が0.3〜2.0で有するオルガノポリシロキサンが用いられる。
上記R1で示される一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基;シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基;これらの炭化水素基中の水素原子の一部又は全部をフッ素原子、臭素原子、塩素原子等のハロゲン原子、シアノ基等で置換した基、例えば、クロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。
式(1)において、R1のうち少なくとも2個はアルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜8、特に好ましくは炭素原子数2〜6のアルケニル基)である。なお、アルケニル基の含有量は、ケイ素原子に対し、モル比率が0.3〜2.0、好ましくは0.3以上で2.0未満、更に好ましくは0.5〜1.5、特に好ましくは0.7〜1.0である。(a)成分のオルガノポリシロキサンが直鎖状構造を有する場合、このアルケニル基は、分子鎖末端および分子鎖末端でない部分のどちらか一方でのみケイ素原子に結合していても、その両方でケイ素原子に結合していてもよいが、組成物の硬化速度、硬化物の物性等の点から、少なくとも一個のアルケニル基が分子鎖末端のケイ素原子に結合していることが好ましい。ケイ素原子に対し、アルケニル基のモル比率が0.3未満の場合には、硬化物は、充分な強度が得られず、モル比率が2.0を超える場合は経済的に不利であり、また、製造上困難である。
上記R1は、基本的には上記のいずれであってもよいが、アルケニル基はビニル基であることが好ましく、アルケニル基以外の一価炭化水素基はメチル基またはフェニル基であることが好ましい。
(a)成分の具体例としては、下記一般式で示される化合物が挙げられる。
なお、上記一般式中のRは、アルケニル基を表さないこと以外は、R1と同様である。bおよびcはb≧0、c≧1を満たす整数であり、b+cはこのオルガノポリシロキサンの分子量および粘度が上記の値(1〜10,000mPa・s、特に10〜3,000mPa・s程度)となる数である。
<(b)成分>
(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)のモル比率が0.3〜2.0、好ましくは0.3以上で2.0未満、更に好ましくは0.5〜1.5、特に好ましくは0.7〜1.0となるように水素原子を含有する。上記モル比率が0.3未満であると複合材料がゴム状となり、機械的強度が劣り、一方、2.0を超えると該オルガノポリシロキサンの製造が困難で、汎用性が少なく、経済上不利である。(b)成分は、(a)成分と反応し、架橋剤として作用する。(b)成分の分子構造は特に限定されず、例えば、線状、環状、分岐状、三次元網状(樹脂状)等の、従来製造されているいずれのオルガノハイドロジェンポリシロキサンも(b)成分として使用することができる。(b)成分が線状構造を有する場合、SiH基は、分子鎖末端および分子鎖末端でない部分のどちらか一方でのみケイ素原子に結合していても、その両方でケイ素原子に結合していてもよい。また、1分子中のケイ素原子の数(または重合度)が、通常、2〜300個、好ましくは4〜150個程度であり、室温(25℃)において液状であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが(b)成分として好ましく使用される。
(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)のモル比率が0.3〜2.0、好ましくは0.3以上で2.0未満、更に好ましくは0.5〜1.5、特に好ましくは0.7〜1.0となるように水素原子を含有する。上記モル比率が0.3未満であると複合材料がゴム状となり、機械的強度が劣り、一方、2.0を超えると該オルガノポリシロキサンの製造が困難で、汎用性が少なく、経済上不利である。(b)成分は、(a)成分と反応し、架橋剤として作用する。(b)成分の分子構造は特に限定されず、例えば、線状、環状、分岐状、三次元網状(樹脂状)等の、従来製造されているいずれのオルガノハイドロジェンポリシロキサンも(b)成分として使用することができる。(b)成分が線状構造を有する場合、SiH基は、分子鎖末端および分子鎖末端でない部分のどちらか一方でのみケイ素原子に結合していても、その両方でケイ素原子に結合していてもよい。また、1分子中のケイ素原子の数(または重合度)が、通常、2〜300個、好ましくは4〜150個程度であり、室温(25℃)において液状であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが(b)成分として好ましく使用される。
(b)成分としては、例えば、下記平均組成式(2);
R2 dHeSiO(4−d−e)/2 (2)
(式中、R2は同一または異種の非置換もしくは置換の、炭素原子数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8の一価炭化水素基であり、dおよびeは、好ましくは0.7≦d≦2.1、0.001≦e≦1.0、かつ0.8≦d+e≦3.0、より好ましくは1.0≦d≦2.0、0.01≦e≦1.0、かつ1.5≦d+e≦2.5を満足する数である。)
で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが用いられる。上記R2としては、例えば、上記平均組成式(1)中のR1と同様の基(ただし、アルケニル基を除く。)が挙げられる。
R2 dHeSiO(4−d−e)/2 (2)
(式中、R2は同一または異種の非置換もしくは置換の、炭素原子数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8の一価炭化水素基であり、dおよびeは、好ましくは0.7≦d≦2.1、0.001≦e≦1.0、かつ0.8≦d+e≦3.0、より好ましくは1.0≦d≦2.0、0.01≦e≦1.0、かつ1.5≦d+e≦2.5を満足する数である。)
で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが用いられる。上記R2としては、例えば、上記平均組成式(1)中のR1と同様の基(ただし、アルケニル基を除く。)が挙げられる。
上記平均組成式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの具体例としては、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、(CH3)2HSiO1/2単位と(CH3)2SiO2/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH3)2HSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH3)2HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C6H5)3SiO1/2単位とからなる共重合体などが挙げられる。
(b)成分の添加量は、全付加硬化性シリコーン組成物中のアルケニル基1モル当たり、特に、全付加硬化性シリコーン組成物中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モル当たり、とりわけ、(a)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モル当たり、本(b)成分中のSiH基の量が0.1〜5.0モル、好ましくは0.5〜3.0モル、より好ましくは0.8〜2.0モルとなる量である。このとき、全硬化性シリコーン組成物中に存在するアルケニル基に対する(a)成分中のケイ素原子と結合したアルケニル基の割合は80〜100モル%が好ましく、90〜100モル%がより好ましい。全付加硬化性シリコーン組成物中にアルケニル基を有する成分として(a)成分しか存在しない場合には、(a)成分中のアルケニル基1モル当たり、本(b)成分中のSiHの量が0.1〜5.0モル、好ましくは0.5〜3.0モル、より好ましくは0.8〜2.0モルとなる量である。該添加量が上記SiHの量が上記の範囲内となる量であると、上記付加硬化性シリコーン組成物の硬化が充分となりやすい。また、該シリコーン組成物の硬化物中に脱水素反応による発泡が生じにくいので、得られる繊維強化シリコーン複合材料の強度および耐熱性が優れたものとなりやすい。
<(c)成分>
(c)成分の白金族金属系触媒は、(a)成分と(b)成分との付加硬化反応(ヒドロシリル化反応)を促進させるための触媒として使用される。(c)成分としては、公知の白金族金属系触媒を用いることができるが、白金もしくは白金化合物を用いることが好ましい。(c)成分の具体例としては、白金黒、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール変性物、塩化白金酸とオレフィン、アルデヒド、ビニルシロキサンまたはアセチレンアルコール類との錯体、白金とビニルシロキサンとの錯体が挙げられるが、その他の公知の付加硬化反応(ヒドロシリル化反応)用の白金族金属系触媒も使用できる。
(c)成分の白金族金属系触媒は、(a)成分と(b)成分との付加硬化反応(ヒドロシリル化反応)を促進させるための触媒として使用される。(c)成分としては、公知の白金族金属系触媒を用いることができるが、白金もしくは白金化合物を用いることが好ましい。(c)成分の具体例としては、白金黒、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール変性物、塩化白金酸とオレフィン、アルデヒド、ビニルシロキサンまたはアセチレンアルコール類との錯体、白金とビニルシロキサンとの錯体が挙げられるが、その他の公知の付加硬化反応(ヒドロシリル化反応)用の白金族金属系触媒も使用できる。
(c)成分の添加量は、触媒としての有効量であり、希望する硬化速度に応じて適時増減すればよいが、(a)成分に対して白金族金属に換算して質量基準で好ましくは0.1〜1,000ppm、より好ましくは1〜200ppmの範囲である。
<無機フィラー>
上記の付加硬化性シリコーン組成物にはマトリックス部分の強化を目的として無機フィラーも配合することもできる。無機フィラーとしては、用途上、比重の軽い無機フィラーが好ましい。無機フィラーとしては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、窒化ケイ素、アルミニウム、酸化チタン、カーボンブラック、窒化ホウ素等が挙げられ、シリカ、アルミナ、及びカーボンブラックが好ましい。無機フィラーを配合する場合は、該フィラーは無機フィラー配合後のシリコーン組成物全体の1〜60体積%、特に1〜50体積%の量で配合するのが好ましい。
上記の付加硬化性シリコーン組成物にはマトリックス部分の強化を目的として無機フィラーも配合することもできる。無機フィラーとしては、用途上、比重の軽い無機フィラーが好ましい。無機フィラーとしては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、窒化ケイ素、アルミニウム、酸化チタン、カーボンブラック、窒化ホウ素等が挙げられ、シリカ、アルミナ、及びカーボンブラックが好ましい。無機フィラーを配合する場合は、該フィラーは無機フィラー配合後のシリコーン組成物全体の1〜60体積%、特に1〜50体積%の量で配合するのが好ましい。
[繊維強化シリコーン複合材料の製造方法]
強化繊維と付加硬化性シリコーン組成物とを含む繊維強化シリコーン複合組成物を加熱することで、該複合組成物中でヒドロシリル化反応が進行し、該複合組成物は硬化する。硬化速度は該複合組成物中の付加硬化性シリコーン組成物の含有量に依存するため、硬化時の温度条件は、該含有量に応じて適宜選択されるが、好ましくは80〜300℃、より好ましくは100〜200℃である。硬化時間は、好ましくは1分〜3時間、より好ましくは3分〜2時間である。また、必要に応じて2次キュアを行ってもよく、その際の温度条件は、好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃〜250℃である。この際のキュア時間は好ましくは10分〜48時間、さらに好ましくは30分〜24時間である。
強化繊維と付加硬化性シリコーン組成物とを含む繊維強化シリコーン複合組成物を加熱することで、該複合組成物中でヒドロシリル化反応が進行し、該複合組成物は硬化する。硬化速度は該複合組成物中の付加硬化性シリコーン組成物の含有量に依存するため、硬化時の温度条件は、該含有量に応じて適宜選択されるが、好ましくは80〜300℃、より好ましくは100〜200℃である。硬化時間は、好ましくは1分〜3時間、より好ましくは3分〜2時間である。また、必要に応じて2次キュアを行ってもよく、その際の温度条件は、好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃〜250℃である。この際のキュア時間は好ましくは10分〜48時間、さらに好ましくは30分〜24時間である。
以下に、実施例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
シリコーン成分として下記(A)及び(B)、そして白金族金属系触媒として下記(C)を使用した。
(A)一分子中にアルケニル基を含有する下式のジオルガノポリシロキサン 55質量%
シリコーン成分として下記(A)及び(B)、そして白金族金属系触媒として下記(C)を使用した。
(A)一分子中にアルケニル基を含有する下式のジオルガノポリシロキサン 55質量%
(C)白金−ジビニルテトラメリルジシロキサン錯体/トルエン溶液(白金元素含有量0.5質量%;ヒドロシリル化触媒) 全ポリシロキサン量に対し0.15質量%
上記の(A)及び(B)をプラネタリーミキサー(井上製作所(株)製混合機の登録商標)に投入し、室温にて一時間攪拌し、その後(C)を投入し、室温にて30分攪拌し、硬化反応性シリコーン組成物を得た。
130mm×190mmの開口部を持つ厚み4mmのスクリーンマスクに、130mm×190mmに加工した炭素繊維クロス(東レ(株)製;トレカCO6644B)11枚(総重量75g)を配置させ、上記で得られた組成物75gを流し込んだ。その後、空気中、125℃で1時間加熱して、130mm×190mmで厚み4mmの繊維強化シリコーン複合材料を得た。オートグラフ(島津製作所 製、AGS-5kNG)を用いて260℃における曲げ弾性率を測定したところ、17,000MPaであった。
[実施例2]
炭素繊維クロスをガラスクロス(ユニチカ(株)製;生機クロスH 340F 107)(総重量75g)に変更した以外は実施例1と同様にして、130mm×190mmで厚み4mmの繊維強化シリコーン複合材料を得た。オートグラフを用いて260℃における曲げ弾性率を測定したところ、5,000MPaであった。
炭素繊維クロスをガラスクロス(ユニチカ(株)製;生機クロスH 340F 107)(総重量75g)に変更した以外は実施例1と同様にして、130mm×190mmで厚み4mmの繊維強化シリコーン複合材料を得た。オートグラフを用いて260℃における曲げ弾性率を測定したところ、5,000MPaであった。
[実施例3]
実施例1の(A)及び(B)、並びに全ポリシロキサン量に対し20体積%のシリカ(US Silica Company製;MIN-U-SIL 5)をプラネタリーミキサーに投入し、室温にて一時間攪拌し、その後実施例1の(C)を投入し、室温にて30分攪拌して硬化反応性シリコーン組成物を得たこと以外は実施例1と同様にして、130mm×190mmで厚み4mmの繊維強化シリコーン複合材料を得た。オートグラフを用いて260℃における曲げ弾性率を測定したところ、20,000MPaであった。
実施例1の(A)及び(B)、並びに全ポリシロキサン量に対し20体積%のシリカ(US Silica Company製;MIN-U-SIL 5)をプラネタリーミキサーに投入し、室温にて一時間攪拌し、その後実施例1の(C)を投入し、室温にて30分攪拌して硬化反応性シリコーン組成物を得たこと以外は実施例1と同様にして、130mm×190mmで厚み4mmの繊維強化シリコーン複合材料を得た。オートグラフを用いて260℃における曲げ弾性率を測定したところ、20,000MPaであった。
[比較例1]
実施例1における(A)を下記(A−1)に、(B)を下記(B−1)に変更した以外は実施例1と同様にして、130mm×190mmで厚み4mmの繊維強化シリコーン複合材料を得た。オートグラフを用いて260℃における曲げ弾性率を測定しようと試みたが、繊維強化シリコーン複合材料がゴム状であったため、測定できなかった。
(A−1)1分子中に2個のアルケニル基を含有する下記式のジオルガノポリシロキサン 95質量%
実施例1における(A)を下記(A−1)に、(B)を下記(B−1)に変更した以外は実施例1と同様にして、130mm×190mmで厚み4mmの繊維強化シリコーン複合材料を得た。オートグラフを用いて260℃における曲げ弾性率を測定しようと試みたが、繊維強化シリコーン複合材料がゴム状であったため、測定できなかった。
(A−1)1分子中に2個のアルケニル基を含有する下記式のジオルガノポリシロキサン 95質量%
Claims (8)
- 下記(a)成分、(b)成分および(c)成分を含む繊維強化複合材料用液状付加硬化性シリコーン組成物:
(a)ケイ素原子に対し、アルケニル基のモル比率が0.3〜2.0であるオルガノポリシロキサン、
(b)ケイ素原子に結合した水素原子を有し、ケイ素原子に対する該水素原子のモル比率が0.3〜2.0であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(c)白金族金属系触媒。 - 更に、シリコーン組成物全体の1〜60体積%の無機フィラーを含む繊維強化複合材料用液状付加硬化性シリコーン組成物。
- 請求項1又は2の繊維強化複合材料用液状付加硬化性シリコーン組成物をマトリックスとし、これを強化繊維と混合し、硬化させた繊維強化シリコーン複合材料。
- 前記強化繊維が炭素繊維である請求項3に係る繊維強化シリコーン複合材料。
- 前記強化繊維がガラス繊維である請求項3に係る繊維強化シリコーン複合材料。
- 前記強化繊維がアラミド繊維である請求項3に係る繊維強化シリコーン複合材料。
- 前記強化繊維がアルミナ繊維である請求項3に係る繊維強化シリコーン複合材料。
- 請求項1又は2の繊維強化複合材料用液状付加硬化性シリコーン組成物を強化繊維と混合し、そして加熱して硬化させることを特徴とする繊維強化シリコーン複合材料の製造方法。
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