JP2008201736A - 2e,6e−体が富化されたファルネサールの製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ファルネサールの立体異性体混合物から簡単な操作によって2E,6E−体を80%以上に富化する方法を提供する。
【解決手段】2E,6E−体と少なくとも1種の他の異性体を含んでいるファルネサール異性体混合物とアルカリ金属重亜硫酸塩とを水性媒体中で反応させ、生成するファルネサールの重亜硫酸塩付加物を結晶として析出させ、母液から分離した結晶をアルカリで分解し、ファルネサールを再生させ、回収することよりなる2E,6E−体が少なくとも80%以上に富化されたファルネサールの製造法。
【選択図】なし
【解決手段】2E,6E−体と少なくとも1種の他の異性体を含んでいるファルネサール異性体混合物とアルカリ金属重亜硫酸塩とを水性媒体中で反応させ、生成するファルネサールの重亜硫酸塩付加物を結晶として析出させ、母液から分離した結晶をアルカリで分解し、ファルネサールを再生させ、回収することよりなる2E,6E−体が少なくとも80%以上に富化されたファルネサールの製造法。
【選択図】なし
Description
本発明は、ファルネサールの異性体混合物から2E,6E−体が富化されたファルネサールの製造法に関する。
ファルネサール、すなわち3,7,11−トリメチル−2,6,10−ドテカトリエン−1−アールは、2位および6位に2個のキラル炭素原子を含み、2E,6E−,2Z−6E−,2Z,6Z−および2E,6Z−異性体の4種の異性体が存在する。このうち2E,6E−体は、例えば肝臓癌の治療薬として開発されたNIK−333などの医薬品の出発原料として用いられている。2E,6E−体が富化されたファルネサールは、市販されている対応するアルコールから誘導するが、安価に販売されているアルコール体中の,対応する2E,6E−体の含有率は50%程度であり、2Z,6E−体を通常15〜30%含んでいる。従って、誘導されたファルネサールの2E,6E−体の含有率も50%程度となる。
2E,6E−体が富化されたファルネサールを得るためのこれまでの方法は、対応するアルコールの形でシリカゲルクロマトグラフィーや精密蒸留により2E,6E−体を富化し、アルデヒドに酸化する方法が一般的である。また、特開昭60−222434号公報には、対応するニトリルの形の異性体混合物を精密蒸留によって所望の異性体を富化し、これを還元、次いで加水分解する方法が開示されている。
これらの方法はファルネサールを直接特定の異性体に富化するものではないから、富化されたその前駆体をファルネサールに転換するための化学反応を必要とする。そのため前駆体ではなく、ファルネサール自体の異性体混合物から2E,6E−体が少なくとも80%、好ましくは90%以上に富化されたファルネサールを簡単な操作によって製造する方法の開発が望まれる。
本発明は、少なくとも1種の他の異性体および2E,6E−体を含んでいるファルネサール異性体混合物から2E,6E−体がエンリッチされたファルネサールを製造するための方法を提供する。この方法は、前記異性体混合物を水性媒体中でアルカリ金属重亜硫酸塩と反応させ、ファルネサールの重亜硫酸塩付加物を結晶として析出させ、分離したこの結晶をアルカリで分解し、油状のファルネサールを再生することよりなる。
この操作によって2E,6E−体の含有率は当初の50%程度から80%以上に富化される。好ましい実施態様によれば、重亜硫酸塩付加物のアルカリ分解前に、付加体を重亜硫酸アルカリの水溶液に加え、加温して溶解し、冷却して析出した結晶を分離し、アルカリで分解する。この付加体の精製を行うことにより、2E,6E−体の含有率が90%以上に富化される。
アルデヒド類およびケトン類の単離法として重亜硫酸アルカリ付加物を使用する方法は良く知られている。例えばこの方法によってシトロネラ油からシトロネラールを単離することができる。この場合は、カルボニル基を持たない成分とカルボニル基を持つ成分とが重亜硫酸塩付加体を生成するか否かによって分離することを原理としている。しかしながら本発明の場合は、各異性体付加物の重亜硫酸アルカリ水溶液に対する溶解度差を利用して溶解度が相対的に低い2E,6E−体を富化する。本発明者らの知る限り、重亜硫酸アルカリ付加体をエナンチオマー混合物から特定のエナンチオマーを分離または富化するために使用することは知られていない。
原料のファルネサール異性体混合物は市販されているアルコール体から誘導したものを使用することができる。通常これらは2E,6E−体を45〜50%、2E,6Z−体を30〜40%、2Z,6E−体を10〜20%、2Z,6Z−体を1〜6%含有する混合物である。原料は4種類すべての異性体を含む必要はなく、目的とする2E,6E−体と、少なくとも1種の他のエナンチオマー、特に2E,6Z−体とを含む混合物であっても良い。
重亜硫酸アルカリ、典型的にはナトリウム塩との付加体の生成は、過剰の重亜硫酸ナトリウムを含む水溶液へ原料を加え、加温溶解することによって開始される。水溶液中の重亜硫酸ナトリウム濃度は30〜50%が普通であり、重亜硫酸ナトリウムはファルネサールに対し3〜6当量使用するのが好ましい。次にこの溶液を冷却し、ファルネサール重亜硫酸ナトリウム付加体の結晶を析出させる。この時重亜硫酸塩付加体の溶解度を低くするため、メタノール、エタノールのような貧溶媒である水混和性有機溶媒を加えても良い。この時4種類の異性体のうち、2E,6E−異性体の重亜硫酸塩付加体の結晶が優先的に析出し、原料に比較してこの異性体を多く含む付加体が得られる。重亜硫酸ナトリウムの代りにカリウム塩を使用しても良い。
例えば濾過によって母液から分離された結晶を再び重亜硫酸塩水溶液に加温溶解し、冷却して重亜硫酸塩付加体を再結晶することにより、2E,6E−体の含有率をさらに高めることができる。
次にこのようにして得られた結晶をアルカリで分解し、ファルネサールを再生する。任意のアルカリを使用することができるが、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが普通である。アルカリ分解は、重亜硫酸付加体の結晶を水と、トルエンのような水不混和性有機溶媒との混液に分散し、これにアルカリ水溶液を加えて攪拌し、有機層と水層とに分離する。有機層を脱水後減圧濃縮すれば、油状のファルネサールが得られる。
水/トルエン混液の代りに水中で重亜硫酸付加物をアルカリ分解し、反応液をトルエンまたは他の有機溶媒で再生したファルネサールを抽出し、減圧蒸留しても良い。
以下の実施例は本発明の例証であって限定を意図しない。実施例中%は、特記しない限り重量基準による。
実施例1
原料として市販品のアルコール体から誘導したファルネサールAを使用した。このもののHPLC分析による各異性体の含有率は表1に示すとおりであった。
原料として市販品のアルコール体から誘導したファルネサールAを使用した。このもののHPLC分析による各異性体の含有率は表1に示すとおりであった。
重亜硫酸ナトリウム1.80g(17.3mmol)を水2.7mlに加え、加温して溶解する。この溶液へ原料ファルネサールA0.78g(3.54mmol)と、メタノール2.7mlを加え、内温60℃まで加温して溶解し、この溶液を5℃以下の温度へ冷却し、攪拌する。析出した結晶を濾過し、メタノール/水(1/1)混液5mlで洗浄し、重亜硫酸付加体の湿った結晶0.63gを得た。
次にこの湿結晶全量をトルエン10mlと水2mlとの混液に分散し、室温にて10%NaOH 2mlを添加し、15分間攪拌して溶解を確認した後、有機層と水層とに分液する。有機層を水10mlで2回洗浄し、無水硫酸マグネシウム2gを加えて脱水した後減圧濾過し、硫酸マグネシウムをトルエン10mlで洗浄する。濾液と洗液とを合し、減圧蒸留(30〜15mmHg/40℃)し、油状のファルネサール0.29g(37.2%)を得た。このものの各異性体含有率を原料の異性体含有率とともに表1に示す。
実施例2
原料として、HPLC分析により表2に示した各異性体含有率を有するファルネサールBを用いた。
原料として、HPLC分析により表2に示した各異性体含有率を有するファルネサールBを用いた。
重亜硫酸ナトリウム5.40g(51.9mmol)を水8.1mlに加え、加温して溶解する。この溶液へ原料ファルネサールB 2.34g(10.6mmol)と、メタノール8.1mlを添加し、内温60℃まで加温して溶解する。この溶液を5℃以下の温度へ冷却し、攪拌して析出する結晶を濾過し、メタノール/水(1/1)混液10mlで洗浄し、湿結晶1.32gを得た。
この湿結晶0.42gを取り、実施例1と同様にトルエン/水混液に分散し、10%NaOHで分解し、分液した有機層を減圧蒸留して油状のファルネサール0.25g(32.1%)を得た。
実施例3
実施例2で得た重亜硫酸塩付加体湿結晶0.44gを取り、水1.0mlに重亜硫酸ナトリウム0.69g(6.63mmol)を溶解した溶解に加え、71℃まで加温して溶解する。この溶液を5℃以下の温度へ冷却し、攪拌して析出する結晶を濾過し、メタノール/水(1/1)2mlで洗浄し、精製した付加体の湿結晶0.25gを得た。
実施例2で得た重亜硫酸塩付加体湿結晶0.44gを取り、水1.0mlに重亜硫酸ナトリウム0.69g(6.63mmol)を溶解した溶解に加え、71℃まで加温して溶解する。この溶液を5℃以下の温度へ冷却し、攪拌して析出する結晶を濾過し、メタノール/水(1/1)2mlで洗浄し、精製した付加体の湿結晶0.25gを得た。
精製した湿結晶全量をトルエン10mlと水2mlの混液に分散し、室温にて10%NaOH 2mlを添加する。10分間攪拌して溶解を確認後分液し、有機層を水10mlで2回洗浄し、無水硫酸マグネシウム2gを加えて脱水し、減圧濾過する。硫酸マグネシウムをトルエン10mlで洗浄し、洗液と濾液を合し、減圧蒸留(30〜15mmHg/40℃)して油状のファルネサール0.14g(17.9%)を得た。
実施例1と同じ条件で実施したHPLC分析による原料B、実施例2および3による処理後の各異性体含有率を表2に示す。
Claims (5)
- 2E,6E−体と少なくとも1種の他の異性体を含んでいるファルネサール異性体混合物とアルカリ金属重亜硫酸塩とを水性媒体中で反応させ、生成するファルネサールの重亜硫酸塩付加物を結晶として析出させ、母液から分離した結晶をアルカリで分解し、ファルネサールを再生させ、回収することよりなる2E,6E−体が少なくとも80%以上に富化されたファルネサールの製造法。
- 重亜硫酸塩付加物の結晶化は、加温した反応液を冷却することによって行われる請求項1の方法。
- 結晶析出を助けるため、反応液へ水混和性の有機溶媒を加えることを含む請求項2の方法。
- 重亜硫酸塩付加物からのファルネサールの再生および回収は、付加物結晶を水と水不混和性有機溶媒の混液へ結晶を分散し、これにアルカリ金属水酸化物の水溶液を添加し、水層と有機層とに分液し、有機層を減圧蒸留することによって行われる請求項1ないし3のいずれかの方法。
- 重亜硫酸塩付加物からのファルネサールの再生および回収は、付加物を水中でアルカリ金属水酸化物と反応させ、再生したファルネサールを有機溶媒で抽出し、減圧蒸留することによって行われる請求項1ないし3のいずれかの方法。
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WO2013099819A1 (ja) * | 2011-12-26 | 2013-07-04 | 公益財団法人相模中央化学研究所 | バナジウム錯体を用いたファルネサールの製造方法 |
CN111269121A (zh) * | 2020-03-10 | 2020-06-12 | 广州巨元生化有限公司 | 一种8-氧代-3,7-二甲基-辛二烯基羧酸酯化合物的纯化方法 |
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2007
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