JP2008201322A - エアバッグ装置のカバー体 - Google Patents

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Abstract

【課題】エアバッグ装置のカバー体を所望の位置から破断し、扉部を円滑に展開する。
【解決手段】折り畳んだエアバッグを覆うカバー体11を、硬質樹脂製のアウタ部21の下面に軟質樹脂製のインナ部22を溶着して構成する。エアバッグの膨張時に、アウタ部21に形成したテアライン24が破断し、扉予定部Cが展開してエアバッグの突出口を形成する。インナ部22に設けた変形可能なヒンジ部により、扉予定部Cと外郭部Dとを連結する。テアライン24を構成する中央テアライン24aに直交して、インナ部22に複数の変形線部39を形成する。変形線部39により、インナ部22が容易に変形可能となる。エアバッグの展開時に、中央テアライン24aの中央部の破断開始位置27からテアライン24を破断して、扉部をバランス良く円滑に展開できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、収納されたエアバッグを覆うエアバッグ装置のカバー体に関する。
従来、自動車のインストルメントパネルに配置される助手席乗員用のエアバッグ装置が知られている。このエアバッグ装置は、箱状をなすケース体を備え、このケース体の内側に、折り畳まれたエアバッグと、このエアバッグを膨出させるガスを噴射するインフレータとを収納しているとともに、ケース体の上側の開口部は、インストルメントパネルに沿って取り付けられるカバー体により覆われている。そして、このカバー体には、平面略H字状や平面略C字状などの破断可能なテアラインが形成され、このテアラインに囲まれた部分が扉予定部として区画形成されている。そして、自動車の衝突時には、インフレータからガスを噴射してエアバッグを膨出させ、このエアバッグの膨出の圧力によりテアラインを破断して扉部を形成するとともに、テアラインを形成していない部分をヒンジとして扉部を展開させて突出口を形成し、この突出口からエアバッグを膨出させ、乗員に加わる衝撃を緩和するようになっている。
例えば、インストルメントパネルに備えられるエアバッグ装置のカバー体について、テアラインを剪断力の方向に略一致するように配置することにより、テアラインを所望の形状に破断する構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2004−1709号公報
このようなカバー体は、テアラインの所望の位置、例えばテアラインの中央部から破断させることにより、扉部を円滑に展開させ、さらにエアバッグを円滑に膨出させることが容易になる。
しかしながら、カバー体の扉予定部が変形しにくく、いわば扉部が剛体である場合は、中央部に位置するテアラインの全長を同時に破断するような挙動となり、扉部が展開する挙動を制御しにくい問題を有している。
特に、外観の向上などを図り、カバー体をインストルメントパネルと一体的に形成したいわゆるシームレスインパネについては、インストルメントパネルの扉予定部の裏面側に、ヒンジ部を設けた別体の部品を接合するため、カバー体の扉予定部が変形しにくくなり、テアラインの破断の挙動を制御しにくい問題を有している。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、破断線部を所望の位置から破断し、カバー体の挙動を容易に制御できるエアバッグ装置のカバー体を提供することを目的とする。
請求項1記載のエアバッグ装置のカバー体は、収納されたエアバッグの膨出側を覆うとともに、このエアバッグの膨出時にこのエアバッグが突出する突出口が形成されるエアバッグ装置のカバー体であって、前記エアバッグの膨出側に配置された扉予定部と、この扉予定部に配置され、前記エアバッグの膨出時の圧力で破断する線分状に設けた破断線部と、前記扉予定部に配置され、前記破断線部の線分の中間位置に交差して延設され、前記扉予定部の隣接する部分より容易に変形する変形線部とを備えたものである。
そして、この構成では、エアバッグが膨出すると、この膨出の圧力により、扉予定部に配置した破断線部が破断して、エアバッグの突出口が形成される。破断線部の中間位置に交差して延設し、扉予定部の隣接する部分より容易に変形する変形線部を備えたため、扉予定部が変形しやすくなり、エアバッグの膨出初期に扉予定部の所望の位置を大きく変形させて、破断線部を所望の位置から破断させることが容易になる。
請求項2記載のエアバッグ装置のカバー体は、請求項1記載のエアバッグ装置のカバー体において、前記破断線部には所望の破断開始位置が設定され、変形線部は、前記破断開始位置を中心に対称形状に配置されたものである。
そして、この構成では、破断線部の破断開始位置を中心に変形線部を対称形状に配置したため、エアバッグが膨出すると、この膨出の圧力により、扉予定部が破断開始位置を中心に変形し、破断線部を破断開始位置から破断させることが容易になる。
請求項3記載のエアバッグ装置のカバー体は、請求項1または2記載のエアバッグ装置のカバー体において、扉予定部を囲む外郭部と、これら扉予定部と外郭部とを区画し、破断線部を含み、エアバッグの膨張時の圧力で少なくとも一部が破断して展開可能な扉部を形成する扉予定線部と、前記扉予定部と前記外郭部とを連結する変形可能な複数のヒンジ部と、前記扉部の展開方向に沿って前記ヒンジ部同士の間に配置された複数の変形線部とを具備したものである。
そして、この構成では、エアバッグが膨出すると、この膨出の圧力により、扉予定部に配置した破断線部が破断し、続いて、扉予定線部の一部あるいは全部が破断などして扉予定部の一部あるいは全部が外郭部から切り離され、扉部が形成されるとともに、扉部はヒンジ部などが支点となって回動し、エアバッグの突出口が形成される。変形線部は、扉部の展開方向に沿ってヒンジ部同士の間に配置したため、ヒンジ部の形成及び変形動作に影響を与えることなく、変形線部が構成される。
請求項4記載のエアバッグ装置のカバー体は、請求項1ないし3いずれか一記載のエアバッグ装置のカバー体において、エアバッグの膨出側に配置されたアウタ扉予定部、このアウタ扉予定部を囲むアウタ外郭部、前記アウタ扉予定部に設けられた破断線部、及び、これら扉予定部とアウタ外郭部とを区画する扉予定線部を備えたアウタ部と、前記アウタ扉予定部に接合されて扉予定部を構成するインナ扉予定部、前記アウタ外郭部に接合されて外郭部を構成するインナ外郭部、前記インナ扉予定部と前記インナ外郭部とを連結するヒンジ部、及び、前記インナ扉予定部に設けられた変形線部を備えたインナ部とを具備するものである。
そして、この構成では、ヒンジ部を備えたインナ部と、扉予定線部を備えたアウタ部とを別体とすることにより、アウタ部をエアバッグ装置以外の部材と一体に形成して、外観の向上が容易になる。また、支持部をヒンジ部と一体に形成することにより、構成が簡略化され製造コストが低減される。インナ扉予定部に変形線部を設けたため、アウタ扉予定部とインナ扉予定部とを接合して扉予定部を形成しても、扉予定部が変形可能となり、破断線部を所望の位置から破断させることが容易になる。
本発明のエアバッグ装置のカバー体によれば、容易に変形する変形線部を備えたため、扉予定部の変形を容易に制御できる。そこで、破断線部を所望の位置から破断し、カバー体の挙動を容易に制御でき、エアバッグの展開特性を容易に向上できる。
以下、本発明のエアバッグ装置のカバー体の一実施の形態を図面を参照して説明する。
図3において、1はエアバッグ装置で、このエアバッグ装置1は、助手席用エアバッグモジュールとも呼び得るもので、車両である自動車のインストルメントパネル部に備えられる助手席乗員用のエアバッグ装置1を構成するものである。そして、インストルメントパネル部は、車室の前部に車幅方向の略全長にわたり設けられ、このインストルメントパネル部の上方には、フロントウィンドウガラスが位置している。そして、このインストルメントパネル部の内部には、助手席の乗員に対向して、エアバッグ装置1が設置されている。そして、このエアバッグ装置1は、被取付部材であるケース体4と、このケース体4の下部に収納された図示しないインフレータと、ケース体4の上部に折り畳んで収納された袋状のエアバッグ6と、このケース体4の上部の開口部を覆うカバー体11とを備えている。そして、このエアバッグ装置1は、ケース体4を図示しないブラケットを介して車体側の部材に固定して、車体に取り付けられている。また、ケース体4の上側部と下側部との間は、上下に連通するガス噴出口を設けた図示しないミッドリテーナで区画され、このミッドリテーナの上側にエアバッグ6が収納され、ミッドリテーナの下側に、シリンダー状のインフレータが収納されている。さらに、ケース体4の上部の前面及び後面には、被取付部として断面略C字状などのフックが取り付けられている。なお、インフレータは、各種の形状及び方式を採りうるもので、例えば、シリンダー状の他、円盤状としても良く、また、燃焼タイプ(パイロタイプ)、ガスを圧縮して貯留するストアードタイプ、あるいはこれらを組み合わせたハイブリッドタイプなど各種のインフレータが用いられる。なお、図3に示す、6aは、エアバッグ6の折り畳み形状を保持する破断可能な布体である。
そして、このエアバッグ装置1を備えた自動車が衝突などして衝撃を受けると、インフレータから供給されるガスによりエアバッグ6が膨出し、この膨出する圧力により、カバー体11を破断して図5に示す突出口12を形成し、膨出側である所定方向としての上方Aに向かってエアバッグ6が突出し、乗員の前方に膨張展開する。なお、以下、エアバッグ6の膨出側である所定方向を上方Aあるいは表面側とし、膨出側の反対側を下方あるいは裏面側として説明する。また、このエアバッグ装置1を自動車に取り付けた状態における前後方向及び車幅方向である両側方向を、前後方向及び両側方向として説明し、フロントガラス(ウインドシールド)側を前側(図2に示す矢印F方向)、乗員側を後方(図2に示す矢印B方向)とするが、この構成に限られず、エアバッグ装置1は、例えば、膨出側が後側上方あるいは後方に向かう状態で車体に取り付けることもできる。
そして、カバー体11は、リッドなどとも呼ばれるもので、図1ないし図4に示すように、いわゆるインストルメントパネルを構成するアウタ部21と、このアウタ部21の裏面側に振動溶着などで取り付けられたインナ部22とを備え、インストルメントパネル部に一体的に構成されるいわゆるシームレスリッドあるいはシームレスインパネと呼ばれる部材を構成している。
そして、アウタ部21は、インストルメントパネル部の表面側を一体的に覆って外部に露出し、すなわち、車室の前部に車幅方向の略全長にわたり略板状に設けられたインストルメントパネル部の一部を構成している。そして、このアウタ部21は、樹脂製で、例えば、ポリプロピレン樹脂による射出成形品で、いわば硬質の樹脂にて形成され、図示しないクリップやねじなどの取付具を用いて車体に取り付けられている。
そして、このアウタ部21の裏面側には、ケース体4の上部の開口部に略対向して、扉予定線部としての弱部であるテアライン24が形成され、非展開部であるアウタ外郭部25と、このアウタ外郭部25に囲まれた前後一対の平面長方形状のアウタ扉予定部26,26が区画形成されている。そして、このアウタ扉予定部26,26が、通常時に折り畳んで収納されたエアバッグ6の膨出側を覆っている。そして、テアライン24は、破断可能及び変形容易な弱部であり、本実施の形態では、中央部を両側に延びる破断線部としての中央テアライン24aと、外郭を構成する外郭テアライン24bとを有した略「日」の字状で、閉ループ状である四角形枠状のテアラインを組み合わせた構成になっている。そして、中央テアライン24aの長手方向の中央部が、折り畳んだエアバッグの中央部に対向する破断開始位置27となっている。また、外郭テアライン24bは、中央テアライン24aに連続して前後に延設されたサイドテアライン24cと、これらサイドテアライン24cのフロントガラス側の端部同士を連結する前側テアライン24d、及びこれらサイドテアライン24cの乗員側の端部同士を連結する後側テアライン24eとを備えている。なお、このテアライン24は、アウタ部21の成形後に、射出成形により平坦に形成された平坦部分にフライス刃などの回転刃により彫刻して後加工した切削溝である凹溝による薄肉部として形成されているが、このテアライン24は射出成形時に凹溝として成形することもできる。
一方、インナ部22は、アウタ部21を構成する材料よりも軟質の材料にて形成された軟質樹脂製で、一対のアウタ扉予定部26,26を合わせた形状よりも大きい平面形状を有し、テアライン24の外郭テアライン24bの内側及び外側に位置してアウタ部21に溶着され、すなわち、アウタ部21のアウタ扉予定部26の裏面に結合されて扉予定部Cを形成するとともに、このアウタ扉予定部26の周囲のアウタ外郭部25に結合されて外郭部Dを形成している。そして、このインナ部22は、エラストマー系の樹脂で形成され、例えば、TPO樹脂(サーモプラスチックオレフィン)の射出成形品である。
そして、このインナ部22は、図1ないし図9に示すように、アウタ部21のアウタ外郭部25の裏面側に固着された四角板枠状のインナ外郭部31と、このインナ外郭部31の内周側の端部から下方に突設された四角筒状の取付片部32と、インナ外郭部31の内周側に位置して各アウタ扉予定部26,26の裏面側に固着された四角板状のインナ扉予定部33,33と、これらインナ扉予定部33,33をインナ外郭部31に連結する複数、本実施の形態では5対合計10個のヒンジ部34とが一体に形成されている。
また、インナ外郭部31及び各インナ扉予定部33の接合面すなわち上面には、図9に示すように、複数の溶着リブ36が格子状などに形成され、振動溶着機を用いた振動溶着によりこれら溶着リブ36が溶融し、インナ外郭部31がアウタ外郭部25に溶着して接合され、インナ扉予定部33,33がアウタ扉予定部26,26に溶着して接合されている。
そして、各アウタ扉予定部26,26同士の間、及び各アウタ扉予定部26,26の両端の短辺の部分に沿って、平面略H字形で小さい幅の切り溝状のインナ破断部である切断部38が形成され、インナ外郭部31とインナ扉予定部33,33とが区画されているとともに、各インナ扉予定部33,33の一辺が、それぞれヒンジ部34によりインナ外郭部31に連結されている。すなわち、切断部38は、中央テアライン24aに対向する位置に沿った中央切断線部38aと、この中央切断線部38aの両端部に連続し外郭テアライン24bのサイドテアライン24cに対向する位置に沿った側部切断線部38bとを備えている。
そして、各ヒンジ部34は、外郭部Dと扉予定部Cとを変形可能に連結するものであり、一部のテアライン24に対向する部位に沿って、本実施の形態では、前後側のテアライン24d,24eに対向する部位に沿って、これらテアライン24を跨ぐようにして、インナ外郭部31とインナ扉予定部33とを可撓的に連結している。そして、このヒンジ部34は、各インナ扉予定部33を切り欠いた位置に形成され、一端部がインナ扉予定部33の外側の端縁部33aから離間した位置に連結され、他端部がインナ外郭部31の端部の角部に連結され、下方すなわち収納されたエアバッグ6側に膨出する断面略Uの字状の連結部となっている。
さらに、各インナ扉予定部33には、各インナ扉予定部33の変形を容易にする線状の弱部である変形線部39が形成されている。変形線部39は、本実施の形態では、各インナ扉予定部33のエアバッグ6側である裏面側を凹設した4列の直線状の凹溝による薄肉部として形成されている。各変形線部39は、切断部38の中央切断線部38aに交差し、さらには直交して互いに平行に配置され、ヒンジ部34同士の間に位置してインナ扉予定部33の外側の端縁部33aにまで達している。そして、各変形線部39は、いわばカバー体11の中央部である中央切断線部38aの破断開始位置27に対して対称に、本実施の形態ではこの破断開始位置27に対して回転対称及びこの破断開始位置27を通り中央切断線部38aに直交する線(図5に示す線E)に対して線対称に形成されている。また、各変形線部39の溝の断面形状は、図4に示すように、略V字状で、さらに、エアバッグ6側である裏面側の角部39a及び奥側である上端の頂点部39bは、滑らかな曲面状とされ、エアバッグ6が保護されている。また、この各変形線部39の部分のインナ部22の樹脂の厚さ寸法tは、0.5mm以上に設定されている。
また、インナ部22の取付片部32は、アウタ部21の外郭テアライン24bの外周側に沿って、いわば突出口12に沿った四角筒状に形成されている。そして、この取付片部32の長手となる前後に対向する面部には、それぞれ取付部であり四角状の角孔である取付孔42が複数形成され、これら取付孔42に、ケース体4に設けたフックがそれぞれ係止され、カバー体11とケース体4とが連結されている。さらに、取付片部32の外周部には、この取付片部32の上側部とインナ外郭部31の下面とを一体に連結する補強リブ44が複数形成され、インナ外郭部31及び取付片部32の剛性が高められ、インナ外郭部31はできるだけ剛体とされている。
さらに、インナ部22のインナ外郭部31の前方の2カ所から、突片部46が延設され、各突片部46に略H字状の位置合せ部47が設けられている。そして、アウタ部21のアウタ外郭部25の下面の2カ所に突設した図示しない位置決め部を、これら位置合せ部47に挿入することにより、インナ部22とアウタ部21とが位置合わせされている。
次に、エアバッグ装置1が作動した際のカバー体11の展開挙動を説明する。
図1に示す状態から、エアバッグ6にガスを供給すると、エアバッグ6はケース体4内で膨張展開すなわち膨出し、その膨出の圧力により、インナ部22の前後のインナ扉予定部33,33を押圧して変形させ、これらインナ扉予定部33,33を介してアウタ部21の前後のアウタ扉予定部26,26を押し上げる。そして、この力により、図5に示すように、アウタ部21のテアライン24が破断し、ヒンジ部34によって、扉予定部Cが扉部Gとして回動すなわち展開し、エアバッグ6が膨出する突出口12を形成する。
ここで、インナ扉予定部33,33には、変形線部39が形成され、さらに、これら変形線部39は、エアバッグ6の略中央部に対向する破断開始位置27を中心に対称に形成されているため、ガスが導入された初期に、カバー体11は破断開始位置27を中心に盛り上がるように変形し、テアライン24は、図5に示すように、中央テアライン24aの破断開始位置27から破断し、矢印Iに示すように両端側に向かって破断が進行し、中央テアライン24aの全長が破断した後、矢印IIに示すように外郭テアライン24bのサイドテアライン24cが破断し、さらに、矢印IIIに示すように外郭テアライン24bの長手方向に沿った前後側のテアライン24d,24eが破断して、扉部Gがバランス良く展開するようになっている。
なお、エアバッグ6の展開時には、中央テアライン24aは全長にわたり破断するが、外郭テアライン24bは、全長にわたって破断する場合のほか、温度条件などによっては、両側のサイドテアライン24cのみ破断し、ヒンジ部34に沿った前後側のテアライン24d,24eの一部あるいは全部は、破断せずに容易に屈曲するヒンジとして機能する場合もある。
このように、本実施の形態によれば、自動車の助手席乗員用のエアバッグ装置1の収納されたエアバッグ6を覆い、このエアバッグ6の膨出時に破断して突出口12を形成するいわゆるシームレスインパネのカバー体11について、アウタ部21に設けたテアライン24の中央テアライン24aの中間位置に交差して、インナ部22に容易に変形する変形線部39を形成したため、扉予定部が変形しやすくなる。そこで、エアバッグ6の膨出初期に扉予定部Cの所望の位置である破断開始位置27の近傍を大きく変形させて、中央テアライン24aを中央部の破断開始位置27から破断させ、さらに所望のテアライン24から逸れることなくこのテアライン24に沿ってエアバッグ6を開裂させ、扉部Gをバランス良く円滑に展開して、エアバッグ6を円滑に展開させることができる。
そして、インナ部22に設けた変形線部39は、中央テアライン24aの破断開始位置27を中心に対称形状に配置したため、エアバッグ6が膨出すると、この膨出の圧力により、扉予定部Cが破断開始位置27を中心に変形し、中央テアライン24aの所望の位置である破断開始位置27から容易に破断させることができる。
さらに、インナ部22に設けた変形線部39は、中央テアライン24aに直交する方向に延設され、扉部Gの展開方向に沿ってヒンジ部34同士の間に配置したため、インナ部22の各ヒンジ部34の部分のアウタ部21への振動溶着による強固な固定構造や、エアバッグ6の膨出時のヒンジ部34の円滑な展開動作に影響を与えることなく、変形線部39を形成できる。
このようにして、カバー体11を所望の破断開始位置27から破断できるため、特に、アウタ部21にインナ部22を重ねて溶着したいわゆるシームレスインパネについて、扉予定部Cの変形可能性を確保し、テアライン24を所望の位置から展開させ、カバー体11の挙動を容易に制御でき、エアバッグ6の展開特性を容易に向上できる。
そして、凹溝を設けた変形線部39を形成することで、カバー体11を容易に円滑に破断して展開させることができるため、複雑な構造を必要がなく、製造コストを低減できる。
また、変形線部39の断面形状や平面形状等を調整することにより、カバー体11を破断する特性を調整することもできる。例えば、図10に示すように、4条の変形線部39を設ける構成において、中央側すなわち破断開始位置27に近接した側の2条の変形線部39cの部分について、インナ部22のインナ扉予定部33を構成する樹脂の厚さ寸法t1を、両外側すなわち破断開始位置27から離間した側の2条の変形線部39dの部分の樹脂の厚さ寸法t2よりも小さくすることにより、中央部の破断開始位置27側での破断を容易にすることができる。
また、変形線部39は、4条に限られず、複数あるいは単数の適宜の数だけ設けることができる。そして、変形線部39を奇数条設定する場合には、中央に位置する変形線部39は、中央部の破断開始位置27と交差するように形成することができる。
また、インナ破断部は、完全に切断された切断部38として説明したが、展開前の状態では樹脂にて連結され、展開時に容易に破断するテアラインとして形成することもできる。
そして、上記の各実施の形態では、インストルメントパネル部の助手席乗員用のエアバッグ装置1のカバー体11について説明したが、自動車の内装パネルとして他の場所に設置されるエアバッグ装置のカバー体に適用することもできる。
また、カバー体11は、インストルメントパネル部の一部を構成するものとして説明したが、この構成に限られず、インストルメントパネル部の全長に一体に形成される構成とすることもできる。
さらに、カバー体11は、別体に形成したアウタ部21とインナ部22とを接合した構成に限られず、これらアウタ部21とインナ部22とを一体に形成することもできる。
本発明は、例えば、自動車の助手席乗員用のエアバッグ装置のカバー体に適用できる。
本発明のエアバッグ装置のカバー体の一実施の形態を示す一部の斜視図である。 同上エアバッグ装置のカバー体の一部の分解斜視図である。 同上エアバッグ装置の図1のIV−IV断面相当位置の説明図である。 同上エアバッグ装置のカバー体の図3の矢印Vで示す部分を拡大した断面図である。 同上エアバッグ装置のカバー体の動作を示す説明図である。 同上エアバッグ装置のカバー体のインナ部の平面図である。 同上エアバッグ装置のカバー体のインナ部の底面図である。 同上エアバッグ装置のカバー体のインナ部の乗員側から見た斜視図図である。 同上エアバッグ装置のカバー体のインナ部の図1のIV−IV断面図である。 本発明のエアバッグ装置のカバー体の一実施の形態を示す一部の断面図である。
符号の説明
1 エアバッグ装置
6 エアバッグ
11 カバー体
12 突出口
21 アウタ部
22 インナ部
24 扉予定線部としてのテアライン
24a 破断線部としての中央テアライン
25 アウタ外郭部
26 アウタ扉予定部
27 破断開始位置
31 インナ外郭部
33 インナ扉予定部
34 ヒンジ部
39 変形線部
A 膨出側としての上方
C 扉予定部
D 外郭部

Claims (4)

  1. 収納されたエアバッグの膨出側を覆うとともに、このエアバッグの膨出時にこのエアバッグが突出する突出口が形成されるエアバッグ装置のカバー体であって、
    前記エアバッグの膨出側に配置された扉予定部と、
    この扉予定部に配置され、前記エアバッグの膨出時の圧力で破断する線分状に設けた破断線部と、
    前記扉予定部に配置され、前記破断線部の線分の中間位置に交差して延設され、前記扉予定部の隣接する部分より容易に変形する変形線部とを備えた
    ことを特徴とするエアバッグ装置のカバー体。
  2. 前記破断線部には所望の破断開始位置が設定され、
    変形線部は、前記破断開始位置を中心に対称形状に配置された
    ことを特徴とする請求項1記載のエアバッグ装置のカバー体。
  3. 扉予定部を囲む外郭部と、
    これら扉予定部と外郭部とを区画し、破断線部を含み、エアバッグの膨張時の圧力で少なくとも一部が破断して展開可能な扉部を形成する扉予定線部と、
    前記扉予定部と前記外郭部とを連結する変形可能な複数のヒンジ部と、
    前記扉部の展開方向に沿って前記ヒンジ部同士の間に配置された複数の変形線部と
    を具備したことを特徴とする請求項1または2記載のエアバッグ装置のカバー体。
  4. エアバッグの膨出側に配置されたアウタ扉予定部、このアウタ扉予定部を囲むアウタ外郭部、前記アウタ扉予定部に設けられた破断線部、及び、これら扉予定部とアウタ外郭部とを区画する扉予定線部を備えたアウタ部と、
    前記アウタ扉予定部に接合されて扉予定部を構成するインナ扉予定部、前記アウタ外郭部に接合されて外郭部を構成するインナ外郭部、前記インナ扉予定部と前記インナ外郭部とを連結するヒンジ部、及び、前記インナ扉予定部に設けられた変形線部を備えたインナ部と
    を具備することを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載のエアバッグ装置のカバー体。
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