JP2008196083A - オフセット印刷用紙 - Google Patents

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比斗志 岡田
Kunihiko Watanabe
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Abstract

【課題】低密度で不透明性の優れたオフセット印刷用紙において、印刷時におけるインキセットが良好でパイリングの少ない印刷適性の優れたオフセット印刷用紙を提供する。
【解決手段】原紙に嵩比重0.25g/cm以下の填料を含有し、表面に平均粒子径が115nm以下であり、アクリロニトリルを10%以上含みゲル含有量が80%以上の合成樹脂ラテックスを5〜20重量%、澱粉を70〜95重量%含んだ塗工層を、片面で0.2〜0.7g/mの塗布量となるよう設ける。
【選択図】なし

Description

本発明は、嵩高で不透明度の高いオフセット印刷用紙に関し、更に詳しくは、オフセット印刷時の粉落ち、ブランケットパイリング、カスレ等、紙に含まれる灰分や紙粉を主な原因とするトラブルの発生が少なく、良好な印刷作業性およびカラー印刷品質を有するオフセット印刷用紙に関する。
オフセット印刷においてはオフセット化、カラー化、高速化が一般化し、印刷媒体となるオフセット印刷用紙に、より優れたカラー印刷適性や印刷作業性を有するオフセット印刷用紙が求められている。オフセット印刷では、比較的タックの強い印刷インキを使用するため、用紙表面の強度が強いことが要求される。また、湿し水を使用するため、表面の耐水性が要求される。表面強度の弱い用紙、あるいは耐水性の低いまたは無い表面を持つ用紙を使用すると、紙粉が版やブランケットに堆積したり、インキに混入することにより、印刷面に所謂カスレを生じさせるといった問題が生じる。
さらに、オフセット印刷用紙を含む印刷用紙は、省資源や物流費の削減といった観点から軽量化が望まれている。紙を軽量化すると紙厚が減少し、不透明度が下がって裏側の印刷が透けてしまうため、読みにくくなるだけでなく紙の高級感も損なわれるという問題がある。そのため、高い不透明度および印刷適性を有した軽量化、すなわち嵩高化が要求されている。
紙の嵩高化方法としては、嵩比重が小さい填料を添加する方法が提案されている。例えば、針状、柱状、イガグリ状炭酸カルシウム等のアスペクト比の高い填料を配合する方法(特許文献1)や、無定形シリカや無定形シリケート、ゼオライト等の多孔性填料を配合する方法(特許文献2)などが提案されている。
多孔性填料は、紙の嵩高化効果に優れる上に、印刷時のインキ成分を吸収する能力が他の填料よりも優れているが、粒度分布がブロードであるため、表面強度が乏しく、粗大粒子に起因するオフセット印刷時のパイリングや粉落ちといった問題が嵩高紙において特に大きな問題となる。
このようなオフセット印刷時のトラブルに対処するため、従来からオフセット印刷用紙の表面には澱粉やPVA、ポリアクリルアミド等を成分とする表面処理剤を塗布することが一般に行われている。これらの表面処理剤は、紙面の強度を向上させ、紙表面の微細繊維や填料をパルプ繊維等に接着させる働きは有るものの、いずれも耐水性に乏しく、湿し水によって紙匹より遊離し易いために、印刷時にブランケット上に堆積したり、紙面に粘着性が生じて断紙が誘発され易いといった難点がある。さらには、これらの表面処理剤はインキの紙表面への浸透を抑えるために、カラー印刷時に塗工ムラに起因するインキ吸収ムラ(印刷面の色ムラ)を発生させるといった難点を抱えている。
上記の如き実状より、オフセット印刷用紙に関しては、各種接着剤を組み合わせるとともに耐水性を向上させることにより、表面強度を高める種々の方法が提案されてきた。例えば、特定のポリアクリルアミド系化合物を表面に塗布することにより用紙表面の強度を高め、さらに多価アルデヒド類を併用することによって、表面耐水性を高める方法(特許文献3)や、PVAにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体を加えた組成物を塗布することにより、表面サイズ性、表面強度を改良する方法(特許文献4)等に提案されている。また、耐水性を持つ接着剤としてラテックスの利用も試みられている。例えば顔料を含有する塗工層に対顔料で70〜300部のラテックスを配合する方法(特許文献5)、塗工紙の上塗り層にゲル含有率40〜70質量%のラテックスを配合する方法(特許文献6)、さらにはオフセット印刷用紙においてゲル含有率が90質量%以上のラテックスを配合する方法(特許文献7)などが開示されている。しかしながら、紙粉の堆積を抑制させることは必ずしも十分なものではなくまた、ラテックス配合過多による表面粘着性悪化(以後、ネッパリ性と称す)など他のトラブルにつながることもあった。
特許第3227421号公報 特許第3306860号公報 特開平8−13384号公報 特開平5−59689号公報 特許2896377号公報 特開平11−279992号公報 特開平11−50393号公報
本発明が解決しようとする課題は、オフセット印刷用紙において、嵩高で不透明度が高くしかもインキセット性も優れ、版パイリング、ブランケットパイリング等、紙に含まれる灰分を主な原因とするトラブルの発生が少なく、良好な印刷作業性およびカラー印刷品質を有するオフセット印刷用紙を提供することにある。
発明者らは、オフセット印刷用紙において、嵩高で高い印刷適性を維持しながらパイリングトラブルを防ぐ手段を鋭意検討した。その結果、嵩比重の低い填料を使用し、オフセット印刷用紙の表面に、適切な粒子径と適切なゲル含有量を有する特定の物性を持った合成樹脂ラテックスを、適切な塗布量で塗工することにより、良好な嵩および印刷後不透明度を維持したまま、パイリングのみならずネッパリ、セットオフなど、極めて良好な印刷作業性が得られることを見出し本発明を完成させた。
本発明は以下の発明を包含する。
(1)原紙に嵩比重0.25g/cm以下の填料を含有し、原紙の表面に、平均粒子径が115nm以下であり、アクリロニトリルを10質量%以上含有し、ゲル含有量が80質量%以上の合成樹脂ラテックスを5〜20質量%、澱粉を70〜95質量%含んだ塗工層を、片面当り乾燥質量で0.2〜0.7g/mの範囲となるよう設け、密度が0.55〜0.70g/cm、坪量が50g/m以上であるオフセット印刷用紙。
(2)前記合成樹脂ラテックスが、アクリロニトリルを20質量%以上含み、ゲル含有量が90質量%以上である(1)記載のオフセット印刷用紙。
(3)前記原紙は、嵩比重0.25g/cm以下の填料含有率が0.5〜5%であることを特徴とする(1)または(2)に記載のオフセット印刷用紙。
本発明により、嵩高なオフセット印刷用紙においてもパイリングの問題を起こすことなく、高い印刷後不透明度を得ることが可能なオフセット印刷用紙を得ることが可能である。
本発明で用いるオフセット印刷用紙の原紙としては、古紙パルプ、メカニカルパルプおよび/またはクラフトパルプなどの化学パルプを原料とし、各種補助薬品より構成される。古紙パルプは資源有効利用の観点から使用することが一般的に行われており、今後もその割合が高まるものと思われる。また、オフセット印刷用紙に求められる重要な品質の中でも特に印刷後不透明度は重要であるが、その目的からメカニカルパルプ(GP、CGP、RGP、PGW、TMP等)を用いることもできる。これら原料パルプは単独または任意の比率で混合して使用される。
さらに、填料としては、嵩高かつ良好な印刷後不透明度を与えるために、嵩比重0.25g/cm以下の填料を含有する。嵩比重が0.25g/cmより大きいと、原紙の嵩および印刷後不透明度がでにくくなり好ましくない。このような嵩高性の良好な填料として、水和珪酸(ホワイトカーボン類)が代表例として挙げられる。ホワイトカーボン類にはアルミノシリケートのような金属酸化物との化合物や、光学特性を改良した二酸化チタンや炭酸カルシウム、クレー等との複合化された各種改良品が含まれる。また、ケイ酸カルシウム、プラスチックピグメントや特殊な軽質炭酸カルシウムでも良い。尚、ここで嵩比重とは、見かけ比重のことを意味する。
本発明で使用する合成樹脂ラテックスは平均粒子径が115nm以下であり、アクリロニトリルを10質量%以上含有し、ゲル含有量が80質量%以上のものを5〜20質量%使用する。
ラテックスとしてはスチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の合成ラテックス類いずれも好適に用いることができる。そもそもラテックスは、一般塗被紙の製造分野で塗被組成物の接着剤として広く使用されている。合成樹脂ラテックスは、低塗工量のオフセット印刷用紙の分野では、ネッパリ性に問題があるとされ、積極的に使用されなかった。しかし、高いゲル含有量と小さな粒子径を有する合成樹脂ラテックスではこの問題が生じないことを見出した。
合成樹脂ラテックスのゲル含有量とは、一般にトルエン不溶分として、ラテックスの架橋度合いの指標として知られているものであり、本発明でのゲル含有量は下記の方法により測定、算出したものである。即ち、合成樹脂ラテックスを室温で乾燥してラテックスフィルムを作成し、この乾燥ラテックスフィルムの約1.0gを正確に秤量し(Bg)、400ccのトルエンに入れ48時間放置した後、300メッシュの金網で濾過後、金網上の未溶解物を室温で乾燥、秤量し(Ag)、ゲル含有量〔(A/B)×100:単位…質量%〕を算出した。
このゲル含有量は、合成樹脂ラテックスの共重合体を構成するモノマー組成、重合時の連鎖移動剤の種類、量等を調節することによって、適宜調節される。例えば、モノマーとしては、スチレン、ブタジエン、メチルメタアクリレート、アクリロニトリル等が例示される。
ところで、一般塗被紙の製造分野で広く使用されている汎用ラテックスのゲル含有量は、通常30〜80質量%程度のものであり、本発明で特定する80質量%以上のゲル含有量は、高い領域にあるものである。高いゲル含有量を有する合成樹脂ラテックスを使用することで、パイリングが軽減される理由としては、ラテックスの架橋度が進んでいることによって、ラテックスが一旦乾燥されてフィルムとなった後、該乾燥フィルムが湿し水によって再湿潤されても、溶出しないことによると推定される。
さらに、ゲル含有量が高い領域においては当初の架橋が高すぎるため、フィルムの形成が悪くなったり耐水性が却って悪くなったりすることがあるが、平均粒子径を115nm以下に規定することにより、さらには共重合体を構成するモノマーとして耐水能の高いアクリロニトリルの含有量を10質量%以上に規定することにより、高いゲル含有量の効果を十分に発揮できることを見出し、オフセット印刷用紙のパイリング改善に適用したことが本発明の大きな特徴のひとつである。平均粒子径が115nm以下では粒子が均一に塗被層に分散するためフィルム化しやすくなり、アクリロニトリル含有量が10質量%以上では耐水性が向上するため、パイリング抑制に効果をもたらすと考えられる。結局いずれかが上記範囲を満足できない場合は、パイリング抑制効果が低下する。
本発明では前記合成樹脂ラテックスを塗工層中に5〜20質量%の範囲で含有させる。5質量%未満では十分な効果が得られないため好ましくなく、また20質量%を越えて含有させると印刷時のネッパリ性が悪化するため好ましくない。
本発明では、塗工層中に澱粉を70〜95質量%含有させる。澱粉が70質量%未満ではネッパリ性が悪化し、95質量%を越えて含有させるとパイリングが悪化する。澱粉種類としては一般的に用いられる生澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉等のエーテル化澱粉、りん酸エステル化澱粉等のエステル化澱粉、あるいは酵素変性澱粉、長鎖アルキル基を含有しない酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉等の澱粉類などを用いることが出来るが、特に疎水基を共重合した澱粉が好ましい。澱粉以外の成分としてはカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースなどの水溶性セルロース類、アルギン酸、グアーガム、キサンタンガム、プルラン等の天然水溶性高分子誘導体類、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の合成水溶性高分子類、などを添加剤として用いることが出来る。
本発明の特徴は、印刷後不透明度、印刷時のクッション性、環境対応としてのDIP利用など、各種要求に対しバランスの取れたオフセット印刷用紙の版パイリングを改良することにあるが、その手段の中心は塗料の接着剤、特にラテックス組成にある。しかし、その他サイズ性やネッパリ性などの品質あるいは操業性など総合的にバランスの取れた紙に仕上げるため、顔料、消泡剤類、スライムコントロール剤類、染料類などを適宜配合してもなんら差し支えない。
また、澱粉、ラテックスを主な構成要素とする塗工層の塗布量は、片面で0.2g/m以上、0.7g/m以下であり、通常は表裏同等に塗工するが、各面に対する塗布量は同じである必要はなく、原紙に表裏差がある場合や、印刷条件が表裏で異なる場合などには、各面の塗布量を適宜調整することが出来る。表裏の合計量としては0.4以上、1.4g/m以下の範囲となる。以下塗工量は片面あたりの塗工量とする。塗工量に制限を設ける理由としては、一般にオフセット印刷紙が高速で印刷され、インキの乾燥は原紙への溶剤の吸収が重要な役割を担うため、塗工層の塗布量が0.7g/mを超えると、原紙内に浸透する塗工層が多くなり、セットオフの低下や印刷後不透明度低下につながる。また、0.2g/m未満では十分な効果は得られない。
塗工層を設けるための塗工装置としては、ブレードメタリングサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ゲートロールコーターなどの、フィルム転写方式のロールコーターが好ましい。ロールコーターであってもフィルム転写方式ではない、例えばツーロールサイズプレスのような装置を使用すると、塗料が紙層内部に浸透してしまい、パイリング防止など本発明における所望の効果が低減する恐れがある。なお、塗料を塗布後の湿潤塗被層を乾燥する方法としては、例えば、蒸気乾燥、ガスヒーター乾燥、電気ヒーター乾燥、赤外線ヒーター乾燥等の各種方式が採用できる。
本発明のオフセット印刷用紙の製造に際しては、原紙の抄造条件について特に限定はなく、抄紙機としては、たとえば、長網式抄紙機、オントップ型抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機などの商業規模の抄紙機が目的に応じて適宜選択される。抄紙方式としては酸性抄紙、中性抄紙、弱アルカリ性抄紙などのいずれでもよい。
表面処理剤組成物の塗被層の形成後に、各種キャレンダー装置にて平滑化処理が施されるが、かかるキャレンダー装置としては、スーパーキャレンダー、ソフトキャレンダー、グロスキャレンダー、コンパクトキャレンダー、マットスーパーキャレンダー、マットキャレンダー等の一般に使用されているキャレンダー装置が適宜使用できる。キャレンダー仕上げ条件としては、剛性ロールの温度、キャレンダー圧力、ニップ数、ロール速度、キャレンダー前の紙水分等が、要求される品質に応じて適宜選択される。さらに、キャレンダー装置は、コーターと別であるオフタイプとコーターと一体となっているオンタイプがあるが、どちらにおいても使用できる。使用するキャレンダー装置の材質は、剛性ロールでは金属もしくはその表面に硬質クロムメッキ等で鏡面処理したロールであり、弾性ロールはウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリアクリレート樹脂等の樹脂ロール、コットン、ナイロン、アスベスト、アラミド繊維等を成型したロールが適宜使用される。なお、キャレンダーによる仕上げ後の塗被紙の調湿、加湿のための水塗り装置、静電加湿装置、蒸気加湿装置等を適宜組合せて使用することも勿論可能である。
本発明のオフセット印刷用紙は坪量が50g/m2以上でありかつ、密度が0.55〜0.70g/mである。これは優れた印刷後不透明度を得るために、50g/m2の坪量は必要であり、嵩比重0.25g/cm以下の填料を利用することによりこの範囲の低密度にすることが可能となる。これらを全て行うことにより、版パイリング、ブランケットパイリングなどのトラブルの発生が少ない、印刷適性及び印刷作業性に優れた嵩高なオフセット印刷用紙となる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は勿論これらに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、%は、全て質量%である。
まず、各種物性測定法について示す。
(印刷後不透明度)
JAPAN TAPPI No.45に準拠した。なお、実施例1の実米坪を基準とし、異なる米坪のサンプルに対しては、0.6%/米坪1g/mとして米坪補正を行なった。
(インキセット性)
上記と同様にして各実施例および比較例で得たオフセット印刷用紙を貼り付けたサンプル台紙を作成し、RI印刷試験機にて、印刷インキ(T&K TOKA株式会社製)を0.5cc使用して印刷を行った。印刷は、サンプルがインキロールにタッチしたところから一定時間ごとに2〜3cmずつ行い、印刷終了後のインキロールを別の紙面に写し取り、その濃度変化を目視評価した。評価は次の5段階評価で行った。
〈評価基準〉
5(優)−1(劣)
5:インキセット性が極めて高かった。
4:インキセット性が高かった。
3:実用的なインキセット性が確保されていた。
2:インキセット性が低かった。
1:インキセット性が極めて低かった。
なお、評価が3未満のものは、実用上問題がある。
(版パイリング)
各実施例および比較例で得たオフセット印刷用紙について、オフセット印刷機(三菱リソピアL−BT3−1100)を使用して、カラー4色刷り印刷を行い、5000部印刷を行った後、版への紙粉の堆積度合いを目視にて判定した。評価は次の5段階評価で行った。
〈評価基準〉
5(優)−1(劣)
5:印刷終了後の版への紙粉の堆積度合いが明確に低い
4:印刷終了後の版への紙粉の堆積度合いがやや低い
3:紙粉の堆積度合いは実用上問題のない程度。
2:印刷終了後の版への紙粉の堆積度合いがやや高い
1:印刷終了後の版への紙粉の堆積度合いが明確に高い
なお、評価が3未満のものは、実用上問題がある。
(ブランケットパイリング)
各実施例および比較例で得たオフセット印刷用紙について、オフセット印刷機(三菱リソピアL−BT3−1100)を使用して、カラー4色刷り印刷を行い、5000部印刷を行った後、ブランケット非画線部への紙粉の堆積度合いを目視にて判定した。評価は次の5段階評価で行った。
〈評価基準〉
5(優)−1(劣)
5:印刷終了後のブランケット非画線部への紙粉の堆積度合いが低い
4:印刷終了後のブランケット非画線部への紙粉の堆積度合いがやや低い
3:紙粉の堆積度合いは実用上問題のない程度。
2:印刷終了後のブランケット非画線部への堆積度合いがやや高い
1:印刷終了後のブランケット非画線部への堆積度合いが明確に高い
なお、評価が3未満のものは、実用上問題がある。
実施例1
原紙の作成
針葉樹クラフトパルプ30部、新聞古紙を原料とする脱墨古紙パルプを70部の割合で混合して離解し、レファイナーでフリーネス120mlC.S.F.(カナダ標準フリーネス)に調成したパルプスラリーに、対絶乾パルプ当りカチオン化澱粉(商品名;P3Y、PIRAAB STARCH Co.Ltd.製)を0.5%、中性ロジンサイズ剤(N815、荒川化学工業株式会社製)を0.8%、填料として水和珪酸(トクシールGU−N、嵩比重0.20g/m、トクヤマ株式会社製)を3.0%、硫酸バンドで抄紙pHを6.5に調整し、得られた紙料をツインワイヤー抄紙機およびゲートロールサイズプレスを用いて風乾坪量64g/mとなるよう抄紙した。
塗工層の付与および仕上げ
塗液として、酸化澱粉(王子エースA、王子コーンスターチ株式会社製)93%、スチレン−ブタジエンラテックス(R1298、旭化成株式会社製、アクリロニトリル含有率23%、ゲル含有率92%、粒径100nm)7%からなる固形分濃度20%の分散液を調製し、これを上記の原紙両面に、ゲートロールサイズプレス機(三菱重工社製)を使用して、乾燥後の塗布量が片面0.3g/m、両面合計0.6g/mとなるように両面に塗布、乾燥後、ソフトニップカレンダー仕上げを行い密度を0.57g/mとなるようオフセット印刷用紙を作成し、上記物性の測定及び評価を行い、その結果を表1に示す。
実施例2
原紙の作成において、針葉樹クラフトパルプを100部、填料としてケイ酸カルシウム(フローライトR、嵩比重0.10g/m、トクヤマ株式会社製)を3.0%使用した。それ以外は、塗工層、抄紙および仕上げまで含め、実施例1と同様にしてオフセット印刷用紙を作成し、上記物性の測定及び評価を行い、その結果を表1に示す。
実施例3
原紙の作成において、填料として水和珪酸(トクシールGU-N)を0.5%使用した。その他、塗工層、抄紙および仕上げまで含め、密度0.68g/mを得た以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用紙を作成し、上記物性の測定及び評価を行い、その結果を表1に示す。
実施例4
原紙の作成において、填料として水和珪酸(トクシールGU-N)を5.0%使用した。その他、塗工層、抄紙および仕上げまで含め、密度0.55g/mを得た以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用紙を作成し、上記物性の測定及び評価を行い、その結果を表1に示す。
実施例5
原紙の作成において、填料として水和珪酸(トクシールGU-N)を6.0%使用した。その他、塗工層、抄紙および仕上げまで含め、密度0.65g/mを得た以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用紙を作成し、上記物性の測定及び評価を行い、その結果を表1に示す
実施例6
塗工層として、乾燥後の塗布量が片面0.7g/mとなるように両面に塗布、乾燥後、ソフトニップカレンダー仕上げを行い密度を0.57g/mを得た以外は実施例1と同様にしてオフセット印刷用紙を作成し、上記物性の測定及び評価を行い、その結果を表1に示す。
実施例7
塗液として、酸化澱粉72%、スチレン−ブタジエンラテックス18%、立方体状炭酸カルシウム(ブリリアントS15、白石工業株式会社製)10%からなる分散液を調製し、塗工したこと以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用紙を作成し、上記物性の測定及び評価を行い、その結果を表1に示す。
実施例8
塗液のラテックスとして、スチレン−ブタジエンラテックス(PA5021、A&L社製、アクリロニトリル含有率20%、ゲル含有率84%、粒径109nm)7%を使用したこと以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用紙を作成し、上記物性の測定及び評価を行い、その結果を表1に示す。
実施例9
塗液のラテックスとして、スチレン−ブタジエンラテックス(PA4089、A&L社製、アクリロニトリル含有率24%、ゲル含有率88%、粒径112nm)7%を使用したこと以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用紙を作成し、上記物性の測定及び評価を行い、その結果を表1に示す。
実施例10
塗液のラテックスとして、スチレン−ブタジエンラテックス(T2635、JSR社製、アクリロニトリル含有率24%、ゲル含有率91%、粒径115nm)7%を使用したこと以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用紙を作成し、上記物性の測定及び評価を行い、その結果を表1に示す。
比較例1
塗液として、酸化澱粉100%でスチレン−ブタジエンラテックスを使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用紙を作成し、上記物性の測定及び評価を行い、その結果を表1に示す。
比較例2
原紙の作成において、填料として炭酸カルシウム(ホワイトンP−10、嵩比重0.30g/m、白石工業株式会社製)を3.0%使用した。それ以外は、塗工層、抄紙および仕上げまで含め、実施例1と同様にしてオフセット印刷用紙を作成し、上記物性の測定及び評価を行い、その結果を表1に示す。
比較例3
原紙上に塗工層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用紙作成し、上記物性の測定及び評価を行い、その結果を表1に示す。
比較例4
原料として填料を使用せず、原紙上に塗工層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用紙作成し、上記物性の測定及び評価を行い、その結果を表1に示す。
比較例5
塗液のラテックスとして、スチレン−ブタジエンラテックス(nipol111A2、日本ゼオン社製、アクリロニトリル含有率20%、ゲル含有率73%、粒径300nm)7%を使用したこと以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用紙作成し、上記物性の測定及び評価を行い、その結果を表1に示す。
比較例6
塗液のラテックスとして、スチレン−ブタジエンラテックス(PA4087、A&L社製、アクリロニトリル含有率15%、ゲル含有率62%、粒径100nm)7%を使用したこと以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用紙を作成し、上記物性の測定及び評価を行い、その結果を表1に示す。
比較例7
塗液として、酸化澱粉75%、スチレン−ブタジエンラテックス(R1298、旭化成株式会社製、アクリロニトリル含有率23%、ゲル含有率92%、粒径100nm)25%からなる分散液を調製し、塗工したこと以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用紙を作成し、上記物性の測定及び評価を行い、その結果を表1に示す。
比較例8
塗液のラテックスとして、スチレン−ブタジエンラテックス(日本ゼオン社製、アクリロニトリル含有率5%、ゲル含有率85%、粒径120nm)7%を使用したこと以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用紙を作成し、上記物性の測定及び評価を行い、その結果を表1に示す。

Figure 2008196083

Claims (3)

  1. 原紙に嵩比重0.25g/cm以下の填料を含有し、原紙の表面に、平均粒子径が115nm以下であり、アクリロニトリルを10質量%以上含有し、ゲル含有量が80質量%以上の合成樹脂ラテックスを5〜20質量%、澱粉を70〜95質量%含んだ塗工層を、片面当り乾燥質量で0.2〜0.7g/m2の範囲となるよう設け、密度が0.55〜0.70g/cm、坪量が50g/m以上であることを特徴とするオフセット印刷用紙。
  2. 前記合成樹脂ラテックスがアクリロニトリルを20質量%以上含有し、ゲル含有量が90質量%以上であることを特徴とする請求項1記載のオフセット印刷用紙。
  3. 前記原紙は、嵩比重0.25g/cm以下の填料含有率が0.5〜5%であることを特徴とする請求項1または2記載のオフセット印刷用紙。
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JP2016094678A (ja) * 2014-11-13 2016-05-26 日本製紙株式会社 書籍用紙

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