JP2008195713A - 免疫調節剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】日常の食生活で継続的に経口摂取可能であり、副作用の心配のない、免疫調節剤及び免疫調節方法を提供することを課題とする。
【解決手段】有効成分として酢酸及び/又はプロピオン酸を含んでなる免疫調節剤及び酢酸及び/又はプロピオン酸を含んでなる免疫調節剤を利用する免疫調節方法を提供することによって、課題を解決する。
【選択図】なし

Description

本発明は免疫調節に関するものであり、とりわけ、有効成分として酢酸及び/又はプロピオン酸を含んでなる免疫調節剤、及び、有効成分として酢酸及び/又はプロピオン酸を含んでなる免疫調節剤を利用する免疫調節方法に関するものである。
ヒトをはじめとする高等動物は、細菌、ウイルス、寄生虫などの病原体の感染を防護するために、免疫機能を備えており、各種の抗体やサイトカインの産生が生体内において、適正に調節されている。特に、抗体は、イムノグロブリンG(IgG)、イムノグロブリンA(IgA)、イムノグロブリンE(IgE)などが知られ、免疫系における極めて重要な因子である。近年、生活環境が清潔になるにつれ、食中毒などの経口感染症は減少傾向にある。しかしながら、逆に清潔な生活環境は、抗原刺激の機会を少なくするため、常在的なIgAやIgEのレベルを低下させ、経口感染症に対する抵抗力を弱め、また、アレルゲンや自己抗原に対して過度に反応して、アレルゲン特異的IgEや自己抗体を産生しやすくする。よって、結果的に、現代人は、経口感染症や、花粉症や食物アレルギーなどのアレルギー症、自己免疫疾患に罹患しやすい体質になっていると考えられる。
腸管免疫を調節する方法として、特許文献1は、糖質の一種のトレハロースがパイエル板細胞に作用して、IgAやインターフェロン−γ(以下、「IFN−γ」と略記する場合がある。)の産生調節作用を有していることを開示している。また、特許文献2は、ニゲロオリゴ糖が栄養障害による免疫機能低下を防止することを開示している。また、全身性免疫を調節する方法として、特許文献3は、アレルギー症の予防又は治療に、非還元末端にα−1,6結合のガラクトースを有するオリゴ糖を利用する方法を開示している。しかしながら、それらの効果は十分でない。
また、オリゴ糖が腸内細菌により代謝されて産生される短鎖脂肪酸は、整腸作用を通して、生体に有用な影響を及ぼしていることが知られている。酢酸やプロピオン酸などの短鎖脂肪酸は、食酢などに含まれており、食品、化粧品、医薬品など広範な用途に使用され、これを含有する組成物は健康食品としても汎用されている。しかしながら、これらの短鎖脂肪酸の免疫調節作用については知られていない。
国際公開WO02/038146号明細書 特開2002−325555号公報 特開2003−40779号公報
斯かる状況に鑑み、本発明は、日常の食生活で継続的に摂取可能であり、副作用の心配のない、免疫調節剤及び免疫調節方法を提供することを課題とする。
本発明者等が鋭意研究したところ、酢酸及び/又はプロピオン酸は、経口摂取により、アレルゲンをアラムアジュバントと共に免疫することによって増強するIgEの産生を抑制することを発見した。さらに、酢酸及び/又はプロピオン酸はIFN−γの産生や遅延型過敏症を増強するという新規な知見を得た。また、酢酸及び/又はプロピオン酸を含有する組成物は、経口摂取により、アレルギーなどのTh2型の免疫応答(Th2タイプのT細胞が関与する免疫反応)を抑制すると共に、微生物などの感染症などに関与するTh1型の免疫応答(Th1タイプのT細胞が関与する免疫反応)を増強することを確認し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、有効成分として酢酸及び/又はプロピオン酸を含んでなる免疫調節剤、及び、有効成分として酢酸及び/又はプロピオン酸を含んでなる免疫調節剤を経口摂取させることを特徴とする動物の免疫調節方法を提供することによって、前記課題を解決するものである。
本発明によれば、手軽に免疫調節をすることができるので、アレルギー症、自己免疫疾患、経口感染症などの予防又は治療に効果的である。また、本発明の免疫調節剤は、日常の食生活で継続的に摂取可能であり、副作用の心配がない。
本発明の免疫調節剤は、有効成分として酢酸及び/又はプロピオン酸を含有するものである。本発明の免疫調節剤に使用する酢酸及び/又はプロピオン酸は、化学合成されたものでもよく、発酵法、酵素法で製造したものや、植物などから抽出したものであっても良い。酢酸及び/又はプロピオン酸は、本発明の効果を妨げない限り、必ずしも精製または単離されたものを用いる必要はなく、未分離組成物としての形態、それらを部分精製、或いは、高度に精製したものであってもよく、例えば、米酢、玄米酢、黒酢、赤酢をはじめとする穀物酢、リンゴ酢、ブドウ酢、バルサミコ酢はじめとする果実酢のような組成物を使用してもよい。また、本発明の経口摂取用組成物に含まれる酢酸やプロピオン酸は、その一部或いは全部が酢酸ナトリウムやプロピオン酸ナトリウムなどのようなアルカリ金属やアルカリ土類金属などの塩の形態になっていてもよい。本発明の免疫調節剤における酢酸及び/又はプロピオン酸の含量としては、ヒトを含む動物に摂取せしめて免疫調節作用が発揮されればよく、通常、固形物当たり、両者の合計で、0.01乃至10質量%、好ましくは0.1乃至5質量%、さらに好ましくは0.5乃至5質量%(以下、本明細書では特にことわらない限り質量%を「%」と表記する)である。
本発明でいう免疫調節作用とは、IgEの産生やIgEのクラススイッチに重要な役割を担っているインターロイキン−4(以下、「IL−4」と略記する場合がある。)の産生をおさえるなどのアレルギーの発症に関与するTh2型の免疫応答を抑制する一方で、IFN−γの産生の増強や遅延型過敏症などの細菌やウイルス感染防御に関与するTh1型の免疫応答を増強することによって発揮されるものである。
本発明の免疫調節剤は、酢酸及び/又はプロピオン酸のみであってもよいが、有効成分として酢酸及び/又はプロピオン酸と共に許容される他の成分を含む、飲食物、医薬品、医薬部外品、健康食品、飼料、餌料又は化粧品などの形態の組成物とすることもできる。前記組成物として、許容される他の成分としては、例えば、水、アルコール、澱粉、蛋白質、食物繊維、糖質、脂質、ビタミン、ミネラル、着香料、着色料、甘味料、調味料、香辛料、安定剤、酸化防止剤、防腐剤などを配合することができる。とりわけ、ラクトフェリン、カゼイン、コラーゲン、大豆蛋白質などの蛋白質またはその分解物、ルチン、ヘスペリジン、ケルセチン、イソフラボンなどのフラボノイド又はそれらの配糖体、乳酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、ニガリなどのミネラル類、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンEなどのビタミン類またはその誘導体、マルトース、トレハロース、マルトシルトレハロース、ニゲロース、イソマルトース、ニゲロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、環状四糖やサイクロデキストリンなどの環状糖類、グルコサミン、ガラクトサミン、マンノサミンなどのアミノ糖、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸などのムコ多糖類、ソルビトール、マルチトールなどの糖アルコール、カルシトニン、エストロゲン、蛋白質同化ホルモンなどのホルモン類、感光素101号、感光素201号、感光素301号、感光素401号などの感光色素、藍、シソ、中国パセリ、パフィア、鹿角霊芝、アガリクス、メシマコブなどの植物、菌類又はその抽出物、さらには、上記以外のビフィズス菌増殖糖質、粉末ミルク、貝殻粉末、珊瑚粉末、プロポリスエキス、ローヤルゼリー、蜂蜜、L−アスコルビン酸2−グルコシドなどを配合することができる。
なかでも、環状オリゴ糖類やトレハロースなどの非還元性オリゴ糖類は、酢酸及び/又はプロピオン酸とあわせて摂取することにより、酢酸及び/又はプロピオン酸の有する免疫調節作用を増強するので好ましく、その増強作用の強いα、α−トレハロースが特に望ましい。また、環状オリゴ糖類は、酢酸やプロピオン酸の水溶液を粉末化して使用する際、酢酸やプロピオン酸の保持力が高く、酢酸やプロピオン酸の刺激臭や刺激味を緩和又は低減することもできるので、その点からも望ましい。環状オリゴ糖類としては、具体的には、α−サイクロデキストリン、β−サイクロデキストリン、γ−サイクロデキストリン、国際公開WO 02/10361号明細書などで開示したサイクロ{→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルコピラノシル−(1→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルコピラノシル−(1→}の構造を有する環状四糖(シクロニゲロシルニゲロース:Cyclonigerosylnigelose)、特開平2005−95148号公報などに記載したサイクロ{→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→4)−α−D−グルコピラノシル−(1→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→4)−α−D−グルコピラノシル−(1→}の構造を有する環状四糖(シクロマルトシルマルトース:Cyclomaltosylmaltose)、国際公開W02006/035725号明細書(国際特許願PCT/JP2005/17642号)に開示されたサイクロ{→6)−[α−D−グルコピラノシル−(1→4)]n−α−D−グルコピラノシル−(1→}(nは4又は5を意味する)の構造を有する環状五糖や環状六糖やこれらの環状オリゴ糖類にさらにグルコースなどの糖質が側鎖して結合している分岐環状糖質など環状糖質を挙げることができる。これら環状糖質の中でもサイクロデキストリンや無水の環状オリゴ糖類は、酢酸を粉末化した際に比較的少量で、酢酸を保持する能力が高く、酢酸の免疫増強効果の増強能に優れているので望ましく、サイクロデキストリンが特に望ましい。
本発明の免疫調節剤の酢酸及び/又はプロピオン酸と非還元性糖オリゴ糖類との配合割合は、酢酸及び/又はプロピオン酸のもつ免疫調節作用を増強できる割合であればよく、通常、酢酸及び/又はプロピオン酸と非還元性糖質類とが、質量比で1:0.01乃至200のものが用いられ、1:0.1乃至1:100のものが望ましく、1:9乃至50のものが特に免疫調節の増強効果の点で優れている。また、本発明の免疫調節剤の一例として、固状形態の場合には、液状の酢酸及び/又はプロピオン酸を無水非還元性オリゴ糖類に吸着させて調製した粉末状、顆粒状などの固状物にすることも、さらに、これらを、使用した錠剤やこれらを封入したカプセル剤にすることも有利に実施できる。
また、カルシウムやマグネシウム等のミネラル類も酢酸及び/又はプロピオン酸のもつ、免疫調節作用を増強することから好ましく、その増強効果の強さの点からは、マグネシウムが望ましい。酢酸及び/又はプロピオン酸とミネラル類の配合割合は、酢酸及び/又はプロピオン酸のもつ免疫調節作用を増強できる割合であればよく、通常、酢酸及び/又はプロピオン酸の合計とミネラル類とが、質量比で1:0.1乃至700のものが用いられ、1:1乃至100のものが望ましく、1:5乃至50のものが特に免疫調節の増強効果の点で優れている。ミネラル類の含量が増加しすぎると、味質が低下する問題が発生する場合がある。
本発明の免疫調節剤は、Th2型の免疫応答を抑制して、抗原特異的なIgEの産生を抑制したり、アレルゲンに対する過剰な免疫応答を抑制するので、例えば、卵、乳、小麦、そば、落花生、あわび、いか、いくら、えび、オレンジ、かに、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチンなどによる食物アレルギー、例えば、スギ花粉、ヒノキ花粉、カモガヤ花粉、オオアワガエリ花粉、ハンノキ花粉、ホソムギ花粉、シラカバ花粉、ブタクサ花粉、オオブタクサ花粉、ヨモギ花粉、カナムグラ花粉、セイダカアワダチソウ花粉などによる花粉症、ハウスダスト、金属、化学物質などによるアレルギー、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性胃腸炎、喘息、蕁麻疹などのアレルギー症、クローン病、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、多発性筋炎、混合性結合組織病、結節性動脈周囲炎、バセドウ病、橋本病、重症筋無力症、糖尿病、原発性胆汁性肝硬変、ギラン・バレー症候群、シェーグレン症候群、抗リン脂質抗体症候群、多発性硬化症などの自己免疫疾患の予防又は治療に有利に用いられる。また、本発明の免疫調節剤は、Th1型の免疫応答を強化することから、気道感染症や消化器系の感染症を始めるとする病原性の細菌やウイルスなどの感染が原因となる疾患の予防又は治療に有利に用いられる。また、本発明の免疫調節剤の投与又は摂取方法としては、経口的に酢酸及び/又はプロピオン酸を摂取することができるのならばいかなる方法でもよい。投与又は摂取量としては、投与方法又は摂取方法、適用する動物の種類などを考慮して適宜決定すればよく、有効成分としての酢酸及び/又はプロピオン酸を、合計で、1日当たり通常、0.02μg/kg・体重以上が望ましく、0.02μg乃至500μg/kg・体重の範囲で投与又は摂取すればよい。0.02μg/kg・体重未満だと、所期の効果が発揮されず、500μg/kg・体重を超えても摂取量に見合うだけの効果が発揮されない場合がある。
本発明の免疫調節剤は、通常、ヒトに適用されるものであるが、ヒトと同様の免疫系を有する脊椎動物全般に適用することができる。例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジなどの家畜、イヌ、ネコ、サルなどのペット、ニワトリ、アヒル、七面鳥などの家禽、タイ、ブリなどの魚類があげられ、それらの飼育用の飼料や餌料に配合することができる。酢酸及び/又はプロピオン酸を含有する飼料や餌料は、高温、低温などの環境ストレスにより免疫力が低下した家畜や家禽に対して、そのアレルギー症状を抑制すると共に、ウイルスや細菌等の感染症への罹患を予防することができるので、家畜や家禽のストレスを低減し、体力消耗を防止し、効率よく生育させることができる。また、例えば、乳牛に対しては搾乳量の低下を防止し、ニワトリに対しては産卵率の低下を防止や卵殻を強化するという効果も発揮する。
以下、この発明の実施の形態につき、実験に基づいて説明する。
<実験1:短鎖脂肪酸の免疫系に及ぼす影響>
短鎖脂肪酸の免疫応答に及ぼす影響を調べるための試験を以下のように行った。すなわち、8週齢雌性BALB/cマウス(5匹、平均体重20g)に対して、スギ花粉症の原因物質であるスギベーシック蛋白質(株式会社林原生物化学研究所調製)10μg/マウスとアラムアジュバント1mg/マウスとを、週1回、3週間腹腔内に投与して免疫した。最後の免疫の1週間後に、脾臓を摘出した。この脾臓を使用して、常法により脾細胞の懸濁液を調製し、ウシ胎児血清を10容積%含有するRPMI−1640培地(以下、「FCS含有RPMI培地」という。)に、5×10細胞/mlとなるように懸濁し、リン酸緩衝液(PBS)に8μg/mlとなるように溶解した抗CD3抗体(セダレーン社製)を、96マイクロウエルに50μl/ウエル添加して調製した抗CD3抗体固相化96マイクロウエルプレートに、100μl/ウエル添加し、これにPBSで希釈した酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム或いは乳酸ナトリウムを50μl/ウエル添加し、これら短鎖脂肪酸の最終濃度を6mMとし、5容積%CO培養器中で、37℃で2日間培養した。この培養上清中のIL−4量を、酵素抗体法により測定して、その結果を表1に示す。FCS含有RPMI培地に懸濁した脾細胞の懸濁液100μl/ウエルとPBSを50μl/ウエルとを加えて、抗CD3抗体固相化96ウエルマイクロプレートで、同様に培養したものを対照とした。また、培養終了時に、細胞を回収してその生存率を測定し、対照の細胞の生存率を100として、各短鎖脂肪酸を加えて培養した細胞の生存率の相対値(%)を求めて、表1に併せて示した。試験は各マウスの脾細胞について実施し、その平均値を求めた。
Figure 2008195713
表1から明らかなように、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウムを添加して培養したマウスの脾細胞では、抗CD3抗体刺激により、何れの場合にも、IL−4の産生が対照に比して有意に抑制された。乳酸ナトリウムを添加して培養したマウスの脾細胞では、IL−4産生量は対照と差が認められなかった。また、酪酸ナトリウムを添加した場合には、細胞毒性が認められ、培養終了後には細胞の生存率が対照の25%にまで低下していた。
この結果は、短鎖脂肪酸の中でも酢酸ナトリウム及びプロピオン酸ナトリウムが、脾細胞からのIL−4産生を、効果的に抑制することを物語っている。また、酪酸ナトリウムの添加でもIL−4の産生は抑制されたものの、細胞の生存率が極端に低下しているので、酪酸ナトリウムによるIL−4の産生抑制は、酪酸ナトリウムの細胞毒性によるものと判断した。
<実験2:脾細胞のIL−4産生及IFN−γ産生に及ぼす酢酸の濃度影響>
実験1において、酢酸ナトリウム及びプロピオン酸ナトリウムが、IgEのクラススイッチに重要な役割を果たしているIL−4の産生を抑制することが確認されたため、これらの短鎖脂肪酸が、免疫応答に影響を及ぼす可能性が示唆された。そこで、短鎖脂肪酸濃度の免疫応答に及ぼす影響を確認するための試験を、酢酸ナトリウムを使用して以下のように行った。すなわち、実験1で使用したスギベーシック蛋白質に変えて卵白アルブミン(OVA)を使用した以外は、実験1と同じ方法で免疫したマウス(5匹、平均体重20g)の脾臓から、脾細胞の懸濁液を調製し、FCS含有RPMI培地に、5×10細胞/mlとなるように懸濁した。この懸濁液に、最終濃度が表2及び表3に示す濃度となるようにPBSで希釈した酢酸ナトリウムを添加し、さらに、抗CD3抗体(セダレーン社製)を1.25μg/mlとなるように添加して、96ウエルマイクロプレートに加えて、5容積%CO培養器中で、37℃で2日間培養した。この培養上清中のIL−4量及びIFN−γ量を、酵素抗体法により測定して、その結果を、それぞれ表2及び表3に併せて示す。試験は各マウスの脾細胞について実施し、その平均値を求めた。
Figure 2008195713
Figure 2008195713
表2から明らかなように、IL−4の産生量は、酢酸ナトリウムの添加量が0.01μg/mlでは、対照(酢酸ナトリウム無添加)と差が認められなかった。これに対して、酢酸ナトリウムの添加量が0.02μg乃至250μg/mlの場合には、酢酸ナトリウムの添加量に比例して、IL−4産生が抑制された。その抑制の程度は、0.375μg/ml以上の添加で顕著となったものの、125μg/mlと250μg/mlとでは抑制に差は認められなかった。また、表3から明らかなように、IFN−γの産生量は、酢酸ナトリウムの添加量が0.01μg/mlでは、対照(酢酸ナトリウム無添加)と差が認められなかった。これに対して、0.02μg/ml以上添加した場合には、弱いながらIFN−γ産生の増強が認められた。
この実験結果は、酢酸或いはそのナトリウム塩は、アレルギー反応に主要な役割を果たしているTh2型の免疫応答を抑制できることを物語っている。また、酢酸或いはそのナトリウム塩は、微生物などの感染防御などに重要な役割を果たしているTh1型の免疫応答を増強できることを物語っている。
<実験3:IgEの産生に及ぼす酢酸の摂取の影響>
実験1及び2において、酢酸が、IgEのクラススイッチに重要な役割を果たしているIL−4の産生を抑制することが確認されたため、酢酸の摂取により、実際にIgEの産生が抑制されることを確認するための試験を以下のように行った。すなわち、8週齢雌性BALB/cマウス(1群5匹、試験期間を通じての平均体重20g)に対して、PBSで希釈した酢酸ナトリウムを、表4に記載した量、週5回5週間に渡って、胃ゾンデを用いて経口投与した。対照(マウス5匹、酢酸ナトリウムの投与量:0)として、PBSを、胃ゾンデを用いて経口投与した。酢酸ナトリウム投与開始9日目に、ジニトロフェニル化した卵白アルブミン(DNP−OVA)10μg/マウスとアラムアジュバント1mg/マウスとを、腹腔内に投与して免疫した。DNP−OVAとアラムアジュバントを投与して1週間後に血液を採取して、血清中の総IgE量を、マウスIgE特異的な酵素抗体法を用いて定量した。その結果を、血液中の総IgE量として表4に示す。結果は各酢酸ナトリウム投与量のマウスの平均値で示す。
Figure 2008195713
表4から明らかなように、酢酸ナトリウムの投与量が0.01μg/匹/日では、その血液中の総IgE量は、対照のマウスと差が認められなかった。これに対して、投与量が0.02乃至250μg/匹/日の場合には、酢酸ナトリウムの投与量に比例して、その血液中の総IgE量が抑制された。その抑制の程度は、1.25μg/匹/日以上の投与で顕著となったものの、125μg/匹/日と250μg/匹/日では抑制に差は認められなかった。
実験3の結果は、酢酸ナトリウムの摂取により、即時型アレルギーを誘発するIgEの産生が増強される条件下(Th2型の免疫応答)で、酢酸ナトリウムを摂取すると、その産生を抑制できることを示しており、酢酸ナトリウムの摂取により、即時型アレルギーを予防乃至改善できることを物語っている。また、その摂取量は、0.02μg/匹/日(1μg/kg・体重/日)以上が有効であり、0.02μg乃至125μg/匹/日(1μg乃至6.25mg/kg・体重/日)が望ましいことを物語っている。なお、望ましい一日の摂取量は、酢酸ナトリウムを250μg/匹/日(12.5mg/kg・体重/日)以上を摂取しても、125μg/匹/日(6.25mg/kg・体重/日)摂取の場合以上の効果は得られないと考え、その上限値を125μg/匹/日(6.25mg/kg・体重/日)と判断した。また、実験1、2の結果と併せて考えると、IgEのクラススイッチに重要な役割を果たすIL−4の産生量の抑制効果と、血液中の総IgE量の抑制効果に相関が認められることから、酢酸ナトリウム摂取による血液中のIgE産生抑制の機構の一つが、免疫担当細胞からのIL−4産生の抑制にあることを物語っている。
<実験4:酢酸によるIL−4産生抑制に及ぼす金属イオンの影響>
実験3において、酢酸ナトリウムの摂取により、Th2型の免疫応答(IgEの産生)が、抑制されることが確認されたので、この抑制作用に及ぼす金属イオンの影響を調べるための試験を以下のよう行った。すなわち、8週齢雌性BALB/cマウス(1群5匹、試験期間を通じての平均体重20g)に対して、PBSで希釈した酢酸又は酢酸ナトリウムを、酢酸換算で1.2μg/匹/日、週5回5週間に渡って、胃ゾンデを用いて経口投与した。これとは別に、8週齢雌性BALB/cマウス(5匹、試験期間を通じての平均体重20g)に対して、酢酸ナトリウムを酢酸として1.2μg/匹/日と、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム或いは塩化第2鉄の何れかを0.1μg/匹/日とを週5回5週間に渡って、胃ゾンデを用いて経口投与した。また、対照(酢酸及び金属塩の投与量:0)として、PBSを、胃ゾンデを用いて経口投与した。これらのマウスに、実験3と同一条件で、ジニトロフェニル化した卵白アルブミン(DNP−OVA)10μg/マウスとアラムアジュバント1mg/マウスとを、腹腔内に投与して免疫した。DNP−OVAとアラムアジュバントを投与して免疫1週間後採血して血液中の総IgE量を実験3と同じ方法で測定した。その結果を表5に示す。結果は各投与物を投与したマウスの平均値で示す。
Figure 2008195713
表5から明らかなように、酢酸又は酢酸ナトリウムを、酢酸として等量投与した場合には、血液中の総IgE量が、各々、対照に比して、65%及び63%に低下した。また、酢酸ナトリウムと塩化カリウム又は塩化第2鉄とを投与した場合にも、血液中の総IgE量は、各々、対照に比して、66%及び63%となり、酢酸或いは酢酸ナトリウムを投与した場合とほぼ同等に低下した。これに対して、酢酸ナトリウムと塩化カルシウム又は塩化マグネシウムとを投与した場合には、各々、対照に比して56%及び44%となって、酢酸ナトリウムを単独で投与した場合と比較しても、明らかに血清中の総IgE量が低下した。
この結果は、酢酸と酢酸ナトリウムでは、Th2型の免疫応答に対する抑制効果に差はないものの、酢酸ナトリウムとカルシウム塩或いはマグネシウム塩を併用して摂取すると、酢酸ナトリウムのもつ、Th2型の免疫応答に対する抑制効果をさらに増強できることを物語っており、その効果は、カルシウム塩よりもマグネシウム塩の方が強いことを物語っている。
<実験5:酢酸によるIL−4産生抑制に及ぼすマグネシウム塩の濃度の影響>
実験4で、マグネシウム塩或いはカルシウム塩が酢酸によるIL−4産生抑制を増強することが確認されたので、マグネシウム塩の濃度がその抑制にどのように影響するかを調べる試験を以下のように行った。すなわち、マウス(1群5匹、試験期間を通じての平均体重20g)に、PBSで希釈した酢酸ナトリウム0.375μg/匹/日と、塩化マグネシウムを表6に示す量の何れかを同時に、胃ゾンデで経口投与した以外は、実験4と全く同じ方法で試験を行って、血清中の総IgE量を測定し、その結果を表6に示す。なお、対照1(マウス5匹)としてPBSで希釈した酢酸ナトリウムのみを0.375μg/匹/日で、対照2(マウス5匹)としてPBSで希釈した塩化マグネシウムのみを2μg/匹/日で、同様に投与したマウスを使用した。対照1のマウスの血液中の総IgE量を100として、対照2及び表6に示す量の塩化マグネシウムを投与したマウスの血清中の総IgE量の相対値を計算して表6に併せて示す。結果は各投与量のマウスの平均値で示す。
Figure 2008195713
表6から明らかなように、塩化マグネシウムのみを2μg/匹/日投与したマウス(対照2)では、酢酸ナトリウムのみを投与したマウス(対照1)と較べて、血液中の総IgE量が148と高かった。また、酢酸ナトリウムと0.01μg/匹/日の塩化マグネシウムとを投与したマウスでは、酢酸ナトリウムのみを投与したマウス(対照1)と、ほぼ同じ血液中の総IgE量となった。これに対して、酢酸ナトリウムと0.05μg乃至250μg/匹/日の塩化マグネシウムとを投与したマウスでは、酢酸ナトリウムのみを投与したマウス(対照1)よりも、血清中の総IgE量が、塩化マグネシウムの濃度に依存して抑制され、その抑制は、酢酸ナトリウムと2μg/匹/日以上の塩化マグネシウムを投与した時に顕著となったものの、投与量をそれ以上増やしても、抑制効果の増強の程度に差は認められなかった。
この結果は、酢酸ナトリウムと併せて、0.05μg/匹/日(2.5μg/kg・体重/日)以上のマグネシウムイオン、望ましくは2μg/匹/日(100μg/kg・体重/日)以上のマグネシウムイオンを摂取することにより、酢酸ナトリウムによるTh2型の免疫応答の抑制作用をさらに増強できることを物語っている。
<実験6:Th1型の免疫応答に及ぼす酢酸の影響>
実験2において酢酸が膵細胞からのIFN−γの産生を増強することから、Th1型の免疫応答を増強する作用を併せ持っていることが示唆されたので、それを確認する試験を以下のように行った。すなわち、8週齢雌性BALB/cマウス(1群5匹、試験期間を通じての平均体重20g)の背部を剃毛した後、エタノールとアセトンを4:1(質量比)で混合した溶媒に、5%の濃度に溶解したピクリルクロライド(PiCl)を150μl塗布することにより感作を行った。感作5日後及び12日後に、左耳にエタノールとオリーブオイルを1:4(質量比)の比で混合した溶媒に1%の濃度に溶解したPiClを10μl塗布して遅延型過敏症反応を惹起し、感作12日後にPiClを塗布した24時間後の耳介の、肥厚の程度を、デジタル式の肥厚測定ゲージで測定した。測定は、1個体につき3回行いその平均を耳介の肥厚とし、PBSのみを投与したマウス(マウス5匹、対照)の耳の肥厚の平均値を100として、各濃度の酢酸ナトリウムを投与したマウスの耳の肥厚の相対値(%)を求め、その結果を表7に示す。なお、マウスは、PiClで感作する4日前から、PBS(対照)或いはPBSで希釈した酢酸ナトリウムを表7に示す量、週5回試験終了まで、胃ゾンデを用いて投与した。結果を表7に併せて示す。
Figure 2008195713
表7から明らかなように、酢酸ナトリウムを0.01μg/匹/日投与したマウスの耳介の肥厚は、PBSを投与したマウス(対照)と差が認められなかった。これに対して、酢酸ナトリウムを0.02μg/匹/日以上投与したマウスでは、対照のマウスよりも耳介の肥厚が増加し、その増加は1.25μg/匹/日以上を投与した時に顕著となったものの、投与量を25μg/匹/日より増量しても、耳介の肥厚の程度に差は認められなかった。
この結果は、酢酸ナトリウムの摂取が、Th1型の免疫応答を増強できることから、酢酸或いは酢酸ナトリウムの摂取により、感染症の予防或いは改善が期待できることを物語っている。また、効果の点からは、酢酸ナトリウムを0.02μg/匹/日(1μg/kg・体重/日)の摂取することが望ましく、1.25乃至25μg/匹/日(62.5乃至500μg/kg・体重/日)の摂取が特に望ましいことを物語っている。さらに、25μg/匹/日(500μg/kg・体重/日)よりも多く摂取しても、摂取量に見合う効果を得ることができない場合があることを物語っている。
以下、実施例で本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に何ら限定されるものではない。
<免疫調節剤>
ラクトスクロース含有糖質(塩水港精糖株式会社販売、商品名『乳果オリゴ LS−90P』、ラクトスクロースを固形分換算で約90%含有)9質量部に、α−グルコシルステビオシド(東洋精糖株式会社販売、商品名『αG−スイート』)0.05質量部に対して、酢酸ナトリウム1質量部又はプロピオン酸ナトリウム1質量部を加えて、顆粒成形機にかけて、顆粒状甘味料を得た。本品を、実験3及び実験6の方法に準じてマウスに経口投与して、その血液中の総IgE量及び耳介の肥厚量を測定したところ、酢酸又はプロピオン酸を含有する何れの標品も、血液中の総IgEの産生抑制作用と耳介の肥厚増強作用とを有していることが確認された。本品は、低カロリー甘味料として、カロリー摂取を制限している肥満者、糖尿病者などのための低カロリー飲食物などに対する甘味付けに好適であり、経口摂取により、免疫機能を調節できるので、健康を維持・増進する健康食品としても有用である。
<免疫調節剤>
酢酸ナトリウム1質量部とα,α−トレハロース(株式会社林原生物化学研究所製造、医薬品用)9質量部を、万能混合機で混合して粉末状の免疫調節剤を調製した。本品はそのままで、或いは、組成物に配合して、継続して経口的に摂取することにより、花粉症をはじめとするアレルギー症状の改善や感染症に対する免疫応答の増強に利用することができる。本品はこれらの作用効果を標榜して、免疫応答調節用の経口摂取用組成物として販売することもできる。
この粉末を、常法により、0.5gずつ打錠して、錠剤を調製した。本品を、継続して経口的に摂取することにより、アレルギー症状の改善や感染症に対する免疫応答の増強に利用することができる。
<免疫調節剤>
プロピオン酸ナトリウム1質量部とαサイクロデキストリン9質量部、を、万能混合機で混合して粉末状の免疫調節剤を調製した。本品を、実験3及び実験6の方法に準じてマウスに経口投与して、その血液中の総IgE量及び耳介の肥厚量を測定したところ、本品は、血液中の総IgEの産生抑制作用と耳介の肥厚増強作用とを有していることが確認された。本品はそのままで、或いは、組成物に配合して、継続して経口的に摂取することにより、アレルギー症状の改善や感染症に対する免疫応答の増強に利用することができる。本品はこれらの作用効果を標榜して、免疫応答調節用の経口摂取用組成物として販売することもできる。
この粉末を、常法により、0.5gずつ打錠して、錠剤を調製した。本品を、継続して経口的に摂取することにより、アレルギー症状の低減や感染症に対する免疫応答の増強に利用することができる。
<免疫調節剤>
酢酸ナトリウム1質量部、プロピオン酸ナトリウム0.5質量部、塩化マグネシウム0.1質量部、サイクロ{→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルコピラノシル−(1→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルコピラノシル−(1→}の構造を有する環状四糖(株式会社林原生物化学研究所製造)8.5質量部を、万能混合機で混合して粉末状の免疫調節剤を調製した。本品を、実験3及び実験6の方法に準じてマウスに経口投与して、その血液中の総IgE量及び耳介の肥厚量を測定したところ、本品は、血液中の総IgEの産生抑制作用と耳介の肥厚増強作用とを有していることが確認された。本品はそのままで、或いは、組成物に配合して、継続して経口的に摂取することにより、花粉症などのアレルギー症状の改善や感染症に対する免疫応答の増強に利用することができる。本品はこれらの作用効果を標榜して、免疫応答調節用の経口摂取用組成物として販売することもできる。
この粉末を、常法により、0.5gずつ打錠して、錠剤を調製した。本品を、継続して経口的に摂取することにより、アレルギー反応の低減や感染症に対する免疫応答の増強に利用することができる。
<免疫調節剤>
実施例1の方法で調製した粉末状の免疫調節剤 25質量部
滑沢剤 3質量部
L−アスコルビン酸2−グルコシド(株式会社
林原商事販売、商品名「アスコフレッシユ」) 10質量部
甘草エキス 2.5質量部
コンドロイチン硫酸ナトリウム 1.5質量部
アスタキサンチン 0.5質量部
上記配合処方に基づき、これらの成分を均質になるまで攪拌混合し、常法により、0.5gずつ打錠して、錠剤を調製した。
本品は、継続して経口的に摂取することにより、免疫応答を調節することができる。本品はこれらの作用効果を標榜して、経口摂取用の免疫調節剤として販売することもできる。
<免疫調節剤>
海洋深層水加工品(株式会社エイチプラスビィ・
ライフサイエンス販売、商品名『ミネラルトレハ』)* 57質量部
甜茶抽出物 40質量部
酢酸ナトリウム 2.5質量部
ステアリン酸カルシウム 0.5質量部
(*:海洋深層水加工品の57質量部の内訳は、α,α−トレハロース55.86質量部と粗製海水塩化マグネシウム1.14質量部)
上記配合処方に基づき、これらの成分を均質になるまで攪拌混合し、常法により、0.3gずつプルランカプセルに封入して、免疫調節剤を調製した。
本品を、1日に2乃至10錠程度、1乃至3回に分けて、継続して経口的に摂取することにより、花粉症などのアレルギー症状を低減したり、感染症に対する防御能を強化することができる。本品はこれらの作用効果を標榜して、経口摂取用の免疫調節剤として販売することもできる。
<免疫調節剤>
下記の成分を均一に混合した後、直径6mmの杵を装着した打錠機により打錠して、1錠が約200mgの錠剤を得た。本品は摂取すれば免疫機能を調節するので、花粉症などのアレルギー症状を改善したり、感染症に対する望郷のを強化して、健康を維持、増進する健康食品として有用である。
実施例1の方法により調製した免疫調節剤 2質量部
ラクトスクロース高含有水飴(商品名『乳果オリゴ550』、
株式会社林原商事販売) 50質量部
天然珊瑚粉末 20質量部
塩化マグネシウム 0.1質量部
粉末ヨーグルト 10質量部
グアーガム 12質量部
L−アスコルビン酸2−グルコシド(株式会社
林原商事販売、商品名『アスコフレッシュ』) 3質量部
糖転移ヘスペリジン(商品名『林原ヘスペリジンS』、株式
会社林原商事販売) 0.5質量部
本品は、継続して経口的に摂取することにより、免疫応答を調節することができる。本品はこれらの作用効果を標榜して、経口摂取用の免疫調節剤として販売することもできる。
<産卵鶏用飼料>
下記の成分の市販の産卵鶏用飼料に、プロピオン酸ナトリウム含量が0.5%になるように混合して、プロピオン酸含有鶏用飼料を製造した。
トウモロコシ 54.8質量部
大豆粕 12.6質量部
菜種粕 3.2質量部
マイロ 7.0質量部
炭酸カルシウム 8.5質量部
グルテンミール 3.5質量部
グルテンフィード 2.0質量部
魚粕 2.5質量部
動物性油脂、食塩、ビタミン、ミネラル類など 5.9質量部
本品は、ニワトリ用の飼料として有用であり、特に、高温、低温などの環境ストレスにより免疫力の低下したニワトリに対して免疫応答を増強させるので、夏期、冬期を問わず、ウイルスや細菌等の感染症を予防し、ニワトリの健康を維持・増進することができる。したがって、ニワトリの体力消耗を防止し、産卵率の低下を防止することができる。
<免疫調節剤>
酢酸0.5質量部、プロピオン酸0.5質量部、塩化マグネシウム0.1質量部、無水サイクロ{→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルコピラノシル−(1→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルコピラノシル−(1→}の構造を有する環状四糖(株式会社林原生物化学研究所製造)8.5質量部を混合して、一晩放置した後、粉砕して粉末状の免疫調節剤を調製した。本品を、実験3及び実験6の方法に準じてマウスに投与して、その血液中の総IgE量及び耳介の肥厚量を測定したところ、本品は、血液中の総IgEの産生抑制作用と耳介の肥厚増強作用とを有していることが確認された。本品はそのままで、或いは、組成物に配合して、継続して経口的に摂取することにより、花粉症などのアレルギー症状の改善や感染症に対する免疫応答の増強に利用することができる。本品はこれらの作用効果を標榜して、免疫応答調節用の経口摂取用組成物として販売することもできる。
この粉末を、常法により、0.5gずつ打錠して、錠剤を調製した。本品を、継続して経口的に摂取することにより、アレルギー反応の低減や感染症に対する免疫応答の増強に利用することができる。
叙述のとおり、本発明の免疫調節剤は、副作用がなく、日常的に経口摂取することによって、免疫機能を調節するので、アレルギー症、自己免疫疾患、気道感染症や消化器系の感染症などの感染症などを予防又は治療することができる。

Claims (7)

  1. 有効成分として酢酸及び/又はプロピオン酸を含んでなる免疫調節剤。
  2. Th2型の免疫応答を抑制することを特徴とする請求項1に記載の免疫調節剤。
  3. Th2型の免疫応答の抑制が、イムノグロブリンEの産生量の減少に起因することを特徴とする請求項2に記載の免疫調節剤。
  4. Th1型の免疫応答を増強することを特徴とする請求項1記載の免疫調節剤。
  5. Th1型の免疫応答の増強が、γ−インターフェロンの産生増強及び/又は遅延型過敏症の増強に起因することを特徴とする請求項4に記載の免疫調節剤。
  6. アレルギー症の治療又は予防に用いられる請求項1乃至5のいずれかに記載の免疫調節剤。
  7. 有効成分として酢酸及び/又はプロピオン酸を経口摂取させることを特徴とする動物の免疫調節方法。
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