JP2008193042A - 積層型サーミスタ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低抵抗化を図りつつ酸化処理後のPTC特性が向上された積層型PTCサーミスタを提供する。
【解決手段】積層型サーミスタ1の半導体セラミック層2を、(Ba1−w−xSrREα(Ti1−yTM)O+βSiO+zMnOで示される化合物を含む空隙率が5〜25%の焼結体から構成し、REは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Erからなる群から選択される少なくとも1種の元素、TMは、V、Nb、Taからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、w、x、y、z、β(いずれもmol)及びα(Baサイト/Tiサイトのmol比)は以下を満足する。
0≦w≦0.3
0.001≦x+y≦0.005
0.2≦y/(x+y)≦0.8
0≦z≦0.0015
1.02≦α≦1.1では、2.35α−2.39<β<2.35α−2.32
0.99≦α<1.02では、0≦β<2.35α−2.32
【選択図】図1

Description

本発明は、内部電極にNi系金属を用い、正の抵抗温度特性を有する積層型サーミスタに関する。
サーミスタとして、正の抵抗温度特性を有する、つまり温度の上昇に対して抵抗が増加するサーミスタがある。このサーミスタはPTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタと称される。PTCサーミスタは、チタン酸バリウム(BaTiO)を主成分とし微量の希土類元素等を添加して導電性をもたせた半導体磁器と電極とを備えて構成されており、例えば回路の過電流保護素子として、あるいは温度センサ等として広く利用されている。この半導体磁器としては、特許文献1に開示されたものが知られており、微量添加される希土類元素等は半導体化剤と称される。
近年、消費電力をできるだけ抑えるためにPTCサーミスタの低抵抗化の要望が強い。抵抗は電極面積に反比例するため、電極面積が大きいほど抵抗を低減することができる。しかし、従来の単板型の半導体磁器では電極面積を大きくすることに限界があり、近年の低抵抗化には応えられない。このため、単板型に代わるものとして、積層型のPTCサーミスタが提案されている(例えば特許文献1参照)。積層型PTCサーミスタは、半導体セラミック層と内部電極を交互に積層してなる積層体を一体焼成して得られた焼結体に外部電極を形成してなるもので、この積層型PTCサーミスタによれば、内部電極の電極面積を大幅に増やすことができ、それだけ低抵抗化を可能にでき、上述の要請に応えられる。
内部電極にはオーミック性、及び焼成時の耐熱性に優れた金属を採用する必要がある。このような金属として、純NiあるいはNi系合金(以下、両者を総称して「Ni系金属」という)が有効である。しかし、このNi系金属を内部電極として採用する場合、通常の単板型と同様に大気中にて焼成すると電極が酸化されてしまうという問題がある。このため、Ni系金属の酸化を回避するために、還元雰囲気中で半導体セラミック層とNi系金属からなる内部電極とを同時に焼成している。但し、焼成時の酸素分圧が低すぎるとPTCサーミスタの粒界の吸着酸素が不足し、急激にPTC特性が劣化してしまう。このため、還元雰囲気中での焼成の後に、内部電極が酸化されない程度の低温で酸化処理を行うことにより、PTC特性を改善することが行われている。例えば特許文献2では、その実施例において(Ba0.998−xCaLa0.002TiO+yMnO+0.01SiO、x=0.02〜0.45、y=0.00002〜0.015、m=0.98〜1.06の組成を採用し、還元雰囲気中にて1350℃で2時間焼成した後、大気中にて800℃で2時間加熱するという酸化処理を行っている。
特開平4−42501号公報 特開平6−151103号公報
特許文献2に記載の積層型PTCサーミスタによれば、たしかに低抵抗化を図ることができる。しかしながら、特許文献2に記載の積層型PTCサーミスタは、後述するPTCジャンプがたかだか2程度であり、さらにPTC特性を得ることが望まれる。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、低抵抗化を図りつつ酸化処理後のPTC特性を向上できる積層型PTCサーミスタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は低抵抗化を図りつつ酸化処理後のPTC特性を向上させるために、組成面、製造条件の観点から様々な検討を行った。その結果、以下の2つの要素を満足することにより、本発明の目的を達成できることを知見した。
(1)PTCサーミスタの主成分をなすチタン酸バリウム(BaTiO)のBaサイト及びTiサイトの各々を所定の半導体化剤で所定量だけ置換することにより、低抵抗率と高いPTC特性を兼備することができる。
(2)これまで単なる焼結助剤として考えられていたSiOは、Baサイト/Tiサイトのmol比と相関があり、両者が特定の関係にあるときに、低抵抗率と高いPTC特性を兼備することができる。
本発明は以上の知見に基づくものであり、半導体セラミック層と内部電極とが交互に積層されるとともに、内部電極と電気的に接続された外部電極を有し、正の抵抗温度特性を有する積層型サーミスタであって、内部電極はNi系金属から構成され、半導体セラミック層は、(Ba1−w−xSrREα(Ti1−yTM)O+βSiO+zMnO…(1)で示される化合物を含む空隙率が5〜25%の焼結体から構成される。ここで、REは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy及びErからなる群から選択される少なくとも1種の元素、TMは、V、Nb及びTaからなる群から選択される少なくとも1種の元素であるとともに、w、x、y、z、β(いずれもmol)、及びα(Baサイト/Tiサイトのmol比)は、以下を満足することを特徴とする。
0≦w≦0.3
0.001≦x+y≦0.005
0.2≦y/(x+y)≦0.8
0≦z≦0.0015
1.02≦α≦1.1の場合、2.35α−2.39<β<2.35α−2.32
0.99≦α<1.02の場合、0≦β<2.35α−2.32
本発明の積層型サーミスタは、式(1)において、x及びyが以下を満足することが、低抵抗化を図りつつ酸化処理後のPTC特性を向上させる上で好ましい。
0.002≦x+y≦0.005
0.3≦y/(x+y)≦0.7
また、本発明の積層型サーミスタにおいて、REがY及びGdの1種又は2種、TMがNbである場合に、低抵抗化を図りつつ酸化処理後のPTC特性を向上させる上で好ましい。
さらに本発明において、式(1)において、α、βが以下を満足し、またwが以下を満足し、さらにまたzが以下を満足することが、低抵抗化を図りつつ酸化処理後のPTC特性を向上させる上で好ましい。
1.02≦α≦1.08
2.35α−2.37≦β≦2.35α−2.34
0.05≦w≦0.3
0.0002≦z≦0.0013
また本発明は、半導体セラミック層とNi系金属から構成される内部電極とが交互に積層されるとともに、内部電極と電気的に接続された外部電極を有し、正の抵抗温度特性を有する積層型サーミスタの製造方法であって、原料粉末を1000〜1150℃で仮焼して得られた仮焼粉とバインダとからなる半導体セラミック層形成用のシートを作製する工程と、半導体セラミック層形成用のシートと内部電極用材料とが交互に積層された積層体を得る工程と、積層体を還元雰囲気中、1180〜1280℃で焼結し、焼結体を得る工程と、焼結体を酸化雰囲気中、500〜850℃で熱処理する工程と、を備え、半導体セラミック層は、一般式(Ba1−w−xSrREα(Ti1−yTM)O+βSiO+zMnOで示される化合物を含む焼結体から構成され、REは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy及びErからなる群から選択される少なくとも1種の元素、TMは、V、Nb及びTaからなる群から選択される少なくとも1種の元素であるとともに、w、x、y、z、β(いずれもmol)、及びα(Baサイト/Tiサイトのmol比)は、以下を満足し、焼結体の空隙率は5〜25%であることを特徴とする積層型サーミスタの製造方法を提供する。
0≦w≦0.3、
0.001≦x+y≦0.005
0.2≦y/(x+y)≦0.8
0≦z≦0.0015
1.02≦α≦1.1の場合、2.35α−2.39<β<2.35α−2.32
0.99≦α<1.02の場合、0≦β<2.35α−2.32
以上説明したように、本発明によれば、
(1)PTCサーミスタの主成分をなすチタン酸バリウム(BaTiO)のBaサイト及びTiサイトの各々を所定の半導体化剤で所定量だけ置換すること、
(2)これまで単なる焼結助剤として考えられていたSiOと、Baサイト/Tiサイトのmol比とを特定の関係とすること、
により、室温(25℃)における抵抗率を1×10Ωcm以下、後述するPTCジャンプを4以上とすることができる。
以下、実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態における積層型サーミスタの構成を示す断面図である。
積層型サーミスタ1は直方体状のもので、半導体セラミック層2とNi系金属からなる内部電極3とを交互に積層して積層体を形成し、この積層体を一体焼成して本体4が構成されている。この本体4は、上記積層体を還元雰囲気中にて高温焼成した後、低温の酸化処理を施すことによって形成されたものである。
本体4の左端面4a及び右端面4bには各内部電極3の一端面3aのみが交互に露出しており、他の端面3bは半導体セラミック層2の内部に位置して本体4内に埋設されている。また、上記本体4の左端面4a及び右端面4bには外部電極5が形成されており、この外部電極5は内部電極3の一端面3aと電気的に接続されている。例えばAgやAg−Pd合金を焼付けて外部電極5とすることができる。
本発明において、半導体セラミック層2は下記の式(1)で示される化合物を含む焼結体から構成される。
(Ba1−w−xSrREα(Ti1−yTM)O+βSiO+zMnO…(1)
式(1)において、REは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy及びErからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。また、TMは、V、Nb及びTaからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。
式(1)において、(Ba1−w−xSrREα(Ti1−yTM)Oの項は、チタン酸バリウム(BaTiO)のBaサイトの一部をSr、REで置換し、さらにTiサイトの一部をTMで置換することを示している。ただし、SrによるBaサイトの置換は任意である。本発明において、Baサイトの一部をREで置換し、かつTiサイトの一部をTMで置換することにより、低抵抗化を図りつつ酸化処理後に高いPTC特性を示すことができる。Baサイトの一部をREで置換し、またはTiサイトの一部をTMで置換しただけでは、この効果を得ることができない。なお、本発明において、低抵抗であるとは、25℃における抵抗率R25℃(以下、室温抵抗率ということがある)が1×10Ωcm以下であることをいう。また、本発明において、高いPTC特性とは、以下の式(2)によるPTCジャンプ(桁数)が4以上であることをいう。
PTCジャンプ=Log10(R250℃/R25℃)…(2)
250℃:250℃における抵抗率
25℃:25℃における抵抗率
式(1)において、Baサイトの一部をSr、REで置換する量、さらにTiサイトの一部をTMで置換する量を示すw、x及びyは以下を満足する。
0≦w≦0.3
0.001≦x+y≦0.005
0.2≦y/(x+y)≦0.8
Sr置換量[w]
Baの一部をSrで置換することによりキュリー温度を変動させることができる。但し、xが増加するにつれてキュリー温度が低下し、xが0.3を超えるとキュリー温度と室温との差が小さくなるため、xの上限は0.3とする。なお、本発明においては、抵抗率がR25℃の2倍になる温度をキュリー温度と定義する。キュリー温度は、PTCサーミスタの用途に応じて調整する必要がある。例えば、電池パック内にPTCサーミスタを入れて電池セルの温度を検出する場合があるが、電池パックに要求されるキュリー温度は80〜90℃である。よって、本発明のPTCサーミスタを電池パック用に用いる場合には、wを0.05≦w≦0.075の範囲とすればよい。また後述する実施例で示すように、所定量のSrでBaサイトの一部を置換することにより、Srで置換しない場合よりもPTC特性を向上させることができる。高いキュリー温度を得たい場合には、wは、0≦w≦0.25の範囲とすることが好ましく、さらには0.05≦w≦0.15とすることが好ましい。PTC特性を重視する場合には、wは、0.05≦w≦0.3の範囲とすることが好ましく、さらには0.1≦w≦0.3とすることが好ましい。
RE、TM置換量[0.001≦x+y≦0.005、0.2≦y/(x+y)≦0.8] BaサイトのREによる置換量及びTiサイトのTMによる置換量の合計を示すx+yが少なくなると室温抵抗率が高く、かつPTCジャンプが小さくなる傾向にある。また、x+yが多くなるとPTCジャンプが小さくなる傾向がある。そこで本発明では、0.001≦x+y≦0.005とする。好ましいx+yは0.002≦x+y≦0.005、さらに好ましいx+yは0.002≦x+y≦0.004である。
本発明において、BaサイトのREによる置換量x及びTiサイトのTMによる置換量yの合計x+yに対するyの比率を示すy/(x+y)の値が室温抵抗率及びPTC特性に影響を与える。y/(x+y)の値が小さくなるか、又は大きくなると、室温抵抗率が高くなるとともにPTCジャンプが小さくなる傾向にある。そこで本発明は、0.2≦y/(x+y)≦0.8とする。好ましくは0.3≦y/(x+y)≦0.7、より好ましくは0.35≦y/(x+y)≦0.67である。
MnO量[z]
本発明において、MnOは、PTC特性を向上させるのに有効である。ただし、MnO量を示すzが大きくなりすぎると室温抵抗率が高くなりすぎてPTC特性が得られず、温度の上昇に対して抵抗が減少するNTC(Negative Temperature Coefficient)特性を示す。そこで本発明は式(1)において、MnO量を示すzを0≦z≦0.0015とする。zは、0.0002≦z≦0.0013の範囲とすることが好ましく、さらには0.0005≦z≦0.0012とすることが好ましい。なお、半導体セラミック層がMnOを含有する場合は、MnOを含有しない場合(z=0の場合)に比べて、PTC特性が高くなる傾向にあるものの、条件によっては室温抵抗率が高くなる場合がある。
BaサイトとTiサイトとのmol比[α]
BaサイトとTiサイトのmol比を示すαが0.99未満又はαが1.1を超えると、室温抵抗率が高くなり、PTC特性が劣化してしまう。したがって、本発明のαは0.99≦α≦1.1とする。また、αは1.02≦α≦1.08の範囲とすることが好ましく、さらには1.02≦α≦1.05とすることが好ましい。
SiO量[β]
SiOは焼結助剤として機能するが、このSiOの量βは、BaサイトとTiサイトとのmol比αと相関があり、両者が特定の関係にあるときに、低抵抗率と高いPTC特性を兼備することができる。そこで、本発明において、SiO量βは、上述したαの数値範囲(0.99≦α≦1.1)内で、αの値に対して特定の関係を満たすようにする。すなわち、1.02≦α≦1.1の場合、2.35α−2.39<β<2.35α−2.32に制御し、また、0.99≦α<1.02の場合、0≦β<2.35α−2.32に制御する。これにより、室温抵抗率及びPTC特性を積層型サーミスタ1として好ましい値とすることができる。なお、MnOの場合と同様、半導体セラミック層がSiOを含有する場合は、SiOを含有しない場合(β=0の場合)に比べて、PTC特性が高くなるものの、条件によっては室温抵抗率が高くなる場合がある。したがって、本発明においては、PTC特性及び室温抵抗率のいずれかを重視するかによって、MnO及びSiOを添加するか否かを決定することもできる。
本発明による半導体セラミックス層2は焼結体で構成されるが、その空隙率は5〜25%である。空隙率は室温抵抗率及びPTC特性と相関があり、空隙率が5%未満と低すぎるとPTC特性が劣化する。一方、空隙率が25%を超えると、室温抵抗率が大きくなり、PTC特性も劣化する。好ましい空隙率は10〜25%、さらに好ましくは10〜23%である。空隙率を変動させる要因として、組成及び還元焼成条件が挙げられる。組成が本発明の範囲内でも、還元焼成条件によっては、空隙率が5〜25%の範囲以外の値になる場合もある。
<積層型サーミスタの製造方法>
上記した積層型サーミスタ1を作製するには、原料粉末を配合した後に仮焼し、得られた仮焼体を粉砕してスラリーを作製する。そして、そのスラリーを用いて半導体セラミック層用グリーンシートを作製した後、グリーンシートの上面に内部電極用ペーストを印刷して内部電極3を形成する。次いで、グリーンシートを積層して得られた積層体を焼結し、得られた本体4に対して酸化処理(熱処理)を施すのである。以下、各工程について詳述する。
主成分の原料粉末として、酸化物又は加熱により酸化物となる化合物を用いる。具体的にはBaCO、TiO、SrCO、SiO、Mn(NO6HO、REの酸化物(例えばY)、TMの酸化物(例えば、Nb)を用いることができる。なお、上述した原料粉末に限らず、2種以上の金属を含む複合酸化物の粉末を原料粉末としてもよい。各原料粉末の平均粒径は0.1〜3.0μmの範囲で適宜選択すればよい。
原料粉末を上記式(1)の組成になるようにそれぞれ秤量した後、原料粉末を純水ならびに粉砕用ボールとともにナイロン製ポット内に入れて4〜8時間粉砕混合した後、乾燥させ混合粉末を得る。この混合粉末を仮成形し、1000〜1150℃の範囲内で所定時間保持する仮焼を行う。このときの雰囲気はN又は大気とすればよい。仮焼の保持時間は0.5〜5時間の範囲で適宜選択すればよい。
次いで、この仮焼体を解砕して得た仮焼粉を純水ならびに粉砕用ボールとともにナイロン製ポットに入れ、これに溶剤、バインダ及び可塑剤を添加して10〜20時間混合し、所定粘度を有する半導体セラミック層用のスラリーを得る。この半導体セラミック層用スラリー中の溶剤、バインダ、可塑剤の含有量には制限はないが、例えば、溶剤の含有量は10〜50重量%、バインダの含有量は1〜10重量%程度の範囲で設定することができる。また、スラリー中には、必要に応じて分散剤等を10重量%以下の範囲で含有させることができる。
得られたスラリーを、ポリエステルフィルム等の上にドクターブレード法等で塗布、乾燥して、厚さ10〜100μmのグリーンシートを作製する。このグリーンシートを短冊状に打ち抜いて多数の半導体セラミック層用グリーンシートを得た後、グリーンシートの上面に内部電極用ペーストをスクリーン印刷等で印刷して内部電極3を形成する。内部電極3はその一端面3aのみがグリーンシートの端縁まで延びて、他の端面3bはグリーンシートの内側に位置するように形成する。なお、内部電極用ペーストは、Ni粉末又はNi合金粉末と電気絶縁材(ワニス)を混合して調製することができる。Ni合金粉末としては、例えばNi−Pd粉末を用いることができる。
次いで、半導体セラミック層2と内部電極3とが交互に重なり、かつ内部電極3の一端面3aが半導体セラミック層2の左端縁、右端縁に交互に露出するようグリーンシートを積層し、その上面及び下面に内部電極3が形成されていない半導体セラミック層2を重ねる。これをプレスで積層方向に加圧、圧着する。圧着体をカッター等で所望のサイズに切断し、積層体とする。これにより、上記各内部電極3の一端面3aのみが積層体の左端面又は右端面に露出し、残りの端面3bは積層体の内部に封入されることとなる。
積層体を大気中、400〜600℃で1〜2時間加熱保持してバインダを除去する。その後、還元雰囲気中、1180〜1280℃で0.5〜4時間積層体を焼結し、本体4を得る。還元雰囲気は例えば水素と窒素の混合雰囲気とすることができ、還元雰囲気中で焼結するのは、内部電極3としてのNi系金属電極の酸化を防止するためである。
続いて、本体4に対して、酸化雰囲気中での酸化処理(熱処理)を施す。酸化処理の条件は内部電極3の酸化を防止しつつ、かつ半導体セラミック層2のPTC特性を改善することができるものとしなければならない。具体的には、本体4を、大気等の酸化雰囲気中において、500〜850℃、好ましくは550〜650℃の温度で、0.5〜6時間、好ましくは0.4〜6時間、より好ましくは0.4〜3時間、加熱保持することにより、酸化処理を行うことができる。酸化処理温度が500℃未満では、酸化処理が十分に進行しない傾向がある。また酸化処理温度が850℃を超えると、内部電極3が酸化してしまう傾向がある。酸化処理の際、酸素濃度を変動させることにより、室温抵抗率及びPTC特性を変動させることができる。酸素濃度は酸化処理温度及び酸化処理時間に応じて設定する必要があり、酸化処理温度が550〜650℃、酸化処理時間が2時間のときには酸素濃度は10〜30%程度とすればよく、酸化処理時間が2時間であっても酸化処理温度がより高温のときには酸素濃度は1.0%以下、さらには0.1〜0.5%程度とすることが好ましい。なお、酸化処理の温度及び時間は本体4の寸法に応じて適宜設定する必要がある。
酸化処理後の本体4の左端面4a及び右端面4bに外部電極用ペーストを塗布した後、大気中、550〜650℃で焼き付けて外部電極5を形成して外部電極5と内部電極3の一端面3aとを電気的に接続することにより、図1に示した積層型サーミスタ1を得ることができる。外部電極用ペーストとしては、例えばAgペーストやAg−Pdペーストを用いることができる。
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
[実施例1]
BaCO、TiO、SrCO、RE酸化物、TM酸化物、SiO及びMn(NO・6HOを下記式(A)の組成になるようにそれぞれ秤量した後、純水ならびに粉砕用ボールとともにナイロン製ポット内に入れて6時間混合した後、乾燥させ混合粉末を得た。なお、RE酸化物、TM酸化物は以下の通りである。また、下記組成の2.35α−2.39及び2.35α−2.32は、各々0.007、0.077となり、β=0.05であるから、2.35α−2.39<β<2.35α−2.32を満足する。
(Ba0.772Sr0.223RE1.02(Ti1−yTM)O+0.05SiO+0.001Mn ・・・(A)
RE(x)、TM(y):表1、表2
RE酸化物:Y、Gd、La、Ce、Pr、Sm、Dy、Er、Nd
TM酸化物:Nb、V、Ta
以上の混合粉末を仮成形し、1150℃で4時間保持する仮焼を行った。このときの雰囲気は大気中とした。次いで、この仮焼体を解砕して得た仮焼粉末(平均粒径1μm)を純水ならびに粉砕用ボールとともにナイロン製ポットに入れ、これに溶剤、バインダ及び可塑剤を添加して3本ロールにて20時間混合し、半導体セラミック層形成用スラリーを得た。なお、溶剤、バインダ、可塑剤の配合比はそれぞれ以下の通りとした。
溶剤:粉末100重量部に対して50重量部配合した。
バインダ:粉末100重量部に対して5重量部配合した。
可塑剤:粉末100重量部に対して2.5重量部配合した。
得られた半導体セラミック層形成用スラリーをポリエステルフィルムの上にドクターブレード法で塗布、乾燥して厚さ80μmのグリーンシートを作製した。このグリーンシートを50mm×50mmの寸法に打ち抜いて多数枚のセラミック層用グリーンシートを得た後、グリーンシートの上面に内部電極用ペーストをスクリーン印刷で印刷して内部電極を形成した。なお、内部電極用ペーストは、平均粒径0.2μmのNi粉末100重量部に対して電気絶縁材としてのBaTiOを10重量部加え、混練して調製したものである。
内部電極の一端面がセラミック層の左端部、右端部に交互に露出するようグリーンシートを積層し、その上面及び下面に、内部電極が形成されていないグリーンシートを重ね、これをプレスで積層方向に加圧、圧着した。圧着体をカッターで切断し、2mm×1.2mm×1.2mmの積層体を得た。
積層体を大気中、600℃で2時間加熱保持してバインダを除去した後、還元雰囲気中、1200℃で2時間、積層体を焼結し、焼結体を得た。還元雰囲気は水素と窒素の混合雰囲気とし、水素と窒素の比率は1:99とした。
続いて焼結体を大気中、800℃で2時間加熱保持することにより、酸化処理を行った。なお、酸素濃度は0.2%とした。酸化処理後の焼結体の左端面及び右端面にAgペーストを塗布した後、大気中650℃で焼き付けて外部電極を形成し、図1に示す構成の積層型サーミスタ1を得た。得られた積層型サーミスタ1について、25〜250℃における抵抗率を測定し、かつPTCジャンプを求めた。また、半導体セラミック層2の空隙率を測定した。その結果を表1、表2に示す。空隙率は、ポロシメータにより測定した。
表1、表2に示すように、REによるBaサイトの置換又はTMによるTiサイトの置換のいずれか一方しか行っていない場合(No.1、16、17、20、23、28、29、32の場合)には、PTCジャンプが4未満となるか、またはR25℃が1.0×10Ωcmを超えることが確認された。
x+y(mol)が0.001未満であるNo.2〜4、または0.005を超えるNo.17〜20では、PTCジャンプが4未満の特性となってしまった。これに対して、x+yが0.001〜0.005の範囲であるNo.5、7〜12、14、15では、R25℃が1.0×10Ωcm以下、かつPTCジャンプが4以上の特性を得ることができた。また、x+yは0.003近傍が最も好ましいことが確認された。
y/(x+y)についてみると、y/(x+y)が0.2未満又は0.8を超えるNo.6、13では、PTCジャンプが4未満の特性となってしまった。これに対して、y/(x+y)が0.2〜0.8の範囲内であるNo.7〜12、14、15では、R25℃が1.0×10Ωcm以下、かつPTCジャンプが4以上の特性を得ることができた。
本発明において、本体の空隙率は5〜25%である。空隙率はR25℃及びPTC特性と相関があり、空隙率が5%未満と低すぎるとPTC特性が劣化する。一方、空隙率が25%を超えると、R25℃が大きくなり、PTC特性も劣化する。例えば表1のNo.26の空隙率は27%(25%超の値)であり、R25℃が1.0×10Ωcmより高くなっている。また、No.27はR25℃が2.0×10Ωcmと低く、PTCジャンプも0.1と低かった。
表2に示すように、REについては、Y以外のGd、La、Ce、Pr、Sm、Dy、Er及びNd、また、TMについてはNb以外のV及びTaであっても、x+y及びy/(x+y)が各々本発明の範囲にあると、R25℃が1.0×10Ωcm以下、かつPTCジャンプが4以上の特性を得ることができた。表1、表2より、REとしてY及びGdの1種または2種、TMとしてNbを選択した場合に、R25℃及びPTCジャンプの特性が最も優れることがわかった。
Figure 2008193042
Figure 2008193042
[実施例1a]
次に半導体セラミック層の組成が下記式(B)の組成となるように原料粉末を秤量した以外は、試料No.1〜62と同様にして、試料1a〜62aの積層型サーミスタをそれぞれ作製した。
(Ba0.772Sr0.223RE0.99(Ti1−yTM)O ・・・(B)
RE(x)、TM(y):表1a、表2a
RE酸化物:Y、Gd、La、Ce、Pr、Sm、Dy、Er、Nd
TM酸化物:Nb、V、Ta
なお、上記組成では、α=0.99であるから、2.35α−2.32は、0.0065となり、SiOの量を示すβは0であるから、上記組成式は、0≦β<2.35α−2.32を満足する。なお、上記組成では、MnOの量を示すzは0である。
得られた各積層型サーミスタについて、実施例1と同様に、25〜250℃における抵抗率を測定し、かつPTCジャンプを求め、また、焼結体の空隙率を測定した。その結果を表1a、表2aに示す。
Figure 2008193042
Figure 2008193042
表1a、表2aに示すように、原料粉末にSiO及びMnOを含有させない場合であっても、半導体セラミック層が、(Ba1−w−xSrREα(Ti1−yTM)O+βSiO+zMnO…(1)で示される化合物を含む空隙率が5〜25%の焼結体から構成され、以下の条件を満たす試料においては、R25℃が1×10[Ωcm]以下で、かつPTCジャンプが4以上であることが確認された。
0≦w≦0.3
0.001≦x+y≦0.005
0.2≦y/(x+y)≦0.8
0≦z≦0.0015
0.99≦α<1.02の場合、0≦β<2.35α−2.32
[実施例2]
下記式(C)の組成となるように原料粉末を秤量した以外は、実施例1と同様にして積層型サーミスタを作製した。
(Ba0.772Sr0.223REα(Ti1−yTM)O+βSiO+0.001MnO …(C)
x=0.0015、y=0.0015(x+y=0.0030、y/(x+y)=0.5)
得られた積層型サーミスタについて、実施例1と同様に、25〜250℃における抵抗率を測定し、かつPTCジャンプを求め、また、焼結体の空隙率を測定した。その結果を表3に示す。
Figure 2008193042
表3に示すように、αを固定してβを変動させることにより、R25℃、PTC特性及び空隙率が変動することが確認された。また、αに対してβが小さすぎても、また大きすぎても、室温抵抗率、PTC特性が劣化してしまうことが確認された。例えばβの値が0.05molと同一であるNo.72とNo.76とを比較すると、αが1.02であるNo.72についてはR25℃が1.0×10[Ωcm]以下を示し、かつPTCジャンプが4以上と高いPTC特性を示したのに対して、αが1.04であるNo.76についてはPTCジャンプが1と低かった。つまり、0.05molというSiO添加量はαが1.02の場合には適しているが、αが1.04の場合には不適であることが確認された。同様に、βの値が0.24molと同一であるNo.87とNo.90とを比較すると、αが1.10であるNo.90についてはR25℃が低く、かつPTCジャンプが4とPTC特性も高かったが、αが1.08であるNo.87についてはR25℃が高く、PTCジャンプが1と低かった。
図2は、αが1.02≦α≦1.1の範囲内であるNo.70〜91のα及びβをプロットしたグラフである。図2中、R25℃が1×10[Ωcm]以下で、かつPTCジャンプが4以上である試料は円(○)でプロットし、R25℃又はPTCジャンプが上記範囲外のものをバツ(×)でプロットした。図2に示す結果から、1.02≦α≦1.1において2.35α−2.39<β<2.35α−2.32を満足する試料No.71〜73,77,78,81,83〜85,89,90においては、R25℃が1×10[Ωcm]以下で、かつPTCジャンプが4以上であることが確認できた。また、図2及び表3に示す結果から、α及びβが、2.35α−2.37≦β≦2.35α−2.34を満足することによって、R25℃を更に低くし、かつPTCジャンプを更に大きくできることが確認された。
図3は、αが0.99≦α<1.02の範囲内であるNo.131〜140のα及びβを、図2の場合と同様にプロットしたグラフである。図3に示す結果から、0.99≦α<1.02において0≦β<2.35α−2.32を満足する試料No.132,134,135,137〜139においては、R25℃が1×10[Ωcm]以下で、かつPTCジャンプが4以上であることが確認できた。
上述のように、表3、図2、及び図3に示す結果から、βは単独で決定すべきではなく、αに応じて決定すべきであり、1.02≦α≦1.1の場合、2.35α−2.39<β<2.35α−2.32、0.99≦α<1.02である場合、0≦β<2.35α−2.32、となるようにα及びβを制御することによって、R25℃が低く、且つPTC特性に優れた積層型サーミスタが得られることが確認された。
なお、表3に示すように、αが0.99未満であるNo.131では、PTC特性が劣化してしまった。また、αが1.10を超えるNo.94、95においては、R25℃が高くなり、PTC特性も劣化してしまった。したがって、αを0.99≦α≦1.1の範囲とすることによって、これらの傾向を回避できることが確認された。また、R25℃を低下させ、且つ、PTC特性を向上させるためには、αは1.02≦α≦1.08の範囲とすることが好ましく、1.02≦α≦1.05とすることがより好ましいことが確認された。
次に、表3のNo.72について、仮焼温度を表4に示すように変えた以外は、No.72と同様にして積層型サーミスタを作製した。得られた積層型サーミスタについて、以上と同様にして、25〜250℃における抵抗率を測定し、かつPTCジャンプを求めた。その結果を表4に示す。
表4に示すように、仮焼温度を変えることにより、R25℃及びPTC特性が変動することがわかった。また、表4より、本発明の効果を享受するためには、仮焼温度を1000〜1150℃とすることが好ましいことが確認された。
Figure 2008193042
[実施例3]
下記式(D)の組成となるように原料粉末を秤量した以外は、実施例1と同様にして積層型サーミスタを作製した。ただし、wは表5に示す通りとした。得られた積層型サーミスタについて、実施例1と同様に、25〜250℃における抵抗率を測定し、かつPTCジャンプを求め、また、焼結体の空隙率を測定した。その結果を表5に示す。
(Ba0.995−x−wSr1.02(Ti1−yNb)O+0.05SiO+0.001MnO ・・・(D)
x=0.0015、y=0.0015(x+y=0.0030、y/(x+y)=0.5)
表5に示すように、BaをSrで置換することによりキュリー温度及びPTC特性が変動することがわかった。また、wが多くなるにつれてPTC特性が向上するが、その一方でキュリー温度が低下してしまうため、wは0≦w≦0.3、さらには0≦w≦0.25とすることが好ましいことが確認された。また、4を超えるPTCジャンプを得たい場合には、wは、0.05≦w≦0.3の範囲とすることが好ましく、さらには0.1≦w≦0.3とすることが好ましいことが確認された。
Figure 2008193042
[実施例4]
下記式(E)の組成となるように原料粉末を秤量した以外は、実施例1と同様にして積層型サーミスタを作製した。ただし、zは表6に示す通りとした。得られた積層型サーミスタについて、実施例1と同様に、25〜250℃における抵抗率を測定し、かつPTCジャンプを求め、また、焼結体の空隙率を測定した。その結果を表6に示す。
(Ba0.772Sr0.2231.02(Ti1−yNb)O+0.05SiO+zMnO …(E)
x=0.0015、y=0.0015(x+y=0.0030、y/(x+y)=0.5)
表6に示すように、MnO量が0〜0.002molの場合には4以上というPTCジャンプを示したが、その量が0.1molになるとPTC特性が得られなくなった。また表6に示すように、MnO量が0.001molの場合にはMnO量が0molの場合と同等の25℃における抵抗率R25℃を示すが、MnO量が0.002molの場合には25℃における抵抗率R25℃が大幅に増加することが確認された。したがって、低いR25℃及び高いPTC特性を兼備するには、MnO量、つまりzは0≦z≦0.0015、さらには0.0005≦z≦0.001とすることが好ましいことが確認された。
Figure 2008193042
[実施例5]
下記式(F)の組成となるように原料粉末を秤量した以外は、実施例1と同様にして積層型サーミスタを作製した。ただし、還元焼成後の焼結体に表7に示す各条件で酸化処理を行った。得られた積層型サーミスタの端部にブラスト処理を施し、Ni内部電極を露出させた後、Agペーストを塗布し、Ni内部電極の抵抗率(25℃)を測定した。その結果を表7に示す。
(Ba0.772Sr0.2231.02(Ti1−yNb)O+0.05SiO+0.001MnO ・・・(F)
x=0.0015、y=0.0015(x+y=0.0030、y/(x+y)=0.5)
Figure 2008193042
表7に示すように、酸素濃度が0.2%、2.0%、20.8%と高くなるにつれてNi内部電極の抵抗率が上昇し、Ni内部電極の酸化が進むといえることが確認された。但し、酸化処理温度が500℃又は600℃の場合には酸素濃度が20.8%と高くても、抵抗率の上昇を抑制することができた。よって、Ni内部電極の酸化を防止するには、酸化処理温度は500〜650℃とすることが好ましく、550〜600℃とすることがより好ましいことが確認できた。また、Ni内部電極の酸化防止かつPTC特性の改善効果が大きいという観点からは550〜650℃で酸化処理を行うことが好ましいことが確認された。
酸化処理温度が800℃又は700℃の場合、酸素濃度が0.2%から2.0%になると急激に抵抗が増大するため、酸素濃度は1.0%以下、さらには0.1〜0.5%とすることが好ましいことが確認された。
本実施の形態における、積層型サーミスタを説明するための断面図である。 試料No.70〜91のα及びβをプロットしたグラフである。 試料No.131〜140のα及びβをプロットしたグラフである。
符号の説明
1…積層型サーミスタ、2…半導体セラミック層、3…内部電極、4…本体、5…外部電極。

Claims (7)

  1. 半導体セラミック層と内部電極とが交互に積層されるとともに、前記内部電極と電気的に接続された外部電極を有し、正の抵抗温度特性を有する積層型サーミスタであって、
    前記内部電極はNi系金属から構成され、
    前記半導体セラミック層は、
    (Ba1−w−xSrREα(Ti1−yTM)O+βSiO+zMnO…(1)で示される化合物を含む空隙率が5〜25%の焼結体から構成され、
    前記式(1)において、
    前記REは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy及びErからなる群から選択される少なくとも1種の元素、
    前記TMは、V、Nb及びTaからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、
    w、x、y、z、β(いずれもmol)、及びα(Baサイト/Tiサイトのmol比)は、以下を満足することを特徴とする積層型サーミスタ。
    0≦w≦0.3
    0.001≦x+y≦0.005
    0.2≦y/(x+y)≦0.8
    0≦z≦0.0015
    1.02≦α≦1.1の場合、2.35α−2.39<β<2.35α−2.32
    0.99≦α<1.02の場合、0≦β<2.35α−2.32
  2. 前記式(1)において、x及びyが以下を満足することを特徴とする請求項1に記載の積層型サーミスタ。
    0.002≦x+y≦0.005
    0.3≦y/(x+y)≦0.7
  3. 前記REがY及びGdの1種又は2種、前記TMがNbであることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層型サーミスタ。
  4. 前記式(1)において、α、βが以下を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層型サーミスタ。
    1.02≦α≦1.08
    2.35α−2.37≦β≦2.35α−2.34
  5. 前記式(1)において、wが以下を満足することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層型サーミスタ。
    0.05≦w≦0.3
  6. 前記式(1)において、zが以下を満足することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層型サーミスタ。
    0.0002≦z≦0.0013
  7. 半導体セラミック層とNi系金属から構成される内部電極とが交互に積層されるとともに、前記内部電極と電気的に接続された外部電極を有し、正の抵抗温度特性を有する積層型サーミスタの製造方法であって、
    原料粉末を1000〜1150℃で仮焼して得られた仮焼粉とバインダとからなる前記半導体セラミック層形成用のシートを作製する工程と、
    前記半導体セラミック層形成用のシートと前記内部電極用材料とが交互に積層された積層体を得る工程と、
    前記積層体を還元雰囲気中、1180〜1280℃で焼結し、焼結体を得る工程と、
    前記焼結体を酸化雰囲気中、500〜850℃で熱処理する工程と、を備え、
    前記半導体セラミック層は、
    (Ba1−w−xSrREα(Ti1−yTM)O+βSiO+zMnO…(1)で示される化合物を含む空隙率が5〜25%の焼結体から構成され、
    前記式(1)において、
    前記REは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy及びErからなる群から選択される少なくとも1種の元素、
    前記TMは、V、Nb及びTaからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、
    w、x、y、z、β(いずれもmol)、及びα(Baサイト/Tiサイトのmol比)は、以下を満足することを特徴とする積層型サーミスタの製造方法。
    0≦w≦0.3
    0.001≦x+y≦0.005
    0.2≦y/(x+y)≦0.8
    0≦z≦0.0015
    1.02≦α≦1.1の場合、2.35α−2.39<β<2.35α−2.32
    0.99≦α<1.02の場合、0≦β<2.35α−2.32
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