JP2008191125A - 結晶粒解析装置、結晶粒解析方法、及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】結晶粒Aの粒界uの両端点に対応する三重点iに生じる駆動力Fi(t)と、結晶粒Aの中間点に対応する二重点iに生じる駆動力Fi(t)とを計算し、計算した駆動力Fi(t)に基づいて、三重点及び二重点iの位置がどのように移動するかを計算することによって、結晶粒Aがどのように変化するのかを解析するようにした。したがって、結晶粒A(粒界u)の形状を出来るだけ正確に再現できるモデルを容易に構築することができる。よって、結晶粒が時間の経過と共にどのように変化するのかを、従来よりも容易に且つ正確に解析することが可能になる。
【選択図】図1
Description
特許文献1には、圧延された薄板鋼板を焼鈍して一次再結晶化し、一次再結晶化した薄板鋼板を仕上げ焼鈍して、二次再結晶化した薄板鋼板を得るための技術が開示されている。かかる技術では、一次再結晶化した結晶粒の粒径の分布を統計的に求める。そして、その一次再結晶化した結晶粒の粒径の分布を用いて、一次再結晶化した個々の結晶粒の粒界エネルギーの積分値(積分粒界エネルギー)を求め、求めた結果を用いて一次再結晶化した結晶粒の最適な分布を推定する。そして、特許文献1では、このようにして推定した分布となるように、一次再結晶化した結晶粒を得るようにすれば、適正に二次再結晶化した薄板鋼板が得られることになるとしている。
また、特許文献3には、均熱工程におけるAlスラブ、あるいは焼鈍工程におけるAl板材の各工程における初期結晶粒径、保持温度、保持時間と、試験片から得られた種々の係数を所定の計算式に代入して、結晶が成長した後の粒径を算出することが開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、一次再結晶化した結晶粒について着目し、一次再結晶化した結晶粒が、二次再結晶化されるまでの挙動について考慮していない。したがって、結晶粒が時間の経過と共にどのように変化していくのかについての正確な知見を得ることが困難であった。また、前述した従来の技術では、一次再結晶化した結晶粒の粒径の分布を統計的に求めるので、事前の製造・試験等に基づいた多くのデータが必要であった。したがって、結晶粒の状態を簡便に解析することが困難であるという問題点があった。
また、特許文献3に記載の技術では、結晶粒径の計算モデルが開示されているだけである。したがって、具体的にどのような形状となって結晶粒が時間の経過と共に変化するのかを解析することが困難であるという問題点があった。
また、特許文献4に記載の技術では、具体的にどのようなモデルを用いて、結晶粒成長の計算を行うのかが示されていないという問題点があった。
図1は、本実施形態の結晶粒解析装置で行われる解析方法の一例を概念的に示す図である。尚、図1では、説明の都合上、単相金属材料を構成する多数の結晶粒のうち、1つの結晶粒Aのみを示しているが、実際には、多数の結晶粒により単相金属材料が形成されるということは言うまでもない。
まず、図1(a)に示すように、結晶粒Aの3つの粒界ua〜ucの両端点に対応する位置に三重点ia、ie、ifを設定し、粒界ua〜ucの中間点に対応する位置に二重点ib〜id、ig〜iiを設定する。ここで、三重点ia、ie、ifとは、3つの直線が交わる点をいい、二重点ib〜id、ig〜iiとは、2つの直線が交わる点をいう。そして、同一の粒界ua〜uc上で互いに隣接する点iを互いに結ぶ直線を設定する。
以上のように、本実施形態では、粒界ua〜ucの両端の位置だけでなく、粒界ua〜ucの途中の形状も出来るだけ忠実に表すことができるように、二重点ib〜id、ig〜iiを設定するようにしている。
図2は、結晶粒解析装置の機能構成の一例を示すブロック図である。尚、結晶粒解析装置100のハードウェアは、パーソナルコンピュータ等、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、画像入出力ボード、各種インターフェース、及びインターフェースコントローラ等を備えた情報処理装置を用いて実現することができる。そして、特に断りのない限り、図2に示す各ブロックは、CPUが、ROMやハードディスクに記憶されている制御プログラムを、RAMを用いて実行することにより実現される。そして、図2に示す各ブロック間で、信号のやり取りを行うことにより、以下の処理が実現される。
また、点設定部103は、計算対象の点(二重点又は三重点)iにおけるΔt[sec]後の位置ri(t+Δt)を示すベクトルが、後述するようにして位置計算部116により計算されると、その点iの位置ri(t+Δt)を示すベクトルを、RAM又はハードディスクに設定(記憶)する。
粒界設定部105は、ライン設定部104により設定されたラインpのうち、点設定部103により設定された三重点iを両端として互いに接続されたラインpにより特定される粒界uに関する情報を、RAM又はハードディスクに設定する。
尚、図3(c)に示すように、粒界u1は、結晶粒A1、A2の粒界であり、粒界u2は、結晶粒A1、A5の粒界であり、粒界u3は、結晶粒A1、A4の粒界であり、粒界u4は、結晶粒A1、A3の粒界である。
例えば、図3(c)に示した粒界u1における「単位長さ当たりの粒界エネルギーγ」は、結晶粒A1の方位ξ1と結晶粒A1の方位ξ2との差分Δξの絶対値と、解析温度設定部106により設定された解析温度θ(t)とに対応した「単位長さ当たりの粒界エネルギーγ」を、粒界エネルギー記憶部108に記憶されたグラフ等から読み出すことにより得られる。尚、以下の説明では、単位長さ当たりの粒界エネルギーγを、必要に応じて粒界エネルギーγと略称する。また、粒界エネルギー記憶部108は、例えば、RAM又はハードディスクを用いて構成される。
例えば、図3(c)に示した粒界u1における易動度Miは、結晶粒A1の方位ξ1と結晶粒A2の方位ξ2との差分Δξの絶対値と、解析温度設定部106により取得された解析温度θ(t)とに対応した易動度Miを、易動度記憶部110に記憶されたグラフ等から読み出すことにより得られる。尚、易動度記憶部110は、例えば、RAM又はハードディスクを用いて構成される。
解析点判別部113は、点設定部103により設定された全ての点(二重点及び三重点)iを、計算対象の点として、重複することなく順番に指定する。そして、解析点判別部113は、指定した点iが、二重点であるのか、それとも三重点であるのかを判別する。
まず、二重点iが属する粒界uの粒界ベクトルγiの大きさ(絶対値)と同じ大きさを有し、且つ、二重点iから点i−1、i+1に向かう方向を有する2つのベクトルfi1、fi2のベクトル和が、二重点iに生じる駆動力Frであると仮定する(図4を参照)。そうすると、二重点iに生じる駆動力Frの大きさは、以下の(2)式で表される。
二重点iに生じる駆動力を(2)式のようにして定義してもよいが、このようにして定義してしまうと、二重点iに生じる駆動力が、二重点iから点i−1(又は点i+1)までの円弧41の長さlに依存してしまう。すなわち、二重点iに生じる駆動力が、1つの粒界uに対して設定された二重点iの数に依存してしまう。例えば、図3(c)に示すように、粒界u1に対して3つの二重点i2〜i4が設定された場合と、粒界u1に対して5つの二重点が設定された場合とで、二重点iに生じる駆動力が異なってしまう。
そして、三重点用駆動力計算部115は、粒界エネルギーγi1、γi2、γi3の大きさ(絶対値)と、計算対象の三重点iから点1、2、3に向かう方向を有する単位ベクトル(dij(t)/|dij(t)|)とを、以下の(3)式に代入して、計算対象の三重点iに生じる駆動力Fi(t)を計算する。
このように、本実施形態では、点1、2、3が属する粒界uにおける粒界エネルギーγi1、γi2、γi3の大きさ(絶対値)と同じ大きさを有し、且つ、計算対象の三重点iから、その三重点iに隣接する点に向かう方向を有する3つのベクトルDi1(t)、Di2(t)、Di3(t)のベクトル和が、三重点iに生じる駆動力Fi(t)として計算される。
位置計算部116は、二重点用駆動力計算部114により計算された駆動力Fi(t)を示すベクトル(計算対象の二重点iに生じる駆動力Fi(t)を示すベクトル)を取得する。また、位置計算部116は、計算対象の二重点iが属する粒界uの易動度Miを、易動度設定部111から取得する。そして、位置計算部116は、計算対象の二重点iが属する粒界uの易動度Miと、計算対象の二重点iの駆動力Fi(t)を示すベクトルとを、以下の(4)式に代入して、計算対象の二重点iの速度vi(t)を示すベクトルを計算する。
位置計算部116は、位置計算部116は、計算対象の三重点iが属する3つの粒界uの易動度Mi1〜Mi3を、易動度設定部111から取得する。
また、位置計算部116は、三重点用駆動力計算部115により計算された駆動力Fi(t)を示すベクトル(計算対象の三重点iに生じる駆動力Fi(t)を示すベクトル)を取得する。そして、位置計算部116は、計算対象の三重点iが属する粒界uの易動度Miと、計算対象の三重点iの駆動力Fi(t)を示すベクトルとを、前述した(4)式に代入して、計算対象の三重点iの速度vi(t)を示すベクトルを計算する。
次に、ステップS7において、点設定部103は、結晶画像表示部102により表示された結晶粒画像に対して、点(二重点又は三重点)iが指定されるまで待機する。点(二重点又は三重点)iが指定されると、ステップS8に進む。ステップS8に進むと、点設定部103は、ステップS7で指定されたと判定した点iの位置ri(t)を示すベクトルを計算して、RAM又はハードディスクに設定する。
一方、点iを指定する作業の終了指示がなされた場合には、ステップS10に進む。ステップS10に進むと、点設定部103は、ステップS7で指定されたと判定した点(二重点又は三重点)iの数(すなわち、ステップS7の処理を行った回数)Nを計算して、RAM又はハードディスクに設定する。
p1={i1,i2} ・・・(6)
u1={p1,p2,p3,p4} ・・・(7)
次に、ステップS14において、粒界エネルギー設定部109は、ステップS14で設定された結晶粒Aの方位ξと、ステップS4で設定された解析解析温度θ(t)とに基づいて、粒界エネルギー記憶部108に記憶されたグラフ等から、ステップS12で設定された全ての粒界uの粒界エネルギーγを読み出す。そして、粒界エネルギー設定部109は、読み出した粒界エネルギーγを、RAM又はハードディスクに設定する。
次に、ステップS17において、解析点判別部113は、計算対象の点を示す変数iを1に設定する。これにより計算対象の点iが設定される。
ステップS19に進むと、二重点用駆動力計算部114は、計算対象の二重点i、及びその二重点に隣接する2つの点i−1、i+1の情報を、点設定部103から読み出す。そして、二重点用駆動力計算部114は、二重点iと、その二重点iに隣接する2つの点i−1、i+1とにより定まる円弧41の曲率中心O及び曲率半径Ri(t)を計算する。
次に、ステップS21において、二重点用駆動力計算部114は、ステップS19で計算した曲率半径Ri(t)と、ステップS20で読み出した粒界エネルギーγiとを(1)式に代入して、二重点iに生じる駆動力Fi(t)の大きさを計算する。
次に、ステップS23において、位置計算部116は、計算対象の二重点iの現在の位置ri(t)を示すベクトルを点設定部103から受け取る。
そして、位置計算部116は、計算対象の点iの速度vi(t)を示すベクトルと、計算対象の点iの現在の位置ri(t)を示すベクトルと、時間Δtとを、以下の(5)式に代入して、現在の時間tからΔt[sec]が経過したときに、計算対象の点iが存在する位置ri(t+Δt)を示すベクトルを計算する。
一方、ステップS25において、計算対象の点を示す変数iがステップS10で設定された数N以上であると判定された場合には、時間t+Δtにおける位置を、ステップS8で設定された全ての点iについて計算したと判定し、ステップS27に進む。
次に、ステップS28において、解析時間設定部112は、時間tが、ステップS6で設定した解析完了時間Tよりも大きいか否かを判定する。すなわち、解析完了時間Tが経過したか否かを判定する。この判定の結果、時間tが、ステップS6で設定した解析完了時間Tより大きくない場合(解析完了時間Tが経過していない場合)には、ステップ29に進む。ステップS29に進むと、解析時間設定部112は、現在設定している時間tに時間Δtを加算して、時間tを更新する。そして、ステップS17以降の処理を再度行い、更新した時間tから時間Δtが経過した場合の点iの位置ri(t+Δt)を計算する。
また、三重点用駆動力計算部115は、計算対象の三重点iと、その三重点iに隣接する3つの点1、2、3の情報を、点設定部103から読み出す。そして、三重点用駆動力計算部115は、計算対象の三重点iから、点1、2、3に向かう方向を有する単位ベクトルを計算する。
次に、ステップS34において、位置計算部116は、計算対象の三重点iが属する3つの粒界uの易動度Mi1〜Mi3と、計算対象の三重点iから点1、2、3に向かう方向を有する単位ベクトル(dij(t)/|dij(t)|)とを、(6)式に代入して、計算対象の三重点iの易動度Miを計算する。尚、計算対象の三重点iから点1、2、3に向かう方向を有する単位ベクトルは、ステップS31で計算されたものを使用することができる。そして、前述したステップS23以降の処理を行い、時間t+Δtにおける三重点iの位置ri(t+Δt)のベクトルを前述したようにして計算する。
まず、結晶粒解析装置100による解析結果を適用せずに、(比較対象となる)深絞り鋼を製造した。具体的には、まず、転炉溶製されたスラブを、熱延巻き取り温度が600[℃]となるように熱間圧延した。尚、熱延巻き取り温度のバラツキは、標準偏差で30[℃]であった。そして、このようにして熱間圧延された薄板鋼板を酸洗した後に冷間圧延し、その冷間圧延により圧延された薄板鋼板を、CAPL(Continuous Annealing and Processing Line、連続焼鈍ライン)で850[℃]、5分間焼鈍して、比較対象となる製品を製造した。このようにして製造された製品のうち、r(ランクフォード)値が2.0よりも大きいものを良品、そうでないものを不良品とした。そうすると、歩留まりが97.5[%]であった。
次に、焼鈍温度と焼鈍時間とにより定められる焼鈍条件に基づいて、中温サンプルの解析温度θ(t)を結晶粒解析装置100に入力した。そして、中温サンプルを、入力した焼鈍条件で焼鈍した場合に、中温サンプルの結晶粒Aの状態がどのように変化するのかを、前述したようにして結晶粒解析装置100で解析した。そして、解析した結果に基づいて、中温サンプルに対するr値を、別途用意したプログラムを実行することにより計算した。この計算したr値が2.0より大きくなるように、焼鈍条件(すなわち、解析温度θ(t))を変えて、結晶粒解析装置100による解析を繰り返し行った。その結果、計算したr値が2.0より大きくなる「中温サンプルの焼鈍条件」は、図8(a)に示すようになった。
従って、結晶粒解析装置100による解析を行った結果に基づいて、1つのコイルに対する焼鈍条件を変えることにより、製品の歩留まりが向上することが確認できた。
また、本実施形態では、粒界エネルギー設定部109、易動度設定部111は、粒界uを介して互いに隣接する2つの結晶粒Aの方位ξの差分Δξの絶対値に基づいて、粒界エネルギーγ、易動度Miを設定するようにしたが、粒界uを介して互いに隣接する2つの結晶粒Aの方位ξの差分Δξそのものに基づいて、粒界エネルギーγ、易動度Miを設定するようにしてもよい。
また、図6−2のフローチャートにおいて、ステップS29で時間を更新しているので、計算負荷を軽減するために、ステップS27の処理を行わないようにしてもよい。
また、前述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
200 表示装置
300 操作装置
a 結晶粒
i 二重点、三重点
p ライン
u 粒界
Claims (15)
- 金属材料における結晶の画像信号を取得する画像信号取得手段と、
前記結晶に含まれる結晶粒の粒界の両端点に対応し、且つ3つの直線が交わる三重点と、前記結晶に含まれる結晶粒の粒界の中間点に対応し、且つ2つの直線が交わる二重点とが、前記画像信号に基づいて指定されると、その指定された三重点及び二重点を設定する粒界点設定手段と、
前記粒界点設定手段により設定された三重点及び二重点が属する粒界における単位長さ当たりの粒界エネルギーを設定する粒界エネルギー設定手段と、
前記粒界点設定手段により設定された三重点及び二重点の夫々で発生する駆動力を、その三重点及び二重点が属する粒界に対して設定された単位長さ当たりの粒界エネルギーを用いて演算する駆動力演算手段と、
前記駆動力演算手段により演算された駆動力を用いて、前記三重点及び二重点の時間の経過に伴う位置の変化を演算する位置演算手段とを有することを特徴とする結晶粒解析装置。 - 前記駆動力演算手段は、前記駆動力の演算対象となる点が二重点である場合には、その二重点と、その二重点と直線で相互に結ばれた2つの点とにより定まる円弧の曲率と、その二重点が属する粒界に対して設定された単位長さ当たりの粒界エネルギーとの積に基づく大きさを有し、且つその二重点から前記円弧の曲率中心に向かう方向を有するベクトルを、その二重点に生じる駆動力として演算することを特徴とする請求項1に記載の結晶粒解析装置。
- 前記駆動力演算手段は、前記駆動力の演算対象となる点が三重点である場合には、その三重点と直線で相互に結ばれた点が属する粒界に対して設定された単位長さ当たりの粒界エネルギーと同じ大きさを有し、且つその三重点から、その三重点と直線で相互に結ばれた点に向かう方向を有する3つのベクトルのベクトル和を、その三重点に生じる駆動力として演算することを特徴とする請求項1又は2に記載の結晶粒解析装置。
- 前記粒界を介して相互に隣接する2つの結晶粒の方位の差分と、単位長さ当たりの粒界エネルギーとの関係を記憶する粒界エネルギー記憶手段と、
前記画像信号に含まれる結晶粒の方位を取得する方位取得手段とを有し、
前記粒界エネルギー設定手段は、前記方位取得手段により取得された結晶粒の方位であって、前記粒界を介して相互に隣接する2つの結晶粒の方位の差分に対応する単位長さあたりの粒界エネルギーを、前記粒界エネルギー記憶手段により記憶された関係から求めて設定することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の結晶粒解析装置。 - 予め決められた解析時間が経過したときの、前記三重点及び前記二重点の位置が、前記位置演算手段によって演算されたか否かを判定する演算判定手段を有し、
前記位置演算手段は、前記駆動力演算手段により演算された駆動力を用いて、前記三重点及び二重点の時間の経過に伴う位置の変化を、所定時間刻みで演算し、
前記駆動力演算手段は、前記予め決められた解析時間が経過したときの、前記三重点及び二重点の位置が演算されていない場合、前記位置演算手段により演算された最新の位置にある前記三重点及び二重点の夫々で発生する駆動力を再度演算することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の結晶粒解析装置。 - 前記粒界を介して相互に隣接する2つの結晶粒の方位の差分と、易動度との関係を記憶する易動度記憶手段と、
前記画像信号に含まれる結晶粒の方位を取得する方位取得手段と、
前記方位取得手段により取得された結晶粒の方位であって、前記粒界を介して相互に隣接する2つの結晶粒の方位の差分に対応する易動度を、前記易動度記憶手段により記憶された関係から求めて設定する易動度設定手段とを有し、
前記位置演算手段は、前記駆動力演算手段により演算された駆動力と、前記易動度設定手段により設定された易動度とを用いて、前記三重点及び二重点の時間の経過に伴う位置の変化を、所定時間刻みで演算することを特徴とする請求項5に記載の結晶粒解析装置。 - 前記易動度設定手段は、前記二重点については、その二重点が属する粒界に対応する1つの易動度を、前記易動度記憶手段により記憶された関係から求めて設定し、前記三重点については、その三重点が属する粒界に対応する3つの易動度を、前記易動度記憶手段により記憶された関係から求めて設定し、
前記位置演算手段は、前記二重点については、前記駆動力演算手段により演算された駆動力と、前記易動度設定手段により設定された1つの易動度とを積算した結果を用いて、時間の経過に伴う位置の変化を、所定時間刻みで演算し、前記三重点については、前記駆動力演算手段により演算された駆動力と、前記易動度設定手段により設定された3つの易動度から求めた1つの易動度とを積算した結果を用いて、時間の経過に伴う位置の変化を、所定時間刻みで演算することを特徴とする請求項6に記載の結晶粒解析装置。 - 金属材料における結晶の画像信号を画像信号取得手段により取得して記憶手段に記憶する画像信号取得ステップと、
前記結晶に含まれる結晶粒の粒界の両端点に対応し、且つ3つの直線が交わる三重点と、前記結晶に含まれる結晶粒の粒界の中間点に対応し、且つ2つの直線が交わる二重点とが、前記記憶手段に記憶された画像信号に基づいて指定されると、その指定された三重点及び二重点を記憶手段に設定する粒界点設定ステップと、
前記粒界点設定ステップにより設定された三重点及び二重点が属する粒界における単位長さ当たりの粒界エネルギーを記憶手段に設定する粒界エネルギー設定ステップと、
前記粒界点設定ステップにより設定された三重点及び二重点が属する粒界に対して設定された単位長さ当たりの粒界エネルギーを前記記憶手段から読み出し、読み出した単位長さ当たりの粒界エネルギーを用いて、前記粒界点設定ステップにより設定された三重点及び二重点の夫々で発生する駆動力を、駆動力演算手段が演算する駆動力演算ステップと、
前記駆動力演算ステップにより演算された駆動力を示す信号を、前記駆動力演算手段から入力すると、その駆動力を用いて、前記三重点及び二重点の時間の経過に伴う位置の変化を、位置演算手段が演算する位置演算ステップとを有することを特徴とする結晶粒解析方法。 - 前記駆動力演算ステップは、前記駆動力の演算対象となる点が二重点である場合には、その二重点と、その二重点と直線で相互に結ばれた2つの点とにより定まる円弧の曲率と、その二重点が属する粒界に対して設定された単位長さ当たりの粒界エネルギーとの積に基づく大きさを有し、且つその二重点から前記円弧の曲率中心に向かう方向を有するベクトルを、その二重点に生じる駆動力として演算することを特徴とする請求項8に記載の結晶粒解析方法。
- 前記駆動力演算ステップは、前記駆動力の演算対象となる点が三重点である場合には、その三重点と直線で相互に結ばれた点が属する粒界に対して設定された単位長さ当たりの粒界エネルギーと同じ大きさを有し、且つその三重点から、その三重点と直線で相互に結ばれた点に向かう方向を有する3つのベクトルのベクトル和を、その三重点に生じる駆動力として演算することを特徴とする請求項8又は9に記載の結晶粒解析方法。
- 前記粒界を介して相互に隣接する2つの結晶粒の方位の差分と、単位長さ当たりの粒界エネルギーとの関係を記憶手段に記憶する粒界エネルギー記憶ステップと、
前記画像信号に含まれる結晶粒の方位を方位取得手段により取得して記憶手段に記憶する方位取得ステップとを有し、
前記粒界エネルギー設定ステップは、前記粒界を介して相互に隣接する2つの結晶粒の方位の差分と、単位長さ当たりの粒界エネルギーとの関係を、前記記憶手段から読み出し、前記記憶手段に記憶された結晶粒の方位であって、前記粒界を介して相互に隣接する2つの結晶粒の方位の差分に対応する単位長さあたりの粒界エネルギーを、前記読み出した関係から求めて記憶手段に設定することを特徴とする請求項8〜10の何れか1項に記載の結晶粒解析方法。 - 予め決められた解析時間が経過したときの、前記三重点及び前記二重点の位置が、前記位置演算ステップによって演算されたか否かを、演算判定手段が判定する演算判定ステップを有し、
前記位置演算ステップは、前記駆動力演算ステップにより演算された駆動力を用いて、前記三重点及び二重点の時間の経過に伴う位置の変化を、所定時間刻みで演算し、
前記駆動力演算ステップは、前記予め決められた解析時間が経過したときの、前記三重点及び二重点の位置が演算されていない場合、前記位置演算ステップにより演算された最新の位置にある前記三重点及び二重点の夫々で発生する駆動力を再度演算することを特徴とする請求項8〜11の何れか1項に記載の結晶粒解析方法。 - 前記粒界を介して相互に隣接する2つの結晶粒の方位の差分と、易動度との関係を記憶手段に記憶する易動度記憶ステップと、
前記画像信号に含まれる結晶粒の方位を取得して記憶手段に記憶する方位取得ステップと、
前記記憶手段から、前記粒界を介して相互に隣接する2つの結晶粒の方位の差分と、易動度との関係を読み出し、前記方位取得ステップにより取得された結晶粒の方位であって、前記粒界を介して相互に隣接する2つの結晶粒の方位の差分に対応する易動度を、前記読み出した関係から求めて記憶手段に設定する易動度設定ステップとを有し、
前記位置演算ステップは、前記駆動力演算ステップにより演算された駆動力と、前記易動度設定ステップにより設定された易動度とを用いて、前記三重点及び二重点の時間の経過に伴う位置の変化を、所定時間刻みで演算することを特徴とする請求項12に記載の結晶粒解析方法。 - 前記易動度設定ステップは、前記二重点については、その二重点が属する粒界に対応する1つの易動度を、前記易動度記憶ステップにより記憶された関係から求めて設定し、前記三重点については、その三重点が属する粒界に対応する3つの易動度を、前記易動度記憶ステップにより記憶された関係から求めて設定し、
前記位置演算ステップは、前記二重点については、前記駆動力演算ステップにより演算された駆動力と、前記易動度設定ステップにより設定された1つの易動度とを積算した結果を用いて、時間の経過に伴う位置の変化を、所定時間刻みで演算し、前記三重点については、前記駆動力演算ステップにより演算された駆動力と、前記易動度設定ステップにより設定された3つの易動度から求めた1つの易動度とを積算した結果を用いて、時間の経過に伴う位置の変化を、所定時間刻みで演算することを特徴とする請求項13に記載の結晶粒解析方法。 - 金属材料における結晶の画像信号を取得する画像信号取得ステップと、
前記結晶に含まれる結晶粒の粒界の両端点に対応し、且つ3つの直線が交わる三重点と、前記結晶に含まれる結晶粒の粒界の中間点に対応し、且つ2つの直線が交わる二重点とが、前記画像信号に基づいて指定されると、その指定された三重点及び二重点を設定する粒界点設定ステップと、
前記粒界点設定ステップにより設定された三重点及び二重点が属する粒界における単位長さ当たりの粒界エネルギーを設定する粒界エネルギー設定ステップと、
前記粒界点設定ステップにより設定された三重点及び二重点の夫々で発生する駆動力を、その三重点及び二重点が属する粒界に対して設定された単位長さ当たりの粒界エネルギーを用いて演算する駆動力演算ステップと、
前記駆動力演算ステップにより演算された駆動力を用いて、前記三重点及び二重点の時間の経過に伴う位置の変化を演算する位置演算ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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