JP2008190601A - 内燃機関のクランクシャフト支持構造 - Google Patents

内燃機関のクランクシャフト支持構造 Download PDF

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Abstract

【課題】エンジン実働時にシリンダブロックとクランクキャップとの熱膨張差によって軸孔の合わせ面に生じる両側のグイチの発生方向(段差の向き)を、クランクシャフトの回転方向に対してくさび膜効果が得られる方向に限定することができ、軸孔にグイチが発生することによっても油膜切れが生じることなく焼付きやフリクション増加の発生を防止すること。
【解決手段】シリンダブロックに形成される主軸受部1と、シリンダブロックよりも熱膨張率が小さいクランクキャップ2と、締結ボルト3とを備える構成において、締結面5を、シリンダブロックおよびクランクキャップ2のうち熱膨張率の大きい方を上側とするクランクシャフト10の軸方向視で、締結ボルト3の締付け方向に対して、クランクシャフト10の回転方向側(左側)にかけて上る斜面とし、締結ボルト3の締付けにともなうクランクキャップ2の締結面5に沿う移動を規制する位置決め面20を設けた。
【選択図】図1

Description

本発明は、シリンダブロックに組み付けられる軸受部材としてのクランクキャップが用いられてクランクシャフトが支持される構成の内燃機関のクランクシャフト支持構造に関する。
一般に、例えば自動車用の多気筒内燃機関などにおいては、クランクシャフトの支持構造として、クランクキャップ(ベアリングキャップ等とも称される)によってシリンダブロックとの間に軸受部が構成され、その軸受部にてクランクシャフトが支持される構成のものがある(例えば、特許文献1参照。)。
具体的には、シリンダブロックにおいて気筒間に設けられる壁状の主軸受部(バルクヘッド)に対してクランクキャップがボルト等により固定されることで、バルクヘッドおよびクランクキャップそれぞれに形成される半円状の軸受面同士によって軸受部としての軸孔が形成される。この軸孔に、クランクシャフトのクランクジャーナル(主軸部)がクランクベアリング(軸受メタル等とも称される)を介する等して支承されることで、クランクシャフトが支持される。
前記のようにクランクキャップが用いられてクランクシャフトが支持される構成においては、クランクジャーナルが支持される軸孔について、その真円度の変化(悪化)を防止するための技術として、従来、次のような構成が用いられている。
図7に示すように、クランクシャフト110が支持される軸受部は、シリンダブロックの気筒間等においてシリンダブロックと一体に設けられる壁部である主軸受部(バルクヘッド)101と、この主軸受部101に固定され組み付けられるクランクキャップ102とにより構成される。主軸受部101とクランクキャップ102とは、互いに相手側に対する合わせ面を有し、これらの合わせ面同士が接した状態でクランクキャップ102が主軸受部101に組み付けられる。つまり、主軸受部101の一端側(図7において下側)には、クランクキャップ102に対する合わせ面113が形成され、クランクキャップ102の一側面(図7において上側面)には、主軸受部101に対する合わせ面114が形成される。そして、主軸受部101の合わせ面113、およびクランクキャップ102の合わせ面114には、それぞれ半円状の軸受面111・112が形成され、これらの合わせ面113・114同士が合わさった状態で対向する軸受面111・112によって軸孔(軸受部)115が形成される。この軸孔115に、それぞれ半円状であって軸受面111・112に沿う形状を有するアッパベアリングおよびロアベアリング(図示略)を介する等してクランクシャフト110のクランクジャーナル(主軸部)110aが支承されることで、クランクシャフト110が支持される。軸孔115におけるクランクシャフト110の周りにはオイル(潤滑油)が介在する。
クランクキャップ102の主軸受部101に対する固定は、締結ボルト(スタッドボルト)103が用いられて行われる。すなわち、クランクキャップ102には、その合わせ面114に対して垂直方向に貫通するボルト孔117が形成される一方、主軸受部101には、その合わせ面113に対して垂直方向に穿設されるボルト穴116が設けられる。そして、クランクキャップ102のボルト孔117を貫通するとともに主軸受部101のボルト穴116に螺挿される締結ボルト103によって、クランクキャップ102が主軸受部101に対して締付け固定される。締結ボルト103による締結部は、クランクシャフト110をその径方向に挟む両側(軸孔115の両側)に設けられる。
このような締結ボルト103による締結部において、軸孔115の真円度の変化(悪化)防止のため、位置決めピン120が用いられる。
位置決めピン120は、例えば図7および図8に示すように筒状に構成され、締結ボルト103を貫通させた状態で、合わせ面113・114を介して主軸受部101およびクランクキャップ102に嵌入された状態となる。すなわち、主軸受部101においては、そのボルト穴116の合わせ面113側開口部に、位置決めピン120が嵌入されるための拡径部116sが形成される一方、クランクキャップ102においては、そのボルト孔117の合わせ面114側開口部に、同じく位置決めピン120が嵌入されるための拡径部117sが形成される。そして、クランクキャップ102の主軸受部101に対する組付けに際して、位置決めピン120が、両拡径部116s・117sに嵌入した状態で、締結ボルト103による締結部において主軸受部101とクランクキャップ102との間に介装される。
このような構成において、クランクキャップ102が主軸受部101に組み付けられた状態での軸孔115に対して共加工が行われる。すなわち、まず、クランクキャップ102が、クランクシャフト110の組込みをともなわずに主軸受部101に対して締結ボルト103により固定されて組み付けられる。このクランクキャップ102が組み付けられた状態で、主軸受部101の軸受面111とクランクキャップ102の軸受面112とにより形成される軸孔115に対し、ホーニング等の加工が施されることで共加工が行われ、軸孔115について所定の真円度が得られる。そして、共加工後に、クランクキャップ102が、主軸受部101から一旦取り外され、クランクシャフト110の組付けをともない該クランクシャフト110を支持する状態で主軸受部101に対して再度組み付けられる。
こうした共加工が行われるにあたり、クランクシャフト110の組込みをともなわないクランクキャップ102の主軸受部101に対する組付け、およびクランクシャフト110の組込みをともなうクランクキャップ102の再組付けのいずれに際しても、締結ボルト103による締結部に位置決めピン120が介装されることで、クランクキャップ102の主軸受部101に対する位置決めが行われる。つまり、位置決めピン120により、クランクキャップ102の主軸受部101に対する移動が規制され、クランクキャップ102の再組付け時において、共加工時の組付け位置が再現される。これにより、クランクキャップ102が再組付けされることによっても、軸孔115の共加工により得られた所定の真円度が変化(悪化)することが防止される。
しかし、前記従来のクランクシャフト支持構造においては、次のような問題がある。
前述したように、主軸受部101に対するクランクキャップ102の固定に際し、締結ボルト103による締結部に位置決めピン120が用いられることで、クランクキャップ102の再組付け時における軸孔の真円度の変化は防止される(図7参照)。しかし、エンジン(内燃機関)の実働時には、シリンダブロック(主軸受部101)とクランクキャップ102の熱膨張差により、軸孔115の真円度が悪化する(図8参照)。
つまり、エンジンの常温時(非作動時)では、軸孔115についての共加工時の真円度が保たれるものの、かかる真円度は、エンジン実働時の各部品の熱膨張による変形量の差が考慮されたものではないため、エンジン実働時には、シリンダブロックとクランクキャップ102の熱膨張差によって軸孔115の真円度が悪化する。
軸孔115の真円度の悪化は、エンジン実動時におけるクランクシャフト110の回転にともない、クランクシャフト回りのオイルに乱流を生じさせる等してフリクション増大の原因となる。かかるフリクションの増大は、エンジンの出力の制限や燃費の低下等を招く。
軸孔115の真円度の悪化に関しては、特に、シリンダブロック(主軸受部101)とクランクキャップ102との部品境界部(締結面)に生じる段差(グイチ)が問題となる。
すなわち、一般に、シリンダブロックとクランクキャップとは、例えば、シリンダブロックがアルミニウム合金等のアルミ系材料、クランクキャップが鋳鉄等の鉄系材料のように異なる材料により構成され、熱膨張率(線膨張係数)が異なる。この場合、鉄系材料のクランクキャップよりもアルミ系材料のシリンダブロックの方が熱膨張率が大きくなる。また、図7に示すような、クランクキャップ102の締結部に位置決めピン120が用いられる構成においては、位置決めピン120の位置が、主軸受部101およびクランクキャップ102の熱膨張による変形の基準位置となる。
これらのことから、両側の締結部間に位置する軸孔115においては、熱膨張率が異なる主軸受部101とクランクキャップ102について熱膨張による内側方向の変形量に差が生じ、互いの合わせ面においてグイチ150a・150bが発生する(図8参照)。つまり、前記のとおり位置決めピン120の位置が主軸受部101およびクランクキャップ102の熱膨張による変形の基準位置となるため、軸孔115の両側締結部の内側の部分については、各位置決めピン120の内側からの熱膨張による変形量が、鉄系材料のクランクキャップ102よりもアルミ系材料の主軸受部101の方が大きくなる。これにより、図8に示すように、軸孔115の合わせ面においては、主軸受部101側が内側に出っ張った格好(クランクキャップ102側が外側に広がった格好)でグイチ150a・150bが発生する。
このように軸孔115において発生するグイチは、クランクシャフト110の回転にともない、焼付きやフリクション増加等の原因となる。特に、グイチにより生じる焼付きやフリクション増加等は、クランクシャフト110の回転方向に対するグイチの段差の向きが影響する。具体的には、次のとおりである。
すなわち、図8に示すように、主軸受部101およびクランクキャップ102により形成される軸孔115の合わせ面(締結面)において、主軸受部101の方が内側にずれることによってグイチが生じる場合、クランクシャフト110の両側に生じる各グイチ150a・150bは、クランクシャフト110の回転方向に対し、段差の向きが異なることとなる。つまり、図8に示すように、クランクシャフト110が、その軸方向視において図中矢印Rで示すように反時計方向に回転する場合、一方のグイチ150a(図中左側のグイチ、以下「第一のグイチ」とする。)は、クランクシャフト110の回転方向手前側が出っ張った部分となるグイチとなり、他方のグイチ150b(図中右側のグイチ、以下「第二のグイチ」とする。)は、クランクシャフト110の回転方向奥側が出っ張った部分となるグイチとなる。
この場合、第二のグイチ150bにおいては、第一のグイチ150aと比べてクランクシャフト110の回転によるくさび膜効果が得られにくいため、クランクシャフト110の周りにあるオイルによる油膜厚さが薄くなり、焼付きや摩耗・摩擦増加等の問題が発生する。
ここで得られるくさび膜効果とは、滑り軸受における基本原理であり、図9(a)に示すように、クランクシャフト110の外周面110bと軸孔115を形成する軸受面111との間の隙間が、クランクシャフト110の回転方向(矢印R参照)に狭まっていることにより、クランクシャフト110の回転によってオイルがその有する粘性によって引き込まれることで、圧力(油膜圧力)が発生し、クランクシャフト110と軸孔115との接触が防止される効果を言う。
つまり、第一のグイチ150aにおいては、クランクシャフト110の回転方向手前側が出っ張った部分であり、クランクシャフト110の外周面110bと軸孔115を形成する軸受面111との間の隙間が、クランクシャフト110の回転方向に狭まっているため、くさび膜効果が得られる。このくさび膜効果により、軸孔15の合わせ面に段差があっても油膜厚さが確保され、焼付きや摩耗・摩擦増加等が防止される。
一方、第二のグイチ150bにおいては、図9(b)に示すように、クランクシャフト110の回転方向奥側が出っ張った部分であり、クランクシャフト110の外周面110bと軸孔115を形成する軸受面112との間の隙間について、クランクシャフト110の回転方向にかけての狭まりが少ないため、くさび膜効果が得られにくく、油膜厚さの減少が発生し、焼付きや摩耗・摩擦増加等の問題が発生することとなる。
このように、従来のクランクシャフト支持構造においては、エンジン実働時に軸孔115においてクランクシャフト110の両側に生じるグイチ150a・150bについて、クランクシャフト110の回転方向に対する段差の向きが異なるため、一方のグイチ150bでくさび膜効果が得られにくく油膜厚さが薄くなり、焼付きやフリクション増加が発生する問題がある。
なお、締結ボルトによる締結部において位置決めピン120が用いられない構成の場合、シリンダブロックおよびクランクキャップの熱膨張による変形の基準位置が特定されないこととなり、クランクキャップ側と比べて熱膨張率が大きいシリンダブロック側が大きく膨張変形し、軸孔の合わせ面において、主軸受部の方が外側にずれることによってグイチが生じると考えられる。この場合であっても、軸孔においてクランクシャフトの両側に生じるグイチについて、クランクシャフトの回転方向に対する段差の向きが異なることとなるため、前記と同様の問題が生じる。
特開平5−195870号公報
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、クランクキャップがシリンダブロックに組み付けられることで、クランクシャフトが支持される軸孔が形成される構成において、エンジン実働時にシリンダブロックとクランクキャップとの熱膨張差によって軸孔の合わせ面に生じる両側のグイチの発生方向(段差の向き)を、クランクシャフトの回転方向に対してくさび膜効果が得られる方向に限定することができ、軸孔にグイチが発生することによっても、クランクシャフトの回転に際して、油膜切れが生じることなく、焼付きやフリクション増加の発生を防止することができる内燃機関のクランクシャフト支持構造を提供することにある。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
すなわち、請求項1においては、シリンダブロックに形成される主軸受部と、前記シリンダブロックを構成する材料と異なる熱膨張率の材料により構成され前記主軸受部に対して組み付けられる軸受部材と、前記軸受部材を貫通するとともに前記主軸受部に螺挿され前記軸受部材を前記主軸受部に対して締付け固定するための締結部材とを備え、前記主軸受部および前記軸受部材に形成される軸受面により、クランクシャフトを支持する軸孔を形成する内燃機関のクランクシャフト支持構造であって、前記主軸受部と前記軸受部材との締結面を、前記シリンダブロックおよび前記軸受部材のうち熱膨張率の大きい方を上側とするクランクシャフトの軸方向視で、前記締結部材の締付け方向に対して、前記シリンダブロックの方が前記軸受部材よりも熱膨張率が大きい場合はクランクシャフトの回転方向側にかけて上る斜面、前記シリンダブロックの方が前記軸受部材よりも熱膨張率が小さい場合はクランクシャフトの回転方向側にかけて下る斜面とし、前記締結部材の締付けにともなう前記軸受部材の前記斜面に沿う移動を、該軸受部材における前記移動方向前側の面に接することにより規制する位置決め面を設けたものである。
請求項2においては、シリンダブロックに形成される主軸受部と、前記シリンダブロックを構成する材料と異なる熱膨張率の材料により構成され前記主軸受部に対して組み付けられる軸受部材と、前記軸受部材を貫通するとともに前記主軸受部に螺挿され前記軸受部材を前記主軸受部に対して締付け固定するための締結部材とを備え、前記主軸受部および前記軸受部材に形成される軸受面により、クランクシャフトを支持する軸孔を形成する内燃機関のクランクシャフト支持構造であって、前記主軸受部と前記軸受部材との締結面を、前記シリンダブロックおよび前記軸受部材のうち熱膨張率の大きい方を上側とするクランクシャフトの軸方向視で、前記締結部材の締付け方向に対して、前記シリンダブロックの方が前記軸受部材よりも熱膨張率が大きい場合はクランクシャフトの回転方向側にかけて上る斜面、前記シリンダブロックの方が前記軸受部材よりも熱膨張率が小さい場合はクランクシャフトの回転方向側にかけて下る斜面とし、前記軸方向視で、前記軸孔の両側に配される前記締結部材のうち、前記締結部材の締付けにともない前記軸受部材が前記斜面に沿って移動する側と反対側の締結部材の、前記主軸受部および前記軸受部材に対するクリアランスを、内燃機関の運転にともなう熱膨張によって無くならない程度に設定したものである。
請求項3においては、シリンダブロックに形成される主軸受部と、前記シリンダブロックを構成する材料と異なる熱膨張率の材料により構成され前記主軸受部に対して組み付けられる軸受部材と、前記軸受部材を貫通するとともに前記主軸受部に螺挿され前記軸受部材を前記主軸受部に対して締付け固定するための締結部材とを備え、前記主軸受部および前記軸受部材に形成される軸受面により、クランクシャフトを支持する軸孔を形成する内燃機関のクランクシャフト支持構造であって、前記シリンダブロックおよび前記軸受部材のうち熱膨張率の大きい方を上側とするクランクシャフトの軸方向視で、前記主軸受部と前記軸受部材との締結面における前記軸孔を挟む両側部分のうち、クランクシャフトの回転方向側の部分に、前記軸受部材の前記主軸受部に対する前記締結面に沿う移動を規制する位置決め手段を設けたものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
すなわち、本発明によれば、エンジン実働時にシリンダブロックとクランクキャップとの熱膨張差によって軸孔の合わせ面に生じるグイチの発生方向(段差の向き)を、クランクシャフトの回転方向に対してくさび膜効果が得られる方向に限定することができ、軸孔にグイチが発生することによっても、クランクシャフトの回転に際して、油膜切れが生じることなく、焼付きやフリクション増加の発生を防止することができる。
次に、発明の実施の形態を説明する。
本発明に係る内燃機関のクランクシャフト支持構造は、例えば、自動車用の多気筒内燃機関(多気筒エンジン)等のように、シリンダブロックの気筒間に設けられる複数の隔壁部分となる主軸受部(バルクヘッド)に対して組み付けられる軸受部材としてのクランクキャップが用いられてクランクシャフトが支持される構成のエンジンに用いられる。
本発明に係るクランクシャフト支持構造の第一実施形態について、図1および図2を用いて説明する。図1は本発明の第一実施形態に係るクランクシャフト支持構造を示す一部断面図、図2は同じくエンジン実働時の状態を示す図である。
図1および図2に示すように、本実施形態に係るクランクシャフト支持構造は、エンジンを構成するシリンダブロックに形成される主軸受部(バルクヘッド)1と、シリンダブロックを構成する材料と異なる熱膨張率(線膨張係数)の材料により構成され主軸受部1に対して組み付けられる軸受部材としてのクランクキャップ2と、クランクキャップ2を貫通するとともに主軸受部1に螺挿されクランクキャップ2を主軸受部1に対して締付け固定するための締結部材としての締結ボルト3とを備え、主軸受部1およびクランクキャップ2に形成される軸受面11・12により、クランクシャフト10を支持する軸孔15を形成する。
なお、以下の説明においては、図1における上下方向および左右方向を、本実施形態に係るクランクシャフト支持構造における上下方向および左右方向とする。
主軸受部1は、シリンダブロックにおいて一体的に形成される部分であり、シリンダブロックの気筒間に設けられる隔壁部分となる。本実施形態において、主軸受部1を形成するシリンダブロックは、アルミニウムを材料として構成される。
クランクキャップ2は、主軸受部1に対して組み付けられる略板状の部材であり、主軸受部1とともにクランクシャフト10を支持することができる程度の大きさを有する。本実施形態において、クランクキャップ2は、鉄(鋳鉄)を材料として構成される。
主軸受部1とクランクキャップ2とは、互いに相手側に対する合わせ面(締結面)を有し、これらの合わせ面同士が接した状態でクランクキャップ2が主軸受部1に組み付けられる。つまり、主軸受部1の一端側(図1において下側)には、クランクキャップ2に対する合わせ面13が形成され、クランクキャップ2の一側面(図1において上側面)には、主軸受部1に対する合わせ面14が形成される。そして、主軸受部1の合わせ面13、およびクランクキャップ2の合わせ面14には、それぞれ半円状の軸受面11・12が形成され、これらの合わせ面13・14同士が合わさった状態で対向する軸受面11・12によって軸孔(軸受部)15が形成される。この軸孔15に、それぞれ半円状であって軸受面11・12に沿う形状を有するアッパベアリングおよびロアベアリング(図示略)を介する等して、クランクシャフト10のクランクジャーナル(主軸部)10aが支承されることで、クランクシャフト10が支持される。軸孔15におけるクランクシャフト10の周りにはオイル(潤滑油)が介在する。
以下の説明においては、主軸受部1とクランクキャップ2とが合わさる面、つまり両者の合わせ面13・14を含み、主軸受部1とクランクキャップ2との締結面5とする。
クランクキャップ2の主軸受部1に対する固定は、締結ボルト(スタッドボルト)3が用いられて行われる。すなわち、クランクキャップ2には、上下方向に貫通する貫通孔であるボルト孔17が形成される一方、主軸受部1には、その合わせ面13から上下方向に穿設される穴部であるボルト穴16が設けられる。そして、クランクキャップ2のボルト孔17を貫通するとともに主軸受部1のボルト穴16に螺挿される締結ボルト3によって、クランクキャップ2が主軸受部1に対して締付け固定される。本実施形態において、締結ボルト3による締結部は、クランクシャフト10をその径方向に挟む両側(軸孔15の両側)の二箇所に設けられる。かかる構成においては、締結ボルト3は、その軸方向である上下方向が、クランクキャップ2の主軸受部1に対する締付け方向となる。
このような構成を備える本実施形態に係るクランクシャフト支持構造においては、主軸受部1とクランクキャップ2との締結面5が、締結ボルト3によるクランクキャップ2の締付け方向に対して、クランクシャフト10の回転方向、およびシリンダブロックとクランクキャップ2との熱膨張率の大小から傾斜方向が定まる斜面とされている。これにより、締結ボルト3が締め付けられることで、クランクキャップ2が締結面5に沿って上る方向に移動する力が、クランクキャップ2に作用することとなる。かかる作用に対し、本実施形態に係るクランクシャフト支持構造においては、締結ボルト3の締付けにともなうクランクキャップ2の移動を規制するための位置決め面20が設けられている。
これらの構成により、クランクキャップ2は、締結ボルト3が締め付けられることによって、締結ボルト3の軸方向である締付け方向(上下方向)に対して垂直方向(左右方向)の片側(位置決め面20側)に押し付けられることとなる。以下、これらの構成について具体的に説明する。
まず、前記のように斜面とされる、主軸受部1とクランクキャップ2との締結面5の傾斜方向について説明する。
締結面5は、主軸受部1を形成するシリンダブロックおよびクランクキャップ2のうち熱膨張率の大きい方を上側とするクランクシャフト10の軸方向視で、締結ボルト3の締付け方向に対して、シリンダブロックの方がクランクキャップ2よりも熱膨張率が大きい場合はクランクシャフト10の回転方向側にかけて上る斜面とされ、シリンダブロックの方がクランクキャップ2よりも熱膨張率が小さい場合はクランクシャフト10の回転方向側にかけて下る斜面とされる。
本実施形態においては、前記のとおり主軸受部1を形成するシリンダブロックはアルミニウムを材料として構成され、クランクキャップ2は鉄を材料として構成されるため、熱膨張率はクランクキャップ2よりもシリンダブロックの方が大きくなる。
したがって、前記「シリンダブロックおよびクランクキャップ2のうち熱膨張率の大きい方を上側とするクランクシャフト10の軸方向視」は、本実施形態では、図1および図2に示すように、シリンダブロック(主軸受部1)が上側となるクランクシャフト10の軸方向視となる。以下では、図1等に示すような、主軸受部1が上側となるクランクシャフト10の軸方向視を単に「クランク軸方向視」とする。
そして、締結面5は、クランク軸方向視で、左右方向を傾斜方向とする斜面に形成される。この締結面5の傾斜方向は、前記のとおりクランクシャフト10の回転方向、およびシリンダブロックとクランクキャップ2との熱膨張率の大小から定まる。具体的には、シリンダブロックの方がクランクキャップ2よりも熱膨張率が大きい場合はクランクシャフト10の回転方向側にかけて上る斜面とされ、シリンダブロックの方がクランクキャップ2よりも熱膨張率が小さい場合はクランクシャフト10の回転方向側にかけて下る斜面とされる。
したがって、シリンダブロックの方がクランクキャップ2よりも熱膨張率が大きい本実施形態では、図1および図2に示すように、クランクシャフト10の回転方向側にかけて上る斜面とされる。
ここで、前記「クランクシャフト10の回転方向側」とは、クランクシャフト10の軸方向視における左右両側のうちの、クランクシャフト10の回転方向側を意味する。つまり、クランクシャフト10の軸方向視で、右回転のクランクシャフト10については、その回転方向側は右側となり、同じく左回転のクランクシャフト10については左側となる。
したがって、本実施形態においては、図1および図2に示すように、クランク軸方向視で左回転(反時計回転)となるクランクシャフト10(矢印R参照)について、その回転方向側は左側となる。すなわち、本実施形態では、締結面5は、クランク軸方向視で、左側にかけて上る斜面となるように形成される。
次に、位置決め面20について説明する。
位置決め面20は、締結ボルト3の締付けにともなうクランクキャップ2の前記斜面(締結面5)に沿う移動を、クランクキャップ2における前記移動方向前側の面である接触側面2aに接することにより規制する。
すなわち、クランクキャップ2に対しては、締結ボルト3の締付けにともない、斜面である締結面5に沿って移動する方向の力が作用する。本実施形態では、締結面5は、クランク軸方向視で左側にかけて上る斜面であるため、締結ボルト3の締付けにともない、クランクキャップ2が左上側に移動する方向の力が作用する。そこで、この締結ボルト3の締付けにともなうクランクキャップ2の移動を規制するように、位置決め面20が設けられる。
したがって、本実施形態では、位置決め面20は、クランク軸方向視で軸孔15の左側に設けられる。また、本実施形態では、位置決め面20およびこれに接するクランクキャップ2の接触側面2aは、締結ボルト3の締付け方向(上下方向)に対して略平行な面として形成される。
そして、本実施形態では、位置決め面20は、シリンダブロックにおいて一体に形成される。すなわち、図1および図2に示すように、位置決め面20は、主軸受部1においてクランク軸方向視で左側にかけて上る斜面として形成される合わせ面13に対して、その左端から下方へ向けて延設される面部となる。つまり、クランクシャフト10の軸方向視において、主軸受部1の合わせ面13と位置決め面20とが鋭角を形成する状態となる。
このように、位置決め面20がシリンダブロックに一体に形成される本実施形態においては、例えば、シリンダブロックにおいて、主軸受部1を構成するための壁状の部分が、三角形状に削り落とされることにより、主軸受部1の合わせ面13と位置決め面20とが形成される。
前記のように形成される主軸受部1の合わせ面13と位置決め面20に対して、クランクキャップ2は、主軸受部1の合わせ面13に対応する合わせ面14、および位置決め面20に対応する接触側面2aを有する形状に形成される。つまり、クランクキャップ2においては、主軸受部1に対する合わせ面14が、ボルト孔17を介する締結ボルト3の挿通方向に対して斜面となるように形成され、位置決め面20に対する接触側面2aが、合わせ面14の上端(図1において左端)から下方へ向けて締結ボルト3の挿通方向に対して略平行となるように形成される。
これにより、主軸受部1に組み付けられるクランクキャップ2は、その合わせ面14と接触側面2aとで形成される鋭角形状の部分が、シリンダブロック(主軸受部1)側の合わせ面13と位置決め面20とにより形成される鋭角形状の部分に嵌まることとなる。
本実施形態では、図1および図2に示すように、クランクキャップ2は、クランクシャフト10の軸方向視において、接触側面2aとその反対側の面とが略平行な一組の対辺を形成する略台形形状となっている。
なお、位置決め面20は、シリンダブロックとは別部材により構成してもよい。この場合、主軸受部1における合わせ面13の左側に延長部分となる面部を設け、この面部に対して、位置決め面20に対応する面部を有する板状部材等の部材を、ボルト締結や溶接等によって締結ボルト3の締付けにともなうクランクキャップ2の移動を規制することができる程度の強度で固着することにより、位置決め面20を構成することができる。
以上のような構成を備える本実施形態のクランクシャフト支持構造においては、主軸受部1に対してクランクキャップ2を固定する締結ボルト3が締め付けられることにより、クランクキャップ2は位置決め面20に押し付けられることとなる。
すなわち、主軸受部1とクランクキャップ2との締結面5が斜面とされることにより、締結ボルト3の締付けによって、クランクキャップ2が斜面に沿って移動する方向(クランク軸方向視で左上方向)の力がクランクキャップ2に作用する。これに対し、位置決め面20によってクランクキャップ2の左方向の移動が規制されるため、締結ボルト3の締付けにともない、クランクキャップ2の移動する方向(左方向)の力が位置決め面20に作用することとなる。このことは、クランクキャップ2が位置決め面20に押し付けられることとなる。
そして、クランクシャフト10の支持に際しては、クランクキャップ2が主軸受部1に組み付けられた状態での軸孔15に対して共加工が行われる。すなわち、まず、クランクキャップ2が、クランクシャフト10の組込みをともなわずに主軸受部1に対して締結ボルト3により固定されて組み付けられる。このクランクキャップ2が組み付けられた状態で、主軸受部1の軸受面11とクランクキャップ2の軸受面12とにより形成される軸孔15に対し、ホーニング等の加工が施されることで共加工が行われ、軸孔15について所定の真円度が得られる。そして、共加工後に、クランクキャップ2が、主軸受部1から一旦取り外され、クランクシャフト10の組付けをともない該クランクシャフト10を支持する状態で主軸受部1に対して再度組み付けられる。
本実施形態のクランクシャフト支持構造においては、エンジンの常温時、つまり前記のとおりクランクキャップ2の再組付けが行われることでクランクシャフト10が支持された状態での組付け初期では、共加工で得られた軸孔15の真円度は保たれる(図1参照)。
一方で、エンジンの加熱時、つまりエンジンが運転状態にあるエンジン実働時では、シリンダブロックとクランクキャップ2との熱膨張差により、軸孔15において主軸受部1とクランクキャップ2との締結面5にグイチ50a・50bが発生する(図2参照)。
以下では、図2に示すクランク軸方向視で、左側にかけて上る斜面である締結面5において上側(左側)のグイチ50aを「第一のグイチ50a」とも言い、同じく下側(右側)のグイチ50bを「第二のグイチ50b」とも言う。
前記のように、エンジン実働時では軸孔15にグイチ50a・50bが発生するところ、本実施形態のクランクシャフト支持構造においては、エンジン実働時にシリンダブロックとクランクキャップ2との熱膨張差によって軸孔15の合わせ面(締結面)に生じる両側のグイチ50a・50bの発生方向(段差の向き)を、クランクシャフト10の回転方向に対してくさび膜効果が得られる方向に限定することができ、軸孔15にグイチ50a・50bが発生することによっても、クランクシャフト10の回転に際して、油膜切れが生じることなく、焼付きやフリクション増加の発生を防止することができる。
すなわち、クランクキャップ2が締結ボルト3によって主軸受部1に組み付けられた状態では、クランクキャップ2は、その接触側面2aが位置決め面20に接した状態で位置決め面20に押し付けられた状態となる。このため、クランクキャップ2の熱膨張による変形の基準位置が、位置決め面20となる。
したがって、エンジン実働時における各部の熱膨張については、シリンダブロック側となる主軸受部1は、螺挿された締結ボルト3とともに自由に(方向性は特に限定されずに)膨張変形し、クランクキャップ2は、位置決め面20を基準として膨張変形する。ここで、本実施形態では、前記のとおりシリンダブロックの方がクランクキャップ2よりも熱膨張率が大きい。このため、エンジン常温時の状態(図1参照)からの、エンジン実働時の状態(図2参照)における熱膨張に際して、締結ボルト3を含めた主軸受部1の部分の変形量に対し、クランクキャップ2の変形量は小さいものとなる。そこで、全体的に膨張変形する主軸受部1の部分に対し、クランクキャップ2は、位置決め面20を基準として比較的小さく膨張変形し、グイチ50a・50bが生じる部分である軸孔15における締結面5の部分に着目すると、第一のグイチ50aおよび第二のグイチ50bのいずれにおいても、位置決め面20を基準とする締結面5に沿う(斜面を下る方向の)変形量が小さいクランクキャップ2の方が、主軸受部1に対して相対的に位置決め面20側に位置することとなる。結果として、図2に示すように、グイチにおける段差の方向としては、第一のグイチ50aでは主軸受部1側が出っ張った格好となり、第二のグイチ50bではクランクキャップ2側が出っ張った格好となる。
なお、このようなエンジン実働時における各部の熱膨張に際し、締結ボルト3を含む主軸受部1の膨張変形と、クランクキャップ2の位置決め面20を基準とする膨張変形とが互いに干渉することのないように、クランクキャップ2に形成されるボルト孔17の径が設定される。つまり、ボルト孔17における締結ボルト3に対するクリアランスについては、締結ボルト3を含む主軸受部1およびクランクキャップ2それぞれの独立した膨張変形を許容するに十分な大きさが確保される。
また、図2におけるグイチ50a・50bは、実際には軸孔15の大きさとの対比において極めて小さいものであるが、説明の便宜のため誇張して示してある。
このようにして発生したグイチ50a・50bは、クランクシャフト10の回転方向に対する段差の向きが同一方向となる。すなわち、図2に示すクランク軸方向視において、クランクシャフト10が矢印Rで示すように反時計方向に回転する場合において、各グイチ50a・50bでは、クランクシャフト10の回転方向手前側が出っ張った部分となる。
したがって、第一のグイチ50aおよび第二のグイチ50bのいずれにおいても、その段差の向きが、クランクシャフト10の回転によりくさび膜効果が得られる方向となる。すなわち、第一のグイチ50aにおいては、クランクシャフト10の回転方向手前側となる主軸受部1側が軸孔15に対して出っ張った部分であり、クランクシャフト10の外周面10bと軸孔15を形成する軸受面11との間の隙間が、クランクシャフト10の回転方向に狭まることとなり、くさび膜効果が得られる。一方、第二のグイチ50bにおいては、クランクシャフト10の回転方向手前側となるクランクキャップ2側が軸孔15に対して出っ張った部分であり、クランクシャフト10の外周面10bと軸孔15を形成する軸受面12との間の隙間が、クランクシャフト10の回転方向に狭まることとなり、第一のグイチ50aと同様にくさび膜効果が得られる。
このように、クランクシャフト10を支持する軸孔15の片側に設けられる位置決め面20が、クランクキャップ2の熱膨張による変形の基準位置となることで、エンジン実働時にシリンダブロックとクランクキャップ2との熱膨張差によって軸孔15の合わせ面に生じる両側のグイチ50a・50bの段差の向きを、クランクシャフト10の回転方向に対してくさび膜効果が得られる方向に限定することができる。これにより、軸孔15にグイチ50a・50bが発生することによっても、クランクシャフト10の回転に際し、グイチ部分において、油圧大となり、油膜切れが生じることなく、焼付きや摩耗・摩擦増加等を防止することができる。
なお、本実施形態に係るクランクシャフト支持構造において、主軸受部1とクランクキャップ2との締結面5の傾斜角度は、締結面5となる主軸受部1およびクランクキャップ2の合わせ面13・14の形成に際しての良好な製作性や、前述したような効果が得られるに十分な締結ボルト3の締付けによるクランクキャップ2の位置決め面20に対する押付け作用が得られるように設定される。
具体的には、図1に示すように、締結面5の傾斜角度を、クランク軸方向視における、締結面5の方向(直線A1参照)と、締結ボルト3の締付け方向となる軸方向(直線A2参照)との交差角度αとして表した場合、この交差角度αが、図7等に示す従来構成では90°であるのに対し、45〜80°となる範囲で、締結面5の傾斜角度が設定される。
すなわち、前記交差角度αが45°よりも小さく設定される場合は、前述したように主軸受部1の合わせ面13と位置決め面20とが形成されるに際し、シリンダブロックにおいて主軸受部1を構成するための壁状の部分が削り取られる量が多くなり、加工コストの増大等を招くと考えられる。また、前記交差角度αが80°よりも大きく設定される場合は、締結ボルト3の締付けによるクランクキャップ2の位置決め面20に対する十分な押付け作用が得られず、前述したようなグイチにおけるくさび膜効果が得られにくくなると考えられる。
また、前述したように、位置決め面20が、シリンダブロックとは別部材により構成される場合は、位置決め面20が、シリンダブロックを構成する材料よりも熱膨張率の小さい材料により構成される部材により形成されることが好ましい。
つまり、本実施形態においては、主軸受部1を構成するシリンダブロックがアルミニウムを材料として構成されるのに対し、位置決め面20を形成するための部材は、例えば、クランクキャップ2と同様に、アルミニウムよりも熱膨張率の小さい鉄等を材料として構成されることが好ましい。
これにより、位置決め面20を形成する部分自体の熱膨張をシリンダブロック(主軸受部1)よりも小さくすることができるので、エンジン実働時にシリンダブロックとクランクキャップ2との熱膨張差によって軸孔15の合わせ面に生じる両側のグイチ50a・50bの段差の向きを、より確実に、クランクシャフト10の回転方向に対してくさび膜効果が得られる方向に限定することができる。
なお、以上説明した本実施形態においては、シリンダブロックの方がクランクキャップ2に対して熱膨張率が大きい場合を例に説明しているが、クランクキャップ2の方がシリンダブロックよりも熱膨張率が大きい場合であっても本発明を適用することができる。
この場合、主軸受部1とクランクキャップ2との締結面5が、クランクキャップ2を上側とするクランクシャフト10の軸方向視で、締結ボルト3の締付け方向に対して、クランクシャフト10の回転方向側にかけて下る斜面とされる。つまり、図1に示すように、クランクシャフト10の軸方向視において、クランクシャフト10が左回転(反時計回転)である場合において、クランクキャップ2の方がシリンダブロックよりも熱膨張率が大きい場合、締結面5の傾斜方向は、図1に示す場合(左上がり方向)とは逆の方向(右上がり方向)となる。そして、この斜面となる締結面に対して、締結ボルトの締付けにともなうクランクキャップの移動を規制する位置決め面が設けられる。
また、シリンダブロックとクランクキャップ2との熱膨張率の大小にかかわらず、クランクシャフト10の回転方向が逆の場合、締結面5の傾斜角度も逆となる。つまり、図1に示すクランク軸方向視において、仮にクランクシャフト10の回転方向が右回転(時計回転)である場合は、締結面5の傾斜方向は右上がり方向となり、その斜面に沿うクランクキャップ2の締結ボルト3の締付けにともなう移動を規制するための位置決め面20は、クランク軸方向視で軸孔15の右側に設けられることとなる。
本発明に係るクランクシャフト支持構造の第二実施形態について、図3および図4を用いて説明する。図3は本発明の第二実施形態に係るクランクシャフト支持構造を示す一部断面図、図4は同じくエンジン実働時の状態を示す図である。なお、前述した第一実施形態と共通する部分については、同一の符号を用いる等して適宜その説明を省略する。
本実施形態に係るクランクシャフト支持構造においては、締結ボルト3の締付けにともなうクランクキャップ2の締結面5に沿う移動を規制するため、第一実施形態における位置決め面20(図1等参照)の代わりに、クランクキャップ2が有するボルト孔17(17a)が用いられる。
すなわち、本実施形態では、図3に示すように、クランク軸方向視で、軸孔15の左右両側に設けられる締結ボルト3による締結部について、締結ボルト3の締付けによってクランクキャップ2が締結面5に沿って移動する側となる左側のボルト孔を「第一のボルト孔17a」とし、その反対側(右側)のボルト孔を「第二のボルト孔17b」とする。そして、締結ボルト3の締付けによるクランクキャップ2の移動にともない、第一のボルト孔17aに対する締結ボルト3の接触部分が、第一実施形態における位置決め面20の代わりの部分となる。
そこで、本実施形態に係るクランクシャフト支持構造においては、クランク軸方向視で、軸孔15の両側に配される締結ボルト3のうち、締結ボルト3の締付けにともないクランクキャップ2が斜面(締結面5)に沿って移動する側と反対側の締結ボルト3の、クランクキャップ2に対するクリアランスが、エンジンの運転にともなう熱膨張によって無くならない程度に設定される。
第二のボルト孔17bは、締結ボルト3の締付けにともないクランクキャップ2が斜面に沿って移動する側と反対側の締結ボルト3が挿入されるボルト孔であり、その締結ボルト3のクランクキャップ2に対するクリアランス(第二のボルト孔17bに対するクリアランス)が、第一のボルト孔17aにおける締結ボルト3のクランクキャップ2に対するクリアランスよりも大きくなるように孔径が設定される。以下では、軸孔15の両側の各締結部における、締結ボルト3のボルト孔17a・17bに対するクリアランスを、「挿入クリアランス」とする。
そして、第二のボルト孔17bにおいては、その挿入クリアランスが、前記のとおりエンジンの運転にともなう熱膨張によって無くならない程度に設定される。つまり、第二のボルト孔17bにおける挿入クリアランスは、図3に示すエンジン常温時の状態から、図4に示すエンジン実働時の状態における各部の熱膨張による変形に対して無くならないように設定される。言い換えると、第二のボルト孔17bにおける挿入クリアランスは、エンジンの冷間温度から動作温度範囲の全域に亘って無くなることがないように設定される。
このような構成を備える本実施形態のクランクシャフト支持構造においては、主軸受部1に対してクランクキャップ2を固定する締結ボルト3が締め付けられることにより、クランクキャップ2は、第一のボルト孔17aの部分が締結ボルト3に押し付けられることとなる。以下では、締結ボルト3の締付けによるクランクキャップ2の締結面5に沿う移動にともない、第一のボルト孔17aに対する締結ボルト3の接触部分(クランクキャップ2が押し付けられる部分)を、「位置決め部30」とする。
すなわち、主軸受部1とクランクキャップ2との締結面5が斜面とされることにより、締結ボルト3の締付けによって、クランクキャップ2が斜面に沿って移動する方向(クランク軸方向視で左上方向)の力がクランクキャップ2に作用する。これに対し、位置決め部30によってクランクキャップ2の左方向の移動が規制されるため、締結ボルト3の締付けにともない、クランクキャップ2の移動する方向(左方向)の力が位置決め部30に作用することとなる。このことは、クランクキャップ2が位置決め部30に押し付けられることとなる。
このような構成を備える本実施形態に係るクランクシャフト支持構造においては、第一実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
すなわち、クランクキャップ2が締結ボルト3によって主軸受部1に組み付けられた状態では、クランクキャップ2は、その第一のボルト孔17aが位置決め部30に接した状態で位置決め部30に押し付けられた状態となる。このため、クランクキャップ2の熱膨張による変形の基準位置が、位置決め部30となる。
したがって、第一実施形態と同様に、図4に示すように、エンジン実働時に生じるグイチにおける段差の方向としては、第一のグイチ50aでは主軸受部1側が出っ張った格好となり、第二のグイチ50bではクランクキャップ2側が出っ張った格好となる。これらのグイチ50a・50bは、クランクシャフト10の回転方向に対する段差の向きが同一方向となる。そして、第一のグイチ50aおよび第二のグイチ50bのいずれにおいても、その段差の向きが、クランクシャフト10の回転によりくさび膜効果が得られる方向となる。
つまり、本実施形態に係るクランクシャフト支持構造では、エンジン常温時状態(図3参照)においては、締結ボルト3の締付けにより、クランクキャップ2がその第一のボルト孔17aを介して位置決め部30に押し付けられた状態となる。また、エンジン実働時状態(図4参照)においては、第一のボルト孔17a側では、前記クランクキャップ2の位置決め部30に対する押し付け状態が保たれつつ、第二のボルト孔17b側では、締結ボルト3を含む主軸受部1の膨張変形と、クランクキャップ2の位置決め部30を基準とする膨張変形とが互いに干渉することのない状態(締結ボルト3を含む主軸受部1およびクランクキャップ2それぞれの独立した膨張変形が許容される状態)となる。これらの状態が実現されるように、第一のボルト孔17aおよび第二のボルト孔17bそれぞれにおける挿入クリアランスが設定される。
具体的な数値としては、各部の熱膨張による変形によって軸孔15に生じるグイチの大きさ等が考慮され、例えば、第二のボルト孔17bにおける挿入クリアランスが、第一のボルト孔17aよりも0.2mm程度大きくなるように設定される。
なお、図3および図4における第二のボルト孔17bは、実際には締結ボルト3の大きさとの対比において極めて小さいものであるが、説明の便宜のため誇張して示してある。
このように、クランクシャフト10を支持する軸孔15の両側に設けられる締結ボルト3による締結部のうち、締結ボルト3の締付けによりクランクキャップ2が移動する側の締結部における、クランクキャップ2が(第一のボルト孔17aを介して)押し付けられる部分である位置決め部30が、クランクキャップ2の熱膨張による変形の基準位置となることで、第一実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
本発明に係るクランクシャフト支持構造の第三実施形態について、図5および図6を用いて説明する。図5は本発明の第三実施形態に係るクランクシャフト支持構造を示す一部断面図、図6は同じくエンジン実働時の状態を示す図である。なお、前述した第一実施形態と共通する部分については、同一の符号を用いる等して適宜その説明を省略する。
本実施形態に係るクランクシャフト支持構造においては、主軸受部31とクランクキャップ32との締結面35が、前述した各実施形態の場合のように傾斜しておらず、図7等に示す従来構成と同様に、締結ボルト3の締付け方向となる軸方向との交差角度が90°(図1等に示す交差角度α=90°)となっている。
そして、締結面35における、軸孔15を挟む両側部分のうち所定の片側部分において、主軸受部31およびクランクキャップ32それぞれにおける軸孔15を形成する部分についての熱膨張による変形の基準位置を構成するための位置決め手段が設けられる。
すなわち、本実施形態に係るクランクシャフト支持構造においては、シリンダブロックおよびクランクキャップ32のうち熱膨張率の大きい方を上側とするクランクシャフト10の軸方向視(クランク軸方向視)で、主軸受部31とクランクキャップ32との締結面35における軸孔15を挟む両側部分のうち、クランクシャフト10の回転方向側の部分(前記所定の片側部分)に、クランクキャップ32の主軸受部31に対する締結面35に沿う移動を規制する位置決め手段が設けられている。
本実施形態では、図5および図6に示すように、クランクキャップ32よりも熱膨張率の大きい主軸受部31が上側となるクランク軸方向視で、締結面35における軸孔15を挟む両側部分のうち、クランクシャフト10の回転方向側の部分、つまり前述したように左回転となるクランクシャフト10に対して左側の部分に、前記位置決め手段が設けられる。
そして、本実施形態では、前記位置決め手段として、位置決めピン40が設けられている。
位置決めピン40は、例えば図5および図6に示すように筒状に構成され、締結ボルト3を貫通させた状態で、合わせ面13・14を介して主軸受部31およびクランクキャップ32に嵌入された状態となる。すなわち、主軸受部31においては、そのボルト穴16の合わせ面13側開口部に、位置決めピン40が嵌入されるための拡径部16sが形成される一方、クランクキャップ32においては、そのボルト孔17の合わせ面14側開口部に、同じく位置決めピン40が嵌入されるための拡径部17sが形成される。そして、クランクキャップ32の主軸受部31に対する組付けに際して、位置決めピン40が、両拡径部16s・17sに嵌入した状態で、締結ボルト3による締結部において主軸受部31とクランクキャップ32との間に介装される。
このような構成を備える本実施形態に係るクランクシャフト支持構造においては、主軸受部31およびクランクキャップ32それぞれにおける軸孔15を形成する部分についての熱膨張による変形の基準位置が、位置決めピン40の位置となる。具体的には、前記基準位置は、位置決めピン40において軸孔15側となる、位置決めピン40の右側半部の位置となる。
すなわち、前記のとおり主軸受部31側およびクランクキャップ32側それぞれに形成される拡径部16s・17sに嵌入される位置決めピン40は、その部分において主軸受部31およびクランクキャップ32が押し付けられた状態となる。このため、クランク軸方向視で、位置決めピン40よりも右側部分についての熱膨張による変形の基準位置は、位置決めピン40の右側半部の位置となる。
したがって、シリンダブロックの方がクランクキャップ2よりも熱膨張率が大きい本実施形態では、エンジンの実働時において熱膨張が生じると、図6に示すように、位置決めピン40を基準とする締結面35に沿う変形量について、主軸受部31の方がクランクキャップ32よりも多くなり、軸孔15において主軸受部31とクランクキャップ32との締結面35に第一のグイチ60aおよび第二のグイチ60bが発生する。ここで、第一のグイチ60aは、図6に示すクランク軸方向視で、左側のグイチ60aを指し、第二のグイチ60bは、同じく右側のグイチ60bを指す。
すなわち、主軸受部31の方が、熱膨張による変形量がクランクキャップ32と比べて多いため、第一のグイチ60aおよび第二のグイチ60bのいずれにおいても、主軸受部31の方が、クランクキャップ32よりも、位置決めピン40を基準として締結面35に沿って大きく変形することとなる。結果として、図6に示すように、軸孔15において、第一のグイチ60aでは主軸受部31側が出っ張った格好となり、第二のグイチ60bではクランクキャップ32側が出っ張った格好となる。これらのグイチ60a・60bは、クランクシャフト10の回転方向に対する段差の向きが同一方向となる。そして、第一のグイチ60aおよび第二のグイチ60bのいずれにおいても、その段差の向きが、クランクシャフト10の回転によりくさび膜効果が得られる方向となる。
なお、このようなエンジン実働時における各部の熱膨張に際し、位置決めピン40の位置を基準位置とする主軸受部31およびクランクキャップ32それぞれの膨張変形が互いに干渉することのないように、位置決めピン40が設けられる側と反対側(クランク軸方向視で右側)のボルト孔17の径が設定される。つまり、位置決めピン40が設けられる側と反対側ボルト孔17における締結ボルト3に対するクリアランスについては、締結ボルト3を含む主軸受部31およびクランクキャップ32それぞれの独立した膨張変形を許容するに十分な大きさが確保される。
このように、クランクシャフト10を支持する軸孔15の片側に設けられる位置決めピン40が、主軸受部31およびクランクキャップ32の熱膨張による変形の基準位置となることで、エンジン実働時にシリンダブロックとクランクキャップ32との熱膨張差によって軸孔15の合わせ面に生じる両側のグイチ60a・60bの段差の向きを、クランクシャフト10の回転方向に対してくさび膜効果が得られる方向に限定することができる。これにより、軸孔15にグイチ60a・60bが発生することによっても、クランクシャフト10の回転に際し、グイチ部分において、油圧大となり、油膜切れが生じることなく、焼付きや摩耗・摩擦増加等を防止することができる。
つまり、本実施形態に係るクランクシャフト支持構造は、図7等に示す従来構成において、クランクシャフトを支持する軸孔の真円度の悪化防止のため、軸孔の両側の締結部において用いられていた位置決めピンが、クランクシャフト10の回転方向、およびシリンダブロック(主軸受部31)とクランクキャップ32との熱膨張率の大小から定まる所定の片側のみに用いられる構成を、前記位置決め手段として備える。
これにより、クランクキャップ32の主軸受部31に対する移動が規制され、クランクキャップ32が再組付けされることによっても、軸孔15の共加工により得られた所定の真円度が変化(悪化)することが防止できるとともに、前述したようにエンジン実働時に軸孔15に生じるグイチ部分における焼付き等を防止することができる。
なお、前述した位置決め手段としては、本実施形態のような位置決めピン40に限られず、例えばエンボス加工等の凹凸形状部を用いることができる。つまり、例えば、位置決め手段としてエンボス加工を用いる場合、主軸受部31とクランクキャップ32との締結面35における軸孔15を挟む両側部分のうち、位置決め手段を設ける側(図5および図6に示す場合では左側)において、クランクキャップ32の合わせ面14側に、エンボス加工によって凹凸部を形成する。そして、締結ボルト3による締付けにともない、軸孔15を挟む両側部分のうちエンボス加工を施した側において、主軸受部31とクランクキャップ32とを合わせ面13・14を介して一体的に結合させる。
このような構成により、締結面35におけるエンボス加工によって一体的に結合した部分が、主軸受部31およびクランクキャップ32それぞれにおける軸孔15を形成する部分についての熱膨張による変形の基準位置となり、前述した位置決め手段として機能する。
本発明の第一実施形態に係るクランクシャフト支持構造を示す一部断面図。 同じくエンジン実働時の状態を示す図。 本発明の第二実施形態に係るクランクシャフト支持構造を示す一部断面図。 同じくエンジン実働時の状態を示す図。 本発明の第三実施形態に係るクランクシャフト支持構造を示す一部断面図。 同じくエンジン実働時の状態を示す図。 従来のクランクシャフト支持構造の一例を示す一部断面図。 同じくエンジン実働時の状態を示す図。 図8におけるグイチ部分の部分拡大図。(a)は図8における左側のグイチ部分を示す図。(b)は同じく右側のグイチ部分を示す図。
符号の説明
1 主軸受部
2 クランクキャップ(軸受部材)
2a 接触側面
3 締結ボルト(締結部材)
5 締結面
10 クランクシャフト
11 軸受面
12 軸受面
13 合わせ面
14 合わせ面
15 軸孔
17a 第一のボルト孔
20 位置決め面
30 位置決め部
31 主軸受部
32 クランクキャップ(軸受部材)
40 位置決めピン

Claims (3)

  1. シリンダブロックに形成される主軸受部と、前記シリンダブロックを構成する材料と異なる熱膨張率の材料により構成され前記主軸受部に対して組み付けられる軸受部材と、前記軸受部材を貫通するとともに前記主軸受部に螺挿され前記軸受部材を前記主軸受部に対して締付け固定するための締結部材とを備え、前記主軸受部および前記軸受部材に形成される軸受面により、クランクシャフトを支持する軸孔を形成する内燃機関のクランクシャフト支持構造であって、
    前記主軸受部と前記軸受部材との締結面を、前記シリンダブロックおよび前記軸受部材のうち熱膨張率の大きい方を上側とするクランクシャフトの軸方向視で、前記締結部材の締付け方向に対して、前記シリンダブロックの方が前記軸受部材よりも熱膨張率が大きい場合はクランクシャフトの回転方向側にかけて上る斜面、前記シリンダブロックの方が前記軸受部材よりも熱膨張率が小さい場合はクランクシャフトの回転方向側にかけて下る斜面とし、
    前記締結部材の締付けにともなう前記軸受部材の前記斜面に沿う移動を、該軸受部材における前記移動方向前側の面に接することにより規制する位置決め面を設けたことを特徴とする内燃機関のクランクシャフト支持構造。
  2. シリンダブロックに形成される主軸受部と、前記シリンダブロックを構成する材料と異なる熱膨張率の材料により構成され前記主軸受部に対して組み付けられる軸受部材と、前記軸受部材を貫通するとともに前記主軸受部に螺挿され前記軸受部材を前記主軸受部に対して締付け固定するための締結部材とを備え、前記主軸受部および前記軸受部材に形成される軸受面により、クランクシャフトを支持する軸孔を形成する内燃機関のクランクシャフト支持構造であって、
    前記主軸受部と前記軸受部材との締結面を、前記シリンダブロックおよび前記軸受部材のうち熱膨張率の大きい方を上側とするクランクシャフトの軸方向視で、前記締結部材の締付け方向に対して、前記シリンダブロックの方が前記軸受部材よりも熱膨張率が大きい場合はクランクシャフトの回転方向側にかけて上る斜面、前記シリンダブロックの方が前記軸受部材よりも熱膨張率が小さい場合はクランクシャフトの回転方向側にかけて下る斜面とし、
    前記軸方向視で、前記軸孔の両側に配される前記締結部材のうち、前記締結部材の締付けにともない前記軸受部材が前記斜面に沿って移動する側と反対側の締結部材の、前記主軸受部および前記軸受部材に対するクリアランスを、内燃機関の運転にともなう熱膨張によって無くならない程度に設定したことを特徴とする内燃機関のクランクシャフト支持構造。
  3. シリンダブロックに形成される主軸受部と、前記シリンダブロックを構成する材料と異なる熱膨張率の材料により構成され前記主軸受部に対して組み付けられる軸受部材と、前記軸受部材を貫通するとともに前記主軸受部に螺挿され前記軸受部材を前記主軸受部に対して締付け固定するための締結部材とを備え、前記主軸受部および前記軸受部材に形成される軸受面により、クランクシャフトを支持する軸孔を形成する内燃機関のクランクシャフト支持構造であって、
    前記シリンダブロックおよび前記軸受部材のうち熱膨張率の大きい方を上側とするクランクシャフトの軸方向視で、前記主軸受部と前記軸受部材との締結面における前記軸孔を挟む両側部分のうち、クランクシャフトの回転方向側の部分に、前記軸受部材の前記主軸受部に対する前記締結面に沿う移動を規制する位置決め手段を設けたことを特徴とする内燃機関のクランクシャフト支持構造。
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