JP5089572B2 - 内燃機関のクランク軸用分割型すべり軸受および分割型すべり軸受装置 - Google Patents
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Description
また、近年、乗用車用内燃機関では、内燃機関の軽量化のために、アルミニウム合金製エンジンブロックを用いることが一般的である。この場合、クランク軸用分割型軸受ハウジングでは、一方のハウジング分割体がアルミニウム合金製エンジンブロックの一部であり、他方のハウジング分割体が鉄合金製軸受キャップである組合せが一般的である。
一方、分割型軸受ハウジングにおける軸受保持穴の内径、および、クランク軸の外径には製造時の加工誤差が伴うため、分割型軸受ハウジングとクランク軸との間の間隔にはバラツキが生じる。したがって、分割型すべり軸受の内周面とクランク軸との間の軸受クリアランスを適正に設定するには、適切な厚さを有する分割型すべり軸受を選択することによって、軸受クリアランスのバラツキを抑制しなければならない。
このバラツキについて、特許文献2に教示があり、分割型すべり軸受の外周面周長と、分割型軸受ハウジングの軸受保持穴内径との選択的組み合わせにより、分割型軸受ハウジングの膨張変形に起因する、分割型軸受ハウジングとクランク軸との間の間隔寸法のバラツキを小さくして、軸受クリアランスのバラツキを低減化している。
ここで、分割型軸受ハウジングと、これに組み込まれる一対の軸受半円筒体から成るクランク軸用分割型すべり軸受との関係について、図9、図10を見ながら説明する。
図9は、クランク軸用分割型軸受ハウジング01を示し、軸受ハウジング01は、エンジンブロックの一部である一方のハウジング分割体02と、軸受キャップ(例えば、鉄合金製)としての他方のハウジング分割体03とで形成されている。ハウジング分割体03が、ボルト04によってハウジング分割体02に組み付けられた状態で、室温にて、機械加工により、横断面真円形状の軸受保持穴(05、06)が形成される。この後の、軸受装置組立作業は、軸受ハウジング01からボルト04を取り外し、軸受保持穴の内周面05、06に沿って、分割型すべり軸受を形成する軸受半円筒体07、08を装着し、再度、ボルト04によって、ハウジング分割体03を、ハウジング分割体02に締結することによって行なわれる(図10参照)。
さらに、アルミニウム合金製エンジンブロック側のハウジング分割体は、鉄合金製であるクランク軸に対して相対的に熱膨張率が大きいので、低温時には分割型軸受ハウジングに組み込まれた一対の軸受半円筒体の内径とクランク軸との間の軸受クリアランスは、極めて小さくなる。このため一対の軸受半円筒体の周方向端面で、軸受内周面に段差が形成されていると、寒冷地における内燃機関の始動時には、従来の軸受クリアランスが大きく設定された場合に比して、潤滑油の流路断面積に対する段差面の割合が相対的に大きくなり、潤滑油流に対する障壁となるワイピング現象が生じて、潤滑油漏れ量が増加し、あるいはまた、軸受摺動面に対する潤滑油の供給不良が発生するようになってきた。
一対の軸受半円筒体を互いに組み合わせて円筒形状体として用いられる、内燃機関のクランク軸用分割型すべり軸受であり、その組み合わせ状態と整合する態様で2分割された円筒形状の軸受保持穴を有する分割型軸受ハウジング内に収容して用いられる前記分割型すべり軸受において、
前記分割型軸受ハウジングが、相対的に熱膨張率の高いハウジング分割体と、相対的に熱膨張率の低いハウジング分割体とから成り、
前記高熱膨張率側ハウジング分割体に支持される前記軸受半円筒体を第一軸受半円筒体と称し、前記低熱膨張率側ハウジング分割体に支持される前記軸受半円筒体を第二軸受半円筒体と称するとき、非装着状態における前記第一および第二軸受半円筒体の寸法関係が、
(1)前記第一および第二軸受半円筒体の外径寸法が等しく、かつ
(2)前記第一軸受半円筒体の周方向両端部の厚さが、前記第二軸受半円筒体の周方向両端部の厚さよりも小さくなされており、
それによって、前記第一および第二軸受半円筒体が装着された状態で一対の前記ハウジング分割体がボルト締結された状態で、寒冷地において低温状態の内燃機関を始動させる時に、一対の前記ハウジング分割体の周方向端面における軸受保持穴の内径に、両ハウジング分割体の熱収縮量の差に起因する段差が存在しても、前記第一および第二軸受半円筒体の周方向端面における両軸受半円筒体の内周面が整合状態になることを特徴とする内燃機関のクランク軸用分割型すべり軸受。
この整合は、軸受半円筒体内周面相互の幾何学的完全一致を意味せず、寒冷地において、−30℃程度の低温状態にある内燃機関の始動時に、両ハウジング分割体の周方向端面における軸受保持穴内径の熱収縮変形量差を、例えば、以下に示す「熱収縮量差計算式」で求め、この値の1/2の値を、周方向端部における軸受厚さのマイナス差として設定し、分割型すべり軸受および分割型軸受ハウジングの製造時における加工精度によって定まる誤差を許容するものとする。
ΔD=D×(T2−T1)×(α1−α2)×K ・・・ 数式1
記号の説明:
熱収縮変形量の差:ΔD(mm)
軸受保持穴内径:D(mm)
分割型軸受ハウジングの軸受保持穴加工温度:T1(℃)
内燃機関の寒冷地における始動時の分割型軸受ハウジングの温度:T2(℃)
高熱膨張率側の分割型軸受ハウジングの熱膨張率:α1(K−1)
低熱膨張率側の分割型軸受ハウジングの熱膨張率:α2(K−1)
ボルト締結による熱収縮変形量差の緩和係数:K
本発明すべり軸受の第二の実施形態によれば、前記第二軸受半円筒体は、周方向長さの中央部分から両周方向端面に向かってその厚さが増大している。
本発明すべり軸受の第三の実施形態によれば、前記第一軸受半円筒体は、周方向長さの全体に亘ってその厚さが均一である。
本発明すべり軸受の第四の実施形態によれば、前記第一軸受半円筒体は、周方向長さの中央部分から両周方向端面に向かってその厚さが小さくなっている。
本発明すべり軸受の第五の実施形態によれば、前記第一および第二軸受半円筒体の内周面に、周方向に延在する多数の周方向溝が存在し、該第一および第二軸受半円筒体の2つの周方向端面を含む前記第一および第二軸受半円筒体の周方向端部領域に形成された前記周方向溝の深さが5μm〜20μmになされている。
本発明すべり軸受の第六の実施形態によれば、前記内周面における前記周方向端部領域が、当該周方向端面を始点とする少なくとも円周角10°、最大で円周角50°に相当する周方向長さで規定される範囲である。
本発明すべり軸受の第七の実施形態によれば、前記周方向長さで規定される範囲以外の前記内周面の表面粗さが3.2μmRz以下である。
本発明すべり軸受の第八の実施形態によれば、前記周方向溝のピッチが0.3mm〜1.5mmである。
本発明すべり軸受の第九の実施形態によれば、前記第一および第二軸受半円筒体の内周面に形成された前記周方向溝の深さが、前記第一および第二軸受半円筒体の周方向端面の間で生じる段差量と同等以上の大きさである。
一対の軸受半円筒体を互いに組み合わせて円筒形状体として用いられる、内燃機関のクランク軸用分割型すべり軸受と、
前記一対の軸受半円筒体の組み合わせ状態と整合する態様で2分割された円筒形状の軸受保持穴を有し、該軸受保持穴内に前記一対の軸受半円筒体を収容して保持する内燃機関のクランク軸用分割型軸受ハウジングとを含む分割型すべり軸受装置において、
前記分割型軸受ハウジングが、相対的に熱膨張率の高いハウジング分割体と、相対的に熱膨張率の低いハウジング分割体とから成り、
前記高熱膨張率側ハウジング分割体に支持される前記軸受半円筒体を第一軸受半円筒体と称し、前記低熱膨張率側ハウジング分割体に支持される前記軸受半円筒体を第二軸受半円筒体と称するとき、非装着状態における前記第一および第二軸受半円筒体の寸法関係が、
(1)前記第一および第二軸受半円筒体の外径寸法が等しく、かつ
(2)前記第一軸受半円筒体の周方向両端部の厚さが、前記第二軸受半円筒体の周方向両端部の厚さよりも小さくなされており、
それによって、前記第一および第二軸受半円筒体が装着された状態で一対の前記ハウジング分割体がボルト締結された状態で、寒冷地において低温状態の内燃機関を始動させる時に、一対の前記ハウジング分割体の周方向端面における軸受保持穴の内径に、両ハウジング分割体の熱収縮量の差に起因する段差が存在しても、前記第一および第二軸受半円筒体の周方向端面における両軸受半円筒体の内周面が整合状態になることを特徴とする内燃機関のクランク軸用分割型すべり軸受装置。
内燃機関のクランク軸用分割型軸受ハウジングが、互いに熱膨張率の異なる一対のハウジング分割体から成り、該軸受ハウジングに装着して用いられる前記分割型すべり軸受によれば、該分割型すべり軸受が一対のハウジング分割体に装着された状態で、寒冷地において低温状態にある内燃機関を始動させる時に、一対の前記ハウジング分割体の周方向端面(分割型軸受ハウジングの分割面)における軸受保持穴の内径に、両ハウジング分割体間の熱収縮量差が存在し、これが段差(図10、記号G参照)になって現れるが、本発明の分割型すべり軸受では、従来の分割型すべり軸受と違って、軸受保持穴に保持される一対の軸受半円筒体の周方向端面に段差が生じることは事実上ない。何故なら、熱膨張率の高いハウジング分割体に沿って装着された軸受半円筒体の周方向端部の厚さが、熱膨張率の低いハウジング分割体に沿って装着された軸受半円筒体の周方向端部の厚さよりも小さくなされており、その厚さの差を適切に選択することにより、一対のハウジング分割体の周方向端面に生じる段差を事実上相殺できるからである。
また、一対の軸受半円筒体の周方向端部領域内周面に、周方向に延在する多数の周方向溝を設け、該周方向溝の深さを5μm〜20μmにしておけば、軸受内周面に最大で5μm程度の段差が形成されたとしても、周方向溝の深さが段差の大きさと同等以上になるので、クランク軸の回転方向に流れる潤滑油が、軸受半円筒体の周方向端面に生じた段差で阻害されることなく、周方向溝内に進入して円滑に流れる。したがって、軸受半円筒体の周方向端面に生じた段差による潤滑油のワイピング現象を首尾よく防止できる。
前記のように機械加工によって軸受保持穴12を形成した後の分割型軸受ハウジング10を分解して、ハウジング分割体14、16の内周面に沿って軸受半円筒体20、22を装着し、再度、ハウジング分割体14、16をボルト18で一体的に組み合わせた状態が図1に示されている。
互いにボルトで締結した一対のハウジング分割体から成る分割型軸受ハウジングを、寒冷地における低温状態を想定した約−30℃まで冷却し、その時の分割型軸受ハウジングの分割面(ハウジング分割体の周方向端面)における軸受保持穴内径の段差寸法を真円度測定機等の測定機を用いて測定する。
そして、相対的に高熱膨張率側の分割型軸受ハウジングに組み付けられる軸受半円筒体の周方向両端部の厚さを、低熱膨張率側の分割型軸受ハウジング部に組み付けられる軸受半円筒体の周方向両端部の厚さに比して、測定された段差寸法値に等しい量だけ小さくする。
相対的に熱膨張率が異なる分割型軸受ハウジングはボルトで締結されており、分割型軸受ハウジングの突き合わせ端面では突き合わせ端面に対して垂直方向の圧縮応力が発生し、相対的に低熱膨張率側の分割型軸受ハウジングの突き合わせ端面が相対的に高熱膨張率の分割型軸受ハウジングの突き合わせ端面の熱収縮変形の抵抗となる。相対的に熱膨張率が異なるアルミニウム合金製と鉄合金製の分割型軸受ハウジングの組合せであると、分割型軸受ハウジングの分割面における軸受保持穴内径の熱収縮変形量差は、それぞれの分割型軸受ハウジングが自由状態で熱収縮した場合の熱収縮量変形量差の約3分の1程度に緩和される。(熱収縮変形の緩和係数K=1/3)
アルミニウム合金製ハウジング分割体(熱膨張率が23×10−6(K−1))と、鉄合金製ハウジング分割体(熱膨張率12×10−6(K−1))とを、鉄合金製ボルトで締結した時に、軸受保持穴寸法が60mmの分割型軸受ハウジングであり、軸受保持穴の加工温度が25℃、寒冷地での始動時の分割型軸受ハウジングの温度が−30℃である場合、
熱収縮量差=60mm×(25℃−(−30℃)×(23×10−6(K−1)−12×10−6(K−1))×1/3=0.012mmになる。
相対的に高熱膨張率側のハウジング分割体に装着される軸受半円筒体の周方向両端部の壁厚さを、低熱膨張率側のハウジング分割体に装着される軸受半円筒体の周方向端部の壁厚さに対して、前記熱収縮量差(60mm)の1/2の値である0.006mmだけ小さくする。
分割型軸受ハウジング10の軸受保持穴12に段差Gがあるにもかかわらず、軸受半円筒体20、22Bの周方向端部壁厚さを違えることによって、両軸受半円筒体の周方向両端面で、内周面に段差のない整合状態になされている。
内燃機関用のクランク軸(図示しない)は一般的にはFe合金製であり、相対的に低熱膨張率側のFe合金製の分割型軸受ハウジングと、ほぼ同等の熱膨張率である。このため、相対的に熱膨張率の低い鉄合金製ハウジング分割体16高いアルミニウム合金製ハウジング分割体14に、壁厚さが周方向に亘って同じ軸受半円筒体22Bを装着し、相対的に熱膨張率の高いアルミニウム合金製ハウジング分割体14に、周方向中央部の壁厚さが最も大きく、突き合わせ端面22bに向かって厚さが減少する軸受半円筒体20(後者は、図1に示した軸受半円筒体20と同じ)を装着して、両ハウジング分割体14、16をボルトで締結した時に、一対の軸受半円筒体20、22Bの周方向両端面における内周面を整合させた状態を、図3に示す。この構成によれば、相対的に熱膨張率の低いハウジング分割体16に装着された軸受半円筒体22Bの内周面と、被支持軸(図示しない)との間のクリアランスを、軸受半円筒体22Bの内周面全体に亘って小さくできるので、潤滑油の漏れ防止に効果的である。なお、この場合、相対的に熱膨張率の高いハウジング分割体14に組み込まれる軸受半円筒体20については、突き合わせ端面で内周面を整合させる限りにおいて形状制限はないが、内燃機関の運転時における静粛性に最も影響するすべり軸受の周方向中央部の軸受クリアランスが小さくなるように、軸受半円筒体の周方向中央部の厚さが最も大きく、周方向両端面(突き合わせ端面)に向かって厚さが減少する軸受半円筒体20を用いることが好ましい。
図示例とは異なり、高熱膨張率ハウジング分割体14に装着される軸受半円筒体も、低熱膨張率ハウジング分割体16に装着される軸受半円筒体22Cと同様に、周方向中央部から周方向端面に向かって壁厚さを増大させた形状にすることができる。
ただし、本発明による寒冷地仕様の分割型すべり軸受では、低温始動時における一対の軸受半円筒体の内周面を周方向端面で段差のない整合状態にするために、前記のいずれの場合であっても、高熱膨張率ハウジング分割体14に装着される軸受半円筒体の周方向端部壁厚さを、低熱膨張率ハウジング分割体16に装着される軸受半円筒体の周方向端部壁厚さよりも小さくしなければならない。
しかしながら、軸受半円筒体の製造時、および、分割型軸受ハウジングの軸受保持穴の機械加工時には、加工誤差が生じ、また、分割型軸受ハウジングに軸受半円筒体を装着して、分割型軸受ハウジングをボルトを用いて締結する際に、一対の分割型ハウジングの突き合せ端面に僅かな位置ずれが生じる。したがって、寒冷地において低温状態にある内燃機関を始動させる時に、一対の軸受半円筒体の片側の突き合わせ端面(周方向端面)において、直径方向で最大5μm程度の段差(g)が生じる場合がある。
また、軸受半円筒体の内周面に形成する周方向溝の軸受幅方向におけるピッチは、0.3mm〜1.5mmにするが、この理由は、0.3mm未満であると、周方向溝を形成する山の頂点部分の各断面積が過度に小さく、クランク軸との接触によって容易に摩耗し、摩耗量が増すと、軸受クリアランスが増大して、潤滑油の漏れ量が増加することになるからである。周方向溝のピッチが1.5mmを超えると、クランク軸からの負荷を支えることになる軸受半円筒体の軸受幅方向における山の数が少ないために、一つの山頂点で受ける面圧が高くなり、摩擦熱によって軸受半円筒体の素材強度が低下し、摩耗量の増加を招く。軸受半円筒体の摩耗を少なくするための、より好ましい周方向溝の軸受半円筒体幅方向のピッチは0.5mm〜1.2mmである。
周方向溝の溝形状が横断面円弧形状の場合、軸受半円筒体の突き合わせ面の一部である段差面の約2/3以上が溝内空間であり、その溝内を潤滑油が流れる。このことは、段差量(g:図7)を実質的に1/3以下にしたのと同等の効果が得られることを示している。
周方向溝の溝形状が横断面V字形状の場合、軸受半円筒体の合わせ面の一部である段差面の約1/2以上が溝内空間であり、その溝内を潤滑油が流れる。このことは、段差量(g:図7)を実質的に1/2以下にしたのと同等の効果が得られることを示している。
周方向溝を形成するためには、刃先が円弧形状またはV字形状の切削刃を用い、旋削加工により、切削刃先の形状を軸受半円筒体の内周面に転写すればよい。
また、周方向溝20e、22eが形成されない内周面範囲では、クランク軸用の分割型すべり軸受の通常の粗さである3.2μmRz以下になされる。この表面粗さによれば、軸受半円筒体の主荷重部となる周方向中央部の摺動面において油膜が形成され易く、すべり軸受としての十分な負荷能力が保証される。
12 軸受保持穴
14 相対的に高熱膨張率を有するハウジング分割体
16 相対的に低熱膨張率を有するハウジング分割体
18 ボルト
20 軸受半円筒体
20A 軸受半円筒体
20B 軸受半円筒体
20C 軸受半円筒体
20D 軸受半円筒体
20a 周方向端部
20b 突き合せ端面
20c クラッシュリリーフ
20d 周方向溝
20e 周方向溝
22 軸受半円筒体
22A 軸受半円筒体
22B 軸受半円筒体
22C 軸受半円筒体
22D 軸受半円筒体
22E 軸受半円筒体
22a 周方向端部
22b 突き合せ端面
22c クラッシュリリーフ
22d 周方向溝
22e 周方向溝
30 クランク軸
Claims (20)
- 一対の軸受半円筒体を互いに組み合わせて円筒形状体として用いられる、内燃機関のクランク軸用分割型すべり軸受であり、その組み合わせ状態と整合する態様で2分割された円筒形状の軸受保持穴を有する分割型軸受ハウジング内に収容して用いられる前記分割型すべり軸受において、
前記分割型軸受ハウジングが、相対的に熱膨張率の高いハウジング分割体と、相対的に熱膨張率の低いハウジング分割体とから成り、
前記高熱膨張率側ハウジング分割体に支持される前記軸受半円筒体を第一軸受半円筒体と称し、前記低熱膨張率側ハウジング分割体に支持される前記軸受半円筒体を第二軸受半円筒体と称するとき、非装着状態における前記第一および第二軸受半円筒体の寸法関係が、
(1)前記第一および第二軸受半円筒体の外径寸法が等しく、かつ
(2)前記第一軸受半円筒体の周方向両端部の厚さが、前記第二軸受半円筒体の周方向両端部の厚さよりも小さくなされており、
それによって、前記第一および第二軸受半円筒体が装着された状態で一対の前記ハウジング分割体がボルト締結された状態で、寒冷地において低温状態の内燃機関を始動させる時に、一対の前記ハウジング分割体の周方向端面における軸受保持穴の内径に、両ハウジング分割体の熱収縮量の差に起因する段差が存在しても、前記第一および第二軸受半円筒体の周方向端面における両軸受半円筒体の内周面が整合状態になることを特徴とする内燃機関のクランク軸用分割型すべり軸受。 - 前記第二軸受半円筒体は、周方向長さの全体に亘ってその厚さが均一であることを特徴とする請求項1に記載された内燃機関のクランク軸用分割型すべり軸受。
- 前記第二軸受半円筒体は、周方向長さの中央部分から両周方向端面に向かってその厚さが増大していることを特徴とする請求項1に記載された内燃機関のクランク軸用分割型すべり軸受。
- 前記第一軸受半円筒体は、周方向長さの全体に亘ってその厚さが均一であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された内燃機関のクランク軸用分割型すべり軸受。
- 前記第一軸受半円筒体は、周方向長さの中央部分から両周方向端面に向かってその厚さが小さくなっていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された内燃機関のクランク軸用分割型すべり軸受。
- 前記第一および第二軸受半円筒体の内周面に、周方向に延在する多数の周方向溝が存在し、該第一および第二軸受半円筒体の2つの周方向端面を含む前記第一および第二軸受半円筒体の周方向端部領域に形成された前記周方向溝の深さが5μm〜20μmになされていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載された内燃機関のクランク軸用分割型すべり軸受。
- 前記内周面における前記周方向端部領域が、当該周方向端面を始点とする少なくとも円周角10°、最大で円周角50°に相当する周方向長さで規定される範囲である請求項6に記載された内燃機関のクランク軸用分割型すべり軸受。
- 前記周方向長さで規定される範囲以外の前記内周面の表面粗さが3.2μmRz以下である請求項7に記載された内燃機関のクランク軸用分割型すべり軸受。
- 前記周方向溝のピッチが0.3mm〜1.5mmである請求項6から請求項8までのいずれか一項に記載された内燃機関のクランク軸用分割型すべり軸受。
- 前記第一および第二軸受半円筒体の内周面に形成された前記周方向溝の深さが、前記第一および第二軸受半円筒体の周方向端面の間で生じる段差量と同等以上の大きさである請求項6から請求項9までのいずれか一項に記載された内燃機関のクランク軸用分割型すべり軸受。
- 一対の軸受半円筒体を互いに組み合わせて円筒形状体として用いられる、内燃機関のクランク軸用分割型すべり軸受と、
前記一対の軸受半円筒体の組み合わせ状態と整合する態様で2分割された円筒形状の軸受保持穴を有し、該軸受保持穴内に前記一対の軸受半円筒体を収容して保持する内燃機関のクランク軸用分割型軸受ハウジングとを含む分割型すべり軸受装置において、
前記分割型軸受ハウジングが、相対的に熱膨張率の高いハウジング分割体と、相対的に熱膨張率の低いハウジング分割体とから成り、
前記高熱膨張率側ハウジング分割体に支持される前記軸受半円筒体を第一軸受半円筒体と称し、前記低熱膨張率側ハウジング分割体に支持される前記軸受半円筒体を第二軸受半円筒体と称するとき、非装着状態における前記第一および第二軸受半円筒体の寸法関係が、
(1)前記第一および第二軸受半円筒体の外径寸法が等しく、かつ
(2)前記第一軸受半円筒体の周方向両端部の厚さが、前記第二軸受半円筒体の周方向両端部の厚さよりも小さくなされており、
それによって、前記第一および第二軸受半円筒体が組み込まれた状態で一対の前記ハウジング分割体がボルト締結され、寒冷地における内燃機関の始動時に、一対の前記ハウジング分割体の周方向端面に、熱膨張率の違いに基づいて、両ハウジング分割体の熱膨張量の差に起因する段差が生じても、前記第一および第二軸受半円筒体の周方向端面における両軸受半円筒体の内周面が整合状態になることを特徴とする内燃機関のクランク軸用分割型すべり軸受装置。 - 前記第二軸受半円筒体は、周方向長さの全体に亘ってその厚さが均一であることを特徴とする請求項11に記載された内燃機関のクランク軸用分割型すべり軸受装置。
- 前記第二軸受半円筒体は、周方向長さの中央部分から両周方向端面に向かってその厚さが増大していることを特徴とする請求項11に記載された内燃機関のクランク軸用分割型すべり軸受装置。
- 前記第一軸受半円筒体は、周方向長さの全体に亘ってその厚さが均一であることを特徴とする請求項11から請求項13までのいずれか1項に記載された内燃機関のクランク軸用分割型すべり軸受装置。
- 前記第一軸受半円筒体は、周方向長さの中央部分から両周方向端面に向かってその厚さが小さくなっていることを特徴とする請求項11から請求項13までのいずれか1項に記載された内燃機関のクランク軸用分割型すべり軸受装置。
- 前記第一および第二軸受半円筒体の内周面に、周方向に延在する多数の周方向溝が存在し、該第一および第二軸受半円筒体の2つの周方向端面を含む前記第一および第二軸受半円筒体の周方向端部領域に形成された前記周方向溝の深さが5μm〜20μmになされていることを特徴とする請求項11から請求項15までのいずれか1項に記載された内燃機関のクランク軸用分割型すべり軸受装置。
- 前記内周面における前記周方向端部領域が、当該周方向端面を始点とする少なくとも円周角10°、最大で円周角50°に相当する周方向長さで規定される範囲である請求項16に記載された内燃機関のクランク軸用分割型すべり軸受装置。
- 前記周方向長さで規定される範囲以外の前記内周面の表面粗さが3.2μmRz以下である請求項17に記載された内燃機関のクランク軸用分割型すべり軸受装置。
- 前記周方向溝のピッチが0.3mm〜1.5mmである請求項16から請求項18までのいずれか一項に記載された内燃機関のクランク軸用分割型すべり軸受装置。
- 前記第一および第二軸受半円筒体の内周面に形成された前記周方向溝の深さが、前記第一および第二軸受半円筒体の周方向端面の間で生じる段差量と同等以上の大きさである請求項16から請求項19までのいずれか一項に記載された内燃機関のクランク軸用分割型すべり軸受装置。
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