JP2008189816A - 架橋可能なゴム組成物およびその組成物を架橋して得られる架橋ゴム製品。 - Google Patents
架橋可能なゴム組成物およびその組成物を架橋して得られる架橋ゴム製品。 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴムの、ハロゲン化合物を使用しないアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂による架橋可能な組成物の提供。
【解決手段】(A)水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴムの100重量部に、
(B)アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂5重量部〜25重量部と、
(C)エポキシ化合物0.3重量部〜10重量部が含有されてなる架橋可能なゴム組成物。
【選択図】なし
【解決手段】(A)水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴムの100重量部に、
(B)アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂5重量部〜25重量部と、
(C)エポキシ化合物0.3重量部〜10重量部が含有されてなる架橋可能なゴム組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、合成ゴムである水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム(以下水素化ニトリルゴムと略称することがある)とアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂およびエポキシ化合物の混合物よりなる架橋可能なゴム組成物およびその組成物を架橋して得られる架橋ゴム製品に関する。
水素化ニトリルゴムは、アクリロニトリルとブタジエンの共重合によって製造される合成ゴムであるアクリロニトリル・ブタジエンゴム(以下NBRと略称することがある)を、水素化して製造され、日本ゼオン株式会社からゼットポールあるいは、ランクセス社からテルバン等の商品名で上市されている公知の合成ゴムである。
水素化する方法およびゴムの概要については、例えば非特許文献1〜非特許文献3等に記載されている。
水素化ニトリルゴムは、アクリロニトリル含有量が17%〜50%、ヨウ素価(中心値)4g/100g〜60g/100gであり、汎用的には、ヨウ素価(中心値)4g/100g〜30g/100gのゴムが市販されている。
水素化ニトリルゴムは、優れた耐熱性、物理的強度が高い、化学安定性、低いガス透過率、耐オゾン性等があり、自動車用歯付ベルト、シール、O−リング、ホース等に使用されている。
水素化ニトリルゴムは、有機過酸化物架橋と硫黄架橋の2方法を基本に、アクリロニトリル含有量の相違する原料ゴムグレードの選択により、耐熱性、耐寒性および加工性等、幅広く対応が可能である。
架橋方法としては、有機過酸化物架橋と硫黄架橋について、例えば非特許文献4および非特許文献5に紹介され、広く採用されているが、水素化ニトリルゴムのアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂架橋(以下樹脂架橋と略称する)についての記録はない。
水素化される原料のゴムであるアクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)について、非特許文献6に、「樹脂架橋は、架橋が遅いためNBRにはあまり重要でない」との記載があるのみで、水素化ニトリルゴムの樹脂架橋についての報告はない。
当業者において、水素化ニトリルゴムの実用的な架橋方法として認識されているのは有機過酸化物架橋と硫黄架橋の2方法であり、水素化ニトリルゴムの樹脂架橋について、公知の資料をみつけることができない。
水素化される原料のゴムであるアクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)について、非特許文献6に、「樹脂架橋は、架橋が遅いためNBRにはあまり重要でない」との記載があるのみで、水素化ニトリルゴムの樹脂架橋についての報告はない。
当業者において、水素化ニトリルゴムの実用的な架橋方法として認識されているのは有機過酸化物架橋と硫黄架橋の2方法であり、水素化ニトリルゴムの樹脂架橋について、公知の資料をみつけることができない。
水素化ニトリルゴムはハロゲンを含まない耐熱性のある優れた合成ゴムであり、耐熱性を必要とするゴム製品に使用されている。
そして、水素化ニトリルゴムを使用して、例えば、アルミ電解コンデンサの封口ゴムの耐熱性のゴム材料として検討する場合、架橋方法、コンパウンド工程および成型工程等に解決すべき課題がある。
そして、水素化ニトリルゴムを使用して、例えば、アルミ電解コンデンサの封口ゴムの耐熱性のゴム材料として検討する場合、架橋方法、コンパウンド工程および成型工程等に解決すべき課題がある。
架橋ゴムや未架橋コムの混合物の性能として、(1)ハロゲンを含まない。(2)160℃の耐熱性があること。(3)ガス透過率が低い。(4)耐アルカリ性のあるゴムであること。(5)絶縁特性が必要なため、カーボンブラックの添加量を低くした配合で、硬
度の高い配合が可能なこと。(6)アルミ電極の腐食の危険がない。(7)未架橋コムのシーティング特性が優れていること等が必要である。
度の高い配合が可能なこと。(6)アルミ電極の腐食の危険がない。(7)未架橋コムのシーティング特性が優れていること等が必要である。
水素化ニトリルゴムは、アルミ電解コンデンサの封口ゴムとして使用された実績が無いので、その他の耐熱性のある合成ゴムも含め、前記の課題と関連して検討すると、適当な材料が無い。
例えば、耐熱性のあるフッ素ゴムは、ハロゲンを含んでいる。シリコンゴムは、ガス透過率が高い等の問題があり、課題の対応ができない。
水素化ニトリルゴムの公知の架橋方法であるイオウ化合物による架橋は、アルミニュウム等の金属腐食の可能性があり、採用できない。有機過酸化物による架橋は、優れた架橋方法である。更に公知の資料の見当たらない樹脂架橋について検討すると、樹脂架橋は、ハロゲン化合物を併用して架橋することが、当業者の共通の認識になっている。ハロゲンを含有する架橋方法は採用できない。
水素化ニトリルゴムの混練りの特性のなかで、高充填配合の場合、オープン・ロールからのゴムの離脱の発生や、シィーティング特性が悪く、改良されることが望ましい。
加工性に関する改良は、有機過酸化物を架橋剤として使用した場合も必要とされる特性であり、改良されることが望ましい。
水素化ニトリルゴムのハロゲン化合物を使用しないアルキル・フェノール・ホルムアルデヒド樹脂を使用した新規な架橋方法の提案は、各種のオイルシール、ダイヤフラム、パッキン類、特に耐熱性のある前記条件を満たすアルミ電解コンデンサの封口ゴム製品の提供を可能にするものである。
日本ゴム協会誌、第70巻(1997)ページ666、ページ681
日本ゴム協会誌、第75巻(2002)ページ207
日本ゴム協会誌 第79巻(2006)、ページ33
ゼットポール技術資料 No.1 ゼットポールの加硫系
ゴム工業便覧(第4版)ページ236〜253(平成16年1月20日 社団法人日本ゴム協会発行)
架橋剤ハンドブック(株式会社大成社刊)ページ133
発明の第1の目的は、水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴムの、ハロゲンを使用しないアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂による新規な架橋可能な組成物と架橋方法を提供することである。
本発明の第2の目的は、該組成物を架橋して得られる架橋ゴム製品を提供することである。
更に本発明の第3の目的は、耐熱性、電気絶縁性、耐化学薬品性の優れたアルミ電解コンデンサ用の封口ゴム製品を提供することである。
更に本発明の他の目的は以下の説明から一層明らかとなるであろう。
前述の本発明の目的は、水素化ニトリルゴムに、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂と、エポキシ化合物を添加した架橋可能な組成物および該架橋方法によって製造される架橋ゴム製品によって達成される。
本発明の目的は、水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム100重量部に、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂5重量部〜25重量部と、エポキシ化合物がビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型又はAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂の骨格に付加されている1個のメチル基をカーボン数2〜12のアルキル基で置換したビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールビフェニレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール変性ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニールメタン型多官能型エポキシ樹脂、環式脂肪族エポキシ樹脂、ポリグリシジルアミン型エポキシ樹脂、フタル酸(o−、m−、p−)またはヒドロフタル酸(o−、m−、p−)のグリシジルエステル系エポキシ化合物からなる群から選ばれる1種類又は2種類以上のエポキシ樹脂0.3重量部乃至10重量部を添加してなる組成物、および該組成物を架橋する方法によって、架橋して得られる架橋ゴムによって達成される。
次に本発明を更に詳細に説明する。
該発明は、水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴムに、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂と、エポキシ化合物を含有してなる架橋可能な耐熱性と耐油性のある組成物と、架橋ゴム製品を提供することを可能にしたものである。
水素化ニトリルゴムが、ハロゲンを含有しないアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂とエポキシ化合物によって良好に架橋できることは、全く予期されないことである。
本発明で使用されるアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂は、特に限定されないが、比較的低分子量のメチロール基を有する化合物が好適に使用し得る。
例えば下記式(1)で示されるような、nが0〜10(式中、Rは炭素数1〜10の脂肪族アルキル基を表し、R´は−CH2−または−CH2OCH2−を表す)の低分子量の化合物の混合物が好適に使用し得る。このような化合物は、例えば商品名タッキロール201(田岡化学工業株式会社製品)として市販されている。
本発明で使用されるアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂は、水素化ニトリルゴム100重量部に対して、5重量部〜25重量部、好ましくは、7重量部〜20重量部で
ある。
ある。
5重量部より添加量が少ないと目的とする効果は得られず、また25重量部以上の添加は、該発明の目的とする効果を得るためには、特に必要とせず、それ以下の添加量で十分な効果を得ることができない。
アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂のメチロール基の部分あるいは、ベンゼン核に臭素等のハロゲンを置換したハロゲン化アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂の使用は本発明の目的には不適であり、本発明の範囲に含まれない。
次に本発明で使用されるエポキシ樹脂とは、エポキシ化合物が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型又はAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂の骨格に付加されている1個のメチル基をカーボン数2〜12のアルキル基で置換したビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールビフェニレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール変性ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニールメタン型多官能型エポキシ樹脂、環式脂肪族エポキシ樹脂、ポリグリシジルアミン型エポキシ樹脂、フタル酸(o−、m−、p−)またはヒドロフタル酸(o−、m−、p−)のグリシジルエステル系エポキシ化合物からなる群から選ばれる1種類又は2種類以上のエポキシ樹脂である。
以下に本発明で使用されるエポキシ化合物について更に詳細に説明する。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂とは、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンの反応生成物であって、下記式(2)で示される。
ビスフェノールF型およびAD型のエポキシ樹脂とは、ビスフェノールFあるいはAD、ビスフェノールADの骨格に付加されている1個のメチル基をカーボン数2〜12のアルキル基で置換したビスフェノールとエピクロルヒドリンの反応生成物であって、下記式(3)〜(4)で示される。
フェノールビフェニレン型のエポキシ樹脂は、下式(5)で示されるエポキシ樹脂である。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂とは、フェノールノボラック樹脂とエピクロルヒドリンの反応生成物であって、下記式(6)で示される。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とは、o−クレゾールノボラック樹脂とエピクロルヒドリンの反応生成物であって、下記式(7)で示される。
ナフトール変性ノボラック型エポキシ樹脂とは、下記式(8)で示される。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂とは、下記式(9)で示される構造式のエポキシ樹脂である。
トリフェニルメタン型多官能エポキシ樹脂とは、下記式(10)および(11)で示される構造式のエポキシ樹脂である。
環式脂肪族エポキシ樹脂とは、シクロヘキセン環の二重結合を酸化してエポキシ化したタイプのエポキシ化合物であり例えばアリシクリックジエポキシアセタール、アリシクリックジエポキシジアジペート、アリシクリックジエポキシカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド等の環式脂肪族系エポキシ化合物である。アリシクリックジエポキシカルボキシレートとアリシクリックジエポキシジアジペートの構造式を式(12)に示す。
ポリグリシジルアミン型エポキシ樹脂とは、下式(13)で示される構造式のエポキシ樹脂である。
フタル酸(o−、m−、p−)乃至ヒドロフタル酸(o−、m−、p−)のグリシジルエステル系エポキシ樹脂とは、フタル酸(o−、m−、p−)乃至芳香族環を水素添加したヒドロフタル酸(o−、m−、p−)とエピクロルヒドリンの反応生成物であり、例えばジグリシジル フタレート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、ジメチルグリシジルフタレート、ダイマー酸グリシジルエステル、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ジメチルグリシジルヘキサヒドロフタレートの化合物である。ジグリシジルテトラヒドロフタレートの構造式を下式(14)に示す。
本発明についてさらに詳細に説明する。
アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂を添加しないで、エポキシ樹脂だけを水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴムに添加しても、架橋反応は全く起こらない。
水素化ニトリルゴムをアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂だけを添加して架橋状態を確認した。架橋(加硫)曲線の測定と電熱プレスによる架橋実験の結果、常態物性のなかで、モジュラスの値が低いことと、架橋ゴムの硬度が低いことが確認できた。
本発明のエポキシ化合物を添加すると、大幅にモジュラスが高く改良され、硬度も高い値が得られる。
架橋曲線を比較すると、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂だけ添加した場合と、エポキシ化合物を添加した場合の差は少ないが、該発明のエポキシ化合物を添加すると、大幅にモジュラスが改良され、高い硬度の架橋ゴムを製造できる。アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂とエポキシ化合物を併用して水素化ニトリルゴムを架橋すると、優れた物理特性を持つ架橋ゴムが得られることは、全く予期できないことである。
本発明の組成物に、ゴム工業で使用されるカーボンブラック、クレー、シリカ等の各種充填剤、老化防止剤、シランカップリング剤、亜鉛華、ステアリン酸等任意に添加して使用できる。
さらに詳しくは、本発明で使用される充填剤とは、強度、硬度等の諸性質の改善、加工性の改善あるいは価格低減のために使用されるものであり、チャンネルブラック、フアーネスブラックのような各種カーボンブラック、湿式法あるいは乾式法によって製造されるシリカ、カオリナイト(クレー)あるいは焼成クレーおよびそれらクレーの表面をアミノシランやビニルシラン等のシランカップリング剤で表面処理した各種クレー、タルク、炭酸カルシュウム等任意の割合で添加して使用できる。耐熱性の付与のために使用される老化防止剤、オゾン劣化防止剤その他パラフィンワックス、ビニルシラン等のシランカップリング剤等任意に添加して使用してよい。
本発明の提供する架橋方法の特徴として、オープン・ロールの作業性やプレス成型の工程に必要な、数mmの厚みの良好な未架橋ゴムシートを製造できることである。
アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂とエポキシ樹脂が、水素化ニトリルゴムの組成物に適度な粘着性を付与し、シーティング特性の優れた高充填配合の組成物の提供を可能にするものである。
アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂とエポキシ樹脂が、水素化ニトリルゴムの組成物に適度な粘着性を付与し、シーティング特性の優れた高充填配合の組成物の提供を可能にするものである。
本発明の組成物の架橋を実施する場合、架橋条件は特に限定されないが、一次架橋は、電熱プレスで、160℃乃至210℃で5分間乃至20分実施するとよい。二次架橋は当業者の使用する熱風式のノーマルオーブン乃至真空オーブンにより、160℃乃至210℃で30分乃至4時間実施するのがよい。特に真空オーブンによる架橋は望ましい特性を得ることができる。真空度は30トル(Torr)以下の雰囲気で実施するのがよい。
さらに本発明は、該組成物を架橋することによって得られる架橋ゴムを使用したゴム製品を提供する。本発明によって提供されるゴム製品とは、耐熱ベルト、ダイヤフラム、O−リング、オイルシール、ゴムロール、銅やアルミと接触するパッキン等である。
さらに、アルミ電解コンデンサ用の封口ゴムとして、耐熱性のある製品を提供できる。既存のブチルゴム100%の封口ゴムやEPDMの封口ゴムでは耐熱性の対応ができなかった140℃乃至170℃の耐熱性のある封口ゴム製品が提供される。
本発明について以下実施例および比較例によって、更に詳細に説明する。なお、表中の原料の配合の単位は、ゴム100重量部に対する重量部(PHR)数で記載した。
常態物性の測定は、JIS K6251に従って測定した。硬度の測定は、JIS K
6253に従い、タイプAのデュロメータ硬度計で測定した。常態物性のモジュラスの単位は、Kgf/cm2を採用した。二次架橋は、30トル以下に真空度を調整した真空オーブンを使用した。架橋曲線の測定は、JSRトレーディング株式会社製のキュラストメーターW型を使用して、200℃で測定した。架橋剤として使用したアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂は、田岡化学工業株式会社製のタッキロール201を使用し、T−201と略記した。使用した水素化ニトリルゴムのヨウ素価は、日本ゼオン株式会社の水素化ニトリルゴムのカタログ「ゼットポール」に記載されている値を記載した。
6253に従い、タイプAのデュロメータ硬度計で測定した。常態物性のモジュラスの単位は、Kgf/cm2を採用した。二次架橋は、30トル以下に真空度を調整した真空オーブンを使用した。架橋曲線の測定は、JSRトレーディング株式会社製のキュラストメーターW型を使用して、200℃で測定した。架橋剤として使用したアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂は、田岡化学工業株式会社製のタッキロール201を使用し、T−201と略記した。使用した水素化ニトリルゴムのヨウ素価は、日本ゼオン株式会社の水素化ニトリルゴムのカタログ「ゼットポール」に記載されている値を記載した。
実施例
実施例1、比較例1
ヨウ素価11の水素化ニトリルゴム100重量部に、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂(以下T−201と略記することがある)10重量部と、エポキシ化合物として、2重量部のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を添加した組成物を、一次架橋を電熱プレスで200℃で10分、二次架橋を真空オーブンで3時間実施した。配合処方と測定した硬度とモジュラス値を表1に実施例1に示す。
エポキシ樹脂を添加しない配合で架橋して得られた物性を表1の比較例1に示す。
実施例1、比較例1
ヨウ素価11の水素化ニトリルゴム100重量部に、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂(以下T−201と略記することがある)10重量部と、エポキシ化合物として、2重量部のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を添加した組成物を、一次架橋を電熱プレスで200℃で10分、二次架橋を真空オーブンで3時間実施した。配合処方と測定した硬度とモジュラス値を表1に実施例1に示す。
エポキシ樹脂を添加しない配合で架橋して得られた物性を表1の比較例1に示す。
実施例1と比較例1の200℃で測定した架橋曲線を図1に示す。
比較例1と比較して、水素化ニトリルゴムに、T−201とクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を添加した組成物を架橋すると、大幅にモジュラスを高くすることがわかる。硬度も高くなることがわかる。硬度の上昇は、同一の硬度の架橋ゴムを製造する場合、カーボンブラックの増量によって硬度を上げる必要がない為、ゴムの絶縁性を高めることが可能となる。即ち、オイルシール、ダイヤフラム、封口ゴム等の優れた製品の提供ができることを意味している。
(注)
(1)日本ゼオン株式会社製の水素化ニトリルゴムであるゼットポール2010使用した。
(2)旭カーボン株式会社製のカーボンブラックである旭#60を使用した。
(3)バーゲスピグメント社製の焼成クレーであるアイスバーグを使用した。
(4)正同化学工業株式会社製の亜鉛華 1種を使用した。
(5)信越化学工業株式会社製のシランカップリング剤であるKBM803を使用した。(6)田岡化学工業株式会社製のアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂であるタッキロール201(T−201)を使用した。
(7)日本化薬株式会社製のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂である
EOCN1020使用した。
(8)(実施例の硬度)−(比較例の硬度)を示す。以下の実施例も同様である。
(9),(10)(実施例のモジュラス)−(比較例のモジュラス)を示す。以下の実施例も同様に表記した。
(1)日本ゼオン株式会社製の水素化ニトリルゴムであるゼットポール2010使用した。
(2)旭カーボン株式会社製のカーボンブラックである旭#60を使用した。
(3)バーゲスピグメント社製の焼成クレーであるアイスバーグを使用した。
(4)正同化学工業株式会社製の亜鉛華 1種を使用した。
(5)信越化学工業株式会社製のシランカップリング剤であるKBM803を使用した。(6)田岡化学工業株式会社製のアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂であるタッキロール201(T−201)を使用した。
(7)日本化薬株式会社製のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂である
EOCN1020使用した。
(8)(実施例の硬度)−(比較例の硬度)を示す。以下の実施例も同様である。
(9),(10)(実施例のモジュラス)−(比較例のモジュラス)を示す。以下の実施例も同様に表記した。
実施例2、比較例2
ヨウ素価11の水素化ニトリルゴム100重量部に、T−20117重量部と、エポキシ化合物として、2重量部のトリフェニールメタン型多官能型エポキシ樹脂を添加した組成物を実施例2、エポキシ樹脂を添加しない組成物を比較例2として、実施例1と同じ条件で架橋した物性を表2に示す。
ヨウ素価11の水素化ニトリルゴム100重量部に、T−20117重量部と、エポキシ化合物として、2重量部のトリフェニールメタン型多官能型エポキシ樹脂を添加した組成物を実施例2、エポキシ樹脂を添加しない組成物を比較例2として、実施例1と同じ条件で架橋した物性を表2に示す。
トリフェニールメタン型多官能型エポキシ樹脂を含有する組成物を架橋すると、二次架橋した架橋ゴムは、大幅にモジュラスと硬度を上昇させることがわかる。
(注)
(1),(2),(3),(4),(5),(6)は、実施例1と同じ。
(7)は、日本化薬株式会社製のトリフェニールメタン型多官能型エポキシ樹脂であるEPPN502を使用した。
(1),(2),(3),(4),(5),(6)は、実施例1と同じ。
(7)は、日本化薬株式会社製のトリフェニールメタン型多官能型エポキシ樹脂であるEPPN502を使用した。
実施例3および5、比較例3および4
ヨウ素価18の水素化ニトリルゴム100重量部に、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂17重量部と、エポキシ化合物として、2重量部のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、2重量部のフェノールビフェニレン型エポキシ樹脂とビフェノールグリシジルエーテルの混合物、および2重量部のフェノールノボラック型エポキシ樹脂をそれぞれ添加した組成物を実施例3、実施例4および実施例5として、一次架橋を電熱プレスで200℃で10分、二次架橋を真空オーブンで3時間実施した。配合処方と測定した硬度とモジュラス値を表3に示す。エポキシ樹脂を添加しない配合で架橋して得られた物性を表3の比較例3に示す。比較例4にアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂を添加しないで、15重量部のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を添加して、電熱プレスによって200℃で10分間熱処理した。
ヨウ素価18の水素化ニトリルゴム100重量部に、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂17重量部と、エポキシ化合物として、2重量部のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、2重量部のフェノールビフェニレン型エポキシ樹脂とビフェノールグリシジルエーテルの混合物、および2重量部のフェノールノボラック型エポキシ樹脂をそれぞれ添加した組成物を実施例3、実施例4および実施例5として、一次架橋を電熱プレスで200℃で10分、二次架橋を真空オーブンで3時間実施した。配合処方と測定した硬度とモジュラス値を表3に示す。エポキシ樹脂を添加しない配合で架橋して得られた物性を表3の比較例3に示す。比較例4にアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂を添加しないで、15重量部のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を添加して、電熱プレスによって200℃で10分間熱処理した。
実施例3と比較例3の200℃で測定した架橋曲線を図2に示す。
比較例3と比較して、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールビフェニレン型エポキシ樹脂とビフェノールグリシジルエーテルの混合物、およびフェノールノボラック型エポキシ樹脂は、大幅にモジュラスを高くすることがわかる。実施例3と比較例3の架橋曲線の比較によっては、相違は少なく、モジュラスの値の大幅な改良を推定することは出来ないが、架橋ゴムの物性は、著しく改良される。
比較例4の組成物を同様に、電熱プレスで熱処理した。架橋は全く起こらず、加熱された金型内で溶けた状態の未架橋ゴムが得られただけであった。即ち、エポキシ樹脂単独では、水素化ニトリルゴムの架橋剤として作用しない。水素化ニトリルゴムに対するエポキシ樹脂の効果が予測しがたいことを示している。
比較例4の組成物を同様に、電熱プレスで熱処理した。架橋は全く起こらず、加熱された金型内で溶けた状態の未架橋ゴムが得られただけであった。即ち、エポキシ樹脂単独では、水素化ニトリルゴムの架橋剤として作用しない。水素化ニトリルゴムに対するエポキシ樹脂の効果が予測しがたいことを示している。
(注)
(1)日本ゼオン株式会社製の水素化ニトリルゴムであるゼットポール2011を使用した。
(2)旭カーボン株式会社製のカーボンブラックである旭#50を使用した。
(3),(4),(5),(6)は、実施例1に同じ。
(7)日本化薬株式会社製のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂であるEOCN103Sを使用した。
(8)日本化薬株式会社製のフェノールビフェニレン型エポキシ樹脂とビフェノールグリシジルエーテルの混合物であるCER 3000Lを使用した。
(9)日本化薬株式会社製のフェノールノボラック型エポキシ樹脂であるEPPN201を使用した。
(1)日本ゼオン株式会社製の水素化ニトリルゴムであるゼットポール2011を使用した。
(2)旭カーボン株式会社製のカーボンブラックである旭#50を使用した。
(3),(4),(5),(6)は、実施例1に同じ。
(7)日本化薬株式会社製のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂であるEOCN103Sを使用した。
(8)日本化薬株式会社製のフェノールビフェニレン型エポキシ樹脂とビフェノールグリシジルエーテルの混合物であるCER 3000Lを使用した。
(9)日本化薬株式会社製のフェノールノボラック型エポキシ樹脂であるEPPN201を使用した。
実施例6〜8、比較例5
実施例1と同様の配合に、エポキシ樹脂として、2重量部のジシクロペンタジエン型のエポキシ樹脂、2重量部のトリフェニールメタン型多官能型エポキシ樹脂、2重量部のフェノールビフェニレン型エポキシ樹脂を添加して、実施例1と同様に架橋した。架橋ゴムの物性を表4に示す。エポキシ樹脂の併用によって、水素化ニトリルゴムを架橋すると、モジュラスの高い値の架橋ゴムが提供できる。
実施例1と同様の配合に、エポキシ樹脂として、2重量部のジシクロペンタジエン型のエポキシ樹脂、2重量部のトリフェニールメタン型多官能型エポキシ樹脂、2重量部のフェノールビフェニレン型エポキシ樹脂を添加して、実施例1と同様に架橋した。架橋ゴムの物性を表4に示す。エポキシ樹脂の併用によって、水素化ニトリルゴムを架橋すると、モジュラスの高い値の架橋ゴムが提供できる。
(注)
(1),(2),(3),(4),(5),(6)は、実施例3と同じ。
(7)は、日本化薬株式会社製のジシクロペンタジエン型のエポキシ樹脂であるXD1000を使用した。
(8)は、実施例2と同じ。
(9)は、日本化薬株式会社製のフェノールビフェニレン型エポキシ樹脂である
NC3000Hを使用した。
(1),(2),(3),(4),(5),(6)は、実施例3と同じ。
(7)は、日本化薬株式会社製のジシクロペンタジエン型のエポキシ樹脂であるXD1000を使用した。
(8)は、実施例2と同じ。
(9)は、日本化薬株式会社製のフェノールビフェニレン型エポキシ樹脂である
NC3000Hを使用した。
実施例9及び10,比較例6
ヨウ素価4の水素化ニトリルゴム100重量部に、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂15重量部と、2重量部のトリフェニールメタン型多官能型エポキシ樹脂と3重量部のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂をそれぞれ添加した配合と架橋物性を表5に示す。エポキシ樹脂を添加した樹脂架橋ゴムは、高いモジュラス値を示すことがわかる。
ヨウ素価4の水素化ニトリルゴム100重量部に、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂15重量部と、2重量部のトリフェニールメタン型多官能型エポキシ樹脂と3重量部のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂をそれぞれ添加した配合と架橋物性を表5に示す。エポキシ樹脂を添加した樹脂架橋ゴムは、高いモジュラス値を示すことがわかる。
実施例9と比較例6の200℃で測定した架橋曲線を図3に示す。
架橋曲線で比較する限り、殆ど同じように判断されるが、二次架橋したモジュラスの上昇は、架橋が大幅に進行することを示している。
架橋曲線で比較する限り、殆ど同じように判断されるが、二次架橋したモジュラスの上昇は、架橋が大幅に進行することを示している。
(注)
(1)は、日本ゼオン株式会社製の水素化ニトリルゴムであるゼットポール2000Lを使用した。
(2),(3),(4),(5),(6)は、実施例1と同じ。
(7)は、実施例2同じ日本化薬株式会社製のトリフェニールメタン型多官能型エポキシ樹脂であるEPPN502を使用した。
(8)は、実施例と同じ日本化薬株式会社製のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂であるEOCN1020使用した。
(1)は、日本ゼオン株式会社製の水素化ニトリルゴムであるゼットポール2000Lを使用した。
(2),(3),(4),(5),(6)は、実施例1と同じ。
(7)は、実施例2同じ日本化薬株式会社製のトリフェニールメタン型多官能型エポキシ樹脂であるEPPN502を使用した。
(8)は、実施例と同じ日本化薬株式会社製のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂であるEOCN1020使用した。
実施例11および12、比較例7
ヨウ素価57の水素化ニトリルゴム100重量部に、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂15重量部と、2種類のエポキシ樹脂、1重量部のフェノールノボラック型の樹脂と1重量部のジグリシジルテトラヒドロフタレートを添加した。実施例11として表6に示す。また、2種類のエポキシ樹脂、3重量部のポリグリシジルアミン型のエポキシ樹脂と2重量部のジグリシジルテトラヒドロフタレートを添加した。実施例12として表6に示す。硬度は、比較例7と比較し、4度乃至5度の上昇が確認され、同時に顕著な高いモジュラスが得られた。少量のエポキシ樹脂による硬度の上昇は、封口ゴムのような絶縁性の高い製品を提供する場合、カーボンブラックの増量に依存しない組成物を提供できることを意味するものである。
ヨウ素価57の水素化ニトリルゴム100重量部に、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂15重量部と、2種類のエポキシ樹脂、1重量部のフェノールノボラック型の樹脂と1重量部のジグリシジルテトラヒドロフタレートを添加した。実施例11として表6に示す。また、2種類のエポキシ樹脂、3重量部のポリグリシジルアミン型のエポキシ樹脂と2重量部のジグリシジルテトラヒドロフタレートを添加した。実施例12として表6に示す。硬度は、比較例7と比較し、4度乃至5度の上昇が確認され、同時に顕著な高いモジュラスが得られた。少量のエポキシ樹脂による硬度の上昇は、封口ゴムのような絶縁性の高い製品を提供する場合、カーボンブラックの増量に依存しない組成物を提供できることを意味するものである。
実施例11と比較例7の200℃で測定した架橋曲線を図4に示す。
(注)
(1)は、日本ゼオン株式会社製の水素化ニトリルゴムであるゼットポール2030Lを使用した。
(2),(3),(4),(5),(6)は、実施例1と同じ。
(7)は、実施例5と同じ日本化薬株式会社製のフェノールノボラック型のエポキシ樹脂であるEPPN201を使用した。
(8)は、日本化薬株式会社製のエポキシ樹脂、ジグリシジルテトラヒドロフタレートであるAK601を使用した。
(9)は、日本化薬株式会社製のポリグリシジルアミン型のエポキシ樹脂であるGANを使用した。
(1)は、日本ゼオン株式会社製の水素化ニトリルゴムであるゼットポール2030Lを使用した。
(2),(3),(4),(5),(6)は、実施例1と同じ。
(7)は、実施例5と同じ日本化薬株式会社製のフェノールノボラック型のエポキシ樹脂であるEPPN201を使用した。
(8)は、日本化薬株式会社製のエポキシ樹脂、ジグリシジルテトラヒドロフタレートであるAK601を使用した。
(9)は、日本化薬株式会社製のポリグリシジルアミン型のエポキシ樹脂であるGANを使用した。
実施例13,比較例8
実施例1〜12によって、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂と併用して、すぐれたモジュラスを与えることができる各種のエポキシ樹脂の例を示した。同時に、水素化ニトリルゴムの二重結合の多少(ヨウ素価の大小)に関わらず、効果があることを示した。
当実施例は、耐熱性と、金属腐食の危険性のない、各種のゴム製品に適用可能な組成物の例を、表7に示す。即ち、ヨウ素価11の水素化ニトリルゴム100重量部に、T−201を16重量部と、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂およびトリフェニールメタン型多官能型エポキシ樹脂を1重量部および2重量部添加して、更に、焼成クレーを120重量部と、カーボンブラックを30重量部含有する組成物である。
本発明の付随的に得られる特徴である作業工程の優れた例として、当実施例によって確
認できる。
実施例1〜12によって、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂と併用して、すぐれたモジュラスを与えることができる各種のエポキシ樹脂の例を示した。同時に、水素化ニトリルゴムの二重結合の多少(ヨウ素価の大小)に関わらず、効果があることを示した。
当実施例は、耐熱性と、金属腐食の危険性のない、各種のゴム製品に適用可能な組成物の例を、表7に示す。即ち、ヨウ素価11の水素化ニトリルゴム100重量部に、T−201を16重量部と、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂およびトリフェニールメタン型多官能型エポキシ樹脂を1重量部および2重量部添加して、更に、焼成クレーを120重量部と、カーボンブラックを30重量部含有する組成物である。
本発明の付随的に得られる特徴である作業工程の優れた例として、当実施例によって確
認できる。
表7の組成物をオープン・ロールによって混合した。カーボンブラックと焼成クレーの添加量が、およそ100重量部前後の時点で、オープン・ロール表面からのコンパウンドの離脱現象が確認された。しかし、T−201の添加によって、コンパウンドの表面からの離脱は止み、容易に他の充填剤を混合することができた。混合した表7の実施例13の処方によって得られた組成物から、2mmの薄い未架橋のゴムシートを、容易に作ることができた。
表7の組成物を、200℃に調整した電熱プレスによって10分間架橋した物性を表8に示す。更に、185℃で2時間、30トル以下に真空度を調整した真空オーブンで、二次架橋した架橋ゴムの物性を表9に示す。エポキシ樹脂を添加しない組成物について、比較例8に示す。
表7の組成物を、200℃に調整した電熱プレスによって10分間架橋した物性を表8に示す。更に、185℃で2時間、30トル以下に真空度を調整した真空オーブンで、二次架橋した架橋ゴムの物性を表9に示す。エポキシ樹脂を添加しない組成物について、比較例8に示す。
実施例13の架橋ゴムは、比較例8と比較し、一次架橋および二次架橋のモジュラス、引張強度を著しく改良することがわかる。そして、伸びの大幅な低下は、エポキシ樹脂の添加によって、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂のみの架橋構造とは相違する分子組織の構築を示していると言える。
本実施例は、自動車用の部品として使用される耐熱性のゴム製品、例えばタイミングベルト、オイルシール、ダイヤフラム等に好適に使用できる。更に、アルミ電解コンデンサーの封口ゴム、耐熱性、耐油性の要求される電線の被覆等にも好適に使用できる。
本実施例は、自動車用の部品として使用される耐熱性のゴム製品、例えばタイミングベルト、オイルシール、ダイヤフラム等に好適に使用できる。更に、アルミ電解コンデンサーの封口ゴム、耐熱性、耐油性の要求される電線の被覆等にも好適に使用できる。
(注)
(1),(2),(3),(4),(5),(6)は、実施例1と同じ。
(7)は、実施例3と同じ。
(8)は、実施例2と同じ。
(1),(2),(3),(4),(5),(6)は、実施例1と同じ。
(7)は、実施例3と同じ。
(8)は、実施例2と同じ。
実施例14,比較例9
ヨウ素価の異なる3種類の水素化ニトリルゴム、計100重量部に、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂を15重量部と、3種類のエポキシ樹脂の計3重量部を添加し、更に焼成クレーを130重量部と、カーボンブラックを30重量部を添加した組成物の配合処方を表10に示す。
表10の組成物をオープン・ロールによって混合した。実施例13の場合と同じように、カーボンブラックと焼成クレーの添加量が、およそ100重量部前後の時点で、オープン・ロール表面からのコンパウンドの離脱現象が確認された。しかし、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂の添加によって、コンパウンドの表面からの離脱は止み、容易に他の充填剤を容易に混合することができた。混合した表10の実施例14の組成物の、2mmの未架橋のゴムシートを作ることができた。
実施例13と、同様の架橋条件で架橋した物性を、表11及び表12に示す。エポキシ
樹脂を添加しない組成物について、比較例9に示す。
ヨウ素価の異なる3種類の水素化ニトリルゴム、計100重量部に、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂を15重量部と、3種類のエポキシ樹脂の計3重量部を添加し、更に焼成クレーを130重量部と、カーボンブラックを30重量部を添加した組成物の配合処方を表10に示す。
表10の組成物をオープン・ロールによって混合した。実施例13の場合と同じように、カーボンブラックと焼成クレーの添加量が、およそ100重量部前後の時点で、オープン・ロール表面からのコンパウンドの離脱現象が確認された。しかし、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂の添加によって、コンパウンドの表面からの離脱は止み、容易に他の充填剤を容易に混合することができた。混合した表10の実施例14の組成物の、2mmの未架橋のゴムシートを作ることができた。
実施例13と、同様の架橋条件で架橋した物性を、表11及び表12に示す。エポキシ
樹脂を添加しない組成物について、比較例9に示す。
実施例14の架橋ゴムは、比較例9と比較し、一次架橋および二次架橋のモジュラス、引張強度を著しく改良することがわかる。これは、実施例13と同じように、各種の耐熱性、耐油性の必要なゴム製品に適用できることを示している。
(注)
(1),(4),(5),(6),(7),(8),(9)は、実施例1と同じ。
(10)は、実施例2と同じ。
(11)は、実施例4と同じ。
(1),(4),(5),(6),(7),(8),(9)は、実施例1と同じ。
(10)は、実施例2と同じ。
(11)は、実施例4と同じ。
水素化ニトリルゴムは、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂とエポキシ樹脂によって、架橋ゴムのモジュラスが大幅に改良される。このような特性を生かした架橋ゴム製品、自動車用の部品として使用される耐熱性のゴム製品、例えばタイミングベルト、オイルシール、ダイヤフラム、O−リングに好適に使用できる。更に、アルミ電解コンデンサーの封口ゴムや耐熱性、耐油性の要求される電線の被覆等にも好適に使用できる。
本発明を実施するにあたり、水素化ニトリルゴムが、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂によって架橋することを確認した。しかしながら、実用的に使用出来ない低いモジュラス値しか得られないことも、同時に確認した。水素化ニトリルゴムをアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂とエポキシ樹脂を併用して架橋すると、優れた特性の架橋ゴムが得られる。
水素化ニトリルゴムの実用的架橋方法が、有機過酸化物と硫黄による主要な第一、第二の方法とすれば、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂とエポキシ樹脂を併用して水素化ニトリルゴム架橋する方法は、「水素化ニトリルゴムの第三の架橋方法」と呼ぶことのできる良好な特性を得ることができる新規な架橋方法である。
本発明の新規な架橋可能な組成物は、
(1)未架橋ゴムの貯蔵安定性が極めて良い。
(2)オープン・ロールやバンバリィ・ミキサーによる組成物の製造が容易である。
(3)水素化ニトリルゴムのヨウ素価の高低の何れにも適用可能である。
(4)ハロゲンの含有量の低いゴム製品の提供が可能であり、金属と接触して使用されるゴム製品に対応できる等の、多くの長所のある技術を提供したものである。
(1)未架橋ゴムの貯蔵安定性が極めて良い。
(2)オープン・ロールやバンバリィ・ミキサーによる組成物の製造が容易である。
(3)水素化ニトリルゴムのヨウ素価の高低の何れにも適用可能である。
(4)ハロゲンの含有量の低いゴム製品の提供が可能であり、金属と接触して使用されるゴム製品に対応できる等の、多くの長所のある技術を提供したものである。
Claims (6)
- 水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム100重量部に、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂5重量部〜25重量部と、エポキシ化合物0.3重量部〜10重量部が含有されていることを特徴とする架橋可能なゴム組成物。
- エポキシ化合物がビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型又はAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂の骨格に付加されている1個のメチル基をカーボン数2〜12のアルキル基で置換したビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールビフェニレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール変性ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニールメタン型多官能型エポキシ樹脂、環式脂肪族エポキシ樹脂、ポリグリシジルアミン型エポキシ樹脂、フタル酸(o−、m−、p−)またはヒドロフタル酸(o−、m−、p−)のグリシジルエステル系エポキシ化合物からなる群から選ばれる1種類又は2種類以上であることを特徴とする請求項1記載の架橋可能なゴム組成物。
- 水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴムと、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂と、添加されるエポキシ化合物が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型又はAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂の骨格に付加されている1個のメチル基をカーボン数2〜12のアルキル基で置換したビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールビフェニレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール変性ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニールメタン型多官能型エポキシ樹脂、環式脂肪族エポキシ樹脂、ナフトール変性ノボラック型エポキシ樹脂およびフタル酸(o−、m−、p−)またはヒドロフタル酸(o−、m−、p−)のグリシジルエステル系エポキシ化合物からなる群から選ばれる1種類又は2種類以上であることを特徴とする請求項1記載のゴム組成物を架橋する方法。
- 請求項4の架橋方法によって得られる架橋ゴム製品。
- 請求項4の架橋方法によって得られるアルミ電解コンデンサに使用する封口ゴム製品。
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---|---|---|---|---|
JPWO2013011918A1 (ja) * | 2011-07-19 | 2015-02-23 | Nok株式会社 | ガスケット材料 |
JP2020088329A (ja) * | 2018-11-30 | 2020-06-04 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 電解コンデンサ |
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---|---|---|---|---|
JP2004215347A (ja) * | 2002-12-27 | 2004-07-29 | Tokai Rubber Ind Ltd | 小型モータ用ブラケット一体マウント |
JP4384653B2 (ja) * | 2006-10-27 | 2009-12-16 | 株式会社スーリエ | 水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴムと、イソプレン・イソブチレンゴムおよびエチレン・プロピレンゴムの混合物よりなる架橋可能なゴム組成物およびその組成物を架橋して得られる架橋ゴム製品 |
-
2007
- 2007-02-05 JP JP2007025915A patent/JP2008189816A/ja active Pending
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