JP2008188560A - 塗膜の形成方法及び塗装物 - Google Patents

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Abstract

【課題】透き通った輝き感を有する塗膜の形成方法及び塗装物を提供する。
【解決手段】表面粗さをJIS B 0601−2001に規定されている最大高さ粗さRzとして表した時、Rzが50μm以下である基材に対して、平均厚さ300μm〜5000μmのクリヤー塗膜を積層させる塗膜の形成方法であって、該クリヤー塗膜の表面粗さがRzで100μm〜3000μmの範囲内にあること。不透明な下塗り塗膜が形成されたRzが50μm以下である基材、および、基材透明なクリヤー塗膜が厚さ300μm〜5000μm、かつ、Rzで100μm〜3000μmの範囲内に形成されていること。
【選択図】図1

Description

本発明は、透き通った輝き感を有する塗膜の形成方法及び塗装物に関するものである。
従来、光沢を有する塗料としては、いわゆる艶有り塗料や、クリヤー塗料がある。また、アルミニウム粉末・ガラスフレーク顔料等を含有させたメタリック塗料が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、艶有り塗料や、クリヤー塗料においては、塗膜表面の光に対する反射率(いわゆる光沢度)は高いものの、人間の視覚特性にとっての輝き感を満足させることはできていないという問題があった。また、メタリック塗料においては金属的な輝きを感ずることはできるが、不透明であるために透き通った輝き感を得ることはできないという問題があった。
特開平3−239769号公報(第2〜3頁)
解決しようとする問題点は、人間の視覚にとって透き通った輝きを十分に感ずることができる塗膜を提供する点である。
請求項1に記載の塗膜の形成方法についての発明は、表面粗さをJIS B 0601−2001に規定されている最大高さ粗さRzとして表した時、Rzが50μm以下である基材に対して、平均厚さ300μm〜5000μmのクリヤー塗膜を積層させる塗膜の形成方法であって、該クリヤー塗膜の表面粗さがRzで100μm〜3000μmの範囲内にあることを最も主要な特徴とする。
同様に、請求項2に記載の形成方法の発明は、請求項1記載の基材表面には不透明な下塗り塗膜が形成されていることを最も主要な特徴とする。
請求項3に記載の塗装物の発明は、不透明な下塗り塗膜が形成されたRzが50μm以下である基材、および、基材透明なクリヤー塗膜が厚さ300μm〜5000μm、かつ、Rzで100μm〜3000μmの範囲内に形成されていることを最も主要な特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、人間の視覚にとって透き通った輝きを十分に感ずることができるという利点がある。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、塗装を計画する基材面に対し、基材の色にばらつきがあったとしても、基材に起因する斑の発生のない仕上げ面を得られるという利点がある。
請求項3に記載の発明によれば、人間の視覚にとって透き通った輝きを十分に感ずることができる塗装物を提供できるという利点がある。
以下、本発明を具体化した実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
本発明の塗膜構造に光が照射された場合の模式断面図を図1に示す。
本発明の塗膜の形成方法は、表面粗さが、JIS B 0601−2001に規定されている最大高さ粗さRzで50μm以下である基材に対して、JIS B 0601−2001に規定されている最大高さ粗さRzが100μm〜6000μmであるクリヤー塗膜を平均厚さ300μm〜5000μmで積層させる塗膜の形成方法である。
前記基材は任意に設定することができる。例えば、鉄、アルミニウム、ステンレス、銅等の金属類、モルタル、コンクリート、押し出し成型板等のセメント材料、エチレン樹脂、プロピレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の組成を有する合成樹脂板又はこれらの樹脂組成を有する塗料塗膜、ガラス、木材、紙、布等が挙げられる。
前記基材の表面粗さは、JIS B 0601−2001に規定されている最大高さ粗さRzで50μm以下であることが必要である。この範囲にあるとき、人間の視覚にとって十分な輝きが得られる。基材の表面粗さは、JIS B 0601−2001に規定されている最大高さ粗さRzで50μmを超える場合には、基材表面で光が拡散反射してしまう割合が多すぎて、輝き感が不足する。
前記基材がモルタル、コンクリート、スレート、押し出し成型板等のセメント材料である場合には、該セメント材料の表面に不透明な下塗り塗膜を形成させた後にクリヤー塗膜を積層させることが好ましい。セメント材料の表面に不透明な下塗り塗膜を形成させた後にクリヤー塗膜を積層させることにより、セメント材料の色むらを隠すことができる。
前記不透明な下塗り塗膜はセメントと合成樹脂とを含有しても良い。不透明な下塗り塗膜がセメントと合成樹脂とを含有していることにより、セメントの質感を生かしたまま基材となるセメント材料の色むらを隠すことができる。
前記クリヤー塗膜の平均厚さは300〜5000μmであることが必要であり、500〜3500μmであることがより好ましく、1000〜2500μmであることが最も好ましい。クリヤー塗膜の平均厚さが300〜5000μmであることにより、クリヤー塗膜の表面に光が照射された場合に、クリヤー塗膜の表面で光の反射及び屈折が、クリヤー塗膜と基材との界面で光の反射が、また、クリヤー塗膜内部では内部反射が生じ、光に位相差が生じて光の強弱が生まれる。該光の強弱は塗膜を見る角度によって大きく変化し、人間の視覚には塗膜が輝くように見える。
前記クリヤー塗膜の平均厚さが300μm未満の場合には、塗膜を見る角度を変えた場合に生じる光の強弱の変化量が小さく、塗膜の輝きが十分でない。逆にクリヤー塗膜の厚みが5000μmを超える場合には、一度に積層させると塗膜に収縮クラックを生じるおそれがあるとともに、塗膜の光透過度が低下するため、透明感が低下するおそれがある。
前記クリヤーの平均厚さが500〜3500μmであることにより、入射光のクリヤー塗膜の内部での反射と散乱が適度に生じ、十分な輝き感が得られるとともに、入射光が基材とクリヤー塗膜との界面に到達する前に散乱してしまうことが少ないため、基材の色を生かした透明感を得ることができる。前記クリヤーの平均厚さが500μm未満の場合には、主にクリヤー塗膜の表面で光の反射とクリヤー塗膜と基材との界面で光の反射によって生じる位相差によって輝きが生じ、内部反射が少ないために、塗膜を見る角度を変えた場合に生じる光の強弱の変化量が小さく、塗膜の輝きが少なくなってしまう。逆に、クリヤーの平均厚さが3500μmを超える場合には、入射光が基材とクリヤー塗膜との界面に到達する前に散乱してしまう確率が増すため、クリヤー塗膜に濁りが生ずるおそれがある。
前記クリヤー塗膜の最大高さ粗さRzの値は、好ましくは100μm〜6000μmであり、より好ましくは200μm〜2000μmであり、最も好ましくは300μm〜1000μmである。この範囲にあるとき、クリヤー塗膜表面の拡散反射が最適となり、ちょうど水面が光を乱反射して輝くように、輝き感を増すことができる。
前記クリヤー塗膜の最大高さ粗さRzが100μm未満の場合には、見る角度による乱反射の度合いが小さいため、輝き感が少ない。また、クリヤー塗膜の最大高さ粗さRzが200μm未満の場合にはクリヤー塗膜の乾燥が遅くなるおそれがある。逆に、クリヤー塗膜の最大高さ粗さRzが6000μmを超える場合には、クリヤー塗膜表面の拡散反射が大きすぎて輝きが低下する。また、クリヤー塗膜の最大高さ粗さRzが2000μmを超える場合には、未乾燥状態で風に当たるとクリヤー塗膜にクラックを生ずるおそれがある。
前記クリヤー塗膜は可視光を透過するものであれば任意に設定することができる。例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂等の合成樹脂、ガラス、水ガラス、コロイダルシリカ、アルコキシシラン等のシリカ類等が挙げられる。これらのうち、アクリル樹脂又はその共重合樹脂を用いることが好まししい。クリヤー塗膜としてアクリル樹脂又はその共重合樹脂を用いることにより、耐候性に優れたクリヤー塗膜を得ることができる。
前記クリヤー塗膜として合成樹脂を用いる場合には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて通常の塗料用添加剤を使用することができる。例えば、増粘剤、分散剤、消泡剤、造膜助剤、湿潤剤、凍結防止剤、着色顔料、体質顔料、架橋剤、金属膜、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、シランカップリング剤等が挙げられる。
前記クリヤー塗料の粘度は、好ましくは80〜500dPa・s、より好ましくは100〜400dPa・s、最も好ましくは120〜350dPa・sである。この範囲にあるとき、クリヤー塗膜の最大高さ粗さRzを100μm〜6000μmにすることが容易となる。
前記クリヤー塗膜に金属膜を含有させる場合には、クリヤー塗膜の最大高さ粗さRzは好ましくは300μm〜3000μmであり、より好ましくは400μm〜2000μmであり、最も好ましくは500μm〜1000μmである。この範囲にあるとき、金属膜によって生ずる鏡面反射がクリヤー塗膜に対して入射角が大きい垂直方向からの光だけでなく、入射角の小さい水平方向からの光も反射させることができるため、特に斜めから塗装物を見たときの輝き感が増す。
前記クリヤー塗膜に金属膜を含有させる場合において、クリヤー塗膜の最大高さ粗さRzが300μm未満の場合には、入射角の小さな光の反射が弱いため、輝き感が小さくなる。逆にクリヤー塗膜の最大高さ粗さRzが3000μmを超える場合には、入射角の大きい光に対する反射が小さくなる。
前記金属膜は、ベースとなるフィルム上に金属膜を蒸着させ、フィルムを剥離した後に、粉砕することにより得られる蒸着金属膜を用いることが好ましい。金属膜として蒸着金属膜を用いることにより、表面が平滑で鏡面反射性の良い金属膜を得ることができ、輝き感を増すことができる。また、前記金属膜の表面は保護膜で被覆してあることが好ましい。金属膜の表面が保護膜で被覆してあることにより、水性のクリヤー塗量に含有させた場合において、金属の表面活性を抑制することにより、クリヤー塗料の貯蔵安定性を向上させることができる。
前記保護膜としては例えば、アクリル樹脂、ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン樹脂、プロピレン樹脂等が挙げられる。
前記金属膜の材質は任意に設定することができる。例えば、アルミニウム、金、銀、銅、真鍮、チタン、ニッケルステンレス等の金属が挙げられる。
これらのうち、アルミニウム又はステンレスを用いることが好ましい。アルミニウム又はステンレスを用いることにより、安価であると同時に水性塗料に用いた場合でも発錆の恐れが小さい。
前記金属膜の最長径は、好ましくは30〜2000μm、より好ましくは50〜1500μm、最も好ましくは80〜1200μmである。この範囲にあるとき、十分な輝きが得られるとともに、水性塗料中での貯蔵安定性に優れる。また、そのアスペクト比は、好ましくは1:1〜20であり、より好ましくは1:1〜15であり、最も好ましくは1:1〜10である。この範囲にあるとき、入射光の拡散反射が不規則となり、より輝きが増す。
前記金属膜の最長径が30μm未満の場合には、金属膜の比表面積が大きくなり、水性塗料に含有させた場合において、該塗料中の水分と金属膜との反応が進み、気体が発生する等して塗料の貯蔵安定性が低下するおそれがある。逆に金属膜の最長径が20μmを超える場合には、クリヤー塗料の光透過を阻害して、クリヤー塗膜の透明感を低下させるおそれがある。
前記金属膜の平均厚みは好ましくは1〜50μmであり、より好ましくは5〜30μmであり、最も好ましくは7〜20μmである。この範囲にあるとき、輝き感に優れたクリヤー塗膜を得ることができる。
前記金属膜の平均厚みが1μm未満の場合には、厚みが薄すぎて塗装前にクリヤー塗料をミキサー等で攪拌した場合に、金属膜が壊れてしまうおそれがある。逆に金属膜の平均粒子厚みが50μmを超える場合には、金属膜がクリヤー塗膜面から飛び出してしまうおそれがある。
前記金属膜のクリヤー塗膜100質量部に対する含有量は好ましくは0.2〜10質量部、より好ましくは0.3〜5質量部、最も好ましくは0.5〜3質量部である。この範囲にあるとき、金属膜のクリヤー塗膜に対する透明性の阻害が小さい。前記金属膜のクリヤー塗膜100質量部に対する含有量が0.2質量部未満の場合には、金属膜の鏡面反射効果が小さい。逆に金属膜のクリヤー塗膜100質量部に対する含有量が10質量部を超える場合には、クリヤー塗膜の透明性を阻害してしまうおそれがある。
前記金属膜の形状は任意に設定することができる。例えば、矩形、長方形、円形、ひも状、繊維状、リボン状、星形、人形、動物形等が挙げられる。また、膜とは表現しないが、球形、四面体、六面体等の立体形状とすることも可能である。
以上のように構成された塗装物は、例えば以下のようにして形成される。基材としてのコンクリート表面に不透明な下塗り塗膜としてのアクリル樹脂エマルジョン塗料をウールローラーによって厚さ150μmで塗装し、自然条件で24時間乾燥させる。その後、クリヤー塗膜としてのアクリルシリコーン共重合樹脂エマルジョン塗料をウールローラーによって厚さ100μmで塗装し、自然条件で4時間乾燥させてから、同じクリヤー塗膜としてのアクリルシリコーン共重合樹脂エマルジョン塗料を左官鏝によって厚さを200〜1500μmに変化させながら塗布して自然条件で乾燥させ、塗装物を得る。このとき得られた塗膜の断面を図2に示す。
前記不透明な下塗り塗膜としてのアクリル樹脂エマルジョン塗料及びクリヤー塗膜としてのアクリルシリコーン共重合樹脂エマルジョン塗料は自然乾燥に限らず、電熱器やヒーターなどによる強制乾燥でも良い。またウェットオンウェットやウェットオンドライ等、既知の塗装工程を用いることができる。
前記不透明な下塗り塗膜としてのアクリル樹脂エマルジョン塗料及びクリヤー塗膜としてのアクリルシリコーン共重合樹脂エマルジョン塗料の塗装器具はウールローラーや左官鏝に限らず、既知の塗装器具を用いることができる。例えば、スプレー、ロールコーター、フローコーター等の塗装機、ハケ、多孔質ローラー、櫛目鏝等が挙げられる。
前記クリヤー塗膜は2回以上に分けて塗り重ねることが好ましい。クリヤー塗膜を2回以上に分けて塗り重ねることにより、肉厚で透明感のあるクリヤー塗膜を容易に得ることができる。
本実施形態は以下に示す効果を発揮することができる。
・前記基材の表面粗さがJIS B 0601−2001に規定されている最大高さ粗さRzで50μm以下であることにより、人間の視覚にとって十分な輝きが得られる。
・前記クリヤー塗膜の厚さが300〜5000μmであることにより、クリヤー塗膜の表面に光が照射された場合に、クリヤー塗膜の表面で光の反射及び屈折が、クリヤー塗膜と基材との界面で光の反射が、また、クリヤー塗膜内部では内部反射が生じ、光に位相差が生じて光の強弱が生まれ、該光の強弱が塗膜を見る角度によって大きく変化することによって、人間の視覚には塗膜が輝くように見える。
・前記クリヤーの厚みが500〜3500μmであることにより、入射光のクリヤー塗膜の内部での反射と散乱が適度に生じ、十分な輝き感が得られるとともに、入射光が基材とクリヤー塗膜との界面に到達する前に散乱してしまうことが少ないため、基材の色を生かした透明感を得ることができる。
・前記クリヤー塗膜の最大高さ粗さRzが100μm〜6000μmあることにより、クリヤー塗膜表面の拡散反射が最適となり、ちょうど水面が光を乱反射して輝くように、人間の視覚にとっての輝き感を増すことができる。
・前記クリヤー塗膜に金属膜を含有させる場合には、クリヤー塗膜の最大高さ粗さRzが300μm〜3000μmであることにより、金属膜によって生ずる鏡面反射がクリヤー塗膜に対して入射角が大きい垂直方向からの光だけでなく、入射角の小さい水平方向からの光も反射させることができるため、特に斜めから塗装物を見たときの輝き感が増す。
・前記金属膜の平均粒子径が30〜2000μmであることにより、クリヤー塗膜は人間の視覚にとって十分な輝きが得られるとともに、水性クリヤー塗料とした場合における貯蔵安定性に優れる。
なお、本発明の前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・前記実施形態においては、金属膜をクリヤー塗料にあらかじめ混合して貯蔵したが、金属膜はクリヤー塗料の塗装直前にクリヤー塗料中に混合しても良い。
・前記実施形態においてはクリヤー塗膜は単一材料であったが、光の屈折率が異なるクリヤー塗膜を積層させても良い。
このように構成した場合、光が多重に反射・屈折してより輝きを増すことができる。
・光の屈折率が異なるクリヤー塗膜を積層させる場合には、積層させるクリヤー塗膜同士の屈折率の差は好ましくは0.01〜0.1である。この範囲にあるとき、適度に光を多重に反射・屈折してより輝きを増すことができる。積層させるクリヤー塗膜同士の屈折率の差が0.01未満の場合には、クリヤー塗膜間界面での反射が小さい。逆に積層させるクリヤー塗膜同士の屈折率の差が0.1を超える場合には、クリヤー塗膜間界面での反射が大きすぎて、輝き感が小さくなる。
次に、前記実施形態から把握される請求項に記載した発明以外の技術的思想について、それらの効果と共に記載する。
(1)前記クリヤー塗膜に金属膜を含有させる場合において、クリヤー塗膜の最大高さ粗さRzが300μm〜3000μmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の塗膜の形成方法。
このように構成した場合、金属膜によって生ずる鏡面反射がクリヤー塗膜に対して入射角が大きい垂直方向からの光だけでなく、入射角の小さい水平方向からの光も反射させることができるため、特に斜めから塗装物を見たときの輝き感を増すことができる。
以下、前記実施形態を具体化した実施例及び比較例について説明する。
試験はA4サイズの基材にクリヤー塗膜を形成させた後、目視によって試験体表面の輝き感を判断することにより行った。なお、塗膜厚さは基材の下に鉄素地を敷いて電磁膜厚計により測定した。
計算例:(クリヤー塗膜の厚さ)=(試験体の厚さ)−(基材の厚さ+下塗り塗膜の厚さ)
(実施例1)
実施例1の試験は、最大高さ粗さRzが10μmである基材としてのスレート板に不透明な下塗り塗膜としての艶有り塗料(製品名:水系ファインコートシリコン(菊水化学工業株式会社製))を塗布量120g/mで塗装し、室温で24時間乾燥した。続いてクリヤー塗膜としてのアクリル−スチレン共重合樹脂を平均乾燥厚さ320μmで塗布して試験体とした。このときのクリヤー塗膜の最大高さ粗さRzは109μmであった。
試験の結果、十分な輝き感を得ることができた。
(実施例2)
実施例2の試験は、最大高さ粗さRzが10μmである基材としてのスレート板に不透明な下塗り塗膜としての艶有り塗料(製品名:水系ファインコートシリコン(菊水化学工業株式会社製))を塗布量120g/で塗装し、室温で24時間乾燥した。続いてクリヤー塗膜としてのアクリル−スチレン共重合樹脂を平均乾燥厚さ560μmで塗布して試験体とした。このときのクリヤー塗膜の最大高さ粗さRzは120μmであった。
試験の結果、十分な輝き感を得ることができた。
(実施例3)
実施例3の試験は、最大高さ粗さRzが10μmである基材としてのスレート板に不透明な下塗り塗膜としての艶有り塗料(製品名:水系ファインコートシリコン(菊水化学工業株式会社製))を塗布量120g/で塗装し、室温で24時間乾燥した。続いてクリヤー塗膜としてのアクリル−スチレン共重合樹脂を平均乾燥厚さ810μmで塗布して試験体とした。このときのクリヤー塗膜の最大高さ粗さRzは260μmであった。
試験の結果、十分な輝き感を得ることができた。
(実施例4)
実施例4の試験は、最大高さ粗さRzが10μmである基材としてのスレート板に不透明な下塗り塗膜としての艶有り塗料(製品名:水系ファインコートシリコン(菊水化学工業株式会社製))を塗布量120g/で塗装し、室温で24時間乾燥した。続いてクリヤー塗膜としてのアクリル−スチレン共重合樹脂を平均乾燥厚さ770μmで塗布して試験体とした。このときのクリヤー塗膜の最大高さ粗さRzは460μmであった。
試験の結果、十分な輝き感を得ることができた。
(実施例5)
実施例5の試験は、最大高さ粗さRzが10μmである基材としてのスレート板に不透明な下塗り塗膜としての艶有り塗料(製品名:水系ファインコートシリコン(菊水化学工業株式会社製))を塗布量120g/で塗装し、室温で24時間乾燥した。続いてクリヤー塗膜としてのアクリル−スチレン共重合樹脂を平均乾燥厚さ840μmで塗布して試験体とした。このときのクリヤー塗膜の最大高さ粗さRzは110μmであった。
試験の結果、十分な輝き感を得ることができた。
(実施例6)
実施例6の試験は、最大高さ粗さRzが10μmである基材としてのスレート板に不透明な下塗り塗膜としての艶有り塗料(製品名:水系ファインコートシリコン(菊水化学工業株式会社製))を塗布量120g/で塗装し、室温で24時間乾燥した。続いてクリヤー塗膜としてのアクリル−スチレン共重合樹脂を平均乾燥厚さ1010μmで塗布して試験体とした。このときのクリヤー塗膜の最大高さ粗さRzは280μmであった。
試験の結果、十分な輝き感を得ることができた。
(実施例7)
実施例7の試験は、最大高さ粗さRzが10μmである基材としてのスレート板に不透明な下塗り塗膜としての艶有り塗料(製品名:水系ファインコートシリコン(菊水化学工業株式会社製))を塗布量120g/で塗装し、室温で24時間乾燥した。続いてクリヤー塗膜としてのアクリル−スチレン共重合樹脂を平均乾燥厚さ1240μmで塗布して試験体とした。このときのクリヤー塗膜の最大高さ粗さRzは610μmであった。
試験の結果、十分な輝き感を得ることができた。
(実施例8)
実施例8の試験は、最大高さ粗さRzが10μmである基材としてのスレート板に不透明な下塗り塗膜としての艶有り塗料(製品名:水系ファインコートシリコン(菊水化学工業株式会社製))を塗布量120g/で塗装し、室温で24時間乾燥した。続いてクリヤー塗膜としてのアクリル−スチレン共重合樹脂を平均乾燥厚さ1300μmで塗布して試験体とした。このときのクリヤー塗膜の最大高さ粗さRzは180μmであった。
試験の結果、十分な輝き感を得ることができた。
(実施例9)
実施例9の試験は、最大高さ粗さRzが10μmである基材としてのスレート板に不透明な下塗り塗膜としての艶有り塗料(製品名:水系ファインコートシリコン(菊水化学工業株式会社製))を塗布量120g/で塗装し、室温で24時間乾燥した。続いてクリヤー塗膜としてのアクリル−スチレン共重合樹脂を平均乾燥厚さ1510μmで塗布して試験体とした。このときのクリヤー塗膜の最大高さ粗さRzは1110μmであった。
試験の結果、十分な輝き感を得ることができた。
(実施例10)
実施例10の試験は、最大高さ粗さRzが10μmである基材としてのスレート板に不透明な下塗り塗膜としての艶有り塗料(製品名:水系ファインコートシリコン(菊水化学工業株式会社製))を塗布量120g/で塗装し、室温で24時間乾燥した。続いてクリヤー塗膜としてのアクリル−スチレン共重合樹脂を平均乾燥厚さ2060μmで塗布して試験体とした。このときのクリヤー塗膜の最大高さ粗さRzは470μmであった。
試験の結果、十分な輝き感を得ることができた。
(実施例11)
実施例11の試験は、最大高さ粗さRzが10μmである基材としてのスレート板に不透明な下塗り塗膜としての艶有り塗料(製品名:水系ファインコートシリコン(菊水化学工業株式会社製))を塗布量120g/で塗装し、室温で24時間乾燥した。続いてクリヤー塗膜としてのアクリル−スチレン共重合樹脂を平均乾燥厚さ3120μmで塗布して試験体とした。このときのクリヤー塗膜の最大高さ粗さRzは2180μmであった。
試験の結果、十分な輝き感を得ることができた。
(実施例12)
実施例12の試験は、最大高さ粗さRzが10μmである基材としてのスレート板に不透明な下塗り塗膜としての艶有り塗料(製品名:水系ファインコートシリコン(菊水化学工業株式会社製))を塗布量120g/で塗装し、室温で24時間乾燥した。続いてクリヤー塗膜としてのアクリル−スチレン共重合樹脂を平均乾燥厚さ4750μmで塗布して試験体とした。このときのクリヤー塗膜の最大高さ粗さRzは750μmであった。
試験の結果、十分な輝き感を得ることができた。
(実施例13)
実施例13の試験は、最大高さ粗さRzが5μmである基材としてのガラス板にクリヤー塗膜としてのアクリル樹脂を平均乾燥厚さ3200μmで塗布して試験体とした。このときのクリヤー塗膜の最大高さ粗さRzは320μmであった。
試験の結果、十分な輝き感を得ることができた。
(実施例14)
実施例14の試験は、図5に示すように、最大高さ粗さRzが5μmである基材としてのガラス板にクリヤー塗膜としてのアクリル樹脂を平均乾燥厚さ2400μmで塗布して試験体とした。このときのクリヤー塗膜の最大高さ粗さRzは5200μmであった。
試験の結果、十分な輝き感を得ることができた。
(実施例15)
実施例15の試験は、最大高さ粗さRzが5μmである基材としてのガラス板にクリヤー塗膜としてのアクリル樹脂を平均乾燥厚さ2200μmで塗布して試験体とした。このときのクリヤー塗膜の最大高さ粗さRzは1240μmであった。
試験の結果、十分な輝き感を得ることができた。
(実施例16)
実施例16の試験は、最大高さ粗さRzが25μmである基材としてのコンクリート板にクリヤー塗膜としてのシリコーン樹脂を平均乾燥厚さ400μmで塗布して試験体とした。このときのクリヤー塗膜の最大高さ粗さRzは140μmであった。
試験の結果、十分な輝き感を得ることができた。
(実施例17)
実施例17の試験は、最大高さ粗さRzが25μmである基材としてのコンクリート板に金属膜としてのアルミニウム蒸着ポリエチレンを含有したクリヤー塗膜としてのアクリル−シリコーン共重合樹脂を平均乾燥厚さ380μmで塗布して試験体とした。このときのクリヤー塗膜の最大高さ粗さRzは110μmであった。
試験の結果、十分な輝き感を得ることができた。
(比較例1)
比較例1の試験は、最大高さ粗さRzが5μmである基材としてのガラス板にクリヤー塗膜としてのアクリル樹脂を平均乾燥厚さ100μmで塗布して試験体とした。このときのクリヤー塗膜の最大高さ粗さRzは20μmであった。
試験の結果、十分な輝き感を得ることはできなかった。
(比較例2)
比較例2の試験は、最大高さ粗さRzが25μmである基材としてのコンクリート板にクリヤー塗膜としてのアクリル−シリコーン共重合樹脂を平均乾燥厚さ380μmで塗布して試験体とした。このときのクリヤー塗膜の最大高さ粗さRzは40μmであった。
試験の結果、十分な輝き感を得ることはできなかった。
(比較例3)
比較例3の試験は、最大高さ粗さRzが5μmである基材としてのガラス板にクリヤー塗膜としてのアクリル樹脂を平均乾燥厚さ5000μmで塗布して試験体とした。このときのクリヤー塗膜の最大高さ粗さRzは3800μmであった。
試験の結果、十分な輝き感を得ることはできなかった。
(比較例4)
比較例4の試験は、最大高さ粗さRzが5μmである基材としてのガラス板にクリヤー塗膜としてのアクリル樹脂を平均乾燥厚さ5200μmで塗布して試験体とした。このときのクリヤー塗膜の最大高さ粗さRzは800μmであった。
試験の結果、十分な輝き感を得ることはできなかった。
(比較例5)
比較例5の試験は、最大高さ粗さRzが60μmである基材としてのコンクリート板にクリヤー塗膜としてのアクリル樹脂を平均乾燥厚さ350μmで塗布して試験体とした。このときのクリヤー塗膜の最大高さ粗さRzは200μmであった。
試験の結果、十分な輝き感を得ることはできなかった。
本発明の塗膜構造に光が照射された場合の模式断面図である。 本発明のクリヤー塗膜の状態を示した模式断面図である。 本発明のクリヤー塗膜の状態を示した模式断面図である。 本発明のクリヤー塗膜の状態を示した模式断面図である。 本発明のクリヤー塗膜の状態を示した模式断面図である。(実施例14)
符号の説明
1 基材
2 クリヤー塗膜
3 入射光
4 鏡面反射光
5 内部反射光
6 クリヤー塗膜と基材との界面における反射光

Claims (3)

  1. 表面粗さをJIS B 0601−2001に規定されている最大高さ粗さRzとして表した時、Rzが50μm以下である基材に対して、平均厚さ300μm〜5000μmのクリヤー塗膜を積層させる塗膜の形成方法であって、該クリヤー塗膜の表面粗さがRzで100μm〜3000μmの範囲内にあることを特徴とする塗膜の形成方法。
  2. 前記基材表面には不透明な下塗り塗膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の塗膜の形成方法。
  3. 不透明な下塗り塗膜が形成されたRzが50μm以下である基材、および、基材透明なクリヤー塗膜が厚さ300μm〜5000μm、かつ、Rzで100μm〜3000μmの範囲内に形成されていることを特徴とする塗装物。
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