JP2008187404A - 画像読取り装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】シートスルー方式であって、搬送される原稿の画像を読取るための読取りガラスに付着あるいは残存した異物をより確実に排除でき、読取り画像に筋状のノイズが生じる不具合を防止できる画像読取り装置を提供する。
【解決手段】読取り前ローラ対25は、読取り位置Aを通過するように原稿Pを送り出す。読取りガラス36は、読取り位置Aを搬送される原稿Pの下に設けられる。段差シート37のエッジ部である段差部Cは、読取り位置Aよりも上流側に設けられ、かつ、読取りガラス36の前記原稿P側の面よりも高い面を形成するように設けられる。原稿Pの先端及び後端が読取り位置Aを通過するときには、原稿Pの中央部分が読取り位置Aを通過するときよりも、段差部Cは、読取りガラス36に対して上流側に移動させられる。
【選択図】図9

Description

本発明は、画像読取り装置に関し、より特定的には、複写機やスキャナ等において画像入力装置として用いられるシートスルー方式の画像読取り装置に関する。
従来、原稿の画像を光学的に読取る画像読取り装置としては、プラテンガラス上に載置した原稿の画像を読取るプラテンセット方式と、原稿を1枚ずつ搬送し、搬送途中において原稿の画像を読取るシートスルー方式が、それぞれ単独であるいは併用されていた。シートスルー方式は、小型化、低コスト、低騒音、画像読取りの高速化、ひいてはプリントの高生産性に利点を有し、モノクロ複写機、カラー複写機とも画像読取り装置の主流となっている。
シートスルー方式の場合、画像読取り位置は透明部材(長尺状の読取りガラス)上に固定され、読取りガラスを介して搬送される原稿の画像面に読取り光学系の焦点を合わせる構成のため、読取りガラス上に付着したゴミなどの異物の影響を受けやすく、異物により遮光された部分は読取り画像において筋状の画像ノイズとなる。
透明部材に付着する異物は、主に、原稿に貼着したテープの粘着物や糊の剥がれ、修正液、ボールペンのインク塊、消しゴム屑などの粘着性異物で、原稿が読取りガラスを摺擦する部分に転写されやすい。また、このような粘着性異物は容易に剥離せず、画像ノイズとなる問題点を有していた。また、搬送される原稿から飛散する紙粉や大気中の埃などの浮遊性異物が読取りガラス上に滞留して画像ノイズとなる問題点も有していた。シートスルー方式では、原稿をローラなどで挟持してガイド板に接触させつつ搬送するために、紙などが主体の原稿にストレスが作用し、原稿面からの紙粉の落下は避けられない。
そこで、特許文献1には、読取りガラスの読取り位置よりも上流側に段差を設けると共に読取りガラスの読取り位置よりも下流側に原稿を上昇させる上昇部材を設けて、読取りガラスの読取り位置に対応する部分を原稿の先端部に摺接させる原稿送り装置が開示されている。該原稿送り装置では、読取りガラスの読取り位置に対応する部分に原稿の先端部を摺接させることにより、読取りガラス上の異物を取り除いていた。
しかしながら、前記原稿送り装置では、読取りガラス上の異物を十分に取り除くことができないという問題がある。より詳細には、段差と読取りガラスとの境界部分には、原稿の先端部が回りこみにくいため、この境界部分に異物が溜まりやすくなっていた。特に、原稿が上方向にカールしている場合には、段差と読取りガラスとの境界部分に、原稿の先端部分が回りこみにくく、異物の除去が困難であった。
特開2002−314753号公報
そこで、本発明の目的は、シートスルー方式であって、搬送される原稿の画像を読取るための読取りガラスに付着あるいは残存した異物をより確実に排除でき、読取り画像に筋状のノイズが生じる不具合を防止できる画像読取り装置を提供することにある。
本発明は、読取り位置を通過するように原稿を送り出す原稿搬送手段と、前記読取り位置を搬送される原稿の画像を光学的に読取る読取り手段と、前記読取り位置を搬送される原稿と前記読取り手段との間に配置された透明部材と、前記読取り位置よりも前記原稿の搬送方向の上流側に設けられ、かつ、前記透明部材の主面よりも高い面を形成するように設けられた段差部と、前記原稿の先端及び/又は後端が前記読取り位置を通過するときには、該原稿の中央部分が該読取り位置を通過するときよりも、前記段差部が前記透明部材に対して相対的に前記搬送方向の上流側に移動した位置となるように、該段差部と該透明部材との位置関係を変化させる移動手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、原稿の先端及び後端が透明部材上を通過する際には、段差部が透明部材に対して相対的に搬送方向の上流側に移動するように、該段差部と該透明部材との位置関係を変化させている。そのため、原稿の先端及び/又は後端は、段差部により持ち上げられることがなくなり、透明部材に接触しやすくなる。原稿の先端及び後端以外の部分には異物が比較的多く付着しているのに対して、原稿の先端及び後端には異物があまり付着していないので、原稿の先端及び/又は後端を透明部材に接触させることにより、透明部材を清掃することができる。
更に、原稿の先端及び後端が透明部材上を通過する際に、段差部が透明部材に対して相対的に搬送方向の上流側に移動しているので、段差部と透明部材との境界部分に原稿の先端及び後端が接触しやすくなる。段差部と透明部材との境界部分には異物が溜まりやすいので、かかる部分に溜まった異物を原稿の先端及び後端により掻き出すことにより、透明部材をより清浄な状態にできる。
本発明において、前記移動手段は、前記段差部を前記搬送方向に沿って往復移動させる段差部移動手段を含んでいてもよい。更に、第1の発明において、前記段差部よりも前記搬送方向の上流側に設けられ、前記原稿の有無を検出する原稿検出手段、を更に備え、前記段差部移動手段は、前記原稿検出手段が前記原稿の先端を検出したことに応じて、前記段差部を前記搬送方向の上流側へ移動させるようにしてもよい。
本発明において、前記読取り位置を前記原稿の先端が通過するときの前記段差部の位置を退避位置とし、前記原稿検出手段の検出位置から前記読取り位置までの該原稿の搬送経路長をZとし、該退避位置から該読取り位置までの距離をLとし、該原稿の搬送速度をSとし、該原稿検出手段が該原稿の先端を検出してから該段差部が該退避位置に移動するまでにかかる時間をTとしたときに、T≦(Z−L)/Sの関係が成立するようにしてもよい。この関係が成立することにより、原稿の先端が読取り位置に到達するときには、段差部の退避位置への移動が完了していることになる。その結果、原稿の先端が透明部材に接触しやすくなる。
本発明において、前記段差部よりも前記搬送方向の上流側に設けられ、前記原稿の有無を検出する原稿検出手段、を更に備え、前記段差部移動手段は、前記原稿検出手段が前記原稿の後端を検出したことに応じて、前記段差部を前記搬送方向の上流側へ移動させるようにしてもよい。
本発明において、前記読取り位置を前記原稿の後端が通過するときの前記段差部の位置を退避位置とし、前記原稿検出手段の検出位置から前記読取り位置までの該原稿の搬送経路長をZとし、該退避位置から該読取り位置までの距離をLとし、該原稿の搬送速度をSとし、該原稿検出手段が該原稿の後端を検出してから該段差部が該退避位置に移動するまでにかかる時間をT'としたときに、T'≦(Z−L)/Sの関係が成立するようにしてもよい。この関係が成立することにより、原稿の後端が読取り位置に到達するときには、段差部の退避位置への移動が完了していることになる。その結果、原稿の後端が透明部材に接触しやすくなる。
本発明において、前記移動手段は、前記透明部材を前記搬送方向に沿って往復移動させる透明部材移動手段を含んでいてもよい。
本発明において、前記段差部よりも前記搬送方向の上流側に設けられ、前記原稿の有無を検出する原稿検出手段、を更に備え、前記透明部材移動手段は、前記原稿検出手段が前記原稿の後端を検出したことに応じて、前記透明部材を前記搬送方向の下流側へ移動させるようにしてもよい。段差部と透明部材との境界に溜まっていた異物が透明部材と共に下流側に移動するので、原稿の後端によりこの異物が掻き取られるようになる。
以下、本発明に係る画像読取り装置の実施形態について添付図面を参照して説明する。
(画像読取り装置の全体構成)
図1は、本発明の一実施形態である画像読取り装置1の構成図である。この画像読取り装置1は、読取り位置Aを通過するように原稿Pを送り出す原稿搬送手段としての原稿搬送部2と、読取り位置Aを搬送される原稿Pの画像を光学的に読取る読取り手段を含んだ画像読取り部3とからなる。そして、画像読取り装置1は、手置きガラス39上に載置された原稿Pの画像を読取るプラテンセット方式と、原稿搬送部2にて搬送される原稿Pの画像を読取るシートスルー方式との2種類の画像読取り方式を実行できる。なお、本実施形態では、シートスルー方式により画像読取りが行われるので、プラテンセット方式についての説明を省略する。以下では、説明の簡略のため、「原稿Pの搬送方向」を単に「搬送方向」と表記し、「原稿Pの搬送方向の上流側」を単に「上流側」と表記し、「原稿Pの搬送方向の下流側」を単に「下流側」と表記する。
原稿搬送部2は、給紙トレイ20、ピックアップローラ21、さばきローラ22、給紙ローラ23、レジストローラ対24、読取り前ローラ対25、読取り前センサ26、読取り後ローラ対27、排紙ローラ対28及び排紙トレイ29を備える。一方、画像読取り部3は、露光ランプ30、第1ミラー31、第2ミラー32、第3ミラー33、結像レンズ34、CCD35、読取りガラス36、段差シート37、すくい上げガイド38及び手置きガラス39を備える。
まず、原稿搬送部2の構成について説明する。給紙トレイ20には、複数枚の原稿Pが載置される。ピックアップローラ21は、複数枚の原稿Pの一部をピックアップする。さばきローラ22及び給紙ローラ23は、ピックアップローラ21により複数枚の原稿Pがピックアップされた場合には1枚ずつにさばいて搬送する。レジストローラ対24は、1枚ずつにさばかれて搬送されてきた原稿Pの傾きを補正して、読取り前ローラ対25に搬送する。読取り前ローラ対25は、読取りガラス36上に原稿Pを搬送する。読取り前センサ26は、読取り前ローラ対25を通過してきた原稿Pの有無を検出する。読取り後ローラ対27は、読取りガラス36上を通過した原稿Pを排紙ローラ対28へと搬送する。排紙ローラ対28は、読取り後ローラ対27から搬送されてきた原稿Pを排紙トレイ29に排出する。
次に、画像読取り部3の構成について説明する。露光ランプ30、第1ミラー31、第2ミラー32、第3ミラー33、結像レンズ34及びCCD35は、読取り位置Aを搬送される原稿Pの画像を光学的に読取る読取り手段としての役割を果たす。具体的には、露光ランプ30は、読取り位置Aに対して光を照射する役割を果たし、例えば、蛍光灯により実現される。第1ミラー31、第2ミラー32及び第3ミラー33は、読取り位置Aに送られてきた原稿Pで反射した光を結像レンズ34へと導く役割を果たす。具体的には、第1ミラー31は、読取り位置Aに送られてきた原稿面で反射した光を図1の左方向へと反射する。第2ミラー32は、第1ミラー31が反射した光を図1の下方向へと反射する。第3ミラー33は、第2ミラー32が反射した光を図1の右方向へと反射する。
結像レンズ34は、第1ミラー31、第2ミラー32及び第3ミラー33により反射されてきた光を、CCD35に結像する役割を果たす。CCD35は、結像レンズ34に結像された原稿像をデジタルの画像データに変換する役割を果たす。また、読取りガラス36は、読取り位置Aを搬送される原稿Pと第1ミラー31との間に配置された透明部材であり、露光ランプ30からの光を原稿P側に透過させると共に、原稿Pで反射した光を第1ミラー31へと透過させる。
ここで、読取り位置A近傍の構成について、図2を用いてより詳細に説明する。図2は、読取り位置A近傍における画像読取り装置1の構成を示した図である。
読取りガラス36の周囲には、読取りガイド51、及び、読取り位置Aを通過した原稿Pを上方向にすくい上げるためのすくい上げガイド38が配置されている。更に、搬送中の原稿Pが読取りガラス36に直接触れないようにするために、段差シート37が、読取り位置Aよりも上流側において、読取りガラス36の原稿P側の面上に段差部Cが形成されるように設けられる。これにより、段差シート37のエッジ部である段差部Cは、読取り位置Aよりも上流側に設けられると共に、読取りガラス36の原稿P側の面よりも高い面(段差シート37の上面)を形成するようになる。この段差シート37は、厚さ(段差)が0.65mmで、超高分子量ポリエチレンなどの摺動抵抗の低い(好ましくは摩擦係数μ0.3以下)材料から形成され、読取りガラス36の表面に接触した状態で配置されている。
この画像読取り装置1において、読取り前ローラ対25及び読取り後ローラ対27によって段差シート37の上面を滑りながら右方向へ搬送される原稿Pは、段差シート37の厚みによって読取り位置Aを所定の高さを有して読取りガラス36とは非接触状態で搬送され、原稿画像が読取りガラス36を通して読取り手段により読取られる。原稿面と読取りガラス36との間には隙間が存在するため、修正液などの粘着性異物が読取りガラス36に付着することが防止される。
ところで、画像読取り装置1においては、原稿Pを読取りガラス36に対して非接触状態で搬送することから、原稿Pからの粘着性異物が読取りガラス36に転写されることはない。一方、原稿Pからは紙粉などの浮遊性異物が読取りガラス36の表面に落下してしまう。
そこで、画像読取り装置1では、原稿Pの先端及び/又は後端が読取り位置Aを通過するときには、該原稿Pの中央部分が該読取り位置Aを通過するときよりも、段差部Cが読取りガラス36に対して相対的に上流側に移動した位置となるように、該段差部Cと該読取りガラス36との位置関係を変化させる移動手段を備えている。このように、段差部Cと読取りガラス36との位置関係を、原稿Pの位置に応じて変化させることにより、読取りガラス36に原稿Pの先端又は後端が接触しやすくなり、紙粉などの浮遊性異物が取り除かれるようになる。
(移動手段について)
以下に、移動手段の構成について図面を参照しながら説明する。移動手段は、段差部C(段差シート37)を搬送方向に移動させる段差部移動手段と、読取りガラス36を搬送方向に移動させる透明部材移動手段とを含む。更に、移動手段は、段差シート37と読取りガラス36とがなす角度を変化させる角度変更手段も含む。
まず、図3及び図4を用いて、段差部移動手段について説明する。図3は、段差部移動手段及び角度変更手段の分解斜視図である。図4は、段差部移動手段及び角度変更手段の動作の様子を示した図である。段差部移動手段は、段差シート取付け板52、ラック取付け板53、モータ54、ギア55,56,57,57'、ラック58,58'、遮光部59及び遮光部検出センサ60を備える。
段差シート取付け板52は、例えば金属により作製されている。段差シート取付け板52の下流側の端部には段差シート37が下流側にはみ出すように取り付けられる。更に、段差シート37が取り付けられた両端には、蝶番が設けられており、ラック取付け板53が該蝶番を介して取り付けられている。これにより、段差シート取付け板52は、ラック取付け板53に対して、揺動可能に支持される。そして、段差シート取付け板52が揺動することにより、段差シート37も揺動するようになる。更に、ラック取付け板53は、ラック58,58'に螺子により取り付けられる。
モータ54は、例えば、ステッピングモータである。モータ54には、ギア55が取り付けられている。ギア56,57は、モータ54の駆動力を伝達する役割を果たす。ギア57'は、ギア57とシャフトを介して連結されている。更に、ラック58,58'とギア57,57'とがそれぞれ噛み合っている。これにより、モータ54が回転すると、ラック58,58'が搬送方向に移動し、ラック取付け板53、段差シート取付け板52及び段差シート37が搬送方向に移動する。具体的には、図4(a)に示す状態において、モータ54が反時計回りに回転すると、ギア57'が反時計回りに回転し、図4(b)に示すように、ラック58'、ラック取付け板53、段差シート取付け板52及び段差シート37が、上流側へと移動する。なお、以下では、図4(a)のように、段差部Cが読取り位置Aに相対的に近い位置にあるときの該段差部Cの位置を初期位置Dと称す。また、図4(b)のように、段差部Cが初期位置Dよりも上流側にあるときの該段差部Cの位置を退避位置Eと称す。
また、図3に示すように、ラック58'の下流側の端部から該下流側に延在するように、遮光部59が設けられている。そして、遮光部59の近傍には、該遮光部59の有無を検出する遮光部検出センサ60が設けられている。遮光部検出センサ60は、遮光部59の有無を検出することにより、段差部Cが初期位置Dにあるか退避位置Eにあるかを検出する。そのため、遮光部検出センサ60は、段差部Cが初期位置Dにあるときに、該遮光部59によりその受光部が遮光されると共に、段差部Cが退避位置Eにあるときに、該遮光部59によりその受光部が遮光されないように配置される。なお、遮光部検出センサ60は、受光部が遮光されているときに検出信号を出力する。
次に、角度変更手段について図3及び図4を参照しながら説明する。角度変更手段は、モータ61、ギア62,63、カム64,64'、遮光部65及び遮光部検出センサ66を備える。
モータ61は、例えば、ステッピングモータである。モータ61には、ギア62が取り付けられている。ギア63は、ギア62に噛み合って、モータ61の駆動力を伝達する役割を果たす。カム64は、ギア63に連結されている。更に、カム64'は、カム64とシャフトを介して連結されている。すなわち、ギア63が回転すると、カム64,64'も回転するようになる。これにより、図4(a)のように、段差シート取付け板52にカム64'の小径部分が接触している状態において、モータ61が反時計回りに回転すると、カム64'が時計回りに回転し、図4(c)に示すように、該カム64'の大径部分が段差シート取付け板52を押し上げるようになる。その結果、段差シート37は、下流側の端部が読取りガラス36に接触しつつ、水平な状態から傾いた状態へと変化する。なお、以下では、図4(a)の状態において読取りガラス36と段差シート37とがなす角度を初期角度θ'(本実施形態では0°)とし、図4(c)の状態において読取りガラス36と段差シート37とがなす角度を傾斜角度θと称す。なお、初期角度θ'と傾斜角度θとの間には、θ'<θの関係が成立する。
また、図3に示すように、カム64'の側面から突出するように、円弧状の遮光部65が設けられている。そして、遮光部65の近傍には、該遮光部65の有無を検出する遮光部検出センサ66が設けられている。遮光部検出センサ66は、遮光部65の有無を検出することにより、読取りガラス36と段差シート37とが初期角度θ'をなしているか傾斜角度θをなしているかを検出する。そのため、遮光部検出センサ66は、読取りガラス36と段差シート37とが初期角度θ'をなしているときに、該遮光部65によりその受光部が遮光されると共に、読取りガラス36と段差シート37とが傾斜角度θをなしているときに、該遮光部65によりその受光部が遮光されないように配置される。なお、遮光部検出センサ66は、受光部が遮光されているときに検出信号を出力する。
次に、透明部材移動手段について図5及び図6を参照しながら説明する。図5は、透明部材移動手段の分解斜視図である。図6は、透明部材移動手段の動作を示した図である。透明部材移動手段は、読取りガラス取付け板71、ホルダ72,72'、モータ73、ギア74,75,76,76'、ラック77,77'、遮光部78及び遮光部検出センサ79を備える。
読取りガラス取付け板71は、例えば金属により作製され、その主面上に読取りガラス36が載置される。読取りガラス取付け板71上に載置された読取りガラス36の両端はそれぞれ、ホルダ72,72'により読取りガラス取付け板71に固定される。更に、すくい上げガイド38が、読取りガラス36よりも下流側に位置するように読取りガラス取付け板71に取り付けられる。更に、読取りガラス取付け板71は、ラック77,77'に螺子により取り付けられる。
モータ73は、例えば、ステッピングモータである。モータ73には、ギア74が取り付けられている。ギア75,76は、モータ73の駆動力を伝達する役割を果たす。ギア76'は、ギア76とシャフトを介して連結されている。更に、ラック77,77'とギア76,76'とがそれぞれ噛み合っている。これにより、モータ73が回転すると、ラック77,77'が搬送方向に移動して、読取りガラス取付け板71及び読取りガラス36が搬送方向に移動する。具体的には、図6(a)に示す状態において、モータ73が時計回りに回転すると、ギア76'が時計回りに回転し、図6(b)に示すように、ラック77'、読取りガラス取付け板71及び読取りガラス36が、下流側へと移動する。なお、以下では、図6(a)のように、読取りガラス36の下流側の端部が相対的に上流側にあるときの該読取りガラス36の下流側の端部の位置を初期位置Fと称す。また、図6(b)のように、読取りガラス36の下流側の端部が相対的に下流側にあるときの該読取りガラス36の下流側の端部の位置を下流位置Gと称す。
また、図5に示すように、ラック77'の下流側の端部から該下流側に延在するように、遮光部78が設けられている。そして、遮光部78の近傍には、該遮光部78の有無を検出する遮光部検出センサ79が設けられている。遮光部検出センサ79は、遮光部78の有無を検出することにより、読取りガラス36の下流側の端部が初期位置Fにあるか下流位置Gにあるかを検出する。そのため、遮光部検出センサ79は、読取りガラス36の下流側の端部が初期位置Fにあるときに、該遮光部78によりその受光部が遮光されないと共に、読取りガラス36の下流側の端部が下流位置Gにあるときに、該遮光部78によりその受光部が遮光されるように配置される。なお、遮光部検出センサ79は、受光部が遮光されているときに検出信号を出力する。
(画像読取り装置の動作について)
以上のように構成された画像読取り装置1の動作について図面を参照しながら説明する。図7は、画像読取り装置1のブロック図である。図8は、制御部100が行う動作を示したフローチャートである。図9は、画像読取り装置1の動作を示した図である。
図7に示すように、画像読取り装置1の制御部100には、ピックアップローラ21、さばきローラ22及び給紙ローラ23からなる給紙部101と、レジストローラ対24、読取り前ローラ対25、読取り後ローラ対27及び排紙ローラ対28からなる搬送部102と、読取り前センサ26と、CCD35と、モータ54,61,73と、遮光部検出センサ60,66,79とが接続されている。制御部100は、例えば、CPUにより実現され、画像読取り装置1全体の制御を行う。以下、図8を参照しながら、画像読取り装置1の動作について説明する。
まず、制御部100は、ユーザからの原稿Pの読取り開始の指示を受けて、給紙部101を駆動させる(ステップS1)。具体的には、制御部100は、給紙トレイ20に載置された原稿Pを、ピックアップローラ21、さばきローラ22及び給紙ローラ23に1枚ずつ給紙させる。
原稿Pの給紙が開始されると、制御部100は、搬送部102を駆動させる(ステップS2)。具体的には、制御部100は、レジストローラ対24、読取り前ローラ対25、読取り後ローラ対27及び排紙ローラ対28の回転を開始させて、原稿Pを搬送させる。このとき、図9(a)に示すように、段差部Cは、初期位置Dに位置している。そのため、遮光部検出センサ60の受光部は、遮光部59により遮光された状態であり、遮光部検出センサ60から制御部100へ検出信号が出力されている状態である。
原稿Pの搬送が開始されると、制御部100は、読取り前センサ26が原稿Pの先端を検出したか否かを判定しながら待機する(ステップS3)。読取り前センサ26が原稿Pの先端を検出しない場合には、本処理はステップS3を繰り返す。読取り前センサ26が原稿Pの先端を検出した場合には、本処理はステップS4に進む。
原稿Pの先端が検出された場合には、制御部100は、モータ54を駆動して、上流側の退避位置Eに段差部Cを移動させる(ステップS4)。具体的には、制御部100は、遮光部検出センサ60の受光部の遮光部59による遮光が解かれて、該遮光部検出センサ60から検出信号が出力されてこなくなるまでモータ54を駆動させる。これにより、図9(b)に示すように、段差部Cは、初期位置Dから退避位置Eへと移動する。段差部Cが退避位置Eに移動することにより、原稿Pの先端が段差部Cに接触せずに読取りガラス36の主面に直接に接触するようになる。原稿Pの先端には、テープの粘着物等の異物が殆ど付着していないので、原稿Pの先端が、読取りガラス36上を通過することにより異物を掻き取っていく。
次に、制御部100は、原稿Pの先端が検出されてから所定時間が経過したか否かを判定しながら待機する(ステップS5)。この所定時間は、原稿Pの先端が検出されてから、原稿Pの先端が読取り位置Aに到達するまでの時間に設定されることが好ましい。所定時間が経過していない場合には、ステップS5が繰り返される。所定時間が経過している場合には、本処理はステップS6に進む。
所定時間が経過している場合には、制御部100は、モータ54を駆動して、下流側の初期位置Dに段差部Cを移動させる(ステップS6)。具体的には、制御部100は、遮光部検出センサ60の受光部が遮光部59によって遮光されて、該遮光部検出センサ60から検出信号が出力されてくるようになるまでモータ54を駆動させる。これにより、図9(c)に示すように、段差部Cは、退避位置Eから初期位置Dへと移動する。原稿Pの先端が読取り位置Aを通過した後に、段差部Cを初期位置Dへと移動させることにより、原稿Pが段差部Cに持ち上げられて、原稿Pの先端及び後端以外の部分(例えば、原稿Pの中央部)が読取りガラス36に接触することが防止される。
次に、制御部100は、読取り前センサ26が原稿Pの後端を検出したか否かを判定しながら待機する(ステップS7)。読取り前センサ26が原稿Pの後端を検出しない場合には、本処理はステップS7を繰り返す。読取り前センサ26が原稿Pの後端を検出した場合には、本処理はステップS8に進む。
原稿Pの後端が検出された場合、制御部100は、モータ54を駆動して、上流側の退避位置Eに段差部Cを移動させる(ステップS8)。具体的には、制御部100は、遮光部検出センサ60の受光部の遮光部59による遮光が解かれて、該遮光部検出センサ60から検出信号が出力されてこなくなるまでモータ54を駆動させる。これにより、図9(d)に示すように、段差部Cは、初期位置Dから退避位置Eへと移動する。段差部Cが退避位置Eに移動することにより、原稿Pの後端が段差部Cに接触せずに読取りガラス36の主面に直接に接触するようになる。原稿Pの後端には、テープの粘着物等の異物が殆ど付着していないので、原稿Pの後端が、読取りガラス36上の異物を掻き取っていく。
最後に、制御部100は、原稿Pの搬送が完了したか否かの判定を繰り返しながら待機する(ステップS9)。原稿Pの搬送が完了した場合、本処理は終了する。
以上のように、本実施形態に係る画像読取り装置1によれば、原稿Pの先端及び後端が読取りガラス36上を通過する際には、原稿Pの先端及び後端が読取りガラス36に接触しやすくなるように、段差部Cを退避させると共に、原稿Pの先端及び後端以外の部分が読取りガラス36上を通過する際には、原稿Pの先端及び後端以外の部分が読取りガラス36に接触しにくくなるように、段差部Cを読取り位置Aに近づけている。原稿Pの先端及び後端以外の部分には異物が比較的多く付着しているのに対して、原稿Pの先端及び後端には異物があまり付着していない。そのため、前記のように段差部Cを移動させることにより、読取りガラス36に異物が付着することを防止できると共に、原稿Pの先端又は後端により読取りガラス36を清掃することができる。
更に、原稿Pの先端及び後端が読取りガラス36上を通過する際に、段差部Cが退避位置Eへと移動しているので、段差部Cと読取りガラス36との境界部分に原稿Pの先端及び後端が接触しやすくなる。段差部Cと読取りガラス36との境界部分には異物が溜まりやすいので、かかる部分を原稿Pの先端及び後端により掻き出すことにより、読取りガラス36を清浄な状態にできる。
ところで、本実施形態に係る画像読取り装置1において、図9(b)に示すように、読取り前センサ26の原稿Pを検出する位置から読取り位置Aまでの原稿Pの搬送経路長をZとし、退避位置Eから読取り位置Aまでの距離をLとし、原稿Pの搬送速度をSとし、読取り前センサ26が原稿Pの先端を検出してから段差部Cが退避位置Eに移動するまでにかかる時間をTとしたときに、T≦(Z−L)/Sの関係が成立することが好ましい。この関係が成立することにより、原稿Pの先端が読取り位置Aに到達するときには、段差部Cの退避位置Eへの移動が完了していることになる。その結果、原稿Pの先端が読取りガラス36に接触しやすくなる。
更に、本実施形態に係る画像読取り装置1において、読取り前センサ26が原稿Pの後端を検出してから段差部Cが退避位置Eに移動するまでにかかる時間をT'としたときに、T'≦(Z−L)/Sの関係が成立することが好ましい。この関係が成立することにより、原稿Pの後端が読取り位置Aに到達するときには、段差部Cの退避位置Eへの移動が完了していることになる。その結果、原稿Pの後端が読取りガラス36に接触しやすくなる。
なお、原稿Pの先端が読取り前センサ26の読取り位置を通過してから、原稿Pの後端が該読取り位置を通過するまでの間のみ、段差部Cが、初期位置Dに位置するようにしてもよい。
(その他の制御例)
前記実施形態に係る画像読取り装置1では、段差部Cを移動させるものとしているが、段差部Cの移動に代え、読取りガラス36を移動させるようにしてもよい。図10は、その他の制御例における読取り位置A近傍の構成図である。
図10(a)に示すように、原稿Pの後端以外の部分が読取り位置Aを通過しているときには、読取りガラス36の下流側の端部を初期位置Fに位置させる。そして、読取り前センサ26が原稿Pの後端を検出したら、図10(b)に示すように、制御部100はモータ73を駆動して、読取りガラス36を下流側へと移動させて、該読取りガラス36の端部を下流位置Gに位置させる。これにより、段差部Cと読取りガラス36との境界に溜まっていた異物が読取りガラス36と共に下流側に移動して、原稿Pの後端により掻き取られるようになる。
なお、画像読取り装置1は、図9に示す動作と図10に示す動作を組み合わせて行うことも可能である。
本発明の一実施形態である画像読取り装置の構成図である。 読取り位置近傍における画像読取り装置の構成を示した図である。 段差部移動手段及び角度変更手段の分解斜視図である。 段差部移動手段及び角度変更手段の動作の様子を示した図である。 透明部材移動手段の分解斜視図である。 透明部材移動手段の動作を示した図である。 画像読取り装置のブロック図である。 制御部が行う動作を示したフローチャートである。 画像読取り装置の動作を示した図である。 その他の制御例における画像読取り装置の動作を示した図である。
符号の説明
1 画像読取り装置
2 原稿搬送部
3 画像読取り部
25 読取り前ローラ対
26 読取り前センサ
36 読取りガラス
37 段差シート
38 すくい上げガイド
51 読取りガイド
52 段差シート取付け板
53 ラック取付け板
54,61,73 モータ
55,56,57,57',62,63,74,75,76,76' ギア
58,58',77,77' ラック
59,65,78 遮光部
60,66,79 遮光部検出センサ
64,64' カム
71 読取りガラス取付け板
100 制御部
101 給紙部
102 搬送部
A 読取り位置
C 段差部
D,F 初期位置
E 退避位置
G 下流位置
P 原稿

Claims (8)

  1. 読取り位置を通過するように原稿を送り出す原稿搬送手段と、
    前記読取り位置を搬送される原稿の画像を光学的に読取る読取り手段と、
    前記読取り位置を搬送される原稿と前記読取り手段との間に配置された透明部材と、
    前記読取り位置よりも前記原稿の搬送方向の上流側に設けられ、かつ、前記透明部材の主面よりも高い面を形成するように設けられた段差部と、
    前記原稿の先端及び/又は後端が前記読取り位置を通過するときには、該原稿の中央部分が該読取り位置を通過するときよりも、前記段差部が前記透明部材に対して相対的に前記搬送方向の上流側に移動した位置となるように、該段差部と該透明部材との位置関係を変化させる移動手段と、
    を備えることを特徴とする画像読取り装置。
  2. 前記移動手段は、
    前記段差部を前記搬送方向に沿って往復移動させる段差部移動手段を含むこと、
    を特徴とする請求項1に記載の画像読取り装置。
  3. 前記段差部よりも前記搬送方向の上流側に設けられ、前記原稿の有無を検出する原稿検出手段、
    を更に備え、
    前記段差部移動手段は、前記原稿検出手段が前記原稿の先端を検出したことに応じて、前記段差部を前記搬送方向の上流側へ移動させること、
    を特徴とする請求項2に記載の画像読取り装置。
  4. 前記読取り位置を前記原稿の先端が通過するときの前記段差部の位置を退避位置とし、前記原稿検出手段の検出位置から前記読取り位置までの該原稿の搬送経路長をZとし、該退避位置から該読取り位置までの距離をLとし、該原稿の搬送速度をSとし、該原稿検出手段が該原稿の先端を検出してから該段差部が該退避位置に移動するまでにかかる時間をTとしたときに、
    T≦(Z−L)/S
    の関係が成立すること、
    を特徴とする請求項3に記載の画像読取り装置。
  5. 前記段差部よりも前記搬送方向の上流側に設けられ、前記原稿の有無を検出する原稿検出手段、
    を更に備え、
    前記段差部移動手段は、前記原稿検出手段が前記原稿の後端を検出したことに応じて、前記段差部を前記搬送方向の上流側へ移動させること、
    を特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の画像読取り装置。
  6. 前記読取り位置を前記原稿の後端が通過するときの前記段差部の位置を退避位置とし、前記原稿検出手段の検出位置から前記読取り位置までの該原稿の搬送経路長をZとし、該退避位置から該読取り位置までの距離をLとし、該原稿の搬送速度をSとし、該原稿検出手段が該原稿の後端を検出してから該段差部が該退避位置に移動するまでにかかる時間をT'としたときに、
    T'≦(Z−L)/S
    の関係が成立すること、
    を特徴とする請求項5に記載の画像読取り装置。
  7. 前記移動手段は、
    前記透明部材を前記搬送方向に沿って往復移動させる透明部材移動手段を含むこと、
    を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の画像読取り装置。
  8. 前記段差部よりも前記搬送方向の上流側に設けられ、前記原稿の有無を検出する原稿検出手段、
    を更に備え、
    前記透明部材移動手段は、前記原稿検出手段が前記原稿の後端を検出したことに応じて、前記透明部材を前記搬送方向の下流側へ移動させること、
    を特徴とする請求項7に記載の画像読取り装置。
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