JP2008185956A - 反射防止膜および反射防止膜付き透明基材 - Google Patents
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Abstract
【課題】各層間の密着性に優れ、膜の厚みを薄くしても強度、耐薬品性に優れていると共に、帯電防止性などの電気的特性や、低反射、高透明性などの光学的特性を付与することができる反射防止膜および反射防止膜付き透明基材を提供する。
【解決手段】本実施形態の反射防止膜付き透明基材10は、透明基材1の一主面1aに、高屈折率層2、透明導電層3および低屈折率層4を順次積層してなる反射防止膜5とを備え、高屈折率層2は高屈折率無機微粒子とバインダーを主成分としてなり、バインダーはビニル基、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、イソシアネート基の群から選択される1種または2種以上の有機官能基を有し、透明導電層3は1種または2種以上の金属微粒子を含有してなることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本実施形態の反射防止膜付き透明基材10は、透明基材1の一主面1aに、高屈折率層2、透明導電層3および低屈折率層4を順次積層してなる反射防止膜5とを備え、高屈折率層2は高屈折率無機微粒子とバインダーを主成分としてなり、バインダーはビニル基、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、イソシアネート基の群から選択される1種または2種以上の有機官能基を有し、透明導電層3は1種または2種以上の金属微粒子を含有してなることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、反射防止膜および反射防止膜付き透明基材に関し、さらに詳しくは、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、ブラウン管(CRT)、プロジェクション(PJTV)などの各種画像表示装置の表示面における反射防止機能を向上させることが可能な反射防止膜および反射防止膜付き透明基材に関するものである。
従来、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、ブラウン管(CRT)、プロジェクション(PJTV)などの各種画像表示装置では、その画像表示部の表示面にて外部からの光や影像が反射することにより、画像表示部に表示される画像や、画像表示部の内部を不明瞭にするなどの問題点が指摘されている。
このような反射を防止する方法としては、例えば、スパッタリング法や蒸着法により、画像表示部を構成するポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスチック基材やガラス基材の表面に直接、反射防止機能を有する光学薄膜を設ける方法が挙げられる。
しかしながら、近年、各種画像表示装置の大型化、フラット化、低価格化に伴って、画像表示部に設けられる光学薄膜に対しても大型化、製造コストの低減などが要望されている。
そこで、大型化への対応が容易である、製造が容易である、製造コストの低減が可能であるなどの理由から、画像表示装置の画像表示部の表示面に帯電防止・反射防止膜付き透明フィルムを貼着する技術が提案されている。
そこで、大型化への対応が容易である、製造が容易である、製造コストの低減が可能であるなどの理由から、画像表示装置の画像表示部の表示面に帯電防止・反射防止膜付き透明フィルムを貼着する技術が提案されている。
このような帯電防止・反射防止膜付き透明フィルムの一例としては、透明支持体上に、無機微粒子および多官能重合性化合物(バインダー)の架橋体で構成されるハードコート層と、少なくとも1種以上の金属からなる微粒子を有する透明導電層と、この透明導電層の外層に形成され、この透明導電層の屈折率と異なる屈折率を有する少なくとも1層の透明性反射防止層と、さらに最外層に形成された防汚層とを含む構成からなり、透明導電層が、紫外重合性の多官能重合性化合物と金属粒子との混合硬化物により形成されたものが挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
また、帯電防止・反射防止膜付き透明フィルムの他の例としては、透明プラスチック基板、および、この透明プラスチック基板上に順次形成された透明導電層と透明コート層とで構成された透明2層膜を備え、透明導電層が、平均粒径1〜100nmの導電性微粒子とバインダーマトリックスを主成分とし、かつバインダーマトリックスと透明コート層が、水素基、炭素数が5以下のアルキル基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、エポキシシクロヘキシル基から選択された少なくとも1種類以上の官能基が含まれた酸化ケイ素を主成分とするものが挙げられる(例えば、特許文献2参照)。
特開2001−330702号公報
特開2002−127320号公報
また、帯電防止・反射防止膜付き透明フィルムの他の例としては、透明プラスチック基板、および、この透明プラスチック基板上に順次形成された透明導電層と透明コート層とで構成された透明2層膜を備え、透明導電層が、平均粒径1〜100nmの導電性微粒子とバインダーマトリックスを主成分とし、かつバインダーマトリックスと透明コート層が、水素基、炭素数が5以下のアルキル基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、エポキシシクロヘキシル基から選択された少なくとも1種類以上の官能基が含まれた酸化ケイ素を主成分とするものが挙げられる(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、上記の帯電防止・反射防止膜付き透明フィルムの一例では、バインダーとして紫外線硬化型樹脂を用いているため、このバインダーを主成分とした膜を厚み1μm以下に形成することが難しかった。膜の反射率は、主にその屈折率と厚みによって決まるため、膜の厚みを十分に薄くできないと、反射率を十分に下げることができないという問題があった。
また、紫外線硬化型樹脂からなる膜を複数積層すると、膜の間の密着性が低下し、耐摩耗性や耐薬品性が低下するという問題があった。そのため、膜の間の密着性を向上するために、ハードコート層を塗工した後、そのハードコート層にコロナ放電処理などの表面処理を施していた。このコロナ放電処理などの表面処理は、時間の経過とともに効果が薄れるため生産性が悪い上に、製造工程が増えるため製造コストが高くなる要因でもあった。
また、上記の帯電防止・反射防止膜付き透明フィルムの他の例では、透明導電層にバインダーが含まれていないため、この透明導電層と、透明プラスチック基板および透明コート層との密着性を上げるためには、加熱時間を長くする必要があり、生産性が悪く、膜割れが発生し易いなどの問題があった。
また、紫外線硬化型樹脂からなる膜を複数積層すると、膜の間の密着性が低下し、耐摩耗性や耐薬品性が低下するという問題があった。そのため、膜の間の密着性を向上するために、ハードコート層を塗工した後、そのハードコート層にコロナ放電処理などの表面処理を施していた。このコロナ放電処理などの表面処理は、時間の経過とともに効果が薄れるため生産性が悪い上に、製造工程が増えるため製造コストが高くなる要因でもあった。
また、上記の帯電防止・反射防止膜付き透明フィルムの他の例では、透明導電層にバインダーが含まれていないため、この透明導電層と、透明プラスチック基板および透明コート層との密着性を上げるためには、加熱時間を長くする必要があり、生産性が悪く、膜割れが発生し易いなどの問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、厚みを薄くしても各層間の密着性、強度、耐薬品性に優れ、帯電防止性などの電気的特性や低反射、高透明性などの光学的特性を付与することができる反射防止膜および反射防止膜付き透明基材を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、高屈折率層、透明導電層および低屈折率層を順次積層してなる反射防止膜において、高屈折率層、透明導電層を構成するバインダーとして、ビニル基、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、イソシアネート基の群から選択される1種または2種以上の有機官能基を有するものを用いることにより、高屈折率層と透明導電層との間および透明導電層と低屈折率層との間にシラノール基の脱水縮合反応による化学結合を生じさせて、高屈折率層と透明導電層との間および透明導電層と低屈折率層との間に十分な密着性を有することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の反射防止膜は、高屈折率層、透明導電層および低屈折率層を順次積層してなる反射防止膜であって、前記高屈折率層は高屈折率無機微粒子とバインダーを主成分としてなり、前記バインダーはビニル基、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、イソシアネート基の群から選択される1種または2種以上の有機官能基を有し、前記透明導電層は1種または2種以上の金属微粒子を含有してなることを特徴とする。
前記高屈折率無機微粒子は、酸化ジルコニウム微粒子または酸化チタン微粒子の少なくとも1種を含有することが好ましい。
前記高屈折率無機微粒子の平均粒子径は、5nm以上かつ200nm以下であることが好ましい。
前記金属微粒子は金微粒子と銀微粒子を含有し、かつ、ビニル基、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、イソシアネート基の群から選択される1種または2種以上の有機官能基を有するバインダーを含有してなることが好ましい。
前記高屈折率無機微粒子の平均粒子径は、5nm以上かつ200nm以下であることが好ましい。
前記金属微粒子は金微粒子と銀微粒子を含有し、かつ、ビニル基、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、イソシアネート基の群から選択される1種または2種以上の有機官能基を有するバインダーを含有してなることが好ましい。
前記低屈折率層は、フルオロアルキルシラン誘導体、中空シリカ粒子、多孔質シリカ粒子の群から選択される1種または2種以上を含有してなることが好ましい。
前記高屈折率層は屈折率が1.50以上かつ1.70以下、厚みが50nm以上かつ250nm以下、前記透明導電層は厚みが10nm以上かつ150nm以下、前記低屈折率層は屈折率が1.30以上かつ1.50以下、厚みが50nm以上かつ150nm以下であることが好ましい。
前記高屈折率層は屈折率が1.50以上かつ1.70以下、厚みが50nm以上かつ250nm以下、前記透明導電層は厚みが10nm以上かつ150nm以下、前記低屈折率層は屈折率が1.30以上かつ1.50以下、厚みが50nm以上かつ150nm以下であることが好ましい。
本発明の反射防止膜付き透明基材は、透明基材の一主面に、本発明の反射防止膜を備えたことを特徴とする。
本発明の反射防止膜によれば、高屈折率層、透明導電層および低屈折率層を順次積層してなる反射防止膜であって、前記高屈折率層は高屈折率無機微粒子と樹脂を主成分としてなり、前記バインダーはビニル基、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、イソシアネート基の群から選択される1種または2種以上の有機官能基を有し、前記透明導電層は1種または2種以上の金属微粒子を含有してなるので、本発明の反射防止膜を備えた反射防止膜付き透明基材は、反射防止膜の厚みを従来よりも薄くし、密着性、強度、柔軟性、屈曲性などに優れ、反射光ムラを抑制することができるとともに、画像表示装置の画像表示部の表示面に帯電防止性、導電性などの電気的特性や、光学的特性を付与することができる。
本発明の反射防止膜および反射防止膜付き透明基材の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
図1は、本実施形態の反射防止膜付き透明基材を示す概略断面図である。
本実施形態の反射防止膜付き透明基材10は、透明基材1と、この透明基材1の一主面1aに、高屈折率層2、透明導電層3および低屈折率層4を順次積層してなる反射防止膜5とから概略構成され、高屈折率層2は高屈折率無機微粒子と樹脂を主成分としてなり、樹脂はビニル基、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、イソシアネート基の群から選択される1種または2種以上の有機官能基を有し、透明導電層3は1種または2種以上の金属微粒子を含有してなるものである。
本実施形態の反射防止膜付き透明基材10は、透明基材1と、この透明基材1の一主面1aに、高屈折率層2、透明導電層3および低屈折率層4を順次積層してなる反射防止膜5とから概略構成され、高屈折率層2は高屈折率無機微粒子と樹脂を主成分としてなり、樹脂はビニル基、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、イソシアネート基の群から選択される1種または2種以上の有機官能基を有し、透明導電層3は1種または2種以上の金属微粒子を含有してなるものである。
透明基材1としては、十分な強度があり、透明であれば、特に限定されるものではないが、成膜し易さや取り扱いが容易などの点でプラスチック基材が好ましく、このプラスチック基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリアリレートフィルム、ノルボルネン系フィルム、非晶質ポリオレフィンフィルムなどの透明プラスチックフィルムあるいはこれらのシートなどが挙げられる。
また、透明基材1の厚みは特に限定されないが、通常40μm〜200μm程度の厚みから適宜選択される。
厚みが上記の範囲内の透明基材1を用いれば、反射防止膜付き透明基材10には、皺が発生し難い。また、反射防止膜付き透明基材10は画像表示装置の画像表示部に貼着される際に必要以上に伸びなくなるため、反射防止膜付き透明基材10は破断することもない。
厚みが上記の範囲内の透明基材1を用いれば、反射防止膜付き透明基材10には、皺が発生し難い。また、反射防止膜付き透明基材10は画像表示装置の画像表示部に貼着される際に必要以上に伸びなくなるため、反射防止膜付き透明基材10は破断することもない。
このような透明基材1の中でも、一軸方向の平均屈折率が1.50以上のプラスチック基材が好ましく、平均屈折率が1.48以上かつ1.70以下のプラスチック基材がより好ましい。特に、このようなプラスチック基材の中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
透明基材1の中でも、一軸方向の平均屈折率が1.50以上のプラスチック基材が好ましい理由は、屈折率が1.50未満では充分な反射防止効果が得ら難いからである。
透明基材1の中でも、一軸方向の平均屈折率が1.50以上のプラスチック基材が好ましい理由は、屈折率が1.50未満では充分な反射防止効果が得ら難いからである。
高屈折率層2は、バインダーからなるハードコート層である。このハードコート層をなすバインダーとしては、透明なものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリシロキサン樹脂などの熱硬化型樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂などの紫外線硬化型樹脂などが挙げられる。これらの樹脂の中でも、第一層2を高屈折率化するためなどの理由から、屈折率が1.55以上の高分子化合物を含有するものが好ましい。
また、この高分子化合物は、透明基材1と高屈折率層2との間にシラノール基の脱水縮合反応による化学結合を生じさせて、高温高湿下に曝しても、透明基材1と高屈折率層2との間に十分な密着性を有することができるなどの理由から、アルコキシシランの加水分解物および有機変性アルコキシシランの加水分解物の双方を含有するものが好ましい。
アルコキシシランの加水分解物または有機変性アルコキシシランの加水分解物としては、ビニル基、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、イソシアネート基の群から選択される1種または2種以上の有機官能基を有するものが挙げられる。
アルコキシシランの加水分解物または有機変性アルコキシシランの加水分解物としては、ビニル基、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、イソシアネート基の群から選択される1種または2種以上の有機官能基を有するものが挙げられる。
アルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシランなどが挙げられる。また、アルコキシシランの加水分解物の替わりに、コロイダルシリカを使用することもできる。
有機変性アルコキシシランとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、4−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
これらのアルコキシシランまたは有機変性アルコキシシランは、それぞれの加水分解物を使用してもよいし、複数のシラン化合物の共加水分解物を使用してもよい。
有機変性アルコキシシランとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、4−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
これらのアルコキシシランまたは有機変性アルコキシシランは、それぞれの加水分解物を使用してもよいし、複数のシラン化合物の共加水分解物を使用してもよい。
高屈折率層2をなす高分子化合物中における有機変性アルコキシシランの加水分解物の含有率は、硬化成分100重量部に対して、15重量部以上かつ85重量部以下であることが好ましく、25重量部以上かつ75重量部以下であることがより好ましい。
高屈折率層2をなす高分子化合物中における有機変性アルコキシシランの加水分解物の含有率は、硬化成分100重量部に対して、15重量部以上かつ85重量部以下とした理由は、有機変性アルコキシシランの加水分解物の含有率が15重量部未満では、高温高湿下に曝した場合、透明基材1と高屈折率層2との間に十分な密着性が得られない、一方、有機変性アルコキシシランの加水分解物の含有率が85重量部を超えると、被膜強度自体が弱くなるからである。
高屈折率層2をなす高分子化合物中における有機変性アルコキシシランの加水分解物の含有率は、硬化成分100重量部に対して、15重量部以上かつ85重量部以下とした理由は、有機変性アルコキシシランの加水分解物の含有率が15重量部未満では、高温高湿下に曝した場合、透明基材1と高屈折率層2との間に十分な密着性が得られない、一方、有機変性アルコキシシランの加水分解物の含有率が85重量部を超えると、被膜強度自体が弱くなるからである。
また、高屈折率層2は高屈折率化するために、高屈折率無機微粒子を含有することが好ましい。この高屈折率無機微粒子としては、例えば、着色微粒子、導電性微粒子などが挙げられる。
この高屈折率無機微粒子としては、例えば、酸化ジルコニウム微粒子、酸化チタン微粒子、酸化アルミニウム微粒子、酸化アンチモン微粒子、五酸化アンチモン微粒子、酸化インジウム微粒子などが挙げられる。
本実施形態では、高屈折率無機微粒子として、酸化ジルコニウム微粒子または酸化チタン微粒子の少なくとも1種を含有することが好ましい。高屈折率層2に所定量の酸化ジルコニウム微粒子または酸化チタン微粒子の少なくとも1種を含有させれば、高屈折率層2の屈折率を所定の屈折率の範囲内に設定することができる。
本実施形態では、高屈折率無機微粒子として、酸化ジルコニウム微粒子または酸化チタン微粒子の少なくとも1種を含有することが好ましい。高屈折率層2に所定量の酸化ジルコニウム微粒子または酸化チタン微粒子の少なくとも1種を含有させれば、高屈折率層2の屈折率を所定の屈折率の範囲内に設定することができる。
また、酸化ジルコニウム微粒子または酸化チタン微粒子の平均粒子径は、5nm以上かつ200nm以下であることが好ましく、5nm以上かつ100nm以下であることがより好ましい。
酸化ジルコニウム微粒子または酸化チタン微粒子の平均粒子径を5nm以上かつ200nm以下とした理由は、酸化ジルコニウム微粒子または酸化チタン微粒子の平均粒子径が5nm未満では、凝集が起こり、分散性が劣化する可能性が大きくなり、一方、酸化ジルコニウム微粒子または酸化チタン微粒子の平均粒子径が200nmを超えると、光散乱により第一層2が白化し、透明性が失われるからである。
酸化ジルコニウム微粒子または酸化チタン微粒子の平均粒子径を5nm以上かつ200nm以下とした理由は、酸化ジルコニウム微粒子または酸化チタン微粒子の平均粒子径が5nm未満では、凝集が起こり、分散性が劣化する可能性が大きくなり、一方、酸化ジルコニウム微粒子または酸化チタン微粒子の平均粒子径が200nmを超えると、光散乱により第一層2が白化し、透明性が失われるからである。
また、この酸化ジルコニウム微粒子または酸化チタン微粒子の高屈折率層2をなすバインダーに対する含有量は、目的とする屈折率に応じて適宜調整されるが、高屈折率層2をなすバインダー100重量部に対して、酸化ジルコニウム微粒子または酸化チタン微粒子が50重量部以上かつ300重量部以下の割合で含まれることが好ましい。高屈折率層2をなすバインダー100重量部に対する酸化ジルコニウム微粒子または酸化チタン微粒子の含有量を50重量部以上かつ300重量部以下とした理由は、酸化ジルコニウム微粒子または酸化チタン微粒子の含有量が50重量部未満では、屈折率が不十分であり、反射防止膜付き透明基材10は反射防止膜として十分に機能しないからである。一方、酸化ジルコニウム微粒子または酸化チタン微粒子の含有量が300重量部を超えると、光散乱により高屈折率層2が白化し、透明性が失われるとともに、高屈折率層2の透明基材1への密着性が劣化するからである。
高屈折率層2は、屈折率が1.50以上かつ1.70以下、厚みが50nm以上かつ250nm以下が好ましく、屈折率が1.58以上かつ1.68以下、厚みが50nm以上かつ180nm以下であることがより好ましい。
高屈折率層2は屈折率が1.50以上かつ1.70以下、厚みが50nm以上かつ250nm以下とした理由は、屈折率が1.50未満もしくは1.70を超えると反射防止効果が得られず、また、厚みが50nm未満ではスチールウール硬度、鉛筆硬度が低くなる上、均一な膜を成膜することが難しく、反射光ムラが多くなる。一方、厚みが250nmを超えると、膜のヘイズ値が上がり、透明性が損なわれる。
高屈折率層2は屈折率が1.50以上かつ1.70以下、厚みが50nm以上かつ250nm以下とした理由は、屈折率が1.50未満もしくは1.70を超えると反射防止効果が得られず、また、厚みが50nm未満ではスチールウール硬度、鉛筆硬度が低くなる上、均一な膜を成膜することが難しく、反射光ムラが多くなる。一方、厚みが250nmを超えると、膜のヘイズ値が上がり、透明性が損なわれる。
透明導電層3は、バインダーからなるハードコート層である。このハードコート層をなすバインダーとしては、透明なものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリシロキサン樹脂などの熱硬化型樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂などの紫外線硬化型樹脂などが挙げられる。これらのバインダーの中でも、透明導電層3を高屈折率化するためなどの理由から、屈折率が1.55以上の高分子化合物を含有するものが好ましい。
また、この高分子化合物は、高屈折率層2と透明導電層3との間にシラノール基の脱水縮合反応による化学結合を生じさせて、高温高湿下に曝しても、高屈折率層2と透明導電層3との間に十分な密着性を有することができるなどの理由から、アルコキシシランの加水分解物および有機変性アルコキシシランの加水分解物の双方を含有するものが好ましい。
アルコキシシランの加水分解物または有機変性アルコキシシランの加水分解物としては、ビニル基、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、イソシアネート基の群から選択される1種または2種以上の有機官能基を有するものが挙げられる。
アルコキシシランの加水分解物または有機変性アルコキシシランの加水分解物としては、ビニル基、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、イソシアネート基の群から選択される1種または2種以上の有機官能基を有するものが挙げられる。
アルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシランなどが挙げられる。また、アルコキシシランの加水分解物の替わりに、コロイダルシリカを使用することもできる。
有機変性アルコキシシランとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、4−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
これらのアルコキシシランまたは有機変性アルコキシシランは、それぞれの加水分解物を使用してもよいし、複数のシラン化合物の共加水分解物を使用してもよい。
有機変性アルコキシシランとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、4−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
これらのアルコキシシランまたは有機変性アルコキシシランは、それぞれの加水分解物を使用してもよいし、複数のシラン化合物の共加水分解物を使用してもよい。
透明導電層3をなす高分子化合物中における有機変性アルコキシシランの加水分解物の含有率は、硬化成分100重量部に対して、15重量部以上かつ85重量部以下であることが好ましく、25重量部以上かつ75重量部以下であることがより好ましい。
透明導電層3をなす高分子化合物中における有機変性アルコキシシランの加水分解物の含有率は、硬化成分100重量部に対して、15重量部以上かつ85重量部以下とした理由は、有機変性アルコキシシランの加水分解物の含有率が15重量部未満では、高温高湿下に曝した場合、高屈折率層2と透明導電層3との間に十分な密着性が得られない、一方、有機変性アルコキシシランの加水分解物の含有率が85重量部を超えると、被膜強度自体が弱くなるからである。
透明導電層3をなす高分子化合物中における有機変性アルコキシシランの加水分解物の含有率は、硬化成分100重量部に対して、15重量部以上かつ85重量部以下とした理由は、有機変性アルコキシシランの加水分解物の含有率が15重量部未満では、高温高湿下に曝した場合、高屈折率層2と透明導電層3との間に十分な密着性が得られない、一方、有機変性アルコキシシランの加水分解物の含有率が85重量部を超えると、被膜強度自体が弱くなるからである。
また、透明導電層3は、1種または2種以上の金属微粒子を含有している。この金属微粒子としては、金微粒子と銀微粒子との混合物が好ましい。
この金微粒子および銀微粒子各々の一次粒子径は3nm以上かつ30nm以下であることが好ましい。金微粒子および銀微粒子各々の一次粒子径を上記の範囲とした理由は、一次粒子径が3nm未満では、粒子内部の分子同士の結合が不安定になるために、マイグレーション、粒子融解などが発生し易くなり、膜の安定性が損なわれるからであり、一方、一次粒子径が30nmを超えると、光の散乱が生じるために、この透明導電層3自体の透明性が損なわれるからである。
例えば、これらの微粒子が透明導電層3内にて二次凝集して凝集塊の大きさが100nmを超えてしまった場合には、透明導電層3がレイリー散乱により光を著しく散乱させることにより、その結果、反射防止膜付き透明基材10自体の透明性を低下させることになる。
この金微粒子および銀微粒子各々の一次粒子径は3nm以上かつ30nm以下であることが好ましい。金微粒子および銀微粒子各々の一次粒子径を上記の範囲とした理由は、一次粒子径が3nm未満では、粒子内部の分子同士の結合が不安定になるために、マイグレーション、粒子融解などが発生し易くなり、膜の安定性が損なわれるからであり、一方、一次粒子径が30nmを超えると、光の散乱が生じるために、この透明導電層3自体の透明性が損なわれるからである。
例えば、これらの微粒子が透明導電層3内にて二次凝集して凝集塊の大きさが100nmを超えてしまった場合には、透明導電層3がレイリー散乱により光を著しく散乱させることにより、その結果、反射防止膜付き透明基材10自体の透明性を低下させることになる。
また、金微粒子と銀微粒子の重量比は、99:1〜85:15が好ましく、99:1〜93:7がより好ましい。
その理由は、これらの金微粒子と銀微粒子の重量比が上記範囲を外れると、透明導電層3の反射防止特性が低下し、その結果、反射防止膜付き透明基材10自体の反射防止特性が低下し、反射防止膜としての機能を示さなくなるからである。
その理由は、これらの金微粒子と銀微粒子の重量比が上記範囲を外れると、透明導電層3の反射防止特性が低下し、その結果、反射防止膜付き透明基材10自体の反射防止特性が低下し、反射防止膜としての機能を示さなくなるからである。
例えば、金微粒子の重量比が99を超える(銀微粒子の重量比が1未満)と、金微粒子が透明導電層3中で極めて安定的であるために、微粒子同士の接触が少なくなり、凝集体または粒子間ネットワークの形成に由来する反射率の低減効果が低下するからである。また、金微粒子の重量比が99を超える(銀微粒子の重量比が1未満)と、透明導電層3の導電性が阻害される。
また、金微粒子の重量比が85未満である(銀微粒子の重量比が15を超える)と、形成される凝集体または粒子間ネットワークの構造が反射率の低減に有効に寄与しないからであり、さらに、この金微粒子と銀微粒子のヘテロ凝集速度が速く、透明導電層3中に塊状の凝集体を発生させてしまうからである。この塊状の凝集体は、肉眼で検知可能な凝集異物の発生を招き、膜欠陥を引き起こす要因となる。
また、金微粒子の重量比が85未満である(銀微粒子の重量比が15を超える)と、形成される凝集体または粒子間ネットワークの構造が反射率の低減に有効に寄与しないからであり、さらに、この金微粒子と銀微粒子のヘテロ凝集速度が速く、透明導電層3中に塊状の凝集体を発生させてしまうからである。この塊状の凝集体は、肉眼で検知可能な凝集異物の発生を招き、膜欠陥を引き起こす要因となる。
また、この金微粒子および銀微粒子の透明導電層3をなすバインダーに対する含有量は、目的とする反射率に応じて適宜調整されるが、透明導電層3をなす樹脂100重量部に対して、金微粒子および銀微粒子が100重量部以上かつ300重量部以下の割合で含まれることが好ましい。透明導電層3をなす樹脂100重量部に対する金微粒子および銀微粒子の含有量を100重量部以上かつ300重量部以下とした理由は、金微粒子および銀微粒子の含有量が100重量部未満では、透明導電膜3に含まれる導電性金属微粒子にアルコキシシランの加水分解物および/または有機変性アルコキシシランの加水分解物が配向・吸着して導電性金属微粒子の導電性を阻害するからである。一方、金微粒子および銀微粒子の含有量が300重量部を超えると、光散乱により透明導電層3が白化し、透明性が失われるとともに、透明導電層3の高屈折率層2および低屈折率層4への密着性が劣化するからである。
透明導電層3は、厚みが10nm以上かつ150nm以下であることが好ましく、厚みが20nm以上かつ100nm以下であることがより好ましい。
透明導電層3は、厚みが10nm以上かつ150nm以下とした理由は、厚みが10nmより薄くなると、反射率が十分に低減しないからであり、強度も発現し難いからである。一方、厚みが150nmより厚くなると、透明導電層3と透明基材1との界面から反射される光の強度および位相にずれが生じ、十分な反射低減効果が得られないばかりか、着色粒子の厚みが増すことにより、許容範囲以上の透過率の低下を招く虞があるからである。
透明導電層3は、厚みが10nm以上かつ150nm以下とした理由は、厚みが10nmより薄くなると、反射率が十分に低減しないからであり、強度も発現し難いからである。一方、厚みが150nmより厚くなると、透明導電層3と透明基材1との界面から反射される光の強度および位相にずれが生じ、十分な反射低減効果が得られないばかりか、着色粒子の厚みが増すことにより、許容範囲以上の透過率の低下を招く虞があるからである。
低屈折率層4は、透明なバインダーから構成されれば、特に限定されるものではないが、例えば、このバインダーとしては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコンレジン、オルガノシロキサン、ポリシロキサンなどが挙げられる。
また、低屈折率層4は、フルオロアルキルシラン誘導体、中空シリカ粒子、多孔質シリカ粒子の群から選択される1種または2種以上を含有することが好ましい。
低屈折率層4は、フルオロアルキルシラン誘導体、中空シリカ粒子、多孔質シリカ粒子の群から選択される1種または2種以上を含有していれば、低屈折率層4をより低屈折率化することができる。
低屈折率層4は、フルオロアルキルシラン誘導体、中空シリカ粒子、多孔質シリカ粒子の群から選択される1種または2種以上を含有していれば、低屈折率層4をより低屈折率化することができる。
また、この中空シリカ粒子、多孔質シリカ粒子の平均粒子径は5nm以上かつ100nm以下であることが好ましい。
中空シリカ粒子、多孔質シリカ粒子の平均粒子径を5nm以上かつ100nm以下とした理由は、中空シリカ粒子、多孔質シリカ粒子の平均粒子径が5nm未満では、凝集が起こり、分散性が劣化する可能性が大きくなり、一方、中空シリカ粒子、多孔質シリカ粒子の平均粒子径が100nmを超えると、光散乱により低屈折率層4が白化し、透明性が失われるからである。
中空シリカ粒子、多孔質シリカ粒子の平均粒子径を5nm以上かつ100nm以下とした理由は、中空シリカ粒子、多孔質シリカ粒子の平均粒子径が5nm未満では、凝集が起こり、分散性が劣化する可能性が大きくなり、一方、中空シリカ粒子、多孔質シリカ粒子の平均粒子径が100nmを超えると、光散乱により低屈折率層4が白化し、透明性が失われるからである。
また、このフルオロアルキルシラン誘導体、中空シリカ粒子または多孔質シリカ粒子の低屈折率層4をなすバインダーに対する含有量は、目的とする屈折率に応じて適宜調整されるが、低屈折率層4をなすバインダー100重量部に対して、フルオロアルキルシラン誘導体、中空シリカ粒子または多孔質シリカ粒子が50重量部以上かつ400重量部以下の割合で含まれることが好ましい。低屈折率層4をなすバインダー100重量部に対するフルオロアルキルシラン誘導体、中空シリカ粒子または多孔質シリカ粒子の含有量を50重量部以上かつ400重量部以下とした理由は、フルオロアルキルシラン誘導体、中空シリカ粒子または多孔質シリカ粒子の含有量が50重量部未満では、低屈折率層4を十分に低屈折率化することができないからである。一方、フルオロアルキルシラン誘導体、中空シリカ粒子または多孔質シリカ粒子の含有量が400重量部を超えると、光散乱により低屈折率層4が白化し、透明性が失われるとともに、低屈折率層4の透明導電層3への密着性および鉛筆硬度、スチールウール硬度が劣化するからである。
低屈折率層4は屈折率が1.30以上かつ1.50以下、厚みが50nm以上かつ150nm以下であることが好ましく、屈折率が1.30以上かつ1.40以下、厚みが50nm以上かつ120nm以下であることがより好ましい。
低屈折率層4は屈折率が1.30以上かつ1.50以下、厚みが50nm以上かつ150nm以下とした理由は、屈折率が1.30未満では十分な強度を満たす材料が存在しない。一方、屈折率が1.50を超えると、十分な反射防止効果が得られないからである。また、厚みが50nm未満もしくは150nmを超えると、可視光領域における反射防止効果が得られない。
低屈折率層4は屈折率が1.30以上かつ1.50以下、厚みが50nm以上かつ150nm以下とした理由は、屈折率が1.30未満では十分な強度を満たす材料が存在しない。一方、屈折率が1.50を超えると、十分な反射防止効果が得られないからである。また、厚みが50nm未満もしくは150nmを超えると、可視光領域における反射防止効果が得られない。
本実施形態の反射防止膜付き透明基材10は、画像表示装置の画像表示部の表示面に貼着して、この表示面に反射防止機能を付与するためには、透過率、透明性が高いことが好ましく、例えば、全光線透過率が80%以上、ヘイズ(曇価)が1.0%以下であることが好ましい。
本実施形態の反射防止膜付き透明基材10は、画像表示装置の画像表示部の表示面に貼着して、この表示面の反射光ムラを抑制するためには、反射率が低いことが好ましく、例えば、最低反射率が1.0%以下、視感度反射率が1.0%以下であることが好ましい。この表示面に防汚性を付与するためには低屈折率層4の表面の水に対する接触角が100度以上であることが好ましい。
本実施形態の反射防止膜付き透明基材10は、画像表示装置の画像表示部の表示面に貼着して、この表示面に帯電防止性を付与するためには、表面抵抗値が低いことが好ましく、表面抵抗値が1×1011Ω/□未満であることが好ましい。
本実施形態の反射防止膜付き透明基材10は、画像表示装置の画像表示部の表示面に貼着して、この表示面を保護するためには、耐擦傷性に優れることが好ましく、例えば、低屈折率層4の表面における鉛筆硬度が2H以上、スチールウール強度試験にて透明基材の表面に生じる傷が10本以下であることが好ましい。
本実施形態の反射防止膜付き透明基材10は、画像表示装置の画像表示部の表示面に貼着して、反射防止機能、帯電防止機能などを発揮するためには、密着性が高いことが好ましく、例えば、碁盤目剥離法に準拠した密着性試験にて全ての碁盤目で完全に剥がれないことであることが好ましい。
本実施形態の反射防止膜付き透明基材10によれば、透明基材1の一主面1aに、高屈折率層2、透明導電層3および低屈折率層4を順次積層してなる反射防止膜5とを備え、高屈折率層2は高屈折率無機微粒子とバインダーを主成分としてなり、バインダーはビニル基、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、イソシアネート基の群から選択される1種または2種以上の有機官能基を有し、透明導電層3は1種または2種以上の金属微粒子を含有してなるものとしたので、膜の厚みを従来よりも薄くし、密着性、強度、柔軟性、屈曲性などに優れ、反射光ムラを抑制することができるとともに、画像表示装置の画像表示部の表示面に帯電防止性、導電性などの電気的特性や、光学的特性を付与することができる。
次に、本実施形態の反射防止膜付き透明基材の製造方法を説明する。
高屈折率層2、透明導電層3、低屈折率層4のそれぞれをなす樹脂もしくはバインダーを溶媒に溶かして塗料化し、所定の粘度の高屈折率層用塗料、透明導電層用塗料、低屈折率層用塗料を調製する。高屈折率層2を形成するための高屈折率層用塗料には、所定量の高屈折率無機微粒子を適宜添加する。また、透明導電層3を形成するための透明導電層用塗料には、所定量の金微粒子と銀微粒子を適宜添加する。また、低屈折率層4を形成するための低屈折率層用塗料には、所定量のフルオロアルキルシラン誘導体、中空シリカ粒子、多孔質シリカ粒子の少なくともいずれか1種を適宜添加する。
高屈折率層2、透明導電層3、低屈折率層4のそれぞれをなす樹脂もしくはバインダーを溶媒に溶かして塗料化し、所定の粘度の高屈折率層用塗料、透明導電層用塗料、低屈折率層用塗料を調製する。高屈折率層2を形成するための高屈折率層用塗料には、所定量の高屈折率無機微粒子を適宜添加する。また、透明導電層3を形成するための透明導電層用塗料には、所定量の金微粒子と銀微粒子を適宜添加する。また、低屈折率層4を形成するための低屈折率層用塗料には、所定量のフルオロアルキルシラン誘導体、中空シリカ粒子、多孔質シリカ粒子の少なくともいずれか1種を適宜添加する。
高屈折率層用塗料、透明導電層用塗料、低屈折率層用塗料に用いられる溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールなどのアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオールなどのグリコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、β−オキシエチルメチルエーテル(メチルセロソルブ)、β−オキシエチルエーテル(エチルセロソルブ)、ブチル−β−オキシエチルエーテル(ブチルセロソルブ)、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエチレングリコールのモノエーテル類(セロソルブ類)、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのエステル類、などが好適に用いられる。
本実施形態の反射防止膜付き透明基材を製造するには、まず、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法、インクジェット法、ディップ法、グラビアコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、ナイフコータ法、リバースロールコータ法、キスコータ法などの塗布方法により、透明基材1の一主面1aに高屈折率層用塗料を塗布し、その後、例えば、紫外線照射、ドライヤーやエアブローによる乾燥などにより高屈折率層2を形成する。
次いで、上記と同様の方法により、高屈折率層2の上に透明導電層用塗料を塗布し、その後、上記と同様の方法により透明導電層3を形成する。
次いで、上記と同様の方法により、透明導電層3の上に低屈折率層用塗料を塗布し、その後、上記と同様の方法により低屈折率層4を形成し、反射防止膜付き透明基材10を得る。
次いで、上記と同様の方法により、透明導電層3の上に低屈折率層用塗料を塗布し、その後、上記と同様の方法により低屈折率層4を形成し、反射防止膜付き透明基材10を得る。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例に共通の分散液として、下記の分散液を調整した。
(金微粒子分散液)
0.18ミリモル/リットルの塩化金酸と0.54ミリモル/リットルのクエン酸ナトリウム二水和物を含有する水溶液10リットルに、1.2ミリモル/リットルの水素化ホウ素ナトリウム水溶液1.4リットルを加え、コロイド状分散液を得た。次いで、このコロイド状分散液を限外ろ過法により濃縮、精製し、分散濃度が15重量%の金微粒子分散液を得た。
この金微粒子分散液の金微粒子の粒子径を透過型電子顕微鏡(TEM)により測定した結果、平均一次粒子径は約5nmであった。
(金微粒子分散液)
0.18ミリモル/リットルの塩化金酸と0.54ミリモル/リットルのクエン酸ナトリウム二水和物を含有する水溶液10リットルに、1.2ミリモル/リットルの水素化ホウ素ナトリウム水溶液1.4リットルを加え、コロイド状分散液を得た。次いで、このコロイド状分散液を限外ろ過法により濃縮、精製し、分散濃度が15重量%の金微粒子分散液を得た。
この金微粒子分散液の金微粒子の粒子径を透過型電子顕微鏡(TEM)により測定した結果、平均一次粒子径は約5nmであった。
(銀微粒子分散液)
9.3ミリモル/リットルの硝酸銀と3.0ミリモル/リットルのクエン酸ナトリウム二水和を溶解した水溶液10リットルに、0.9モル/リットルの硫酸第一鉄水溶液1.2リットルを加えて反応させ、赤褐色の銀ゾルを得た。この銀ゾルを遠心分離により洗浄して不純物イオンを除去したのち、純水を加えて分散濃度が15重量%の銀微粒子分散液を得た。
この銀微粒子分散液の銀微粒子の粒子径を透過型電子顕微鏡(TEM)により測定した結果、平均一次粒子径は約10nmであった。
9.3ミリモル/リットルの硝酸銀と3.0ミリモル/リットルのクエン酸ナトリウム二水和を溶解した水溶液10リットルに、0.9モル/リットルの硫酸第一鉄水溶液1.2リットルを加えて反応させ、赤褐色の銀ゾルを得た。この銀ゾルを遠心分離により洗浄して不純物イオンを除去したのち、純水を加えて分散濃度が15重量%の銀微粒子分散液を得た。
この銀微粒子分散液の銀微粒子の粒子径を透過型電子顕微鏡(TEM)により測定した結果、平均一次粒子径は約10nmであった。
(アルコキシシランの加水分解物)
テトラメトキシシラン(TSL8114、GE東芝シリコーン社製)19.0gとメタノール24.9gを配合し、攪拌混合しながら、希硝酸(1モル/リットルの硝酸0.10gを純水6.0gで希釈したもの)を滴下し、60℃にて3時間攪拌しアルコキシシランの加水分解物を調製した。
テトラメトキシシラン(TSL8114、GE東芝シリコーン社製)19.0gとメタノール24.9gを配合し、攪拌混合しながら、希硝酸(1モル/リットルの硝酸0.10gを純水6.0gで希釈したもの)を滴下し、60℃にて3時間攪拌しアルコキシシランの加水分解物を調製した。
(有機変性アルコキシシランの加水分解物α)
エポキシ基含有シランカップリング剤(KBM−403、信越化学社製)10.6gとメタノール33.3gを配合し、攪拌混合しながら、希硝酸(1モル/リットルの硝酸0.10gを純水6.0gで希釈したもの)を滴下し、60℃にて3時間攪拌し有機変性アルコキシシランの加水分解物を調製した。
エポキシ基含有シランカップリング剤(KBM−403、信越化学社製)10.6gとメタノール33.3gを配合し、攪拌混合しながら、希硝酸(1モル/リットルの硝酸0.10gを純水6.0gで希釈したもの)を滴下し、60℃にて3時間攪拌し有機変性アルコキシシランの加水分解物を調製した。
(有機変性アルコキシシランの加水分解物β)
アクリロキシ基含有シランカップリング剤(KBM−5103、信越化学社製)10.7gとメタノール33.2gを配合し、攪拌混合しながら、希硝酸(1モル/リットルの硝酸0.10gを純水6.0gで希釈したもの)を滴下し、60℃にて3時間攪拌し有機変性アルコキシシランの加水分解物βを調製した。
アクリロキシ基含有シランカップリング剤(KBM−5103、信越化学社製)10.7gとメタノール33.2gを配合し、攪拌混合しながら、希硝酸(1モル/リットルの硝酸0.10gを純水6.0gで希釈したもの)を滴下し、60℃にて3時間攪拌し有機変性アルコキシシランの加水分解物βを調製した。
(有機変性アルコキシシランの加水分解物γ)
メタクリロキシ基含有シランカップリング剤(KBM−503、信越化学社製)10.5gとメタノール33.4gを配合し、攪拌混合しながら、希硝酸(1モル/リットルの硝酸0.10gを純水6.0gで希釈したもの)を滴下し、60℃にて3時間攪拌し有機変性アルコキシシランの加水分解物γを調製した。
メタクリロキシ基含有シランカップリング剤(KBM−503、信越化学社製)10.5gとメタノール33.4gを配合し、攪拌混合しながら、希硝酸(1モル/リットルの硝酸0.10gを純水6.0gで希釈したもの)を滴下し、60℃にて3時間攪拌し有機変性アルコキシシランの加水分解物γを調製した。
「実施例1」
A.高屈折率層用塗料の調製
20%ジルコニア分散液(住友大阪セメント製)24.0g、イソプロピルアルコール53.0g、ジアセトンアルコール10.0g、アルコキシシランの加水分解物9.0g、有機変性アルコキシシランの加水分解物α6.0gを配合し、攪拌混合して塗料A1を調製した。
得られた塗料A1の固形分中のアルコキシシランの加水分解物と有機変性アルコキシシランの加水分解物の重量比は6:4であった。
A.高屈折率層用塗料の調製
20%ジルコニア分散液(住友大阪セメント製)24.0g、イソプロピルアルコール53.0g、ジアセトンアルコール10.0g、アルコキシシランの加水分解物9.0g、有機変性アルコキシシランの加水分解物α6.0gを配合し、攪拌混合して塗料A1を調製した。
得られた塗料A1の固形分中のアルコキシシランの加水分解物と有機変性アルコキシシランの加水分解物の重量比は6:4であった。
B.透明導電層用塗料の調製
固形分0.6%、金対銀の重量比が93:7になるように、金微粒子分散液3.72g、銀微粒子分散液0.28g、アルコキシシランの加水分解物1.50g、有機変性アルコキシシランの加水分解物α1.00g、byk348(ビックケミー社製)0.05g、変性エタノール95.95gを混合し、次いで、ホモジナイザーにて混練、分散することにより、金属ゾル塗布液Bを調製した。
固形分0.6%、金対銀の重量比が93:7になるように、金微粒子分散液3.72g、銀微粒子分散液0.28g、アルコキシシランの加水分解物1.50g、有機変性アルコキシシランの加水分解物α1.00g、byk348(ビックケミー社製)0.05g、変性エタノール95.95gを混合し、次いで、ホモジナイザーにて混練、分散することにより、金属ゾル塗布液Bを調製した。
C.低屈折率層用塗料の調製
テトラメトキシシラン(TSL8114、GE東芝シリコーン社製)10.6g、フルオロアルキルシラン(TSL8233、GE東芝シリコーン社製)4.4g、プロピレングリコールモノメチルエーテル10.0g、イソプロピルアルコール65.0gを配合し、攪拌混合しながら、希硝酸(1規定硝酸0.4gを純水9.6gで希釈したもの)を滴下し、そのまま24時間攪拌して、塗料Cを調製した。
テトラメトキシシラン(TSL8114、GE東芝シリコーン社製)10.6g、フルオロアルキルシラン(TSL8233、GE東芝シリコーン社製)4.4g、プロピレングリコールモノメチルエーテル10.0g、イソプロピルアルコール65.0gを配合し、攪拌混合しながら、希硝酸(1規定硝酸0.4gを純水9.6gで希釈したもの)を滴下し、そのまま24時間攪拌して、塗料Cを調製した。
D.反射防止膜の形成
厚み100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に厚み100nm、屈折率1.58の易接着層が設けられた高屈折率易接着層付きPETフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製)の一主面(易接着層上)に、バーコート法により塗料A1を塗工し、オーブン(乾燥機)により130℃にて1分乾燥させ、厚み100nmの透明な高屈折率層を形成した。
次いで、この高屈折率層上に、バーコート法により塗料Bを塗工し、オーブン(乾燥機)により130℃にて1分乾燥させ、厚み80nmの透明導電層を形成した。
次いで、この透明導電層上に、バーコート法により塗料Cを塗工し、オーブン(乾燥機)により130℃にて2分間乾燥して硬化させ、厚み100nmの透明な低屈折率層を形成し、反射防止膜付き透明基材を得た。
厚み100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に厚み100nm、屈折率1.58の易接着層が設けられた高屈折率易接着層付きPETフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製)の一主面(易接着層上)に、バーコート法により塗料A1を塗工し、オーブン(乾燥機)により130℃にて1分乾燥させ、厚み100nmの透明な高屈折率層を形成した。
次いで、この高屈折率層上に、バーコート法により塗料Bを塗工し、オーブン(乾燥機)により130℃にて1分乾燥させ、厚み80nmの透明導電層を形成した。
次いで、この透明導電層上に、バーコート法により塗料Cを塗工し、オーブン(乾燥機)により130℃にて2分間乾燥して硬化させ、厚み100nmの透明な低屈折率層を形成し、反射防止膜付き透明基材を得た。
「実施例2」
酸化チタン分散液(住友大阪セメント製)24.0g、イソプロピルアルコール53.0g、ジアセトンアルコール10.0g、アルコキシシランの加水分解物9.0g、有機変性アルコキシシランの加水分解物α6.0gを配合し、攪拌混合して塗料A2を調製した。
得られた塗料A2の固形分中のアルコキシシランの加水分解物と有機変性アルコキシシランの加水分解物の重量比は6:4であった。
以下、高屈折率層用塗料として塗料A2を用いた以外は実施例1と同様にして、反射防止膜付き透明基材を作製した。
酸化チタン分散液(住友大阪セメント製)24.0g、イソプロピルアルコール53.0g、ジアセトンアルコール10.0g、アルコキシシランの加水分解物9.0g、有機変性アルコキシシランの加水分解物α6.0gを配合し、攪拌混合して塗料A2を調製した。
得られた塗料A2の固形分中のアルコキシシランの加水分解物と有機変性アルコキシシランの加水分解物の重量比は6:4であった。
以下、高屈折率層用塗料として塗料A2を用いた以外は実施例1と同様にして、反射防止膜付き透明基材を作製した。
「実施例3」
ワイヤーバーの番手を上げて、バーコート法により、高屈折率易接着層付きPETフィルムの一主面に塗料A1を塗工し、オーブン(乾燥機)により130℃にて1分乾燥させ、厚み250nmの透明な高屈折率層を形成した。
以下、実施例1と同様にして、反射防止膜付き透明基材を作製した。
ワイヤーバーの番手を上げて、バーコート法により、高屈折率易接着層付きPETフィルムの一主面に塗料A1を塗工し、オーブン(乾燥機)により130℃にて1分乾燥させ、厚み250nmの透明な高屈折率層を形成した。
以下、実施例1と同様にして、反射防止膜付き透明基材を作製した。
「実施例4」
実施例1において、有機変性アルコキシシランαを、有機変性アルコキシシランβに変更し、高屈折率用塗料としてA3を調製した。
得られた塗料A3の固形分中のアルコキシシランの加水分解物と有機変性アルコキシシランの加水分解物の重量比は6:4であった。
以下、高屈折率層用塗料として塗料A3を用いた以外は実施例1と同様にして、反射防止膜付き透明基材を作製した。
実施例1において、有機変性アルコキシシランαを、有機変性アルコキシシランβに変更し、高屈折率用塗料としてA3を調製した。
得られた塗料A3の固形分中のアルコキシシランの加水分解物と有機変性アルコキシシランの加水分解物の重量比は6:4であった。
以下、高屈折率層用塗料として塗料A3を用いた以外は実施例1と同様にして、反射防止膜付き透明基材を作製した。
「実施例5」
実施例1において、有機変性アルコキシシランαを、有機変性アルコキシシランγに変更し、高屈折率用塗料としてA4を調製した。
得られた塗料A4の固形分中のアルコキシシランの加水分解物と有機変性アルコキシシランの加水分解物の重量比は6:4であった。
以下、高屈折率層用塗料として塗料A4を用いた以外は実施例1と同様にして、反射防止膜付き透明基材を作製した。
実施例1において、有機変性アルコキシシランαを、有機変性アルコキシシランγに変更し、高屈折率用塗料としてA4を調製した。
得られた塗料A4の固形分中のアルコキシシランの加水分解物と有機変性アルコキシシランの加水分解物の重量比は6:4であった。
以下、高屈折率層用塗料として塗料A4を用いた以外は実施例1と同様にして、反射防止膜付き透明基材を作製した。
「比較例1」
20%ジルコニア分散液(住友大阪セメント製)24.0g、イソプロピルアルコール53.0g、ジアセトンアルコール10.0g、アルコキシシランの加水分解物13.5g、有機変性アルコキシシランの加水分解物α1.5gを配合し、攪拌混合して塗料A5を調製した。
得られた塗料A5の固形分中のアルコキシシランの加水分解物と有機変性アルコキシシランの加水分解物の重量比は9:1であった。
以下、高屈折率層用塗料として塗料A5を用いた以外は実施例1と同様にして、反射防止膜付き透明基材を作製した。
20%ジルコニア分散液(住友大阪セメント製)24.0g、イソプロピルアルコール53.0g、ジアセトンアルコール10.0g、アルコキシシランの加水分解物13.5g、有機変性アルコキシシランの加水分解物α1.5gを配合し、攪拌混合して塗料A5を調製した。
得られた塗料A5の固形分中のアルコキシシランの加水分解物と有機変性アルコキシシランの加水分解物の重量比は9:1であった。
以下、高屈折率層用塗料として塗料A5を用いた以外は実施例1と同様にして、反射防止膜付き透明基材を作製した。
「比較例2」
20%ジルコニア分散液(住友大阪セメント製)24.0g、イソプロピルアルコール53.0g、ジアセトンアルコール10.0g、アルコキシシランの加水分解物1.5g、有機変性アルコキシシランの加水分解物α13.5gを配合し、攪拌混合して塗料A6を調製した。
得られた塗料A6の固形分中のアルコキシシランの加水分解物と有機変性アルコキシシランの加水分解物の重量比は1:9であった。
以下、高屈折率層用塗料として塗料A6を用いた以外は実施例1と同様にして、反射防止膜付き透明基材を作製した。
20%ジルコニア分散液(住友大阪セメント製)24.0g、イソプロピルアルコール53.0g、ジアセトンアルコール10.0g、アルコキシシランの加水分解物1.5g、有機変性アルコキシシランの加水分解物α13.5gを配合し、攪拌混合して塗料A6を調製した。
得られた塗料A6の固形分中のアルコキシシランの加水分解物と有機変性アルコキシシランの加水分解物の重量比は1:9であった。
以下、高屈折率層用塗料として塗料A6を用いた以外は実施例1と同様にして、反射防止膜付き透明基材を作製した。
「比較例3」
ワイヤーバーの番手を下げて、バーコート法により、高屈折率易接着層付きPETフィルムの一主面に塗料A1を塗工し、オーブン(乾燥機)により130℃にて1分乾燥させ、厚み40nmの透明な高屈折率層を形成した。
以下、実施例1と同様にして、反射防止膜付き透明基材を作製した。
ワイヤーバーの番手を下げて、バーコート法により、高屈折率易接着層付きPETフィルムの一主面に塗料A1を塗工し、オーブン(乾燥機)により130℃にて1分乾燥させ、厚み40nmの透明な高屈折率層を形成した。
以下、実施例1と同様にして、反射防止膜付き透明基材を作製した。
「比較例4」
ワイヤーバーの番手を上げて、バーコート法により、高屈折率易接着層付きPETフィルムの一主面に塗料A1を塗工し、オーブン(乾燥機)により130℃にて1分乾燥させ、厚み300nmの透明な高屈折率層を形成した。
以下、実施例1と同様にして、反射防止膜付き透明基材を作製した。
ワイヤーバーの番手を上げて、バーコート法により、高屈折率易接着層付きPETフィルムの一主面に塗料A1を塗工し、オーブン(乾燥機)により130℃にて1分乾燥させ、厚み300nmの透明な高屈折率層を形成した。
以下、実施例1と同様にして、反射防止膜付き透明基材を作製した。
「評価」
以上により得られた実施例1〜5および比較例1〜4それぞれの反射防止膜付き透明基材のヘイズ(曇価)、表面抵抗値、可視光反射率、耐摩耗性、耐薬品性の各評価項目について、次の方法を用いて評価した。
以上により得られた実施例1〜5および比較例1〜4それぞれの反射防止膜付き透明基材のヘイズ(曇価)、表面抵抗値、可視光反射率、耐摩耗性、耐薬品性の各評価項目について、次の方法を用いて評価した。
(1)ヘイズ(曇価)
日本工業規格JIS K 7105「プラスチックの光学的特性試験方法」に準拠して、反射防止膜付き透明基材のヘイズ値を測定した。
(2)表面抵抗
日本工業規格JIS K 6911「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して、反射防止膜付き透明基材の表面抵抗値を測定した。
(3)可視光反射率
紫外・可視光分光光度計U−4100(日立社製)を用いて、反射防止膜付き透明基材の10°正反射率を測定し、この測定値に比視感度値を乗じて反射防止膜付き透明基材の可視光反射率を算出した。
日本工業規格JIS K 7105「プラスチックの光学的特性試験方法」に準拠して、反射防止膜付き透明基材のヘイズ値を測定した。
(2)表面抵抗
日本工業規格JIS K 6911「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して、反射防止膜付き透明基材の表面抵抗値を測定した。
(3)可視光反射率
紫外・可視光分光光度計U−4100(日立社製)を用いて、反射防止膜付き透明基材の10°正反射率を測定し、この測定値に比視感度値を乗じて反射防止膜付き透明基材の可視光反射率を算出した。
(4)耐摩耗性
ラビングテスター(大平理化社製)を用いて、#0000のスチールウールに、2.5N/cm2の荷重を負荷しながら、反射防止膜付き透明基材の表面(低屈折率層)上を30回往復させ、その後、防眩部材の表面を目視により観察し、評価した。
反射防止膜付き透明基材の表面にできた傷が10本以下のものを「○」、反射防止膜付き透明基材の表面にできた傷が10本以上、かつ、低屈折率層が剥離していないものを「△」、低屈折率層が完全に剥離したものを「×」とした。
(5)耐薬品性
反射防止膜付き透明基材の面上に家庭用アルカリ洗剤マジックリン(花王社製)に浸した布を45分間静置した後、その部分を、エタノールを染み込ませた布によって、反射防止膜付き透明基材の用面を荷重2kgで30回擦り、その時の外観の変化を目視により観察した。
高屈折率層と透明導電層との間および透明導電層と低屈折率層との間で剥離しなかった場合を「○」、高屈折率層と透明導電層との間および/または透明導電層と低屈折率層との間で剥離した場合を「×」とした。
ラビングテスター(大平理化社製)を用いて、#0000のスチールウールに、2.5N/cm2の荷重を負荷しながら、反射防止膜付き透明基材の表面(低屈折率層)上を30回往復させ、その後、防眩部材の表面を目視により観察し、評価した。
反射防止膜付き透明基材の表面にできた傷が10本以下のものを「○」、反射防止膜付き透明基材の表面にできた傷が10本以上、かつ、低屈折率層が剥離していないものを「△」、低屈折率層が完全に剥離したものを「×」とした。
(5)耐薬品性
反射防止膜付き透明基材の面上に家庭用アルカリ洗剤マジックリン(花王社製)に浸した布を45分間静置した後、その部分を、エタノールを染み込ませた布によって、反射防止膜付き透明基材の用面を荷重2kgで30回擦り、その時の外観の変化を目視により観察した。
高屈折率層と透明導電層との間および透明導電層と低屈折率層との間で剥離しなかった場合を「○」、高屈折率層と透明導電層との間および/または透明導電層と低屈折率層との間で剥離した場合を「×」とした。
実施例1〜5および比較例1〜4の反射防止膜付き透明基材の評価結果を表1に示す。
実施例1〜5では、アルコキシシランの加水分解物と有機変性アルコキシシランの加水分解物を含有する高屈折率層用塗料および透明導電層用塗料を用いたので、高屈折率層と透明導電層との間および透明導電層と低屈折率層との間にて剥離が無く、厚みが十分に薄く、従来よりも視感反射率が低く、帯電防止性にも優れる反射防止膜を得ることができた。
比較例1では、塗料A3の固形分中のアルコキシシランの加水分解物と有機変性アルコキシシランの加水分解物の重量比を9:1としたので、耐薬品性に劣ることが分かった。
比較例2では、塗料A4の固形分中のアルコキシシランの加水分解物と有機変性アルコキシシランの加水分解物の重量比を1:9としたので、耐摩耗性および耐薬品性に劣ることが分かった。
比較例3では、高屈折率層の厚みを40nmとしたので、耐摩耗性および耐薬品性に劣ることが分かった。
比較例4では、高屈折率層の厚みを300nmとしたので、得られた反射防止膜は、ヘイズ値および視感反射率が高く、透明性および反射防止性に劣ることが分かった。
比較例1では、塗料A3の固形分中のアルコキシシランの加水分解物と有機変性アルコキシシランの加水分解物の重量比を9:1としたので、耐薬品性に劣ることが分かった。
比較例2では、塗料A4の固形分中のアルコキシシランの加水分解物と有機変性アルコキシシランの加水分解物の重量比を1:9としたので、耐摩耗性および耐薬品性に劣ることが分かった。
比較例3では、高屈折率層の厚みを40nmとしたので、耐摩耗性および耐薬品性に劣ることが分かった。
比較例4では、高屈折率層の厚みを300nmとしたので、得られた反射防止膜は、ヘイズ値および視感反射率が高く、透明性および反射防止性に劣ることが分かった。
本発明の反射防止膜は、高屈折率層、透明導電層および低屈折率層を順次積層してなる反射防止膜であって、前記高屈折率層は高屈折率無機微粒子とバインダーを主成分としてなり、前記バインダーはビニル基、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、イソシアネート基の群から選択される1種または2種以上の有機官能基を有し、前記透明導電層は1種または2種以上の金属微粒子を含有してなるので、本発明の反射防止膜を備えた反射防止膜付き透明基材は、反射防止膜の厚みを従来よりも少なくしたにもかかわらず、層間の密着性に優れ、かつ、耐擦傷性、耐汚染性に優れていると共に反射ムラが生じることなく、外観が良好であることから、液晶ディスプレイ(LCD)などの表示装置に適用可能であることはもちろんのこと、屋外表示板などの建材にも適用可能であり、その効果は大である。
1 透明基材
2 高屈折率層
3 透明導電層
4 低屈折率層
5 反射防止膜
10 反射防止膜付き透明基材
2 高屈折率層
3 透明導電層
4 低屈折率層
5 反射防止膜
10 反射防止膜付き透明基材
Claims (7)
- 高屈折率層、透明導電層および低屈折率層を順次積層してなる反射防止膜であって、
前記高屈折率層は高屈折率無機微粒子とバインダーを主成分としてなり、前記バインダーはビニル基、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、イソシアネート基の群から選択される1種または2種以上の有機官能基を有し、前記透明導電層は1種または2種以上の金属微粒子を含有してなることを特徴とする反射防止膜。 - 前記高屈折率無機微粒子は、酸化ジルコニウム微粒子または酸化チタン微粒子の少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1に記載の反射防止膜。
- 前記高屈折率無機微粒子の平均粒子径は、5nm以上かつ200nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止膜。
- 前記金属微粒子は金微粒子と銀微粒子を含有し、かつ、ビニル基、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、イソシアネート基の群から選択される1種または2種以上の有機官能基を有するバインダーを含有してなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の反射防止膜。
- 前記低屈折率層は、フルオロアルキルシラン誘導体、中空シリカ粒子、多孔質シリカ粒子の群から選択される1種または2種以上を含有してなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の反射防止膜。
- 前記高屈折率層は屈折率が1.50以上かつ1.70以下、厚みが50nm以上かつ250nm以下、前記透明導電層は厚みが10nm以上かつ150nm以下、前記低屈折率層は屈折率が1.30以上かつ1.50以下、厚みが50nm以上かつ150nm以下であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の反射防止膜。
- 透明基材の一主面に、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の反射防止膜を備えたことを特徴とする反射防止膜付き透明基材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007021547A JP2008185956A (ja) | 2007-01-31 | 2007-01-31 | 反射防止膜および反射防止膜付き透明基材 |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=39729025
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JP2007021547A Withdrawn JP2008185956A (ja) | 2007-01-31 | 2007-01-31 | 反射防止膜および反射防止膜付き透明基材 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2008185956A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013168788A1 (ja) | 2012-05-11 | 2013-11-14 | 日産化学工業株式会社 | 膜形成用組成物 |
WO2016080201A1 (ja) * | 2014-11-19 | 2016-05-26 | 株式会社ダイセル | 透明積層フィルム及びタッチパネルディスプレイ |
WO2018061678A1 (ja) * | 2016-09-29 | 2018-04-05 | 富士フイルム株式会社 | 反射防止構造体 |
CN113031427A (zh) * | 2019-12-25 | 2021-06-25 | 西铁城时计株式会社 | 钟表和钟表的风挡的制造方法 |
-
2007
- 2007-01-31 JP JP2007021547A patent/JP2008185956A/ja not_active Withdrawn
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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KR20150013266A (ko) | 2012-05-11 | 2015-02-04 | 닛산 가가쿠 고교 가부시키 가이샤 | 막 형성용 조성물 |
US9618654B2 (en) | 2012-05-11 | 2017-04-11 | Nissan Chemical Industries, Ltd. | Film-forming composition |
WO2016080201A1 (ja) * | 2014-11-19 | 2016-05-26 | 株式会社ダイセル | 透明積層フィルム及びタッチパネルディスプレイ |
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---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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