JP2008184105A - 車両骨格部材の結合部構造 - Google Patents

車両骨格部材の結合部構造 Download PDF

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Abstract

【課題】部材を追加したり部材の肉厚を増加させたりすることなく、車体骨格の結合部近傍の結合強度を増大させることのできる車両骨格部材の結合部構造の提供を目的とする。
【解決手段】一方向に延在するロッカ12と、ロッカ12と交差配置されて交差方向に延在し、端部でロッカ12に結合されたクロスメンバ13およびフロアパネル14とを有し、クロスメンバ13およびフロアパネル14は、ロッカ12とクロスメンバ13およびフロアパネル14との結合部に対して下方に位置する結合とされ、ロッカ12とフロアパネル14とは、クロスメンバ13の延在方向に沿った長さがLの傾斜面15によって連結されているとともに、傾斜面15の長さLは、クロスメンバ13の上面の幅Wに対してW=2Lの関係にあるように設定されている車両骨格部材の結合部構造である。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両骨格部材の結合部構造に係り、特に、圧縮荷重を受ける車両構造部材を有する結合部構造に関する。
車体の前後方向に延びる左右一対のロッカと、車幅方向に沿って設けられ、前記一対のロッカを結合するクロスメンバと、前記ロッカとクロスメンバとに結合されたフロアパネルとを備える車体構造の自動車においては、シートは通常クロスメンバで支持される。
したがって前記自動車が走行中に前方に位置する物体に衝突する前面衝突を起すと、前記シートに着座していた着座者の慣性力による大きな外力がクロスメンバに加わる。これにより、クロスメンバとロッカとの結合部にクロスメンバの端部を剥離させる方向に大きな応力が生じる。
そこで、ロッカとクロスメンバとの結合強度を向上させるべく、ロッカとクロスメンバとフロアパネル端縁とを互いに結合する補強板を設け、ロッカとクロスメンバの端部と補強板との各一部を互いに重ね合わせて結合することが提案された(特許文献1)。
特開2000−25655号公報
前記結合方法によってロッカとクロスメンバとフロアパネルとの前記方向に沿った結合強度は大幅に改善された。
しかしながら、上述した前面衝突時の対策も重要ではあるが、側面衝突時には、ロッカとクロスメンバとの結合部に、ロッカを屈曲させる方向、言い換えればクロスメンバを軸圧縮させる方向への荷重が入力されることから、その方向への強度の向上も強く求められる。
また、特許文献1の結合方法においては、部材が増加するから、コストおよび質量の増加が避けられないという問題もある。
本発明は、上記問題を解決すべく成されたものであり、部材を追加したり部材の肉厚を増加させたりすることなく、車体骨格の結合部近傍の強度、特にクロスメンバを屈曲させる方向の結合強度を増大させることのできる車両骨格部材の結合部構造の提供を目的とする。
請求項1に記載の発明は、一方向に延在する第1骨格部材と、前記第1骨格部材に対して交差配置されて交差方向に延在し、端部で前記第1骨格部材に結合された第2骨格部材と、を有し、前記第2骨格部材の底面が、前記第1骨格部材と前記第2骨格部材との結合部に対して下方に位置するとともに、前記結合部と前記第2骨格部材の底面とが、前記第2骨格部材の延在方向に沿った長さLが前記第2骨格部材の上面の幅Wに対してW=2Lの関係にあるように設定されている傾斜面によって連結されていることを特徴とする。
請求項1に記載の車両骨格部材の結合部構造において第2骨格部材の上面の幅はWであるから、前記上面の座屈波長λは2Wである。一方、第2骨格部材の底面においては、第1骨格部材と第2骨格部材との結合部と前記第2結合部材の底面とが前記第2骨格部材の延在方向に沿った長さがLの傾斜面によって連結されているから、前記底面の座屈波長λ’は4Lとなる。ここで、前記長さLは、W=2Lになるように設定されているから、底面の座屈波長λ’=4L=2Wとなり、上面の座屈波長λと一致する。したがって、第1結合部材を屈曲させる方向の荷重が加わると、前記第2骨格部材は上方または下方に屈曲する方向の変形をすることなく、軸方向に圧縮される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両骨格部材の結合部構造において、前記第2骨格部材の底面に、前記傾斜面を経由して前記結合部に向かう長さ4Lのビード状の補強部が長手方向に沿って形成されていることを特徴とする。
請求項2に記載の車両骨格部材の結合部構造においては、第2骨格部材の底面に、前記傾斜面を経由して前記結合部に向かう長さ4Lのビード状の補強部が長手方向に沿って形成されている。ここで、Lは前記傾斜面の前記第2骨格部材の延在方向に沿った長さであり、第2骨格部材の上面の幅W=2Lであるから、前記補強部の長さは2Wになる。したがって第2骨格部材の底面においては、座屈波長λ’が変化しないにも拘わらず、圧縮強度が効果的に向上する。
請求項3に記載の発明は、一方向に延在する第1骨格部材と、前記第1骨格部材と交差配置されて交差方向に延在し、端部で前記第1骨格部材に結合された第2骨格部材と、を有し、前記第2骨格部材の底面は、前記第1骨格部材と前記第2骨格部材との結合部に対して下方に位置するとともに、前記第2骨格部材の上面および底面と前記結合部とは、前記第2骨格部材の延在方向に沿った長さLが等しく、且つ同一方向に傾斜する傾斜面によって連結されていることを特徴とする。
請求項3に記載の車両骨格部材の結合部構造においては、第2骨格部材は、上下方向にオフセットした状態で第1骨格部材に結合されているにも拘わらず、第1骨格部材との結合部と前記第2骨格部材の上面および底面とが、前記第2骨格部材の延在方向に沿った長さLが等しく、且つ同一方向に傾斜する傾斜面によって連結されている。
したがって、第2骨格部材の上面および底面の何れも座屈波長が4Lとなり、一致するから、第1結合部材を屈曲させる方向の荷重が加わると、前記第2骨格部材は上方または下方に屈曲する方向の変形をすることなく、軸方向に圧縮される。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の車両骨格部材の結合部構造において、前記第2骨格部材における頂面および底面の少なくとも一方には、前記傾斜面を経由して前記結合部に向かう長さ4Lのビード状の補強部が長手方向に沿って設けられていることを特徴とする。
請求項4に記載の車両骨格部材の結合部構造においては、前記第2骨格部材における頂面および底面の少なくとも一方に、前記傾斜面を経由して前記結合部に向かう長さ4Lのビード状の補強部が長手方向に沿って設けられている。したがって、前記第2骨格部材の軸方向の圧縮強度が更に向上する。
請求項5に記載の発明は、一方向に延在する第1骨格部材と、前記第1骨格部材と交差配置されて交差方向に延在し、端部で前記第1骨格部材に結合された第2骨格部材と、を有し、前記第2骨格部材の底面は、前記第1骨格部材と前記第2骨格部材との結合部に対して下方に位置するとともに、前記結合部と前記第2骨格部材の底面とは、前記第2骨格部材の延在方向に沿った長さがLの傾斜面によって連結され、前記第2骨格部材の上面における前記結合部からの距離がLの部分に凹陥部が、前記上面における前記結合部からの距離が3Lの部分に突出部が形成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の車両骨格部材の結合部構造においては、第2骨格部材の上面の第1骨格部材との結合部からの距離がLの部分に凹陥部が、前記凹陥部からの距離が2Lの部分に突出部が形成されているから、第2骨格部材の圧縮方向の荷重が加わると、上面においては、前記凹陥部の部分で下方に、前記突出部の部分で上方に屈曲しようとする。したがって第2骨格部材の上面の座屈波長λは4Lとなる。一方、第2骨格部材の底面においては、前記結合部と底面とが長さLの傾斜面で連結されているから、座屈波長λ’=4Lである。
したがって、第2骨格部材の上面の幅Wと前記傾斜面の長さLとがW=2Lの関係にない場合にも第2骨格部材の上面と底面との座屈波長を一致させることができるから、第1結合部材を屈曲させる方向の荷重が加わると、前記第2骨格部材は上方または下方に屈曲する方向の変形をすることなく、軸方向に圧縮される。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の車両骨格部材の結合部構造において、前記凹陥部が前記第2骨格部材の幅方向に沿ったビード状凹陥部である凹ビードであり、前記突出部が前記第2骨格部材の幅方向に沿ったビード状突出部である凸ビードであることを特徴とする。
請求項6に記載の車両骨格部材の結合部構造においては、凹陥部として凹ビードを、突出部として凸ビードが形成されている。したがって、第2骨格部材の圧縮方向の荷重が加わると、上面においては、前記凹ビードを中心として下方に屈曲しようとし、前記凸ビードを中心として上方に屈曲しようとする。したがって第2骨格部材の上面においては、前記結合部からの距離がLの位置において下方に、前記距離が3Lの位置において上方に屈曲するから、第2骨格部材の上面の座屈波長λを正確に4Lに設定できる。
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の車両骨格部材の結合部構造において、前記第2骨格部材の上面を波打ち面とすることによって前記凹陥部および突出部が形成されていることを特徴とする。
請求項7に記載の車両骨格部材の結合部構造においては、前記第2骨格部材の上面が波打ち面とされているから、第2骨格部材に圧縮荷重が加わると、第2骨格部材の上面は前記波打ち面の形状に従って波型に変形する。したがって、第2骨格部材の上面の座屈波長は、前記波打ち面の波長に等しくなる。
ここで、前記波打ち面は、第1骨格部材と第2骨格部材との結合部からの距離がLの部分が凹陥し、前記結合部からの距離が3Lの部分が突出するように形成されているから、前記波打ち面の波長は4Lとなる。したがって、前記第2骨格部材の上面の座屈波長λは4Lとなり、底面の座屈波長λ’と一致する。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の何れか1項に記載の車両骨格部材の結合部構造において、前記第1骨格部材がロッカであり、前記第2骨格部材はクロスメンバとフロアパネルとから構成されていることを特徴とする。
請求項8に記載の車両骨格部材の結合部構造においては、クロスメンバとフロアパネルとから構成される部材は、上面と底面との座屈波長が一致している。したがって、ロッカを屈曲させる方向の荷重が加わると、前記クロスメンバとフロアパネルとは、何れも上方または下方に屈曲する方向の変形をすることなく、軸方向に圧縮される。
請求項1に記載の発明によれば、前述のように第2結合部材の上面と底面とで座屈波長が一致している。したがって、第2結合部材の底面は、第1骨格部材との結合部よりも車両下方に位置しているにも拘わらず、第1結合部材を屈曲させる方向の荷重が加わると、前記第2骨格部材は軸方向に圧縮される。故に、第2骨格部材は偏った曲げ変形を起すことなく、第1結合部材を支持する部材としての強度を充分に発揮する。これにより、部材を追加したり部材の肉厚を増加させたりすること無く、車体骨格の結合部近傍の強度を増大させることのできる車体骨格部材の結合部構造が提供される。
請求項2に記載の発明によれば、第2結合部材の底面の座屈波長λ’を変化させること無く、第2骨格部材の耐荷重および圧縮強度を更に向上させることができる。したがって、第1結合部材を屈曲させる方向の荷重に対する結合強度が請求項1に記載の発明に比較して更に向上する。
請求項3に記載の発明によれば、前述のように第2結合部材の上面と底面とで座屈波長が一致しているから、第1結合部材を屈曲させる方向の荷重が加わると、第2骨格部材は偏った曲げ変形を起すことなく、軸方向に圧縮される。したがって、結合部において第2骨格部材が第1骨格部材に対して車両上下方向にオフセットした状態で結合されているにも拘わらず、前記第2骨格部材は、第1結合部材を支持する部材としての強度を充分に発揮し、前記方向の荷重に対する結合強度が向上する。
請求項4に記載の発明によれば、前述のように、前記第2骨格部材における頂面および底面の少なくとも一方に形成された補強部によって第2骨格部材の耐荷重および圧縮強度を更に向上させることができる。したがって、第1結合部材を屈曲させる方向の荷重に対する結合強度が請求項3に記載の発明に比較して更に向上する。
請求項5に記載の発明によれば、第2骨格部材の上面の幅Wと前記傾斜面の長さLとがW=2Lの関係にない場合においても、第2骨格部材の上面と底面との座屈波長を一致させることができる。したがって、第2結合部材の底面は、第1骨格部材との結合部よりも車両下方に位置しているにも拘わらず、第1結合部材を屈曲させる方向の荷重が加わると、前記第2骨格部材は軸方向に圧縮されるから、第2骨格部材は、第1結合部材を支持する部材としての強度を充分に発揮する。これにより、前記方向の荷重に対する結合強度が向上する。
請求項6に記載の発明によれば、第2骨格部材の上面における凹ビード及び凸ビードを設ける位置を正確に設定することによって前記上面の座屈波長λを正確に4Lに設定できる。したがって、第2骨格部材の上面の座屈波長λを底面の座屈波長λ’=4Lと正確に一致させることができる。
請求項7に記載の発明によれば、第2骨格部材の上面に形成される波打ち面の波長によって前記上面の座屈波長を設定できる。したがって、前記波打ち面の波長を正確に4Lに設定することにより、第2骨格部材の上面と底面との座屈波長を正確に一致させることができる。
請求項8に記載の発明によれば、側面衝突時のようにロッカを屈曲させる方向の荷重が加わると、前記クロスメンバとフロアパネルとは、何れも上方または下方に屈曲する方向の変形をすることなく、軸方向に圧縮される。
したがって、クロスメンバとフロアパネルとは側面衝突時においてロッカを支持する部材としての強度を充分発揮するから、ロッカの変形を抑えることができ、フロアパネルの上下方向への変形も抑制できる。このように、ロッカとクロスメンバおよびフロアパネルとの結合部の構造に前記結合部構造を採用することにより、側面衝突に強い車体構造が得られる。
1.実施形態1
[構成]
本発明の車両骨格部材の結合部構造を有する自動車の一例について以下に説明する。
図1,2に示すように、この自動車の車体1は、車両前後方向に沿って延在するロッカ12と、ロッカ12に直交するように結合され、車幅方向内側に向かって延在するクロスメンバ13と、クロスメンバ13の下方に結合されているとともに、車幅方向外側の端縁部においてロッカ12に結合されたフロアパネル14とを備えている。以下、図1以下において矢印FRは車両前方を、矢印REは車両後方を、矢印INは車幅方向内側を、矢印UPは車両上方を示す。
ロッカ12は、図1,2に示すように、車幅方向で対面する断面ハット形状のインナーパネル12Aとアウターパネル12Bとを備え、インナーパネル12Aとアウターパネル12Bとが上縁同士および下縁同士が夫々スポット溶接されて閉断面構造を形成している。なお、図1以下において「×」はスポット溶接の箇所を示す。ロッカ12は本発明の車両骨格部材の結合部構造における第1骨格部材に相当する。
図1に示すように、クロスメンバ13はハット型の断面を有し、車幅方向外側の端部においてロッカ12のインナーパネル12Aに結合されているとともに、クロスメンバ13の車両下方側に結合されたフロアパネル14とともに閉断面構造を形成する。フロアパネル14は、ロッカ12とクロスメンバ13との結合部Aよりも車両下方向に位置する。車体1においては、ロッカ12が本発明の第1骨格部材に相当する。
図1,2に示すように、フロアパネル14もまた、車幅方向外側の端縁部においてロッカ12のインナーパネル12Aに結合されている。そして、フロアパネル14におけるインナーパネル12Aに結合された側の端縁近傍は、車幅方向内側に向かって下降する傾斜面15とされている。そして、クロスメンバ13におけるインナーパネル12Aに結合された側の端部近傍の下側も傾斜面15に沿った形状とされている。クロスメンバ13とフロアパネル14および傾斜面15とで構成される閉断面構造は、本発明における第2骨格部材に相当し、フロアパネル14および傾斜面15によって前記閉断面構造の底面Bが構成される。
傾斜面15のクロスメンバ13の延在方向に沿った長さをL、クロスメンバ13の上面の幅をWとすると、傾斜面15の長さLはW=2Lになるように設定されている。
ロッカ12、クロスメンバ13、およびフロアパネル14は鋼鈑から成形されたものであってもよく、軽合金板から成形されたものであってもよい。また、ロッカ12、クロスメンバ13、およびフロアパネル14を接合する方法としては、スポット溶接の他に突合せ溶接や接着、ボルト締結などが可能である。
[作用]
以下、実施形態1の作用について説明する。
車体1におけるロッカ12とクロスメンバ13との結合部においてロッカ12に車幅方向内側に向かう衝撃荷重が加わった場合において、クロスメンバ13の上面の座屈波長λが底面Bの座屈波長λ’よりも小さなときは、図3(B)に示すように底面Bの変形の方がクロスメンバ13の上面の変形よりも大きくなるから、クロスメンバ13、傾斜面15、およびフロアパネル14は車両下方に屈曲する。一方、クロスメンバ13の上面の座屈波長λが底面Bの座屈波長λ’よりも大きなときは、図3(C)に示すように前記衝撃荷重による変形はクロスメンバ13の上面の方が底面よりも大きくなるから、クロスメンバ13、傾斜面15、およびフロアパネル14は車両上方に屈曲する。
ここで、図3(A)〜(C)に示すように、クロスメンバ13の上面の座屈波長λは2Wであり、底面Bの座屈波長λ’は傾斜面15の長さLから4Lとして与えられる。そして本実施形態では、傾斜面の長さLは、W=2Lとなるように設定されている。したがって、クロスメンバ13の上面の座屈波長λと底面Bの座屈波長λ’とは一致するから、図3(A)に示すようにクロスメンバ13、傾斜面15、およびフロアパネル14は、前記衝撃荷重によって車両上方または車両下方に屈曲することなく、まっすぐに軸圧縮される。これにより、クロスメンバ13およびフロアパネル14は前記衝撃荷重に対してロッカ12を支持する部材としての強度を充分に発揮することができる。
2.実施形態2
[構成]
本発明の車両骨格部材の結合部構造を有する自動車の別の例について以下に説明する。
図4に示すように、この自動車の車体2は、実施形態1の自動車の車体1と同様に 車両前後方向に沿って延在するロッカ12と、ロッカ12に直交するように結合され、車幅方向内側に向かって延在するクロスメンバ13と、クロスメンバ13の下方に結合されているとともに、車幅方向外側の端縁部においてロッカ12に結合されたフロアパネル14とを備えている。フロアパネル14におけるロッカ12に結合された側の端縁近傍には、クロスメンバ13の延在方向に沿った長さがL(クロスメンバ13の上面の幅をWとするとW=2L)である傾斜面15が形成されている。傾斜面15の長さLは、W=2Lの関係が成り立つように設定されている。
フロアパネル14および傾斜面15におけるクロスメンバ13の下側に位置する部分には、図4、5に示すように、互いに平行な2本のビード状の補強部16がクロスメンバ13の延在方向に沿って形成されている。補強部16の長さは4Lとされている。但し、補強部16の本数は2本には限定されず、1本のみであっても良く、また3本以上であってもよい。また、補強部16は、図4、5に示す例においては車両上方に向かって突出するように形成されているが、図6に示すように車両下方に向かって突出するように形成してもよい。更に、補強部16のロッカ12側の末端は、図7に示すようにロッカ12のインナーパネル12Aに達していなくてもよく、言い換えれば、補強部16のロッカ12側の末端がインナーパネル12Aよりも車幅方向内側に位置していてもよい。なお、図7に示す態様においては、補強部16は車両上方に向かって突出するように形成されているが、補強部16は車両下方に向かって突出するように形成されてもよい。
また、図4〜7にはフロアパネル14および傾斜面15にのみ補強部16を形成した例を示したが、フロアパネル14および傾斜面15に補強部16を形成する代わりにクロスメンバ13の上面に補強部16を形成することができ、また、フロアパネル14および傾斜面15に補強部16を形成するとともにクロスメンバ13の上面にも補強部16を形成してもよい。
[作用]
以下、実施形態2の作用について説明する。
本実施形態においては、補強部16の長さは4Lとされているから、図4に示すようにフロアパネル14の座屈波長λ’は4Lである。一方、傾斜面15の長さLは、クロスメンバ13の上面の幅Wとの間にW=2Lの関係が成り立つように設定されているから、クロスメンバ13の上面の座屈波長λも2W=4Lである。
したがって、実施形態1の作用のところで説明したように、ロッカ12に屈曲荷重が加わった場合、クロスメンバ13およびフロアパネル14は、前記衝撃荷重によって車両上方または車両下方に屈曲することなく、まっすぐに軸圧縮される。
更に、フロアパネル14と傾斜面15、およびクロスメンバ13の上面の何れかまたは両方に補強部16が形成されているから、クロスメンバ13およびフロアパネル14の軸圧縮強度は、補強部16がない場合に比較して更に向上する。
3.実施形態3
[構成]
本発明の車両骨格部材の結合部構造を有する自動車の更に別の例について以下に説明する。
図8に示すように、この自動車の車体3は、実施形態1の自動車の車体1と同様に 車両前後方向に沿って延在するロッカ12と、ロッカ12に直交するように結合され、車幅方向内側に向かって延在するクロスメンバ13と、クロスメンバ13の下方に結合されているとともに、車幅方向外側の端縁部においてロッカ12に結合されたフロアパネル14とを備えている。フロアパネル14におけるロッカ12に結合された側の端縁近傍には、クロスメンバ13の延在方向に沿った長さがL(クロスメンバ13の上面の幅Wに対してW≠2Lであってもよい。)である傾斜面15が形成されている。
図8,9に示すように、クロスメンバ13の上面におけるロッカ12との結合部からの距離がLの位置に、ビード状の凹陥部である凹ビード17Aがクロスメンバ13の幅方向(車両前後方向)に沿って設けられている。そして、凹ビード17Aからの距離が2Lの位置に、ビード状の突出部である凸ビード17Bがクロスメンバ13の幅方向に沿って設けられている。
なお、クロスメンバ13の上面に凹ビード17Aおよび凸ビード17Bを設ける代わりに、図10、11に示すように、ロッカ12との結合部からの距離がLの位置に中心が位置するように凹陥面18Aを設け、凹陥面18Aの中心からの距離が2Lの位置に中心が位置するように突出面18Bを設けてもよい。図10、11に示す例においては、凹陥面18Aと突出面18Bとは全体として波打ち面を形成しているが、凹陥面18A、突出面18Bは、それぞれ球面状、円錐状、三角錐状、四角錐状、多角錐状、円錐台状、三角錐台状、四角錐台状、多角錐台状の凹陥面、突出面であっても良い。
[作用]
以下、実施形態3の作用について説明する。
前述のように、クロスメンバ13の上面には凹ビード17A、凸ビード17B、または凹陥面18A、突出面18Bが設けられている。
したがって、ロッカ12とクロスメンバ13との結合部においてロッカ12に車幅方向内側に向かう衝撃荷重が加わると、図12、13に示すように、クロスメンバ13における凹ビード17Aまたは凹陥面18Aが設けられている部分は車両下方に向かって屈曲し、凸ビード17Bまたは突出面18Bが設けられている部分は車両上方に向かって屈曲する。したがって、クロスメンバ13の上面の座屈波長λは4Lとなる。一方、フロアパネル14には、クロスメンバ13の延在方向に沿った長さがLの傾斜面15が設けられているから、フロアパネル14および傾斜面15の座屈波長λ’も4Lである。
このように、傾斜面15の長さLがW=2Lの関係を満たさなくてもクロスメンバ13の上面と底面との座屈波長は一致するから、クロスメンバ13およびフロアパネル14は、前記衝撃荷重によって車両上方または車両下方に屈曲することなく、まっすぐに軸圧縮される。
4.実施形態4
[構成]
本発明の車両骨格部材の結合部構造を有する自動車の更に別の例について以下に説明する。
図14および図15に示すように、この自動車の車体4は、実施形態1の自動車の車体1と同様に 車両前後方向に沿って延在するロッカ12と、ロッカ12に直交するように結合され、車幅方向内側に向かって延在するクロスメンバ13と、クロスメンバ13の下方に結合されているとともに、車幅方向外側の端縁部においてロッカ12に結合されたフロアパネル14とを備えている。フロアパネル14におけるロッカ12に結合された側の端縁近傍には、クロスメンバ13の延在方向に沿った長さがL(クロスメンバ13の上面の幅Wに対してW≠2Lであってもよい。)である傾斜面15が形成されている。同様にクロスメンバ13の上面におけるロッカ12との結合部近傍にも、クロスメンバ13の延在方向に沿った長さがLの傾斜面19が形成されている。傾斜面15および傾斜面19は、何れも結合部から車幅内側方向に向かって車両下方に傾斜している。
なお、車体4においては、図16に示すように、フロアパネル14および傾斜面15におけるクロスメンバ13の下側に位置する部分に互いに平行な2本のビード状の補強部16を形成してもよい。補強部16は、クロスメンバ13の延在方向に沿って形成され、長さは4Lとされている。但し、補強部16の本数は2本には限定されず、1本のみであっても良く、また3本以上であってもよい。また、補強部16は、図16に示す例においては車両上方に向かって突出するように形成されているが、車両下方に向かって突出するように形成してもよい。更に、補強部16のロッカ12側の末端は、図7に示すようにロッカ12のインナーパネル12Aに達していなくてもよく、言い換えれば、補強部16のロッカ12側の末端がインナーパネル12Aよりも車幅方向内側に位置していてもよい。また、フロアパネル14および傾斜面15に加えてクロスメンバ13の上面にもビード状の補強材を形成することができる。
[作用]
以下、実施形態4の作用について説明する。
前述のように、フロアパネル14におけるロッカ12との結合部近傍には長さLの傾斜面15が、クロスメンバ13の上面における前記結合面の近傍には同じく長さLの傾斜面19が設けられている。
したがって、クロスメンバ13の上面および下面の何れにおいても座屈波長は4Lに設定されるから、クロスメンバ13の上面の幅Wと傾斜面15、19の長さLとの間にW=2Lの関係が無くても、ロッカ12とクロスメンバ13との結合部Aにおいてロッカ12に車幅方向内側に向かう衝撃荷重が加わると、クロスメンバ13およびフロアパネル14は、前記衝撃荷重によって車両上方または車両下方に屈曲することなく、まっすぐに軸圧縮される。
以上、自動車の車体におけるロッカとクロスメンバとの結合部を例に挙げて説明したが、フロアパネルの車幅方向中央部に形成されたトンネル部とクロスメンバとの結合部にも本発明の車両骨格部材の結合部構造が適用できる。
図1は、実施形態1に係る車体におけるロッカとクロスメンバとフロアパネルとの車両骨格部材の結合部構造を示す斜視図である。 図2は、図1に示す車両骨格部材の結合部構造を車両前方から見た構成を示す正面図である。 図3は、図1に示す車両骨格部材の結合部構造、およびクロスメンバの上面と底面との座屈波長が異なる車両骨格部材の結合部構造において、ロッカに屈曲方向の衝撃荷重が加わったときのクロスメンバおよびフロアパネルの破壊の状況を示す説明図である。 図4は、実施形態2に係る車体におけるロッカとクロスメンバとフロアパネルとの車両骨格部材の結合部構造を示す斜視図である。 図5は、図4に示す車両骨格部材の結合部構造を車両前方から見た構成を示す正面図である。 図6は、図4に示す車両骨格部材の結合部構造の別の例にについて、車両前方から見た構成を示す正面図である。 図7は、図4に示す車両骨格部材の結合部構造の更に別の例にについて、車両前方から見た構成を示す正面図である。 図8は、実施形態3に係る車体におけるロッカとクロスメンバとフロアパネルとの車両骨格部材の結合部構造を示す斜視図である。 図9は、図8に示す車両骨格部材の結合部構造をクロスメンバの延在方向に沿った面で切断した断面を示す断面図である。 図10は、実施形態3に係る車体におけるロッカとクロスメンバとフロアパネルとの車両骨格部材の結合部構造の別の例を示す斜視図である。 図11は、図10に示す車両骨格部材の結合部構造をクロスメンバの延在方向に沿った面で切断した断面を示す断面図である。 図12は、図8に示す車両骨格部材の結合部構造において、ロッカに屈曲方向の衝撃荷重が加わったときのクロスメンバおよびフロアパネルの破壊の状況を示す説明図である。 図13は、図10に示す車両骨格部材の結合部構造において、ロッカに屈曲方向の衝撃荷重が加わったときのクロスメンバおよびフロアパネルの破壊の状況を示す説明図である。 図14は、実施形態4に係る車体におけるロッカとクロスメンバとフロアパネルとの車両骨格部材の結合部構造を示す斜視図である。 図15は、図14に示す車両骨格部材の結合部構造を車両前方から見た構成を示す正面図である。 図16は、図14に示す車両骨格部材の結合部構造においてフロアパネルにビード状の補強部を形成した例を示す斜視図である。
符号の説明
1 車体
2 車体
3 車体
4 車体
12 ロッカ
12A インナーパネル
12B アウターパネル
13 クロスメンバ
14 フロアパネル
15 傾斜面
16 補強部
17A 凹ビード
17B 凸ビード
18A 凹陥面
18B 突出面
19 傾斜面

Claims (8)

  1. 一方向に延在する第1骨格部材と、
    前記第1骨格部材に対して交差配置されて交差方向に延在し、端部で前記第1骨格部材に結合された第2骨格部材と、
    を有し、
    前記第2骨格部材の底面は、前記第1骨格部材と前記第2骨格部材との結合部に対して下方に位置するとともに、
    前記結合部と前記第2骨格部材の底面とは、前記第2骨格部材の延在方向に沿った長さLが前記第2骨格部材の上面の幅Wに対してW=2Lの関係にあるように設定されている傾斜面によって連結されていることを特徴とする車両骨格部材の結合部構造。
  2. 前記第2骨格部材の底面には、前記傾斜面を経由して前記結合部に向かう長さ4Lのビード状の補強部が長手方向に沿って形成されている請求項1に記載の車両骨格部材の結合部構造。
  3. 一方向に延在する第1骨格部材と、
    前記第1骨格部材に対して交差配置されて交差方向に延在し、端部で前記第1骨格部材に結合された第2骨格部材と、
    を有し、
    前記第2骨格部材の底面は、前記第1骨格部材と前記第2骨格部材との結合部に対して下方に位置するとともに、
    前記第2骨格部材の上面および底面と前記結合部とは、前記第2骨格部材の延在方向に沿った長さLが等しく、且つ同一方向に傾斜する1対の傾斜面によって連結されていることを特徴とする車両骨格部材の結合部構造。
  4. 前記第2骨格部材における頂面および底面の少なくとも一方には、前記傾斜面を経由して前記結合部に向かう長さ4Lのビード状の補強部が長手方向に沿って設けられている請求項3に記載の車両骨格部材の結合部構造。
  5. 一方向に延在する第1骨格部材と、
    前記第1骨格部材と交差配置されて交差方向に延在し、端部で前記第1骨格部材に結合された第2骨格部材と、
    を有し、
    前記第2骨格部材の底面は、前記第1骨格部材と前記第2骨格部材との結合部に対して下方に位置するとともに、
    前記結合部と前記第2骨格部材の底面とは、前記第2骨格部材の延在方向に沿った長さがLの傾斜面によって連結され、
    前記第2骨格部材の上面における前記結合部からの距離がLの部分に凹陥部が、前記上面における前記凹陥部からの距離が2Lの部分に突出部が形成されていることを特徴とする車両骨格部材の結合部構造。
  6. 前記凹陥部は、前記第2骨格部材の幅方向に沿ったビード状凹陥部である凹ビードであり、前記突出部は、前記第2骨格部材の幅方向に沿ったビード状突出部である凸ビードである請求項5に記載の車両骨格部材の結合部構造。
  7. 前記第2骨格部材の上面を波打ち面とすることによって前記凹陥部および突出部が形成されている請求項5に記載の車両骨格部材の結合部構造。
  8. 前記第1骨格部材はロッカであり、前記第2骨格部材はクロスメンバとフロアパネルとから構成されている請求項1〜7の何れか1項に記載の車両骨格部材の結合部構造。
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