JP2008182135A - 露光装置、光学機器、露光方法及びデバイス製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光学素子表面の酸化やカーボン成長を抑制し、その特性を良好に維持できる露光装置等を提供すること。
【解決手段】露光装置10は、炭酸系ガスを導入するガス供給装置85を備える。制御装置90は、真空計86から随時入力される真空度の測定値に基づいて真空容器83内の炭酸ガスの圧力を監視するとともに、光量モニタ87から随時入力される照射光量の測定値に基づいて真空容器83内の極端紫外線の透過率低下を監視し、真空容器83内の炭酸ガスの圧力が所定の目標値に保たれるようにガス供給装置85の動作を制御することによって、真空容器83内の雰囲気制御を行う。
【選択図】図1
【解決手段】露光装置10は、炭酸系ガスを導入するガス供給装置85を備える。制御装置90は、真空計86から随時入力される真空度の測定値に基づいて真空容器83内の炭酸ガスの圧力を監視するとともに、光量モニタ87から随時入力される照射光量の測定値に基づいて真空容器83内の極端紫外線の透過率低下を監視し、真空容器83内の炭酸ガスの圧力が所定の目標値に保たれるようにガス供給装置85の動作を制御することによって、真空容器83内の雰囲気制御を行う。
【選択図】図1
Description
本発明は、極端紫外線又は軟X線を露光光源として用いる露光装置、光学機器、露光方法、及びこれらを用いたデバイス製造方法に関する。
近年、半導体集積回路の微細化に伴い、光の回折限界によって達成される光学系の解像度を向上させるため、従来の紫外線に代えてこれより短い波長(例えば11〜14nm)の極端紫外線を用いた露光技術が開発されている。このような極端紫外線(EUV:Extreme Ultra Violet)等を用いた露光装置では、投影用や照明用の光学素子として反射ミラーが用いられる。
かかる露光装置では、極端紫外線が大気によって吸収されるため、光学系の置かれる環境が真空に保たれる。しかしながら、真空中であっても不純物を完全に排除することができないため、この残存する不純物が反射ミラー表面の汚染(コンタミネーション)の原因となり、反射率の低下をもたらすという問題があった。コンタミネーションは、残存する水分や酸素による反射ミラー表面の酸化によるものと、残存する炭化水素が極端紫外線の照射によって分解し、反射ミラー表面に炭素(カーボン)等として析出することによるものとに分類される。したがって、反射ミラー表面の酸化を抑制する技術や、反射ミラー表面上のカーボン成長を抑制する技術の開発が不可欠となっている。例えば、酸化抑制技術としては、反射ミラー表面に酸化防止のための保護膜(Capping layer)を形成する技術が知られている。一方、カーボン成長の抑制技術としては、酸素や水蒸気等を導入して真空雰囲気を酸化性雰囲気とすることで、反射率低下を抑制する技術が知られている。なお、かかる技術を適用する場合には、反射ミラー表面に、耐酸化性に優れた保護膜を形成しておく必要がある。
さらに、前述のように真空雰囲気を酸化性雰囲気とする際、さらにエタノールを導入する技術が提案されている。すなわち、極端紫外線の照射下、エタノールの導入によって反射ミラー表面に炭素を析出させ、同時に反射ミラー表面から炭素を酸化除去することで、コンタミネーションの原因となる水分や酸素、炭化水素等の反射ミラー表面への吸着を防止する(非特許文献1参照。)。
H. Meiling et al., abstract of 2nd International Workshop on EUV Lithography, San Francisco (2000)
H. Meiling et al., abstract of 2nd International Workshop on EUV Lithography, San Francisco (2000)
前述の非特許文献1に開示されている技術は、反射ミラー表面に対する炭素の析出効果と酸化除去効果とを相殺することで反射ミラー表面の汚染を防止しようとするものである。しかしながら実際には、反射ミラー表面に照射される極端紫外線の強度にはムラがあるため、反射ミラー表面の全領域で炭素の析出速度と酸化除去速度とを均一に保つのは困難である。また、反射ミラー表面に形成させる保護膜についても、反射ミラー表面の酸化を完全に防止できる材料の開発はなされていない。このため、水分や酸素、炭化水素等の反射ミラー表面への吸着を完全に防止することはできず、反射ミラー表面の汚染が進行してしまう。
本発明は、上記した問題点に鑑み為されたものであり、光学素子表面の酸化やカーボン成長を抑制し、その特性を良好に維持できる露光装置、光学機器、露光方法、及びデバイスの製造方法を提供することを目的とする。
以上の課題を解決するための本発明に係る露光装置は、光源光を発生させる光源と、光源からの光源光を転写用のマスクに導く照明光学系と、マスクのパターン像を感応基板上に形成する投影光学系と、マスク、照明光学系、及び投影光学系に用いる光学素子のうち少なくとも一部を収容する真空容器と、真空容器内を排気する排気装置と、真空容器内に炭酸系ガスを導入するガス供給装置と、ガス供給装置の動作を制御して、真空容器内への炭酸系ガスの導入量を調節する制御装置とを備える。
上記露光装置では、マスクや光学系に用いる光学素子を収容する真空容器内に、炭酸系ガスが導入される。前述のように露光装置では、光学系の置かれる環境が真空に保たれるが、残存する水分や酸素、炭化水素等が光学素子の表面に吸着し、コンタミネーションの原因となる。本発明によれば、炭酸系ガスの導入量の調整によって光学素子表面に炭酸系ガス分子を吸着させることができる。これにより、光学素子表面に吸着した炭酸系ガス分子が保護膜のような役割を果たし、コンタミネーションの原因となる水分や酸素、炭化水素等の光学素子表面への吸着を防止することができる。したがって、光学素子表面の酸化やカーボン成長を抑制することができ、反射率等の光学素子の特性を良好に維持することが可能となる。つまり、光学素子の寿命が延び、露光装置のメンテナンスに係るコストも低減できる。
なお、上記の露光装置において、炭酸系ガスは、炭酸ガス、一酸化炭素ガス、またはこれらの混合物とすることができる。光学素子の表面に吸着した炭化水素分子は、その分子量が大きいほど光分解し易く炭素等として析出し易い。一方炭酸系ガスとして真空容器内に導入される炭酸ガス分子や一酸化炭素ガス分子は、分子量が小さいため炭化水素分子と比較して光分解し難い。また、光学素子表面に吸着しても滞在時間が短く、吸着と脱離を繰り返すため、光学素子表面に吸着して炭素等として析出する等、光学素子表面の汚染要因となり難い。このように、真空容器内に炭酸系ガスとして導入される炭酸ガスや一酸化炭素ガスは、光学素子の表面に対する影響が少ないため、光学素子表面の汚染を効果的に防止できる。またこの他にも、取り扱いが容易である、安価であるといった利点がある。
また、上記の露光装置において、真空容器内の真空度を測定する真空度測定装置をさらに備えた構成としてもよい。或いは、真空容器内における光源光の透過率を検出するためのセンサをさらに備えた構成としてもよい。
また、本発明に係る光学機器は、軟X線及び極端紫外線の少なくとも一部を含む波長域にある光束を入射させる少なくとも1つの光学素子と、少なくとも1つの光学素子を収容する真空容器と、真空容器内を排気する排気装置と、真空容器内に炭酸系ガスを導入するガス供給装置と、ガス供給装置の動作を制御して、真空容器内への炭酸系ガスの導入量を調節する制御装置とを備える。
上記光学機器では、少なくとも1つの光学素子を収容する真空容器内に炭酸系ガスを導入するとともにその導入量の調整を可能にしているので、光学素子表面を覆うように炭酸系ガス分子を吸着させることができる。これにより、光学素子表面に吸着した炭酸系ガス分子が保護膜のような役割を果たし、コンタミネーションの原因となる水分や酸素、炭化水素等の光学素子表面への吸着を防止することができるので、光学素子の寿命が延び、露光装置等を含む各種光学機器のメンテナンスに係るコストも低減できる。
また、本発明に係る露光方法は、マスクのパターン像を感応基板上に形成するための露光方法であって、マスクと露光用の光学系とに用いる光学素子のうち少なくとも一部を収容する真空容器内に、炭酸系ガスを導入する工程と、炭酸系ガスの導入量を調節する工程とを含む。
そして、本発明に係るデバイス製造方法は、その製造工程において上記露光装置を用いる。これにより、高性能なデバイスを製造することが可能となる。
図1は、本発明の一実施形態である露光装置の構成を説明するための図である。この露光装置10は、光学系として、極端紫外線(波長11〜14nm)を発生する光源装置50と、極端紫外線の照明光によってマスクMAを照明する照明光学系60と、マスクMAのパターン像を感応基板であるウエハWAに転写する投影光学系70とを備え、機械機構として、マスクMAを支持するマスクステージ81と、ウエハWAを支持するウエハステージ82とを備える。また、露光装置10は、上記光源装置50の一部及び光学系60,70を収容する真空容器83と、真空容器83内のガスを排気する排気装置84と、真空容器83内に炭酸系ガスを供給するガス供給装置85と、真空度を測定するための真空計86と、真空容器83内の光の透過率を検出するための光量モニタ87とを備える。さらに、露光装置10は、露光装置10の各部、具体的には、光源装置50、マスクステージ81、ウエハステージ82、排気装置84、ガス供給装置85等の動作を統括的に制御する制御装置90を備える。なお、ウエハWAは、感応基板を具体化して、レジスト等の感光層を表面コートしたものである。また、真空計86は、真空容器83内の真空度を計測するための真空度測定装置を具体化したものであり、光量モニタ87は、露光光の透過率を検出するためのセンサを具体化したものである。
光源装置50は、プラズマ励起用のレーザ光を発生するレーザ光源51と、ターゲット材料であるキセノン等のガスを筐体SC中に供給するチューブ52とを備える。また、この光源装置50には、コンデンサ54やコリメータミラー55が付設されている。光源装置50では、チューブ52の先端から出射されるキセノンに対しレーザ光源51からのレーザ光を集光させることにより、その部分のターゲット材料をプラズマ化して極端紫外線を発生させる。コンデンサ54は、チューブ52の先端Sで発生した極端紫外線を集光する。コンデンサ54を経た極端紫外線は、収束されつつ筐体SC外に射出し、コリメータミラー55に入射する。なお、以上のようなレーザプラズマタイプの光源装置50からの光源光に代えて、放電プラズマ光源からの光源光、シンクロトロン放射光源からの放射光等を使用することができる。
照明光学系60は、反射型のオプティカルインテグレ一タ61,62、コンデンサミラー63、折曲ミラー64等により構成される。照明光学系60では、光源装置50からの光源光を、多数の小ミラーを含むオプティカルインテグレ一タ61,62によって照明光として均一化しつつコンデンサミラー63によって集光し、折曲ミラー64を介してマスクMA上の所定領域(例えば帯状領域)に入射させる。これにより、マスクMA上の所定領域を適当な波長の極端紫外線によって均一に照明することができる。
なお、極端紫外線の波長域で十分な透過率を有する物質は存在せず、マスクMAには、透過型のマスクではなく反射型のマスクすなわちパターン状のミラーが使用されている。
投影光学系70は、多数のミラー71,72,73,74で構成される縮小投影系である。マスクMA上に形成されたパターン像である回路パターンは、投影光学系70によってレジストが塗布されたウエハWA上に結像してこのレジストに転写される。この場合、回路パターンが一度に投影される領域は、直線状又は円弧状のスリット領域であり、例えばマスクMAとウエハWAとを同期して移動させる走査露光によって、マスクMA上に形成された矩形の回路パターンをウエハWA上の矩形領域に無駄なく転写することができる。
マスクステージ81は、制御装置90の制御下で、マスクMAを支持しつつマスクMAの位置や速度等を精密に監視しつつ所望の位置に移動させることができる。また、ウエハステージ82は、制御装置90の制御下で、ウエハWAを支持しつつウエハWAの位置や速度等を精密に監視しつつ所望の位置に移動させることができる。
以上の光源装置50のうち極端紫外線の光路上に配置される部分と、照明光学系60と、投影光学系70とは、真空容器83内に配置されており、露光光の減衰が防止されている。つまり、極端紫外線は大気に吸収されて減衰するが、装置全体を真空容器83によって外部から遮断するとともに、極端紫外線の光路を所定の真空度(例えば、1×10−3Pa以下)に維持することで、極端紫外線の減衰すなわち転写像の輝度低下やコントラスト低下を防止している。
真空容器83内において極端紫外線の光路上に配置されるミラー54,55,61,62,63,64,71,72,73,74やマスクMAは、反射型の光学素子となっている。図2は、上記のような光学素子の構造の一例を概念的に説明する拡大断面図である。この光学素子20は、下地となる例えば石英ガラス製の基板21上に反射膜22を形成したものである。反射膜22は、真空に対する屈折率が異なる2種類以上の物質からなる薄膜層L1,L2を基板21上に例えば交互に積層することによって形成した数層から数百層の多層膜である。この多層膜を構成する2種類以上の薄膜層L1,L2として、例えばMo層及びSi層を用いることができる。
排気装置84は、真空容器83に接続された真空ポンプを有しており、制御装置90からの制御に基づいて真空容器83内部を必要な真空度に維持する。一方、ガス供給装置85は、炭酸ガスのガス源85aと、ガス源85aからの炭酸ガスを炭酸系ガスとして真空容器83内に導入するガス導入機構85bとを有している。このガス導入機構85bは、例えばモータ等の駆動装置を付加したリークバルブに流量計、圧力調整器等を組み合わせたもので実現される。ガス供給装置85は、制御装置90の制御に従い、導入管を介して真空容器83内に炭酸ガスを適当なタイミングで必要量だけ供給する。これにより、真空容器83内の炭酸ガスの圧力が後述する所定の目標値に保たれる。
真空計86は、例えば真空容器83内の真空度を測定する全圧計で構成され、この真空計86により測定された真空度の測定値は、随時制御装置90に出力される。
光量モニタ87は、ウエハステージ82上に配置された例えばフォトダイオードであり、ウエハステージ82上に届く極端紫外線を受光して照射光量を測定する。この光量モニタ87により測定された照射光量の測定値は、随時制御装置90に出力される。
制御装置90は、本実施形態を実現するための処理として、真空計86や光量モニタ87から随時入力される測定値に基づいて真空容器83内の雰囲気を制御する処理を行う。この制御装置90はメモリを備えており、基準真空度と、基準照射光量とを記憶する。基準真空度は、予めガス供給装置85による炭酸ガスの導入前に真空計86で測定される真空度であって、具体的には、排気装置84により真空容器83内を十分に排気した状態で測定された値が設定される。基準照射光量は、予めガス供給装置85による炭酸ガスの導入前に光量モニタ87で測定される照射光量であって、具体的には、排気装置84により真空容器83内を十分に排気した状態で測定された値が設定される。
先ず、制御装置90は、前述の基準真空度を基準とし、真空計86から随時入力される測定値に基づいて、真空容器83内の炭酸ガスの圧力が所定の目標値に保たれるように監視する。この目標値は、真空容器83内に収容された光学素子20の表面22aに炭酸ガス分子を所定以上の密度で吸着させ、且つ真空容器83内への炭酸ガスの導入に起因する極端紫外線の透過率低下を、所定の許容範囲内(例えば5%以下)に制限可能な値として予め算出される値であって、下限目標値と上限目標値とを含む。
水分や酸素、炭化水素等の光学素子20の表面22aへの吸着を防止するためには、炭酸ガス分子によって光学素子20の表面全域が略隙間無く覆われるように真空容器83内に炭酸ガス分子を存在させる必要がある。一方で、真空容器83内に炭酸ガスを導入すると、真空容器83内の光源光の透過率が低下するため、この透過率の低下をどの程度許容するかという問題がある。真空容器83内における炭酸ガスの圧力を前述の目標値に保つことで、真空容器83内における光源光の透過率低下を許容範囲内に制限しつつ、真空容器83内に収容された光学素子20の略表面全域が炭酸ガス分子によって略被覆されるように、真空容器83内に炭酸ガスを導入することが可能となる。
詳細には、透過率の低下量は、以下の算出式(1)に示すように、極端紫外線の光路長と真空容器83内の炭酸ガスの圧力とに基づいて算出される。この算出式(1)に従って、真空容器83内の炭酸ガスの圧力の下限目標値及び上限目標値が算出される。炭酸ガスによる透過率の低下量の算出について具体的に説明すると、まず透過率(T)は、一般的に以下の式で与えられる。
T=exp(−μ×L)
μ:吸収係数
L:光路長
なお、吸収係数μは、着目する媒体の光学定数と密度(すなわち圧力)によって決まる。例えば、着目するガスについてP0が1気圧でμ0が1気圧のときの吸収係数であるものとすると、以下の式で着目ガスについて透過率(T)の圧力依存性を表現することができる。
T=exp(−μ0×(P/P0)×L)
したがって、真空容器83内の炭酸系ガスによる透過率の低下量は、以下の式(1)で算出される。
透過率の低下量=1−T
=1−exp(−μ0×(P/P0)×L) … (1)
なお、以上の式(1)におけるμ0についてより詳細に計算する式も存在するが、ここでは省略する。以上の式(1)に基づいて算出した炭酸系ガスの圧力目標値は、例えば光路長が10mで、透過率低下が5%以下であるとした場合、次の通りになる。
CO:約7.7×10−2(Pa)以下
CO2:約4.1×10−2(Pa)以下
T=exp(−μ×L)
μ:吸収係数
L:光路長
なお、吸収係数μは、着目する媒体の光学定数と密度(すなわち圧力)によって決まる。例えば、着目するガスについてP0が1気圧でμ0が1気圧のときの吸収係数であるものとすると、以下の式で着目ガスについて透過率(T)の圧力依存性を表現することができる。
T=exp(−μ0×(P/P0)×L)
したがって、真空容器83内の炭酸系ガスによる透過率の低下量は、以下の式(1)で算出される。
透過率の低下量=1−T
=1−exp(−μ0×(P/P0)×L) … (1)
なお、以上の式(1)におけるμ0についてより詳細に計算する式も存在するが、ここでは省略する。以上の式(1)に基づいて算出した炭酸系ガスの圧力目標値は、例えば光路長が10mで、透過率低下が5%以下であるとした場合、次の通りになる。
CO:約7.7×10−2(Pa)以下
CO2:約4.1×10−2(Pa)以下
なお、以上の説明では、透過率低下の許容範囲を5%以下としたが、この値は、炭酸ガス分子による表面被覆率の低下や、炭酸ガスの導入によって生ずる透過率の低下をどの程度許容するかによって適宜設定される。
また制御装置90は、前述のように真空容器83内の炭酸ガスの圧力を監視するとともに、さらに、光量モニタ87からの測定値に基づいて真空容器83内における極端紫外線の実際の透過率変化を直接監視している。詳細には、基準照射光量を基準とし、光量モニタ87から随時入力される測定値に基づいて、真空容器83内における極端紫外線の透過率の低下量が5%を超えないように監視する。
なお、監視される真空容器83内の透過率の低下量は、光学素子20の表面22aへのコンタミ物質の付着状況を判断するための目安とすることもできる。すなわち、制御装置90は、メンテナンスを含む露光中断中等の所定のタイミングで、排気装置84の動作を制御して真空容器83内を十分に真空引きした上で、光量モニタ87から入力される測定値と基準照射光量とを比較する。そして、各値の差が所定の閾値以上であれば、光学素子20にコンタミ物質が付着していると判断する。これによれば、ダメージを受けた光学素子20の交換や、クリーニングの実施等を適宜行うことができる。
そして、制御装置90は、以上で説明した監視結果に基づいて、ガス供給装置85の動作を制御して、ガス源85aからの炭酸ガスを、必要に応じて適当量だけ真空容器83に導入する。詳細には、真空容器83内の炭酸ガスの圧力が前述の目標値に保たれるように(下限目標値から上限目標値の範囲内に保たれるように)炭酸ガスの導入量を調節することで、極端紫外線の透過率低下を5%以下に制限する。またこの際、透過率低下が5%を超えないように、真空容器83内における透過率の低下量を加味して炭酸ガスの導入量を調節する。以上の制御装置90の制御によって、極端紫外線の透過率低下を所定の許容範囲内で制限しつつ、光学素子20の表面22aへの炭酸ガス分子の吸着・脱離を促進することができ、光学素子20の表面22aが炭酸ガス分子によって被覆されて保護される。
以下、図1に示す露光装置10の全体的動作について説明する。この露光装置10では、照明光学系60からの照明光によってマスクMAが照明され、マスクMAのパターン像が投影光学系70によってウエハWA上に投影される。これにより、マスクMAのパターン像がウエハWAに転写される。この際、制御装置90が、真空計86からの測定値に基づいて真空容器83内の炭酸ガスの圧力を監視するとともに、光量モニタ87からの測定値に基づいて真空容器83内における極端紫外線の透過率低下を監視し、真空容器83内の炭酸ガスの圧力が所定の目標値に保たれるようにガス供給装置85を制御することによって、真空容器83内の雰囲気制御を行う。
以下、真空容器83内の雰囲気制御について詳細に説明する。制御装置90は、露光の前処理として、排気装置84の動作を制御して真空容器83内を十分に真空引きする。真空容器83内が十分な真空度まで真空引きされたならば、真空計86から入力される測定値を基準真空度とし、光量モニタ87から入力される測定値を基準照射光量としてメモリに記憶する。
一方露光処理中においては、制御装置90は、基準真空度を基準とし、真空計86から随時入力される測定値に基づいて真空容器83内の炭酸ガスの圧力を監視するとともに、基準照度光量を基準とし、光量モニタ87から随時入力される測定値に基づいて真空容器83内における極端紫外線の透過率低下を監視する。そして、ガス供給装置85の動作を制御し、真空容器83内の炭酸ガスの圧力が所定の目標値(下限目標値から上限目標値の範囲内)に保たれるように真空容器83内に炭酸系ガスを適宜導入する。
以上説明した本実施形態の露光装置10によれば、ミラー54,55,61,62,63,64,71,72,73,74やマスクMAである光学素子20を収容する真空容器83内に事前に炭酸ガスを導入することにより、かかる光学素子20の表面22aに炭酸ガス分子を所定以上の密度で吸着させることができる。これにより、コンタミネーションの原因となる水分や酸素、炭化水素等の光学素子20の表面22aへの吸着を防止でき、延いてはこれに起因するコンタミ物質の光学素子20の表面22aへの付着を抑制することができる。したがって、光学素子20の反射率等の特性を良好に維持することが可能となるので、光学素子20の寿命が延び、露光装置10のメンテナンスに係るコストも低減できる。
また、ウエハWAの表面にコートされているレジストの露光反応に伴う炭化水素等のガス放出も不純物の供給源となるが、本実施形態によれば、放出される放出ガス分子(炭化水素分子)による光学素子20の汚染を抑制することができる。すなわち、真空容器83内に炭酸ガスを導入することにより、上述の放出ガス分子は、炭酸ガス分子と衝突・拡散しながら光学素子20の表面22aへ到達するようになる。このため、炭酸ガスを導入しない場合と比較して単位時間あたりにおける光学素子20の表面22aへの放出ガス分子の到達量を減少させることができ、結果として光学素子20の表面22aへの炭素の析出抑制に貢献できる。
以上は、露光装置10やこれを用いた露光方法の説明であったが、このような露光装置10を用いることによって、半導体デバイスその他のマイクロデバイスを高い集積度で製造するためのデバイス製造方法を提供することができる。具体的には、マイクロデバイスは、図3に示すように、マイクロデバイスの機能や性能、パターンの設計等を行う工程(S101)、この設計工程に基づいてマスクMAを作製する工程(S102)、デバイスの基材であるウエハWAを準備する基板製造工程(S103)、前述した実施形態の露光装置10によりマスクMAのパターンをウエハWAに露光する露光処理工程(S104)、一連の露光やエッチング等を繰り返しつつ素子を完成するデバイス組立工程(S105)、組立後のデバイスの検査工程(S106)等を経て製造される。なお、デバイス組立工程(S105)には、通常ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程等が含まれる。
以上、実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、光源光として極端紫外線を用いる露光装置について説明したが、光源光として軟X線を用いる軟X線顕微鏡、軟X線分析装置等の軟X線光学機器にも適用可能である。この場合も、制御装置90が真空計86や光量モニタ87から入力される測定値に基づいてガス供給装置85の動作を制御し、同様の雰囲気制御を行うことにより、この軟X線光学機器を構成する光学素子に関して、酸化やカーボン成長による反射率低下といった特性劣化を有効に防止することができる。
また、露光装置10を、上記実施形態の真空計86に代えて真空容器83内における炭酸系ガスの分圧をモニタするための質量分析装置を具備した構成としてもよい。質量分析装置は、例えば四重極質量分析計等からなり、質量スペクトルから真空容器83内の分子や原子の存在量を検出するための分圧センサである。この質量分析装置は、炭酸系ガスである二酸化炭素や一酸化炭素の分圧を検出し、検出結果を随時制御装置90に出力する。制御装置90は、質量分析装置で検出された炭酸系ガスの分圧に基づいて炭酸系ガスの導入量を調節する。なお、上記の四重極質量分析計は、二重極質量分析計等に置き換えることができる。
またこの場合に、真空容器83内における炭酸系ガスの分圧を、真空容器83内の他のガスの分圧よりも大きくなるように制御することとしてもよい。例えば、真空容器83内には、極端紫外線生成時に放出されるデブリを除去するためにアルゴン等のガスが混入する場合もあり得るが、前述のように炭酸系ガスの分圧を制御することにより、光学素子20の表面22aにおける炭酸系ガス分子による被覆形成の効果を高めることができる。
また、上記実施形態では、炭酸系ガスとして炭酸ガスを導入する場合について説明したが、この炭酸ガスに代えて、一酸化炭素ガスを導入することとしてもよい。この場合には、一酸化炭素による光学素子20の表面22aの酸化膜の還元除去効果も期待できる。或いは、炭酸ガス及び一酸化炭素ガスを所定の割合で導入することとしてもよい。この場合には、ガス供給装置を、炭酸ガス及び一酸化炭素ガスのガス源と、各炭酸系ガスをそれぞれ真空容器83内に導入するためのガス導入機構とを具備する構成とする。そして、制御装置90は、上記の質量分析装置等で真空容器83内の炭酸ガス及び一酸化炭素ガスの分圧がそれぞれ所定の目標値に保たれるように監視し、前述のガス供給装置を制御して各々の炭酸系ガスの導入量を調節する。
また、露光装置10を、上記実施形態の光量モニタ87を具備しない構成とし、真空計86のみを具備した構成としてもよい。この場合には、制御装置90は、真空計86の測定値に基づいて、真空容器83内の炭酸系ガスの圧力が所定の目標値に保たれるよう炭酸系ガスの導入量を調節する。逆に、露光装置10を、上記実施形態の真空計86を具備しない構成とし、光量モニタ87のみを具備した構成としてもよい。この場合には、制御装置90は、光量モニタ87の測定値に基づいて、真空容器83内の炭酸系ガスの圧力が所定の目標値に保たれるよう炭酸系ガスの導入量を調節する。
10…露光装置、 50…光源装置、 60…照明光学系、 70…投影光学系、 54,55,61,62,63,64,71,72,73,74,MA…光学素子、 81…マスクステージ、 82…ウエハステージ、 83…真空容器、 84…排気装置、 85…ガス供給装置、 85a…ガス源、 85b…ガス導入機構、 86…真空計、 87…光量モニタ、 90…制御装置、 MA…マスク、 WA…ウエハ
Claims (11)
- 光源光を発生させる光源と、
前記光源からの光源光を転写用のマスクに導く照明光学系と、
前記マスクのパターン像を感応基板上に形成する投影光学系と、
前記マスク、前記照明光学系、及び前記投影光学系に用いる光学素子のうち少なくとも一部を収容する真空容器と、
前記真空容器内を排気する排気装置と、
前記真空容器内に炭酸系ガスを導入するガス供給装置と、
前記ガス供給装置の動作を制御して、前記真空容器内への前記炭酸系ガスの導入量を調節する制御装置と、
を備える露光装置。 - 前記炭酸系ガスは、炭酸ガス及び一酸化炭素ガスの少なくとも1つを含む請求項1に記載の露光装置。
- 前記光源は、軟X線及び極端紫外線の少なくとも一部を含む波長域にある光源光を発生する光源である請求項1及び2の何れか一項に記載の露光装置。
- 前記真空容器内の真空度を測定する真空度測定装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記真空度測定装置による測定結果に基づいて、前記真空容器内における前記炭酸系ガスの圧力が所定の目標値に保たれるように、前記真空容器内への前記炭酸系ガスの導入量を調節する請求項1〜3の何れか一項に記載の露光装置。 - 前記所定の目標値は、前記真空容器内に収容された光学素子の表面に、前記炭酸系ガスの分子を所定以上の密度で吸着させることができ、前記炭酸系ガスの導入に起因する前記真空容器内における軟X線及び極端紫外線の少なくとも一部を含む波長域の透過率低下を、所定の許容範囲内に制限可能な値である請求項4に記載の露光装置。
- 前記真空容器内における光源光の透過率を検出するためのセンサをさらに備え、
前記制御装置は、前記センサによる検出結果に基づいて前記真空容器内における透過率の低下量を監視し、監視される透過率の低下量を加味して前記真空容器内への前記炭酸系ガスの導入量を調節する請求項1〜5の何れか一項に記載の露光装置。 - 前記真空容器内における前記炭酸系ガスの分圧は、前記真空容器内に導入されている他のガスの分圧よりも大きい請求項1〜6の何れか一項に記載の露光装置。
- 軟X線及び極端紫外線の少なくとも一部を含む波長域にある光束を入射させる少なくとも1つの光学素子と、
前記少なくとも1つの光学素子を収容する真空容器と、
前記真空容器内を排気する排気装置と、
前記真空容器内に炭酸系ガスを導入するガス供給装置と、
前記ガス供給装置の動作を制御して、前記真空容器内への前記炭酸系ガスの導入量を調節する制御装置と、
を備える光学機器。 - 前記炭酸系ガスは、炭酸ガス及び一酸化炭素ガスの少なくとも1つを含む請求項8に記載の光学機器。
- マスクのパターン像を感応基板上に形成するための露光方法であって、
前記マスク及び露光用の光学系に用いる光学素子のうち少なくとも一部を収容する真空容器内に、炭酸系ガスを導入する工程と、
前記炭酸系ガスの導入量を調節する工程と、
を含む露光方法。 - 請求項1〜7の何れか一項に記載の露光装置を用いるデバイス製造方法。
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JP2007015833A JP2008182135A (ja) | 2007-01-26 | 2007-01-26 | 露光装置、光学機器、露光方法及びデバイス製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013502705A (ja) * | 2009-08-21 | 2013-01-24 | カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー | 反射光学素子及びその生産方法 |
JP2015208778A (ja) * | 2014-04-30 | 2015-11-24 | 三菱重工業株式会社 | レーザ受光装置及びレーザ加工ユニット |
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2007
- 2007-01-26 JP JP2007015833A patent/JP2008182135A/ja active Pending
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