JP2006319245A - 露光方法、露光装置及びパターン形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 光学素子表面上にカーボンが堆積する、もしくは光学素子表面が酸化されると、光学素子の性能が落ち、スループットが低下してしまう。
【解決手段】 露光装置内の少なくともひとつの光学素子が設置されている領域において、メタンのガス分圧を1.5E−8Pa以上1.0E−2Pa以下に制御することを特徴とする露光方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、レチクル上に形成されたパターンを露光光によって被露光体に投影し転写する露光方法、露光装置及びデバイス製造方法に関する。
従来、半導体メモリや論理回路などの微細な半導体素子を製造するためのリソグラフィ方法として、紫外線を用いた縮小投影露光が行なわれてきた。しかし、現在、半導体素子の高集積化が進むにつれ、従来の紫外光を用いた光リソグラフィでは実現不可能な70nm以下の解像力を得る技術の開発が急務となっている。
最近では、非常に微細な回路パターンを効率よく焼き付けるために、紫外線にかえて更に波長が短い波長11〜15nmのEUV(Extreme Ultraviolet:極紫外)光を用いた光リソグラフィ技術が開発されている。このEUVリソグラフィ技術は、70nm以下の解像度が得られる技術として期待されている。
波長11〜15nmのEUV領域では、全ての物質が強い吸収を持つため、紫外光を露光光とするリソグラフィのように屈折を利用した透過型の光学素子は使えず、極薄い薄膜フィルターやミラーなどの反射型光学素子をその光学系に使用し、その表面には光学定数の異なる2種類の物質を交互に積層した多層膜が形成される。多層膜は、例えば、精密な形状に研磨されたガラス基板の表面にモリブデン(Mo)とシリコン(Si)を交互に積層する。その層の厚さは、例えばMo層の厚さは3nm、Si層の厚さは4nm程度である。
ところで、波長11〜15nmのEUV領域の光は大気中に存在するガス成分によっても吸収され、著しく減衰するため、露光装置内は露光光が減衰しない程度の真空に保たれている。しかし、露光装置内の真空雰囲気中には、主に炭素系の物質を含むガスや水が残留している。これらの残留ガス成分は、ひとつは真空中、露光装置内部で使用される部品やケーブル、部材などから発生する。また、ウェハ上に塗布されたレジストと呼ばれる感光性の物質から揮発する成分も含まれる。
これらの残留ガス成分は、露光装置内部で用いられる光学素子表面上に物理吸着し、吸着と脱離を繰り返している。光学素子表面上に吸着する時間は物質により様々で数10ピコ秒から長いもので数1000秒まで及ぶ。これらの残留ガス成分は、通常、物理吸着のみで光学素子表面上に付着したり反応を起こしたりすることはない。
しかし、光学素子にEUV光が照射されると、光学素子表面で二次電子が発生し、この二次電子により光学素子表面上に吸着した残留ガス成分が解離を起こす。特に炭素を含む化合物が光学素子表面上に物理吸着した場合は、解離によりカーボンが光学素子表面上に堆積する。また、水が物理吸着した場合には、解離によって生成した活性種により光学素子表面上で反応が起こり光学素子表面上を酸化し、表面を消費してしまう。
光学素子表面上にカーボンが堆積する、もしくは光学素子表面が酸化されると、光学素子の性能が落ち、スループットが低下してしまう。特にEUV露光装置においては光学素子が反射型多層膜ミラーの場合、カーボンが僅か数nm堆積する、もしくは、最上層が僅か数nm酸化するだけでも反射率の低下を招く。EUV露光装置においては、多層膜ミラーの反射率が1枚につき僅かに低下したたけでも露光装置のスループットに非常に大きな影響を与えてしまう。
これまで、カーボン堆積については、堆積を防ぐ方法や付着した場合に除去する方法が提案されてきた。
カーボン堆積の防止については、照明光学系が配置される領域、反射型レチクルが配置される領域、縮小投影光学系が配置される領域のうち、少なくとも1つの領域における炭化水素化合物のガス分圧を低く抑えてカーボン付着を防ぐ方法が提案されている。炭化水素化合物は、メタン、エタン、もしくはプロパンなどの炭化水素、イソプロピルアルコールもしくはポリメチルメタクリエートなどの直鎖有機物、またはベンゼンもしくはフタル酸エステルなどの環状有機物であることを特徴とする(例えば、特許文献1に記載されている)。これら露光装置内に残留しているガスの量は、残留ガス放出の極力少ない材料を選択することや充分時間をかけて排気することなどにより、ある程度まで低下させることができる。
堆積したカーボン除去の方法については、例えば、光学部品を含んだ露光装置内のスペースを、水、窒素酸化物、および酸素含有炭化水素から選択された酸素含有種の存在下、250nmに満たない波長を有するUV光もしくはEUV光にて照射する方法が提案されている。約250nmないしはそれ以下の波長を有するUV光あるいはEUV光にて照射されると、スペース内の酸素含有種は分解され、酸素ラジカルおよび、酸素含有種の特性によりOH基もしくは炭化水素基といったような他のラジカルを形成する。形成された酸素ラジカルは効果の高い洗浄剤として作用し、光学素子表面から炭化水素や他の汚染粒子を除去する(例えば、特許文献2に記載されている)。また、同じくカーボン除去方法として、露光装置内に水蒸気、酸素、オゾン及びラジカル群から選択された少なくとも1つの物質を含む処理ガスを導入し、電子線を照射する方法が提案されている。水蒸気、酸素、オゾン及びラジカル群から選択された少なくとも1つの物質を含む処理ガスに電子線を照射すると、処理ガス中の気体分子が電離する。この電離した気体分子が被洗浄物に付着している汚染物と反応し、汚染物が酸化されて分解蒸発する。蒸発した汚染物は排気手段により排気されて、汚染が除去される(例えば、特許文献3に記載されている)。
特許第3467485号明細書 特開2003−188096号明細書 特開2002−237443号明細書
上記したようなカーボン堆積を防止する方法、もしくは堆積しても除去する方法は有効な手段であるが、カーボン堆積を防止、もしくは堆積したカーボンを除去できる反面、光学素子表面を酸化してしまい、光学素子の性能を低下させてしまうことが懸念される。
例えば、特許文献1にあるような炭化水素化合物のガス分圧を低く抑えてカーボン付着を防ぐような方法では、露光装置内の雰囲気中に存在するガス成分の分圧条件によっては、カーボン付着は起こらないが酸化がおこる、またはカーボン堆積と酸化が両方起こってしまうことがあり得る。例えば、露光装置内の炭素化合物成分の分圧に比べて水の分圧が高い場合には、光学素子表面が酸化されてしまう場合がある。
また、例えば、特許文献2、もしくは特許文献3にあるような、露光装置内にガスを導入し、UV光やEUV光、電子線を照射して堆積したカーボンを除去する方法では、クリーニングが行き過ぎて光学素子表面を酸化してしまうことが懸念される。特に、カーボンを酸化し、一酸化炭素や二酸化炭素として除去する場合、例えば光学素子の最上層がSiであった場合に堆積したカーボンよりもSiのほうが酸化しやすいため、光学素子が劣化しやすい。
さらに、特筆すべきことは、光学素子にカーボンが堆積した場合、除去は可能であるが、光学素子が一度酸化されてしまうと、もとに戻す手段がない。したがって、光学素子の寿命を延ばすためには、酸化を避けることが必須となってくる。
本発明の目的は、光学素子表面の酸化を防ぐことにより光学素子の劣化を防止し、光学素子の寿命を延ばすことにある。
上記の課題を解決するため、本発明における露光方法および露光装置は、露光装置内の少なくともひとつの光学素子が設置されている領域において、メタンのガス分圧を1.5E−8Pa以上1.0E−2Pa以下に制御することを特徴とする露光方法および露光装置である。かかる露光方法、露光装置では、露光装置内の少なくともひとつの光学素子が設置されている領域において、質量数16のガス成分分圧を1.5E−8Pa以上1.0E−2Pa以下に制御してもよい。また、露光装置内の少なくともひとつの光学素子が設置されている領域において、エタンもしくはプロパンのガス成分分圧を1.5E−8Pa以上1.0E−2Pa以下に制御してもよい。
上記の露光装置、露光方法においては、波長11〜15nmのEUV(極紫外)光を露光光として用いていることを特徴とする。
また、本発明の更に別の側面としてのデバイス製造方法は、上記の露光装置を用いて被露光体を露光するステップと露光された前記被露光体に所定のプロセスを行うステップとを有することを特徴とする。上記の露光装置の作用と同様の作用を奏するデバイス製造方法の請求項は、中間及び最終結果物であるデバイス自体にもその効力が及ぶ。また、かかるデバイスは、LSIやVLSIなどの半導体チップ、CCD、LCD、磁気センサー、薄膜磁気ヘッドなどを含む。
波長11〜15nmのEUV(極紫外)光を露光光ととする露光方法、露光装置において光学素子が設置されている領域のガス成分分圧制御を行なうことにより光学素子表面上に極薄いカーボン膜を形成し、光学素子表面が酸化し消費されることを防ぐことができる。極薄いカーボン膜は光学素子の保護膜として機能する。
光学素子表面の酸化を防ぐことにより、光学素子の性能を保つことができ、光学素子の寿命を延ばすことができる。
(第1の実施例)
以下、本発明の一実施例を図1、図2を用いて説明する。
図1に、本発明のひとつの実施の形態であるEUV露光装置の概略を示した。
レーザー12の集光点に形成されたプラズマスポット14から放射されたEUV光源は照明光学系16によって集光され所望のパターンが形成された反射型レチクル20に導かれる。その反射光は、投影光学系22を介してレチクル20上に形成されたパターンをウェハ26上に転写させる。レチクル20、ウェハ26は、それぞれ並進運動が可能なレチクルステージ18、ウェハステージ24上に固定されている。EUV露光装置では、露光光の波長が現在の紫外線を用いる露光装置よりも短いため、より高い解像度が得られる。EUV光源は、上記のようなレーザープラズマ光源以外にも、シンクロトロン放射光光源、放電プラズマ光源などを用いてもよい。
レチクル20、照明光学系16、投影光学系22に用いられる光学素子は例えばEUV光の波長領域において屈折率の異なる2つの物質を交互に積み重ねた多層膜をコーティングされたものが多く、最も一般的な多層膜の構造のひとつとして最上層をSiとしたMoとSiを30〜40対ほど積層させた構造が挙げられる。
露光装置1において、ウェハ26、レチクル20、照明投影系16、投影光学系22、レチクルステージ18、ウェハステージ26などは真空容器2内に収められ、大気によるEUV光の減衰や光電子の散乱を防止するために、真空ポンプなどの排気手段28によって排気されている。排気手段はターボ分子ポンプ、イオンポンプなどが用いられる。
このとき、真空容器内のメタンのガス分圧はガス導入系30によって1.5E−8Pa以上1.0E−2Pa以下の範囲内で最適なガス分圧に制御される。
ガス導入系30は例えば差動排気を用いて真空容器2に導入されるメタンガスの流量を制御してもよい。もしくはこれに代えて他の手段を用いてもよい。図2に、真空容器2の雰囲気を構成しているガス成分、すなわち真空中における残留ガス成分をモニタリングした結果の一例を示した。本実施例では、真空中における残留ガス成分のモニタリングに四重極型質量分析計を用いた。図2はその出力データである。ここでは、メタンを主成分とする質量数16のピークが分圧換算で9.0E−8Paに制御されている。このようにガス導入系30によって真空容器2におけるメタンガスの分圧を精確、かつ長時間安定に制御することができる。
ガス導入系30によって真空容器2に導入されたメタン分子は、光学素子表面上に物理吸着し、脱離と吸着を繰り返しているが、一度の吸着で光学素子表面上に滞在する時間が数10ピコ秒と短い。そのため、EUV光が光学素子に照射された際、光学素子表面に発生した二次電子によってメタン分子が解離を起こす確立が低く、カーボンとして光学素子表面上に付着しにくい。すなわち、光学素子表面上のカーボン堆積速度が遅い。したがって、真空容器2のメタンのガス分圧を制御することによって、容易に光学素子表面上に堆積するカーボン量を制御することができる。適当なメタンガスの分圧を選ぶことにより極薄いカーボン膜を形成することも可能である。
本実施例では、ガス導入系30によって真空容器2内のメタンのガス分圧を常に光学素子上に極薄いカーボン膜が形成されている状態の分圧に制御する。光学素子上に堆積したカーボン膜は、厚ければ光学素子の反射率低下を招くが、極薄いカーボン膜では、露光装置で問題となるような光学素子の反射率低下は起こらない。光学素子表面上に形成された極薄いカーボン膜は、主に水による酸化によって消費されていく。カーボン膜が形成された光学素子表面上に水が物理吸着し、そこにEUV光が照射されると水が解離し、活性種を生成する。その活性種とカーボンが反応をおこし、一酸化炭素や二酸化炭素を生成すると言われている。したがって、カーボン堆積速度と堆積したカーボンの消費速度が光学素子上に極薄いカーボン膜が形成された状態で平衡を保つようにメタンのガス分圧を制御すればよい。
ところで、メタンのガス分圧が1.5E−8Pa未満である場合は、真空容器内において水の分圧が過多となり、光学素子表面上ではカーボン付着より酸化が起こりやすい雰囲気条件となり、カーボンは堆積せずに光学素子表面が酸化によって消費されてしまう。もしくは、カーボン堆積と酸化が両方起こる。前記のように、光学素子表面は一度酸化されるともとの状態に戻すことができないため、酸化は必ず避けなければならない。したがって、メタンのガス分圧は1.5E−8Pa以上が望ましい。
また、メタンのガス分圧が1.0E−2Pa以上になると、真空容器内の光路中でのメタン分子が非常に多くなり、EUV光を吸収する量が無視出来なくなる。EUV光がメタンに吸収されEUV光の透過率が下がりスループットを下げてしまう。
また、本実施例においては、ガス導入系30を用いて質量数16のガス成分分圧を1.5E−8Pa以上1.0E−2Pa以下になるよう制御してもよい。
また、本発明においては、ガス導入系30を用いてメタンに代わってエタン、もしくはプロパンのガス分圧を1.5E−8Pa以上1.0E−2Pa以下に制御してもよい。
分子量が大きい高分子成分となると、光学素子表面上に吸着している時間が長いためEUV光によって光学素子表面上に発生した2次電子との反応確率が大きくなり、カーボン堆積のスピードは増大する。そのため、極薄い膜をつくるための分圧制御が非常に難しくなってくる。したがって、質量数の小さいガス成分分圧を制御することが望ましい。
本発明の第1の実施の形態におけるEUV露光装置の概略構成図である。 本発明の第1の実施の形態において、真空容器内のガス成分分圧のモニタリングを行った際の出力データの一例である。
符号の説明
1 露光装置
2 真空容器
10 レーザー
12 集光レンズ
14 プラズマスポット
16 照明光学系
18 レチクルステージ
20 レチクル
22 投影光学系
24 ウェハステージ
26 ウェハ
28 排気手段
30 ガス導入系

Claims (9)

  1. 露光装置内の少なくともひとつの光学素子が設置されている領域において、メタンのガス分圧を1.5E−8Pa以上1.0E−2Pa以下に制御することを特徴とする露光方法。
  2. 露光装置内の少なくともひとつの光学素子が設置されている領域において、質量数16のガス成分分圧を1.5E−8Pa以上1.0E−2Pa以下に制御する露光方法。
  3. 露光装置内の少なくともひとつの光学素子が設置されている領域において、エタンもしくはプロパンのガス分圧を1.5E−8Pa以上1.0E−2Pa以下に制御する露光方法。
  4. 波長11〜15nmのEUV(極紫外)光を露光光として用いる請求項1から3までのいずれか1項に記載の露光方法。
  5. 露光装置内の少なくともひとつの光学素子が設置されている領域において、メタンのガス分圧を1.5E−8Pa以上1.0E−2Pa以下に制御することを特徴とする露光装置。
  6. 露光装置内の少なくともひとつの光学素子が設置されている領域において、質量数16のガス成分分圧を1.5E−8Pa以上1.0E−2Pa以下に制御する露光装置。
  7. 露光装置内の少なくともひとつの光学素子が設置されている領域において、エタンもしくはプロパンのガス分圧を1.5E−8Pa以上1.0E−2Pa以下に制御する露光装置。
  8. 波長11〜15nmのEUV(極紫外)光を露光光として用いる請求項5から7までのいずれか1項に記載の露光装置。
  9. 請求項8に記載の露光装置を用いて被露光体を露光するステップと、露光された前記被露光体に所定のプロセスを行なうステップとを有することを特徴とするデバイス製造方法。
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