光学エレメントを含む装置の光学エレメントの付着物を除去する方法を提供することが、本発明の態様である。光学エレメントを含む装置の光学エレメントを保護する方法を提供することが、本発明のさらなる態様である。デバイス製造方法を提供することが、本発明のさらなる態様である。本発明の方法を適用することができる光学エレメントを含む装置、例えばリソグラフィを提供することが、本発明の別の態様である。
本発明のある実施形態によると、光学エレメントを含む装置の光学エレメントの付着物を除去する方法は、H2を含有するガス、および炭化水素化合物およびシラン化合物で構成されたグループから選択した1つまたは複数の追加の化合物を、装置の少なくとも一部に提供することと、H2含有ガスからのH2から水素基を生成することと、付着物がある光学要素を水素基の少なくとも一部と接触させ、付着物の少なくとも一部を除去することとを含む。
別の実施形態では、付着物は、B、C、Si、GeおよびSnから選択した1つまたは複数の元素を含む。C(炭素)は、例えばリソグラフィ装置のような装置内における炭化水素の望ましくない存在のために、光学エレメントの付着物となることがあるが、保護キャップ層として故意に存在させることもある。Si(シリコン)も、保護キャップ層として故意に存在させることがあり、Sn(錫)はSnを生成するソースのために存在することがある。さらに、Siはレジストのガス放出のために付着物として存在することがある。さらなる実施形態では、水素基の少なくとも一部は、熱フィラメント、プラズマ、放射線、およびH2を水素基に変化させる触媒から選択した1つまたは複数の塩基形成デバイスによって、H2含有ガスからのH2から生成される。水素基はSn(またはSn酸化物)、C、Si(またはSi酸化物)などと反応して、例えば排出などによって除去可能な揮発性水酸化物になる。酸化しているか、少なくとも部分的に付着物またはキャップ層としての酸化物として存在することがあるSnおよびSiは、それぞれ元素SnおよびSiに還元し、水素化物またはハロゲン化物として除去することができる。したがって、さらに別の実施形態では、H2含有ガスはさらに、ハロゲンガスを含むことがある。ハロゲンは、揮発性ハロゲン化合物を形成し、例えばSnおよびSi付着物の除去を改善することができる。
本発明のある実施形態によると、光学エレメントを含む装置の光学エレメントを保護する方法は、付着プロセスによって光学エレメントにキャップ層を提供することと、装置の使用中または使用後に、H2含有ガス、および炭化水素化合物とシラン化合物のグループから選択した1つまたは複数の追加的化合物を装置の少なくとも一部に提供することを含む除去プロセスで、光学エレメントからキャップ層の少なくとも一部を除去することと、H2含有ガスからのH2から水素基を生成することと、光学エレメントをキャップ層とともに水素基の少なくとも一部と接触させ、キャップ層の少なくとも一部を除去することとを含む。
別の実施形態では、付着プロセスによってキャップ層を光学エレメントに提供するプロセスは、B、C、SiおよびGeから選択した1つまたは複数の元素を含む開始材料を提供することと、開始材料から、B、C、SiおよびGeから選択した1つまたは複数の元素を含み、付着物を提供可能な種を提供することと、付着物を生成可能な種を光学エレメントの少なくとも一部と接触させることとを含む。
さらに別の実施形態では、付着プロセスによってキャップ層を光学エレメントに提供するプロセスは、グループB、C、SiおよびGeから選択した1つまたは複数の元素を含むガスを提供することと、B、C、SiおよびGeから選択した1つまたは複数の元素を含み、付着物を生成可能な種を提供することと、付着物を生成可能な種を光学エレメントの少なくとも一部と接触させることとを含む。
付着物をキャップ層として使用することができる。キャップ層を提供するために使用可能な種は、例えばSiおよびC、およびB(硼素)またはGe(ゲルマニウム)原子および粒子もあり、例えばSiH2のような中間生成物も(Si)付着物を形成することができる。したがって、開始材料は、例えば硼化水素、炭化水素、シラン、または水素化ゲルマニウム、またはその2つ以上の組合せなどを含むガスを含んでよい。本発明のある実施形態では、付着物を提供可能な種は、熱フィラメント、プラズマまたは放射線によって提供する。別の実施形態では、キャップ層は熱フィラメント付着によって生成し、さらなる実施形態では、キャップ層は、B(例えばBH3のような硼化水素から誘導)、C(例えばCH4のような炭化水素から誘導)、Si(例えばSiH4のようなシランから誘導)およびGe(例えばGeH4のような水素化ゲルマニウムから誘導)から選択した1つまたは複数の元素の熱フィラメント付着によって生成する。別の実施形態では、付着物を提供可能な種は、化学蒸着ではなく物理蒸着によって提供し、開始材料として、ガスではなく例えばSiおよびGeの酸化物または金属を適用することができる。元素SiおよびGeは、光学エレメントに付着可能な種として、蒸発またはスパッタリングで除去する。したがって、ある実施形態では、キャップ層はB、C、SiおよびGeから選択した1つまたは複数の元素を含む。
本発明の別の実施形態では、装置はリソグラフィ装置である。さらに、本発明の別の実施形態では、光学エレメントはミラーまたは格子、例えばコレクタミラーまたは多層ミラーを含む。別の実施形態では、光学エレメントはセンサまたはレチクルを含む。
さらに別の実施形態では、装置は放射線ビームで光学エレメントを照射するように設計される。別の実施形態では、光学エレメントはセンサを含み、他の光学エレメントを装置の部品(例えばマスク、ウェハ、マスクテーブル、ウェハテーブルなど)と位置合わせするように設計される。光学エレメントを含む装置は、リソグラフィ装置のように放射線ビームを提供するように設計することができる。さらに別の実施形態では、光学エレメントは、他の光学エレメントの特性、例えばコレクタミラーの反射の光学的特性などを測定するように設計される。さらなる実施形態では、放射線は、5〜20nmの範囲から選択した波長を有するEUV放射線を含む。さらに別の実施形態では、放射線は、365nm、248nm、193nm、157nm、126nmから選択した波長を有する放射線を含むが、放射線は、リソグラフィ用途に使用可能な他の波長を含んでもよい。
光学エレメントの使用中または使用後に、キャップ層を部分的または完全に除去することができる。ある実施形態では、装置の使用は、例えばEUV放射線を適用するリソグラフィ装置を使用するなど、放射線ビームで光学エレメントを照射することを含む。使用中に、例えばSnの付着および/またはソースからのSn粒子などによるキャップ層の一部のスパッタリングでの除去のせいで、キャップ層が劣化することがある。したがって、使用後、または使用中でさえ、キャップ層が少なくとも部分的に除去され、新鮮なキャップ層を、光学エレメント上か、光学エレメント上の部分的に除去されたキャップ層上に生成することができる。Snは、キャップ層の少なくとも一部に付着するか、キャップ層の少なくとも一部を除去する。したがって、さらなる実施形態では付着物は少なくともSnを含み、その変形で、キャップ層が少なくともSnを含む。使用中に、付着と除去との両プロセスが生じ、それによって劣化したキャップ層を提供する。さらなる実形態では、装置の使用の少なくとも一部で、Siが、例えばレジストからのガス放出のせいでキャップ層の少なくとも一部に付着する。したがって別の実施形態では、付着物は少なくともSiを含み、その変形で、キャップ層が少なくともSiを含む。
別の実施形態では、キャップ層は、除去プロセス中にエッチングで除去され、さらに別の実施形態では、キャップ層は除去プロセス中にキャップ層を水素基に接触させることによって除去される。水素基は様々な方法で生成することができる。本発明による方法のある実施形態では、水素基の少なくとも一部は、熱フィラメント、プラズマ、放射線、およびH2を水素基に変化させる触媒から選択され、H2を解離して、触媒の表面に吸着するH塩基またはH原子にする1つまたは複数の塩基形成デバイスによって、H2含有ガスからのH2から生成される。触媒は、Pd、Pt、Rh、IrおよびRuを含む触媒のような遷移金属系触媒を含んでよい。触媒は、Ru層、例えばかすめ入射ミラーまたは多層の表面も含んでよく、この場合、Ruが最上層に含まれる。塩基を生成する放射線は、EUV放射線、DUV放射線、UV放射線のような放射線、例えば193nm、157nmおよび126nmから選択した波長を有する放射線などの放射線を含んでよく、放射線は、電子ビームまたは電離放射線のような放射線を含んでよく、したがって水素基を水素から形成することができる。
本発明のさらなる実施形態によると、光学エレメントを含む装置の外部の場所で、キャップ層の少なくとも一部を提供する方法が提供され、さらなる実施形態によると、光学エレメントを含む装置の外部の場所(exsitu)でキャップ層の少なくとも一部を除去する方法が提供される。
本発明のさらなる実施形態によると、デバイス製造方法は、照明システムおよび投影システムを含むリソグラフィ装置を提供することを含み、リソグラフィ装置はさらに光学エレメントを含み、さらにパターン形成した放射線のビームを、放射線感光性材料の層で少なくとも部分的に覆われた基板の目標部分に投影することと、付着プロセスによってキャップ層を光学エレメントに提供することと、装置の使用中または使用後に、H2含有ガス、および炭化水素化合物およびシラン化合物のグループから選択した1つまたは複数の追加的化合物を装置の少なくとも一部に提供することを含む除去プロセスで、光学エレメントからキャップ層の少なくとも一部を除去することと、H2含有ガスからのH2から水素基を生成することと、光学エレメントをキャップ層とともに水素基の少なくとも一部に接触させ、キャップ層の少なくとも一部を除去することとを含む。
本発明のさらなる実施形態によると、装置は光学エレメントと、H2含有ガスを装置の少なくとも一部に提供するように構成された入口と、炭化水素化合物およびシラン化合物のグループから選択した1つまたは複数の追加的化合物を提供するように構成された入口と、H2含有ガスからのH2から塩基を生成するように構成された水素基発生装置とを含む。
さらなる実施形態によると、装置は光学エレメントと、H2含有ガスを装置の少なくとも一部に提供するように構成された入口と、炭化水素化合物およびシラン化合物のグループから選択した1つまたは複数の追加的化合物を提供するように構成された入口と、H2含有ガスからのH2から塩基を発生するように構成された水素基発生装置と、付着物発生装置とを含み、付着物はB、C、SiおよびGeから選択した1つまたは複数の元素を含む。
さらなる実施形態によると、水素基発生装置は、加熱可能なフィラメント、プラズマ発生装置、放射線のソース、およびH2を水素基に変換するように構成された触媒から選択した塩基形成デバイスを含む。Ruが最上層に含まれる。放射線のソースは、EUV放射線、DUV放射線、UV放射線のような放射線、例えば193nm、157nmおよび126nmから選択した波長を有する放射線のような放射線を発生するように構成されたソースでよく、放射線のソースは、電子ビームまたは電離放射線などの放射線を発生することができ、したがって水素基を水素から形成することができる。別の実施形態では、リソグラフィ装置のソースを放射線のソースとして使用し、塩基を生成する。
別の実施形態によると、付着物生成装置は、B、C、SiおよびGeから選択した1つまたは複数の元素を含む付着物を生成するように構成され、加熱可能なフィラメント、プラズマを発生する発生装置、および放射線のソースから選択したデバイスを含む。
さらに別の実施形態によると、装置は、B、C、SiおよびGeから選択した1つまたは複数の元素を含むガスを提供するように構成された入口を含む。光学エレメント上にキャップ層を生成するために、例えば熱フィラメントなどによって種を作成できるように、ガスを導入することができる。さらなる実施形態では、装置はさらに、開始材料を提供するように構成された入口を含む。
本発明のさらに別の実施形態によると、リソグラフィ装置は光学エレメントと、放射線ビームを調整するように構成された照明システムと、パターニングデバイスを支持するように構成された支持体とを含み、パターニングデバイスは、放射線ビームの断面にパターンを与えて、パターン形成した放射線ビームを形成するように構成され、さらに、基板を保持するように構成された基板テーブルと、パターン形成した放射線ビームを基板の目標部分に投影するように構成された投影システムと、H2含有ガスを装置の少なくとも一部に提供するように構成された入口と、炭化水素化合物およびシラン化合物のグループから選択した1つまたは複数の追加的化合物を提供するように構成された入口と、H2含有ガスからのH2から塩基を発生するように構成された水素基発生装置とを含む。
さらなる実施形態によると、リソグラフィ装置は光学エレメントと、放射線ビームを調整するように構成された照明システムと、パターニングデバイスを支持するように構成された支持体とを含み、パターニングデバイスは、放射線ビームの断面にパターンを与えて、パターン形成した放射線ビームを形成するように構成され、さらに、基板を保持するように構成された基板テーブルと、パターン形成した放射線ビームを基板の目標部分に投影するように構成された投影システムと、H2含有ガスを装置の少なくとも一部に提供するように構成された入口と、炭化水素化合物およびシラン化合物のグループから選択した1つまたは複数の追加的化合物を提供するように構成された入口と、H2含有ガスからのH2から塩基を発生するように構成された水素基発生装置と、付着物発生装置とを含み、付着物はB、C、SiおよびGeから選択した1つまたは複数の元素を含む。
本発明のさらに別の実施形態によると、光学エレメントを含む装置の光学エレメント上の付着物を除去する方法で、付着物は、B、C、SiおよびGeから選択した1つまたは複数の元素を含み、方法は、H2含有ガス、および炭化水素化合物およびシラン化合物のグループから1つまたは複数の追加的化合物を装置の少なくとも一部に提供することと、H2含有ガスからのH2から水素基を発生することと、光学エレメントを付着物とともに水素基の少なくとも一部と接触させて、付着物の少なくとも一部を除去することとを含む。
さらなる実施形態では、付着物は少なくともSiを含む。
本発明のさらに別の実施形態によると、装置は光学エレメントと、Snを含む付着物を提供するように構成された付着物発生装置とを含む。
さらなる実施形態では、装置はさらに、Snを含む開始材料を提供するように構成された入口を含む。開始材料は、例えば熱フィラメントなどを使用してCVD技術でキャップ層を生成するために使用可能なガスでよいが、開始材料は、金属またはSnの酸化物でもよく、これはPVD技術によって付着するために元素Snを提供する。
別の実施形態によると、装置はEUVリソグラフィ用のリソグラフィ装置である。
本発明のある実施形態によると、炭化水素化合物はC1−C25化合物を含む。さらなる実施形態によると、炭化水素化合物は線状、分枝、環状または芳香族炭化水素を含む。
さらに別の実施形態では、炭化水素化合物は、線状、分枝、環状または芳香族でよい少なくとも1つのC1−C6炭化水素基で置換した芳香族化合物を含む。
ある実施形態では、炭化水素化合物はR1R2R3CR4化合物を含み、R1、R2、R3およびR4は別々にC1−C6炭化水素基のグループから選択される。つまり炭素原子が4つの炭化水素基によって配位結合され、これは別個に相互の線状、分枝、環状または芳香族でよい。
別の実施形態では、炭化水素化合物はR1R2R3CR4化合物を含み、R1、R2、R3およびR4は別々にC1−C6炭化水素基のグループから選択され、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つが水素基を含む。
別の実施形態では、炭化水素化合物はメタン、トルエンおよびR1R2R3CHのグループから選択され、R1、R2、およびR3は別々にC1−C4炭化水素基のグループから選択され、これは別個に相互の線状、分枝、環状または芳香族でよい。
別の実施形態では、シラン化合物はR1R2R3SiR4化合物を含み、R1、R2、R3およびR4は別々にC1−C6炭化水素基のグループから選択される。つまり炭素原子が4つの炭化水素基によって配位結合され、これは別個に相互の線状、分枝、環状または芳香族でよい。
さらに別の実施形態では、シラン化合物はR1R2R3SiR4化合物を含み、R1、R2、R3およびR4は別々にC1−C6炭化水素基のグループから選択され、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つが水素基を含む。
本発明のさらに別の実施形態によると、シラン化合物はSinH2n+2のグループから選択した1つまたは複数の化合物を含み、ここでnは1以上の整数である。例えば1(「シラン」)または2、3、4など(ポリシラン)である。
さらに別の実施形態ではC1−C25化合物、C1−C6炭化水素側基またはC1−C4炭化水素側基は、アルコキシル基礎、アルコール基およびハライド(ハロイド)基のグループから選択した1つまたは複数を含んでよい。C1−C6炭化水素側基またはC1−C4炭化水素側基は、線状、分枝、環状(または芳香族)基を含んでよい。
本発明の炭化水素またはシラン化合物を提供するために、ある実施形態では、本発明の装置はさらに、炭化水素化合物およびシラン化合物のグループから選択した1つまたは複数の追加的化合物を提供するように構成された入口を含む。ある実施形態では、この入口は、H2含有ガスを装置の少なくとも一部に提供するように構成されたものと同じ入口である。変形では、幾つかの入口を使用する。別の変形では、装置の少なくとも一部に導入する前に、H2含有ガスおよび追加の化合物(例えばメタン)を混合する。
ある実施形態によると、本発明による方法はさらに、炭化水素化合物およびシラン化合物のグループから選択した1つまたは複数の追加的化合物から、塩基、特に炭化水素基を生成することを含む。
さらに、別の実施形態では、装置はさらに、1つまたは複数の追加的化合物から塩基を生成するように構成された塩基生成装置を含む。特定の実施形態では、装置はさらに、1つまたは複数の追加的化合物から炭化水素基を生成するように構成された炭化水素基生成装置を含む。さらに特定の実施形態では、この炭化水素基生成装置は、水素基の生成に使用するもの、つまり熱フィラメント、プラズマおよび放射線から選択した1つまたは複数の塩基形成デバイスおよび/またはシランを炭化水素基に変化させる触媒と同じ生成装置でよい。
本発明のある実施形態によると、付着物の少なくとも一部またはキャップ層の少なくとも一部を、光学エレメントを含む装置から外部の場所で除去するか、光学エレメントを含む装置から現場で除去するか、(デバイス製造プロセスのような)光学的プロセスを実行する間に、光学エレメントを含む装置から現場で除去する。
次に、本発明の実施形態を添付の略図を参照に、例示の方法においてのみ説明する。図面では対応する参照記号は対応する部品を示すものとする。
図1は、本発明のある実施形態によるリソグラフィ装置1を概略的に示したものである。この装置1は、放射線ビームB(例えばUV放射線またはEUV放射線)を調整するように構成された照明システム(照明装置)ILを含む。支持体(例えばマスクテーブル)MTは、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構築され、かつ、特定のパラメータに従って正確にパターニングデバイスの位置決めを行うように構成された第一位置決め装置PMに連結を行う。基板テーブル(例えばウェハテーブル)WTは、基板(例えばレジスト塗布したウェハ)Wを支持するように構築され、かつ、特定のパラメータに従って正確に基板の位置決めを行うように構成された第二位置決め装置PWに連結を行う。投影システム(例えば屈折性投影レンズシステム)PLは、パターン形成した放射線ビームBを基板Wの目標部分C(例えば、1つあるいはそれ以上のダイから成る)に投影するように構成される。
照明システムは、放射線の誘導、成形、あるいは制御を行うために、屈折、反射、磁気、電磁気、静電気、または他のタイプの光学構成要素、またはその組み合わせなどの様々なタイプの光学構成要素を含むことができる。
支持体MTは、パターニングデバイスMAを支持、つまりその重量を担持する。これは、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計、および他の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスを保持する。支持体は、パターニングデバイスを保持するために、機械的、真空、静電気、または他の締め付け技術を使用することができる。支持体は、例えばフレームもしくはテーブルでよく、これは必要に応じて、固定式となるか、もしくは可動式となる。支持体は、パターニングデバイスが例えば投影システムなどに対して所望の位置にあることを保証することができる。
本明細書において使用する「レチクル」または「マスク」なる用語は、より一般的な「パターニングデバイス」なる用途と同義と見なすことができる。
本明細書において使用する「パターニングデバイス」なる用語は、基板の目標部分にパターンを生成するように、放射線ビームの断面にパターンを与えるために使用し得るデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。放射線ビームに与えられるパターンは、例えばパターンが移相形体またはいわゆるアシスト形体を含む場合、基板の目標部分における所望のパターンに正確に対応しないことがあることに留意されたい。一般的に、放射線ビームに与えられるパターンは、集積回路などの目標部分に生成されるデバイスの特別な機能層に相当する。
パターニングデバイスは透過性または反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、様々なハイブリッドマスクタイプのみならず、バイナリマスク、レベンソンマスク、減衰位相シフトマスクといったようなマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例は小さなミラーのマトリクス配列を用いる。そのミラーの各々は、異なる方向に入射の放射線ビームを反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射線ビームにパターンを与える。
本明細書において使用する「投影システム」なる用語は、例えば使用する露光放射線、または浸漬流体の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システムおよび静電気光学システムを含むさまざまなタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」なる用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」なる用語と同義と見なされる。
ここで示しているように、本装置は反射タイプであり、例えば反射性マスクを使用する。あるいは、装置は透過タイプでもよい。例えば反射性マスクを使用する。
リソグラフィ装置は2つ(デュアルステージ)あるいはそれ以上の基板テーブル(および/または2つもしくはそれ以上のマスクテーブル)を有するタイプのものである。このような「多段」機械においては、追加のテーブルが並列して使用される。もしくは、1つ以上の他のテーブルが露光に使用されている間に予備工程が1つ以上のテーブルにて実行される。
リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するよう、基板の少なくとも一部を水などの比較的高い屈折率を有する液体で覆うタイプでもよい。浸漬液は、例えばマスクと投影システムの間など、リソグラフィ装置の他の空間に適用してもよい。浸漬技術は、投影システムの開口数を増加させるために当技術分野でよく知られている。本明細書で使用する「浸漬」なる用語は、基板などの構造を液体に浸さなければいけないという意味ではなく、露光中に投影システムと基板の間に液体を配置するというだけの意味である。
図1を参照すると、照明装置ILは放射線ソースSOから放射線ビームを受け取る。ソースとリソグラフィ装置とは、例えばソースがエキシマレーザである場合に、別個の存在でよい。このような場合、ソースはリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射線ビームは、例えば適切な集光ミラーおよび/またはビーム拡大器などを含むビーム送出システムBDの助けにより、ソースSOから照明装置ILへと渡される。他の場合、例えばソースが水銀ランプの場合は、ソースが装置の一体部品でもよい。ソースSOおよび照明装置ILは、必要に応じてビーム送出システムBDとともに放射線システムと呼ぶことができる。
照明装置ILは、放射線ビームの角度強度分布を調節するように構成された調節装置ADを含んでよい。一般的に、照明装置の瞳面における強度分布の外部および/あるいは内部放射範囲(一般的にそれぞれ、σ−outerおよびσ−innerと呼ばれる)を調節することができる。また、照明装置ILは、積分器INおよびコンデンサCOのような他の様々な構成要素を含む。照明装置は、その断面に亘り所望する均一性と強度分布とを有するように、放射線ビームの調整に使用することができる。
放射線ビームBは、支持体(例えばマスクテーブルMT)上に保持されているパターニングデバイス(例えばマスクMA)に入射し、パターニングデバイスによってパターン形成される。放射線ビームBはマスクMAを通り抜けて、基板Wの目標部分C上にビームを集束する投影システムPLを通過する。第二位置決め装置PWおよび位置センサIF2(例えば干渉計デバイス、リニアエンコーダまたは容量性センサ)の助けにより、基板テーブルWTは、例えば放射線ビームBの経路における異なる目標部分Cに位置を合わせるために正確に運動可能である。同様に、第一位置決め装置PMおよび位置センサIF1(例えば干渉計デバイス、リニアエンコーダまたは容量性センサ)を使用して、例えばマスクライブラリから機械的に検索した後に、あるいは走査運動の間に、放射線ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めすることができる。一般的に、マスクテーブルMTの運動は、第一位置決め装置PMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)にて行われる。同様に、基板テーブルWTの運動は、第二位置決め装置PWの部分を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使用して実現することができる。ステッパの場合、スキャナとは対照的に、マスクテーブルMTはショートストロークアクチュエータに連結されるだけであるか、あるいは固定される。マスクMAおよび基板Wは、マスクアラインメントマークM1、M2および基板アラインメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アラインメントマークは、専用の目標位置を占有するが、目標部分の間の空間に配置してもよい(スクライブレーンアラインメントマークと呼ばれる)。同様に、マスクMAに複数のダイを設ける状況では、マスクアラインメントマークをダイ間に配置してもよい。
ここに表した装置は以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
1.ステップモードにおいては、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTは、基本的に静止状態に保たれている。そして、放射線ビームに与えたパターン全体が1回で目標部分Cに投影される(すなわち1回の静止露光)。次に基板テーブルWTがX方向および/あるいはY方向にシフトされ、異なる目標部分Cが照射され得る。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズが、1回の静止露光で描像される目標部分Cのサイズを制限する。
2.走査モードにおいては、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTを同期走査する一方、放射線ビームに与えられたパターンを目標部分Cに投影する(つまり1回の動的露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの拡大(縮小)および像反転特性によって決定される。走査モードでは、露光フィールドの最大サイズが、1回の動的露光で目標部分の(非走査方向における)幅を制限し、走査動作の長さが目標部分の(走査方向における)高さを決定する。
3.別のモードでは、マスクテーブルMTが基本的に静止状態に維持されて、プログラマブルパターニングデバイスを保持し、放射線ビームに与えられたパターンを目標部分Cに投影する間に、基板テーブルWTが動作するか、走査される。このモードでは、一般的にパルス状放射線ソースを使用して、基板テーブルWTを動作させるごとに、または走査中に連続する放射線パルス間に、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクなしリソグラフィに容易に適用することができる。
上述した使用モードの組合せおよび/または変形、または全く異なる使用モードも使用することができる。
「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折、反射、磁気、電磁気および静電気光学構成要素を含む様々なタイプの光学構成要素のいずれか、またはその組み合わせを指す。
本発明の状況では、「光学エレメント」は光学フィルタ、光学格子、多層ミラー、かすめ入射ミラー、垂直入射ミラー、コレクタミラーのようなミラー、レンズ、レチクル、ダイオード、強度測定センサ、エネルギセンサ、CCDセンサ、光学アラインメントセンサのようなアラインメントセンサのようなセンサ、例えば参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,614,505号および第6,359,969号に記載されたようなガスバリア構造などから選択した1つまたは複数のエレメントを含む。フィルタ、光子、ミラーまたはレンズなどのこのような光学エレメントは、平坦または湾曲してよく、層、箔、デバイスなどとして存在してよい。本発明のある実施形態では、光学フィルタ、光学格子、多層ミラー、かすめ入射ミラー、垂直入射ミラー、コレクタミラーのようなミラー、レンズなどのような光学エレメントは、所定の波長λ(50〜20nmなど、つまりEUV放射線、248nm、193nm、157nmまたは126nmなど)の放射線に合わせてブレージングまたは最適化することができる。これは、レンズの場合は、波長λの放射線に対して透過性でよく、あるいはミラーの場合は反射性、格子の場合は回折性でよい。幾つかの光学エレメントは、これらの光学効果のうち1つまたは複数を提供することができる。例えば参照により本明細書に組み込まれる欧州特許出願第03077155号および第03077850号を参照のこと。
本明細書で使用する「層」という用語は、当業者に理解されているように、他の層および/または使用中の真空のような他の媒体との1つまたは複数の境界を有する層を表すことができる。しかし、「層」は構造の一部も意味してよいことを理解されたい。「層」という用語は、幾つかの層も示すことがある。これらの層は、例えば相互に隣接したり、相互に重なったりしてよい。これは1つの材料または材料の組合せを含んでもよい。本明細書で使用する「層」という用語は、連続層または不連続層を表してよいことも留意されたい。本発明では、本明細書で使用する「材料」という用語は、材料の組合せと解釈してもよい。本明細書の「付着物」という用語は、当業者に知られているように表面(例えば光学エレメントの表面)に化学的または物理的に付着した材料を指す。このような付着物は層でよいが、多層構造も含むことがある。付着物はキャップ層を含んでよいが、ソースからスパッタされた(元素)粒子のような望ましくない付着物も含んでよい。付着物は、再付着生成物または気化生成物も含んでよい。付着物は、例えば粒子をスパッタするソースとともに装置を使用した後に、このようにスパッタされた粒子を含む、またはB、C、Si、GeおよびSnのグループから選択した1つまたは複数の元素を含む材料からの付着物を含む保護層として、キャップ層も含んでよい。「付着物が、B、C、Si、GeおよびSnから選択した1つまたは複数の元素を含む」、または「キャップ層が、B、C、SiおよびGeから選択した1つまたは複数の元素を含む」というフレーズの「元素」という用語は、本明細書では当業者に知られているように、このような元素を含む、またはこのような元素を含む粒子を含む、またはこのような元素を含むSi酸化物、Si炭化物などの化合物を含む、またはその組合せなどの付着物またはキャップ層を指す。「B、C、SiおよびGeから選択した1つまたは複数の元素を含む付着物」というフレーズは、原子のB、C、SiまたはGe、またはその組合せを含む単層または多層を指す。
「B、C、SiおよびGeから選択した1つまたは複数の元素を含む開始材料」というフレーズは、ガス(例えば水素化物)、化合物(例えばSi酸化物)、金属およびB、C、SiおよびGeの元素を指す。「B、C、SiおよびGeから選択した1つまたは複数の元素を含むガス」というフレーズは、ガス相中のこのような元素および/またはB、C、SiおよびGeの揮発性化合物、例えば水素化物を指すが、当業者に理解されるように、例えばテトラメチルシラン、テトラエチルシランのような金属と炭化水素の化合物などの他の揮発性化合物を選択することもできる。開始材料(またはガス)を使用して、付着物を生成可能な種を提供することができる。例えばSiH4ガスは、光学エレメントの表面に付着し、熱フィラメントの熱または放射線などによってSiキャップ層を生成することができる。ここでは種は開始材料そのものである。さらに、例えばSiH4は、SiH2およびSiのような種に変化することができ、これはSiキャップ層または光学エレメント上の付着物を形成することができる。本明細書では、種はSiH2およびSiである。別の例では、開始材料は、例えばSiOまたはSiO2であり、PVDプロセスによって光学エレメント上に付着物を形成するSi元素を提供する。ここでは、種はSi元素である。したがって、「付着物を生成可能な種」というフレーズは、付着物またはキャップ層を生成することができる開始材料または中間生成物または元素を指し、「開始材料」という用語は、例えば化学蒸着プロセスまたは物理蒸着プロセスなどによって、それらのプロセスによって光学エレメント上に付着物またはキャップ層を生成する種を提供することができる元素、ガス、金属、金属酸化物などを指す。当業者に理解されるように、EUV用途ではArなどのようなガスが存在していても、装置内に多少の酸素が残ることがあるので、光学エレメント上の付着物またはキャップ層は酸化物も含むことがある。さらに、炭化水素が存在するので、カーバイドまたはオキシカーバイドも形成されることがある。
「炭化水素化合物およびシラン化合物のグループから選択した1つまたは複数の化合物を装置の少なくとも一部に提供する」というフレーズは、炭化水素化合物又はシラン化合物或いはこれらの化合物の両方を意図的に導入することを表す。ここで「化合物」とは、ガスまたは液体を指し、特定の分子を指すものではない。液体の場合、ある実施形態では、化合物を例えば(予備)加熱によって気体状化合物として装置内に導入するか、例えばリソグラフィ装置などの装置内で気化するか、装置内で分解した後に導入するか、装置内で分解する。実施形態では、炭化水素またはシラン化合物の沸点は773K(500℃)であり、さらなる実施形態では、炭化水素またはシラン化合物の沸点は623K(350℃)であり、さらなる実施形態では、炭化水素またはシラン化合物の沸点は523K(250℃)であり、さらに別のさらなる実施形態では、炭化水素またはシラン化合物の沸点は423K(150℃)である。「基」または「側鎖」または「側基」という用語は同義である。例えば、トリメチルシラン(HSi(CH3)3)は、1つの水素基(H)および3つのメチル基を含むシリコンであり、また、例えばイソブタンは、メチル側基または側鎖が1つあるプロパンである。C1−C6などの用語は、C1(つまりCH4化合物またはCH3側鎖)、C2(エタン)、C3(プロパン)、C4(ブタン)、C5(ペンタン)、C6(ヘキサン)など、およびその異性体のような炭化水素または炭化水素側鎖を指す。
本明細書で使用する「放射線」および「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射線(例えば365nm、248nm、193nm、157nmまたは126nmの波長λを有する)および超紫外線(EUVまたは軟X線)放射線(例えば5nm〜20nmの範囲の波長を有する)を含む全タイプの電磁放射線、さらにイオンビームまたは電子ビームのような粒子ビームを含む。一般的に、約780nm〜3000nm(以上)の波長を有する放射線を、IR放射線と見なす。UVとは、約100nm〜400nmの波長の放射線を指す。リソグラフィでは、一般的に水銀放電ランプによって生成可能な波長、つまりG線436nm、H線405nmおよび/またはI線365nmも用いられる。VUVは真空UV(つまり空気によって吸収されるUV)であり、約100nm〜200nmの波長を指す。DUVは深UVであり、通常は126nm〜248nmのようにエキシマレーザによって生成される波長のリソグラフィに使用する。当業者に理解されるように、例えば5nm〜20nmの範囲の波長を有する放射線は、特定の波長帯域幅の放射線を指し、その少なくとも一部は5nm〜20nmの範囲に見られる。
図2は、投影装置1をさらに詳細に示し、放射線システム42、照明光学系ユニット44、および投影システムPLを含む。放射線システム42は、放電プラズマによって形成可能な放射線ソースSOを含む。EUV放射線は、内部に非常に高温のプラズマが生成されて、電磁スペクトルのEUV範囲の放射線を放出するXeガス、Li蒸気またはSn蒸気などのガスまたは蒸気によって生成することができる。非常に高温のプラズマは、電荷の部分的に電離したプラズマを光軸O上で崩壊させることによって生成される。Xe、Li、Sn蒸気または任意の他の適切なガスまたは蒸気の10Paという分圧を、ソース室47の口に、またはその背後に位置決めされたガスバリア構造または汚染トラップ49を介してソース室47からコレクタ室48へと渡す。ガスバリア構造/汚染トラップ49は、例えば米国特許第6,614,505号および第6,359,969号に詳細に記載されているようなチャネル構造を含む。
コレクタ室48は、かすめ入射コレクタによって形成可能な放射線コレクタ50を含む。コレクタ50によって渡された放射線は格子スペクトルフィルタ51で反射して、コレクタ室48の開口にある仮想ソースポイント52に収束する。コレクタ室48からの放射線ビーム56は、照明光学ユニット44で反射し、垂直入射反射鏡53、54を介してレチクルまたはマスクテーブルMT上に位置決めされたレチクルまたはマスクに当たる。パターン形成されたビーム57が形成され、これは投影システムPL内で反射性エレメント58、59を介してウェハステージまたは基板テーブルWT上に投影される。照明光学ユニット44および投影システムPL内には、一般的に図示より多くのエレメントが存在してよい。
放射線コレクタ50は、参照により本明細書に組み込まれた欧州特許出願第03077675.1号に記載されているようなコレクタでよい。
図2で図示された全ての光学エレメント、およびこの実施形態の略図で図示されていない光学エレメントは、例えばSnの付着に対して脆弱である。これは、光学エレメント、放射線コレクタ50および格子スペクトルフィルタ51に特に当てはまる。したがって、本発明の方法は、これらの光学エレメントに当てはまるが、垂直入射反射鏡53、54および反射性エレメント58、59にも当てはまる。図3は、本発明の実施形態により、このような光学エレメントにキャップ層を生成し得る方法を概略的に示す。
図3は、光学エレメント100の表面の一部を概略的に示し、付着プロセスによってキャップ層125を光学エレメント100に提供するプロセスを概略的に説明するものである。光学エレメント100はコレクタ50、格子スペクトルフィルタ51であってよく、例えばRuコーティングなどがあるSi/Mo多層ミラーのような多層ミラーでよいことを理解されたい。
キャップ層125の構成を生成可能な種を提供することができるガス105(この実施形態では、気体状開始材料の例としてSiH4を取り上げている。)を、ガス供給部6(1)によって入口2(1)を通して導入する。Siの付着は、種提供デバイスによって実現され、このデバイスはこの実施形態では熱フィラメント110であり、付着可能な種を提供し、他の種の中でも、付着物またはキャップ層125を形成するSi115、さらに水素120を生成する。熱フィラメント110は、W(タングステン)またはTa(タンタル)線またはコイルでよく、材料の種類およびガス105中の種の化学結合を解離するのに望ましい温度および必要な温度に応じて、例えば1500〜3000K(816〜1649℃)、あるいはさらに上まで加熱することができ、したがってキャップ層125は、Si115の付着により形成することができる。例えば、Taの細い線を通して約20Aを送ることができる。フィラメントは、一般的に約2000〜2300K(1094〜1260℃)(Wでは一般的に約1700〜2500K(927〜1371℃))の温度に到達し、この温度は炭化水素またはシランのSi−H結合またはC−H結合を破壊するには十分に高く、水素基を生成する。Si粒子(特に原子)115が形成され、付着物またはキャップ層125として光学エレメント100に付着する。水素基または水素ガス120も形成される。
SiH4は揮発性化合物である。所望の付着率が獲得されるように、SiH4の分圧、およびガス105のガス流量、光学エレメント100の温度、ガス105の温度、フィラメント110の温度などのような他のパラメータを選択し、制御することができる。
SiH4の代わりに、ガス105は他のシラン、または熱フィラメント110で加熱するとSiを形成するSi化合物も含んでよいが、ガス105はCH4のような炭化水素、エタン、プロパン、(イソ)ブタンなど、または2つ以上のこれらの化合物、または付着物を形成可能なSi化合物とC化合物の組合せも含むことができる。この方法で、Siは、最大約30〜60nm/分という典型的な成長率で付着することができる。Cは、最大約30〜60nm/分の成長率で成長することができる。Si、C、またはSiとCの両方のキャップ層の層厚さは、約0.5nmと20nmの間、例えば約1nmと5nmの間でよい。キャップ層は、層厚さの約1〜50%、例えば層厚さの約10%と約20%の間のような粗さを有する。Siおよび/またはCの代わりに、またはその隣に、Bおよび/またはGeも、光学エレメント100上に付着する材料として選択することができる。
フィラメント110は、光学エレメントの種類、適用される温度、およびフィラメント110および光学エレメント100の位置における装置内の局所的圧力に応じて、光学エレメント100から約0.1ないし50cmの距離に配置することができる。フィラメント110は、光学エレメント100の表面から適切な距離に配置構成された幾つかのフィラメントを含んでよいことを理解されたい。1つまたは複数のフィラメント110を、電源(図示せず)によって制御された方法で(個々に)加熱し、光学エレメント100の温度、または光学エレメント100の一部の局所的温度、または空間の温度、または光学エレメント100とフィラメント110の間の空間の一部の温度を光学的に測定可能な熱エレメントまたは他のデバイス(これも図示せず)でさらに制御することができる。層125が付着するには時間がかかり、したがって図3はこのような層125が存在する特定の瞬間を概略的に示すことも理解されたい。
例えばリソグラフィ装置のような装置の使用の少なくとも一部で、ソースSO(図示せず)の放出のせいで、Snがキャップ層125の少なくとも一部に付着するか、キャップ層125の少なくとも一部を損傷し、除去することができる。光学エレメント100の使用後に、キャップ層125は、損傷しているように見え、Snなどの元素を含むことがあり、これは望ましくないか、光学エレメント100を損なう可能性があり、したがってキャップ層125を除去するか、新鮮なキャップ層125と置換することができる。図4も、光学エレメント100の表面の一部を概略的に示し、付着物またはキャップ層125を除去するプロセスを概略的に説明するものである。層125は、図3で上述したようなキャップ層でよく、キャップ層125がある光学エレメント100を含む装置の使用後に、キャップ層を使用したせいで、B、C、SiおよびGeから選択した1つまたは複数の元素の隣で、キャップ層125が、例えばソースSO(図1および図2で図示)などからのSnも含むか、層125が主に、または完全にプラスチック管または残りのガスなどからのSnまたは炭化水素のような望ましくない付着物を含むようなキャップ層125でもよい。
図4を参照すると、H2を含むガス155が、ガス供給部6(2)によって、光学エレメント100が存在する空間の入口2(2)を通して提供される。熱フィラメント110が存在するので、水素ガスが水素基165中で解離する。水素基165の一部が、光学エレメント100の表面上の付着物またはキャップ層125と接触し、ここで水素基165がSi(Si酸化物を含む)、Sn(錫酸化物を含む)およびCなどのうち1つまたは複数と反応する。この方法で、付着物125がある光学エレメント100が水素基165の少なくとも一部と接触し、付着物125の少なくとも一部が除去される。揮発性水素化物170が形成され、これは図4ではSiH4として示されているが、錫水素化物および/またはCH4などのような炭化水素も含むことができる。揮発性化合物170は、排気管またはポンプ(図3および図4には図示せず)によって少なくとも部分的に除去される。しかし、1つまたは複数のゲッタプレートも提供してよく、その上で水素化物が付着物を形成することができ、したがって光学エレメントにとってもう有害ではない。100〜150nm/時の除去率を獲得することができる。成長率および除去率は、外部の場所でのX線蛍光分光法から導出することができる。このように、付着プロセスによってキャップ層125を光学エレメント100に提供する方法を使用し、除去プロセスで、装置の使用中または使用後にキャップ層125の少なくとも一部を除去する。光学エレメント100は使用中に保護され、キャップ層125のリフレッシュのせいで連続的に使用することができる。しばらく使用した後、キャップ層125がある光学エレメント100を、上述の除去プロセスにかけることができ、これは、装置の少なくとも一部にH2含有ガス155を提供することと、キャップ層125がある光学エレメント100を水素基165の少なくとも一部と接触させて、キャップ層125の少なくとも一部を除去することとを含む。先行技術で示唆されているように、光学エレメント100を含む装置の部品を損傷し得るハロゲン化物を使用しないので、付着物またはキャップ層125を少なくとも部分的に除去し、それによって損傷したキャップ層125またはSnを含むキャップ層125を除去することができる。酸化しているSnさえ、Sn水素化物としての水素基165で除去することができる。これらの揮発性化合物は、排気管(図示せず)によって装置から除去することができる。本発明の方法を実行することにより、光学エレメント100はキャップ層125によってSnから保護され、光学エレメント100の光学特性の向上および寿命の延長につながる。例えば、Snによる反射損を減少させ、光学エレメント100の寿命を延長させるために、保護キャップ層125を簡単に回復させることができる。その次に、B、C、SiおよびGeから選択した1つまたは複数を含むキャップ層125は、EUV放射線に対して比較的透過性であり、したがって放射線はキャップ層125によってほとんど減少しない。
この実施形態では、水素基を生成するデバイスはフィラメント110であり、B、C、SiおよびGeから選択した1つまたは複数から付着物を提供するデバイスもフィラメント110である。これらのフィラメントは、同じまたは異なるフィラメント110でよい。
ガス供給部6(1)、6(2)および入口2(1)、2(2)は、それぞれ同じガス供給部および入口でよい。さらに、これらの入口は、ガスを装置に導入するか、ガスを装置から除去するために使用可能な通常の入口でよい。したがって、これらの供給部および入口は、当業者に理解されるように、導入を可能にするデバイスを表し、適宜、装置から、または光学エレメント100を含む装置の部分からガスを除去できるようにする。当業者に理解されるように、デバイスは、ポンプ、容器、(分)圧手段、流量制御装置、弁、排出管などを含んでよい。
キャップ層125は、ソースからのスパッタリング生成物または電子から光学エレメント100を保護するだけでなく、例えば酸素または水のような化学的攻撃からも光学エレメント100を保護する。
この実施形態の変形で、図4の光学エレメント100はミラー58または59(図2参照)を含む光学エレメント、または投影システムPL内に存在し得る別のミラーまたは光学エレメント(このシステムPL内には、例えば6つのミラーがあってよい)を示すことができる。光学エレメントが投影システムPL内に存在し、装置の他の部品も、ウェハテーブルWT上のウェハ上のレジストからSiが放出されることによって形成された付着物125を含むことがある(図1および図2参照)。図4で示す方法によると、この付着物は、熱フィラメント110によって、または本明細書で説明する他のデバイスによって生成した水素基165で除去することができる。さらに、ガス供給部6(2)は水素ガス155を提供することができるが、さらにハロゲンも提供することができる。水素基は、付着物125中に存在するSiの酸化物を元素Siに還元し、これがさらに、それぞれ揮発性水素化物およびハロゲン化物を生成することによって除去される。水素化物のみを使用する当技術分野で知られている方法とは対照的に、本発明の方法では、例えばSiおよびSnなどの酸化物も除去することができる。
図3を参照すると、CH4を含むガスが、供給部6(1)によって入口2(1)を介して導入される。Cの付着は、熱フィラメント110によって実現され、これは1500K〜3000K(816℃〜1649℃)に、またはそれ以上まで加熱し、ガス105中のCH4の化学結合を解離させることができ、したがって、C115の分解によりキャップ層125を形成することができる。水素基または水素ガス120も形成される。CH4の代わりに、他の炭化水素も使用することができる。
光学エレメント100を使用した後、キャップ層125を除去し、新鮮なキャップ層125で置換することができる。図4を参照すると、H2を含むガス155が、供給部6(2)によって入口2(2)を介して光学エレメント100が存在する空間へと提供される。熱フィラメント110が存在するので、水素ガスは水素基165中で解離する。水素基165の一部は光学エレメント100の表面上の付着物またはキャップ層125へと移動し、そこで水素基165はCまたはCおよびSn(ソースSOからスパッタされる)などと反応する。揮発性水素化物170が形成され、これは図4ではSiH4とされているが、この実施形態では炭化水素または炭化水素と水素化錫を含む。揮発性化合物170は、排気管またはポンプ(図3または図4には図示せず)によって少なくとも部分的に除去することができる。
本発明のある実施形態では、光学エレメント100は放射線コレクタ50でよい(図2も参照)。図5は、第一ミラー30(1)および第二ミラー30(2)を含むコレクタ50の一部を概略的に示す。放射線コレクタ50は、EUV放射線35を集光し、放射線ビーム56を生成するために3つ以上のミラーを含んででよい。ミラー30(1)と30(2)の間の空間180内には、EUV放射線35の外側、つまりミラー30(2)の影に配置構成された空間180の部分がある。これらの空間の部分は灰色の区域で示される。例えば、これらの空間を使用して図示のように、フィラメント110(1)および110(2)を有するフィラメント110を配置構成することができる。炭素またはシリコンの水素化物が空間180に入り、熱フィラメント110によってキャップ層(図示せず)をミラー30(1)および30(2)上に形成する。同様に、水素ガスが空間180に入り、フィラメント110によって少なくとも部分的に該水素ガスを水素基165に変化させることができ、これはSnのような望ましくない付着物、または炭素キャップ層、シリコンキャップ層または炭素シリコンキャップ層などのキャップ層125を除去することができ、これらの後者の層は、ソースSO(図示せず)からのSnも含んでよい。
この実施形態の変形では、ガス供給部6(1)および6(2)を、コレクタ50が配置された空間内に設けることができる。さらなる変形では、入口2(2)および2(2)も、EUV放射線35の外側、つまりミラー30(2)の影に配置構成された空間180の一部に入るように、ガス供給部を配置することができる。図5は、ガス供給部6(1)および6(2)それぞれの位置の例を示す。1つまたは複数のガス供給部6(1)および6(2)それぞれを、コレクタ50(または他のミラー)が存在する空間に配置することができるが、代わりに1つの入口2(図示せず)がある1つのガス供給部6のみが所望のガスを提供してもよいことを理解されたい。
本発明のさらなる実施形態では、光学エレメント100はコレクタ50でよく、これにさらに熱フィラメント38を設ける。図6は、第一ミラー30(1)および第二ミラー30(2)を含むコレクタ50の一部を概略的に示す。放射線コレクタ50は、EUV放射線35を集光し、放射線ビーム56を生成するために、3つ以上のミラーを含んでよい。ミラー30(1)と30(2)の間の空間内に、EUV放射線35の外側、つまりミラー30(2)の影に配置構成された空間180の部分がある。これらの空間の部分は、参照番号32および34が付いた灰色の区域で示されている。例えば、これらの空間を使用して、(図5で示すように)フィラメント110を配置構成することができる。図6は、制御装置40によって制御された加熱エレメント38を示す。加熱エレメントソース38は、コネクタ31によってミラー30(1)に接続してよい。コネクタ31は導電加熱してよい。制御装置40は、適切にプログラムしたコンピュータ、または適切なアナログおよび/またはディジタル回路がある制御装置として実現することができる。加熱エレメント38は、矢印37で示す熱を発生し、これが放射線コレクタ50の第一ミラー30(1)へと配向される。加熱エレメント38は、ミラー30(1)に物理的に接続してもよい。加熱装置38は、様々な加熱エレメントを含むか、ミラー30(1)の様々な区域を選択的に加熱できるように配置構成する、あるいはその両方でよい。この方法で、キャップ層の層成長および層除去をさらによく制御することができる。加熱エレメント38は制御装置40によって制御することができ、これはポンプ29、または熱電対、ガス圧力、ガス流量、ミラー30(1)の反射率を分析する分析ユニット、キャップ層の厚さを測定する分析ユニットなど(図6には図示しないが、デバイスの幾つかは図7で図示)のような測定デバイスも制御することができる。
本発明のさらなる実施形態では、図7で概略的に示すように、光学エレメントは放射線コレクタ50でよく、これは多層ミラーでよく、さらに加熱エレメント68を設ける。このような多層ミラーは、少なくとも40の層、または少なくとも50の層、少なくとも60の層を含んでよく、さらにRu保護層(最上層)を含んでよい。
図7で示すようなシステムは、放射線を室3内に放射するソース室47を含み、これはコレクタ室48(図2で図示)の一部またはコレクタ室48自体でよい。システムは、炭化水素ガス、シランガス、またはその両方を供給するガス供給部6を含む。供給部は、必要なガス6のソースおよび入口2を含む(この図ではガス供給部6が1つしか図示されていないが、より多くの供給部が存在してよく、例えば図3から図5を参照されたい)。ガスは室3に供給され、室3内のガスの分圧は、センサ5(制御装置、例えば図5の制御装置40に結合することができる)を介して監視することができる。反射性センサ7を設け、これを使用して、Snのスパッタリング、Siおよび/またはCなどの層の成長、および付着物またはキャップ層125の除去のせいで、コレクタ50の反射率がいつ低下または増加したか判断することができる。この実施形態は多層ミラーについて説明しているが、これは本発明を制限するものではない。1つの代替形態は、かすめ入射ミラーであり、そのミラーに放射線が約20°より小さい角度で配向され、これは必ずしも複数の層を含まず、単一の金属層で製造することができる。このようなミラーは、EUV放射線ソースによって生成された原子およびイオンに露出した場合にも劣化する。同じ方法が、これらのミラーにも当てはまる。
出口22は、例えばH2、炭化水素などを除去するが、例えばH2O、Sn、Si、B、C、Geの水素化物およびハロゲン化物、および例えばC2H4などの形成可能な炭化水素のように、本発明の方法で形成される揮発性生成物(副産物)も除去する排出管として使用することができる。このような出口は、他の場所、例えば図3、図4、図5および図6の光学エレメント100に近い場所にも存在してよい。
キャップ層125を提供する方法の用途について、図2から図4に関して説明する。熱フィラメント付着などの化学蒸着技術を使用して、シリコンまたは炭素を光学エレメント100に付着させるか、そこからエッチングすることができる。これは、光学エレメント上のキャップ層としてSiまたはCの薄い層125(またはSiおよびCの層)を与え、これはソースSOから来る高速イオンによるエッチングからこれを保護する。層125は動的でよい。というのは特定の厚さおよび粗さのキャップ層を維持するために、キャップ層125を連続的にエッチングし、付着できるからである。これは、3つの別個のプロセスで実行することができる。つまり(1)層125を付着させ、次に(2)リソグラフィ装置を作動させ、(3)装置を停止し、層125(C、SiまたはSiとCの両方に次いでSnも含んでよいソースSOからのSnなどの高速原子およびイオンによって減少して、損傷することができる。)をエッチングで除去する。あるいは、さらに別の実施形態では、リソグラフィの動作中にオンラインのエッチングと付着を使用して、3つのプロセス全部を同時に実行することができる。動的キャップ層125として使用可能な材料はSi、C、BおよびGeであるか、これらの元素のうち2つ以上の組合せを使用することができる。シリコン(またはB、C、Ge)層のエッチングおよび付着はオンラインで、つまりEUVリソグラフィ機械が作動中に実行することができる。つまり、放射線ビームで光学エレメント100を照射する間に、キャップ層125の少なくとも一部を光学エレメント100に提供するか、放射線ビームで光学エレメント100を照射する間に、キャップ層125の少なくとも一部を光学エレメント100から除去する。これは、ガスの圧力を十分に高くできれば可能になることがある。水素は、EUV放射線に対して非常に良好な透過性を有する。つまり、オンラインエッチングも可能である。幸運にも、SiH4(Si付着物のソース)およびCH4(Cのソース)は、EUV放射線に対して非常に良好な透過性を有し、現時点で広く使用されているバッファガスであるアルゴンより、さらに良好な透過性を有する。圧力に対するこれらのガスの透過性が与えられている図8を参照されたい。これらのガスをそれぞれガス105または155として故意に導入する場合、室を接続、または室の他の部分それぞれを接続した状態で、室または室の閉鎖部分(例えば図2の放射線システム42または図7の室3)間の圧力差は、非常に大きくなる必要はない。さらに、SiH4およびCH4は、EUV細塵抑制用のバッファガスとしても働くことができる。
光学エレメント100上の様々なスポットは、ソースからの高速イオンおよび付着率のために、様々なエッチング率を呈する。これにより、光学エレメント100の表面全体にわたって均一なキャップ層厚さで平衡を達成するのが困難になる。これは、光学エレメント100の特定部分でエッチング率を上げるための、熱フィラメント(例えば図6および図7参照)による光学エレメント100の温度勾配で解決することができる。冷却エレメントも使用することができる。したがって、光学エレメント100にキャップ層125を提供するか、キャップ層(または副着物)125を除去しながら、光学エレメント100の1つまたは複数の部分を加熱し、光学エレメント100にキャップ層125を提供しながら、光学エレメント100の1つまたは複数の部分を冷却することができ、したがって均一なキャップ層125を提供し、キャップ層125を少なくとも部分的に均一に除去することもできる。冷却は、ペルチエ素子で実行することができ、加熱は、加熱エレメントおよびIR放射線でも実行することができる。キャップ125の厚さおよび均一性を制御する他の方法は、ガスの圧力、フィラメント110の温度、フィラメント110から光学エレメントまでの距離、または様々なフィラメント110の個々の温度および距離などを変化させることである。
別の実施形態では、キャップ層125は物理蒸着(PVD)で生成される。そのために、キャップ層125が光学エレメント100に形成されるような方法で、B、C、SiまたはGe、またはこれらの元素の1つまたは複数の組合せを、光学エレメント100を含む装置に導入する。例えば、電子のビームが、B、C、SiまたはGeを含む開始材料に衝突し、これは、B、C、SiまたはGeそれぞれの元素および/または粒子のスパッタリングおよび/または蒸発によって付着物を生成可能な種の形成につながる。物理蒸着は、リソグラフィ装置のその場で実行することができ、それによってオンライン付着技術を提供するか、PVD装置の外部の位置で実行することができ、それによってオフライン技術を提供する。
この実施形態では、付着物生成装置は、B、C、SiおよびGeのうち1つまたは複数から選択した付着物を生成し、放射線のソース、例えば電子衝撃を提供するソースである。光学エレメントの使用後または使用中に、加熱可能なフィラメント、プラズマ生成装置、同じソースでもよい放射線ソース、およびH2を水素基に変化させる触媒などの水素基発生装置を使用して、キャップ層125を除去することができる。
別の実施形態では、図4を参照すると、水素155の次にハロゲンも導入することができる。例えば、酸素の存在によって部分的に酸化されているSnを、熱フィラメント110で生成した水素基165で還元することができる。次に、SnをSnH4170として、しかしSnハロゲン化物としても除去することができる。例えば、水素の次にガス155もCl2またはI2を含んでよい。現在知られているプロセスより、使用すべきハロゲンが少ない。SiまたはGeキャップ層または付着物にも、同じことが当てはまる。
さらに別の実施形態では、フィラメント110ではなくプラズマ生成装置を使用して、水素基165を生成する。この生成装置は、2つの電極間にあり、それによってプラズマを形成する例えば約5〜10kVの高圧生成装置でよい。このプラズマが存在するので、水素を含むガス155からの水素が、少なくとも部分的に水素基165に変化する。
このようなプラズマは、開始材料としてシランを含むガス105、または開始材料として炭化水素を含むガス105それぞれから、Siを生成するために使用することができる。この実施形態では、水素基生成装置はプラズマであり、B、C、SiおよびGeのうち1つまたは複数から付着物を生成する付着物生成装置は、フィラメント110、プラズマまたは放射線ソースでよい。
さらに別の実施形態では、フィラメント110の次に、H2を水素基に変化させる触媒を使用する。これは、Ruを含むゼオライトまたはアルミナとRuのようなRu含有触媒、またはRh、Ir、Pt、Pdなどの他の金属でよい。H2を水素基に変化させる触媒が存在するので、水素を含むガス155からの水素が、少なくとも部分的に水素基165に変化する。この実施形態の変形では、触媒および光学エレメント100がRu層を含み、これは例えば多層ミラー、かすめ入射ミラーなどのミラーのような光学エレメント100上のRu保護層でよい。この実施形態では、水素基生成装置は触媒であり、付着物生成装置はフィラメント110、またはキャップ層125を提供する別のデバイスでよい。
この実施形態の状況、特に光学エレメント上にRu層がある状況では、水素ガス分子がRuの表面上で解離し、水素原子を表面に化学吸着させることができる。水素原子は、例えばSnへと移動し、水素化物としてSnを除去するか、Sn酸化物(例えばSnO/SnO2)へと移動し、次にSnへと還元することができる。水素原子も、SnまたはSn酸化物(またはそれぞれSiおよびSiO/SiO2など)の近傍で表面上に形成し、Snを除去するか、SnOを還元することができる。これで、水素基、Ru層の表面に結合した水素原子、およびハロゲン化物によって元素Snを除去することができる(例えば実施形態1および8も参照されたい)。
さらに別の実施形態では、炭化水素を装置に導入し、光学エレメント100の近傍に炭化水素を提供することによって、キャップ層125を生成する。ソースで照射するので、光学エレメント100の表面に(ファンデルワールス力などのせいで)付着した炭化水素が、Cを含むキャップ層125に少なくとも部分的に変化する。ソースはEUV、DUVまたはUV放射線を提供することができる。代替的または追加的に、これも炭化水素をCに変化させることができる電子を提供するソースを使用してよく、したがってCを含むキャップ層125が提供される。この実施形態の変形では、例えば放射線のソースはソースSO(図1および図2参照)および/または別個の放射線ソースでよい。
本発明のこの実施形態では、光学エレメント100を含む装置から、付着物またはキャップ層125を含む光学エレメント100を除去し、別の構成の外部の場所で付着物またはキャップ層除去プロセスを実行する。それには、この構成の少なくとも一部にH2含有ガスを提供し、H2含有ガスからのH2から水素基を生成し、光学エレメント100とキャップ層125を水素基165の少なくとも一部と接触させて、この構成の光学エレメント100からキャップ層125の少なくとも一部を除去する。
本発明のこの実施形態では、光学エレメント100を、この光学エレメント100を含む装置から除去し、キャップ層125を生成する付着を、付着物生成装置によって別の構成の外部の場所で実行し、付着物は、B、C、SiおよびGeから選択した1つまたは複数の元素を含む。あるいは、例えば数nm、約1〜50nm、または約2〜40nmなどの薄いSnの層も付着してよい。
この実施形態では、キャップ層125を、装置内で特定の期間使用した後に除去する。この除去は、図7のセンサ7によって検出される特定の基準値(例えば光学系100がミラーまたは格子である場合、光学エレメント100の反射率)に合わせて実行される。このプロセスは、装置を使用する毎に、またはある時間装置を使用した後に繰り返すことができる。キャップ層125は必ずしも完全に除去する必要がなく、特定の基準値が獲得されるまで除去するだけでよい。キャップ層125の一部を除去した後、第二基準値が獲得されるまで、新鮮なキャップ層125を生成することができる。この方法で、キャップ層125を完全に除去した後、またはキャップ層125を部分的に除去した後に、新鮮な均一の層を獲得することができる。
この実施形態では、装置はリソグラフィのリソグラフィ装置であり、放射線のビームは放射線を含む。光学エレメント100は、例えば放射線強度を感知するダイオード、または他の光学エレメント100の光学特性を感知するダイオード、または図7のようにミラーの反射率を測定するセンサ7、または位置合わせなどのセンサのような光学エレメントである。リソグラフィ装置は、例えば放射線強度を感知するセンサの場合に、放射線のビームで光学エレメントを照射するように設計することができるが、上述したセンサも、直接的放射線が存在しない位置で装置内に存在してよい。例えば数nmのSiなど、放射線に対してほぼ透明なキャップ層125を生成することができる。
別の実施形態によると、装置は、例えばEUVリソグラフィ用に設計された図2による装置のようなリソグラフィ装置を含む。
図4から図7を参照すると、除去プロセスのために、供給部6(2)によって入口2(2)を介して、(水素ガスに加えて)光学エレメント100が存在する空間に炭化水素および/またはシラン化合物を提供する。つまり、参照記号155は、水素含有ガスおよび炭化水素および/またはシラン化合物ガス(または炭化水素および/またはシランを含むガス)の混合物または2つ以上の流れも示す。供給部6は、幾つかの供給部、例えば炭化水素化合物の供給部、シラン化合物(付着物またはキャップ層125の除去に使用する)の供給部、水素含有ガスの供給部およびシラン(キャップ層125を提供する)の供給部を指す。例えば、付着物またはキャップ層125を除去するために、炭化水素化合物および水素含有ガスを装置に提供することができる(例えばH2/CH4)。これらのガスは別個に導入するか、装置に導入する前に混合することができる。
例えばクリーニング中にCH4を水素含有ガスに追加することによって、同じ条件であるが水素のみのクリーニングプロセスに対して、クリーニング速度が上がるので有利である。例えばCH4を水素ガスに追加すると、ある実施形態では熱フィラメント110がH2分子に加えてCH4分子を解離する(つまり、ガスの少なくとも一部が炭化水素および水素基を生成し、水素基生成装置110が炭化水素基生成装置110でもある)。その結果の塩基はH基および例えばCH3基である。これらの塩基間の比率は、例えば水素含有ガスおよび炭化水素化合物含有ガスCH4の相対的ガス流量を変化させるか、混合ガス中の分子の比率を調整することによって調整することができる。当業者は、比率が低くなりすぎず、高くなりすぎないように、比率を調整する。例えば、CH3基が多すぎる場合は、(所望の炭化効果に加えて)基板上に炭素の厚い層を形成する危険が高くなる。したがって、CH3濃度は、炭素が成長するより速く、H基がこれを除去できるほど十分に低くする必要がある。しかし、CH3濃度が低すぎる場合、CH4の追加が低すぎることになる。
炭化水素基がクリーニング速度を改善できるメカニズムは、以下のうち1つまたは複数でよい。
ガス相では、CH3基のような炭化水素基がSnH4(水素化錫)分子と反応して、SnH3(CH3)、SnH2(CH3)2、SnH(CH3)3、またはSn(CH3)4を形成することができる。これらの分子はSnH4分子より安定し、したがってクリーニング速度が改善される。というのは、これらの分子がミラー上にSnの再付着物を形成する可能性が低くなるからである。したがって、例えば図4を参照すると、参照記号170はSiH4を含んでよいが、さらに例えばSnH3(CH3)、SnH2(CH3)2、SnH(CH3)3、またはSn(CH3)4 のうち1つまたは複数を含んでよい(追加の化合物が本発明の除去方法でメチル基を形成するものとする)。
例えばCH3などの炭化水素基は、ミラーの最上層を炭化することができる。例えば、これは例えばRu基板をRuカーバイド基板に効果的に変化させることができる。Ruカーバイド基板は、純粋なRu基板より良好なSnクリーニング速度を有することができる。
これは、他の付着物、特にB、C、SiおよびGeにも同様に当てはまる。
本発明のある実施形態では、炭化水素化合物はC1−C25化合物を含む。さらなる実施形態では、炭化水素化合物は線状、分枝、環状または芳香族炭化水素、例えばメタン、エタン、n−プロパン、n−ブタン、n−プロパン、n−ヘキサン、およびその異性体、例えばシクロプロパン、シクロブタン、ターブタン(イソブタンまたは2−メチルプロパン)、シクロペンタン、イソペンタン(または2−メチルブタン)、ネオペンタン(または2,2−ジメチルプロパン)などを含む。さらなる実施形態では、炭化水素化合物は、メタン、エタン、n−プロパン、n−ブタン、n−プロパン、n−ヘキサン、シクロブタン、ターブタン(イソブタン)、イソペンタン、ネオペンタン、およびこれらの化合物のうち1つまたは複数の混合物から選択される。さらに、炭化水素化合物は、1つまたは複数の不飽和結合、つまりアルケン、アルキンまたは芳香族を有してよい。これらの炭化水素化合物の1つまたは複数の組合せを使用してもよい。
ある実施形態では、炭化水素化合物はR1R2R3CR4化合物を含み、R1、R2、R3およびR4(側鎖)はそれぞれ、C1−C6炭化水素基のグループから選択される。つまり、炭素原子は4つの炭化水素基によって配位結合され、これはそれぞれ相互に線状、分枝、環状または芳香族でよく、例えばある実施形態ではC(CH3)4、C(CH2CH3)4、C(CH2CH2CH3)4、C(CH2CH2CH2CH3)4などでよいが、ある実施形態では例えばC(CH3)(CH2CH2CH3)3などでもよい。ある実施形態では、側鎖もこれらの炭化水素基の異性体、例えば上記で定義したようなものも含んでよい。側鎖は、不飽和炭化水素基も含んでよい。側鎖は、異なってもよく(別個に選択する)、線状、分枝または環状となっていてもよい。
さらなる実施形態では、炭化水素化合物はR1R2R3CR4化合物を含み、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ、C1−C6炭化水素基および水素基のグループから選択され、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つは水素基を含む。特定の実施形態では、炭化水素化合物は、HCR1R2R3から選択され、ここでR1、R2およびR3はそれぞれ、C1−C6炭化水素基のグループ、例えばCH(CH3)3(トリメチルメタン)、CH(CH2CH3)3(トリエチルメタン)、CH(CH2CH2CH3)3(トリプロピルメタン)、CH(CH2CH2CH2CH3)3(トリブチルメタン)から選択される。上述したように、ある実施形態では側鎖もこれらの炭化水素基の異性体、例えば上記で定義したようなものを含んでよい。側鎖は、不飽和炭化水素基も含んでよい。側鎖は、異なってもよく、線状、分枝または環状となっていてもよい。
さらに別の実施形態では、炭化水素化合物は線状、分枝、環状または芳香族で、少なくとも1つのC1−C6炭化水素基で置換した芳香族化合物を含む。
したがって、炭化水素化合物は、付着プロセス(キャップ層125の形成)および除去プロセス(つまりキャップ層または付着物125の除去)の両方で使用することができる。
炭化水素化合物の代わりに、または炭化水素化合物に加えて、シラン化合物も使用してよい。両方の化合物とも、水素基での処理によって付着物またはキャップ層の除去率が上がるという意味で、触媒と同様の機能を提供することができる。ある実施形態では、シラン化合物はR1R2R3SiR4化合物を含み、ここでR1、R2、R3およびR4はそれぞれ、C1−C6炭化水素基のグループから選択される。つまり、シラン原子は4つの炭化水素基によって配位結合され、これはそれぞれ相互に線状、分枝、環状または芳香族でよく、例えばある実施形態ではSi(CH3)4、Si(CH2CH3)4、Si(CH2CH2CH3)4、Si(CH2CH2CH2CH3)4などでよいが、ある実施形態では例えばSi(CH3)(CH2CH2CH3)3などでもよい。上記と同様に、ある実施形態では側鎖もこれらの炭化水素基の異性体、例えば上記で定義したようなものも含んでよい。側鎖は、不飽和炭化水素基も含んでよい。側鎖は、異なってもよく線状、分枝または環状となっていてもよい。
別の実施形態では、シラン化合物はR1R2R3SiR4化合物を含み、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ、C1−C6炭化水素基および水素基のグループから選択され、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つは水素基を含む。つまり、シリコン原子は3つ以下の炭化水素基によって配位結合され、これは相互に線状、分枝、環状または芳香族でよい(例えばトリまたはジメチルシラン)。炭化水素側鎖は、1つまたは複数の不飽和結合、つまりアルケン、アルキンまたは芳香族を有してよい。特定の実施形態では、炭化水素化合物は、HSiR1R2R3から選択され、ここでR1、R2およびR3はそれぞれ、C1−C6炭化水素基のグループ、例えばSiH(CH3)3(トリメチルシラン)、SiH(CH2CH3)3(トリエチルシラン)、SiH(CH2CH2CH3)3(トリプロピルシラン)、SiH(CH2CH2CH2CH3)3(トリブチルシラン)、SiH(CH2CH2CH2CH2CH3)3(トリペンチルシラン)およびSiH(CH2CH2CH2CH2CH2CH3)3(トリヘキシルシラン)から選択される。さらに別の特定の実施形態では、シラン化合物は、R1R2R3CHのグループから選択され、ここでR1、R2およびR3はそれぞれ、C1−C4炭化水素基のグループから選択され、これは線状、分枝、または環状など、例えばSiH(CH3)4(トリメチルシラン)、SiH(CH2CH3)4(トリエチルシラン)、SiH(CH2CH2CH3)4(トリプロピルシラン)、SiH(CH2CH2CH2CH3)4(トリブチルシラン)から選択される。上述したように、ある実施形態では側鎖もこれらの炭化水素基の異性体、例えば上記で定義したようなものを含んでよい。側鎖は、不飽和炭化水素基も含んでよい。側鎖は、異なってもよく、線状、分枝または環状となっていてもよい。別の実施形態では、シランはポリシランを含む。
さらに特定の実施形態では、炭化水素またはシラン化合物いずれかのC1−C25化合物、C1−C6炭化水素側基またはC1−C4炭化水素側基は、アルコキシ基(例えばアルキルアルコキシシラン)、アルコール基およびハライド基のグループから選択された1つまたは複数を含んでよい。当業者には明白であるように、ガスの組合せを使用することができる。
上述した全てについて、言及された側鎖には、ある実施形態で側鎖がこれらの炭化水素基の異性体、例えば上記で定義したものを含んでよい。側鎖は、不飽和炭化水素基も含んでよい。側鎖は、(1つの化合物、例えばエチルジメチルシラン:(CH3CH2)SiH(CH3)2などの中で)異なってもよく、線状、分枝または環状でもよい。
さらに別の実施形態では、シラン化合物はSinH2n+2のグループから選択した1つまたは複数の化合物を含み、ここでnは1以上の整数である。したがって、シラン、特定の実施形態ではSinH2n+2シランを、付着プロセス(キャップ層125の形成)と除去プロセスの両方に使用することができる。
本発明の炭化水素またはシラン化合物を提供するために、ある実施形態では本発明の装置はさらに、炭化水素化合物およびシラン化合物のグループから選択した1つまたは複数の追加的化合物を提供するように構成された入口6、6(2)を含む。ある実施形態では、この入口6、6(2)は、装置の少なくとも一部にH2含有ガスを提供するために構成されたものと同じ入口6、6(2)である。
ある実施形態によると、本発明による方法はさらに、化合物およびシラン化合物のグループから選択した1つまたは複数の追加的化合物から塩基を生成することを含む。例えば、CH3を、CH4、ターブチルメタンまたはターメチルシラン(CH3)3SiHなどから形成することができる。特定の実施形態によると、本発明による方法はさらに、炭化水素化合物およびシラン化合物のグループから選択した1つまたは複数の追加的化合物から炭化水素基を生成することを含む。そのために特定の実施形態では、装置はさらに、1つまたは複数の追加的化合物から炭化水素基を生成するように構成された炭化水素基生成装置を含む。さらなる特定の実施形態では、この炭化水素基生成装置は、水素基の生成に使用するのと同じ生成装置、つまり、熱フィラメント、プラズマ、放射線および/またはシランを炭化水素基に変化させる触媒から選択した1つまたは複数の塩基形成デバイスでよい。例えば、図4および図5を参照すると、フィラメント110を使用して水素基165および炭化水素基を生成することができる。
同様に特定の実施形態では、装置はさらに、SinH2n+2のグループから選択した1つまたは複数のシラン化合物から塩基を生成するように構成された塩基生成装置を含み、ここでnは1以上の整数である。さらなる特定の実施形態では、この塩基生成装置は、上述したように水素基または炭化水素基の生成に使用するのと同じ生成装置、つまり熱フィラメント(図4および図6の参照記号110)、プラズマ、放射線および/またはシラン化合物を塩基に変化させる触媒から選択した1つまたは複数の塩基形成デバイスでよい。
本発明のある実施形態によると、付着物125の少なくとも一部、またはキャップ層125の少なくとも一部は、外部の位置で光学エレメントを含む装置から除去される。つまり、光学エレメント100を光学装置から外し、付着物125の少なくとも一部を除去するために、別の装置または容器に入れる。本発明の別の実施形態によると、付着物125の少なくとも一部、またはキャップ層125の少なくとも一部は、その場で光学エレメントを含む装置から除去される。例えば、光学エレメントを含む空間に上述した水素含有ガス、炭化水素および/またはシラン化合物を提供し、塩基生成装置によって付着物125を除去する。本発明のさらに別の実施形態によると、付着物125の少なくとも一部、またはキャップ層125の少なくとも一部は、(デバイス製造方法のような)光学プロセスを実行しながら、その場で光学エレメントを含む装置から除去される。例えば、リソグラフィ装置を使用しながら、水素ガスおよびメタンガスを放射線システム42のようにコレクタミラー50モジュールに提供することができ、熱フィラメント110またはプラズマによって水素および炭化水素基が形成され、望ましくない付着物125または例えば劣化したキャップ層125の少なくとも一部を除去するので有利である。上述したように、その場で(または外部の位置で)新しい、新鮮または改善されたキャップ125を提供することもできる。
この実施形態では、キャップ層または付着物125は、装置内で特定の期間使用した後に除去する。除去は、図7のセンサ7によって検出される特定の基準値(例えば光学系100がミラーまたは格子である場合、光学エレメント100の反射率)に合わせて実行される。このプロセスは、装置を使用する毎に、またはある時間装置を使用した後に繰り返すことができる。キャップ層125は必ずしも完全に除去する必要がなく、特定の基準値が獲得されるまで除去するだけでよい。キャップ層125の一部または全部を除去した後、第二基準値が獲得されるまで、新鮮なキャップ層125を生成することができる。この方法で、キャップ層125を完全に除去した後、またはキャップ層125を部分的に除去した後に、新鮮な均一の層を獲得することができる。例えば反射または他のパラメータを監視することにより、当業者はキャップ層125の形成および付着物125の除去を調整することができる。したがって、このようなパラメータを監視することにより、除去するために導入すべき化合物の量、および適宜、比率も調整することができ、キャップ層形成のために導入すべき化合物の量、および適宜、比率も調整することができる。例えば、例えばメタンガスのような炭化水素化合物、および水素を含むガスを使用して除去すると仮定すると、監視されるパラメータに応じて、所望の量の付着物125が除去されるように、量、ガス流量、温度、圧力などを調整することができる。
図9で示すように、炭化水素の存在により、除去プロセスは純粋な水素のプロセスに対して向上する。数パーセントのメタン(水素に対して1、3、5および8体積%)を追加することにより、同回数の処理で、Snの厚さが大幅に減少する結果となる。図9の実験では、メタンの量を5%から8%に増加しても、Snの厚さがさらに大幅に減少することはなく、曲線は相互にほぼ重なる。
本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置が他の多くの用途においても使用可能であることは明確に理解されるべきである。例えば、これは、集積光学装置、磁気ドメインメモリ用ガイダンスおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造に使用され得る。こうした代替的な用途の状況においては、本文にて使用した「ウェハ」または「ダイ」といった用語は、それぞれ「基板」または「目標部分」といった、より一般的な用語に置き換えて使用され得ることが当業者には理解される。本明細書で言及する基板は、露光前または露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)または計測または検査ツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上およびその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに、基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指す。
以上では光学リソグラフィの状況における本発明の実施形態の使用に特に言及しているが、本発明は、刻印リソグラフィなどの他の用途においても使用可能であり、状況が許せば、光学リソグラフィに制限されないことが分かる。刻印リソグラフィでは、パターニングデバイスの構造が、基板上に生成されるパターンを画定する。パターニングデバイスの構造を、基板に供給されたレジストの層に押しつけ、その後に電磁放射線、熱、圧力またはその組み合わせを適用して、レジストを硬化する。パターニングデバイスをレジストから離し、レジストを硬化した後にパターンを残す。
以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。例えば、本発明は、上記で開示したような方法を述べる機械読み取り式命令の1つまたは複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム、または自身内にこのようなコンピュータプログラムを有するデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気または光ディスク)の形態をとることができる。
上記の説明は例示的であり、制限的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。
本発明は、実施形態に記載されたようなリソグラフィ装置の用途またはリソグラフィ装置での使用に制限されない。さらに、図面は通常、本発明を理解するために必要なエレメントおよび形体しか含まれない。更に、リソグラフィ装置の図面は概略的であり、一律の縮尺ではない。本発明は、略図に図示されたこれらのエレメントに制限されない(例えば略図に図示されたミラーの数)。さらに、本発明は図1および図2で説明したリソグラフィ装置に限定されない。上述した実施形態を組み合わせてよいことが、当業者には理解される。さらに、本発明は、例えばソースSOからのSnなどに対する保護に制限されず、光学エレメント100を損傷可能な放射線ソースなどの他のソースからの他の粒子も、本発明の方法で除去することができる。光学エレメントを保護する複数の方法も、このような他の粒子に関して同様に適用することができる。例えばCまたはSiなどのみに言及する実施形態は、B、GeおよびSnも指向してよい。さらに、キャップ層125は、水素基によってB、C、SiおよびGeの元素を含むキャップ層125の少なくとも一部を除去できる場合に、これらの元素以外の元素を含むキャップ層125を提供する付着プロセスによって生成することができる。
本発明の保護の範囲は、与えられた実施形態に制限されない。本発明は、新規の各特徴および特徴の各組合せに存する。