JP2008181042A - 半導体構造及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】可動部中に絶縁分離構造を設けた半導体構造を容易に製造可能にする。
【解決手段】光走査ミラー(半導体構造)1は、第1シリコン層100a、酸化膜120、第2シリコン層100bから成るSOI基板100を加工することにより形成されている。第1シリコン層100aには、固定フレーム4に第1ヒンジ5を介して支持された可動部50が形成されている。可動部50は、トレンチ(絶縁分離構造)101aが形成されることにより複数の部位に分かれている。トレンチ101aの下方に、酸化膜120及び第2シリコン層100bから成る支持体9が形成されている。支持体9にはトレンチ101aにより分割された可動フレーム3の複数の部位が接合されており、可動部50は支持体9と一体に揺動可能である。これにより、簡易なエッチングによる製造工程により支持体9を形成し、可動部50の機械的強度を確保可能である。
【選択図】図1

Description

本発明は、支持ヒンジにより軸支された可動部を揺動させる半導体構造と、その半導体構造の製造方法に関する。
従来より、例えばバーコードリーダやプロジェクタ等の光学機器に、ミラー面が設けられたミラー部を揺動させて、そのミラー面に入射した光ビーム等をスキャンする光走査ミラーを用いた方式が知られている。光走査ミラーとしては、例えば、マイクロマシニング技術を用いて成形される半導体構造を有する小型のものが知られている。このような半導体構造は、光走査ミラーとして用いられるときにミラー面が形成される可動部と、可動部を支持する固定フレームとを有している。可動部と固定フレームとは互いにヒンジにより連結されており、可動部と固定フレームとの間には、例えば、互いに噛合う一対の櫛歯電極が形成されている。櫛歯電極は、例えば互いの電極が2μm乃至5μm程度の間隔で噛み合うように形成されており、互いの電極間に電圧が印加されることにより静電力を発生する。可動部は、櫛歯電極が発生する駆動力により、ヒンジを捻りながら固定フレームに対し回動し、ヒンジを軸として揺動する。
ところで、可動部が、ミラー面が搭載されたミラー部とミラー部をヒンジを介して支持する可動フレームとを有し、可動フレームとミラー部との間にも一対の櫛歯電極が設けられているような半導体構造を用いた光走査ミラーがある(非特許文献1参照)。図24は、2軸型の光走査ミラーの一例を示す。光走査ミラー81は、第1シリコン層800aとその下方の第2シリコン層800bとを絶縁膜820を介して接合して成るSOI(Silicon on Insulator)基板800から構成されている。ミラー部82及び可動フレーム83は、第1シリコン層800aに形成されており、固定フレーム84は、第1シリコン層800a、絶縁膜820、及び第2シリコン層800bにより構成されている。可動フレーム83は固定フレーム84に第1ヒンジ(後記第2ヒンジ86とは直交する位置にあり、図では示されていない)を介して軸支されており、ミラー部82は可動フレーム83に第2ヒンジ86を介して軸支されている。櫛歯電極(図示せず)は、ミラー部82と可動フレーム83との間、及び可動フレーム83と固定フレーム84との間にそれぞれ設けられている。ミラー部82の上面にはミラー面82aが形成されており、固定フレーム84の上面には櫛歯電極を駆動するための電圧が印加される端子部810が形成されている。第1シリコン層800aの上面は、ミラー面82aと端子部810を除き、絶縁膜820で覆われている。端子部810に駆動電圧が印加されて櫛歯電極が駆動力を発生し、その駆動力がミラー部82及び可動フレーム83にそれぞれ加わることにより、ミラー部82及び可動フレーム83が、それぞれ第2ヒンジ86及び第1ヒンジを捻りながら揺動する。
2軸型の光走査ミラー81の半導体構造では、可動フレーム83内に互いに電気的に絶縁された2つの部位を設け、ミラー部82と可動フレーム83との間に設けられた櫛歯電極のミラー部82側の電極と可動フレーム83側の電極との間に電圧を印加できるようにする必要がある。従来の光走査ミラー81の半導体構造では、可動フレーム83に絶縁分離部89を形成することにより、可動フレーム83を、可動フレーム83側の電極の電位となる部位と、第2ヒンジ86を介してミラー部82と導通しミラー部82側の電極の電位となる部位との2つの部位に絶縁分離している。このような絶縁分離部89は、可動フレーム83を一体に揺動可能とし、且つ、可動フレーム83の2つの部位の電気的絶縁を維持するため、第1シリコン層800a中に形成した溝形状(トレンチ)の側壁に絶縁膜820cを形成したうえで、そのトレンチにポリシリコン89aを埋め込むことにより可動フレーム83一体としての機械的強度を確保し、2つの部位を絶縁した状態で接合している。
上記絶縁分離部89の製造工程の一例について、図25(a)乃至(c)を参照して説明する。先ず、図25(a)に示すように、表面に絶縁膜820が形成されたSOI基板800の第1シリコン層800aの上方にレジスト832をパターニングし、第1シリコン層800aをエッチングすることにより、第1シリコン層800aにトレンチ801aを形成する。そして、図25(b)に示すように、レジスト832を取り除き、電気炉を用いてトレンチ801aの側壁を酸化させて絶縁膜820cを形成した後、ポリシリコンをデポジションすることにより、トレンチ801aをポリシリコン89aで埋め込む。その後、図25(c)に示すように、第1シリコン層800aの表面に堆積したポリシリコンを研磨し除去することにより、絶縁分離部89が第1シリコン層800a中に形成される。
しかしながら、このようにポリシリコン89aでトレンチ801aを埋め込んで形成される絶縁分離部89を設け、可動フレーム83を構成する場合には、半導体構造の製造工程が複雑になり、また、絶縁分離部89を設けることによる良好な電気的絶縁の維持と機械的強度の確保を行うことが困難であるため、製造時の良品率が悪いという問題がある。すなわち、光走査ミラー81の半導体構造の製造時には、上述のように、トレンチ形成工程、側壁酸化工程、ポリシリコン埋込工程、ポリシリコン研磨工程など複雑な工程を経なければならない。また、ポリシリコン埋込工程においては、トレンチ801aをポリシリコン89aで密に埋め込むことが困難であるため、埋め込まれたポリシリコン89a中に空隙が生じ、可動フレーム83の機械的強度が小さくなることがある。そして、可動フレーム83の2つの部位は互いに絶縁膜820cにより絶縁されているので、この絶縁膜820cが製造時に適切に形成されなければ、2つの部位間の電気的絶縁性が損なわれ、光走査ミラー81が動作不良を起こすことがある。
IEEE Journal of selected topics in Quantum Electronics, Vol.6, No.5, September/October 2000 p715
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、簡易な製造工程により可動部中に絶縁分離構造を形成可能であり、製造時の良品率が高い半導体構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、固定フレームと、前記固定フレームに支持ヒンジを介して軸支され前記固定フレームに対し回転可能な可動部と、を備え、前記可動部には、その可動部を互いに絶縁された複数の部位に分割する絶縁分離部が設けられている半導体構造において、前記絶縁分離部の下方には、前記絶縁分離部により分割された前記可動部の複数の部位が共に接合された支持体が形成されており、前記可動部が前記支持体と一体に回動可能に構成されているものである。
請求項2の半導体構造の製造方法は、第1シリコン層と第2シリコン層とが酸化膜を介し互いに接合されて成るSOI(Silicon on Insulator)基板から構成され、前記第1シリコン層、前記酸化膜、及び前記第2シリコン層に固定フレームが形成され、前記第1シリコン層に前記固定フレームに支持ばね部を介して軸支され前記固定フレームに対し回転可能な可動部が形成されて成り、前記可動部には、その可動部を互いに絶縁された複数の部位に分割する絶縁分離部が設けられている半導体構造の製造方法であって、前記SOI基板をエッチングし、前記第1シリコン層に、前記支持ばね部、前記可動部、及び前記絶縁分離部を形成する第1工程と、前記第1工程の後、前記第2シリコン層にエッチングを行い、前記第2シリコン層のうち前記可動部及び前記支持ばね部の下方の部位を、前記絶縁分離部の下方の部位を残して掘り込む第2工程と、前記第2工程の後、前記酸化膜のうち前記第2工程にて前記第2シリコン層が掘り込まれることにより露出した部位を除去し、前記絶縁分離部の下方に、前記絶縁分離部により分割された前記可動部の複数の部位に共に接合された、前記酸化膜及び前記第2シリコン膜から成る支持体を形成する第3工程と、を有するものである。
請求項3の発明は、請求項2の半導体構造の製造方法において、前記第2工程において、前記第2シリコン層の前記絶縁分離部の下方の部位の厚みが前記第2シリコン層の前記固定フレームの厚みよりも小さくなるようにエッチングを行うものである。
請求項4の発明は、請求項2の半導体構造の製造方法において、前記第1工程において、前記酸化膜のうち前記絶縁分離部を形成することにより露出した部位を除去し、それにより露出した前記第2シリコン層の部位に対しボロン拡散を行い、前記第2シリコン層中に高濃度ボロン拡散部を形成し、前記第2工程において、前記高濃度ボロン拡散部に対して選択性を持つエッチャントを用いて前記第2シリコン層にエッチングを行い、前記支持体を、前記高濃度ボロン拡散部により構成するものである。
請求項1の発明によれば、絶縁分離部の下方に、絶縁分離部により絶縁分離された可動部の複数の部位が共に接合された支持体が形成されており、可動部が支持体と一体に回動可能に構成されているので、従来よりも簡易な製造工程により製造可能になり、可動部の機械的強度も確実に確保される。また、絶縁分離部は可動部を複数の部位に分割するように構成されているので、複数の部位間での電気的絶縁を確実に維持することができ、半導体構造の製造時の良品率が高くなる。さらにまた、支持体は可動部と一体に回動するので、可動部の共振周波数を保ったまま素子サイズを小さくして製造コストを低減したり、支持ヒンジを太くして半導体構造の耐衝撃性を向上させることができる。
請求項2の発明によれば、絶縁分離部を有する半導体構造を、SOI基板をエッチングする、簡易な、第1工程、第2工程、及び第3工程により製造可能であり、トレンチ側壁酸化工程やポリシリコン埋め込み研磨工程のような複雑な工程を行う必要がなく、容易に半導体構造を製造可能である。絶縁分離部は可動部を複数の部位に分割するように構成されるので、複数の部位間での電気的絶縁を確実に維持することができ、半導体構造の製造時の良品率が高くなる。
請求項3の発明によれば、第2シリコン層の絶縁分離部の下方の厚みが固定フレームの厚みよりも小さくなるようにエッチングを行うので、支持体の下端部の位置が、固定フレームの下端部の位置よりも上方となる。従って、固定フレームの下方にスペーサを設ける必要がなく実装高さが低い半導体構造を製造することができる。
請求項4の発明によれば、第1工程において絶縁分離部の下方の第2シリコン層にボロン拡散を行い高濃度ボロン拡散部を形成し、第2工程において、高濃度ボロン拡散部を残してエッチングを行い、支持体を高濃度ボロン拡散部により構成するので、ボロン拡散深さを制御して、支持体の大きさを高精度に制御することができ、支持体を含む可動部の共振周波数を高精度に設定することができる。
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1(a)、(b)、図2、図3、及び図4(a)、(b)は、本実施形態に係る半導体構造を用いて構成された光走査ミラーの一例を示す。光走査ミラー(半導体構造)1は、例えば、バーコードリーダ、外部のスクリーン等に画像を投影するプロジェクタ装置、又は光スイッチ等の光学機器に搭載される小型のものであり、外部の光源等(図示せず)から入射する光ビーム等をスキャン動作させる機能を有している。
先ず、この光走査ミラー1の構成について以下に説明する。光走査ミラー1は、導電性を有する第1シリコン層100aと第2シリコン層100bとをシリコンの酸化膜120を介して接合して成る、3層のSOI(Silicon on Insulator)基板100から構成されている。酸化膜120は絶縁性を有しているので、第1シリコン層100aと第2シリコン層100bとは互いに絶縁されている。第1シリコン層100aの厚みは、例えば30μm程度であり、第2シリコン層100bの厚みは、例えば400μm程度である。また、SOI基板100の上面の一部には、酸化膜120bが形成されている。この光走査ミラー1は、例えば、上面視で一辺が数mm程度の略正方形である直方体状の素子であり、第2シリコン層100bの下面の一部に、例えばガラス製の所定の厚みのスペーサ110が接合された状態で、光学機器等の回路基板B上等に実装される。酸化膜120bと回路基板Bとは、図3に示されており、図1(a)、(b)、図2、及び図4(a)、(b)においてはそれらの図示を省略している。なお、光走査ミラー1は、酸化膜120bを有さなくてもよい。
この光走査ミラー1は、上面視で略矩形形状であり上面にミラー面20が形成されたミラー部2と、ミラー部2の周囲を囲むように略矩形の環状に形成された可動フレーム3と、可動フレーム3の周囲を囲むように形成され、光走査ミラー1の側周部となり、下方にスペーサ110が接合された固定フレーム4とを有している。可動フレーム3と固定フレーム4とは、互いに並んで1つの軸を成すように、固定フレーム4の互いに対向する2側面から各面に直交するように形成された梁状の2つの第1ヒンジ(支持ヒンジ)5により連結されている。一方、ミラー部2と可動フレーム3とは、第1ヒンジ5の長手方向と直交する方向に、互いに並んで1つの軸を成すように形成された梁状の2つの第2ヒンジ6により連結されている。第1ヒンジ5及び第2ヒンジ6は、それらそれぞれが成す軸が、上面視でミラー部2の重心位置を通過するように形成されている。第1ヒンジ5及び第2ヒンジの幅寸法は、例えば、それぞれ、5μm程度、30μm程度である。ミラー部2は、第2ヒンジ6を回転軸として、可動フレーム3に対して回動可能に可動フレーム3に支持されている。一方、可動フレーム3は、第1ヒンジ5を回転軸として、固定フレーム4に対して回動可能に固定フレーム4に支持されている。すなわち、この光走査ミラー1において、ミラー部2と可動フレーム3とが、第1ヒンジ5により構成される軸回りに、固定フレーム4に対し回動可能な可動部50を構成している。そして、ミラー部2は、第1ヒンジ5と第2ヒンジ6とによりそれぞれ構成される2つの軸回りに、2次元的に回動可能に構成されている。可動フレーム3の下面には、可動フレーム3に接合され可動フレーム3と一体に回動可能支持体9が設けられている。また、固定フレーム4には、3つの端子膜10a,10b,10cが形成されている。以下、第2ヒンジ6の長手方向をX方向と称し、第1ヒンジ5の長手方向をY方向と称し、X方向とY方向に直交する垂直な方向をZ方向と称する。
この光走査ミラー1は静電力を用いてミラー部2を回動させるものであり、可動フレーム3と固定フレーム4との間の第1ヒンジ5が形成されていない部位には第1櫛歯電極7が形成されており、ミラー部2と可動フレーム3との間の第2ヒンジ6が形成されていない部位には第2櫛歯電極8が形成されている。第1櫛歯電極7は、可動フレーム3のうちX方向に略直交する2側面にそれぞれ櫛歯形状に形成された電極3bと、固定フレーム4のうち電極3bに対向する部位にそれぞれ形成された電極4aとが、一対に互いに噛み合うように配置されて構成されている。第2櫛歯電極8は、ミラー部2のうちY方向に略直交する2側面にそれぞれ櫛歯形状に形成された電極2aと、可動フレーム3のうち電極2aに対向する部位にそれぞれ櫛歯形状に形成された電極3aとが、一対に互いに噛み合うように配置されて構成されている。第1櫛歯電極7及び第2櫛歯電極8において、電極3b,4a間の隙間や、電極2a,3a間の隙間は、例えば、2μm乃至5μm程度の大きさとなるように構成されている。第1櫛歯電極7及び第2櫛歯電極8は、それぞれの電極3b,4a間、又は電極2a,3a間に電圧が印加されることにより、電極3b,4a間、又は電極2a,3aに、互いに引き合う方向に作用する静電力を発生する。
ミラー部2、可動フレーム3、固定フレーム4等は、それぞれ、後述するようにSOI基板100をマイクロマシニング技術を用いて加工することにより形成されている。以下に、光走査ミラー1の各部位について、SOI基板100の各層の構造について説明する。
ミラー部2及び可動フレーム3は、第1シリコン層100aに形成されている。ミラー面20は、例えばアルミニウム製の薄膜であり、ミラー部2の上面に外部から入射する光ビームを反射可能に形成されている。ミラー部2は、第2ヒンジ6を通る垂直平面(z−x平面に平行な平面)に対し略対称形状に形成されており、第2ヒンジ6回りにスムーズに揺動するように構成されている。
可動フレーム3には、第1シリコン層100aの上端から下端まで連通し、溝形状の空隙を構成するトレンチ101a(絶縁分離部)が形成されている。トレンチ101aが形成されていることにより、可動フレーム3は、第1ヒンジ5の一方と接続され電極3a及び電極3bと一体となる部位と、2つの第2ヒンジ6を支持する軸支部3c及び軸支部3cに導通部3dを介して接続され第1ヒンジ5の他方に軸支される軸支部3eから成る部位と、トレンチ101aが形成されることにより、導通部3dにミラー部2の中央部に関し上面視で略点対称となる形状に形成された3つのバランス部3fと、の5つの部位に分割されている。トレンチ101aは第1シリコン層100aを分断するように形成されているので、これらの5つの部位は、互いに絶縁されている。なお、バランス部3fは、形成されていなくてもよい。
支持体9は、可動フレーム3の下方(z方向)の酸化膜120及び第2シリコン層100bにより構成されている。支持体9には、トレンチ101aにより分割された可動フレーム3の5つの部位が共に接合されている。換言すると、支持体9は、可動フレーム3のうちトレンチ101aが形成されている部位の下方に、第1シリコン層100aに接合されたまま形成されている。このように支持体9に5つの部位が共に接合されていることにより、可動フレーム3と支持体9とが、第1ヒンジ5を回転軸として一体に回動可能に構成されている。本実施形態において、支持体9は、可動フレーム3の下面のうち電極3a,3bを除く部位を略覆うように、平面視で第1ヒンジ5に対し略対称形状となる環状に形成されている。また、支持体9の第2シリコン層100bから成る部位の厚みは、固定フレーム4の第2シリコン層100bからなる部位の厚みと略同程度に形成されている。すなわち、支持体9は、第1ヒンジ5を通る垂直平面(y−z平面に平行な平面)に対し略対称形状に形成されている。また、可動フレーム3のトレンチ101aは、バランス部3fを形成するために、第1ヒンジ5を通る垂直平面に対し略対称となる位置及び形状に設けられている。これにより、支持体9を含む可動部50の重心の位置は、第1ヒンジ5により構成される回転軸に、平面視で略一致するように構成されており、支持体9を含む可動部50が第1ヒンジ5回りにスムーズに揺動し、光走査ミラー1によるスキャンがより適正に行われるように構成されている。
固定フレーム4は、第1シリコン層100a、酸化膜120、第2シリコン層100bにより構成されている。固定フレーム4の下面には、スペーサ110が形成されており、光走査ミラー1が例えば回路基板B上に実装された状態では、支持体9の下方にスペーサ110の厚み分の空隙ができるように構成されている。これにより、光走査ミラー1の動作時に、可動フレーム3と支持体9とが第1ヒンジ5回りに揺動可能とされている。
固定フレーム4の上面には、3つの端子膜10a,10b,10cが、互いに並んで形成されている。固定フレーム4には、トレンチ101aと同様に第1シリコン層100aを複数の部位に分割するように、トレンチ101bが形成されている。トレンチ101bは、固定フレーム4の第1シリコン層100aを、端子膜10a,10b,10cと略同電位となる、互いに絶縁された3つの部位に分割している。このうち、端子膜10aと同電位となる部位は、第1ヒンジ5のうち、端子膜10aから離れている、可動フレーム3の軸支部3eに接続されている方を支持する軸支部4dを有している。端子膜10aが形成されている部位には、軸支部4dに接続される幅が細い導通部4eが接続されている。また、端子膜10bと略同電位となる部位は、第1ヒンジ5の他方を支持する軸支部4fを有している。端子膜10cと略同電位となる部位は、固定フレーム4のうち端子膜10a,10bと同電位となる部位を除いた部位であり、この部位に電極4aが形成されている。第1シリコン層100aの下方には酸化膜120及び第2シリコン層100bが接合されており、トレンチ101bは第1シリコン層100aにのみ形成されているので、固定フレーム4全体は一体に構成されている。
このように、第1シリコン層100aにトレンチ101a,101bが形成されていることにより、第1シリコン層100aには、端子膜10aが形成され電極2aと略同電位となる部位と、端子膜10bが形成され可動フレーム3側の電極3a,3bと略同電位となる部位と、端子膜10cが形成され固定フレーム4側の電極4aと略同電位となる部位との、外部から電位を変更可能な3つの部位とが設けられている。光走査ミラー1は、端子膜10a,10b,10cの電位がそれぞれ変更されることにより駆動される。
以下に、光走査ミラー1の動作について説明する。第1櫛歯電極7及び第2櫛歯電極8は、それぞれ、いわゆる垂直静電コムとして動作し、ミラー部2は、第1櫛歯電極7及び第2櫛歯電極8が所定の駆動周波数で駆動力を発生することにより駆動される。第1櫛歯電極7及び第2櫛歯電極8は、例えば、電極3a,3bが基準電位に接続された状態で、電極2a、及び電極4aの電位をそれぞれ周期的に変化させることにより駆動され、静電力を発生する。この光走査ミラー1においては、第1櫛歯電極7及び第2櫛歯電極8それぞれが、例えば矩形波形状の電圧が印加されて周期的に駆動力を発生するように構成されている。
上述のように形成されたミラー部2や可動フレーム3は、一般に多くの場合、その成型時に内部応力等が生じることにより、静止状態でも水平姿勢ではなく、きわめて僅かであるが傾いている。そのため、例えば第1櫛歯電極7が駆動されると、静止状態からであっても、ミラー部2に略垂直な方向の駆動力が加わり、ミラー部2が第2ヒンジ6を回転軸として第2ヒンジ6を捻りながら回動する。そして、第2櫛歯電極8の駆動力を、ミラー部2が電極2a,3aが完全に重なりあうような姿勢となったときに解除すると、ミラー部2は、その慣性力により、第2ヒンジ6を捻りながら回動を継続する。そして、ミラー部2の回動方向への慣性力と、第2ヒンジ6の復元力とが等しくなったとき、ミラー部2のその方向への回動が止まる。このとき、第2櫛歯電極8が再び駆動され、ミラー部2は、第2ヒンジ6の復元力と第2櫛歯電極8の駆動力により、それまでとは逆の方向への回動を開始する。ミラー部2は、このような第2櫛歯電極8の駆動力と第2ヒンジ6の復元力による回動を繰り返して、第2ヒンジ6回りに揺動する。可動フレーム3も、ミラー部2の回動時と略同様に、第1櫛歯電極7の駆動力と第1ヒンジ5の復元力による回動を繰り返し、第1ヒンジ5回りに、支持体9と一体に揺動する。このとき、支持体9を含む可動部50が一体として揺動し、ミラー部2の姿勢が変化する。これにより、ミラー部2は、2次元的な揺動を繰り返す。
第2櫛歯電極8は、ミラー部2と第2ヒンジ6により構成される振動系の共振周波数の略2倍の周波数の電圧が印加されて駆動される。また、第1櫛歯電極7は、ミラー部2、可動フレーム3及び支持体9と第1ヒンジ5とにより構成される振動系の共振周波数の略2倍の周波数の電圧が印加されて駆動される。これにより、ミラー部2が共振現象を伴って駆動され、その揺動角が大きくなるように構成されている。なお、第1櫛歯電極7や第2櫛歯電極8の電圧の印加態様や駆動周波数は、上述に限られるものではなく、例えば、駆動電圧が正弦波形で印加されるように構成されていても、また、電極3a,3bの電位が、電極2a及び電極4aの電位と共に変化するように構成されていてもよい。
ここで、光走査ミラー1において、支持体9を含む可動部50又はミラー部2を一様の厚さの直方体で近似した場合、支持体9を含む可動部50の揺動の共振周波数や、ミラー部2の揺動の共振周波数は、それぞれ、第1ヒンジ5又は第2ヒンジ6のばね定数をK、支持体9を含む可動部50又はミラー部2の質量をm、可動部50又はミラー部2のそれぞれの回転軸に直交する方向の辺の長さをL、支持体9を含む可動部50又はミラー部2の揺動の慣性モーメントをiとすると、次式のように表される。
Figure 2008181042
上記数式から分かるように、可動部50の可動フレーム3は、支持体9と一体に回動するので、第1ヒンジ5回りに回動する部位の質量が増加し、ミラー部2の第2ヒンジ6回りの慣性モーメントに比較して、可動部50の第1ヒンジ5回りの慣性モーメントが大幅に大きくなる。すなわち、本実施形態においては、ミラー部2の第2ヒンジ6回りの揺動の共振周波数に比較して、支持体9を含む可動部50の第1ヒンジ5回りの揺動の共振周波数をごく低くすることができる。換言すると、従来の半導体構造と比較して、支持体9を設けることにより、可動部50の共振周波数を保ったまま光走査ミラー1の素子サイズを小さくして光走査ミラー1を低コストで製造したり、又は、第1ヒンジ5を太くして光走査ミラー1の耐衝撃性を向上させることができる。
なお、上記数式より明らかなように、上面視で第1ヒンジ5の片側部の支持体9の重心の位置が、第1ヒンジ5から離れるほど、支持体9を含む可動部50の第1ヒンジ5回りの慣性モーメントが大きくなる。本実施形態では、このことを利用し、支持体9の位置は、支持体9を含む可動部50の第1ヒンジ5回りの慣性モーメントが、第1ヒンジ5のばね定数や、ミラー部2の第2ヒンジ5周りの共振周波数等を鑑みて設定された所定の値となるように設定されている。これにより、支持体9を含む可動部50の第1ヒンジ5回りの揺動の共振周波数を、光走査ミラー1として求められる仕様等に容易に合致させることができるように構成されている。
次に、図5乃至図11を参照して、光走査ミラー1の製造工程について説明する。各図は、図3に対応する側断面を示している。光走査ミラー1は、第1シリコン層100aに、ミラー部2、可動部フレーム3、第1ヒンジ5、及び第2ヒンジ6等を形成し、ミラー部2等を形成する第1工程(図5乃至図8)と、第2シリコン層100bのうちミラー部2及び可動部フレーム3等の下方の部位を掘り込む第2工程(図9、図10)と、酸化膜120のうち第2工程にて第2シリコン層100bが掘り込まれることにより露出した部位を除去する第3工程(図11)との大まかに3つの工程を経て製造される。なお、光走査ミラー1は、例えば4インチ程度の大きさのウェハであるSOI基板100上に複数個同時に形成された後、ダイシングされて個別の光走査ミラー1に分割され製造される。
第1工程では、先ず、酸素及び水素雰囲気の拡散炉中で、SOI基板100の上下両表面に酸化膜120bを形成する(図5)。そして、第1シリコン層100aの上面に形成された酸化膜120bの表面のうち、可動部50や第1ヒンジ5、導通部3d,4e等の形状に、フォトリゾグラフィにより、レジスト132bをパターニングする。その後、RIE(Reactive Ion Etching)により酸化膜120bのうちレジスト132bにマスクされていない部位を除去し、第1シリコン層100aのうち可動部50等が形成されない部位を露出させる(図6)。その後、酸素プラズマ中でレジスト132bを除去し、例えばアルミニウムをスパッタリングすることにより、第1シリコン層100aの上面にアルミニウム膜を形成する。アルミニウム膜は、例えば厚みが5000Å程度になるように形成される。そして、フォトリゾグラフィによりレジスト132cをパターニングした後にRIEを行い、アルミニウム膜のうち、ミラー面20と端子膜10a,10b,10c以外の部位を除去する(図7)。
その後、D−RIE(Deep Reactive Ion Etching)を行い、第1シリコン層100aのうち上面が露出している部位をエッチングする。第1シリコン層100aと第2シリコン層100bとの間に介在する酸化膜120のエッチングレートは、活性層である第1シリコン層100aのエッチングレートの1パーセント未満であるため、酸化膜120,120bはほとんどエッチングされない。これにより、第1シリコン層100aに、可動部50、第1ヒンジ5、櫛歯電極7,8等となる形状が形成される。これと同時に、可動部50となる部位にはトレンチ101aが形成され、固定フレーム4となる部位には、トレンチ101bが形成される。レジスト132cは、酸素プラズマ中で除去しておく(図8)。
次に、第2工程を行う。第2工程では、先ず、第2シリコン層100bの表面に形成された酸化膜120b上に、フォトリゾグラフィによりレジスト132dをパターニングする(図9)。レジスト132dは、下面視で支持体9及び固定フレーム4の形状に形成される。そして、レジスト132dが形成されていない部位の酸化膜120bをRIEによりエッチングした後、露出した第2シリコン層100bをD−RIEにより掘り込む(図10)。これにより、可動部50と第1ヒンジ5の下方の部位が、トレンチ101aの下方の支持体9となる部位を残して掘り込まれる。このとき、エッチングレートの違いにより、第2シリコン層100bが酸化膜120まで掘り込まれ、酸化膜120はほとんどエッチングされない。その後、レジスト132dを、酸素プラズマ中で除去する。なお、レジスト132dは、第2シリコン層100bのエッチング中に除去されるように構成されていてもよく、その場合、製造工程を省手順化することができる。
第2工程後、第3工程では、下方に露出する酸化膜120を、RIEにより除去する(図11)。これにより、可動部50やミラー部2が、それぞれ第1ヒンジ5、第2ヒンジ6を介して揺動可能な状態になる。また、これにより、トレンチ101aの下方に、酸化膜120と第2シリコン層100bとで構成された支持体9が、トレンチ101aにより絶縁分離された可動フレーム3の複数の部位が共に接合された状態で形成される。なお、これと同時に、第2シリコン層100bの表面の酸化膜120bも除去される。その後、固定フレーム4の下方に、例えばガラス製のスペーサ110を接合した後、ダイシングを行ってウェハから複数の光走査ミラー1を切り出し、光走査ミラー1が製造される。
上記のように、本実施形態では、従来のようにトレンチ101aの側壁を酸化したりトレンチ101aをポリシリコンで埋め込んだりするような複雑な工程を経ることなく、従来よりも簡易な、エッチングによる製造工程により、可動部50に絶縁分離構造を設けた光走査ミラー1を容易に製造することができる。また、トレンチ101aにより絶縁分離された可動フレーム3が、支持体9に接合されて構成されていることにより、可動フレーム3の機械的強度が確実に確保され、光走査ミラー1が確実に動作可能になる。また、トレンチ101aは可動フレーム3を空隙を挟んで複数の部位に分割するように構成されているので、可動フレーム3の複数の部位間での電気的絶縁を確実に維持することができ、光走査ミラー1の製造時の良品率が高くなる。
図12は、本発明の第2の実施形態に係る半導体構造を用いた光走査ミラーを示す。図12に示した断面は、第1の実施形態における図3に対応する。以下の実施形態において、上述の実施形態と同等の構成は同一の符号を付し、上述の実施形態と相違する部分についてのみ説明する。光走査ミラー21は、トレンチ101a下方の支持体29の形状が、第1の実施形態の光走査ミラー1の支持体9とは異なる。また、光走査ミラー21は、例えば、回路基板Bに、第1の実施形態の光走査ミラー1のようにスペーサ110等を設けることなく配置することができるように構成されている。
光走査ミラー21において、支持体29は、可動フレーム3の下面から支持体29の下端部までの厚み寸法が、可動フレーム3の下面から固定フレーム4の下端部までの厚み寸法(例えば、400μm程度)よりも小さくなるように、薄く(例えば、200μm程度)形成されている。また、支持体29の厚みは、支持体29を含む可動部50の第1ヒンジ5回りの慣性モーメントが第1ヒンジ5のばね定数等を鑑みて設定された所定の値となるように設定されている。
図13乃至図15を参照して、光走査ミラー21の製造工程について説明する。光走査ミラー21の製造工程では、特に、第2工程(図13乃至図15)において、第2シリコン層100bの支持体29となる部位の厚みが第2シリコン層100bの固定フレーム4の厚みよりも小さくなるようにエッチングを行う点が、第1の実施形態と異なる。第1工程及び第3工程は、第1の実施形態と略同様に行われる。
第2の実施形態において、第2工程では、第2シリコン層100bの表面の酸化膜120bのうち、第2シリコン層100bのエッチングする部位をRIEにより除去し(図13)、その際に形成していたレジスト132dを酸素プラズマ中で除去する。そして、固定フレーム4に相当する部位にレジスト232dを形成してマスクする(図14)。その後、D−RIEを行うことにより、第2シリコン層100bをエッチングし、可動部50及び第1ヒンジ5の下方の部位を掘り込む(図15)。このとき、第2シリコン層100bの支持体29となる部位には、表面に酸化膜120bが形成されており、この酸化膜120bがエッチングされた後にエッチングされる。酸化膜120bと第2シリコン層100bとはエッチングレートが異なり、酸化膜120bがエッチングされる速度は第2シリコン層100bとは異なる。そのため、第2シリコン層100bのうち酸化膜120bが形成されている部位が完全に掘り込まれた時に、酸化膜120bが形成されていた部位は、少なくとも完全にはエッチングされていない状態となる。従って、エッチングが、第2シリコン層100bのうち支持体29となる部位の厚みが、第2シリコン層100bの固定フレーム4となる部位の厚みよりも小さくなるように行われる。
このように、第2の実施形態によれば、支持体29の下端部の位置が、固定フレーム4の下端部の位置よりも上方となるので、固定フレーム4の下方にスペーサ110等を設ける必要がなく実装高さが低い光走査ミラー21を製造することができる。なお、支持体29の厚みを変更することにより可動部50の第1ヒンジ5回りの慣性モーメントを容易に設定可能になる。これにより、支持体29を含む可動部50の第1ヒンジ5回りの揺動の共振周波数を光走査ミラー21として求められる仕様等に合致させた光走査ミラー21を、容易に製造することができる。
なお、第2の実施形態において、予め、第1工程において、SOI基板100の表面に、支持体29の所望の厚みを鑑みた膜厚になるように酸化膜120bを形成してもよい。また、第2工程において酸化膜120bをRIEにより除去した後、支持体29となる部位の表面の酸化膜120bを薄く加工してもよい。このとき、当該酸化膜120bの厚みは、酸化膜120bが形成されていない部位の第2シリコン層100bが完全にエッチングされたときに、第2シリコン層100bの支持体29となる部位の厚みが所望の厚みとなるような厚みとしておけばよい。このように、上記のように第2シリコン層100bをD−RIEにより掘り込む前に、酸化膜120bの厚みを最適化することにより、第2シリコン層100bのエッチングを行う時間を短くすることができ、また、第2シリコン層100bを高精度に加工することができる。
図16は、本発明の第3の実施形態に係る半導体構造を用いた光走査ミラーを示す。図16に示した断面は、第1の実施形態における図3に対応する。光走査ミラー31は、トレンチ101a下方の支持体39が、第2シリコン層100bに形成された高濃度ボロン拡散部300bにより構成されている。また、支持体39は、トレンチ101aの下方にのみ形成されている。光走査ミラー31も、第2の実施形態における光走査ミラー21と同様に、例えば回路基板Bに、スペーサ110等を設けることなく配置することができるように構成されている。
図17乃至図23を参照して、光走査ミラー31の製造工程について説明する。この光走査ミラー31の製造工程では、特に、第1工程(図17乃至図21)において第2シリコン層100bにボロン拡散を行う点と、第2工程(図22、図23)において、高濃度ボロン拡散部300bに対し選択性を持つエッチャントを用いてエッチングを行う点が、上記第1の実施形態と異なる。第3工程は、第1の実施形態と略同様に行われる。
第1工程では、先ず、第1の実施形態と同様に表面に酸化膜120bを形成したSOI基板100の第1シリコン層100aの表面に、トレンチ101aを形成するためのレジスト332bをフォトリゾグラフィにより形成する。そして、RIE及びD−RIEを順に行うことにより、酸化膜120bと、第1シリコン層100aとをエッチングし、トレンチ101aを形成する。その後、さらにRIEを行い、トレンチ101aの下方の酸化膜120を除去する(図17)。そして、拡散炉により、第2シリコン層100bのうち酸化膜120を除去することにより露出した部位に、ボロン固相源を用いたボロン拡散を行う(図18)。これにより、第2シリコン層100b中に、高濃度ボロン拡散部300bが形成される。ボロン拡散を行うことにより、第2シリコン層100bの露出する部位には酸化膜120が形成される。
次に、第1シリコン層100aの表面の酸化膜120bの上面にレジスト332cをパターニングし、露出する酸化膜120bをRIEによりエッチングする。これにより、第1シリコン層100aのうち、可動部50及び第1ヒンジ5を形成するためにエッチングを行う部位と、ミラー面20及び端子膜10a,10b,10cを形成する部位とを露出させる(図19)。そして、酸素プラズマ中でレジスト332cを除去し、第1の実施形態と同様に、アルミニウムをスパッタリングし、レジスト132cを形成し、アルミ膜のエッチングを行うことにより、ミラー面20及び端子膜10a,10b,10cを形成する(図20)。その後、D−RIEを行い、第1シリコン層100aに、可動部50、第1ヒンジ5、櫛歯電極7,8、トレンチ101b等となる形状を形成する(図21)。レジスト132cは、除去しておく。
第2工程では、先ず、第2シリコン層100bの表面の酸化膜120bにレジスト332dを形成する。レジスト332dは、下面視で固定フレーム4と同形状に形成される。そして、RIEにより、露出する酸化膜120bを除去し、D−RIEにより、可動部50及び第1ヒンジ5の下方の第2シリコン層100bをエッチングする。このとき、第2シリコン層100bを例えば200μm程度だけ残して、エッチングする部位が高濃度ボロン拡散部300bに達する直前に、エッチングを終了させる(図22)。その後、SOI基板100の第1シリコン層100a側の表面に保護膜332eを形成して保護したうえで、高濃度ボロン拡散部300bに選択性のあるエッチャントを用いて、残りの第2シリコン層100bをエッチングする(図23)。高濃度ボロン拡散部300bに選択性のあるエッチャントとしては、例えば、KOHやエチレンジアミンピロカテコール等のアルカリが用いらる。これにより、第2シリコン層100bのエッチングが終了したとき、高濃度ボロン拡散部300bと酸化膜120とが残る。そして、保護膜332eを剥離し、第3工程を行うことにより、高濃度ボロン拡散部300bにより構成された支持体39を有する光走査ミラー31が製造される。
このように、第3の実施形態によれば、第1工程におけるボロン拡散時に、ボロン拡散深さを制御して、高濃度ボロン拡散部300bを所望の大きさに形成することができる。従って、支持体39の大きさを高精度に制御し、支持体39を含む可動部50の共振周波数を、より高精度に設定することが可能になる。
なお、本発明は上記実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を変更しない範囲で適宜に種々の変形が可能である。例えば、ミラー部や可動部は、矩形形状に限られず、例えば円又は楕円形状に形成されていてもよい。また、半導体素子は、可動部にミラー面が形成されて用いられるものに限られず、例えば、電圧が印加されて駆動される素子等が可動部上に実装されて用いられるようなものであってもよい。
また、光走査ミラーは、相対する櫛歯電極が初期状態において略同一平面上に形成されておらず、所定の角度又は位置ずれを有して形成されているものであってもよい。また、光走査ミラーは、櫛歯電極を有さず、例えば回路基板と可動板との間に電圧が印加されることにより生じる静電力を駆動力とする等、上述とは異なる態様により駆動されるものであってもよい。さらにまた、光走査ミラーは、ミラー部が2軸を中心に揺動する2軸型の光走査ミラーに限られるものではなく、例えば、可動部が、ミラー部及び可動フレームに分かれておらず、第1ヒンジにより構成される1軸を中心に揺動するように構成されていてもよい。
(a)は本発明の第1の実施形態に係る光走査ミラーの上面側を示す斜視図、(b)は同光走査ミラーの下面側を示す斜視図。 上記光走査ミラーを示す平面図。 回路基板上に実装された状態の上記光走査ミラーの図2のA−A線断面を示す側断面図。 (a)は上記A−A線における上記光走査ミラーの上面側を示す側断面図、(b)は同A−A線における同光走査ミラーの下面側を示す斜視図。 上記光走査ミラーの製造工程の第1工程における側断面図。 上記光走査ミラーの製造工程の第1工程における側断面図。 上記光走査ミラーの製造工程の第1工程における側断面図。 上記光走査ミラーの製造工程の第1工程における側断面図。 上記光走査ミラーの製造工程の第2工程における側断面図。 上記光走査ミラーの製造工程の第2工程における側断面図。 上記光走査ミラーの製造工程の第3工程における側断面図。 本発明の第2の実施形態に係る光走査ミラーを示す側断面図。 上記光走査ミラーの製造工程の第2工程における側断面図。 上記光走査ミラーの製造工程の第2工程における側断面図。 上記光走査ミラーの製造工程の第2工程における側断面図。 本発明の第3の実施形態に係る光走査ミラーを示す側断面図。 上記光走査ミラーの製造工程の第1工程における側断面図。 上記光走査ミラーの製造工程の第1工程における側断面図。 上記光走査ミラーの製造工程の第1工程における側断面図。 上記光走査ミラーの製造工程の第1工程における側断面図。 上記光走査ミラーの製造工程の第1工程における側断面図。 上記光走査ミラーの製造工程の第2工程における側断面図。 上記光走査ミラーの製造工程の第2工程における側断面図。 従来の光走査ミラーを示す側断面図。 (a)(b)(c)は従来の光走査ミラーの絶縁分離部の形成手順を時系列に示した側断面図。
符号の説明
1,21,31 光走査ミラー(半導体素子)
2 ミラー部
3 可動フレーム
4 固定フレーム
5 第1ヒンジ(支持ヒンジ)
6 第2ヒンジ
9,29,39 支持体
50 可動部
100 SOI基板
100a 第1シリコン層
100b 第2シリコン層
101a トレンチ(絶縁分離部)
120 酸化膜
300b 高濃度ボロン拡散部

Claims (4)

  1. 固定フレームと、前記固定フレームに支持ヒンジを介して軸支され前記固定フレームに対し回転可能な可動部と、を備え、前記可動部には、その可動部を互いに絶縁された複数の部位に分割する絶縁分離部が設けられている半導体構造において、
    前記絶縁分離部の下方には、前記絶縁分離部により分割された前記可動部の複数の部位が共に接合された支持体が形成されており、前記可動部が前記支持体と一体に回動可能に構成されていることを特徴とする半導体構造。
  2. 第1シリコン層と第2シリコン層とが酸化膜を介し互いに接合されて成るSOI(Silicon on Insulator)基板から構成され、
    前記第1シリコン層、前記酸化膜、及び前記第2シリコン層に固定フレームが形成され、前記第1シリコン層に前記固定フレームに支持ばね部を介して軸支され前記固定フレームに対し回転可能な可動部が形成されて成り、前記可動部には、その可動部を互いに絶縁された複数の部位に分割する絶縁分離部が設けられている半導体構造の製造方法であって、
    前記SOI基板をエッチングし、前記第1シリコン層に、前記支持ばね部、前記可動部、及び前記絶縁分離部を形成する第1工程と、
    前記第1工程の後、前記第2シリコン層にエッチングを行い、前記第2シリコン層のうち前記可動部及び前記支持ばね部の下方の部位を、前記絶縁分離部の下方の部位を残して掘り込む第2工程と、
    前記第2工程の後、前記酸化膜のうち前記第2工程にて前記第2シリコン層が掘り込まれることにより露出した部位を除去し、前記絶縁分離部の下方に、前記絶縁分離部により分割された前記可動部の複数の部位に共に接合された、前記酸化膜及び前記第2シリコン膜から成る支持体を形成する第3工程と、を有することを特徴とする半導体構造の製造方法。
  3. 前記第2工程において、前記第2シリコン層の前記絶縁分離部の下方の部位の厚みが前記第2シリコン層の前記固定フレームの厚みよりも小さくなるようにエッチングを行うことを特徴とする請求項2記載の半導体構造の製造方法。
  4. 前記第1工程において、前記酸化膜のうち前記絶縁分離部を形成することにより露出した部位を除去し、それにより露出した前記第2シリコン層の部位に対しボロン拡散を行い、前記第2シリコン層中に高濃度ボロン拡散部を形成し、
    前記第2工程において、前記高濃度ボロン拡散部に対して選択性を持つエッチャントを用いて前記第2シリコン層にエッチングを行い、前記支持体を、前記高濃度ボロン拡散部により構成することを特徴とする請求項2記載の半導体構造の製造方法。
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