JP2008179865A - ごみ焼却炉用の高耐食ボイラ肉盛管の製造方法及びこれに用いる粉末肉盛材料 - Google Patents

ごみ焼却炉用の高耐食ボイラ肉盛管の製造方法及びこれに用いる粉末肉盛材料 Download PDF

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Abstract

【課題】目的とする高耐食性の肉盛層を容易に形成することができるごみ焼却プラント用の高耐食ボイラ肉盛管の製造方法を提供する。
【解決手段】炭素鋼の鋼管を母管として用い、溶接時の母管による成分の希釈分を見込んで希釈成分を予め多く含有するように成分調整した肉盛材料を母管の外周面に肉盛溶接して、母管の外面に溶接前の肉盛材料の組成と異なった、目的とする組成の耐食性の肉盛層をプロテクタ層として形成する。
【選択図】 なし

Description

この発明は、ごみ焼却炉用の高耐食ボイラ肉盛管の製造方法及びこれに用いる粉末肉盛材料に関する。
近年、都市ごみ等の焼却などにより発生した熱を有効利用するため、ごみ焼却設備と併せて廃熱回収ボイラを設置し、ごみ焼却により発生した燃焼排ガスの流通経路上にボイラ管を配置しておいて、ボイラ管内部を流通する水を加熱して蒸気とし、発電他熱利用に供するといったことが行われている。
例えば下記特許文献1にこの種設備の例が開示されている。
図5はこれを示したものである。
同図において200はごみ焼却炉で、201及び202はそれぞれ焼却炉200の焼却部とボイラ部である。
ボイラ部202は、焼却部201からの燃焼排ガスの流通経路上にボイラ管群を有しており、燃焼排ガスの熱によってボイラ管内で高温高圧の水蒸気が発生せしめられて発電他熱利用に供される。
ボイラ管群を通過して、そこで熱吸収された燃焼排ガスは、調温塔204で温度降下された後、バグフィルタ206を通過してそこで除塵され、その後煙突208から排出される。
ところでボイラ管に焼却灰が付着し、その量が多くなると燃焼排ガスの通路が狭められ、熱交換の効率が低下してしまう。
そこでボイラ管に定期的に蒸気(飽和蒸気又は過熱蒸気)を高圧で吹き付けて、付着堆積した焼却灰を除去することが行なわれる。
ところで燃焼排ガスや焼却灰は塩化物系や硫化物系の物質を含んだ腐食性の高いものであり、しかもボイラ管は燃焼排ガスの高温に曝されているため、ボイラ管が腐食を生じる問題がある。
従来、ごみ焼却炉用のボイラ管として低廉なJIS STB340S−C(C:≦0.18%,Si:≦0.35%,Mn:0.30〜0.60%,P:≦0.035%,S:≦0.035%)が用いられているが、このものは耐食性が十分でなく、上記の腐食環境下でかかるボイラ管が腐食を起こしてしまう。
そして腐食の進行とボイラ管への焼却灰除去のための蒸気の吹付けの繰返しによってボイラ管の減肉が進行してしまう。
このようなことから、従来、耐食性の高いステンレス板又は管を半径方向に分割したものをプロテクタとしてボイラ管に被せ、ボルト締結や溶接により固定してボイラ管を保護することが行われている。
しかしながらこの場合、ボイラ管とステンレス板又は管から成るプロテクタとは密着しておらず、それらの間には隙間が生じて、その隙間に起因してプロテクタが燃焼排ガスの熱によって高温に加熱されてしまう。
ボイラ管については、その内部を流通する蒸気(飽和蒸気又は過熱蒸気)によってある程度冷却が効いているが、隙間を介してこれを覆うプロテクタは蒸気による冷却が十分に効かないために、ボイラ管に較べてより高温に温度上昇してしまう。
そのため、このようなステンレス製のプロテクタとして装着したとしても、そのプロテクタ自身が腐食及び高圧の水蒸気の吹付けにより減肉進行してしまって耐用寿命が短く、早期にその取換えが必要となってしまう。
このようなことから、ステンレス製のプロテクタをボイラ管に取り付けるのに代えて、ボイラ管の外面に高耐食性の合金を直接肉盛溶接して、その肉盛層によりボイラ管を被覆することが提案されている(例えば下記特許文献1,特許文献2)。
しかしながらこのようにボイラ管の外面に直接肉盛溶接を施し、その肉盛層にてプロテクタ層を形成する場合、別の新たな問題が生ずる。
例えばJIS STB340の炭素鋼の鋼管を母管として、その外面に比較的廉価で耐食性の高いJIS SUS310Sの耐食層を肉盛層として形成すべく、SUS310Sと同じ組成の肉盛材料を用いて肉盛溶接を行うと、その肉盛層の組成が、もともとの肉盛材料の組成と異なってしまい、得られる肉盛層の耐食性が不充分となってしまう。
これは、溶接時に母管の成分が肉盛層に拡散して肉盛層の耐食成分(耐食性を与える成分)が希釈により薄まってしまうことによる。
尚、耐食性の肉盛層としてSUS310Sの組成の層を形成する場合を例としたが、また母管としてJIS STB340を例としたが、母管として他の材質を用い、また肉盛層の組成を他の高耐食性の組成とする場合においても事情は同様である。
特開平10−30897号公報 特開平8−103867号公報
本発明は以上のような事情を背景とし、目的とする高耐食性の肉盛層を容易に形成することができるごみ焼却炉用の高耐食ボイラ肉盛管の製造方法及びこれに用いる肉盛材料を提供することを目的としてなされたものである。
而して請求項1は、ごみ焼却炉用ボイラ肉盛管の製造方法に関するもので、炭素鋼の鋼管を母管として用い、溶接時の該母管による成分の希釈分を見込んで希釈成分を予め多く含有するように成分調整した肉盛材料を該母管の外面に肉盛溶接して、該母管の外面に溶接前の該肉盛材料の組成と異なった、目的とする組成の耐食性の肉盛層をプロテクタ層として形成することを特徴とする。
請求項2のものは、請求項1において、前記母管としてJIS STB340を用い、該母管の外面に、質量%で、C:≦0.08%,Si:≦1.50%,Mn:≦2.00%,Ni:19.0〜22.0%,Cr:24.0〜26.0%を含有し、残部不可避的不純物及びFeの組成の肉盛層を形成するに際し、前記肉盛材料として、質量%で、C:≦0.08%, Si:≦1.50%,Mn:≦2.00%,Ni:19.5〜32.0%,Cr:24.7〜38.0%を含有し且つ耐食成分としてのNi,Crを前記肉盛層よりも過剰に含み、残部不可避的不純物及びFeの組成に調整したものを用いることを特徴とする。
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記肉盛層を肉厚1.0mm以上3.5mm以下の厚みで形成することを特徴とする。
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記肉盛材料として粉末材料を用い、前記肉盛溶接の手法としてプラズマアーク中に該粉末材料を供給し、プラズマ熱により溶融させて溶着させるプラズマ粉末溶接を用いることを特徴とする。
請求項5は肉盛材料に関するもので、 JIS STB340の母管の外面に、質量%で、C:≦0.08%, Si:≦1.50%,Mn:≦2.00%,Ni:19.0〜22.0%,Cr:24.0〜26.0%,残部不可避的不純物及びFeの組成の肉盛層をプロテクタ層として形成するための粉末肉盛材料であって、質量%で、C:≦0.08%,Si:≦1.50%,Mn:≦2.00%,Ni:19.5〜32.0%,Cr:24.7〜38.0%を含有し且つ耐食成分としてのNi,Crを前記肉盛層よりも過剰に含み残部不可避的不純物及びFeの組成を有することを特徴とする。
発明の作用・効果
以上のように請求項1の製造方法は、ごみ焼却炉用の高耐食ボイラ肉盛管を製造するに際し、炭素鋼の鋼管を母管として用い、溶接時の母管による成分の希釈分を予め見込んで耐食成分を高濃度に成分調整してある肉盛材料を母管の外面に肉盛溶接し、以って母管の外面に目的とする組成の耐食性の肉盛層を形成するもので、本発明によれば溶接の際の母管による希釈にも拘わらず、その母管の外面に目的とする適正な組成の耐食性の肉盛層をプロテクタ層として形成することができ、肉盛層に十分な耐食性を持たせることが可能となる。
この場合において、上記母管としてJIS STB340を用い、その母管の外面にJIS SUS310S相当材、詳しくは質量%で、C:≦0.08%,Si:≦1.50%,Mn:≦2.00%,Ni:19.0〜22.0%,Cr:24.0〜26.0%を含有し、残部不可避的不純物及びFeの組成の肉盛層を形成するようになし、そしてそのための肉盛材料として、C:≦0.08%,Si:≦1.50%,Mn:≦2.00%,Ni:19.5〜32.0%,Cr:24.7〜38.0%を含有するとともに耐食成分としてのNi,Crを肉盛層よりも過剰に含んで組成調整したものを用いることができる(請求項2)。
尚、成分の限定理由は以下のようなものである。
(肉盛層の成分)
C:≦0.08%
Cは、オーステナイト生成元素であり、固溶強化により母相の固さを向上させる効果があるが、多量に含有するとクロム炭化物を生成し、耐食性,耐酸化性を劣化させるので、その上限を0.08%とする。
Si:≦1.50%
Siは耐酸化性の向上に寄与する元素であり、必要に応じて添加しても良い。しかし多量の添加では、母相を脆化し、十分な靭性が得られなくなるため、その上限を1.50%とした。
Mn:≦2.00%
Mnはオーステナイト生成元素であり、母相のオーステナイト組織の安定化に寄与するので、必要に応じて添加しても良い。しかし多量の添加は耐食性,耐酸化性を劣化させるので、その上限を2.00%とする。
Ni:19.0〜22.0%
Niはオーステナイト生成元素であり、母相のオーステナイト組織の安定化及び耐熱性の向上に寄与する。19.0%未満では母相のオーステナイト組織が安定せず、22.0%を超えるとコストが高くなるので、その範囲を19.0〜22.0%とした。
Cr:24.0〜26.0%
Crは表面にクロムの酸化物を生成することで耐酸化性,耐食性の向上に非常に寄与する。24.0%未満では耐酸化性,耐食性の向上が十分でなく、26.0%を超えるとデルタフェライト相が生成し、オーステナイト組織が不安定になるので、その範囲を24.0〜26.0%とした。
(肉盛材料の成分)
C:≦0.08%
Cはオーステナイト生成元素であり、固溶強化により母相の固さを向上させる効果がある。多量に含有させるとクロム炭化物を生成し、耐食性,耐酸化性を劣化させるので、その上限を0.08%とする。
Si:≦1.50%
Siは耐酸化性の向上に寄与する元素であり、必要に応じて添加しても良い。しかし多量の添加では、母相を脆化し、十分な靭性が得られなくなるため、その上限を1.50%とした。
Mn:≦2.00%
Mnはオーステナイト生成元素であり、母相のオーステナイト組織の安定化に寄与するので、必要に応じて添加しても良い。しかし多量の添加は耐食性,耐酸化性を劣化させるので、その上限を2.00%とする。
Ni:19.5〜32.0%
Niは肉盛層の耐熱性を向上させる主要元素であり、母相(母管)部よりもより耐熱性を向上させる必要があるため、19.5%以上の添加が必要である。一方、PTA時の母相の溶解による含有量の希釈も考慮し、母相よりも多い含有量が必要であるが、32.0%を超えるとコストが高くなりすぎ、ボイラ肉盛管を安価に製造できなくなる。
Cr:24.7〜38.0%
Crは肉盛層の耐食性,耐酸化性を向上させる主要元素であり、母相(母管)部よりも耐食性,耐酸化性を向上させる必要があるため24.00%以上の添加が必要である。一方、プラズマ粉末溶接(PTA)時の母相溶解による含有量の希釈も考慮し、母相よりも多い含有量が必要であるが、38.0%を超えるとデルタフェライト相が生成し、オーステナイト組織が不安定になるのでその範囲を24.7〜38.0%とした。
尚、耐食成分としてのNi,Crの過剰分は肉盛層の厚みによっても異なるが、肉盛材料の組成(肉盛材料中のNi,Cr)基準として過剰分を1.2〜22%としておくことが望ましい。
過剰分が1.2%より少ないと、肉盛溶接後の肉盛層に十分な量でNi,Crを含有させることができず、耐食性が低くなってしまう。
一方22%よりも多くしてもその効果は飽和し、却ってコスト高となってしまう。
この請求項2によれば、母管として低廉な炭素鋼の鋼管を用い、また肉盛層も耐食材料としては比較的低廉なSUS310S相当材とすることができ、ボイラ肉盛管を安価に構成することができ且つその耐食性も十分なものとすることができる。
本発明ではまた、肉盛層の肉厚を1.0mm以上3.5mm以下の厚みとしておくことが望ましい(請求項3)。
肉盛層の厚みを3.5mmより厚くしてもその効果は薄く、一方でコストが高くなってしまう。
特に請求項2に規定する肉盛層を形成する場合、その肉厚は1.0mmで必要な耐食性を付与することができる。
肉盛の条件変動等も考慮して、好ましくは肉厚は1.0mmで十分な耐食性を与えることが可能である。
尚、1回の肉盛りでかかる肉盛層を形成する場合、肉盛材料として適正な組成はその肉厚の大小によって変化する。
例えば請求項2に規定する肉盛材料を用いて同請求項2の肉盛層を形成する場合、肉盛材料の好適な組成は肉盛層の厚みに応じてそれぞれ次のようなもの(但し耐食成分としてのNi,Crのみ列記)となる。尚以下にはNi,Crの過剰分も併せて示してある。
肉盛厚み Ni Cr 過剰分
1.0mm 23〜32% 29〜38% 9〜22%
1.5mm 21〜30% 27〜35% 5〜17%
2.0mm 20〜29% 25〜34% 2〜15%
3.5mm 19.5〜27% 24.7〜32% 1.2〜11%
従って肉盛層の肉厚を1.0〜1.5mm,1.5超〜2.0mm,2.0超〜3.5mmとするときには、Ni,Crの含有量としては以下が好適な含有量となる。
肉盛厚み Ni Cr 過剰分
1.0〜1.5mm 21〜32% 27〜38% (5〜22%)
1.5超〜2.0mm 20〜30% 25〜35% (2〜17%)
2.0超〜3.5mm 19.5〜29% 24.7〜34% (1.2〜15%)
本発明の製造方法では、肉盛溶接の手法としてMIG溶接その他の溶接手法を用いることが可能であるが、プラズマ粉末溶接(PTA)、詳しくは肉盛材料として粉末材料を用い、プラズマアーク中にその粉末材料を供給してプラズマ熱により溶融させ、これを被溶接材に溶着させるプラズマ粉末溶接を用いるのが好適である(請求項4)。
このプラズマ粉末溶接によれば、肉盛材料としての粉末材料の組成を容易且つ自在に調整することができ、従って所望の且つ適正な組成の肉盛材料を安価に且つ簡単に得ることができる。
またこのプラズマ粉末溶接では、1回の肉盛溶接で厚み3.5mm程度までの肉盛層を容易に形成できるとともに、逆に1.5mm以下の薄い肉盛層も良好に且つ容易に形成することができる。
例えばMIG溶接の場合、厚み1.5mmの薄い肉厚で肉盛層を形成することが困難で、この肉厚で肉盛層を形成した場合、肉盛層に欠陥が生じる恐れがある。
しかるにプラズマ粉末溶接を用いれば、欠陥の少ない良好な肉盛層を容易に形成することができる。
またこのプラズマ粉末溶接を用いれば、肉厚1.5mm以下である1mmの肉盛層も形成することが可能である。
次に請求項5は、ごみ焼却炉用の高耐食ボイラ肉盛管の製造に用いる粉末肉盛材料として、C:≦0.08%,Si:≦1.50%, Mn:≦2.00%,Ni:19.5〜32.0%,Cr:24.7〜38.0%の組成を有するものを用いるもので、この請求項5の粉末肉盛材料を用いることで上記の製造方法を好適に実施することができる。
次に本発明の実施形態を以下に詳しく説明する。
JIS STB340−S−Cを母管(外径38.1mm×肉厚4mm)として、その外面に表1に示す各種肉盛材料をMIG溶接(No.1)又は図1に示すプラズマ粉末溶接(No.2,No.3)にて肉盛溶接した(STB340−S−CのSは継目無し管を表し、Cは冷間仕上げを表す)。
尚、表1中のNo.4のSUS310SとNo.5のSTB340−S−Cは、それぞれ耐食試験用の比較材として用いた。これらのNo.4とNo.5の比較材は肉盛溶接したものではなく無垢材である。
Figure 2008179865
図1において、10はプラズマトーチを、12はタングステン電極を、14は被溶接材(母管)を表している。
また16はプラズマガスを、18はシールドガスを、20は粉末肉盛材料を、22は冷却水を、更に24はタングステン電極12と被溶接材14との間に発生させたプラズマアークをそれぞれ表している。
このプラズマ粉末溶接(PTA)では、中心部に発生したプラズマアーク24中に粉末肉盛材料を供給して、これをプラズマ熱により溶融し、被溶接材上に溶着させて肉盛りを行なう。
尚ここではプラズマガスとしてArガスを用い、またシールドガス18として同じくArガスの不活性ガスを用いた。
また粉末肉盛材料は、Arガスの不活性ガス流をキャリアガスとしてプラズマアーク24に供給した。
表1に示しているように、溶接により形成された肉盛層をEPMA(電子線マイクロアナライザー)で分析したところ、No.1のSUS310のワイヤー材料を用い且つこれを2mm厚でMIG肉盛りした場合には、Crが20.5%,Niが16.0%で約24%希釈された組成となっていた。
またNo.2のSUS310SM(MはSUS310Sに対し成分調整したものを表している)を用い、これをプラズマ粉末溶接により2mm厚で肉盛りした場合には、Crの含有量が25.8%で、またNiの含有量が22.4%で希釈率が約15%であった。
更に粉末肉盛材料としてSUS310SMを用い、これを1.5mm厚で肉盛りした場合には、肉盛層のCr分が25.1%で、またNiの含有量が22.0%で約18%希釈されていた。
No.2及びNo.3の結果に見られるように、同一の粉末肉盛材料を用いて肉盛溶接をした場合であっても、肉盛りの厚みによって耐食成分であるCr,Niの希釈率が異なっており、厚みの厚い方がその希釈率は小さくなる。
No.2のもの、即ち粉末肉盛材料としてSUS310SMを用い且つ2mm厚で肉盛りした場合、溶接後の肉盛層の組成はSUS310Sに相当する組成となっている。
一方肉盛材料としてSUS310Sそのものを用いた場合、Cr,Niが希釈された結果Cr,Niの含有量が少なくなっており、肉盛層の組成はSUS310Sの組成からは外れたものとなる。
次にNo.1〜No.5について高温腐食試験を行った。
この高温腐食試験は次のようにして行なった。
図2に示すように炭素鋼母管26に肉盛層28を形成して(A)(イ)に示す肉盛管30を得、そしてこれを切断位置Pで切断して(A)(ロ)に示す肉盛管30Aとし、そしてこの肉盛管30Aから(A)(ハ)に示す試験片32を採取した。
尚試験片32の採取の方向は(A)(ロ)に示してある。
ここで試験片32の寸法は、a寸法が15mm,b寸法が10mm,厚みc寸法が1.8mmである。
次に試験片32を、ごみ焼却炉で生成した焼却灰34中に浸漬し、その状態で図2(B)の高温腐食試験装置36を用いて腐食試験した。
尚、使用した焼却灰の組成は表2に示してある。
図2(B)の高温腐食試験装置36を用いた腐食試験では、ガスボンベからCO,O及びNをガス混合装置38に供給し、そして湿度調整タンク40で、この混合ガスとHClを腐食ガス(8%CO+8%O+18%HO+0.1%HCl+残N)に調整し、試験片32を焼却灰34に浸漬させた状態でセットしてある炉42の内部に供給し、この状態を温度350℃で100時間キープし、腐食減量(腐食速度)を求めた。
尚図2(B)中44はHCl吸収タンクである。
その結果が図3に示してある。尚図3では腐食度を1年当りの腐食度に換算して示してある。
図3の結果から、耐食性の粉末肉盛材料をSTB340の母管の外面に肉盛溶接をすることで、耐食性が飛躍的に向上することが分る。
Figure 2008179865
図4に、No.2のSUS310SMの粉末を用いて2mm厚で肉盛りした場合と、No.3の1.5mm厚で肉盛りした場合との耐食性の違いをNo.1の結果とともに比較して示してある。
この図4の結果に示しているようにNo.2のもの、即ち粉末肉盛材料を2mm厚で肉盛りした場合の方が1.5mm厚で肉盛りした場合に較べて耐食性が良好となっている。
肉盛厚2mmで肉盛溶接をした場合の方が、肉盛厚1.5mmで肉盛溶接をした場合に較べてCr,Niの母管による希釈率が小さく、即ちそれら成分が多く肉盛層に含有されており、また肉盛厚2mmの場合には肉盛層の組成がSUS310S相当の組成を有していることから、耐食性はNo.3のものに較べてNo.2の方が良好となっている。
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。
本発明の実施形態で行なったプラズマ粉末溶接の方法の説明図である。 高温腐食試験の方法の説明図である。 350℃での高温腐食試験の結果を表した図である。 図3の要部を示した図である。 ごみ焼却プラントの一例を示した図である。

Claims (5)

  1. 炭素鋼の鋼管を母管として用い、溶接時の該母管による成分の希釈分を見込んで希釈成分を予め多く含有するように成分調整した肉盛材料を該母管の外面に肉盛溶接して、該母管の外面に溶接前の該肉盛材料の組成と異なった、目的とする組成の耐食性の肉盛層をプロテクタ層として形成することを特徴とするごみ焼却炉用の高耐食ボイラ肉盛管の製造方法。
  2. 請求項1において、前記母管としてJIS STB340を用い、該母管の外面に、質量%で
    C:≦0.08%
    Si:≦1.50%
    Mn:≦2.00%
    Ni:19.0〜22.0%
    Cr:24.0〜26.0%
    を含有し、残部不可避的不純物及びFeの組成の肉盛層を形成するに際し、前記肉盛材料として、質量%で
    C:≦0.08%
    Si:≦1.50%
    Mn:≦2.00%
    Ni:19.5〜32.0%
    Cr:24.7〜38.0%
    を含有し且つ耐食成分としてのNi,Crを前記肉盛層よりも過剰に含み、残部不可避的不純物及びFeの組成に調整したものを用いることを特徴とするごみ焼却炉用の高耐食ボイラ肉盛管の製造方法。
  3. 請求項1,2の何れかにおいて、前記肉盛層を肉厚1.0mm以上3.5mm以下の厚みで形成することを特徴とするごみ焼却炉用の高耐食ボイラ肉盛管の製造方法。
  4. 請求項1〜3の何れかにおいて、前記肉盛材料として粉末材料を用い、前記肉盛溶接の手法としてプラズマアーク中に該粉末材料を供給し、プラズマ熱により溶融させて溶着させるプラズマ粉末溶接を用いることを特徴とするごみ焼却炉用の高耐食ボイラ肉盛管の製造方法。
  5. JIS STB340の母管の外面に、質量%で
    C:≦0.08%
    Si:≦1.50%
    Mn:≦2.00%
    Ni:19.0〜22.0%
    Cr:24.0〜26.0%
    残部不可避的不純物及びFeの組成の肉盛層をプロテクタ層として形成するための粉末肉盛材料であって、質量%で
    C:≦0.08%
    Si:≦1.50%
    Mn:≦2.00%
    Ni:19.5〜32.0%
    Cr:24.7〜38.0%
    を含有し且つ耐食成分としてのNi,Crを前記肉盛層よりも過剰に含み残部不可避的不純物及びFeの組成を有することを特徴とするごみ焼却炉用の高耐食ボイラ肉盛管の製造に用いる粉末肉盛材料。
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