JP2008177024A - 車両用前照灯 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の車両用前照灯では、配光パターンのカットオフラインのうちサブ固定シェードにより遮蔽される部分が不明瞭となり、あるいは、配光パターンのうちサブ固定シェードにより遮蔽される部分の光が大きく抜ける。
【解決手段】この発明は、シェード5にはすれ違い用配光パターンLPのカットオフラインCLを形成するエッジが設けられている。エッジは、投影レンズ4の焦点F3もしくはその近傍に位置する第1エッジ17と、第1エッジ17よりも投影レンズ4側に位置する第2エッジ18と、を有する。第2エッジ18には、すれ違い用配光パターンLPのうち所定の部分の光度を下げる遮蔽部22が設けられている。この結果、この発明は、明瞭なカットオフラインCLが保持されていてかつ所定の部分(ポイントA)の光度が下げられているすれ違い用配光パターンLPが得られる。
【選択図】 図5
【解決手段】この発明は、シェード5にはすれ違い用配光パターンLPのカットオフラインCLを形成するエッジが設けられている。エッジは、投影レンズ4の焦点F3もしくはその近傍に位置する第1エッジ17と、第1エッジ17よりも投影レンズ4側に位置する第2エッジ18と、を有する。第2エッジ18には、すれ違い用配光パターンLPのうち所定の部分の光度を下げる遮蔽部22が設けられている。この結果、この発明は、明瞭なカットオフラインCLが保持されていてかつ所定の部分(ポイントA)の光度が下げられているすれ違い用配光パターンLPが得られる。
【選択図】 図5
Description
この発明は、プロジェクタタイプのヘッドランプなどであって、カットオフラインを有する配光パターン、たとえば、すれ違い用配光パターンを車両の前方に照射するプロジェクタタイプの車両用前照灯に関するものである。
カットオフラインを有する配光パターンを車両の前方に照射するプロジェクタタイプの車両用前照灯は、従来からある(たとえば、特許文献1参照)。以下、従来の車両用前照灯について説明する。従来の車両用前照灯は、光源と、可動シェードと、サブ固定シェードと、備えるものである。
以下、従来の車両用前照灯の作用について説明する。従来の車両用前照灯は、可動シェードがロービーム姿勢に切り替えられているときに、光源を点灯すると、すれ違い用配光パターンが得られる。また、可動シェードがモータウエイビーム姿勢に切り替えられると、モータウエイ用配光パターンが得られる。このとき、サブ固定シェードが光源からの光の一部を遮蔽するので、モータウエイ用配光パターンの所定のポイントの照度(光度、光量)が調整される。
ところが、従来の車両用前照灯は、可動シェードから光源側に位置するサブ固定シェードにより、光源からの光の一部を遮蔽してモータウエイ用配光パターンの所定のポイントの照度を調整するものである。このために、従来の車両用前照灯は、可動シェードのエッジで形成されるモータウエイ用配光パターンのカットオフラインのうち、サブ固定シェードにより遮蔽される部分のカットオフラインが不明瞭となり、あるいは、モータウエイ用配光パターンのうちサブ固定シェードにより遮蔽される部分の光が大きく抜ける。
この発明が解決しようとする問題点は、従来の車両用前照灯では、配光パターンのカットオフラインのうちサブ固定シェードにより遮蔽される部分が不明瞭となり、あるいは、配光パターンのうちサブ固定シェードにより遮蔽される部分の光が大きく抜けるという点にある。
この発明(請求項1にかかる発明)は、シェードには配光パターンのカットオフラインを形成するエッジが設けられていて、そのエッジが、投影レンズの焦点もしくはその近傍に位置する第1エッジと、その第1エッジよりも投影レンズ側に位置する第2エッジと、を有し、第2エッジには配光パターンのうち所定の部分の光度(照度、光量)を下げる遮蔽部が設けられている、ことを特徴とする。
また、この発明(請求項2にかかる発明)は、シェードの姿勢を、カットオフラインを有する配光パターンが得られる第1姿勢と、リフレクタからの反射光がシェードにカットオフされずに走行用の配光パターンが得られる第2姿勢と、に切り替える切替手段を備える、ことを特徴とする。
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、投影レンズの焦点もしくはその近傍に位置する第1エッジにより、明瞭なカットオフラインを有する第1配光パターンが得られ、また、第1エッジよりも投影レンズ側に位置する第2エッジにより、第1配光パターンのカットオフラインよりも明瞭でないカットオフラインを有する第2配光パターンが得られ、さらに、第2エッジの遮蔽部により、第2配光パターンの所定の部分の光を抜くことができる。そして、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、第1配光パターンと第2配光パターンとが合成された配光パターン、すなわち、第1配光パターンによる明瞭なカットオフラインが保持されていて、かつ、第2配光パターンによる所定の部分の光度が下げられている配光パターンが得られる。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、配光パターンの光度が下げられている所定の部分を対向車線側にすれば、配光パターンの明瞭なカットオフラインとの効果により、対向車に対するグレアを防止することができ、また、走行車線側の遠方の視認性を保持することができ、交通安全に貢献することができる。
しかも、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、リフレクタの反射面ではなく、シェードの第2エッジの遮蔽部によって配光パターンの所定の部分の光度を下げるものである。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、日本、欧州、北米の3仕様ごとにもともとあるシェードにより配光パターンの微細な光度を制御するものであるから、リフレクタを、日本、欧州、北米と共通化することができ、製造コストを安価にすることができる。
また、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用前照灯は、切替手段でシェードの姿勢を第1姿勢に切り替えると、明瞭なカットオフラインが保持されていてかつ所定の部分の光度が下げられている配光パターンが得られ、また、切替手段でシェードの姿勢を第2姿勢に切り替えると、リフレクタからの反射光がシェードにカットオフされずに走行用の配光パターンが得られる。この結果、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用前照灯は、カットオフラインを有する配光パターンの所定の部分の光度を下げることができ、かつ、走行用の配光パターンの所定の部分の光度を所定値に保持することができる。このように、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用前照灯は、相反する要件を有するカットオフラインの配光パターンと走行用の配光パターンとを簡単にかつ確実に得ることができる。
以下、この発明にかかる車両用前照灯の実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。図面において、符号「VU−VD」は、上下の垂直軸、および、スクリーンの上下の垂直線を示す。符号「HL−HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。なお、この明細書および特許請求の範囲において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」は、この発明にかかる車両用前照灯を車両(自動車)に装備された際の車両の「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」である。なお、図5(A)は、図4におけるVA−VA線断面図、図5(B)は、図4におけるVB−VB線断面図である。
以下、この実施例にかかる車両用前照灯の構成について説明する。この実施例にかかる車両用前照灯は、日本の左側通行に使用するものである。欧州の左側通行に使用される車両用前照灯は、この実施例にかかる車両用前照灯とほぼ同様の構成からなる。また、欧州の右側通行および北米の右側通行に使用される車両用前照灯は、この実施例にかかる車両用前照灯と左右がほぼ逆の構成からなる。
図1において、符号1は、この実施例にかかる車両用前照灯である。前記車両用前照灯1は、自動車(車両)の前部の左右にそれぞれ装備される、たとえば、プロジェクタタイプのヘッドランプである。また、前記車両用前照灯1は、図1に示すように、光源2と、リフレクタ3と、投影レンズ(集光レンズ、凸レンズ)4と、シェード5と、切替手段としてのばね部材6および駆動ユニット7と、フレーム部材8と、ストッパ9と、ランプハウジング(図示せず)と、図示しないランプレンズ(たとえば、素通しのアウターレンズなど)と、を備えるものである。
前記光源2および前記リフレクタ3および前記投影レンズ4および前記シェード5および前記ばね部材6および前記駆動ユニット7および前記フレーム部材8および前記ストッパ9は、ランプユニットを構成する。前記ランプユニットは、前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズにより区画されている灯室(図示せず)内に、たとえば光軸調整機構(図示せず)を介して配置されている。
前記光源2は、この例では、放電灯(図示せず)を使用する。前記放電灯は、いわゆる、メタルハライドランプなどの高圧金属蒸気放電灯、高輝度放電灯(HID)などである。前記光源2は、前記リフレクタ3にソケット機構10を介して着脱可能に取り付けられている。なお、前記光源2としては、前記放電灯以外に、ハロゲン電球、白熱電球、LEDなどの半導体型光源でも良い。前記光源2は、発光部11を有する。
前記リフレクタ3は、前記光源2からの光L1、L2を前記投影レンズ4側に反射させるものである。前記リフレクタ3は、前記フレーム部材8に固定保持されている。前記リフレクタ3は、前側(前記車両用前照灯1の光の照射方向側)が開口し、かつ、後側が閉塞した中空の凹形状をなす。前記リフレクタ3の後側の閉塞部の中央には、前記光源2が挿入されるための円形の透孔12が設けられている。
前記リフレクタ3の内凹面には、アルミ蒸着もしくは銀塗装などが施されていて、反射面13が形成されている。前記リフレクタ3の反射面13は、楕円もしくは楕円を基調とした反射面、たとえば、回転楕円面や楕円を基本とした自由曲面(NURBS曲面)などの反射面(図1の垂直断面が楕円面をなし、かつ、図示しない水平断面が放物面ないし変形放物面をなす反射面)からなる。このために、前記リフレクタ3の前記反射面13は、第1焦点F1と、第2焦点(水平断面上の焦線)F2と、光軸Z−Zと、をそれぞれ有する。前記リフレクタ3の前記反射面13の自由曲面(NURBS曲面)は、「Mathematical Elemennts for Computer Graphics」(Devid F. Rogers、J Alan Adams)に記載されているNURBSの自由曲面(Non-Uniform Rational B-Spline Surface)である。前記リフレクタ3の前記反射面13の前記第1焦点F1は、前記光源2の前記発光部11もしくはその近傍に位置する。
前記投影レンズ4は、前記リフレクタ3の前記反射面13からの反射光L3、L4を車両の前方に投影するものである。前記投影レンズ4は、非球面レンズの凸レンズである。前記投影レンズ4の前方側は、凸非球面をなし、一方、前記投影レンズ4の後方側は、平非球面をなす。前記投影レンズ4は、前記フレーム部材8に固定保持されている。前記投影レンズ4は、レンズ焦点(物空間側の焦点面であるメリジオナル像面)F3と、光軸Z1−Z1と、を有する。前記投影レンズ4の焦点F3は、前記反射面13の第2焦点F2もしくはその近傍に位置する。前記投影レンズ4の光軸Z1−Z1と前記反射面13の光軸Z−Zとは、一致もしくはほぼ一致している。なお、前記投影レンズ4の光軸Z1−Z1と前記反射面13の光軸Z−Zとは、左右にずれていても良い。
前記シェード5は、前記リフレクタ3の前記反射面13から前記投影レンズ4に向かう反射光L3、L4を、複数の配光パターン、たとえば、図8に示すすれ違い用配光パターンLPと、図9に示す走行用配光パターンHPとが得られる複数のビーム、すなわち、ロービームと、ハイビームとに切り替えるものである。前記シェード5は、製造コストが安価である板構造(この例では、ステンレスやSUS(ばね鋼板)など、光を反射させることができる平板の薄鋼板構造)からなる。
前記シェード5は、図1〜図5に示すように、垂直で長く後側(前記光源2側)に位置する第1シェード部14と、同じく垂直で短く前側(前記投影レンズ4側)に位置する第2シェード部15と、水平な取付部16と、から構成されている。前記第1シェード部14と前記第2シェード部15とは、別個の板部材からなり、前記第1シェード部14の左右両端部と前記第2シェード部15の左右両端部とが固定手段(加締め、リベット止め、溶接、接着など)により固定されている。前記第1シェード部14および前記第2シェード部15は、前記反射光L3、L4を前記ロービームと、前記ハイビームとに切り替えるものである。
前記第1シェード部14および前記第2シェード部15は、上から見て、前記投影レンズ4の焦点F3に沿って中央部が前記光源2側に突出しかつ左右両端部が前記投影レンズ4側に突出した湾曲形状をなす。前記シェード5は、前記第1シェード部14と前記第2シェード部15とからなる2枚の板構造とすることにより、前記配光パターンLP、HPに生じる色(たとえば、青色)を消すことができる。
前記第1シェード部14の上縁には、第1エッジ17が設けられている。また、前記第2シェード部15の上縁には、第2エッジ18が設けられている。前記第1エッジ17は、前記投影レンズ4の焦点F3もしくはその近傍に位置する。前記第2エッジ18は、前記第1エッジ17よりも前記投影レンズ4側に位置する。前記第1エッジ17および前記第2エッジ18は、それぞれ、左側の上水平エッジと、右側の下水平エッジと、中央の斜めエッジと、からなる。上水平エッジは、前記すれ違い用配光パターンLPの対向車線側の下水平カットオフラインCLを形成し、下水平エッジは、前記すれ違い用配光パターンLPの走行車線側の上水平カットオフラインCLを形成し、斜めエッジは、前記すれ違い用配光パターンLPの斜めカットオフラインCLを形成する。
前記シェード5の前記第1シェード部14および前記第2シェード部15が第1姿勢に切り替えられているときにおいて、前記第1シェード部14および前記第2シェード部15は、前記リフレクタ3の前記反射面13から前記投影レンズ4に向かう反射光L3、L4の一部をカットオフして残りの反射光L3、L4を前記投影レンズ4側に通して前記カットオフラインCLを有する前記すれ違い用配光パターンLPを形成する。このとき、前記第1シェード部14の前記第1エッジ17および前記第2シェード部15の前記第2エッジ18は、前記すれ違い用配光パターンLPの前記カットオフラインCLを形成する。
前記ばね部材6および前記駆動ユニット7は、前記シェード5の姿勢を、上方の姿勢と下方の姿勢との間において、前記ロービームと前記ハイビームとが得られる複数の姿勢、すなわち、第1姿勢のロービーム姿勢と第2姿勢のハイビーム姿勢とに切り替えるものである。前記ロービーム姿勢は、図1に示す上方の姿勢(位置)であり、前記ハイビーム姿勢は、図1に示すロービーム姿勢よりも下方に位置する下方の姿勢(位置)である。
前記ばね部材6は、ステンレスやSUS(ばね鋼板)などの弾性を有する薄板構造からなる。また、前記ばね部材6は、図1〜図3、図5に示すように、ドーム構造をなす。前記シェード5と前記ばね部材6とは、一体構造をなす。すなわち、前記シェード5の前記取付部16が前記ばね部材6の上水平部のほぼ中央部と一体に設けられている。なお、前記シェード5と前記ばね部材6とは、それぞれ別個に製造してから一体に固定しても良い。
前記ばね部材6は、前記フレーム部材8に固定されている。すなわち、前記ばね部材6の下水平部の固定部19の両端部がスクリュー20止めにより前記フレーム部材8に固定されている。前記シェード5と一体構造の前記ばね部材6が前記フレーム部材8に固定されることにより、前記ばね部材6のばね力が作用する方向は、前記シェード5の姿勢が上方の第1姿勢(ロービーム姿勢)と下方の第2姿勢(ハイビーム姿勢)との間において切り替わる方向と一致もしくはほぼ一致する。
前記駆動ユニット7は、ソレノイドから構成されている。前記ソレノイド7は、図1に示すように、前記ばね部材6の空間中に収納されており、かつ、前記ばね部材6の前記固定部17を介して前記フレーム部材8に固定されている。前記ソレノイド7の進退ロッド21の先端は、前記シェード5および前記ばね部材6の前記取付部16に取り付けられている。前記ソレノイド7の進退ロッド21が進退する方向は、図1に示すように、前記ばね部材6のばね力の作用方向および前記シェード5の姿勢の切替方向と一致もしくはほぼ一致する。前記ばね部材6のばね力の作用方向および前記シェード5の姿勢の切替方向および前記ソレノイド7の進退ロッド21の進退方向は、上下の垂直軸VU−VD方向である。
前記フレーム部材8には、前記ストッパ9が固定されている。前記ストッパ9は、図1に示すように、前記ソレノイド7が非駆動時において、前記シェード5の前記取付部16が弾性当接して、前記シェード5のロービーム姿勢を規制制動するものである。
前記第2エッジ18の上水平エッジのうち斜めエッジ側には、前記すれ違い用配光パターンLPのうち所定の部分の光度を下げる遮蔽部22が設けられている。前記遮蔽部22は、前記第2エッジ18から上方に突出した小四角形の凸部からなる。なお、前記遮蔽部22の形状は、前記の小四角形の凸部以外、たとえば、三角形や多角形や円形や楕円形などでも良い。前記すれ違い用配光パターンLPのうち所定の部分は、対向車線側のカットオフラインCLもしくはその近傍の部分であって、たとえば、図8に示すように、下側に0.86°、右側に3.5°のポイントAである。
前記第2シェード部15の下縁の中央には、ほぼM字形状の切欠23が設けられている。これにより、前記すれ違い用配光パターンLPの上方に、光度が制御されたオーバーヘッドサイン用の配光パターン(図示せず)が得られる。また、前記シェード5の前記第1シェード部14と前記第2シェード部15との間の間隔は、中央部が広く、かつ、左右両端部が狭い。これにより、前記すれ違い用配光パターンLPの左右両端部のカットオフラインCLの明暗差をぼかして視認性を向上させることができる。
この実施例にかかる車両用前照灯1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
まず、光源2を点灯する。すると、この光源2の発光部11から光L1、L2が放射される。この光L1、L2は、リフレクタ3の反射面13でシェード5および投影レンズ4側に反射される。すなわち、光L1は、リフレクタ3の下側の反射面13で反射される。また、光L2は、リフレクタ3の上側の反射面13で反射される。
このとき、ソレノイド7が非駆動時、すなわち、非通電状態のときには、ばね部材6のばね力により、ソレノイド7の進退ロッド21が前進してかつシェード5が上方に付勢されており、かつ、シェード5の取付部16がストッパ9に弾性当接している。この結果、シェード5は、規制制動されていて、図1に示すロービーム姿勢(第1姿勢)にある。
シェード5が図1に示すロービーム姿勢にあるときには、リフレクタ3の反射面13からの反射光L3、L4のうちの一部は、シェード5の第1シェード部14および第2シェード部15により遮蔽される。一方、残りの反射光L3、L4は、投影レンズ4側に進み、投影レンズ4を経て、図8に示すすれ違い用配光パターンLPとして、自動車の前方に投影(放射、照射)される。また、シェード5の第1シェード部14の第1エッジ17および第2シェード部15の第2エッジ18により図8に示すすれ違い用配光パターンLPにカットオフラインCLが形成されている。
すなわち、下側の反射面13からの反射光L3の一部は、第1シェード部14で遮蔽され、かつ、残りの反射光L3で図6に示す第1配光パターンLP1が形成される。このとき、第1シェード部14の第1エッジ17は、投影レンズ4の焦点F3もしくはその近傍に位置するので、この第1エッジ17により、第1配光パターンLP1には明瞭なカットオフラインCL1が形成されている。この第1配光パターンLP1は、すれ違い用配光パターンLPの中央部を形成する。
一方、上側の反射面13からの反射光L4の一部は、第1シェード部14および第2シェード部15で遮蔽され、かつ、残りの反射光L4で図7に示す第2配光パターンLP2が形成される。このとき、第2シェード部15の第2エッジ18は、第1エッジ17よりも投影レンズ4側に位置するので、この第2エッジ18により、第2配光パターンLP2には第1配光パターンLP1のカットオフラインCL1よりも明瞭でないカットオフラインCL2が形成されている。この第2配光パターンLP2は、すれ違い用配光パターンLPの周辺部を形成する。
さらに、第2エッジ18の遮蔽部22により、第2配光パターンLP2の対向車線側のカットオフライン(下側水平カットオフライン)CL2もしくはその近傍の部分Cの光が抜けている。
そして、第1配光パターンLP1と第2配光パターンLP2とを合成することにより、すれ違い用配光パターンLPが得られる。このとき、すれ違い用配光パターンLPのカットオフラインCLは、第1配光パターンLP1の明瞭なカットオフラインCL1により、明瞭なカットオフラインとして保持されている。また、すれ違い用配光パターンLPの所定の部分、すなわち、下側に0.86°、右側に3.5°のポイントAの部分の光度は、第2配光パターンCL2の光の抜け部分Cにより、所定値、たとえば、12500「cd」以下に下げられている。なお、すれ違い用配光パターンLPの所定の部分は、カットオフラインCL付近であれば、ポイントA以外のポイントの部分であっても良い。また、光度の所定値は、12500「cd」に限定されない。
ソレノイド7に通電すると、ソレノイド7が駆動して、ソレノイド7の進退ロッド21がばね部材6のばね力に抗して後退する。これに伴って、シェード5は、図1に示す上方のロービーム姿勢(第1姿勢)から下方のハイビーム姿勢(第2姿勢)に切り替わる。
すると、今まで、シェード5の第1シェード部14および第2シェード部15により遮蔽されていたリフレクタ3の反射面13からの反射光L3、L4は、残りの反射光L3、L4と共に、投影レンズ4側に進み、投影レンズ4を経て、図9に示す走行用配光パターンHPとして、自動車の前方に投影(放射、照射)される。
このとき、シェード5の第1シェード部14および第2シェード部15により遮蔽されていたリフレクタ3の反射面13からの反射光L3、L4が残りの反射光L3、L4に加わる。このために、走行用配光パターンHPのうちの所定の部分、たとえば、左右の水平線HL−HR上(上下に0°)で、右側に2.58°のポイントBの部分の光度を、所定値、たとえば、25000「cd」以上に保持することができる。なお、走行用配光パターンHPの所定の部分は、ポイントB以外のポイントの部分であっても良い。また、光度の所定値は、25000「cd」に限定されない。
このように、この実施例にかかる車両用前照灯1は、相互に近い2つのポイント、すなわち、すれ違い用配光パターンLPのポイントAと走行用配光パターンHPのポイントBにおいて、相反する要件、すなわち、ポイントAにおいては光度を12500「cd」以下に下げる要件とポイントBにおいては光度を25000「cd」以上に保持する要件とを満足させることができる。
そして、ソレノイド7への通電を遮断すると、ソレノイド7が非駆動状態となるので、弾性変形していたばね部材6がばね力に弾性復帰する。この結果、シェード5は、下方のハイビーム姿勢(第2姿勢)から図1に示す上方のロービーム姿勢(第1姿勢)に切り替わる。これにより、図9に示す走行用配光パターンHPから図8に示すすれ違い用配光パターンLPに切り替わる。
この実施例にかかる車両用前照灯1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
この実施例にかかる車両用前照灯1は、投影レンズ4の焦点F3もしくはその近傍に位置する第1エッジ17により、明瞭なカットオフラインCL1を有する第1配光パターンLP1(図6参照)が得られる。また、第1エッジ17よりも投影レンズ4側に位置する第2エッジ18により、第1配光パターンLP1のカットオフラインCL1よりも明瞭でないカットオフラインCL2を有する第2配光パターンLP2(図7参照)が得られ。さらに、第2エッジ18の遮蔽部22により、第2配光パターンLP2の所定の部分、すなわち、対向車線側のカットオフライン(下側水平カットオフライン)CL2もしくはその近傍の部分Cの光を抜くことができる。
そして、この実施例にかかる車両用前照灯1は、第1配光パターンLP1と第2配光パターンLP2とが合成されたすれ違い用配光パターンCL(図8参照)が得られる。すなわち、第1配光パターンLP1による明瞭なカットオフラインCLが保持されていて、かつ、第2配光パターンLP2による所定の部分(ポイントA)の光度が下げられているすれ違い用配光パターンLPが得られる。
この結果、この実施例にかかる車両用前照灯1は、すれ違い用配光パターンLPの光度が下げられている所定の部分(ポイントA)を対向車線側にすれば、すれ違い用配光パターンLPの明瞭なカットオフラインCLとの効果により、対向車に対するグレアを防止することができ、また、走行車線側の遠方の視認性を保持することができ、交通安全に貢献することができる。
しかも、この実施例にかかる車両用前照灯1は、リフレクタ3の反射面13ではなく、シェード5の第2エッジ18の遮蔽部22によってすれ違い用配光パターンLPの所定の部分(ポイントA)の光度を下げるものである。この結果、この実施例にかかる車両用前照灯1は、日本、欧州、北米の3仕様ごとにもともとあるシェード5によりすれ違い用配光パターンLPの微細な光度を制御するものであるから、リフレクタ3を、日本、欧州、北米と共通化することができ、製造コストを安価にすることができる。また、リフレクタの反射面ですれ違い用配光パターンの所定の部分の光度を下げるものと比較して、簡単にかつ確実にかつ正確に光度制御を行うことができる。
また、この実施例にかかる車両用前照灯1は、切替手段のばね部材6およびソレノイド7でシェード5の姿勢を第1姿勢に切り替えると、明瞭なカットオフラインCLが保持されていてかつ所定の部分(ポイントA)の光度が下げられているすれ違い用配光パターンLPが得られる。また、切替手段のソレノイド7でシェード5の姿勢を第2姿勢に切り替えると、リフレクタ3の反射面13からの反射光L3、L4がシェード5の第1シェード部14および第2シェード部15にカットオフされずに走行用配光パターンHPが得られる。
この結果、この実施例にかかる車両用前照灯1は、カットオフラインCLを有するすれ違い用配光パターンLPの所定の部分(ポイントA)の光度を下げることができ、かつ、走行用配光パターンHPの所定の部分(ポイントB)の光度を所定値に保持することができる。このように、この実施例にかかる車両用前照灯1は、相反する要件を有するすれ違い用配光パターンLPと走行用配光パターンHPとを簡単にかつ確実に得ることができる。
以下、前記の実施例以外の例について説明する。前記の実施例においては、遮蔽部22を第2エッジ18から上方に突出させたものである。ところが、この発明においては、図10に示すように、遮蔽部22を第2エッジ18から前方の投影レンズ4側に突出させたもの(実線で示す)、あるいは、斜めに突出させたもの(二点鎖線で示す)であっても良い。要するに、リフレクタ3の上側の反射面13からの反射光L4の一部を遮蔽するものであれば良い。
また、前記の実施例においては、シェード5が第1シェード部14と第2シェード部15との2枚板構造をなすものである。ところが、この発明においては、図11に示すように、1枚板構造のシェード500でも良い。この場合、シェード500の後方の光源2側の角部が第1エッジ170となり、また、シェード500の前方の投影レンズ4側の角部が第2エッジ180となる。リフレクタ3の上側の反射面13からの反射光L4の一部を遮蔽する遮蔽部220は、第2エッジ180から上方もしくは前方もしくは斜めに突出されている。
さらに、前記の実施例においては、図8に示すすれ違い用配光パターンLPと図9に示す走行用配光パターンHPとが得られるものである。ところが、この発明においては、すれ違い用配光パターンと高速道路用配光パターンとが得られるもの、あるいは、すれ違い用配光パターンと高速道路用配光パターンと走行用配光パターンとが得られるもの、すなわち、カットオフラインを有する配光パターンとその他の配光パターンとの複数の配光パターンが得られるものであっても良い。
さらにまた、前記の実施例においては、図8に示すすれ違い用配光パターンLPと図9に示す走行用配光パターンHPとが得られるものである。ところが、この発明においては、カットオフラインを有する1つの配光パターンしか得られないものであっても良い。
さらにまた、前記の実施例においては、駆動ユニットとしてソレノイド7を使用するものである。ところが、この発明においては、駆動ユニットとしてソレノイド以外のものであっても良い。たとえば、モータなどである。
1 車両用前照灯
2 光源
3 リフレクタ
4 投影レンズ
5、500 シェード
6 ばね部材(切替手段)
7 ソレノイド(駆動ユニット、切替手段)
8 フレーム部材
9 ストッパ
10 ソケット機構
11 発光部
12 透孔
13 反射面
14 第1シェード部
15 第2シェード部
16 取付部
17、170 第1エッジ
18、180 第2エッジ
19 固定部
20 スクリュー
21 進退ロッド
22、220 遮蔽部
23 切欠
LP すれ違い用配光パターン
CL カットオフライン
HP 走行用配光パターン
LP1 第1配光パターン
CL1 第1配光パターンのカットオフライン
LP2 第2配光パターン
CL2 第2配光パターンのカットオフライン
HL−HR 左右の水平線
VU−VD 上下の垂直線(上下の垂直軸)
Z−Z 反射面の光軸
Z1−Z1 投影レンズの光軸
F1 反射面の第1焦点
F2 反射面の第2焦点
F3 投影レンズの焦点
L1 光源から下側の反射面への光
L2 光源から上側の反射面への光
L3 下側の反射面からの反射光
L4 上側の反射面からの反射光
A すれ違い用配光パターンの光度を下げる所定の部分のポイント
B 走行用配光パターンの光度を所定値に保持する部分のポイント
C 遮蔽部により光が抜けた部分
2 光源
3 リフレクタ
4 投影レンズ
5、500 シェード
6 ばね部材(切替手段)
7 ソレノイド(駆動ユニット、切替手段)
8 フレーム部材
9 ストッパ
10 ソケット機構
11 発光部
12 透孔
13 反射面
14 第1シェード部
15 第2シェード部
16 取付部
17、170 第1エッジ
18、180 第2エッジ
19 固定部
20 スクリュー
21 進退ロッド
22、220 遮蔽部
23 切欠
LP すれ違い用配光パターン
CL カットオフライン
HP 走行用配光パターン
LP1 第1配光パターン
CL1 第1配光パターンのカットオフライン
LP2 第2配光パターン
CL2 第2配光パターンのカットオフライン
HL−HR 左右の水平線
VU−VD 上下の垂直線(上下の垂直軸)
Z−Z 反射面の光軸
Z1−Z1 投影レンズの光軸
F1 反射面の第1焦点
F2 反射面の第2焦点
F3 投影レンズの焦点
L1 光源から下側の反射面への光
L2 光源から上側の反射面への光
L3 下側の反射面からの反射光
L4 上側の反射面からの反射光
A すれ違い用配光パターンの光度を下げる所定の部分のポイント
B 走行用配光パターンの光度を所定値に保持する部分のポイント
C 遮蔽部により光が抜けた部分
Claims (2)
- カットオフラインを有する配光パターンを車両の前方に照射するプロジェクタタイプの車両用前照灯において、
光源と、
前記光源からの光を反射させるリフレクタと、
前記リフレクタからの反射光を車両の前方に投影する投影レンズと、
前記リフレクタから前記投影レンズに向かう反射光の一部をカットオフして残りの反射光を前記投影レンズ側に通して前記カットオフラインを有する前記配光パターンを形成するシェードと、
前記シェードに設けられていて前記配光パターンの前記カットオフラインを形成するエッジと、
を備え、
前記エッジは、前記投影レンズの焦点もしくはその近傍に位置する第1エッジと、前記第1エッジよりも前記投影レンズ側に位置する第2エッジと、を有し、
前記第2エッジには、前記配光パターンのうち所定の部分の光度を下げる遮蔽部が設けられている、
ことを特徴とする車両用前照灯。 - 前記シェードの姿勢を、前記カットオフラインを有する前記配光パターンが得られる第1姿勢と、前記リフレクタからの反射光が前記シェードにカットオフされずに走行用の配光パターンが得られる第2姿勢と、に切り替える切替手段を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
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