JP2008177022A - 色素増感型太陽電池の電極および色素増感型太陽電池 - Google Patents

色素増感型太陽電池の電極および色素増感型太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】電解液による集電用配線の変質を防止することが可能な色素増感型太陽電池の電極およびこれを用いた色素増感型太陽電池を提供する。
【解決手段】集電用配線は、その外面を被覆層25で覆われる。被覆層25は、集電用配線の延長方向に沿って延び、集電用配線の外面を覆う絶縁体である。被覆層25は、ガラス基板21に対する線膨張率の差が±10×10−7/K以内であり、かつ軟化点が400℃以上600℃以下のガラスから形成されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、色素増感型太陽電池の電極、およびこの電極を利用した色素増感型太陽電池に関する。
例えば、太陽光などの光エネルギーを有効に利用する手段の1つとして、光エネルギーを電気エネルギーに直接変換する太陽電池が広く用いられている。この太陽電池は、シリコンの多結晶、または単結晶を用いたシリコン型太陽電池が良く知られており、すでに住宅用の電力供給用から電卓等の微弱電力用電源として利用されている。
しかしながら、こうしたシリコン型太陽電池の製造にあたって必須となるシリコンの単結晶や多結晶、あるいはアモルファスシリコンを製造するためには、シリコン高純度化でのプロセスや高温での溶融プロセスを必要とするために多大なエネルギーを消費する。このため、シリコン型太陽電池を製造するために費やしたエネルギー量の総和が、この太陽電池の発電可能期間に発電できる総発電エネルギー量よりも大きいという危惧が出ている。
このようなシリコン型太陽電池の課題を解決する太陽電池として、近年、色素増感型太陽電池が注目されている。色素増感型太陽電池は、スイスのミカエル・グレツェルらがその基礎となる構造を開発したもので、光電変換効率が高く、かつ、シリコン型太陽電池のように単結晶シリコンなどの製造に多大なエネルギーを消費する材料が必要ではないため、太陽電池を作製するためのエネルギーも桁違いに少なく、且つ低コストで量産が可能なものであり、その普及が期待される。
従来の色素増感型太陽電池は、例えば以下の作製方法によって得られる。即ち、例えばガラスからなる基板の一面に透明導電膜を形成する。そして、この透明導電膜に重ねて、Ag,Cu,Ni等の金属からなる集電用配線を所定の配線パターンで形成する。さらに、この集電用配線を覆う絶縁性の被覆層と酸化チタン膜とを形成し、酸化チタン膜に色素を吸着させる。そして、逆電子移動防止用にカルボン酸や有機金属塩等で処理することにより、負極(電極)が得られる。一方、透明導電膜を形成したガラス基板に、蒸着法、熱分解法、電界メッキ等などの方法でPt膜を形成することで正極(電極)が得られる。この負極と正極とを対面させて、周縁部を樹脂等で封止する。その後、負極と正極との間に電解液を充填することで、色素増感型太陽電池が得られる。
このような色素増感型太陽電池を構成する電解液は、反応性の高いヨウ素を高濃度に含んでいる。そして、この電解液が、集電用配線を覆う被覆層に存在する僅かなクラックやピンホールから浸入し、集電用配線を構成するAg,Cu,Ni等の金属と反応して、集電用配線を変質させる。例えば、集電用配線の厚みが薄くなったり、集電用配線の一部が基板から剥離してしまうといった課題があった。集電用配線が電解液と反応して変質すると、集電用配線の電気抵抗が高くなり、光電変換効率が著しく低下し、その結果、色素増感型太陽電池の寿命が短くなる。
このような課題を解決するために、例えば、色素増感型太陽電池を構成するガラス基板に形成されたAgからなる集電用配線の表面に、低融点材料のガラスフリットのペーストを塗布し、このペーストを加熱、溶融して集電用配線を封止することで、電解液による集電用配線の変質を抑制した色素増感型太陽電池が提案されている(特許文献1参照)。
また、集電用配線の表面に紫外線硬化型樹脂を塗布し、紫外線によって硬化させて集電用配線を封止することで、電解液による集電用配線の変質を抑制した色素増感型太陽電池が提案されている(特許文献2参照)。
特開2005−339882号公報 特開2006−92854号公報
しかしながら、上述した特許文献1,2に記載された色素増感型太陽電池では、被覆層を成すガラスフリットや紫外線硬化型樹脂と、その下層の基板との間で、材質の違いからくる線膨張率の差によって、被覆層にクラックが生じたり、あるいはこれらが剥離してしまうといった不具合が生じやすく、電解液による集電用配線の変質を防ぐことは困難であった。
本発明は、電解液による集電用配線の変質を防止することが可能な色素増感型太陽電池の電極を提供することを目的とする。
また、集電用配線の変質を防止して、長期にわたって安定した発電が可能な色素増感型太陽電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、色素増感型太陽電池の集電用配線を覆う被覆層の材質を特定し、その軟化点、および基板に対する線膨張率の差を特定の範囲にすることによって、被覆層に傷が生じるのを効果的に防止できることを見出した。
即ち、本発明の請求項1に記載の色素増感型太陽電池の電極は、ガラス基板と、このガラス基板に重ねて形成される集電用配線と、この集電用配線を覆う被覆層とを、少なくとも備えた色素増感型太陽電池の電極であって、
前記被覆層を成す部材は、前記ガラス基板に対する線膨張率の差が±10×10−7/K以内であり、かつ軟化点が400℃以上600℃以下のガラスを主体としていることを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の色素増感型太陽電池の電極は、請求項1において、前記被覆層は、厚みが5μm以上200μm以下の範囲であることを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の色素増感型太陽電池の電極は、請求項1または2において、前記被覆層は、前記集電用配線の両側縁の外側で、前記集電用配線を介さずにガラス基板に重なる領域の幅である取りしろが100μm以上となるように形成されることを特徴とする。
本発明の請求項4に記載の色素増感型太陽電池の電極は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記被覆層は、10μm以上300μm以下の粒径の絶縁体を更に含有していることを特徴とする。
本発明の請求項5に記載の色素増感型太陽電池は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池の電極を備えたことを特徴とする。
本発明の色素増感型太陽電池の電極によれば、集電用配線を覆う被覆層を、ガラス基板に対する線膨張率の差が±10×10−7/K以内であり、かつ軟化点が400℃以上600℃以下のガラスによって構成することにより、互いの線膨張率の差によって、被覆層とガラス基板との接合部分から被覆層にクラックが生じることを防止できる。これによって、例えば、ガラス基板に対して、集電用配線を覆う被覆層を形成する工程や、その後の急激な温度変動などがあっても、被覆層から電解液が浸入して集電用配線が腐蝕されるなどの不具合を確実に防止することが可能になる。
本発明の色素増感型太陽電池によれば、ガラス基板に対する線膨張率の差が±10×10−7/K以内であり、かつ軟化点が400℃以上600℃以下のガラスによって構成された被覆層を備えた電極を色素増感型太陽電池に用いることによって、被覆層にクラックが生じて電解液が浸入し、集電用配線が変質、劣化してしまうことがない。よって、色素増感型太陽電池の光電変換効率の劣化を防止し、長期にわたって安定した発電が可能になる。
以下、本発明に係る色素増感型太陽電池の電極、およびこれを用いた色素増感型太陽電池の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
図1(a)は、本発明の色素増感型太陽電池の電極を備えた色素増感型太陽電池の一例を模式的に示す断面図である。また、図1(b)は、図1(a)の要部を拡大した断面図である。これらの図面は特に、紙面の上下方向(層厚み方向)が横方向よりも拡大して表現されていることに留意されたい。
色素増感型太陽電池10は、大別して、互いに対向して配された負極(電極)11及び正極12と、この負極11と正極12とを周縁で接合する封止部13を備えている。また、負極11と正極12との間には、電解液14が充填されている。
負極(電極)11は、一面21aに透明導電膜22が形成されたガラス基板21と、集電用配線23と、酸化チタン層24とを備えている。ガラス基板21の一面21aに形成される透明導電膜22は、例えば、ITO、FTOなどの透明な金属酸化膜から形成される。
そして、この透明導電膜22に重ねて、集電用配線23が形成されている。この集電用配線23は、図2に示すように、ガラス基板21の一面21a上で所定の間隔を空けて柵状に広がるように形成される。この集電用配線23を成す部材は、例えば、Au,Ag,Pt等の導電性の金属やその合金、あるいは導電性樹脂等が挙げられる。
集電用配線23は、その外面を被覆層25で覆われる。被覆層25は、集電用配線23の延長方向に沿って延び、集電用配線23の外面を覆う絶縁体である。この被覆層25の断面形状は、中央部分に通る集電用配線23を覆う矩形、半円形などであればよく、集電用配線23の両側縁の外側で、ガラス基板21に形成された透明導電膜22と接合されている。
この被覆層25は、ガラス基板21に対する線膨張率の差が±10×10−7/K以内であり、かつ軟化点が400℃以上600℃以下のガラスから形成されている。被覆層25を成す部材としては、例えば、例えばSiO−Bi−MO系、又はB−Bi−MO系、SiO−CaO−Na(K)O−MO系、P−MgO−MO系(Mは一種以上の金属元素とする)などが挙げられ、基本的にはSiO骨格、B骨格、P骨格に融点の制御及び化学的な安定性のために他の金属酸化物が含有されたものである。
各ガラス系の主成分であるB、P、Bi3、SiOに加えられるアルカリ金属やアルカリ土類金属、その他の金属元素等は融点を下げるものである。線膨張率の制御には例えば酸化物フィラーとしてアルミナ,チタニア,ジルコン,シリカ,コーディエライト,ムライト,β−ユークリプタイト,スポジューメン,アノーサイト,セルシアン,フォルステライト及びチタン酸アルミニウムなどが挙げられる。
このような部材からなる被覆層25に対して、ガラス基板21は、例えばソーダライムガラス、石英ガラスやホウ酸ガラス、鉛ガラス等から構成され、被覆層25との線膨張率の差が±10×10−7/K以内であれば、特にガラスの種類や組成に限定されるものではない。
酸化チタン層24は、ガラス基板21の一面21a上で柵状に広がる集電用配線23どうしの間に形成されている。この酸化チタン層24は、例えば、緻密な下地層と多孔質層の2形態の酸化チタンから構成されればよく、多孔質層には、増感用の色素を吸着させる。
正極(電極)12は、基板27の一面27aに形成された透明導電膜28と、この透明導電膜28に重ねて形成された、Ptなどの金属導電層29とを備えている。なお、金属導電層29は、Pt以外にも、導電性に優れた各種金属を用いることができる。
負極11と正極12とを周縁部で接合する封止部13を構成する部材は、密封性および耐蝕性の高い樹脂、特にアイオノマー樹脂(例えば、三井デュポン・ポリケミカル製(商品名:ハイミラン))が好ましく用いられる。
電解液14は、ヨウ素を含む溶液、例えば、ヨウ素、リチウムアイオダイド、ターシャルブチルピリジンをアセトニトリルに溶解させたものが挙げられる。
上述したような構成の本発明の色素増感型太陽電池の電極によれば、集電用配線23を覆う被覆層25を、ガラス基板21に対する線膨張率の差が±10×10−7/K以内であり、かつ軟化点が400℃以上600℃以下のガラスによって構成することにより、互いの線膨張率の差によって、被覆層25とガラス基板21との接合部分から被覆層25にクラックが生じることを防止できる。これによって、例えば、ガラス基板21に対して、集電用配線23を覆う被覆層25を形成する工程や、その後の急激な温度変動などがあっても、被覆層25から電解液14が浸入して集電用配線23が腐蝕されるなどの不具合を確実に防止することが可能になる。
そして、このようなガラス基板21に対する線膨張率の差が±10×10−7/K以内であり、かつ軟化点が400℃以上600℃以下のガラスによって構成された被覆層25を備えた負極(電極)11を、色素増感型太陽電池10に用いることによって、被覆層25から電解液14が浸入して集電用配線23が変質、劣化してしまうことがない。よって、色素増感型太陽電池10の光電変換効率の劣化を防止し、長期にわたって安定した発電が可能になる。
以下、本発明の色素増感型太陽電池の電極、および色素増感型太陽電池を構成する各部における、より具体的な構成、およびその形成方法を説明する。なお、本発明の色素増感型太陽電池の電極、および色素増感型太陽電池は、以下の具体的な構成に限定されるものではない。
[集電用配線]
集電用配線は、Au,Ag,Pt等の貴金属系元素及びその元素を含む合金や、Ni,Cu等の元素及びその元素を含む合金、またはカーボン及びカーボンを含む化合物、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性ポリマー等が挙げられる。
[被服層]
被覆層を構成する部材であるガラスの成分について、更に詳細に説明すると、それぞれの酸化物の重量パーセントとして、SiO−Bi−MO系としては、20<SiO<60,20<Bi<60,0<MO<30、またB−Bi−MO系では、20<B<60,20<Bi<60,0<MO<40、P−MgO−MO系では、20<P<70,0<MgO<30,0<MO<40の範囲にあることが望ましい。これら酸化物に限定されるものではなく、これら酸化物に他の元素の酸化物を添加物として入れても良い。
なお、この被覆層の一部に選択的に導電性材料を含ませて、被覆層の外面と集電用配線と接する面との間の厚み方向において、電気抵抗が傾斜勾配となるように構成しても良い。この場合、被覆層の最外面の電気抵抗は、10MΩ程度になるようにすることが好ましい。被覆層を形成するためのペーストに含ませる導電性材料としては、例えば炭素材料としてカーボンファイバー、カーボンブラック、コークス、炭化珪素等があり、Fe,Cr,Mn,Ni,Cu,Co,Mo,Ti,Ag,Au,Pt等の金属元素、または一種以上含んだ合金粉が好ましく挙げられる。
このような被覆層の形成方法としては、例えば低融点ガラスフリットのペーストをスクリーン印刷、ブレードによる塗布法、またはスプレー法、グラビア印刷法等により、集電体の配線上に塗膜する。ガラスペーストのガラス粉の粒径としては100μm以下であり、大きいとボイドを形成しやすいために望ましくは10μm以下が良い。またガラスペーストの固形分は、ペーストのチクソトロピー性から固形分が多いほうがよく、少なくとも50重量パーセント以上が好ましい。
ペーストの副成分である樹脂や溶媒は、本発明においては500〜600℃程度で完全に燃焼され、残物が残らないものがよく、例えば、ポリビニルアルコールやポリエチレングリコール、エチルセルロース(EC)、アクリル樹脂等などが挙げられる。ガラスペーストの粘度としては、測定条件20℃ 20rpmで80〜100Pa・s程度が好ましい。
このようなガラスペーストを用いて、集電用配線の上に、クラックがなく、ガラス基板との安定した接着強度を保って被覆層を形成する方法を説明する。まず、ガラスペーストをスクリーン印刷、ブレードによる塗布法、またはスプレー法により、集電用配線を覆うように塗膜する。膜厚T(図1(b)参照)としては安定した被覆層を形成するために、少なくとも5〜200μmの範囲であり、好ましくは10〜60μmの範囲である。
被覆層を形成する際の塗膜条件としては、集電用配線の端部から少なくとも100μm以上の取りしろを形成した方が良い。ここでいう取りしろとは、図1(b)において符号Wで示した、集電用配線の幅方向における端から、被覆層の端までの距離、すなわち、被覆層が集電用配線を介さずにガラス基板に重なる領域の幅を示している。この取りしろが100μm以下になると、被覆層による集電用配線の封止性が低下する虞がある。
集電用配線にガラスペーストを塗布した後、ペースト中に有機成分を除去するために、200〜350℃程度で脱脂用の焼成をすることが好ましい。この後、ペースト中のガラスが軟化して、だれない範囲である600℃以下で、カーボンが燃焼劣化しない雰囲気中にて焼成し、集電用配線の上に被覆層を形成させる。
被覆層を形成するガラスペーストに、ソーダライムガラスやシリカ、アルミナ等からなる平均粒径が10μm〜300μmの絶縁体の粉末を混ぜ込み、集電用配線の表面に塗布して焼成することにより、集電用配線の表面に形成されるガラスの被覆層は、粗大な粒子が焼結による収縮がないために非常に大きな凹凸が形成される。この凹凸が色素増感型電池を形成したときに、正極および負極の間の距離を一定にして、両電極間の接触を防ぎ、短絡を防止することができる。例えば、このような粒径の大きい粉末として、例えば、スペーサーに用いられる球状粉などが挙げられる。
[基板]
色素増感型太陽電池を構成する電極のガラス基板としては、少なくとも一つの基板、即ち、負極、または正極を構成するガラス基板の少なくともいずれか一方は太陽光を透過可能であり、光電変換を行なう領域に十分な太陽光が到達できる状態にあればよい。具体的には、ソーダライムガラス系の材料を用いた場合、Si,Ca,Na,K,Mg,Alの酸化物を主成分に含んだものより構成されればよい。より具体的には、ソーダガラスとしてはSiOが70〜73%前後で含有し、Na,Kの酸化物が10〜15%程度、CaOが7〜12%程度含有されており、軟化温度が720〜730℃、線膨張率として85〜90×10−7/K前後のものを挙げることができる。
[透明導電膜]
ガラス基板の上に形成する透明導電膜としては、例えば、フッ素ドープの酸化錫(FTO)やITOが挙げられる。透明導電膜のシート抵抗は、10〜100Ωcm程度が好ましい。
[酸化チタン層]
酸化チタン層としては、アナターゼ型結晶構造の酸化チタンが好ましく、それ以外にも、Sn,Znの酸化物を含ませても良く、また酸化チタンもルチル型結晶構造を持つものが含まれたものでも良い。酸化チタンからなる電極(負極)としては、酸化チタンがネット構造を形成し、多孔質膜となっているものが好ましい。特に、貫通型の多孔質体、多数の空隙が相互に繋がった形態の多孔質体であればより好ましい。
酸化チタン層に吸着させる色素としては、例えばルテニウムビピリジン系色素、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポリフィリン系色素、フタロシアニン系色素、ベリレン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色素などが挙げられる。
酸化チタン層に色素を吸着させる方法としては、例えば、ガラス基板上に形成された多孔質の酸化チタン層を、色素を溶解した溶液(色素吸着用溶液)に浸漬する方法が挙げられる。色素を溶解させる溶剤としては、色素を溶解するものであればよく、具体的には、エタノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトニトリルなどの窒素化合物類、クロロホルムなどのハロゲン化脂肪族炭化水素、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチルなどのエステル類が挙げられる。これらの溶剤は2種類以上を混合して用いることもできる。溶液中の色素濃度は、使用する色素および溶剤の種類により適宜調整することができるが、吸着機能を向上させるためにはできるだけ高濃度である方が好ましいが、濃度が高すぎると酸化チタン層の表面に、過剰に色素が吸着した領域が形成されるので、3×10−4モル/リットル以上が好ましい。
[電解液]
電解液を構成する酸化還元対としては、I3−/I系の電解質、Br3−/Br系の電解質などのレドックス電解質等が挙げられるが、酸化還元対を構成する酸化体がI3−であり、かつ、前記酸化還元対を構成する還元体がIであるI3−/I系の電解質がより好ましく、LiI、NaI、KI、CsI、CaIなどの金属ヨウ化物、およびテトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドなど4級アンモニウム化合物のヨウ素塩などのヨウ化物と、Iとの組み合わせが好ましく挙げられる。このような電解液において、ヨウ素系レドックス溶液からなる電解質が用いられる場合には、正極としては、白金又は導電性炭素材料、及び、触媒粒子が白金又は導電性炭素材料を用いることが好ましい
電解質を溶解する溶剤としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物;3−メチル−2−オキサゾリジノンなどの複素環化合物;ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル化合物;エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルなどのエーテル類;メタノール、エタノールなどのアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類;アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル化合物;ジメチルスルフォキシド、スルフォランなど非プロトン極性物質などが挙げられる。
電解液中の電解質の濃度は、電解質や溶剤の種類などにより適宜設定すればよく、例えば、0.01〜1.5モル/リットル、好ましくは0.01〜0.7モル/リットルである。具体的な電解液の一例としては、リチウムアイオダイド0.06モル/リットル、ヨウ素0.06モル/リットル、ターシャルブチルピリジン0.3モル/リットルの濃度となるようにそれぞれをアセトニトリルに溶解させたものが挙げられる。
以上のような色素増感型太陽電池の形成方法の具体的な一例を記載すれば、まず、透明導電膜を成膜したガラス基板に酸化チタン粉のペーストを用いてスクリーン印刷法により厚み10〜50μmの塗膜を形成し、これを100〜150℃で大気中にて乾燥後、400〜550℃にて0.2〜2.0時間焼成し、酸化チタン層を形成する。この後、銀ペーストを用いて、幅200μm 厚み50μmの集電用配線を、ガラス基板の端部から集電用配線の中心線が5mm間隔になるようにスクリーン印刷で成膜し、120℃にて乾燥する。
次に、この集電用配線を覆うように、ガラスペーストを10〜200ミクロの厚みでスクリーン印刷により塗膜し、100〜150℃で大気中にて乾燥後、400〜600℃にて0.2〜2.0時間焼成する。この後、色素を溶解した溶液に浸漬して酸化チタン層に色素を吸着させる。更に、必要に応じて非水溶媒に浸漬して過剰な色素を除去する。
こうして得た負極(電極)と、透明導電膜に白金を担持させた正極(電極)とを対面させ、アイオノマー樹脂等の有機材料を用いて熱融着させて周縁部で接合し、更に周縁部をガスバリヤー性のある材料で封止すればよい。この後、正極または負極を成す基板のうち少なくともどちらかに、基板表面に形成した注入口から電解液を注入した後、この注入口をマスクガラス等で塞ぎ密閉化すれば、色素増感型太陽電池を得ることができる。なお、この注入口は基板の表面以外にも、周縁部に設けても良く、注入口の位置が限定されるものではない。
なお、上述した実施形態においては、ガラス基板に対する線膨張率の差が±10×10−7/K以内であり、かつ軟化点が400℃以上600℃以下のガラスを用いて、負極の被覆層を形成する例を示したが、もちろん、正極の集電用配線を覆う被覆層を、こうしたガラスによって形成しても良く、負極あるいは正極のどちらか一方に限定されるものではない。
また、色素増感型太陽電池の周縁部を、アクリル樹脂やエポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の接着剤で固定したり、更に周縁部にブチルゴムやシリコンゴム系等の弾性材を配したり、アルミフレームやSUSフレームにより周縁部の補強を行うことにより、色素増感型太陽電池の周縁部を物理的な応力から保護できる構成にしてもよい。
次に、本発明の集電用配線の他の構成をいくつか列挙する。図3においては、ガラス基板31の一面に形成した透明導電膜32の上に、集電用配線33が形成される。そして、この集電用配線33を覆う被覆層34が形成される。被覆層34を成す部材は、ガラス基板31に対する線膨張率の差が±10×10−7/K以内であり、かつ軟化点が400℃以上600℃以下のガラスを主体としている。そして、酸化チタン層35が、この被覆層34の一部(端部)に重なるように形成されている。
図4においては、ガラス基板41の一面に形成した透明導電膜42の上に、集電用配線43が形成される。そして、この集電用配線43を覆う被覆層44が形成される。被覆層44を成す部材は、ガラス基板41に対する線膨張率の差が±10×10−7/K以内であり、かつ軟化点が400℃以上600℃以下のガラスを主体としている。そして、酸化チタン層45が、この被覆層44の全体を覆うように形成されている。この構成では、酸化チタン層45が被覆層44を覆っている部分で対極と接触しないように、ガラスやフィルム等からなる絶縁性のセパレーター46が形成されている。
図5においては、ガラス基板51の一面に形成した透明導電膜52の上に、酸化チタン層55が形成されている。そして、この酸化チタン層55の上に、集電用配線53が形成され、更に、集電用配線53を覆う被覆層54が形成されている。被覆層54を成す部材は、ガラス基板51に対する線膨張率の差が±10×10−7/K以内であり、かつ軟化点が400℃以上600℃以下のガラスを主体としている。
以下、本発明の色素増感型太陽電池の電極の効果を検証した実験例を列記する。
[実験1]
ガラス基板としてセントラル硝子製の建材ガラス、厚み3mm,10cm角のソーダライムガラスを用いた。このガラス基板の線膨張率は89×10−7/Kであった。このガラス基板を複数枚用意し、それぞれにスプレー法によりITOからなる透明導電膜を厚さ1μmで成膜し、大気中にて450℃で1時間の焼成を行った。この透明導電膜を形成したガラス基板のうち、正極とするガラス基板に対して、スパッタリング法によりPtを30nm成膜し、ドリルにより1mmΦの径の穴を二箇所、対角線方向の両端に形成し、正極(電極)を得た。
一方、負極とするガラス基板には、Agペースト(デュポン社製:品名7095)を幅200μm、厚み50μmでガラス基板の端部から配線の中心線が5mm間隔になるように、図2に示すようなパターンでスクリーン印刷により成膜した。この後、150℃で1時間乾燥させた後、450℃で大気中において1時間焼成し、集電用配線を形成した。次に、被覆層となるガラスペーストを、集電用配線の上に塗膜の厚みを変えてオーバーコートした。この時、被覆層の厚みを1.5μm〜125μmまで9段階に変化させた9種類のサンプルを作成した。なお、被覆層の取りしろを200μmとした。そして、ガラスペーストの塗布後に120℃で乾燥後、550℃で1.0時間の焼成を行ない、集電用配線を覆う被覆層を形成した。ガラスペーストの塗布は一回当たり10μm程度以下に塗るため、厚みを厚くする際には、塗布と焼成を繰り返し行った。
被覆層の形成に用いたガラスペーストの組成はB−Bi−ZnO系の低融点ガラスを用いた。このガラスの軟化点は523℃であり、脱脂温度としては400℃20分で処理できるものであった。ペーストのガラス成分の線膨張率の制御には酸化チタンや酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等を添加して行った。このガラスペーストのガラス成分の線膨張率は82×10−7/Kであり、ガラス基板に対する線膨張率の絶対値での差は7×10−7/Kであった。また、ガラスペーストの粘度は95Pa・sであった。
次に、このガラス基板の上にスクリーン印刷法により酸化チタン(Degussa社製、商品名;「P25」)のペーストを30μmの厚みで塗布し、酸化チタン層を形成した。この酸化チタン層を形成したガラス基板を大気中で120℃にて乾燥し、500℃にて1時間焼成した。この後、ルテニウム錯体系の色素ルテニウム535(SOLARONIX(製品名: ルテニウム535))を濃度5×10−4モル/リットルにしたエタノール溶液に浸漬して8時間保持した。無水エタノールに浸漬して過剰の色素を取り除き、100℃にて乾燥し負極(電極)を得た。この負極と、正極とを対面させ、それぞれのガラス基板の周縁部にアイオノマー樹脂(例えば、三井デュポン・ポリケミカル製(商品名:ハイミラン))を配置して120℃で負極と正極とを熱融着させた。熱融着させる際に、樹脂を重ねて、集電用配線を覆う被覆層が対極のガラス基板と接触するようにした。そして、負極と正極との隙間に、LiIとIとを溶解したアセトニトリル電解液を注入口から注入し、セル全体に行き渡らせ、色素増感型太陽電地を得た。このような、被覆層の厚みを1.5μm〜125μmまで9段階に変化させた負極をそれぞれ用いた色素増感型太陽電地を、実施例1〜8として、それぞれの実施例の太陽電池としての特性を調べた結果を表1に示す。
Figure 2008177022
また、実施例1〜8のそれぞれの色素増感型太陽電池を用いて、集電用配線の劣化評価を行った。劣化評価としては、色素増感型太陽電池を60℃の低温環境下にて、30日保持させた。この時の、実施例1〜8の腐食面積率を表2に示す。なお、表2における腐食面積率は画像解析ソフトを用いて、試験後の集電用配線の変色した部分を、試験前の初期の面積で割った値(百分率)である。
Figure 2008177022
これら表1および表2に示す結果から、被覆層の厚みが薄すぎると集電用配線の劣化が大きくなるので、少なくとも5μm以上が良いことが確認された。一方、被覆層の厚みが厚すぎると、光電変換効率が低下することが分かった。
[実験2]
集電用配線を覆う被覆層の厚みを120μmに固定し、被覆層の取りしろだけを50〜1000μmまで段階的に変化させ、その他の条件は実験1と同様にした実施例9〜15の色素増感型太陽電池を作成し、被覆層の取りしろの距離による、集電用配線の腐食状態の変化を測定した。実験条件および腐食面積率の定義は実験1と同様である。この実験2の結果を表3に示す。
Figure 2008177022
表3の結果から、取りしろの距離は少なくとも100μm以上あることが好ましいことが判明した。
[実験3]
次に、ガラス基板と被覆層を成すガラスとの膨張率の差の大小による腐蝕面積率の差を調べた。
ガラス基板として、セントラル硝子製の建材ガラス、厚み3mm,10cm角のソーダライムガラスを用いた。このガラス基板の線膨張率は89×10−7/Kであった。このガラス基板を複数枚用意し、それぞれにスプレー法によりITOの導電膜を厚さ1ミクロンで成膜し、大気中にて450℃で一時間の焼成を行った。この透明導電膜を形成したガラス基板のうち、正極とするガラス基板に対して、スパッタリング法によりPtを30nm成膜し、ドリルにより1mmΦの径の穴を二箇所 対角線方向に両端に形成し、正極(電極)を得た。
一方、負極とするガラス基板には、Agペースト(デュポン社製:品名7095)を幅200μm、厚み30μmでガラス基板の端部から配線の中心線が5mm間隔になるように図2に示すようなパターンでスクリーン印刷により成膜した。この後、150℃で1時間乾燥させた後に、450℃で大気中において1時間焼成した。次に、線膨張率の異なる7種類のガラスを用いてペースト化したガラスペーストを、それぞれ集電用配線を覆うように塗布し、この後、焼成して被覆層を形成した。
被覆層の取りしろは200μm、厚みは60μmとした。ガラスペースト塗布後の焼成条件として120℃で乾燥後、550℃で1.0時間の焼成を行った。ガラスペーストの塗布は一度に10μm程度以下に塗るので、厚みを厚くするために、塗布と焼成を繰り返し行った。用いたガラスペーストの組成はB−SiO−NaO系の低軟化点ガラスを用いた。このガラスの軟化点は512℃以下であった。ガラスペーストの脱脂温度としては400℃20分で処理できるものであった。被覆層を成すガラスの線膨張率の制御には、酸化チタン,酸化マグネシウム,酸化アルミニウム等を添加して行った。ガラスペーストの粘度は95Pa・sであった。これにより、線膨張率の異なる7種類の被覆層を有するサンプルを形成した。
次にこれら7種類のサンプルのガラス基板の上に、スクリーン印刷法により酸化チタン(Degussa社製、商品名;「P25」)のペーストを30μmの厚みで塗布し、酸化チタン層を形成した。この酸化チタン層を形成したガラス基板を大気中で120℃にて乾燥し、500℃にて1時間焼成した。この後、ルテニウム錯体系の色素ルテニウム535(SOLARONIX(製品名: ルテニウム535))を濃度5×10−4モル/リットルにしたエタノール溶液に浸漬して8時間保持した。無水エタノールに浸漬して過剰の色素を取り除き、100℃にて乾燥し負極(電極)を得た。
この負極と、正極とを対面させ、それぞれのガラス基板の周縁部にアイオノマー樹脂(例えば、三井デュポン・ポリケミカル製(商品名:ハイミラン))を配置して120℃で負極と正極とを熱融着させた。熱融着させる際に、樹脂を重ねて、集電用配線を覆う被覆層が対極のガラス基板と接触するようにした。そして、負極と正極との隙間に、LiIとIとを溶解したアセトニトリル電解液を注入口から注入し、セル全体に行き渡らせ、色素増感型太陽電地を得た。このような、被覆層の線膨張率を7段階に変化させた負極、即ち、ガラス基板と被覆層を成すガラスとの線膨張率の差を7段階に制御した7種類の色素増感型太陽電地を用い、線膨張率の差が±10×10−7/K以内のものを実施例16〜18、線膨張率の差が±10×10−7/Kよりも大きいものを比較例1〜4として、集電用配線の腐食状態の変化を測定した。実験条件および腐食面積率の定義は実験1と同様である。この実験3の結果を表4に示す。
Figure 2008177022
表4に示す結果から、ガラス基板と被覆層を成すガラスとの線膨張率の差が小さいほど、被覆層のクラックや剥離が抑制され、集電用配線の腐食面積率を抑制できることが確認された。この結果から、少なくともガラス基板と被覆層を成すガラスとの線膨張率の差を±10×10−7/K以内にすれば、電解液による集電用配線の腐食を効果的に抑制できることが確認された。
[実験4]
集電用配線を覆う被覆層の厚みを120μm、取りしろを200μmに固定し、かつガラス基板と被覆層を成すガラスとの線膨張率の差を±10×10−7/K以内に制御しながら、被覆層を成すガラスの軟化点だけを638〜425℃まで段階的に変化させ、その他の条件は実験3と同様にした実施例19〜25の色素増感型太陽電池を作成し、被覆層を成すガラスの軟化点による、集電用配線の腐食状態の変化を測定した。実験条件および腐食面積率の定義は実験1と同様である。この実験4の結果を表5に示す。
Figure 2008177022
表5に示す結果から、被覆層を成すガラスの軟化点は550℃以下、望ましくは535℃以下が良いことが分かった。
[実験5]
実施例1において、被覆層にシリカからなる60μmの球状粉をポリビニールアルコール5重量パーセントで固形分濃度65重量パーセントの水系スラリーを用いて塗布した。これ以外の条件を同一として色素増感型太陽電池を作製した結果、図6に示すように、シリカ粒子(球状ガラス粉)がスペーサーの役割を果たすことが分かった。
本発明の色素増感型太陽電池の電極およびこれを備えた色素増感型太陽電池の一例を示す断面図である。 集電用配線の形成例を示す模式図である。 本発明の色素増感型太陽電池の電極の他の一例を示す断面図である。 本発明の色素増感型太陽電池の電極の他の一例を示す断面図である。 本発明の色素増感型太陽電池の電極の他の一例を示す断面図である。 本発明の実施例を示す模式図である。
符号の説明
10 色素増感型太陽電池、11 負極(電極)、12 正極(電極)、21 基板、22 透明電極膜、23 集電用配線、24 酸化チタン層、25 被覆層。

Claims (5)

  1. ガラス基板と、このガラス基板に重ねて形成される集電用配線と、この集電用配線を覆う被覆層とを、少なくとも備えた色素増感型太陽電池の電極であって、
    前記被覆層を成す部材は、前記ガラス基板に対する線膨張率の差が±10×10−7/K以内であり、かつ軟化点が400℃以上600℃以下のガラスを主体としていることを特徴とする色素増感型太陽電池の電極。
  2. 前記被覆層は、厚みが5μm以上200μm以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池の電極。
  3. 前記被覆層は、前記集電用配線の両側縁の外側で、前記集電用配線を介さずにガラス基板に重なる領域の幅である取りしろが100μm以上となるように形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の色素増感型太陽電池の電極。
  4. 前記被覆層は、10μm以上300μm以下の粒径の絶縁体を更に含有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池の電極。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池の電極を備えたことを特徴とする色素増感型太陽電池。

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