JP2014072177A - 色素増感太陽電池、色素増感太陽電池用光電極、および色素増感太陽電池用対極 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明導電膜2Bを有する透明基板2と、光照射により励起されて電子を放出する増感色素が担持された半導体粒子の集合体が透明導電膜2B上に積層された発電層3と、発電層3および透明導電膜2B上に積層された電解質層7と、電解質層7に接触する電極面8aを有し、透明基板2に対向して配置された金属基板8と、透明導電膜2Bの表面に設けられた金属配線4と、を備え、透明基板2は、光透過性を有する基板からなり、透明基板2を通して外部から見える位置において、透明基板2の表面の一部を電解質層7から覆うとともに、金属配線4を電解質層7側から覆う形状に形成された、絶縁体からなる被覆層5が設けられている構成とする。
【選択図】図1
Description
このような色素増感太陽電池は、安価な材料を用いることができ、製造工程を簡素化しやすいため、注目されている。また、例えば、増感色素を変えるなどすれば太陽電池の外観を変えることができるため、太陽電池の意匠性やデザイン性を向上しやすい点でも注目を集めている。
例えば、特許文献1には、色素増感太陽電池用の半導体電極(発電層)上に所定の形状からなる隔壁を有する仕切部材を設置し、仕切部材により仕切られた区画ごとに異なる色素溶液を入れて所定の色素を吸着させた後、仕切部材を除去することにより、異なる色素で塗り分けられた半導体電極を得る光電変換素子の製造方法が記載されている。
特許文献1に記載の技術では、半導体電極に吸着させる色素そのものを変えている。増感色素は、色素ごとに固有の特性があるため、半導体電極で形成する図柄や配色に応じて、半導体電極の形状や増感色素の種類が変わり、太陽電池の発電性能が変わってしまうことになる。
このようにして形成される色素増感太陽電池は、モジュール化した際に、安定して電流や電圧を取り出しにくく、安定させるためには電気の取り出し回路が複雑になるという問題がある。
また、色によっては、変換効率が低い増感色素を用いる必要があり、この場合、太陽電池としての、発電性能が低下してしまうという問題がある。
また、本発明の色素増感太陽電池用光電極および色素増感太陽電池用対極によれば、基板の電極部上に絶縁体からなる被覆層を設けるため、発電性能を変化させることなく、色素増感太陽電池の外観を容易に変更することができるという効果を奏する。
本発明の第1の実施形態の色素増感太陽電池について説明する。
図1(a)は、本発明の第1の実施形態の色素増感太陽電池の構成を示す模式的な平面図である。図1(b)、(c)は、図1(a)におけるA−A断面図およびB−B断面図である。図2(a)、(b)、(c)は、本発明の第1の実施形態の色素増感太陽電池における発電層と被覆層との層厚の関係の例を示す模式的な断面図である。
図柄Pは、適宜の画像、文字、記号、図形、模様、幾何学的パターンなど採用することができる。以下では、一例として、図柄PがT字状の図形からなる図柄パターンであるとして説明する。
透明基板2の外形は特に限定されないが、本実施形態では、一例として矩形状の外形としている。
透明基材2Aに好適な材料としては、例えば、ガラス、プラスチックなどを挙げることができる。
透明基材2Aは、プラスチックを用いる場合、透光性、耐熱性、耐化学薬品特性などの観点から、例えば、板状またはフィルム状のシクロオレフィン系ポリマー、板状またはフィルム状のアクリル尿素系ポリマー、板状またはフィルム状のポリエステル、板状またはフィルム状のポリエチレンナフタレート(PEN)などを用いることが好ましい。
透明導電膜2Bの材質としては、発電に用いる太陽光等の光を透過させることができ、良好な導電性を有する材質であれば、適宜の材料を採用することができる。
透明導電膜2Bとして好適な材質としては、例えば、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)などよりなるものが挙げられる。
透明基材2Aと透明導電膜2Bとの材料の組合せとして、特に好適な例は、透明基材2AがPEN、透明導電膜2BがITOからなる構成、透明基材2Aがガラス、透明導電膜2BがFTOからなる構成などを挙げることができる。
本実施形態では、一例として、透明基板2の外周よりも内側を矩形状に囲む矩形枠からなり、開口が形成された一端部が、例えば、図示略の接着剤等を介して、透明導電膜2Bに密着して接合されている。
封止部6の材質は、電解質層7を封止できる絶縁材料であれば、適宜の材料を採用することができる。
封止部6に好適な材料としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー樹脂などを挙げることができる。
本実施形態では、封止部6で囲まれる矩形領域において、後述する被覆層5を除く範囲に形成されている。
このような半導体粒子を構成する半導体としては、酸化物半導体、硫化物半導体、金属カルコゲナイド、元素半導体などを挙げることができる。
好適な酸化物半導体としては、例えば、TiO2、SnO、ZnO、WO3、Nb2O5、In2O3、ZrO2、Ta2O5、TiSrO3などを挙げることができる。
好適な硫化物半導体としては、例えば、CdS、ZnS、In2S、PbS、Mo2S、WS2、Sb2S3、Bi2S3、ZnCdS2、CuS2などを挙げることができる。
好適な金属カルコゲナイドとしては、例えば、CdSe、In2Se2、WSe2、PbSe、CdTeなどを挙げることができる。
好適な元素半導体としては、例えば、GaAs、Si、Se、InPなどを挙げることができる。
また、これらの半導体を2種以上混合させた複合体も採用することが可能である。このような複合体の一例としては、例えば、SnOとZnOとの複合体、TiO2とNb2O5の複合体などを挙げることができる。などの、これらの2種以上よりなる複合体を用いることもできる。
半導体粒子を構成する半導体としては、上記の中でTi、Zn、Sn、Nbの酸化物が好ましく、特にTiO2が好ましい。
TiO2よりなるチタニア粒子としては、アナターゼ結晶型のものおよびルチル結晶型のものが挙げられ、いずれも使用可能である。特にアナターゼ結晶型のチタニア粒子は、コンダクションバンドが増感色素のLUMOの準位と適合しているため、発電性能を得るためには、好適である。
半導体粒子の集合体の厚さが過小である場合は、十分な量の増感色素を担持できないために得られる色素増感太陽電池が十分な光電変換効率を得ることができないものとなってしまう。一方、半導体粒子の集合体の厚さが過大である場合は、得られる光電変換層において増感色素から注入された電子の拡散距離が増大するために電荷の再結合によるエネルギーロスが大きくなってしまう。
Ru錯体の例としては、例えば、N3錯体、N719錯体(N719色素)、Ruターピリジン錯体(ブラックダイ)、Ruジケトナート錯体などを挙げることができる。
N719色素は(RuL2(NCS)2・2TBA)で表される化合物であり、Blackdye色素は(RuL´1(NCS)3・2TBA)で表される化合物である。
ただし、Lは、4,4´−ジカルボキシ−2,2´−ビピリジン、L´は、4,4´,4″−テトラ−カルボキシ−2,2´,2″−ターピリジン、TBAは、テトラブチルアンモニウムカオチンである。
有機系色素の例としては、例えば、クマリン系色素、メロシアニン系色素、ポリエン系色素などを挙げることができる。
その他の色素の例としては、例えば、金属ポルフィリン系色素やフタロシアニン色素などを挙げることができる。
これら増感色素のうち、より好ましいのはRu錯体である。Ru錯体の中でも、N719色素およびブラックダイは、可視光域に広い吸収スペクトルを有するため、特に好ましい。
これらの増感色素は、単独で、もしくは2種類以上を混合して、用いることができる。
増感色素の担持量がこの好ましい範囲内であることにより、半導体粒子の表面に増感色素が単分子層として担持されるため、増感色素において励起された電子が電解質部分の電解質を還元するなどのエネルギーロスが発生せずに十分な吸収効率が得られる。
金属配線4の形状や配置は、透明導電膜2Bの配線抵抗を許容値以下に低減できれば特に限定されない。例えば、縦横に延びる格子状、一方向のみに延びる格子状などの規則的な配線パターンや、格子状以外の規則的な配線パターンで形成してもよいし、規則性を有しない配線パターンで形成してもよい。
ただし、金属配線4の位置は、発電層3で発生する電子を集めやすい位置に形成されることが好ましい。すなわち、発電層3との電気的な距離ができるだけ短いことが好ましい。
金属配線4は、図柄Pの内部に配置され、平面視では、図柄Pの線幅よりも細い線状に形成されている。本実施形態では、図柄PがT字状の図形であることに対応して、透明導電膜2Bの中心部において透明基材2Aの外形の一辺に沿って直線状に延びる金属配線4aと、金属配線4aの長手方向の中心部から金属配線4aの側方に向かって透明基材2Aの外形まで、平行に延ばされた直線状の金属配線4b、4cとによって、配線パターンが形成されている。
また、金属配線4a、4b、4cは、発電層3との電気的な距離を縮めるため、図柄Pの外周部に沿って配置されている。
このように、本実施形態の金属配線4の配線パターンは、図柄Pが形成する図柄パターンの形状と異なっている。
金属配線4の材質は、例えば、銀、銅、アルミニウムなどの金属材料を挙げることができる。
被覆層5は、図柄Pに必要な外観を実現するため、適宜の色を有している。被覆層5の色は、単色でもよいし、複数の色が組み合わされた多色でもよいし、グラデーションを有する色でもよい。図柄Pが視認しやすいようにするためには、被覆層5の色は、発電層3と異なる色であることが好ましい。
被覆層5の好ましい材質は、色材を含有する樹脂材料である。このような構成によれば、色材の種類や量を変更することで、種々の発色が可能であるため、意匠性に優れた図柄Pを形成することができる。
被覆層5に好適な樹脂材料の例としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などを挙げることができる。
被覆層5に好適な色材としては、例えば、種々の色素や顔料を採用することができる。
被覆層5に好適な他の材料としては、例えば、ガラスフリットなどを挙げることができる。
ここで、被覆層5、発電層3の厚さとは、いずれも透明導電膜2Bの表面から測った層厚である(以下、特に断らない限りは同様)。
これに対して、発電層3の厚さは、被覆層5の厚さより厚い適宜の厚さに設定することができるため、光電変換の効率(発電効率)を高めることができる。
色素増感太陽電池1を大型化すると透明基板2や金属基板8がたわむおそれがある。この場合、発電層3と金属基板8とが接触して短絡を起こすおそれがあるが、被覆層5を発電層3よりも突出させておくことにより、このような短絡を防止することができる。
このような用途の場合、被覆層5の厚さを部分的に厚くして、被覆層5の一部に突起部を形成してもよい。
電解質層7は、その内部のイオンを媒介して電子を搬送できれば、液体状、固体状、凝固体状、常温溶融塩状態のいずれのものであってもよい。
電解質層7の厚さは、例えば1μm〜100μmが好適である。
電解質としては、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化セシウムなどの金属ヨウ化物とヨウ素の組み合わせや、テトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドなどの第4級アンモニウム化合物のヨウ素塩−ヨウ素の組み合わせ、あるいは前記ヨウ素、ヨウ素化合物のかわりに臭素化合物−臭素の組み合わせ、コバルト錯体の組み合わせでもよい。電解質がイオン性液体の場合は、特に溶媒を用いなくてもよい。電解質は、ゲル電解質、高分子電解質、固体電解質でもよく、また、電解質の代わりに有機電荷輸送物質を用いてもよい。
本実施形態では、金属基板8は、透明基板2と同形状を有する矩形板からなる。
金属基板8は、封止部6内に充填された電解質層7と、電極面8aで密着するとともに、電解質層7の外周側の封止部6の端部と密着して接合されている。金属基板8と封止部6との接合方法は、電解質層7が漏れなければ、特に限定されないが、本実施形態では、アクリル樹脂によって接合されている。
金属基板8の材質は、電解質層7に対する耐食性を有する適宜の金属材料を採用することができる。金属基板8に好適な材料としては、例えば、チタン、ステンレス鋼などを挙げることができる。
また、封止部6の外側に延ばされた透明基板2の透明導電膜2B上の金属配線4b、4c、および金属基板8は、図示略の外部回路と電気的に接続するための接続電極部を構成している。
また、透明基板2、発電層3、金属配線4、および被覆層5は、色素増感太陽電池1において光電極部120(色素増感太陽電池用光電極)を構成している。
まず、透明基材2Aの表面に透明導電膜2Bを、例えば、スパッタ法や蒸着法を用いて成膜して、透明基板2を形成する。
次に、透明導電膜2B上に、金属配線4を形成する。金属配線4は、例えば、スクリーン印刷によって、適宜のパターンに形成することが可能である。
次に、金属配線4および透明導電膜2Bの一部を覆う被覆層5を所望の形状に積層させる。すなわち、本実施形態では、図1(a)に示すようなT字状の範囲に被覆層5を積層させる。このため、金属配線のうち、金属配線4b、4cの端部は、被覆層5が積層されない。
次に、このペーストを固化させる。固化方法としては、例えば、焼結による固化や、常温のまたは加熱を伴うプレス加工などが可能である。これにより、半導体粒子がバインダーによって結合されて多孔質状とされた半導体粒子の集合体が形成される。
次に、この半導体粒子の集合体に増感色素を担持させる。例えば、増感色素を溶解させた溶液を、浸漬法、スプレー塗布法、印刷塗布法などによって、半導体粒子の集合体の空孔部に浸透させた後に乾燥させる。これにより、半導体粒子の表面に増感色素が担持され、発電層3が形成される。
また、これにより色素増感太陽電池用光電極である光電極部120が製造される。
このようにして、色素増感太陽電池1が製造される。
なお、このような製造方法は一例であり、適宜変形して実施することが可能である。例えば、透明基板2上に、被覆層5を形成する領域を残して、発電層3を形成した後、被覆層5を形成するようにしてもよい。このようにすれば、発電層3を焼結によって形成する場合に、被覆層5を一緒に加熱する必要がないため、被覆層5の材料は、より耐熱温度が低い材料を採用することが可能である。
また、被覆層5をスクリーン印刷する際に、半導体粒子を含むペーストも印刷することにより、被覆層5とベースト塗布とを同時に、または同時並行的に実施することが可能である。
色素増感太陽電池1によれば、図1(a)に示すように、透明基板2の透明導電膜2B上に、図柄Pの形状の被覆層5と、被覆層5をその外周側から取り巻く発電層3とが配置されている。
このため、例えば、太陽光等の光が、透明基板2に照射されると、透明基板2を透過した光が、発電層3と、被覆層5とにそれぞれ入射する。
放出された電子は、近傍の導体である透明導電膜2Bに移動して蓄電される。このとき、透明導電膜2B上には、金属配線4が接続されているため、電気抵抗が低減されているため、電子が透明導電膜2Bに円滑に移動する。
色素増感太陽電池1の金属配線4b、4cと金属基板8とに接続された図示略の外部回路が閉じられると、負極である透明導電膜2B上の電子が、外部回路に移動して、外部回路に電力供給が行われる。
外部回路を流れる電子は、正極である金属基板8に移動し、電極面8aを通して電解質層7内の陰イオンを増加させる。陰イオンは、電子が欠乏した発電層3に向かって移動し、発電層3の増感色素に電子を受け渡す。これにより、増感色素は、光照射により再び励起状態になることが可能となる。
このようにして、光電変換と電子の循環とが継続し、色素増感太陽電池1から外部回路に継続的に電力を供給することができる。
このため、被覆層5の色は、発電層3に比べると選択の自由度が高く、多色にすることも可能であり、しかも明るい発色が得られるものを採用することが可能である。
また、例えば、発電層3の補色など、発電層3との対比において、目立ちやすい色が選択しやすくなる。
また、被覆層5は、単に透明導電膜2B上に塗布して硬化させることによって形成できるため、容易に形成できる。
例えば、増感色素となりうる色素の色は限られており、しかも、増感色素は色によって発電効率が変化する。このため、色の選択の自由度が少なくなってしまう。
例えば、増感色素の色は、励起波長光を効率よく吸収する色でなければならないため、相対的に短い波長成分が励起に使われる場合、短波長光を含まない色に限られてしまう。
また、複数の増感色素を異なる領域ごとに担持させなくてはならないため、製造工程が複雑となり、製造コストが増大してしまう。
また、発電性能が異なる色素増感太陽電池を、モジュール化して用いると、安定して電流や電圧を取り出しにくく、安定させるためには電気の取り出し回路が複雑になってしまう。
これにより、色素増感太陽電池1の意匠性やデザイン性を向上することができる。
次に、本実施形態の変形例(第1変形例)の色素増感太陽電池について説明する。
図3(a)は、本発明の第1の実施形態の変形例(第1変形例)の色素増感太陽電池の構成を示す模式的な平面図である。図3(b)、(c)は、図3(a)におけるC−C断面図およびD−D断面図である。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
発電層13の厚さは、部位によって変化していてもよいが、本変形例では、一例として、一定とされている。このため、発電層13の厚さは、被覆層5の厚さよりも厚くなっている。
本変形例では、半導体粒子のペーストを塗布する場合に、ベタ塗りを採用することができるため、塗布工程を簡素化することができる。
特に、被覆層5の厚さが発電層13の厚さよりも薄いため、被覆層5に用いる材料を低減して、部品コストを低減することができる。また、発電層3の厚さを、被覆層5の厚さよりも厚い適宜の厚さに設定することができるため、光電変換の効率(発電効率)を高めることができる。
なお、本変形例では、被覆層5上に積層される発電層13の部位は、直接的には光が照射されないが、被覆層5を透過した光は照射される。
このため、被覆層5に用いる色材として、発電に寄与する波長の光を透過しやすい色材を選択することで、被覆層5の裏面の発電層13も発電に寄与させることが可能である。
次に、本発明の第2の実施形態の色素増感太陽電池について説明する。
図4(a)は、本発明の第2の実施形態の色素増感太陽電池の構成を示す模式的な裏面図である。図4(b)は、図4(a)におけるE−E断面図である。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
透明導電膜22B、透明基材22Aは、ぞれぞれ、上記第1の実施形態の透明導電膜2B、透明基材2Aと同様の構成を採用することができる。
透明導電膜22Bは、色素増感太陽電池1の外部回路が接続された場合に外部回路から電子を受け取る正極となる、第2の電極部を構成している。
透明基板22は、封止部6内に充填された電解質層7と、透明導電膜22Bで密着するとともに、電解質層7の外周側の封止部6の端部と密着して接合されている。透明基板22と封止部6との接合方法は、電解質層7が漏れなければ、特に限定されないが、本実施形態では、アクリル樹脂によって接合されている。
金属配線24の形状や配置は、透明導電膜22Bの配線抵抗を許容値以下に低減できれば特に限定されない。例えば、縦横に延びる格子状、一方向のみに延びる格子状などの規則的な配線パターンや、格子状以外の規則的な配線パターンで形成してもよいし、規則性を有しない配線パターンで形成してもよい。
本実施形態では一例として、透明導電膜22Bを横断する平行線状に4本が設けられている。金属配線24の線幅は、透明導電膜22Bの電極として有効面積が少なくなりすぎないように設定する。
被覆層25は、透明基板22を通して外側から見える適宜の図柄の形状に形成し、適宜の色に着色することが可能である。
ただし、本実施形態では、一例として、単に金属配線24を保護するために設けられており、金属配線24を略一定(一定を含む)の膜厚で絶縁被覆している。これにより、被覆層25は、透明基板22の外側から見ると、図4(a)に示すように、各金属配線24の外周を縁取る細線状に見えている。したがって、被覆層25の形状は、金属配線24の配線パターンと同様な平行線状のパターンを有している。
このため、隣り合う被覆層25同士の間には隙間が空いており、この隙間を通して、外部からの光が入射することが可能である。透明基板22から入射した光は、発電層3に到達すると、発電に用いられる。
また、発電層3および被覆層5の電解質層7側で反射した光は、透明基板22側から外部に出射されるため、透明基板22の外部から、発電層3および被覆層5の電解質層7側の形状が見えるようになっている。図4(a)は模式図のため、被覆層25によって、図柄Pの一部が隠されるように描かれているが、金属配線24および被覆層25の幅を十分細い設定とすることにより、図柄Pが、透明基板22側からも透明基板2側から見るのと略同様に見える構成とすることができる。
また、透明基板2と反対側に透明基板22を配置するため、透明基板22を通して、図柄Pの一部または全部が見えるため、図柄Pが種々の方向から視認しやすくなる。また、透明基板22を通して入射する光も発電に用いられるため、発電性能をより向上することができる。
次に、本発明の第2の実施形態の変形例(第2変形例)の色素増感太陽電池について説明する。
図5(a)は、本発明の第2の実施形態の変形例(第2変形例)の色素増感太陽電池の構成を示す模式的な裏面図である。図5(b)は、図5(a)におけるおよびそのH−H断面図である。
以下、上記第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
被覆層45は、被覆層25と同材質からなり、透明導電膜22Bの中央よりの2本の金属配線24を絶縁被覆する帯状部45aと、帯状部45aの端部において、金属配線24が延びる方向に直交する方向に延ばされて透明導電膜22Bを被覆する帯状部45bとを有している。このため、被覆層45は、透明基板22側から見えるT字状の図柄Pを構成している。
帯状部45aを通る金属配線24は、それぞれ帯状部45aの外周部を通るよう配置され、帯状部45bの中央部を貫通して直線状に延ばされている。
これら金属配線24において、帯状部45bから突出する部分は、被覆層45と一体に形成され、上記第2の実施形態と同様に金属配線24を線状に被覆する被覆層25によって絶縁被覆されている。
金属配線24の個数や配線パターンは、特に限定されるものではない。本変形例では、透明導電膜2B上の金属配線24は、一例として、平行線状の配置パターンとされ、透明導電膜22Bにおける各金属配線24と対向する位置関係に配置されている。
本変形例では、上記第1変形例と同様、半導体粒子のペーストを塗布する場合に、ベタ塗りを採用することができるため、塗布工程を簡素化することができる。
また、本変形例の発電層13は、図柄Pを被覆しておらず、上記第1変形例に比べると広範囲の領域に形成されているため、発電効率をより向上することができる。
次に、本発明の第3の実施形態の色素増感太陽電池について説明する。
図6(a)は、本発明の第3の実施形態の色素増感太陽電池の構成を示す模式的な平面図である。図6(b)、(c)は、図6(a)におけるF−F断面図およびG−G断面図である。
これにより、透明基板2、金属配線4、および被覆層5は、対極部125(色素増感太陽電池用対極)を構成している。また、金属基板8、および発電層3は、光電極部126を構成している。
このため、本実施形態は、発電層3が設けられた金属基板8が第1の電極部および第1基板を構成し、透明導電膜2B、透明基板2がそれぞれ第2の電極部、第2基板を構成する場合の例になっている。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態の場合でも、被覆層5の厚さを発電層3の厚さよりも厚くしておくことにより、色素増感太陽電池31がたわんだり変形したりして、透明導電膜2Bと発電層3とが接近しても、被覆層5がスペーサの機能を有するため、透明導電膜2Bと発電層3との短絡を防止することができる。
また、色素増感太陽電池31によれば、上記第1の実施形態と同様に、透明基板2を通して、被覆層5が見えるため、被覆層5による図柄Pが色素増感太陽電池31の外部から見えるようになっている。
次に、本実施形態の変形例(第3〜第5変形例)の色素増感太陽電池について説明する。
図7(a)、(b)、(c)は、本発明の第3の実施形態の変形例(第3〜第5変形例)の色素増感太陽電池の主要部を示す模式的な断面図である。
対極触媒層32の材質としては、従来、対極触媒層として用いられる適宜の材質を採用することができる。対極触媒層32として好適な材料としては、例えば、白金、カーボン材料、導電性高分子などを挙げることができる。
対極触媒層32は、例えば、スパッタ法や蒸着法を用いて作製した白金層、塗布後乾燥すること作製されたカーボン層、塗布後乾燥により作製または電析により作製された導電性高分子層などにより、形成することができる。
本実施形態の変形例は、いずれも対極を構成する封止部6の内側の透明導電膜2B上に、対極触媒層32を設けた点が、上記第3の実施形態と異なり、第3〜第5変形例の違いは、被覆層5に対する対極触媒層32の配置のみが異なる。
以下、上記第3の実施形態と異なる点を中心に説明する。
被覆層5に覆われた透明導電膜2Bは、電解質層7と接触せず、電子の移動も起こらないため、対極触媒層32が設けられていなくても、発電効率には影響しない。
本変形例によれば、被覆層5に覆われた領域を除外することにより、対極触媒層32の材料の使用量を減らすことができるため、安価に製造することができる。
本変形例によれば、封止部6の内側の透明導電膜2Bの全体に対極触媒層32を設けるため、対極触媒層32の形成が容易となる。
このような色素増感太陽電池31Cは、透明導電膜2B上に、金属配線4、被覆層5を形成した後、これらの表面に対極触媒層32を積層させることにより製造することができる。
本変形例によれば、封止部6の内側に露出する透明導電膜2Bおよび被覆層5の全体に対極触媒層32を設けるため、対極触媒層32の形成が容易となる。
例えば、第2の実施形態において、透明基材2A(22A)および透明導電膜2B(22B)を、それぞれ光透過性を有しない基材および光透過性を有しない導電膜に代えた構成も可能である。
また、第1の電極部、または第2の電極部を電解質層側から覆う被覆層であれば、金属配線を覆わない被覆層のみで図柄を設けることもできる。
例えば、上記第3の実施形態の各変形例で説明した対極触媒層32は、上記第1の実施形態、上記第1変形例、上記第2の実施形態の対極である金属基板8、透明導電膜22B上にも同様にして設けることが可能である。
また、上記第3の実施形態において、透明基板2と金属基板8とを互いに入れ替えた構成とすることが可能である。
また、上記第2の実施形態において対極部122に代えて上記第2変形例の対極部124を用いる構成により、色素増感太陽電池の表裏から図柄Pが見える構成とすることが可能である。その際、表裏の図柄の図柄パターンや配色は、同一でもよいし、異なっていてもよい。
2 透明基板(第1基板、光透過性を有する基板、第2基板、基板)
2A、22A 透明基材
2B 透明導電膜(第1の電極部、第2の電極部、電極部)
3、13 発電層
4、4a、4b、4c、24 金属配線
5、25、45 被覆層
6 封止部
7 電解質層
8 金属基板(第2基板、第1基板、基板)
8a 電極面(第2の電極部、第1の電極部)
22 透明基板(第2基板、光透過性を有する基板、基板)
22B 透明導電膜(第2の電極部)
32 対極触媒層
120、121、123 光電極部(色素増感太陽電池用光電極)
122、124、125、125A、125B、125C 対極部(色素増感太陽電池用対極)
126 光電極部
P 図柄(図柄パターン)
Claims (8)
- 第1の電極部を有する第1基板と、
光照射により励起されて電子を放出する増感色素が担持された半導体粒子の集合体が前記第1の電極部上に積層された発電層と、
該発電層および前記第1の電極部上に積層された電解質層と、
該電解質層に接触する第2の電極部を有し、前記第1基板に対向して配置された第2基板と、
前記第1の電極部および前記第2の電極部のうち少なくとも一方の表面に設けられた金属配線と、
を備え、
前記第1基板および前記第2基板のうち少なくとも一方は、光透過性を有する基板からなり、
前記光透過性を有する基板を通して外部から見える位置において、前記第1基板および前記第2基板のうち前記金属配線が設けられた基板の表面の一部を前記電解質層側から覆うとともに、前記金属配線を前記電解質層側から覆う形状に形成された、絶縁体からなる被覆層が設けられている、色素増感太陽電池。 - 前記被覆層は、
色材を含有する樹脂材料からなる
ことを特徴とする請求項1に記載の色素増感太陽電池。 - 前記被覆層の色は、
前記発電層の色と異なる色である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の色素増感太陽電池。 - 前記被覆層は、
前記金属配線の配線パターンと異なる図柄パターンに形成されている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の色素増感太陽電池。 - 電極部を有する基板と、
光照射により励起されて電子を放出する増感色素が担持された半導体粒子の集合体が前記電極部上に積層された発電層と、
前記基板の前記電極部上に設けられた金属配線と、
前記電極部の一部と、前記金属配線とを覆う形状に形成された絶縁体からなる被覆層と
を備える色素増感太陽電池用光電極。 - 前記被覆層は、
前記金属配線の配線パターンと異なる図柄パターンに形成されている
ことを特徴とする請求項5に記載の色素増感太陽電池用光電極。 - 電極部を有する基板と、
該基板の前記電極部上に設けられた金属配線と、
前記電極部の一部と、前記金属配線とを覆う形状に形成された絶縁体からなる被覆層と
を備える色素増感太陽電池用対極。 - 前記被覆層は、
前記金属配線の配線パターンと異なる図柄パターンに形成されている
ことを特徴とする請求項7に記載の色素増感太陽電池用対極。
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