JP2009110851A - 色素増感型太陽電池の正極電極およびその製造方法 - Google Patents

色素増感型太陽電池の正極電極およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電荷移動抵抗を下げて導電性を向上させ、正極電位を高く保つことが可能な色素増感型太陽電池の正極構造およびその製造方法を提供する。
【解決手段】正極電極10は、基板11と、この基板11の一面11aに成膜された第一導電膜12と、触媒導電体層13とを備えている。第一導電膜12の一面12aには、ガラス粒子14が散在している。このガラス粒子14は、少なくとも第一導電膜12の一面12a側と触媒導電体層13との界面に沿って、島状に多数散在するように形成されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、色素増感型太陽電池を構成する正極電極、およびその製造方法に関する。
例えば、太陽光などの光エネルギーを有効に利用する手段の1つとして、光エネルギーを電気エネルギーに直接変換する太陽電池が広く用いられている。この太陽電池は、シリコンの多結晶、または単結晶を用いたシリコン型太陽電池が良く知られており、すでに住宅用の電力供給用から電卓等の微弱電力用電源として利用されている。
しかしながら、こうしたシリコン型太陽電池の製造にあたって必須となるシリコンの単結晶や多結晶、あるいはアモルファスシリコンを製造するためには、シリコン高純度化でのプロセスや高温での溶融プロセスを必要とするために多大なエネルギーを消費する。このため、シリコン型太陽電池を製造するために費やしたエネルギー量の総和が、この太陽電池の発電可能期間に発電できる総発電エネルギー量よりも大きいという危惧が出ている。
こうした、シリコン型太陽電池の課題を解決する太陽電池として、近年、色素増感型太陽電池が注目されている。色素増感型太陽電池は、スイスのミカエル・グレツェルらがその基礎となる構造を開発したもので、光電変換効率が高く、かつ、シリコン型太陽電池のように単結晶シリコンなどの製造に多大なエネルギーを消費する材料が必要ではないため、太陽電池を作製するためのエネルギーも桁違いに少なく、且つ低コストで量産が可能なものであり、その普及が期待されるものである。
このような色素増感型太陽電池は、周知のように、互いに対面した正極電極及び負極電極と、この両電極の間に充填された電解液とから概略構成されている。色素増感型太陽電池は、例えば以下の作製方法によって得られる。即ち、透明導電膜を形成した基板に下地膜を形成し、この下地膜に、例えば酸化チタンからなる多孔質層を形成し、この多孔質層に色素を吸着させる。そして、色素の吸着後に逆電子移動防止のために、カルボン酸や有機金属塩等で処理を行い、色素増感型太陽電池の負極に用いる。一方、正極は、導電膜を形成した基板、例えばガラス基板や樹脂基板に、例えばPt膜などの触媒導電体層を形成する。この触媒導電体層の形成は、例えば、導電材料の蒸着や、導電材料を含む塩を熱分解する方法、あるいは電解メッキ等で形成している。このようにして得られた正極と負極とを、例えばアイオノマー樹脂を用いて熱融着させ、最後に電解液を充填することによって色素増感型太陽電池が得られる。
ところで、こうした色素増感型太陽電池の特性、特に出力特性にばらつきを生じさせる原因の1つとして、正極電極の触媒となる触媒導電体層が、支持基板に対して十分な導電性を備えていないため、導電性が低下し、十分な出力特性が得られないという課題があった。
例えば、触媒導電体層としてPtを用いた場合に、光電変換効率を改善するためにPtの含有量を増やしても、電流量が増加すると光電変換効率は低下する傾向が見られ、必ずしも改善には繋がらなかった。また、こうしたPtは極めて高価な材料であるため、Ptの含有量を増やすことは、製造コストの大幅な増加をもたらすという課題もある。
こうした、正極電極における導電性を向上させるために、例えば、支持基板に多孔質膜を形成し、表面積を増加させた正極電極が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、こうした特許文献1に記載された正極電極では、支持基板に粉体のカーボンペーストを塗布して形成したカーボン電極であるため、表面積を増加させる効果が低く、十分な導電性を向上には繋がらない。また、例えば、支持基板として一般的に用いられるガラスや樹脂とカーボンとの密着性に難があり、電荷移動抵抗を下げ、正極電位を高く保つことができなかった。
特開2003−297446号公報
本発明は、電荷移動抵抗を下げて導電性を向上させ、正極電位を高く保つことが可能な色素増感型太陽電池の正極構造およびその製造方法を提供することを目的とする。
かかる課題を解決するため、本発明においては、支持基板と、該支持基板の一面に形成された第一導電膜と、該第一導電膜の一面に島状に多数散在させたガラス粒子と、前記第一導電膜の一面で、前記ガラス粒子を覆うように形成された触媒導電体層とを、少なくとも備えたことを特徴とする色素増感型太陽電池の正極電極が提供される。前記ガラス粒子は、導電性ガラスから構成されていれば良い。また、前記触媒導電体層と第一導電膜との間には、前記ガラス粒子を覆うように形成された第二導電膜を更に備えた構成であっても良い。
また、本発明においては、支持基板と、該支持基板の一面に島状に多数散在させたガラス粒子と、前記支持基板の一面で、前記ガラス粒子を覆うように形成された第一導電膜と、該第一導電膜に重ねて形成された触媒導電体層を備えたことを特徴とする色素増感型太陽電池の正極電極が提供される。
前記ガラス粒子は、平均粒径が0.1μm以上であることが好ましい。前記ガラス粒子を構成するガラスは、Zn濃度が10重量%以下であることが好ましい。前記ガラス粒子を構成するガラスは、軟化点が700℃以下であることが好ましい。
前記ガラス粒子は、前記支持基板の一面に対して鉛直方向に向けて、少なくとも0.2μm以上の高さで突出していることが好ましい。前記ガラス粒子と前記第一導電膜との接触面積の総和は、前記第一導電膜の一面における表面積に対して、0.1%以上、12%以下を占めることが好ましい。
また、本発明においては、支持基板の一面に第一導電膜を形成する工程と、該第一導電膜の一面にガラス粒子を島状に多数散在させる工程と、前記第一導電膜の一面に、前記ガラス粒子を覆うように、導電性ペーストを塗布して焼成し、触媒導電体層を形成する工程とを、少なくとも備えたことを特徴とする色素増感型太陽電池の正極電極の製造方法が提供される。
また、本発明においては、支持基板の一面に第一導電膜を形成する工程と、該第一導電膜の一面にガラス粒子を含む導電性ペーストを塗布して焼成し、該第一導電膜の一面にガラス粒子が島状に多数散在した触媒導電体層を形成する工程とを備えたことを特徴とする色素増感型太陽電池の正極電極の製造方法が提供される。
また、本発明においては、支持基板の一面にガラス粒子を島状に多数散在させる工程と、前記支持基板の一面に、前記ガラス粒子を覆うように、第一導電膜を形成する工程とを、少なくとも備えたことを特徴とする色素増感型太陽電池の正極電極の製造方法が提供される。
本発明の色素増感型太陽電池の正極電極によれば、第一導電膜ないし支持基板から突出した多数のガラス粒子の外面に沿って成膜された触媒導電体層は、従来のような平坦な導電膜の一面に形成される場合と比較して、表面積が大幅に増加する。これにより、電荷移動抵抗を下げて導電性を向上させ、正極電位を高く保つことが可能になり、長期間にわたって安定した出力特性を維持した発電が可能になる。
また、本発明の色素増感型太陽電池の正極電極の製造方法によれば、触媒導電体層と透明電極膜、または支持基板と第一導電膜との間に、ガラス粒子を島状に多数散在させ、触媒導電体層の表面積を大幅に増加させることで、導電性を改善し、光電変換効率を向上させた色素増感型太陽電池の正極電極を得ることができる。
こうしたガラス粒子の形成にあたって、ガラス粒子を含むペーストを塗布したり、ガラス粒子をスプレー法、グラビア印刷法、ブレード法、転写法等によって散在させるだけでよいので、例えば、スパッタリング装置や反応蒸着、CVDといった精密な成膜プロセスが必要ない。よって、導電性を向上させた正極電極を、簡易な工程でローコストに製造することが可能になる。
以下、本発明に係る色素増感型太陽電池の正極電極の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
(正極電極1)
図1は、本発明の色素増感型太陽電池の正極電極の一例を示す要部拡大断面図である。本発明の正極電極10は、支持基板(以下、基板と称する)11と、この基板11の一面11aに成膜された第一導電膜12と、触媒導電体層13とを備えている。そして、第一導電膜12の一面12aには、ガラス粒子14が散在している。以下、これら正極電極10を構成する各部を説明する。
[基板]
基板11は、例えばガラス基板が好適である。ガラス基板の材質としては、例えば、ソーダライムガラス系の材料よりなり、Si,Ca,Na,K,Mg,Alの酸化物を主成分に含んだものより構成される。より具体的には、ソーダガラスとしては、SiOを70〜73%前後含有し、Na,Kの酸化物が10〜15%程度、CaOが7〜12%程度含有されていればよい。こうしたガラス基板は、軟化温度が720〜730℃、線膨張率として85〜90×10−7/℃前後のものである
また、基板11として、樹脂基板や金属基板なども用いることができる。樹脂基板としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリウレタン、不飽和ポリエステル樹脂等からなる基板が挙げられる。
また、金属基板としては、例えば、Ni,Al,Fe,Cu等の金属基板や耐食性の高いSUS304,SUS316,SUS410,SUS430のFe合金系またはC5111,C5210 等の燐青銅等が挙げられる。
[第一導電膜]
第一導電膜12は、例えば、ITO、FTOなどからなるシート抵抗が1〜100Ω程度、好ましくは30Ω以下の厚さ100nm以上の導電体が例示ざれる。これにより、基板11の一面11a側が導電性を有する基板11が形成される。なお、こうしたITO、FTOなどからなる導電体では、光透過性の(透明な)導電膜が形成されるが、第一導電膜12は特に透明である必要はなく、不透明な導電体、例えば金属膜等から形成されていても良い。
[触媒導電体層]
触媒導電体層13は、第一導電膜12に重ねて導電材料を成膜することによって、正極電極の導電性を高めるものであり、例えば、Pt,Pd,カーボンのうち、少なくともいずれか1種を含む材料によって形成されていれば良い。触媒導電体層13の厚みは、例えば、0.001〜0.2μm程度になるように形成されていれば良い。
[ガラス粒子]
ガラス粒子14は、少なくとも第一導電膜12の一面12a側と触媒導電体層13との界面に沿って、島状に多数散在するように形成されている。加えて、ガラス粒子14は、触媒導電体層13の中に散在するように形成されていても良い。
このような、第一導電膜12の一面12aに島状に多数散在するように形成されたガラス粒子14は、第一導電膜12から触媒導電体層13が剥離することを防止するとともに、正極電極10の導電性を大幅に改善する。即ち、従来のように、ITOなどの第一導電膜と、Ptなどの触媒導電体層とが平滑な面どうしで接している構造では、第一導電膜から触媒導電体層が剥離して、導通不良を生じさせやすい。
ところが、本発明のように、第一導電膜12の一面12aにガラス粒子14を島状に多数散在させることで、底面が第一導電膜12に結合したガラス粒子14が、第一導電膜12の一面12aから多数突出した状態となる。そして、こうしたガラス粒子14の外面に沿って触媒導電体層13が成膜されるため、触媒導電体層13の接触面積を実質的に増加させる。これによって、正極電極10の導電性を向上させることが可能になり、長期間にわたって安定した出力特性を維持した発電が可能になる。
ガラス粒子14を構成する材料としては、低融点ガラスが好ましい。低融点ガラスとしては、例えば、軟化点が700℃以下、平均粒径が0.5μm以上の粒子状ガラスが好ましい。こうした、低融点の粒子状ガラスの一部分が第一導電膜12と融着し、他の部分が触媒導電体層13に密着することにより、触媒導電体層13と第一導電膜12との結合性を高める役割を果たす。
このようなガラス粒子14が第一導電膜を形成した基板上に接触している面積が多いと、抵抗が増大してしまい、逆に接触面積が少なすぎると、剥離を防止する作用が低下する。従って、ガラス粒子14と第一導電膜12との接触面積の総和は、第一導電膜12の一面12aにおける表面積に対して、24%以下、好ましくは0.1%以上、12%以下を占めることが好ましい。
また、ガラス粒子14は、上述した観点から、導電性を備えたガラス(導電性ガラス)を用いることが好ましい。導電性ガラス粒子14における導電性の付与の仕方としては絶縁性のガラスに導電性材料を付与する方法と、ガラス粒子に導電性を持たせるために導電性フィラーを添加したり、ホッピング伝導を起こす多価の金属元素を添加する方法がある。ガラス粒子14として用いる導電性ガラスは、例えば、導電率が10−6〜10Scm−1の範囲であればよいが、なるべく導電率が高い方が望ましい。
一方、ガラス粒子14として導電性ガラスを用いない場合には、ガラス粒子14に重ねて更に、第二導電膜を形成し、この第二導電膜の上に触媒導電体層13を形成するのが好ましい。第二導電膜は、第一導電膜12と同じ材質、例えば、ITO、FTOなどからなるシート抵抗が1〜100Ω程度、好ましくは30Ω以下の厚さ100nm以上の導電体、あるいは、不透明な導電体、例えば金属膜等から形成されていれば良い。
ガラス粒子14の線膨張率は、接着するガラス製の基板11との差の絶対値が20×10−7/℃以下であることが、剥離の抑制において望ましい。使用するガラス成分としては、例えばSiO−Bi−MO系、またはB−Bi−MO系、SiO−CaO−Na(K)O−MO系、P−MgO−MO系(但し、Mは一種以上の金属元素を示す)などがあり、基本的にはSiO骨格、B骨格、P骨格に、融点の制御及び化学的な安定性のために他の金属酸化物が含有されたものである。
各ガラス系の主成分であるB、P、Bi、SiOに加えられるアルカリ金属等は、融点を下げるものである。熱膨張率の制御には、例えば酸化物フィラーとしてアルミナ,チタニア,ジルコン,シリカ,コーディエライト,ムライト,β−ユークリプタイト,スポジューメン,アノーサイト,セルシアン,フォルステライト及びチタン酸アルミニウムなどが挙げられる。本発明が対象とする基板を構成するガラスとしては、例えばソーダライムガラス、石英ガラスやホウ酸ガラス、鉛ガラス等が挙げられ、特にガラスの種類や組成に限定されるものではない。
ガラス粒子14を構成する低融点ガラスの成分として、Znの含有量が多いと電解液に溶出し、色素増感型太陽電池の特性を低下させるため、Znの濃度は10重量%以下にすることが望ましい。
触媒導電体層13と第一導電膜12との間に、ガラス粒子14を島状に多数散在させるために用いる低融点ガラスのペーストとしては、ガラス粉の粒径は100μm以下が好ましい。特に、粒径が大きいとボイドを生じやすいため、望ましくは10μm以下が良い。ペーストの副成分である樹脂や溶媒は、例えば、500〜600℃程度までに完全に燃焼され、残物が残らないようなものがよく、例えば通常のポリビニルアルコールやポリエチレングリコール、エチルセルロース(EC)、アクリル樹脂等が挙げられる。ペーストの粘度としては、測定条件20℃、20rpmで1〜100Pa・sであればよい。
(色素増感型太陽電池)
上述したような構成の本発明の正極電極を用いた、色素増感型太陽電池の一例を以下に説明する。図3に示すように、色素増感型太陽電池29は、上述したような正極電極10、即ち、第一導電膜12と触媒導電体層13との界面に沿って、ガラス粒子を島状に多数散在させた正極電極10を用いている。また、この正極電極10に対向して負極電極20を配し、この負極電極10と正極電極20との間に電解液26を満たし、色素増感型太陽電池29が形成される。なお、ガラス粒子に導電性ガラスを用いない場合には、ガラス粒子を覆うように第二導電膜を形成した後、さらに触媒導電体層13を重ねて形成するのが好ましい。
負極電極20は、ガラスなどの基板21に透明導電膜22を形成し、更にこの透明導電膜22の上に多孔質層23を重ねた構造を成す。そして、この多孔質層23に色素を吸着させる。
負極電極20の多孔質層23に吸着させる色素としては、例えばルテニウムビピリジン系色素、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポリフィリン系色素、フタロシアニン系色素、ベリレン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色素などが挙げられる。
色素の吸着方法としては、例えば、負極電極20を色素が溶解された溶液(色素吸着用溶液)に浸漬する方法が挙げられる。色素を溶解させる溶剤としては、色素を溶解するものであればよく、具体的には、エタノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトニトリルなどの窒素化合物類、クロロホルムなどのハロゲン化脂肪族炭化水素、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチルなどのエステル類が挙げられる。これらの溶剤は2種類以上を混合して用いることもできる。
溶液中の色素濃度は、使用する色素および溶剤の種類により適宜調整することができるが、吸着機能を向上させるためにはできるだけ高濃度である方が好ましいが、高濃度であると多孔質層の表面に過剰に吸着した層が形成されるので、低濃度が好ましく3×10−4モル/リットル以上であればよい。
電解液26を構成する酸化還元対としては、I3−/I系の電解質、Br3−/Br系の電解質などのレドックス電解質等が挙げられるが、酸化還元対を構成する酸化体がI3−であり、かつ、前記酸化還元対を構成する還元体がIであるI3−/I系の電解質が好ましく、LiI、NaI、KI、CsI、CaIなどの金属ヨウ化物、およびテトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドなど4級アンモニウム化合物のヨウ素塩などのヨウ化物と、Iとの組み合わせが挙げられる。このような電解液26において、特にヨウ素系レドックス溶液からなる電解質が用いられる場合には、正極電極10の触媒導電体層13は白金又は導電性炭素材料からなること、及び触媒粒子が白金又は導電性炭素材料からなることが好ましい。
電解液26を構成する溶剤としては、例えば、
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物,3−メチル−2−オキサゾリジノンなどの複素環化合物,
ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル化合物,
エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルなどのエーテル類,
メタノール、エタノールなどのアルコール類,
エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類,
アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル化合物,
ジメチルスルフォキシド、スルフォランなど非プロトン極性物質
などが好ましく挙げられる。
電解液26の濃度は、電解質や溶剤の種類などにより適宜設定すればよく、例えば、0.01〜1.5モル/リットル、好ましくは0.01〜0.7モル/リットルである。具体的な電解液の一例としては、リチウムアイオダイド0.06モル/リットル、ヨウ素0.06モル/リットル、ターシャルブチルピリジン0.3モル/リットルの濃度となるようにそれぞれをアセトニトリルに溶解させたものが挙げられる。
色素増感型太陽電池29の形成方法としては、正極電極10と、負極電極20とを対面させ、アイオノマー等の有機材料を用いてこれら正極電極10と負極電極20とを熱融着させて封止固定し、更に外周部をガスバリヤー性のある材料で封止する方法などが挙げられる。
以上のように、本発明の正極電極10を用いた色素増感型太陽電池29によれば、触媒導電体層13と、第一導電膜12との間に、ガラス粒子を島状に多数散在させ、触媒導電体層13の表面積を増加させることによって、高い光電変換効率の高性能な色素増感型太陽電池を実現することが可能になる。
(正極電極2)
図3は、本発明の色素増感型太陽電池の正極電極の別な一例を示す要部拡大断面図である。この実施形態の正極電極30では、支持基板(以下、基板と称する)31と、この基板31の一面31aに島状に多数散在させたガラス粒子34とを備えている。そして、このガラス粒子34を覆うように第一導電膜32が成膜されている。また、この第一導電膜32に重ねて、Ptなどからなる触媒導電体層33が形成されるのが好ましい。
こうした図3に示す正極電極30では、ガラス粒子34を覆うように第一導電膜32が成膜されるため、導電性を一層良好に保つことが可能となる。なお、ガラス粒子34は、基板31の一面31aにガラス粒子を散布して形成する方法や、基板をガラスとして表面を粗面としてガラス粒子34を形成する方法であってもよい。
(正極電極の製造方法1)
図4は、色素増感型太陽電池の正極電極の製造方法を段階的に示した断面図である。本発明の正極電極の製造にあたっては、まず、図4(a)に示すように、基板(支持基板)41を用意する。基板41は、ガラス基板、例えば、ソーダライムガラス系の材料よりなり、Si,Ca,Na,K,Mg,Alの酸化物を主成分に含んだものより構成される。より具体的には、ソーダガラスとしては、SiOを70〜73%前後含有し、Na,Kの酸化物が10〜15%程度、CaOが7〜12%程度含有されていればよい。こうしたガラス基板は、軟化温度が720〜730℃、線膨張率として85〜90×10−7/℃前後のものである
次に、図4(b)に示すように、このような基板41の一面41aに第一導電膜42を成膜する。第一導電膜42は、例えば、ITO、FTOなどからなるシート抵抗が1〜100Ω程度、好ましくは30Ω以下の厚さ100nm以上の導電体であればよい。また、不透明な導電体、例えば金属膜等から形成されていても良い。
そして、図4(c)に示すように、第一導電膜42の一面42aに低融点ガラスからなるガラス粒子を含むペーストを塗布して乾燥させるか、または低融点ガラスからなるガラス粒子(ガラス粉)をスプレー法、グラビア印刷法、ブレード法、転写法等により第一導電膜42の一面42a上に定着させる。これにより、図5に示すように、第一導電膜42の一面42aには、ガラス粒子43が島状に多数散在して定着された状態となる。
その後、図4(d)に示すように、ガラス粒子43が島状に多数散在した第一導電膜42を覆うように、触媒導電体層44を形成する。触媒導電体層44は、例えば、Pt,Pd,カーボンなどを含む導電材料から形成されれば良い。
以上のような工程によって、触媒導電体層44と透明電極膜42との間に、ガラス粒子43を島状に多数散在させ、触媒導電体層44の表面積を増加させて導電性を高めた色素増感型太陽電池の正極電極40を得ることができる。
なお、ガラス粒子に導電性ガラスを用いない場合には、ガラス粒子を覆うように第二導電膜を形成した後、さらに触媒導電体層13を重ねて形成するのが好ましい。なお、ガラス粒子に導電性ガラスを用いない場合には、ガラス粒子を覆うように第二導電膜を形成した後、さらに触媒導電体層13を重ねて形成するのが好ましい。
そして、上述したような本発明の正極電極の製造方法によれば、ガラス粒子43の形成にあたって、ガラス粒子を含むペーストを塗布したり、ガラス粒子をスプレー法、グラビア印刷法、ブレード法、転写法等によって散在させるだけでよいので、例えば、スパッタリング装置や反応蒸着、CVDといった精密な成膜プロセスが必要ない。よって、基板から触媒導電体層が剥離することを防止するとともに導電性を向上させた正極電極を、簡易な工程でローコストに製造することが可能になる。
(正極電極の製造方法2)
図6は、正極電極の製造方法の別な一例を段階的に示した断面図である。本発明の正極電極の製造にあたっては、まず、図6(a)に示すように、基板51を用意する。基板51は、ガラス基板、例えば、ソーダライムガラス系の材料よりなり、軟化温度が720〜730℃、線膨張率として85〜90×10−7/℃前後のものである
次に、図6(b)に示すように、このような基板51の一面51aに低融点ガラスからなるガラス粒子を含むペーストを塗布して乾燥させるか、または低融点ガラスからなるガラス粒子(ガラス粉)をスプレー法、グラビア印刷法、ブレード法、転写法等により基板51の一面51a上に定着させ、ガラス粒子53を形成する。
そして、図4(c)に示すように、ガラス粒子53が島状に多数散在した基板51を覆うように、第一導電膜52を形成する。第一導電膜52は、例えば、ITO、FTOなどからなるシート抵抗が1〜100Ω程度、好ましくは30Ω以下の厚さ100nm以上の透明な導電体であればよい。
更に、例えば、図6(d)に示すように、第一導電膜52に重ねて、Pt,Pd,カーボンなどを含む導電材料からなる触媒導電体層54を形成するのが好ましい。
上述した製造方法以外にも、例えば、Pt,Pd,カーボンなどを含む導電材料からなる触媒導電体層の形成時に、こうした導電材料とガラス粒子とを含むペーストを透明電極膜に塗布し、透明電極膜の上にガラス粒子が散在した触媒導電体層からなる正極電極を形成してもよい。
以下、本発明の正極電極およびこれを用いた色素増感型太陽電池の効果を検証した実施例を列記する。
「実施例1」
図1に示したような、第一導電膜の一面にガラス粒子を島状に多数散在させた正極電極を用いた色素増感型太陽電池について検討した。基板であるガラス板はセントラル硝子製の建材ガラス(ソーダライムガラス:厚み3mm,幅5cm,長さ10cm)を用いた。この基板の熱膨張率は89×10−7/℃であった。この上にITOからなる第一導電膜を形成した(シート抵抗値が7Ω)。この上に低融点ガラス粉(ガラス粒子)を表面に隙間ができるように塗布し、窒素雰囲気中にて580℃,30分の処理を行った。用いた低融点ガラスは、平均粒径7μmのB−Bi−SnO系低融点ガラスである。軟化点は565℃であり、また比抵抗は10Ωcm以上であった。このガラス粒子を覆うように、スパッタリング法によってPtを厚さ150nmになるように形成し、触媒導電体層とした。
負極電極としては、透明導電膜が形成された支持基板に境化学製の酸化チタン粉をペースト化したものを用いて全面に塗布し、120℃で乾燥後、500℃にて焼成して厚み30ミクロンの酸化チタン膜からなる多孔質層を形成した。こうして作成した正極電極と負極電極とを用いて本発明例1の色素増感型太陽電池を作製した。また、正極電極としてガラス粒子を用いずに、平坦な第一導電膜の上に直接に触媒導電体層を形成した、平坦な触媒導電体層をもつ従来の比較例1の色素増感型太陽電池を作製した。
上述した本発明例1、および比較例1の色素増感型太陽電池の電池特性を検証した。電池特性評価試験は、ソーラーシミュレータ(山下電装製、商品名;「YSS−100A型」)を用い、AMフィルター(AM1.5)を通したキセノンランプ光源からの疑似太陽光の照射条件を、100mW/cmとする(いわゆる「1Sun」の照射条件)測定条件の下で行った。こうした光電変換効率の測定結果を表1に示す。
Figure 2009110851
表1に示す結果から、本発明による正極電極を用いて作成した色素増感型太陽電池は、従来の正極電極を用いて作成した色素増感型太陽電池と比較して、光電変換効率が向上することが確認された。
「実施例2」
次に、図1に示す構造の正極電極において、ガラス粒子の量を段階的に変えて作成した正極電極を用いた、試料1〜7の色素増感型太陽電池の電池特性を検証した。色素増感型太陽電池を作製にあたっては、負極電極は取り出し電極のために、周囲は幅1cmで集電体の銀電極のみとした。正極電極は負極電極と同じサイズのガラス基板にITO膜を形成し、スパッタリング法によりPtを300nm成膜し、ドリルにより1mmΦの径の穴を角の位置の2箇所に形成した。この後、正極電極に、負極電極と同様に集電体を銀で形成した。
次に、負極電極の多孔質層に対して、ルテニウム錯体系の色素ルテニウム535(SOLARONIX 製品名: ルテニウム535)を濃度5×10-4モル/リットルにした溶液に浸漬して8時間保持した。次に無水エタノールに浸漬して過剰の色素を取り除き、100℃にて乾燥した。そして、正極電極、負極電極を対面させ、周縁部に厚み60μmのアイオノマー樹脂を幅3mmで付着させ、100gf/cmの荷重を掛けた状態において、120℃にて正極電極と負極電極とを熱融着させた。
こうした作製したセルにLiIとI2とを溶かしたアセトニトリル電解液を、注入口より入れて、セル全体に均一になるように注入した。こうして作成した色素増感型太陽電池の試料1〜7を用いて、光電変換特性を調べた。
電池特性評価試験は、ソーラーシミュレータ(山下電装製、商品名;「YSS−100A型」)を用い、AMフィルター(AM1.5)を通したキセノンランプ光源からの疑似太陽光の照射条件を、100mW/cmとする(いわゆる「1Sun」の照射条件)測定条件の下で行った。こうした光電変換効率の測定結果を表2に示す。なお、表2における融着面積率がガラス粒子の基板に対する存在割合を示しており、数値が増加するほどガラス粒子の量が増えることを示している。
Figure 2009110851
表2に示す結果から、正極電極における融着面積率が12%付近までは光電変換効率が向上するが、これ以上、例えば28.6%では逆に低下し始めることが確認された。光電変換効率の観点から見た場合、融着面積率は0.57%〜12%程度が好ましいことが確認された。
「実施例3」
実施例3では、ガラス粒子に用いる低融点ガラスとして、B−Bi−SnO系ガラスに酸化亜鉛を添加したZnO−B−Bi−SnO系ガラスを用い、この酸化亜鉛の添加量を段階的に変化させて軟化点を700℃以下に制御したガラス粒子を用いて正極電極を作成した。そしてこの正極電極を用いて試料8〜12の色素増感型太陽電池を作成し、光電変換特性を調べた。
光電変換特性の評価にあたっては、2000時間経過後の光電変換効率を測定して評価を行った。電池特性評価試験は、キセノンランプ光源からの疑似太陽光の照射条件を、100mW/cmとする(いわゆる「1Sun」の照射条件)測定条件の下で行った。こうした光電変換効率の耐久性の測定結果を表3に示す。
Figure 2009110851
表3に示す結果から、正極電極のガラス粒子に含有させる酸化亜鉛は、最大でも5.8%以下、好ましくは3.2%以下であることが分かった。
「実施例4」
実施例4では、ガラス粒子に用いる低融点ガラスに1mol/Lの塩化白金酸に浸漬濾過したものを用いて正極電極を作成した。また、ガラス粒子に用いない従来の正極電極を作成した。これら本発明の正極電極と従来の正極電極を用いて、本発明例2、および従来例2の色素増感型太陽電池をそれぞれ作成し、光電変換特性を調べた。こうした光電変換効率の測定結果を表4に示す。
Figure 2009110851
表4に示す結果から、透明電極膜を形成した支持基板に塩化白金酸によって処理し、Ptを付着させたガラス粒子を用い、さらにその上にPtを成膜した、本発明の正極電極を用いた色素増感型太陽電池ものは、ガラス粒子を用いない従来の正極電極を用いた色素増感型太陽電池よりも光電変換効率が優れていることが確認された。
「実施例5」
実施例5では、ガラス粒子の融着方法を変えて、ガラス粒子による効果を調べた。実施例5における正極電極は、基板であるガラス板はセントラル硝子製の建材ガラス(ソーダライムガラス:厚み3mm,幅5cm,長さ10cm)を用いた。この基板の熱膨張率は89×10−7/℃であった。この上にB−Bi−SnO系低融点ガラスからなるガラス粒子を塗布し、熱処理によって基板に融着させた。ガラス粒子の平均粒径は4.5μm、軟化点は700℃以下である。ガラス粒子は1cmあたり0.1mg程度塗布した。このガラス粒子を覆うようにITOからなる第一導電膜を形成した(シート抵抗値が9Ω)。更に、第一導電膜の上に厚み100nmのPt膜をスパッタリング法によって成膜し、本発明の正極電極とした。また、ガラス粒子を用いないものを従来の正極電極とした。
負極電極は、ガラス基板にITOからなる透明導電膜を形成した(シート抵抗値が9Ω)。このガラス基板に酸化チタン粉(Degussa社製 製品名:p25)をペースト化したものを用いて全面に塗布し120℃で乾燥後、500℃にて焼成して厚み30ミクロンの酸化チタン膜を形成した。更にチタンのアルコキシドのアルコール希釈液に浸漬してから乾燥させ、500℃にて焼成し負極電極を得た。そして、本発明と従来の正極電極を、それぞれ負極電極を対面させ、周縁部に厚み60μmのアイオノマー樹脂を幅3mmで付着させ、100gf/cmの荷重を掛けた状態において、120℃にて正極電極と負極電極とを熱融着させた。
こうした作製したセルにLiIとI2とを溶かしたアセトニトリル電解液を、注入口より入れて、セル全体に均一になるように注入した。こうして作成した本発明例3と比較例3の色素増感型太陽電池を用いて、光電変換特性を調べた。こうした光電変換効率の測定結果を表5に示す。
Figure 2009110851
表5に示す結果から、ガラス粒子を支持基板に形成して熱処理によって融着させた後、第一導電膜を成膜した本発明の正極電極を用いた色素増感型太陽電池は、ガラス粒子を用いない従来の正極電極を用いた色素増感型太陽電池よりも光電変換効率が向上することが確認された。
「実施例6」
実施例6では、ガラス粒子を用いた本発明の正極電極と、ガラス粒子を用いない従来の正極電極において、それぞれPtからなる導電膜の厚みを50〜300nmまで段階的に変えたものを用いて作成した、本発明例4〜8と比較例4〜8の色素増感型太陽電池について、光電変換特性を調べた。こうした光電変換効率の測定結果を表6に示す。
Figure 2009110851
表6に示す結果から、ガラス粒子を用いた本発明の正極電極では、Ptからなる触媒導電体層を薄くしても、十分な光電変換効率を確保できることが確認できた。これにより、高価なPtの使用量を低減して、ローコストで、かつ十分な光電変換効率の色素増感型太陽電池を得ることができる。
「実施例7」
実施例7では、ガラス粒子の平均粒径を1〜30μmの範囲で段階的に変化させた正極電極を用いて作成した、試料13〜19の色素増感型太陽電池について、光電変換特性を調べた。こうした光電変換効率の測定結果を表7に示す。
Figure 2009110851
表7に示す結果から、支持基板にガラス粒子を熱融着させ、更にPtからなる触媒導電体層を形成した正極電極においては、ガラス粒子として粒径の小さいものを用いたほうが光電変換効率が向上することが確認できた。
本発明の色素増感型太陽電池の正極電極の一例を示す断面図である。 色素増感型太陽電池の一例を示す断面図である。 本発明の色素増感型太陽電池の正極電極の別な一例を示す断面図である。 本発明の正極電極の製造方法の一例を示した断面図である。 第一導電膜上のガラス粒子の様子を示す模式図である。 本発明の正極電極の製造方法の別な一例を示した断面図である。
符号の説明
10 正極電極、11 基板(支持基板)、12 第一導電膜、13 触媒導電体層、14 ガラス粒子(低融点ガラス粉)、29 色素増感型太陽電池。


Claims (12)

  1. 支持基板と、該支持基板の一面に形成された第一導電膜と、該第一導電膜の一面に島状に多数散在させたガラス粒子と、前記第一導電膜の一面で、前記ガラス粒子を覆うように形成された触媒導電体層とを、少なくとも備えたことを特徴とする色素増感型太陽電池の正極電極。
  2. 前記ガラス粒子は、導電性ガラスからなることを特徴とする請求項1記載の色素増感型太陽電池の正極電極。
  3. 前記触媒導電体層と第一導電膜との間には、前記ガラス粒子を覆うように形成された第二導電膜を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の色素増感型太陽電池の正極電極。
  4. 支持基板と、該支持基板の一面に島状に多数散在させたガラス粒子と、前記支持基板の一面で、前記ガラス粒子を覆うように形成された第一導電膜と、該第一導電膜に重ねて形成された触媒導電体層とを備えたことを特徴とする色素増感型太陽電池の正極電極。
  5. 前記ガラス粒子は、平均粒径が0.1μm以上であることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の色素増感型太陽電池の正極電極。
  6. 前記ガラス粒子を構成するガラスは、Zn濃度が10重量%以下であることを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項記載の色素増感型太陽電池の正極電極。
  7. 前記ガラス粒子を構成するガラスは、軟化点が700℃以下であることを特徴とする請求項1ないし6いずれか1項記載の色素増感型太陽電池の正極電極。
  8. 前記ガラス粒子は、前記支持基板の一面に対して鉛直方向に向けて、少なくとも0.2μm以上の高さで突出していることを特徴とする請求項1ないし7いずれか1項記載の色素増感型太陽電池の正極電極。
  9. 前記ガラス粒子と前記第一導電膜との接触面積の総和は、前記第一導電膜の一面における表面積に対して、0.1%以上、12%以下を占めることを特徴とする請求項1記載の色素増感型太陽電池の正極電極。
  10. 支持基板の一面に第一導電膜を形成する工程と、該第一導電膜の一面にガラス粒子を島状に多数散在させる工程と、前記第一導電膜の一面に、前記ガラス粒子を覆うように、導電性ペーストを塗布して焼成し、触媒導電体層を形成する工程とを、少なくとも備えたことを特徴とする色素増感型太陽電池の正極電極の製造方法。
  11. 支持基板の一面に第一導電膜を形成する工程と、該第一導電膜の一面にガラス粒子を含む導電性ペーストを塗布して焼成し、該第一導電膜の一面にガラス粒子が島状に多数散在した触媒導電体層を形成する工程とを備えたことを特徴とする色素増感型太陽電池の正極電極の製造方法。
  12. 支持基板の一面にガラス粒子を島状に多数散在させる工程と、前記支持基板の一面に、前記ガラス粒子を覆うように、第一導電膜を形成する工程とを、少なくとも備えたことを特徴とする色素増感型太陽電池の正極電極の製造方法。
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