JP2008177009A - 鉛蓄電池格子用圧延シート、鉛蓄電池用格子及び鉛蓄電池 - Google Patents

鉛蓄電池格子用圧延シート、鉛蓄電池用格子及び鉛蓄電池 Download PDF

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Abstract

【課題】鉛合金の圧延シートをエキスパンド加工して、鉛蓄電池用の格子を製造する際、ストランドの捩れによって、ストランドが2層に剥離し、ストランドが断線するという課題があった。また、このような格子を正極に用いた場合、格子腐食が進行しやすく、鉛蓄電池の寿命性能が低下していた。
【解決手段】スラブ内部には、スラブの両面から中心方向に向かって結晶が成長するが、両面から成長していた結晶が衝突する位置(境界部)をスラブ厚みの中心から偏った位置に設ける。このようなスラブから得られた圧延シートは、エキスパンド加工時のストランド断線が顕著に抑制され、またこのエキスパンド格子を正極に用いることにより、良好な寿命特性を有した鉛蓄電池を提供できる。
【選択図】図5

Description

本発明は、鉛蓄電池の格子の素材となる圧延シート、鉛蓄電池用格子及び鉛蓄電池に関するものである。
鉛蓄電池に用いる集電用の格子としては、始動用鉛蓄電池を中心として、エキスパンド格子が広く用いられるようになってきている。エキスパンド格子は、鉛合金からなる鉛シートに、ダイスカッターの上下運動によって鉛シートに両端部から順に各升目を形成するレシプロ方式(特許文献1参照)や、円板状のカッタの回転によってシートに千鳥状のスリットを形成し、鉛シートを両側から展開してスリットを升目状に展開するロータリー方式等のエキスパンド加工によって形成される(特許文献2参照)。
そのエキスパンド格子の素材となる鉛シートは、エキスパンド加工に必要な展伸性が求められる。このような観点で、一般的には、素材となる鉛もしくは鉛合金を鋳造して得た長尺シート状のスラブを圧延した、いわゆる圧延シートを用いる。
このような、圧延シートに用いる鉛合金としては、鉛中にカルシウムやスズを適量添加したものが用いられ、また、圧延シートを所定の温度条件下で時効硬化させて、圧延シートの引張強度をエキスパンド加工に適した50〜80MPa程度とすることが知られている。
圧延シートの前段階である長尺状のスラブは、図1に示したように、溝部2を設けた鋳造ホイール1の外周にスチールベルト3を当接し、この溝部2に溶融鉛4を流し込み、鋳造ホイール1を、図1に示した矢印(A)方向に回転させることによって、スラブ5を連続的に鋳造する(特許文献3参照)。
溝部2に流し込まれた溶融鉛4は、鋳造ホイール1及びスチールベルト3と接触しており、これらによって冷却され、凝固してスラブ5となる。鋳造ホイール1からスラブ5が排出される間に、溶融鉛4の凝固が完了するよう、鋳造ホイール1及びスチールベルト3に冷却水6を供給して溶融鉛を冷却することが一般的である。なお、図1においては、鋳造ホイール1側の冷却水は、鋳造ホイール1内の冷却水路(図示せず)内を流れている例を示しているため、図1にあらわれない。
特開2003−338287号公報 特開平3−204126号公報 特開平5−13084号公報
鋳造ホイール1及びスチールベルト3に冷却水6を供給することにより、溶融鉛4は、鋳造ホイール1及びスチールベルト3に接した両面から徐々に凝固し、最終的にスラブ5の中心部が凝固する。
溶融鉛4が凝固する過程で、鋳造ホイール1側及びスチールベルト3側から、結晶が生成し、最後にスラブの中心が凝固する。したがって、凝固が完了したスラブ5の厚み方向の断面を観察した場合、図2に示したように、スラブ5の一方の表面5aからスラブ5の厚み方向中心部に向かって結晶7aが成長した第1の領域7と、スラブ5の一方の表面5bからスラブ5の厚み方向中心部に向かって結晶8aが成長した第2の領域8が認められる。
この第1の領域7と第2の領域8との間には、境界部9が生じる。従来のスラブでは、この境界部9は、厚み方向の中心部に生じていた。
しかしながら、図2に示したように、境界部9が、スラブ5の厚み方向の中央にある場合、このスラブ5を、図3に示すように、圧延ローラ対26を通過させることによって圧延して圧延シート10を作成すると、圧延シート10の状態においても、境界部9が圧延シート10の中央部に残存した状態となる場合があった。このような圧延シート10にエキスパンド加工を施した場合、図4に示したエキスパンド格子11のストランド12が、境界部9で剥離して2層に分離し、ストランド12が切断(以下、ストランド切れという。)して、エキスパンド加工不良が頻発するという課題があった。
また、ストランド切れが発生したエキスパンド格子は、格子の集電特性が低下するため、鉛蓄電池の電圧特性が低下させる。また、エキスパンド展開幅寸法のばらつきも拡大するため、極板寸法精度が低下するという問題もあった。また、このような、ストランド切れが発生したエキスパンド格子を特に正極に用いた鉛蓄電池は、寿命特性が劣ることにより短寿命になるなどの課題があった。
また、このような現象は、レシプロ方式及びロータリー方式の両方のエキスパンド加工時に発生するが、特に、ロータリー方式のエキスパンド加工時において発生頻度が高かった。このようなエキスパンド加工方式によるストランド切れの発生頻度の差は、ロータリー方式は、レシプロ方式に比較して、ストランド12の捩れが大きいことに関連していると考えられる。特に、ロータリー方式では、ストランド12の展開時にストランド12を軸として周囲が回転するよう捩れるため、境界部9が捩れの軸に近接していると、この境界部9で剥離が進行しやすくなることを、本発明の発明者らは見出した。
本発明は、鉛蓄電池格子用圧延シートにおいて、前記したようなストランド切れの発生が抑制するものであり、寿命特性に優れる鉛蓄電池を提供するものである。
前記した課題を解決するために、本発明は、鉛もしくは鉛合金の溶湯を凝固させてなる長尺シート状のスラブを、少なくとも一対の圧延ローラ対間を通過させて圧延して得た鉛蓄電池格子用圧延シートにおいて、前記スラブの一方の表面から前記スラブの厚み方向の中心に向かって配向して結晶が成長した第1の領域と、前記スラブの他の一方の表面から前記スラブの厚み方向の中心に向かって配向して結晶が成長した第2の領域とを有し、前記第1の領域と前記第2の領域との境界部を前記スラブの厚み方向の中心より偏芯した位置とした鉛蓄電池格子用圧延シートを示すものである。
また、境界部の偏芯の程度として、前記スラブの厚みをTとしたとき、前記境界部を前記スラブの一方の表面から0.60T〜0.8Tの位置とすることが好ましい。
そして、本発明の鉛蓄電池格子用圧延シートをエキスパンド加工して得た格子を用いることによって、ストランド切れが抑制された、エキスパンド格子を得ることができる。ストランド切れが抑制されることにより、このエキスパンド格子を用いた極板の寸法精度が向上する。また、エキスパンド格子の集電性が損なわれることがない。また、耐食性に優れているため、特にこのエキスパンド格子を正極に用いることにより、寿命特性に優れた、鉛蓄電池を得ることができる。
前記した本発明の構成によれば、圧延シート中に境界部が残存した場合においても、境界部が中心にないため、エキスパンド加工時にストランドを形成する際に生じる捩れの力に対して強くなり、ストランドの剥離やこれによる切断が抑制されたエキスパンド格子を得ることができる。また、このエキスパンド格子を正極に用いることにより、耐食性が改善され、鉛蓄電池の寿命特性を向上できるという、顕著な効果を奏する。
本発明の鉛蓄電池用の圧延シート21は、従来から知られている、例えば、図1に示されたような鋳造ホイール1を用いた連続鋳造によって得たスラブ22を、同じく従来から知られているように、図3に示した圧延ローラ対26間を通過させることによって得ることができる。
本発明では、圧延シート21の圧延前段階のスラブ22として、図5に示した断面を有したものを用いる。すなわち、スラブ22は、スラブ鋳造時の冷却によって、その表面22a,22bから、スラブ22の中心方向へ沿った結晶23a,24aが存在する。一方の表面22aから成長した結晶23aが占める第1の領域23と、もう一方の表面22bから成長した結晶24aが占める第2の領域24との境界部25をスラブ22の厚み方向の中心(図5に示す線C)から偏芯した位置に設ける。
境界部25の偏芯の度合いとしては、スラブ22の厚みをTとしたときに、境界部25の表面22a,22bの一方からの深さx,x´をスラブ22厚みTの0.55倍以上が好ましく、さらに好ましくは0.60倍以上、さらに好ましくは0.65倍以上とする。
本発明では、境界部25をスラブ22の厚み0.50Tの中心と一致させず、両者が離間した位置とするものである。例えば、境界部25の一方の表面22aからの深さxを0.60Tとした場合、境界部25の他の一方の表面からの深さx´は、0.40Tとなり、0.60T以下となるが、本発明では、深さxがスラブ22の厚み中央、すなわち0.50Tから離れた位置とすることで、本発明の効果を得るものである。したがって、表面22a,22bから計測した境界部25bの深さx,x´のいずれか一方が、0.50Tを越えていればよく、好ましくは0.60T以上、さらに好ましくは0.65T以上の位置であればよい。
なお、この境界部25の位置は、いずれか一方の表面22a,22bと一致することはないため、深さx,x´はT未満の値となる。なお、実際には、スラブ22の両面から冷却されるため、深さx,x´の値は、0.80T程度がほぼ最大値と考えられる。
図5で示したスラブ22を得るために、表面22aと表面22bの冷却度合いを不均一とすればよい。具体的には、冷却水温を一方の表面22a(表面22b)で低く、他方の表面22b(表面22a)で高くすればよい。この場合、一方の表面22a(表面22b)を冷却することによって、水温が上昇した冷却水で他方の表面22b(表面22a)を冷却してもよい。
また、一方の表面22a(表面22b)への冷却水量と、他方の表面22b(表面22a)への冷却水量との間に差を設けてもよい。
なお、冷却水量の比率や、冷却水温差は、スラブ5の寸法や、鋳造ホイール1、スチールベルト3の材質・寸法形状や、冷却水6の供給パターンによって影響を受けるため、個々のスラブ鋳造設備について個別に設定すべき値である。
図5で示したスラブ22を、図3に示したように、圧延ローラ対26を通過させることによって、圧延によって順次厚みを減らして所定シート厚みとし、トリミングカッタ27で所定シート幅とすることによって、本発明による鉛蓄電池格子用の圧延シート21を得る。
スラブ22の厚みTと、圧延シート21の厚みtの比率(t/T)は、従来から知られているように、0.15〜0.05程度に設定される。また、圧延によってこの程度まで厚みを減ずる場合、圧延ローラ対26の5〜8対程度を直列に配置することとなる。
上記のようにして得た圧延シート21をエキスパンド加工して得たエキスパンド格子を正極に用いることにより、本発明の鉛蓄電池を得ることができる。
本発明の圧延シート21は、エキスパンド加工した際のストランドの捩れでも、ストランドが2層に剥離することがなく、ストランド切れが抑制される。したがって、ストランド切れによるエキスパンド格子の集電性の低下が抑制できる。また、ストランド切れによって極板寸法ばらつきが増大するが、本発明では、エキスパンド格子におけるストランド切れが抑制されるため、このエキスパンド格子を用いた極板の寸法ばらつきが抑制される。また、本発明で得たエキスパンド格子は、特に、正極格子として用いた際の耐食性が改善されているため、鉛蓄電池の寿命特性を顕著に改善することができる。
本発明の圧延シート21の厚み断面を圧延方向に沿って観察すると、圧延によって引き伸ばされた結晶が圧延方向に配置されており、スラブ22において認められた境界部25の痕跡が観察される場合がある。このような場合においても、境界部25の痕跡は、圧延シート21の厚み中心から偏芯しているため、ストランドの捩れによる剥離を抑制することができる。
なお、本発明のように、スラブ22の表面22a,22bの冷却状態が互いに異なる。図5に示した例のように、表面22aから計測した境界部25の深さxがスラブ22の厚み方向の中心線Cよりも深く偏芯している場合、表面22b側の第2の領域24は、、表面22a側の第1の領域23に比較して冷却速度が大きいため、第2の領域24で成長した結晶24aは、第1の領域23で成長した結晶23aよりも平均結晶粒径が小さくなる。このような、平均結晶粒径の大小関係は、圧延条件によっては、圧延シート21の平均結晶粒径に影響する場合もあるが、圧延シート21の腐食量には殆ど影響せず、圧延シートの表裏で、鉛蓄電池の特性に差が生じるような腐食量の差を生じさせることはない。
本発明では、圧延シート素材としての鉛もしくは鉛合金に含まれる鉛以外の成分元素について規定するものではないが、従来から用いられているような、0.03〜0.1質量%程度のCa、2.0質量%程度以下で添加されるSnを含むPb−Ca−Sn合金が一般的である。また、これ以外の合金成分として、鉛合金の耐食性や電池特性に悪影響を及ぼさない程度に制限された、Al、Bi、Ag、Ba、S、Se、Sb、Cu、Ni等の元素を含むことができる。
また、スラブの厚み、幅寸法についても、従来と同様、その厚みを10〜20mm程度、その幅を50〜100mm程度で設定することができる。なお、最終的な圧延シートの厚み、幅寸法についても、従来と同様、その厚みを0.5〜1.5mm程度、その幅を50〜100mm程度で設定することができる。
図1で示した圧延シート製造工程により、Pb−0.06質量%Ca−1.50質量%Sn合金を用い、鋳造ホイール1への冷却水6の供給量と、スチールベルト3の表面にかける冷却水6の量を調整して境界部25の深さxを種々に変化させたスラブA〜Kを作成した。これらのスラブの厚みは10.0mmである。
これらのスラブA〜Kを7段の圧延ローラ対を用いて順次圧延することにより、厚み1.00mmの圧延シートA〜Kを得た。圧延シートA〜Kのそれぞれについて、厚み断面を鏡面研磨し、エッチング処理して、断面の結晶観察を行ない、スラブ状態で認められた境界部25の痕跡と、その圧延シート表面からの深さyを計測した。これらの結果を表1及び表2に示す。
Figure 2008177009
なお、表1において、境界部深さxは、鋳造ホイール1側の表面22aから境界部25までの深さを示す。一方で、境界部深さx´は、スチールベルト3側の表面22bから境界部25までの深さを示す。したがって同一スラブにおいて、xとx´の和は、スラブ厚みTと一致する。
Figure 2008177009
表2において、圧延シート記号は、使用したスラブ記号に一致する。例として、スラブAを圧延して圧延シートAを得た。圧延シートA〜Kは、その断面を観察し、スラブ22で観察された境界部25の痕跡の表面22aからの深さyと、表面22bからの深さy´を求め、シート厚みt(本実施例においてはt=1.0mm)との比を求めて表2に示した。
表2に示した圧延シートA〜Kを、常法のレシプロエキスパンド加工とロータリーエキスパンド加工により正極格子を作製した。レシプロエキスパンド加工方式は、特許文献1に示されたように、複数のダイス刃を圧延シートに対して往復運動させ、圧延シートの両側部から内側方向にマス目を形成、展開していく方式である。
一方のロータリーエキスパンド加工は、特許文献2に示された方法によった。すなわち、凸状加工刃を形成した円板状カッタを積層して、カッタロールを構成し、このカッタロール対間に圧延シートを通過させることによるものである。
圧延シートには、このカッタロール対間を通過する間に、千鳥状スリットが形成されるとともに、千鳥状スリットに囲まれた格子骨(ストランド)を圧延シート面に対して交互に上下に湾曲させる。その後、圧延シートを幅方向に引っ張ることにより、マス目を形成する。
レシプロエキスパンド加工においては、エキスパンド加工後の格子のマス目を形成した後、整圧ローラを通過させることによって、ストランドに若干の捩れが生じる。一方、ロータリーエキスパンド加工によるものは、ストランドが圧延シート面の上下方向に引き伸ばされた後、この引き伸ばし方向と直交する圧延シート幅方向に再度引き伸ばされる。すなわち、ストランドは、段階的に互いに直交する2方向に引き伸ばされる過程で、必然的に捩れが拡大する。したがって、ストランドの捩れの程度は、ロータリーエキスパンドによるものが、レシプロエキスパンドによるものと比較して大きい。
これらのエキスパンド格子に正極用のペースト状活物質を充填した後、熟成、乾燥を経て、未化成正極板を作製した。この正極板と常法により作製したエキスパンド格子からなる負極板および微孔性のポリエチレンからなるセパレータとを組み合わせてJIS D 5301に規定される55D23型(12V48Ah)の始動用鉛蓄電池(以下、電池)を作成した。これらの電池の構成を表3に示す。
Figure 2008177009
圧延シートA〜Kを用いて、レシプロエキスパンド及びロータリーエキスパンドの各方式でエキスパンド格子を作成する際に発生したストランドの破断発生状況を調査した。調査した格子数は、各格子についてそれぞれ1000枚とした。また、表3に示した各電池を寿命試験に供した。
寿命試験条件は以下の通りである。すなわち、電池を75℃の水槽内に配置し、25A2分間の放電と、14.8V(制限充電電流25A)定電圧充電を10分間繰り返す放電−充電サイクルを1サイクルとして480サイクル繰り返し、480サイクルごとに356Aで5秒放電し、この5秒目の電池電圧が7.2V以下に至るまでの、サイクル数を測定し、これを電池寿命とした。
表4にストランドの破断発生状況と寿命試験の結果を示す。なお、ストランドの破断発生状況は、電池F´、すなわち圧延シートFをロータリーエキスパンドした格子のストランド破断発生率を100としたときの百分率として示した。
Figure 2008177009
表4に示した結果から、スラブ22の表面22a,22bから境界部25までの深さx,x´のスラブ22の厚みTに対する比率である、x/T、x´/Tのいずれか一方を0.50から0.55とすること、すなわち、境界部25をスラブ22の厚み方向の中心から偏芯した位置とすることにより、エキスパンド加工時におけるストランド断線の頻度は急激に低下することがわかる。
なお、x/Tとx´/Tをともに0.50とした圧延シートFは、エキスパンド加工方式によって、ストランド断線の頻度が大幅に異なり、ロータリーエキスパンド方式が、レシプロエキスパンド方式に比較してその頻度は高い。
一方、x/Tもしくはx´/Tのいずれかを0.55とした場合、ストランド断線の頻度は、ロータリーエキスパンド方式、レシプロエキスパンド方式ともに、4〜6%の同一レベルまで低減できる。したがって、本発明は、特に、ロータリーエキスパンド方式においてその効果がより顕著に現れるといえる。
x/Tもしくはx´/Tのいずれかを0.60とした場合、ストランド断線の頻度は、さらに急激に低下する。このことから、当該比率を0.60以上とすることがより好ましい。さらに、当該比率を0.65まで高めることにより、本実施例においては、ストランド断線が発生しなかった。したがって、当該比率を0.65以上とすることがさらに好ましい。
なお、断線したストランドの破断面を光学顕微鏡で観察したところ、ストランドが2層に剥離していることが確認できた。スラブ22内に生じる境界部25が厚み方向の中心に位置する場合、エキスパンド加工時のストランドの捩れによって、ストランドが剥離し、断線に至ったと考えられる。特に、ロータリーエキスパンド方式によるものではその傾向が顕著に見られた。
レシプロエキスパンド方式によるストランド捩れは、ストランドの全長さに渡って均一であり、その捩れ量も少ないが、ロータリーエキスパンド方式によるそれは、ストランドのある位置で急激に捩れる傾向にあり、その捩れ量も90°といったより大きな量になることと関連する。
本発明では、ストランド断線が発生しやすいロータリーエキスパンド方式においても、顕著にストランド断線を抑制することができる。
一方、これらのエキスパンド格子を正極に用いた電池の寿命特性は、ストランドの断線の状況をほぼ反映しており、ストランド断線の頻度が少ないものほど、良好な寿命サイクル特性が得られた。
表4に示したように、比率x/Tもしくはx´/Tのいずれかを0.50から0.55とすることにより、寿命特性は急激に良化する。したがって、当該比率を0.55とすることが好ましい。また当該比率が0.55〜0.60の間は、当該比率の上昇に伴って寿命特性はさらに良化するため、さらに好ましい。そして、当該比率0.65以上の領域で、安定した長寿命特性を得ることができ、最も好ましい。
また、寿命終了後の各電池を分解調査したところ、比較例の電池F、F´は、その他の電池に比較して正極格子の腐食が顕著に進行していた。本発明の電池も正極格子についても腐食は進行しているものの、電池F、電池F´に比較して顕著ではない。また、その腐食度合いも比率x/Tもしくはx´/Tのいずれか一方が0.55を越えて大きくなるにつれて軽減された。
以上、説明してきたように、本発明の鉛蓄電池格子用圧延シートによれば、エキスパンド加工時におけるストランド断線を顕著に抑制することができる。また、本発明の圧延シートから得られたエキスパンド格子を正極に用いることにより、優れた寿命特性を有した鉛蓄電池を提供できるという顕著な効果を奏する。
本発明は、鉛蓄電池のエキスパンド格子体の素材となる、圧延シートの製造方法に関するものであり、エキスパンド格子の加工時におけるストランド断線を抑制し、かつ、この圧延シートを格子素材として用いた鉛蓄電池の寿命特性を改善できることから、様々な用途の鉛蓄電池、及び当該鉛蓄電池の格子用の圧延シートに好適である。
スラブの製造工程の概要を示す図 従来のスラブの断面を示す図 スラブの圧延工程を示す図 エキスパンド格子を示す図 本発明のスラブの断面を示す図
符号の説明
1 鋳造ホイール
2 溝部
3 スチールベルト
4 溶融鉛
5 スラブ
5a,5b 表面
6 冷却水
7 第1の領域
7a 結晶
8 第2の領域
8a 結晶
9 境界部
10 圧延シート
11 エキスパンド格子
12 ストランド
21 圧延シート
22 スラブ
22a,22b 表面
23 第1の領域
23a 結晶
24 第2の領域
24a 結晶
25 境界部
26 圧延ローラ対
27 トリミングカッタ

Claims (5)

  1. 鉛もしくは鉛合金の溶湯を凝固させてなる長尺シート状のスラブを、圧延して得た鉛蓄電池格子用圧延シートにおいて、
    前記スラブの一方の表面から前記スラブの厚み方向の中心に向かって配向して結晶が成長した第1の領域と、
    前記スラブの他の一方の表面から前記スラブの厚み方向の中心に向かって配向して結晶が成長した第2の領域とを有し、
    前記第1の領域と前記第2の領域との境界部を前記スラブの厚み方向の中心より偏芯した位置とした鉛蓄電池格子用圧延シート。
  2. 前記スラブの厚みをTとしたとき、前記境界部を前記スラブの一方の表面から0.55T〜0.80Tの位置とした鉛蓄電池格子用圧延シート。
  3. 請求項1または請求項2に記載の鉛蓄電池格子用圧延シートをエキスパンド加工して得た鉛蓄電池用格子。
  4. ロータリーエキスパンド方式によるエキスパンド加工を施した請求項3に記載の鉛蓄電池用格子。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の鉛蓄電池用格子を備えた鉛蓄電池。
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