JP2008176971A - 高分子電解質形燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 発電運転により生成する水がガス拡散層上に滞留することを確実に防止可能である良好な排水性を有する高分子電解質形燃料電池を提供する。
【解決手段】 高分子電解質形燃料電池100が、高分子電解質膜102と、一対の触媒層102a,102bと、一対のガス拡散層103a,103bと、一対のセパレータ105a,105bとに加え、一対のメッシュシート108a,108bを備え、前記セパレータの親水性の程度H1と、前記メッシュシートの親水性の程度H2と、前記ガス拡散層の親水性の程度H3とが、H1>H2>H3なる関係にある。
【選択図】 図1
【解決手段】 高分子電解質形燃料電池100が、高分子電解質膜102と、一対の触媒層102a,102bと、一対のガス拡散層103a,103bと、一対のセパレータ105a,105bとに加え、一対のメッシュシート108a,108bを備え、前記セパレータの親水性の程度H1と、前記メッシュシートの親水性の程度H2と、前記ガス拡散層の親水性の程度H3とが、H1>H2>H3なる関係にある。
【選択図】 図1
Description
本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスとが供給されて電気化学的な燃焼により電力を発生させる高分子電解質形燃料電池に関する。
従来から、高分子電解質膜を備える高分子電解質形燃料電池積層体(以下、単に「高分子電解質形燃料電池」という)は、発電運転の際の動作温度が他の燃料電池積層体の動作温度と比べて低いことに加えて、出力電力密度が比較的高く、かつ長期信頼性に優れているため、燃料電池コージェネレーションシステム(以下、単に「燃料電池システム」という)を構成するための燃料電池積層体として注目されている。
高分子電解質形燃料電池は、水素を含有する燃料ガスと、空気等の酸素を含有する酸化剤ガスとを電気化学的に反応させることにより、電力と熱とを同時に発生させる。ところで、この高分子電解質形燃料電池により負荷を駆動させるためには、高分子電解質形燃料電池は、その負荷の要求に応じた出力電圧を発生させる必要がある。しかし、高分子電解質形燃料電池を構成する単電池の出力電圧は、通常、負荷の要求に応じた出力電圧ではない。そこで、一般的な高分子電解質形燃料電池では、複数の単電池が電気的に直列に連結されている。これにより、高分子電解質形燃料電池は、負荷の要求に応じた出力電圧を負荷に印加する。
以下、従来の一般的な高分子電解質形燃料電池の構成について概説する。
図5は、従来の一般的な高分子電解質形燃料電池の構成を模式的に示す斜視図である。尚、図5では、単電池の構成を分かり易く説明するために、高分子電解質形燃料電池の一部を分解した状態を示している。
図5に示すように、従来の一般的な高分子電解質形燃料電池200は、その主要な構成要素としての電解質膜−電極積層体201を備えている。そして、この電解質膜−電極積層体201は、その一方の主面に触媒層202aが配設されかつその他方の主面に触媒層202bが配設された高分子電解質膜202と、燃料ガスの通気性と電子伝導性とを共に有するガス拡散層203aと、酸化剤ガスの通気性と電子伝導性とを共に有するガス拡散層203bとを備えている。
電解質膜−電極積層体201の周囲、つまり、高分子電解質膜202の周囲は、一対のガスケット204a及び204bにより挟持されている。このように、電解質膜−電極積層体201の周囲がガスケット204a及び204bにより挟持されることで、高分子電解質形燃料電池200からの燃料ガス及び酸化剤ガスの漏出が確実に回避されると共に、高分子電解質形燃料電池200における燃料ガスと酸化剤ガスとの混合が確実に回避される。
ガスケット204a及び204bを備える電解質膜−電極積層体201は、一対の導電性のセパレータ205a及び205bにより更に挟持されている。これにより、高分子電解質形燃料電池200において、単電池200aが構成されている。尚、セパレータ205aは、図5では隠れているが、ガス拡散層203aに燃料ガスを供給しかつ余剰の燃料ガスを排出するための燃料ガス流路215aを備えている。又、セパレータ205bは、ガス拡散層203bに酸化剤ガスを供給しかつ余剰の酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス流路215bを備えている。
そして、図5に示すように、従来の一般的な高分子電解質形燃料電池200では、複数の単電池200aが電気的に直列に連結されている。これにより、高分子電解質形燃料電池200の出力電圧が、負荷の要求に適合する出力電圧とされる。又、単電池200aの積層体は、一対の集電板206a及び206bと絶縁板(図示せず)とを介して、一対の端板207a及び207bにより挟持されている。これにより、高分子電解質形燃料電池200において、複数の単電池200aが電気的に確実に連結されている。
ところで、高分子電解質形燃料電池により所望の電力を実用的に得るためには、水素イオンの輸送能を確実に確保するために、単電池が備える高分子電解質膜を十分に加湿する必要がある。そして、その一方で、高分子電解質形燃料電池により所望の電力を実用的に得るためには、触媒層に燃料ガス及び酸化剤ガスを不足無く十分に供給するために、ガス拡散層の通気性を確実に確保する必要がある。
しかし、従来の一般的な高分子電解質形燃料電池では、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学的な反応により水が生成する。そして、その生成した水が、ガス拡散層の表面に水滴状に滞留する。この水滴は、高分子電解質形燃料電池の発電運転時間の経過に伴い、触媒層への燃料ガス及び酸化剤ガスの供給を阻害する程度にまで大型化する。つまり、従来の一般的な高分子電解質形燃料電池では、発電運転時間の経過に伴い、その発電性能を著しく悪化させるフラッディングが発生する。
図6は、従来の一般的な高分子電解質形燃料電池が備えるガス拡散層の表面で水滴が経時的に大型化する過程を示す模式図である。
図6(a)に示すように、高分子電解質形燃料電池200の発電運転の際、酸化剤ガス流路215bと対向するガス拡散層203bの表面には、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学的な反応により、例えば水滴w1a〜w3aが発生する。この場合、図6(b)に示すように、高分子電解質形燃料電池200の発電運転時間が経過すると、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学的な反応により生成する水が順次供給されて、水滴w1a〜w3aが水滴w1b〜w3bに大型化する。この際、酸化剤ガス流路215bの壁面に析出した結露水cwは、酸化剤ガス流路215bの壁面を伝わり、高分子電解質形燃料電池200から排出される。しかし、大型化した水滴w1b〜w3bは、未だ酸化剤ガスにより押し出される程度にまで大型化していない状態、又は、酸化剤ガス流路215bの壁面に接触する程度にまで大型化していない状態においては、ガス拡散層203bの表面に更に滞留する。そして、図6(c)に示すように、高分子電解質形燃料電池200の発電運転時間が更に経過すると、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学的な反応により生成する水が更に供給されて、水滴w1b〜w3bがガス拡散層203bへの酸化剤ガスの供給を阻害する程度の大きさであるw1c〜w3cにまで更に大型化する。
つまり、従来の一般的な高分子電解質形燃料電池では、ガス拡散層の通気性が経時的に悪化する。又、従来の一般的な高分子電解質形燃料電池では、撥水処理のバラツキ、或いは、その長時間の使用により、ガス拡散層の撥水性が部分的に低下する。この場合、ガス拡散層の表面に滞留する水滴の滞留量が増大するので、ガス拡散層の通気性が更に悪化する。これらのため、従来の一般的な高分子電解質形燃料電池の構成では、負荷が要求する所望の電力を実用的に得ることは困難である。
そこで、電解質膜における適正な水分状態及び反応ガスの供給を制御可能な燃料電池を提供するために、反応電極、拡散層及びセパレータが、反応ガスが通過するガス通路と水及び水蒸気が通過する水通路とを各々備えていることを特徴とする燃料電池の構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−151585号公報
しかしながら、上記従来の提案は、単に反応ガスが通過するガス通路と水が通過する水通路とを完全に分離することでガス通路に要求される特性と水通路に要求される特性とを実現する構成であって、ガス拡散層の通気性を積極的に確保する構成ではない。
つまり、上記従来の提案は、高分子電解質形燃料電池の発電運転中にガス拡散層の通気性を確実に確保して触媒層に燃料ガス及び酸化剤ガスを不足無く十分にかつ適切に供給するという観点においては、未だ改善の余地がある。
本発明は、上記従来の課題を鑑みてなされたものであり、その発電運転により生成する水がガス拡散層上に滞留することを確実に防止可能な、良好な排水性を有する高分子電解質形燃料電池を提供することを目的としている。
上記従来の課題を解決するために、本発明に係る高分子電解質形燃料電池は、高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜の両面に該高分子電解質膜と触媒層とが接触するように配設されたガス拡散層を有する一対のガス拡散電極と、前記一対のガス拡散電極を挟み、前記一対のガス拡散電極のガス拡散層に反応ガスを供給するための溝状の流路をその主面に有する一対のセパレータと、メッシュシートと、を備え、前記一対のガス拡散層と前記一対のセパレータの主面との間の少なくとも一方に前記メッシュシートが挿設されている高分子電解質形燃料電池であって、前記セパレータが有する流路の親水性の程度H1と、前記メッシュシートの少なくとも前記流路に対向する部分の親水性の程度H2と、前記ガス拡散層の少なくとも前記流路に対向する部分の親水性の程度H3とが、式(1)に示す関係にある。
H1>H2>H3 ・・・(1)
かかる構成とすると、ガス拡散層とセパレータの主面との間にメッシュシートが挿設されており、ガス拡散層からメッシュシートを介してセパレータが有する流路に向けて親水性の程度が次第に上昇するように構成されているので、ガス拡散層上に生成した水滴をセパレータが有する流路に向けて積極的に移動させることが可能になる。
かかる構成とすると、ガス拡散層とセパレータの主面との間にメッシュシートが挿設されており、ガス拡散層からメッシュシートを介してセパレータが有する流路に向けて親水性の程度が次第に上昇するように構成されているので、ガス拡散層上に生成した水滴をセパレータが有する流路に向けて積極的に移動させることが可能になる。
この場合、前記メッシュシートが、炭素からなる繊維が格子状に編み込まれてなる。
かかる構成とすると、メッシュシートが炭素からなる繊維を格子状に編み込んで構成されているので、ガス拡散層とセパレータとを相互に電気的に確実に接続することが可能になる。
この場合、前記繊維が、その表面に親水性基及び疎水性基の少なくとも一方を備えている。
かかる構成とすると、炭素からなる繊維がその表面に親水性基及び疎水性基の少なくとも一方を備えているので、ガス拡散層からメッシュシートを介してセパレータが有する流路に向けて親水性の程度が次第に上昇するように構成することが可能になる。
又、上記の場合、前記メッシュシートが、導電性助剤が混合された樹脂又はゴムからなる繊維が格子状に編み込まれてなる。
かかる構成とすると、メッシュシートが、導電性助剤が混合された樹脂又はゴムからなる繊維を格子状に編み込んで構成されているので、メッシュシートに効果的な弾性を付与することが可能になる。これにより、ガス拡散層とセパレータとが直接接触する部分を設けることができるので、ガス拡散層とセパレータとを電気的により一層確実に接続することが可能になる。
この場合、前記繊維が、その表面に親水性基及び疎水性基の少なくとも一方を備えている。
かかる構成とすると、導電性助剤が混合された樹脂又はゴムからなる繊維がその表面に親水性基及び疎水性基の少なくとも一方を備えているので、ガス拡散層からメッシュシートを介してセパレータが有する流路に向けて親水性の程度が次第に上昇するように構成することが可能になる。
又、上記の場合、前記メッシュシートが、導電性助剤が付着された樹脂又はゴムからなる繊維が格子状に編み込まれてなる。
かかる構成とすると、メッシュシートが、導電性助剤が付着された樹脂又はゴムからなる繊維を格子状に編み込んで構成されているので、これによっても、メッシュシートに効果的な弾性を付与することが可能になる。従って、ガス拡散層とセパレータとが直接接触する部分を設けることができるので、ガス拡散層とセパレータとを電気的により一層確実に接続することが可能になる。
この場合、前記繊維が、その表面に親水性基及び疎水性基の少なくとも一方を備えている。
かかる構成とすると、導電性助剤が付着された樹脂又はゴムからなる繊維がその表面に親水性基及び疎水性基の少なくとも一方を備えているので、ガス拡散層からメッシュシートを介してセパレータが有する流路に向けて親水性の程度が次第に上昇するように構成することが可能になる。
又、上記の場合、前記メッシュシートの開口径が、前記ガス拡散層の細孔径よりも大きい。
かかる構成とすると、メッシュシートの開口径がガス拡散層の細孔径よりも大きく構成されているので、メッシュシートにより燃料ガス及び酸化剤ガスの各ガス拡散層への拡散が妨げられることを確実に回避することが可能になる。
又、上記の場合、前記メッシュシートの硬度が、前記セパレータの硬度よりも低い。
かかる構成とすると、メッシュシートの硬度がセパレータの硬度よりも低いので、セパレータがメッシュシートを容易に変形させることができる。これにより、セパレータとガス拡散層との電気的な接続を確実に確保することが可能になる。
本発明は、以上に述べたような手段において実施され、その発電運転により生成する水がガス拡散層上に滞留することを確実に防止可能な、良好な排水性を有する高分子電解質形燃料電池を提供することが可能になるという効果を奏する。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
先ず、本発明の実施の形態に係る高分子電解質形燃料電池の特徴的な構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る高分子電解質形燃料電池の特徴的な構成を模式的に示す斜視図である。尚、図1では、単電池の構成を分かり易く説明するために、高分子電解質形燃料電池の一部を分解した状態を示している。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る高分子電解質形燃料電池100は、その主要な構成要素としての電解質膜−電極積層体101を備えている。そして、この電解質膜−電極積層体101は、その一方の主面に触媒層102aが配設されかつその他方の主面に触媒層102bが配設された高分子電解質膜102と、一対のガス拡散層103a及び103bとを備えている。
具体的には、高分子電解質膜102は、水素イオンを選択的に輸送する所定の高分子電解質により矩形状に構成されている。この高分子電解質膜102の一方の主面に、白金等の所定の触媒能を有する金属が担持されたカーボン粉末を主成分とする矩形状の触媒層102aが例えば同軸状に配設されている。又、図1では隠れているが、この高分子電解質膜102の他方の主面に、白金等の所定の触媒能を有する金属が担持されたカーボン粉末を主成分とする矩形状の触媒層102bが例えば同軸状に配設されている。そして、触媒層102a及び102bの主面を覆うようにして、矩形状のガス拡散層103a及び103bが各々配設されている。ここで、ガス拡散層103aは、燃料ガスの通気性と電子伝導性とを有している。又、ガス拡散層103bは、酸化剤ガスの通気性と電子伝導性とを有している。これにより、高分子電解質形燃料電池100において、その主要な構成要素としての電解質膜−電極積層体101が構成されている。
そして、本発明の実施の形態に係る高分子電解質形燃料電池100では、ガス拡散層103aのセパレータ105a側の主面、及び、ガス拡散層103bのセパレータ105b側の主面を覆うようにして、矩形状のメッシュシート108a及び108bが各々同軸状に配設されている。このように、本発明の実施の形態に係る高分子電解質形燃料電池100の構造上の主たる特徴点は、先ず、ガス拡散層103aの上にメッシュシート108aが配設され、かつガス拡散層103bの上(図1では下)にメッシュシート108bが配設されている点である。ここで、本明細書では、ガス拡散層103a及び103bの双方の主面上にメッシュシート108a及び108bが各々配設されている形態を例示しているが、このような形態に限定されることはない。本発明の実施の形態では、ガス拡散層103a及び103bの少なくとも一方の主面上にメッシュシート108a及び108bの少なくとも一方が配設される。尚、このメッシュシート108a及び108bの具体的な構成、及び、本発明を実施するための他の特徴的な構成については、後に詳細に説明する。
一方、図1に示すように、電解質膜−電極積層体101の周囲、つまり、高分子電解質膜102の周囲は、一対のガスケット104a及び104bにより挟持されている。これらのガスケット104a及び104bは、メッシュシート108a及び108bの主面を露出させるよう、各々額縁状に構成されている。又、これらのガスケット104a及び104bは、その露出するメッシュシート108a及び108bの主面が後述するセパレータの主面に当接するよう、各々の厚みが適切に設定されている。このように、電解質膜−電極積層体101の周囲がガスケット104a及び104bにより挟持されることで、高分子電解質形燃料電池100から燃料ガス及び酸化剤ガスが漏出することを確実に回避することができる。又、これにより、高分子電解質形燃料電池100において燃料ガスと酸化剤ガスとが混合することを確実に回避することができる。
又、図1に示すように、この高分子電解質形燃料電池100では、ガスケット104a及び104bによりその周囲が挟持された電解質膜−電極積層体101が、一対の導電性のセパレータ105a及び105bにより挟持されている。これにより、高分子電解質形燃料電池100において、単電池100aが構成されている。ここで、セパレータ105aは、図1では隠れているが、そのメッシュシート108aと当接する主面に、ガス拡散層103aに燃料ガスを供給すると共に、余剰の燃料ガスを排出するための燃料ガス流路115aを、サーペンタイン状に備えている。この燃料ガス流路115aの一端は貫通孔hf1に接続され、この燃料ガス流路115aの他端は貫通孔hf2に接続されている。一方、セパレータ105bは、そのメッシュシート108bと当接する主面に、ガス拡散層103bに酸化剤ガスを供給すると共に、余剰の酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス流路115bを、サーペンタイン状に備えている。この酸化剤ガス流路115bの一端は貫通孔ho1に接続され、この酸化剤ガス流路115bの他端は貫通孔ho2に接続されている。尚、燃料ガス流路115a及び酸化剤ガス流路115bは、セパレータ105a及び105bとは別に設けることもできる。しかし、セパレータ105a及び105bの表面に溝状の凹部を設け、この凹部を燃料ガス流路115a及び酸化剤ガス流路115bとする形態が一般的な形態である。
尚、図1では図示しないが、セパレータ105a及び105bは、セパレータ105aの燃料ガス流路115aを備える面と反対側の面、及び、セパレータ105bの酸化剤ガス流路115bを備える面と反対側の面の少なくとも一方に、冷却液流路を備えている。この冷却液流路の一端は図示しない貫通孔hw1に接続され、この冷却液流路の他端は図示しない貫通孔hw2に接続されている。この冷却液流路には、水等の冷却液が通流される。この冷却液は、電解質膜−電極積層体101において進行する電気化学的な反応により発生した熱を逐次回収する。これにより、高分子電解質形燃料電池100の温度が適切に保たれる。この冷却液流路は、単電池100aの1セル毎に設けられていてもよく、2セル毎に設けられていてもよい。又、隣り合うセパレータ105aと105bとは、一体化されていてもよい。
但し、セパレータ105a及び105bの後述する集電板106a及び106bと接する面には、燃料ガス流路115a、酸化剤ガス流路115b及び冷却液流路は設けられてはいない。
そして、図1に示すように、この高分子電解質形燃料電池100では、複数の単電池100aが電気的に直列に連結されている。ここで、単電池100aは、高分子電解質形燃料電池100の出力電圧に対する要求に応じて、例えば、10段から200段の範囲で積層される。これにより、高分子電解質形燃料電池100の出力電圧が、負荷の要求に適合する出力電圧とされる。又、図1に示すように、単電池100aの積層体は、一対の集電板106a及び106bと絶縁板(図1では図示せず)とを介して一対の端板107a及び107bにより挟持され、締結ボルト(図1では図示せず)により締結されている。これにより、高分子電解質形燃料電池100において、複数の単電池100aが電気的に確実に連結されている。
ここで、この単電池100aの積層体において、貫通孔hf1、貫通孔hf2、貫通孔ho1及び貫通孔ho2は、単電池100aの積層方向に延びる燃料ガス供給マニホールド孔、燃料ガス排出マニホールド孔、酸化剤ガス供給マニホールド孔及び酸化剤ガス排出マニホールド孔をそれぞれ構成している。又、単電池100aの積層体において、貫通孔hw1及び貫通孔hw2は、単電池100aの積層方向に延びる冷却液供給マニホールド孔及び冷却液排出マニホールド孔(図1では図示せず)をそれぞれ構成している。
又、この高分子電解質形燃料電池100において、単電池100aの積層方向に延びる燃料ガス供給マニホールド孔、燃料ガス排出マニホールド孔、酸化剤ガス供給マニホールド孔、酸化剤ガス排出マニホールド孔、冷却液供給マニホールド孔及び冷却液排出マニホールド孔(以下、これらを総称して「各マニホールド孔」という。)の両端のうちの少なくとも一方の端には、それぞれ燃料ガス供給孔、燃料ガス排出孔、酸化剤ガス供給孔、酸化剤ガス排出孔、冷却液供給孔及び冷却液排出孔(以下、これらを総称して「各給排孔」という。)が設けられており、各マニホールド孔と各給排孔とがそれぞれ連通している。
又、高分子電解質形燃料電池100を単電池100aの積層体の積層方向から見て、集電板106a及び106bが、各マニホールド孔を覆うように配置されている場合、各マニホールド孔と各給排孔とをそれぞれ連通する貫通孔が、集電板106a及び106bに設けられる。例えば、単電池100aの積層体の積層方向から見て、集電板106a及び106bの大きさとセパレータ105a及び105bの大きさとがほぼ一致している場合には、各マニホールド孔と各給排孔とをそれぞれ連通する貫通孔が、集電板106a及び106bに設けられる。尚、例えば、単電池100aの積層体の積層方向から見て、集電板106a及び106bが、各マニホールド孔を覆ってはいない場合には、集電板106a及び106bに貫通孔を設ける必要はない。
又、絶縁板についても、集電板106a及び106bと同様に、高分子電解質形燃料電池100を単電池100aの積層体の積層方向から見て、絶縁板が各マニホールド孔を覆うように配置されている場合、各マニホールド孔と各給排孔とをそれぞれ連通する貫通孔が絶縁板に設けられる。
又、端板107a及び107bについても、集電板106a及び106bと同様に、高分子電解質形燃料電池100を単電池100aの積層体の積層方向から見て、端板107a及び107bが各マニホールド孔を覆うように配置されている場合、各マニホールド孔と各給排孔とをそれぞれ連通する貫通孔が、端板107a及び107bに設けられる。
次に、本発明の実施の形態に係るメッシュシートの特徴的な構成について説明する。
図2(a)は、本発明の実施の形態に係るメッシュシートの特徴的な構成を模式的に示す斜視図である。
図2(a)に示すように、本発明の実施の形態に係るメッシュシート108a及び108bは、例えば、直径が約30μmであるPTFE製の繊維の表面にカーボンを蒸着した導電性繊維f1及びf2を格子幅d,dが0.8mmとなるように格子状に編み込んだ構成を備えている。ここで、この導電性繊維f1及びf2の表面の親水性は、蒸着したカーボンの厚みや緻密さ等により適宜制御することが可能である。或いは、このメッシュシート108a及び108bは、例えば、適度な親水性を具備しかつその直径が約30μmである炭素製の導電性繊維f1及びf2を格子幅d,dが0.8mmとなるように格子状に編み込んだ構成を備えている。
本明細書では、メッシュシート108a及び108bを構成する導電性繊維f1及びf2の直径を約30μmとしているが、これに限定されることはない。即ち、メッシュシート108a及び108bを構成する導電性繊維f1及びf2の直径は、高分子電解質形燃料電池100を製造する際の搬送時の衝撃等に耐え得る強度を備え、かつ燃料ガス流路115a及び酸化剤ガス流路115bの各々の内部に配置した場合に燃料ガス及び酸化剤ガスの通気性(流れ)を妨げない直径とすればよい。具体的には、導電性繊維f1及びf2を構成する素材の強度にもよるが、一般的には、概ね数μm〜数十μmの直径とすることが望ましい。
又、本明細書では、導電性繊維f1及びf2をその格子幅d,dが0.8mmとなるように格子状に編み込んでメッシュシート108a及び108bを構成しているが、これに限定されることはない。ここで、メッシュシート108a及び108bの格子幅d,d、即ち、メッシュシート108a及び108bの開口径は、極端に小径であると液膜を形成して燃料ガス及び酸化剤ガスの通気性を悪化させ、逆に、極端に大径であると水滴を排出する効果が低減する。そのため、格子幅d,dは、概ね0.1mm〜1.5mmの範囲の格子幅とすることが望ましい。かかる範囲の格子幅は、ガス拡散層103a及び103bとして用いられるカーボンペーパーの一般的な開口径(細孔径)に対して十分に大きいので、メッシュシート108a及び108bにより燃料ガス及び酸化剤ガスの拡散が妨げられることを回避することができる。
ここで、本発明の実施の形態に係るメッシュシートを構成可能な導電性繊維f1及びf2の他の構成について具体的に説明する。
図3(a)及び(b)は、本発明の実施の形態に係るメッシュシートを構成可能な導電性繊維の他の構成を模式的に例示する断面図である。
図3(a)に示すように、本発明の実施の形態に係るメッシュシート108a及び108bを構成可能な他の導電性繊維f1及びf2としては、例えば、導電性助剤c1が混合された繊維状の樹脂r1の表面に親水性層h1を形成した導電性繊維f1及びf2が挙げられる。又、図3(b)に示すように、本発明の実施の形態に係るメッシュシート108a及び108bを構成可能な他の導電性繊維f1及びf2としては、例えば、導電性助剤c2が塗布又は蒸着された繊維状のゴムr2の表面に撥水性層h2を形成した導電性繊維f1及びf2が挙げられる。ここで、本発明では、図3(a)及び(b)に示す特徴的な構成に限定されることはなく、樹脂R1、ゴムr2、導電性助剤c1及びc2、親水性層h1及び撥水性層h2の各々を適当に組み合わせることにより、導電性繊維f1及びf2を構成する。又、親水性層h1の親水性の程度や、撥水性層h2の撥水性の程度を、親水処理又は撥水処理の処理条件により適切に設定する。これにより、メッシュシート108a及び108bの表面性状を目的の性状とする。
繊維状の樹脂r1の素材としては、熱可塑性樹脂を用いることが可能である。この熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリオキサメチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、フッ素樹脂、ポリフェニルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリスルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルペンテン等を用いることが可能である。
又、繊維状の樹脂r1の素材としては、上記熱可塑性樹脂に代えて、熱硬化性樹脂を用いることも可能である。この熱硬化性樹脂としては、例えば、尿素樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂等のアミノ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノール型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、レゾール型又はノボラック型等のフェノール樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
繊維状のゴムr2の素材としては、例えば、フッ素ゴム、シリコーンゴム、天然ゴム、EPDM、ブチルゴム、塩化ブチルゴム、臭化ブチルゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニルゴム、アクリルゴム、ポリイソプロピレンポリマー、或いはポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系及びポリアミド系等の熱可塑性エストラマー等が挙げられる。尚、繊維状のゴムr2を構成する素材として硫黄を含むゴムを用いる場合には、そのゴムから硫黄が溶出する場合がある。この場合、溶出した硫黄は、触媒層102a及び102bにおける白金を被毒する場合がある。そのため、繊維状のゴムr2を構成する素材として硫黄を含むゴムを用いる場合には、硫黄が溶出しないゴムを用いる必要がある。
一方、導電性助剤c1及びc2としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛等の黒鉛、メソフェーズカーボン、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、グラッシーカーボン等のカーボン粉末が挙げられる。又、例えば、カーボンナノチューブ等の繊維状カーボンフィラー、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム等の金属酸化物微粒子、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性ポリマー粒子等を用いることも可能である。ここで、導電性助剤c1及びc2を例えば繊維状のゴムr2の表面に設ける方法としては、インク化した導電性助剤をメッシュシートに塗布・乾燥させる方法や、インク化した導電性助剤にメッシュシートを浸漬させ乾燥させる方法等が挙げられる。又、スパッタリングにより導電性助剤c1及びc2をメッシュシートの表面に設ける方法が挙げられる。尚、分散媒としては、特に限定されないが、例えば、エタノール等のアルコールに代表される有機溶媒、或いは、水等を用いることが可能である。
又、親水性層h1を形成する方法としては、例えば、窒素プラズマ処理又はオゾン処理等による表面改質法や、過酸化水素水への浸漬による表面改質法や、酸化チタン等の親水性の高い微粒子を表面に塗布する方法や、グラフト重合により表面に親水性官能基を付与する方法等が挙げられる。一方、撥水性層h2を形成する方法としては、例えば、低分子フッ素化合物、フッ素樹脂、シリコン等を塗布又は化学蒸着する方法や、窒素プラズマ処理による表面改質法や、グラフト重合により表面に疎水性官能基を付与する方法等が挙げられる。
次に、本発明の実施の形態に係る高分子電解質形燃料電池におけるメッシュシートの配設形態について説明する。
図2(b)は、本発明の実施の形態に係る単電池におけるメッシュシートの配設形態を模式的に示す断面図である。尚、図2(b)では、便宜上、単電池の一部を抜粋して示している。
図2(b)に示すように、本発明の実施の形態に係る単電池100aでは、メッシュシート108bがセパレータ105bとガス拡散層103bとの間に配設されている。又、この単電池100aでは、図2(b)では図示しないが、メッシュシート108aがセパレータ105aとガス拡散層103aとの間に配設されている。そして、図1に示すように、各単電池100aが一対の集電板106a及び106bと絶縁板とを介して一対の端板107a及び107bにより挟持され、これが締結ボルトにより締結されて、各メッシュシート108a及び108bが各単電池100aの内部で固定されている。
ここで、図2(b)に示すように、メッシュシート108bにおける酸化剤ガス流路115bとガス拡散層103bとの間に位置する部分は、締結ボルトにより締結される際に加圧されないため、締結される前の形状を保持している。一方、メッシュシート108bにおけるセパレータ105bの凸部とガス拡散層103bとの間に位置する部分は、締結ボルトにより締結される際に加圧され、自ら変形しながら、ガス拡散層103bの表層部に食い込んでいる。そして、この部分では、セパレータ105bの一部とガス拡散層103bの一部とが直に接触している。これにより、セパレータ105bとガス拡散層103bとの電気的な接続が確実に確保されている。このように、セパレータ105bとガス拡散層103bとの電気的な接続が確実に確保されるのは、ガス拡散層103bが適度な弾性を有していると共に、メッシュシート108a及び108bの主成分が熱可塑性又は熱硬化性の樹脂或いはゴムにより構成されているからである。
又、本発明の実施の形態に係る各単電池100aでは、各セパレータ105a及び105bの表面はプラズマ処理等の適切な親水処理により親水性を有し、かつ各ガス拡散層103a及び103bの表面はPTFEにより適切に処理されて撥水性を有している。そして、本発明の実施の形態に係る各単電池100aでは、各セパレータ105a及び105bの表面が有する親水性の程度を各々H1とし、各メッシュシート108a及び108bの表面が有する親水性の程度を各々H2とし、各ガス拡散層103a及び103bの表面が有する親水性の程度を各々H3とする場合、式(1)に示す関係が成立している。この点が、本発明の実施の形態に係る高分子電解質形燃料電池100における構造上の第二の特徴点である。
H1>H2>H3 ・・・(1)
具体的には、本発明の実施の形態に係る高分子電解質形燃料電池100の各単電池100aでは、各ガス拡散層103a及び103bの表面の親水性を、水の接触角が150〜180°となるように調整する。又、各メッシュシート108a及び108bの表面の親水性を、水の接触角が40〜100°、好ましくは60〜100°、より一層好ましくは70〜90°となるように調整する。又、各セパレータ105a及び105bの表面の親水性を、水の接触角が約10°となるように調整する。このように、本発明では、各ガス拡散層103a及び103bと各セパレータ105a及び105bの主面との間にメッシュシート108a及び108bを挿設すると共に、各ガス拡散層103a及び103bから各メッシュシート108a及び108bを介して各セパレータ105a及び105bが有する流路に向けて親水性の程度が次第に上昇するように構成する。
具体的には、本発明の実施の形態に係る高分子電解質形燃料電池100の各単電池100aでは、各ガス拡散層103a及び103bの表面の親水性を、水の接触角が150〜180°となるように調整する。又、各メッシュシート108a及び108bの表面の親水性を、水の接触角が40〜100°、好ましくは60〜100°、より一層好ましくは70〜90°となるように調整する。又、各セパレータ105a及び105bの表面の親水性を、水の接触角が約10°となるように調整する。このように、本発明では、各ガス拡散層103a及び103bと各セパレータ105a及び105bの主面との間にメッシュシート108a及び108bを挿設すると共に、各ガス拡散層103a及び103bから各メッシュシート108a及び108bを介して各セパレータ105a及び105bが有する流路に向けて親水性の程度が次第に上昇するように構成する。
尚、これまで、ガス拡散層のような微細孔構造体、及び、メッシュシートのような繊維集合体の表面の親水性を評価することは、一般的には困難であった。そこで本願の発明者らは、温度と湿度とを制御することにより測定対象の表面に細かな結露水を作り出し、これを観察することで接触角の測定を行い、これをもって親水性の尺度とした。
具体的には、被測定対象物を1cm角程度の大きさに切り取り、これを株式会社ニコンインステック社製環境制御型電子顕微鏡Quanta200のチャンバーの内部にセットした。そして、そのチャンバーの内部の温度を1℃としかつその内部の圧力を5Paとした後、水蒸気によりその内部の圧力を660Paとすることで、被測定対象物の表面に100μm以下の結露水を作り出した。これらの結露水の画像を取得して、接触角の測定を行った。そして、このような接触角の測定を20箇所以上行い、これにより得られた接触角のデータθを用いてcosθの平均値mと標準偏差σとを各々求め、m±2σの値を被測定対象物の表面の親水性の尺度とした。
最後に、本発明により得られるガス拡散層上からの水の排出メカニズムについて説明する。
図4は、本発明の実施の形態に係る高分子電解質形燃料電池が備えるガス拡散層の表面で水滴が経時的に排出される過程を示す模式図である。
本発明の実施の形態に係る高分子電解質形燃料電池100では、従来の一般的な高分子電解質形燃料電池の場合と同様、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学的な反応により水が生成する。そして、その生成した水が、各ガス拡散層103a及び103bの表面に水滴状に滞留する。
具体的に説明すると、図4(a)に示すように、高分子電解質形燃料電池100の発電運転の際、酸化剤ガス流路115bと対向するガス拡散層103bの表面には、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学的な反応により、例えば水滴w1a〜w3aが発生する。燃料ガス流路115aと対向するガス拡散層103aの表面においても、これと同様にして、水滴が発生する。この場合、図4(b)では図示しないが、高分子電解質形燃料電池100の発電運転時間が経過すると、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学的な反応により生成する水が順次供給されて、水滴w1a〜w3aが次第に大型化する。
本発明の実施の形態に係る高分子電解質形燃料電池100の構成では、各ガス拡散層103a及び103bと各セパレータ105a及び105bとの間に、メッシュシート108a及び108bが各々配設されている。つまり、この高分子電解質形燃料電池100では、各ガス拡散層103a及び103bの表面に発生する水滴w1a〜w3aを各燃料ガス流路115a及び各酸化剤ガス流路115bの壁面へ積極的に移動させるための親水性の排水経路が構成されている。又、この親水性の経路には、上述したように、H1>H2>H3なる関係式が成り立つよう、その親水性の程度に勾配が設けられている。
従って、図4(b)に示すように、各ガス拡散層103a及び103bの表面に生成しかつその後成長した水滴w1b〜w3bは、各メッシュシート108a及び108bを構成する導電性繊維(図2(a)に示す導電性繊維f1及びf2)に沿って各燃料ガス流路115a及び各酸化剤ガス流路115bの壁面に移動する。そして、この移動した水滴w1b〜w3bが結露水cwに混ざり合う。本発明では、かかる水滴の移動が、発電運転中の高分子電解質形燃料電池100において連続的に行われる。
ここで、各燃料ガス流路115a及び各酸化剤ガス流路115bの壁面に位置する結露水cwは、逐次供給される燃料ガス及び酸化剤ガスにより押し出されて、各燃料ガス流路115a及び各酸化剤ガス流路115bの壁面を伝わり、高分子電解質形燃料電池100から逐次排出される。
そして、図4(c)に示すように、各ガス拡散層103a及び103bの表面に発生した水滴が逐次排出されるので、各ガス拡散層103a及び103bの表面状態は、各燃料ガス流路115a及び各酸化剤ガス流路115bから各触媒層102a及び102bへの燃料ガス及び酸化剤ガスの供給を一切阻害しない好適な表面状態で維持される。
以上、本発明によれば、その発電運転により生成する水がガス拡散層上に滞留することを確実に防止可能な、良好な排水性を有する高分子電解質形燃料電池を提供することが可能になる。
即ち、本発明によれば、ガス拡散層上にメッシュシートを配設すると共に、ガス拡散層の表面からメッシュシートを介して燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路の表面に向けて親水性の程度を上昇させるので、ガス拡散層上に発生する水滴を燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路の壁面に効果的に誘導することが可能になる。尚、ガス拡散層の表面からメッシュシートを介して燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路の表面に向けて親水性の程度を上昇させない場合には、ガス拡散層上に発生した水滴が滞留することになり、燃料ガス及び酸化剤ガスのガス拡散層への拡散が阻害される。
又、本発明では、各単電池を締結する際の圧力によりメッシュシートが変形して、ガス拡散層とセパレータとが電気的に接続される。これにより、ガス拡散層とセパレータとの電気的な接触抵抗を低減することが可能となる。尚、金属のように変形困難な硬い材料を用いてメッシュシートを構成すると、各単電池を締結する際の圧力程度ではメッシュシートが変形しないので、ガス拡散層とセパレータとの接触面積を十分に確保することができない。従って、金属等の硬い材料を用いてメッシュシートを構成すると、ガス拡散層とセパレータとの電気的な接触抵抗を低減することはできない。
又、本発明では、メッシュシートが、導電性助剤が混合された樹脂、又は、導電性助剤が付着された樹脂等により構成されている。これにより、ガス拡散層とセパレータとの間の電子の移動経路を更に確保することができるので、ガス拡散層とセパレータとの電気的な接触抵抗を更に低減することが可能となる。
以上の効果により、本発明によれば、その発電運転中に燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路の内部に発生する水滴を速やかに排出するので、水滴により燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路から各ガス拡散層への燃料ガス及び酸化剤ガスの供給が阻害されることを十分に防止することが可能となる。よって、本発明によれば、所定の出力電力を長期間に渡り安定して供給可能な高分子電解質形燃料電池を提供することが可能になる。
本発明に係る高分子電解質形燃料電池は、その発電運転により生成する水がガス拡散層上に滞留することを確実に防止可能な、良好な排水性を有する高分子電解質形燃料電池として、産業上の利用可能性を十分に備えている。
又、本発明に係る高分子電解質形燃料電池は、定置用の燃料電池システムを構成するための構成要素として、産業上の利用可能性を十分に備えている。
更に、本発明に係る高分子電解質形燃料電池を搭載する燃料電池システムは、自動車及びオートバイ等の移動/輸送機械に搭載する原動力等としても、産業上の利用可能性を十分に備えている。
100 高分子電解質形燃料電池
100a 単電池
101 電解質膜−電極積層体
102 高分子電解質膜
102a,102b 触媒層
103a,103b ガス拡散層
104a,104b ガスケット
105a,105b セパレータ
106a,106b 集電板
107a,107b 端板
108a,108b メッシュシート
115a 燃料ガス流路
115b 酸化剤ガス流路
200 高分子電解質形燃料電池
200a 単電池
201 電解質膜−電極積層体
202 高分子電解質膜
202a,202b 触媒層
203a,203b ガス拡散層
204a,204b ガスケット
205a,205b セパレータ
206a,206b 集電板
207a,207b 端板
215a 燃料ガス流路
215b 酸化剤ガス流路
hf1,hf2 貫通孔
ho1,ho2 貫通孔
hw1,hw2 貫通孔
f1,f2 導電性繊維
d 格子幅
h1 親水性層
h2 撥水性層
c1,c2 導電性助剤
r1 樹脂
r2 ゴム
w1a〜w3a 水滴
w1b〜w3b 水滴
w1c〜w3c 水滴
cw 結露水
100a 単電池
101 電解質膜−電極積層体
102 高分子電解質膜
102a,102b 触媒層
103a,103b ガス拡散層
104a,104b ガスケット
105a,105b セパレータ
106a,106b 集電板
107a,107b 端板
108a,108b メッシュシート
115a 燃料ガス流路
115b 酸化剤ガス流路
200 高分子電解質形燃料電池
200a 単電池
201 電解質膜−電極積層体
202 高分子電解質膜
202a,202b 触媒層
203a,203b ガス拡散層
204a,204b ガスケット
205a,205b セパレータ
206a,206b 集電板
207a,207b 端板
215a 燃料ガス流路
215b 酸化剤ガス流路
hf1,hf2 貫通孔
ho1,ho2 貫通孔
hw1,hw2 貫通孔
f1,f2 導電性繊維
d 格子幅
h1 親水性層
h2 撥水性層
c1,c2 導電性助剤
r1 樹脂
r2 ゴム
w1a〜w3a 水滴
w1b〜w3b 水滴
w1c〜w3c 水滴
cw 結露水
Claims (9)
- 高分子電解質膜と、
前記高分子電解質膜の両面に該高分子電解質膜と触媒層とが接触するように配設されたガス拡散層を有する一対のガス拡散電極と、
前記一対のガス拡散電極を挟み、前記一対のガス拡散電極のガス拡散層に反応ガスを供給するための溝状の流路をその主面に有する一対のセパレータと、
メッシュシートと、を備え、
前記一対のガス拡散層と前記一対のセパレータの主面との間の少なくとも一方に前記メッシュシートが挿設されている高分子電解質形燃料電池であって、
前記セパレータが有する流路の親水性の程度H1と、前記メッシュシートの少なくとも前記流路に対向する部分の親水性の程度H2と、前記ガス拡散層の少なくとも前記流路に対向する部分の親水性の程度H3とが、式(1)に示す関係にある、高分子電解質形燃料電池。
H1>H2>H3 ・・・(1) - 前記メッシュシートが、炭素からなる繊維が格子状に編み込まれてなる、請求項1記載の高分子電解質形燃料電池。
- 前記繊維が、その表面に親水性基及び疎水性基の少なくとも一方を備えている、請求項2記載の高分子電解質形燃料電池。
- 前記メッシュシートが、導電性助剤が混合された樹脂又はゴムからなる繊維が格子状に編み込まれてなる、請求項1記載の高分子電解質形燃料電池。
- 前記繊維が、その表面に親水性基及び疎水性基の少なくとも一方を備えている、請求項4記載の高分子電解質形燃料電池。
- 前記メッシュシートが、導電性助剤が付着された樹脂又はゴムからなる繊維が格子状に編み込まれてなる、請求項1記載の高分子電解質形燃料電池。
- 前記繊維が、その表面に親水性基及び疎水性基の少なくとも一方を備えている、請求項6記載の高分子電解質形燃料電池。
- 前記メッシュシートの開口径が、前記ガス拡散層の細孔径よりも大きい、請求項1記載の高分子電解質形燃料電池。
- 前記メッシュシートの硬度が、前記セパレータの硬度よりも低い、請求項1記載の高分子電解質形燃料電池。
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