JP2007294340A - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、氷点下となるような低温環境下で燃料電池の運転を停止させた際に、膜電極構造体における膨張応力の発生を効果的に抑制することができる燃料電池を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の燃料電池は、ガス拡散層22が、カソード13に面する面とセパレータに面する面の双方を備える発電部23と、この発電部23の周囲で固体高分子電解質膜20に面する面とセパレータに面する面の双方を備える非発電部24とを有しており、非発電部24におけるガス拡散層22と固体高分子電解質膜20との間にその一端側が埋設されるとともに、その他端側がセパレータに連結された導水部材18を備える。
【選択図】図4

Description

本発明は、燃料電池に関する。
燃料電池としては、固体高分子電解質膜の両面のそれぞれに電極触媒層およびガス拡散層を有する膜電極構造体が、反応ガスの流路を有する一対のセパレータで挟持されたもの(単セル)が知られている。この燃料電池では、カソード側の電極触媒層に供給される空気中の酸素と、アノード側の電極触媒層に供給される燃料ガス中の水素との電気化学反応によって発電が行われる際に水が生成する。また、この燃料電池では、固体高分子電解質膜によるイオン導電性を向上させるために、供給される空気や水素(反応ガス)に加湿が行われる。そして、生成した水や加湿に使用した水によって反応ガスの流れが阻害されると燃料電池の発電特性が低下することが知られている。
また、水が燃料電池内に残留すると、氷点下となるような低温環境下で燃料電池の運転を停止させた際に、膜電極構造体には残留した水が凍結することに伴う膨張応力が生起する。このことは、膜電極構造体の劣化の要因の一つとなっている。
従来、燃料電池の運転を停止させた後に燃料電池内に流通している水を弁の開閉によって排出させる燃料電池システム(例えば、特許文献1参照)や、燃料電池の運転を停止する際に、反応ガス供給制御手段によって燃料電池から水を排出させる燃料電池システム(例えば、特許文献2参照)、膜電極構造体を構成するガス拡散層に親水部を設けることによってガス流路の水を吸水する燃料電池(例えば、特許文献3参照)等が提案されている。
特開2005−158503号公報 特開2005−93231号公報 特開2005−93243号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の燃料電池システムでは、ガス流路における水は排出することはできても、膜電極構造体、特にガス拡散層に留まる水を充分に排出することが困難であった。
また、特許文献3に記載の燃料電池では、燃料電池の運転を停止した後に親水部に水が留まってしまうという問題があった。
したがって、従来の燃料電池では、氷点下となるような低温環境下で燃料電池の運転を停止させた際に、膜電極構造体内に残留している生成水が凍結することに伴う膨張応力が生じるおそれがある。
そこで、本発明は、氷点下となるような低温環境下で燃料電池の運転を停止させた際に、膜電極構造体における膨張応力の発生を効果的に抑制することができる燃料電池を提供することを課題とする。
前記課題を解決する本発明の燃料電池は、固体高分子電解質膜の両面のそれぞれに電極触媒層およびガス拡散層を有する膜電極構造体が、反応ガスの流路を有する一対のセパレータで挟持された燃料電池において、前記ガス拡散層が、前記電極触媒層に面する面と前記セパレータに面する面の双方を備える発電部と、この発電部の周囲で前記固体高分子電解質膜に面する面と前記セパレータに面する面の双方を備える非発電部とを有しており、前記非発電部における前記ガス拡散層と前記固体高分子電解質膜との間にその一端側が埋設されるとともに、その他端側が前記セパレータに連結された導水部材を備えることを特徴とする。
この燃料電池では、燃料電池の運転が停止した際に、ガス拡散層や電極触媒層に残留する水が導水部材を介してセパレータ側に排出される。その結果、この燃料電池は、氷点下となるような低温環境下でその運転が停止された際に、膜電極構造体における膨張応力の発生を効果的に抑制する。
また、このような燃料電池においては、前記セパレータには、排出ガス用の貫通孔が形成されており、前記導水部材の他端側が前記貫通孔まで連なっていてもよい。
この燃料電池では、導水部材の他端側が排出ガス用の貫通孔にまで連なっているので、膜電極構造体からの水の排出が更に効果的に行われる。
また、このような燃料電池においては、前記セパレータが、前記導水部材よりも親水性が高くなるように構成されることが望ましい。
この燃料電池では、導水部材からセパレータ側への水の排出が容易になる。
また、このような燃料電池においては、前記非発電部における前記ガス拡散層と前記固体高分子電解質膜との間に、集水層がさらに形成されることが望ましく、この集水層は、前記ガス拡散層よりも親水性が高いことが望ましい。
この燃料電池では、ガス拡散層や電極触媒層に残留する水が集水層に誘引される。その結果、ガス拡散層や電極触媒層に残留する水は、この集水層および導水部材を介してより効果的に排出される。
また、このような燃料電池においては、前記導水部材が、網状部材または線状部材であってもよい。
この燃料電池では、網状部材または線状部材における毛管現象によって、ガス拡散層や電極触媒層に残留する水が導水部材を介して効果的に排出される。
本発明の燃料電池によれば、ガス拡散層や電極触媒層に残留する水が導水部材によって排出されるので、氷点下となるような低温環境下で燃料電池の運転を停止させた際に、膜電極構造体における膨張応力の発生を抑制することができる。その結果、この燃料電池は、膜電極構造体の耐久性を向上させることができる。
また、ガス拡散層や電極触媒層に残留する水は、導水部材を介して排出されるので、水の排出に電力等の消費を伴うことがない。つまり、この燃料電池は、反応ガス供給制御手段によって燃料電池から水を排出させる従来のものと異なって、省エネルギ化を図ることができる。
次に、本発明の燃料電池の実施形態について適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1は、実施形態に係る燃料電池の斜視図である。図2は、単セルの積層構造を示す分解斜視図である。図3は、カソード側に配置されるセパレータをカソード側から見た平面図である。図4(a)は、膜電極構造体をアノード側から見た平面図、図4(b)は、図4(a)のX−X´断面図、図4(c)は、図4(b)の導水部材付近の様子を示す部分拡大図である。図5は、導水部材がセパレータに連結された様子を示す燃料電池の部分断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る燃料電池FCは、内部マニホールド型のものであって、複数の単セル1が積層された積層体2を備えている。
図2に示すように、単セル1は、一対の導電性のセパレータ14およびセパレータ15で挟み込まれる膜電極構造体(MEA;Membrane Electrode Assembly)10を備えている。
セパレータ14は、膜電極構造体10のアノード12側の面に対向するように設けられている。このセパレータ14の膜電極構造体10に対向する面には、水素(反応ガス)が流通する流路14sが形成されている。そして、セパレータ14には、図2の紙面奥側上段、中段、下段に貫通孔14a,14b,14cが形成されており、図2の紙面手前側上段、中段、下段に貫通孔14d,14e,14fが形成されている。また、セパレータ14には、貫通孔14dと流路14sとを連通させる連絡路14gと、流路14sと貫通孔14cとを連通させる連絡路14hとが形成されている。
セパレータ15は、膜電極構造体10のカソード13側に対向するように設けられている。このセパレータ15の膜電極構造体10に対向する面には、図3に示すように、反応ガスとしての空気(酸素)が流通する流路15sが形成されている。そして、セパレータ15には、図2の紙面奥側上段、中段、下段に貫通孔15a,15b,15cが形成されており、図2の紙面手前側上段、中段、下段に貫通孔15d,15e,15fが形成されている。また、セパレータ15には、図3に示すように、貫通孔15aと流路15sとを連通させる連絡路15gと、流路15sと貫通孔15fとを連通させる連絡路15hとがそれぞれ形成されている。
そして、セパレータ15には、図2に示すように、流路15sが形成された面と反対の面に、冷却水が流通する冷却水路16sが形成されている。なお、この冷却水は、冷却水路16sを流れることにより燃料電池FCを冷却するものである。また、セパレータ15には、貫通孔15bと冷却水路16sとを連通させる連絡路16aと、冷却水路16sと貫通孔15eとを連通させる連絡路16bとがそれぞれ形成されている。
そして、単セル1が複数積層されて積層体2(図1参照)を形成した際に、貫通孔14d、および貫通孔15dは、相互に連通し合うことで水素をセパレータ14の流路14sに供給する供給孔(図示せず)を形成する。また、貫通孔14c、および貫通孔15cは、相互に連通し合うことで流路14sから水素を排出する排出孔(図示せず)を形成する。ちなみに、この燃料電池FCにおいては、膜電極構造体10の面方向が鉛直方向と一致するように配置された際に、貫通孔14cに連通する連絡路14h(水素(反応ガス)の出口)は、鉛直方向の下側となる。
また、貫通孔14a、および貫通孔15aは、相互に連通し合うことで空気(酸素)をセパレータ15の流路15s(図3参照)に供給する供給孔(図示せず)を形成する。そして、貫通孔14f、および貫通孔15fは、相互に連通し合うことで流路15sから空気(酸素)を排出する排出孔(図示せず)を形成する。なお、この排出孔を構成する貫通孔15fは、特許請求の範囲にいう「排出ガス用の貫通孔」に相当する。ちなみに、この燃料電池FCにおいては、膜電極構造体10の面方向が鉛直方向と一致するように配置された際に、貫通孔15fに連通する連絡路15h(空気(反応ガス)の出口)は、鉛直方向の下側となる。
また、貫通孔14b、および貫通孔15bは、相互に連通し合うことで冷却水をセパレータ15の冷却水路16sに供給する供給孔(図示せず)を形成する。そして、貫通孔14e、および貫通孔15eは、相互に連通し合うことで冷却水路16sから冷却水を排出する排出孔(図示せず)を形成する。
膜電極構造体10は、図4(b)に示すように、固体高分子電解質膜20と、この固体高分子電解質膜20の一方の面に形成されたアノード12と、他方の面に形成されたカソード13と、導水部材18とを備えている。
固体高分子電解質膜20の周縁は、アノード12およびカソード13の周縁から外側に向かって延出している。また、アノード12には、セパレータ14(図2参照)側の面にガス拡散層21が形成されており、カソード13には、セパレータ15(図2参照)側の面にガス拡散層22が形成されている。なお、アノード12およびカソード13は、特許請求の範囲にいう「電極触媒層」に相当する。ちなみに、このアノード12およびカソード13としては、公知のものでよく、次に説明するガス拡散層21,22を形成するガス透過性材料の表面に触媒ペーストが塗布後に乾燥されたものが挙げられる。触媒ペーストとしては、白金、パラジウム等の触媒、カーボンブラック等の導電性粒子、および高分子電解質等のイオン導電性バインダを含むものが挙げられる。
ガス拡散層21は、水素が、図2に示す貫通孔14dおよび連絡路14gを介して流路14sに送り込まれて連絡路14hおよび貫通孔14cを介して流路14sから排出されていく際に、流路14sを流れる水素をアノード12に向かって拡散させるものである。
ガス拡散層22は、空気(酸素)が、図3に示す貫通孔15aおよび連絡路15gを介して流路15sに送り込まれて連絡路15hおよび貫通孔15fを介して流路15sから排出されていく際に、流路15sを流れる空気(酸素)をカソード13に向かって拡散させるものである。
ガス拡散層21,22の材質としては、公知のものでよく、カーボンペーパ等のガス透過性材料が使用される。
このような膜電極構造体10では、図4(b)に示すように、ガス拡散層22は、カソード13(電極触媒層)に面する発電部23と、この発電部23の周囲で固体高分子電解質膜20に面する非発電部24とを有している。
この非発電部24は、接着支持層25を介してガス拡散層22が固体高分子電解質膜20と接着された部分である。この接着支持層25は、2種の接着剤で形成されている。具体的には、反応ガスとしての空気の出口付近、つまりセパレータ15の連絡路15h付近(図4(a)中、符号Eで示す領域)の接着支持層25を形成する接着剤は、それ以外の接着支持層25を形成する接着剤と比較して、親水性に富むものが使用されている。そして、符号Eで示す領域の接着支持層25は、図4(c)に示すように、その他の接着支持層25と比較してより親水性が高い集水層26を形成している。
接着支持層25を形成する接着剤としては、硬化後の引張り破断の伸び率が150%以上のもの、および水に溶出しないものが望ましい。そして、集水層26以外の接着支持層25を形成する接着剤としては、シリコーン系接着剤が好ましく、特にアルケニル基含有の付加硬化形のシリコーン系接着剤(例えば、信越化学社製、KE−4897)がより好ましい。また、集水層26を形成する接着剤としては、シリコーン系接着剤に、無機充填剤や有機充填剤を混合したものが好ましい。
また、図4(a)に示す符号Eの領域におけるガス拡散層22の表面は、図4(c)に示すように、撥水化処理が施されることで形成された撥水層27を有している。この撥水化処理としては、例えば、ガス拡散層22に、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等の撥水化処理剤が施されることによって行われる。その結果、符号Eの領域におけるガス拡散層22(非発電部24)の表面(セパレータ15(図2参照)側の面)は、発電部23の表面(セパレータ15(図2参照)側の面)と比較してより高い撥水性を示すこととなる。
図4(b)に示す導水部材18は、膜電極構造体10から水を排出するものであって、本実施形態の導水部材18は、毛管現象で水を誘引する帯状部材で形成されている。この導水部材18は、図4(b)に示すように、その一端側がガス拡散層22と固体高分子電解質膜20との間に埋設されている。具体的には、図4(c)に示すように、導水部材18の一端側は、ガス拡散層22と固体高分子電解質膜20との間に形成された集水層26に埋設されている。そして、導水部材18の他端側は、図5に示すように、連絡路15h近傍におけるセパレータ15の表面(ガス拡散層22が配置される側の面)に連結されている。
このような導水部材18の材質としては、例えば、天然繊維、合成繊維、金属繊維、炭素繊維等からなるものが挙げられる。また、導水部材18の形状としては、前記した帯状のものに限定されず、線状のものであってもよい。また、帯状のものは、網状に織られたものであってもよいし、不織布のような織物でないものであってもよい。また、線状のものは、線材を撚ったものであってもよい。
そして、このような導水部材18は、この導水部材18が連結されるセパレータ15の表面の方が、親水性が高くなるようにその材質および形状が選択されることが望ましい。ちなみに、セパレータ15の表面に対する導水部材18の親水性の設定方法としては、例えば、セパレータ15の表面や導水部材18の表面における所定の液体(例えば、水)の接触角度を基準に行うことができる。
そして、図2に示すように、膜電極構造体10とセパレータ14との間、膜電極構造体10とセパレータ15との間、およびセパレータ15と隣り合う単セル1のセパレータ(図示せず)との間には、それぞれシール部材17が配置されるとともに、前記したように複数の単セル1が積層されることによって積層体2が構成される。そして、図1に示すように、燃料電池FCでは、一対のエンドプレート3およびエンドプレート4がこの積層体2をその両側から挟み込んで支持している。ちなみに、エンドプレート3には、セパレータ14の貫通孔14a,14b,14c,14d,14e,14f(図2参照)およびセパレータ15の貫通孔15a,15b,15c,15d,15e,15f(図2参照)と対応する位置に、貫通孔3a,3b,3c,3d,3e,3fが形成されており、貫通孔3aは、空気(反応ガス)の供給口に設定されており、貫通孔3fは、空気(反応ガス)の排出口に設定されており、貫通孔3dは、水素(反応ガス)の供給口に設定されており、貫通孔3cは、水素(反応ガス)の排出口に設定されており、貫通孔3bは、冷却水の供給口に設定されており、貫通孔3eは、冷却水の排出口に設定されている。
次に、本実施形態に係る燃料電池FCの動作について説明する。
この燃料電池FCでは、図1に示すエンドプレート3の貫通孔3dから加湿された水素(反応ガス)が供給されると、水素は、積層体2(図1参照)内で各単セル1の貫通孔14d、および貫通孔15d(図2参照)が連通し合って形成された前記供給孔(図示せず)内に流れ込む。そして、各単セル1では、水素がセパレータ14の貫通孔14dおよび連絡路14gを介して、セパレータ14の流路14sに流れ込む。次いで、流路14sに流れ込んだ水素は、セパレータ14の連絡路14hを介して貫通孔14cに排出される。つまり、積層体2(図1参照)内で各単セル1の貫通孔14c、および貫通孔15c(図2参照)が連通し合って形成された前記排出孔(図示せず)内に水素は流れ込む。そして、水素は、図1に示すエンドプレート3の貫通孔3cから排出される。
その一方で、図1に示すエンドプレート3の貫通孔3aから加湿された空気(反応ガス)が供給されると、空気は、積層体2(図1参照)内で各単セル1の貫通孔14a、および貫通孔15a(図2参照)が連通し合って形成された前記供給孔(図示せず)内に流れ込む。そして、各単セル1では、図3に示すセパレータ15の貫通孔15aおよび連絡路15gを介して、セパレータ15の流路15sに空気は流れ込む。次いで、流路15sに流れ込んだ空気は、セパレータ15の連絡路15hを介して貫通孔15fに排出される。つまり、積層体2(図1参照)内で各単セル1の貫通孔14f、および貫通孔15f(図2参照)が連通し合って形成された前記排出孔(図示せず)内に流れ込む。そして、空気は、図1に示すエンドプレート3の貫通孔3fから排出される。
この燃料電池FCでは、各単セル1のセパレータ14の流路14sに水素が流れ込むとともにセパレータ15の流路15sに空気が流れ込んだ際に、水素は、図4(b)に示す膜電極構造体10のガス拡散層21を介してアノード12側に拡散し、空気は膜電極構造体10のガス拡散層22を介してカソード13側に拡散する。その結果、アノード12では、触媒の作用によってプロトン(水素イオン)と電子に分解されて、プロトンが固体高分子電解質膜20を介してカソード13に透過し、電子が外部負荷を介してカソード13に移動する。なお、周知のとおり、アノード12で生じた電子は、図示しない所定の電極から取り出されるとともに、外部負荷を介してカソード13に戻る。一方、カソード13では、触媒の作用によって、固体高分子電解質膜20を透過したプロトンと、空気中の酸素と、外部負荷からの電子との反応によって水が生成される。
そして、カソード13で生成した水は、水滴となって発電部23(ガス拡散層22)のセパレータ15側の面に表出する。この水滴は、セパレータ15に形成された流路15sを流れる反応ガスに同伴して鉛直方向の下側に形成された空気の出口、つまり連絡路15h付近に向かって運ばれてくる。
そして、水滴がより多く集まる鉛直方向の下側の連絡路15h付近の非発電部24の表面、つまり、撥水層27の表面は、前記したように、発電部23のセパレータ15側の面と比較してより高い撥水性を示している。その結果、この燃料電池FCは、空気の出口付近(連絡路15h付近)に運ばれた水滴が連絡路15hから効率よく排出される。
そして、この燃料電池FCでは、この燃料電池FCの運転が停止することでガス拡散層22に残留した水は、図4(c)に示す集水層26に誘引される。その一方で、集水層26に誘引された水は、図5に示す導水部材18を介して連絡路15h近傍におけるセパレータ15の表面に排出される。
したがって、この燃料電池FCによれば、氷点下となるような低温環境下でその運転が停止された際に、膜電極構造体10における膨張応力の発生を効果的に抑制する。つまり、この燃料電池FCによれば、膜電極構造体10の耐久性を向上させることができる。
また、このような燃料電池FCにおいては、セパレータ15の表面が、導水部材18よりも親水性が高くなるように構成されることで、導水部材18からセパレータ15側への水の排出がさらに容易になる。
また、このような燃料電池FCによれば、ガス拡散層22やカソード13に残留する水は、導水部材18を介して排出されるので、水の排出に電力等の消費を伴うことがない。つまり、この燃料電池FCは、反応ガス供給制御手段によって燃料電池FCから水を排出させる従来のものと異なって、省エネルギ化を図ることができる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されることなく、様々な形態で実施される。ここで参照する図6は、他の実施形態に係る燃料電池を示す部分断面図であり、(a)は、導水部材の他端側がセパレータに接続される様子を示す図、(b)は、導水部材の変形例を示す図である。なお、ここでの他の実施形態において、前記実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
例えば、前記実施形態では、図5に示す導水部材18の他端側が、連絡路15h近傍におけるセパレータ15の表面に連結されているが、本発明は、図6(a)に示すように、導水部材18の他端側がセパレータ15の連絡路15hを介して貫通孔15fに連なっているとともに、この貫通孔15fの内壁面に連結されるものであってもよい。
この燃料電池FCでは、導水部材18の他端側が空気(反応ガス)の排出用の貫通孔15fにまで連なっているので、ガス拡散層22やカソード13からの水の排出が更に効果的に行われる。
また、本発明は、導水部材18が、連絡路15h近傍におけるセパレータ15の表面に接触しつつ、その導水部材18の他端側が、貫通孔15fに連なっているものであってもよい。
また、本発明は、図6(b)に示すように、第1の線状部材18aと、第2の線状部材18bとが互いに近接するように配置された導水部材18であってもよい。このような導水部材18では、第1の線状部材18aと第2の線状部材18bとの間を水が毛管現象によって伝わることとなる。
また、前記実施形態では、導水部材18が、カソード13側のガス拡散層22と固体高分子電解質膜20との間に形成された集水層26からセパレータ15側に延びて連結されているが、本発明はこれに限定されることなく、アノード12側のガス拡散層21に集水層を設けるとともに、この集水層からセパレータ14側に延びるように構成されていてもよい。
また、前記実施形態では、集水層26を形成する接着剤が、集水層26以外の部分(図4(a)に示す領域E以外の接着支持層25)を形成する接着剤と比較して親水性に富むものが使用されているが、本発明は、集水層26を形成する接着剤を接着支持層25全体に使用したものであってもよい。
実施形態に係る燃料電池の斜視図である。 単セルの積層構造を示す分解斜視図である。 カソード側に配置されるセパレータをカソード側から見た平面図である。 (a)は、膜電極構造体をアノード側から見た平面図、(b)は、(a)のX−X´断面図、(c)は、(b)の導水部材付近の様子を示す部分拡大図である。 導水部材がセパレータに連結された様子を示す燃料電池の部分断面図である。 他の実施形態に係る燃料電池を示す部分断面図であり、(a)は、導水部材の他端側がセパレータに接続される様子を示す図、(b)は、導水部材の変形例を示す図である。
符号の説明
10 膜電極構造体
12 アノード(電極触媒層)
13 カソード(電極触媒層)
14 セパレータ
14s 流路(反応ガスの流路)
15 セパレータ
15f 貫通孔(排出ガス用の貫通孔)
15s 流路(反応ガスの流路)
18 導水部材
20 固体高分子電解質膜
21 ガス拡散層
22 ガス拡散層
23 発電部
24 非発電部
26 集水層
FC 燃料電池

Claims (5)

  1. 固体高分子電解質膜の両面のそれぞれに電極触媒層およびガス拡散層を有する膜電極構造体が、反応ガスの流路を有する一対のセパレータで挟持された燃料電池において、
    前記ガス拡散層が、前記電極触媒層に面する面と前記セパレータに面する面の双方を備える発電部と、この発電部の周囲で前記固体高分子電解質膜に面する面と前記セパレータに面する面の双方を備える非発電部とを有しており、
    前記非発電部における前記ガス拡散層と前記固体高分子電解質膜との間にその一端側が埋設されるとともに、その他端側が前記セパレータに連結された導水部材を備えることを特徴とする燃料電池。
  2. 前記セパレータには、排出ガス用の貫通孔が形成されており、前記導水部材の他端側が前記貫通孔まで連なっていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
  3. 前記セパレータが、前記導水部材よりも親水性が高いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池。
  4. 前記非発電部における前記ガス拡散層と前記固体高分子電解質膜との間に、集水層がさらに形成され、この集水層は、前記ガス拡散層よりも親水性が高いことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池。
  5. 前記導水部材が、網状部材または線状部材であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池。
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