JP5191868B2 - 燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、電解質膜の両側に一対の電極を設けた電解質膜・電極構造体とセパレータとが積層される燃料電池に関する。
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる固体高分子電解質膜の両側に、それぞれアノード側電極及びカソード側電極を配設した電解質膜・電極構造体(電解質・電極構造体)を、セパレータによって挟持して構成されている。
この種の燃料電池では、例えば、車載用として構成するために、通常、数十〜数百の前記燃料電池を積層した燃料電池スタックが採用されている。例えば、特許文献1には、両端部にパッキングを配置した複数の燃料電池用セルと、この燃料電池用セル間に積層され、片面にガス供給溝が付けられ且つ反対面に冷却水供給溝が付けられて前記セルと共に積層体を構成する複数のバイポーラセパレータと、前記積層体を両主面側からエンドセパレータを介して挟み込むフランジとを具備する燃料電池用スタックにおいて、前記セルとパッキング間に、セルのつぶれ量を調節するスペーサを、セルと同一層に設けた燃料電池用スタックが開示されている。
特開平6−267567号公報
上記の従来技術では、セルとパッキング間に、比較的硬質なスペーサが配設されている。このため、燃料電池用スタックに、セルの積層方向と交差する方向の衝撃(外部荷重)が付与される際、前記セルを構成するセパレータが変形するおそれがある。これにより、セル内のシール性が低下するという問題がある。
本発明はこの種の問題を解決するものであり、外部荷重を良好に受けるとともに、簡単な構成で、所望のシール性を確実に保持することが可能な燃料電池を提供することを目的とする。
本発明は、電解質膜の両側に一対の電極を設けた電解質膜・電極構造体とセパレータとが積層される燃料電池に関するものである。セパレータは、シール部材を一体に設け、前記セパレータの外周部には、外部荷重を受ける樹脂製荷重受け部が設けられるとともに、前記シール部材と前記樹脂製荷重受け部との間に延在する部分を有して前記外周部に配置される変形抑制部材を備えている。
また、変形抑制部材は、セパレータの全周を周回して連続的に設けられることが好ましい。
さらに、セパレータは、金属セパレータであり、前記金属セパレータにシール部材が一体成形されるとともに、変形抑制部材は、前記金属セパレータに一体成形される樹脂部材であることが好ましい。
本発明によれば、燃料電池の積層方向に交差する方向から外部荷重が付与されると、セパレータの外周部に設けられている樹脂製荷重受け部が、前記外部荷重を良好に吸収することができる。
しかも、変形抑制部材は、樹脂製荷重受け部とシール部材との間に延在する部分を有している。このため、樹脂製荷重受け部が外部荷重を受ける際に、セパレータが前記樹脂製荷重受け部とシール部材との間で変形することを確実に阻止することが可能になる。これにより、簡単な構成で、反応ガス流路等のシール性を良好に保持することができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池10の分解斜視説明図である。複数の燃料電池10が矢印A方向に積層されて、例えば、車載用燃料電池スタックが構成される。
燃料電池10は、第1電解質膜・電極構造体12a及び第2電解質膜・電極構造体12bと、第1セパレータ14、第2セパレータ16及び第3セパレータ18とを備える。第1セパレータ14及び第2セパレータ16の間で、第1電解質膜・電極構造体12aを挟持する一方、前記第2セパレータ16及び第3セパレータ18の間で、第2電解質膜・電極構造体12bを挟持する。第1セパレータ14〜第3セパレータ18は、金属セパレータで構成されているが、例えば、カーボンセパレータを採用してもよい。
燃料電池10の長辺方向の一端縁部(上端縁部)には、矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス入口連通孔20aと、燃料ガス、例えば、水素含有ガスを供給するための燃料ガス入口連通孔22aとが設けられる。
燃料電池10の長辺方向の他端縁部(下端縁部)には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを排出するための燃料ガス出口連通孔22bと、酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス出口連通孔20bとが設けられる。
燃料電池10の短辺方向(矢印B方向)の一端縁部には、冷却媒体を供給するための2つの冷却媒体入口連通孔24aが設けられるとともに、前記燃料電池10の短辺方向の他端縁部には、冷却媒体を排出するための2つの冷却媒体出口連通孔24bが設けられる。
第1電解質膜・電極構造体12a及び第2電解質膜・電極構造体12bは、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜26と、前記固体高分子電解質膜26を挟持するアノード側電極28及びカソード側電極30とを備える。
アノード側電極28及びカソード側電極30は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層(図示せず)と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布されて形成される電極触媒層(図示せず)とを有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜26の両面に形成される。
第1セパレータ14の第1電解質膜・電極構造体12aに向かう面14aには、例えば、矢印C方向に延在する第1酸化剤ガス流路32が設けられるとともに、この第1酸化剤ガス流路32は、酸化剤ガス入口連通孔20aと酸化剤ガス出口連通孔20bとに連通する。第1セパレータ14の面14bには、冷却媒体入口連通孔24aと冷却媒体出口連通孔24bとを連通する冷却媒体流路34が形成される。この冷却媒体流路34は、矢印B方向に延在する。
第2セパレータ16の第1電解質膜・電極構造体12aに向かう面16aには、燃料ガス入口連通孔22aと燃料ガス出口連通孔22bとを連通する第1燃料ガス流路36が形成される。この第1燃料ガス流路36は、例えば、矢印C方向に延在する。第2セパレータ16の第2電解質膜・電極構造体12bに向かう面16bには、酸化剤ガス入口連通孔20aと酸化剤ガス出口連通孔20bと連通する第2酸化剤ガス流路38が設けられる。
第3セパレータ18の第2電解質膜・電極構造体12bに向かう面18aには、燃料ガス入口連通孔22aと燃料ガス出口連通孔22bとを連通する第2燃料ガス流路40が形成される。第3セパレータ18の面18bには、第1セパレータ14の面14bと重なり合って冷却媒体流路34が一体的に形成される。
第1セパレータ14の面14a、14bには、この第1セパレータ14の外周端縁部を周回して第1シール部材42が一体成形される。第2セパレータ16の面16a、16bには、この第2セパレータ16の外周端縁部を周回して第2シール部材44が一体成形されるとともに、第3セパレータ18の面18a、18bには、この第3セパレータ18の外周端縁部を周回して第3シール部材46が一体成形される。
第1シール部材42〜第3シール部材46としては、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材が用いられる。
第1セパレータ14の外周部には、複数の樹脂製荷重受け部(樹脂製ガイド部)50が一体化される。第1の実施形態では、長辺側(鉛直側)に3つずつ荷重受け部50が設けられるとともに、短辺側(水平側)に1つずつ前記荷重受け部50が設けられる。
第1セパレータ14には、各荷重受け部50を周回して変形抑制部材、例えば、樹脂部材52が一体成形される。この樹脂部材52は、図2及び図3に示すように、第1シール部材42と荷重受け部50との間に延在する迂回部52aを有し、両端が第1セパレータ14の外周部で終端する。
第2セパレータ16及び第3セパレータ18には、それぞれ第1セパレータ14の各荷重受け部50と矢印A方向に重ね合う位置に対応して、複数の樹脂製荷重受け部50が一体化される。第2セパレータ16及び第3セパレータ18には、第1セパレータ14と同様に、各荷重受け部50を周回して樹脂部材52が一体成形される。
なお、荷重受け部50は、第1セパレータ14、第2セパレータ16又は第3セパレータ18の少なくともいずれかに設けてもよい。
このように構成される燃料電池10の動作について、以下に説明する。
先ず、図1に示すように、燃料電池10では、酸化剤ガス入口連通孔20aに酸素含有ガス等の酸化剤ガス(空気)が供給されるとともに、燃料ガス入口連通孔22aに水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。さらに、2つの冷却媒体入口連通孔24aには、純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。
酸化剤ガスは、燃料電池10の酸化剤ガス入口連通孔20aに供給されて矢印A方向に移動し、第1セパレータ14の第1酸化剤ガス流路32及び第2セパレータ16の第2酸化剤ガス流路38に導入される。第1酸化剤ガス流路32に導入された酸化剤ガスは、第1電解質膜・電極構造体12aのカソード側電極30に沿って移動する一方、第2酸化剤ガス流路38に導入された酸化剤ガスは、第2電解質膜・電極構造体12bのカソード側電極30に沿って移動する。
燃料ガスは、燃料電池10の燃料ガス入口連通孔22aから第2セパレータ16の第1燃料ガス流路36及び第3セパレータ18の第2燃料ガス流路40に導入される。このため、燃料ガスは、第1電解質膜・電極構造体12a及び第2電解質膜・電極構造体12bの各アノード側電極28に沿って移動する。
従って、第1電解質膜・電極構造体12a及び第2電解質膜・電極構造体12bでは、各カソード側電極30に供給される酸化剤ガスと、各アノード側電極28に供給される燃料ガスとが、図示しない電極触媒層内で電気化学反応により消費され、発電が行われる。
次いで、各カソード側電極30に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口連通孔20bに沿って流動した後、燃料電池10から排出される。同様に、各アノード側電極28に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス出口連通孔22bに排出されて流動し、燃料電池10から排出される。
また、冷却媒体は、冷却媒体入口連通孔24aから燃料電池10間の冷却媒体流路34に導入された後、矢印B方向に沿って流動する。この冷却媒体は、第1電解質膜・電極構造体12a及び第2電解質膜・電極構造体12bを間引き冷却した後、冷却媒体出口連通孔24bを移動して燃料電池10から排出される。
ところで、燃料電池10は、車載用として図示しない車両に搭載されており、その積層方向(矢印A方向)が車長方向に向かって配置されている。そして、燃料電池10に対し、側方から外部荷重Fが付与されると(図2参照)、前記燃料電池10の外周部に設けられている荷重受け部50は、前記外部荷重Fを受けて該外部荷重Fを吸収する。その際、外部荷重Fが、燃料電池10の側方斜めから付与されると、荷重受け部50は、図2中、二点鎖線に示すように変形しようとする。
この場合、第1の実施形態では、例えば、図3に示すように、第1セパレータ14は、樹脂部材52を一体に備えている。そして、この樹脂部材52は、第1シール部材42と荷重受け部50との間に延在する迂回部52aを有し、両端が第1セパレータ14の外周部で終端している。
このため、荷重受け部50が外部荷重Fを受ける際に、第1セパレータ14は、前記荷重受け部50と第1シール部材42の間で変形することを確実に阻止することが可能になる。これにより、第1シール部材42は、所望のシール機能を保持することができ、簡単な構成で、シール性を良好に確保することが可能になるという効果が得られる。
また、第2セパレータ16及び第3セパレータ18においても、上記の第1セパレータ14と同様の効果が得られる。
なお、第1の実施形態では、燃料電池10は、2枚の電解質膜・電極構造体(第1及び第2電解質膜・電極構造体12a、12b)と3枚のセパレータ(第1〜第3セパレータ14、16及び18)とにより構成されているが、これに限定されるものではない。例えば、1枚の電解質膜・電極構造体と2枚のセパレータとで構成してもよい。以下の第2の実施形態においても、同様である。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池60の分解斜視説明図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
燃料電池60は、第1電解質膜・電極構造体12a及び第2電解質膜・電極構造体12bと、第1セパレータ62、第2セパレータ64及び第3セパレータ66とを備える。
第1セパレータ62には、各荷重受け部50を周回して変形抑制部材、例えば、樹脂部材68が一体成形される。この樹脂部材68は、第1シール部材42と荷重受け部50との間に延在する迂回部68aを有し、且つ第1セパレータ14の外周部全周を周回して連続的に設けられる。
第2セパレータ64及び第3セパレータ66は、上記の第1セパレータ62と同様に構成される。
このように、第2の実施形態では、例えば、第1セパレータ62は、樹脂部材68を一体に備えており、荷重受け部50が外部荷重Fを受ける際に、前記第1セパレータ62が前記荷重受け部50と第1シール部材42の間で変形することを確実に阻止することが可能になる。これにより、簡単な構成で、シール性を良好に確保することが可能になる等、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
本発明の第1の実施形態に係る燃料電池の分解斜視説明図である。 前記燃料電池の、図1中、II−II線断面図である。 前記燃料電池を構成する第1セパレータの要部拡大説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る燃料電池の分解斜視説明図である。
符号の説明
10、60…燃料電池 12a、12b…電解質膜・電極構造体
14、16、18、62、64、66…セパレータ
20a…酸化剤ガス入口連通孔 20b…酸化剤ガス出口連通孔
22a…燃料ガス入口連通孔 22b…燃料ガス出口連通孔
24a…冷却媒体入口連通孔 24b…冷却媒体出口連通孔
26…固体高分子電解質膜 28…アノード側電極
30…カソード側電極 32、38…酸化剤ガス流路
34…冷却媒体流路 36、40…燃料ガス流路
42、44、46…シール部材 50…荷重受け部
52、68…樹脂部材 52a、68a…迂回部

Claims (4)

  1. 電解質膜の両側に一対の電極を設けた電解質膜・電極構造体とセパレータとが積層される燃料電池であって、
    前記セパレータは、シール部材を一体に設け、
    前記セパレータの外周部には、外部荷重を受ける樹脂製荷重受け部が設けられるとともに、
    前記シール部材と前記樹脂製荷重受け部との間に延在する部分を有して前記外周部に配置される変形抑制部材を備え、前記セパレータは、金属セパレータであり、
    前記金属セパレータと前記シール部材が一体成形されるとともに、
    前記変形抑制部材は、前記金属セパレータと一体成形される樹脂部材であることを特徴とする燃料電池。
  2. 請求項1記載の燃料電池において、前記変形抑制部材は、前記セパレータの全周を周回して連続的に設けられることを特徴とする燃料電池。
  3. 請求項1又は2記載の燃料電池において、前記変形抑制部材は前記セパレータの両面に設けられることを特徴とする燃料電池。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の燃料電池において、前記変形抑制部材はシール部材と樹脂製荷重受け部との間に迂回部を有することを特徴とする燃料電池。
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