JP5112004B2 - 燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、電解質の両側に一対の電極を配設した電解質・電極構造体を備え、前記電解質・電極構造体と金属セパレータとが積層されるとともに、少なくとも燃料ガス、酸化剤ガス又は冷却媒体のいずれかである流体を前記金属セパレータの面方向に流す流体流路と、前記流体を積層方向に供給する流体連通孔とが前記積層方向に形成される燃料電池に関する。
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる電解質膜の両側に、それぞれアノード側電極及びカソード側電極を配設した電解質膜・電極構造体(MEA)を、セパレータによって挟持した発電セルを備えている。この種の燃料電池は、通常、所定の数の発電セルを積層することにより、燃料電池スタックとして使用されている。
上記の燃料電池には、セパレータの面内に、アノード側電極に対向して燃料ガス(流体)を流すための燃料ガス流路(流体流路)と、カソード側電極に対向して酸化剤ガス(流体)を流すための酸化剤ガス流路(流体流路)とが設けられている。
さらに、セパレータの周縁部には、該セパレータの積層方向に貫通して、燃料ガス流路に連通する流体連通孔である燃料ガス入口連通孔及び燃料ガス出口連通孔と、酸化剤ガス流路に連通する流体連通孔である酸化剤ガス入口連通孔及び酸化剤ガス出口連通孔とが形成されている。また、セパレータ間には、電解質膜・電極構造体を冷却するための冷却媒体流路(流体流路)が設けられるとともに、積層方向に貫通して前記冷却媒体流路に連通する冷却媒体入口連通孔及び冷却媒体出口連通孔(流体連通孔)が形成されている。
この場合、流体流路と流体連通孔とは、流体を円滑且つ均等に流すために平行溝部等を有する連結流路を介して連通している。ところが、セパレータと電解質膜・電極構造体とを、シール部材を介装して締め付け固定する際に、このシール部材が連結流路内に進入してしまい、所望のシール性を維持することができず、しかも反応ガスが良好に流れないという問題がある。
そこで、特許文献1に開示されている固体高分子型燃料電池スタックでは、図17に示すように、セパレータ1の面内に蛇行する反応ガス流路、例えば、酸化剤ガス流路2が形成されている。この酸化剤ガス流路2は、セパレータ1の周縁部に積層方向に貫通した酸化剤ガス供給用貫通孔3と酸化剤ガス排出用貫通孔4とに連通している。セパレータ1にはパッキン5が配置されており、このセパレータ1の面内で貫通孔3、4と酸化剤ガス流路2とを連通するとともに、他の貫通孔をこれらからシールしている。
貫通孔3、4と酸化剤ガス流路2とを連通する連結流路6a、6bには、この連結流路6a、6bを覆ってシール部材であるSUS板7が配置されている。SUS板7は長方形状に構成されており、それぞれ2箇所に耳部7a、7bが設けられるとともに、各耳部7a、7bは、セパレータ1に形成された段差部8に嵌合している。
このように、特許文献1では、SUS板7が連結流路6a、6bを覆っているために、高分子膜(図示せず)及びパッキン5が酸化剤ガス流路2に落ち込むことがなく、所望のシール性を確保して、反応ガスの圧力損失の増大を防止することができる、としている。
特開2001−266911号公報
しかしながら、上記の特許文献1では、セパレータ1の連結流路6a、6bにそれぞれSUS板7が装着されており、前記SUS板7の装着作業が煩雑である。特に、数十〜数百の燃料電池が積層される場合には、SUS板7の装着工程が相当に煩雑で且つ時間のかかるものとなってしまうとともに、コストが大幅に高騰するという問題がある。
本発明はこの種の問題を解決するものであり、燃料電池の組立工程が有効に簡素化されるとともに、経済的且つ簡単な構成で、所望のシール機能を確保することが可能な燃料電池を提供することを目的とする。
本発明は、電解質の両側に一対の電極を配設した電解質・電極構造体を備え、前記電解質・電極構造体と金属セパレータとが積層されるとともに、少なくとも燃料ガス、酸化剤ガス又は冷却媒体のいずれかである流体を前記金属セパレータの面方向に流す流体流路と、前記流体を積層方向に供給する流体連通孔とが形成される燃料電池に関するものである。
そして、金属セパレータには、流体流路と流体連通孔との間を仕切る複数のゴム製壁部材が設けられ、前記ゴム製壁部材間には、前記流体流路と前記流体連通孔とを連通する通路用溝部が形成されるとともに、前記ゴム製壁部材の頂部上面部は、前記通路用溝部に隣接する少なくとも一方の端縁部分の剛性が他の部分の剛性よりも高く設定されている。
また、少なくとも一方の端縁部分は、他の部分よりも高さ方向の寸法が大きく設定されることが好ましい。
さらに、ゴム製壁部材は、通路用溝部間で分割用溝部を介して3以上のブロック部に分割されるとともに、前記通路用溝部側の前記ブロック部は、他の前記ブロック部よりも高さ方向の寸法が大きく設定されることが好ましい。
さらにまた、分割用溝部には、ブロック部間から流体の流れを阻止可能な隔壁部が設けられることが好ましい。
また、金属セパレータを構成する金属プレートには、ゴム製壁部材の端縁部分に対応して1以上の補強用屈曲部が設けられることが好ましい。
さらに、金属セパレータには、ゴム製壁部材の裏面側に通路用溝部の範囲を覆って補強用樹脂部材が設けられることが好ましい。
本発明によれば、流体流路と流体連通孔との間を仕切る複数のゴム製壁部材を備え、前記ゴム製壁部材の頂部上面部は、通路用溝部に隣接する少なくとも一方の端縁部分の剛性が他の部分の剛性よりも高く設定されている。このため、通路用溝部は、必要量の流体を流すために、比較的大きな幅寸法に設定されても、前記通路用溝部に対応してセパレータの撓み量が大きくなることを阻止することができる。従って、シール線圧が低下することがなく、経済的且つ簡単な構成で、良好なシール性を確実に保持することが可能になる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池10の要部分解斜視説明図である。図2は、複数の燃料電池10を矢印A方向に積層する燃料電池スタック12の、図1中、II−II線断面説明図であり、図3は、前記燃料電池スタック12の、図1中、III−III線断面説明図である。
図1に示すように、燃料電池10は、電解質膜・電極構造体(電解質・電極構造体)14が、第1及び第2金属セパレータ16、18に挟持されている。第1及び第2金属セパレータ16、18は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、あるいはめっき処理鋼板等により構成される。
燃料電池10の矢印B方向(図1中、水平方向)の一端縁部には、積層方向である矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス入口連通孔20a、冷却媒体を排出するための冷却媒体出口連通孔22b、及び燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出するための燃料ガス出口連通孔24bが、矢印C方向(鉛直方向)に配列して設けられる。
燃料電池10の矢印B方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス入口連通孔24a、冷却媒体を供給するための冷却媒体入口連通孔22a、及び酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス出口連通孔20bが、矢印C方向に配列して設けられる。酸化剤ガス入口連通孔20a、酸化剤ガス出口連通孔20b、冷却媒体入口連通孔22a、冷却媒体出口連通孔22b、燃料ガス入口連通孔24a及び燃料ガス出口連通孔24bは、流体連通孔を構成する。
図1及び図4に示すように、第1金属セパレータ16の電解質膜・電極構造体14側の面16aには、例えば、矢印B方向に延在する酸化剤ガス流路(流体流路)26が設けられる。酸化剤ガス流路26は、第1金属セパレータ16を波形状に成形することにより設けられる複数の溝部を備えており、前記酸化剤ガス流路26と酸化剤ガス入口連通孔20a及び酸化剤ガス出口連通孔20bとは、連結流路28a、28bを介して連通する。
第1金属セパレータ16の面16a、16bには、この第1金属セパレータ16の外周端部を周回して、第1シール部材(ゴム製シール部材)32が焼き付けや射出成形等により一体化される。第1シール部材32は、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコンゴム、フロロシリコンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン、又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材を使用する。
第1シール部材32は、第1金属セパレータ16の面16aに一体化される第1平面部34と、前記第1金属セパレータ16の面16bに一体化される第2平面部36とを備える。図4に示すように、第1平面部34は、酸化剤ガス入口連通孔20a及び酸化剤ガス出口連通孔20bを酸化剤ガス流路26に連通するようにこれらの周囲を囲繞して形成される一方、第2平面部36は、冷却媒体入口連通孔22a及び冷却媒体出口連通孔22bを冷却媒体流路(後述する)に連通して形成される。
図1及び図5に示すように、第2金属セパレータ18の電解質膜・電極構造体14側の面18aには、燃料ガス入口連通孔24aと燃料ガス出口連通孔24bとに連通し、矢印B方向に延在する燃料ガス流路(流体流路)40が形成される。燃料ガス流路40は、複数の溝部を備えるとともに、前記燃料ガス流路40と燃料ガス入口連通孔24a及び燃料ガス出口連通孔24bとは、後述するように、連通する。
図1に示すように、第2金属セパレータ18の面18aとは反対の面18bには、冷却媒体入口連通孔22aと冷却媒体出口連通孔22bとに連通する冷却媒体流路(流体流路)46が形成される。
第2金属セパレータ18の面18a、18bには、この第2金属セパレータ18の外周端部を周回して、第2シール部材(ゴム製シール部材)48が一体化される。この第2シール部材48は、上記の第1シール部材32と同一の材料で構成される。
図5に示すように、第2シール部材48は、第2金属セパレータ18の外周端部に近接して面18aに設けられる外側凸状シール50aを備え、この外側凸状シール50aから内方に所定の距離だけ離間して内側凸状シール50bが設けられる。この内側凸状シール50bは、燃料ガス流路40を閉塞している。
面18aには、酸化剤ガス入口連通孔20a及び酸化剤ガス出口連通孔20bの近傍に位置して、それぞれブロック状のゴムブリッジ部(ゴム製壁部材)52a、52bが複数形成される。図5及び図6に示すように、各ゴムブリッジ部52a間には、酸化剤ガス入口連通孔20aと酸化剤ガス流路26とを連通する複数の通路用溝部56aが形成される。
ゴムブリッジ部52aの頂部上面部54aは、通路用溝部56aに隣接する少なくとも一方の端縁部分、第1の実施形態では、両側(両方)の端縁部分58aの剛性が、他の部分60aの剛性よりも高く設定される。具体的には、端縁部分58aの高さh1は、他の部分60aの高さh2よりも大きく設定される。
図5に示すように、ゴムブリッジ部52b間には、同様に酸化剤ガス出口連通孔20bと酸化剤ガス流路26とを連通する複数の通路用溝部56bが形成される。ゴムブリッジ部52bの頂部上面部54bは、通路用溝部56bに隣接する両側の端縁部分58bの剛性が、他の部分60bの剛性よりも高く設定される。具体的には、端縁部分58bは、他の部分60bよりも高さ方向の寸法が大きく設定される。
図7に示すように、第2金属セパレータ18の面18bには、第2シール部材48を構成する外側凸状シール62aと、この外側凸状シール62aの内方に離間し冷却媒体流路46を囲繞して設けられる内側凸状シール62bとが形成される。
冷却媒体入口連通孔22a及び冷却媒体出口連通孔22bの近傍に位置して、それぞれゴムブリッジ部(ゴム製壁部材)64a、64bが複数形成される。各ゴムブリッジ部64a間には、冷却媒体入口連通孔22aと冷却媒体流路46とを連通する複数の通路用溝部66aが形成される。ゴムブリッジ部64aの頂部上面部65aは、通路用溝部66aに隣接する両側(両方)の端縁部分68aの剛性が、他の部分70aの剛性よりも高く設定される。具体的には、端縁部分68aは、他の部分70aよりも高さ方向の寸法が大きく設定される。
ゴムブリッジ部64b間には、同様に冷却媒体出口連通孔22bと冷却媒体流路46とを連通する複数の通路用溝部66bが形成される。ゴムブリッジ部64bの頂部上面部65bは、通路用溝部66bに隣接する両側の端縁部分68bの剛性が、他の部分70bの剛性よりも高く設定される。具体的には、端縁部分68bは、他の部分70bよりも高さ方向の寸法が大きく設定される。
図2及び図3に示すように、第2金属セパレータ18の両面では、ゴムブリッジ部52a、52bが、外側凸状シール62aの一部(シール用凸部)に積層方向に重なり合う一方、ゴムブリッジ部64a、64bが、外側凸状シール50aの一部(シール用凸部)に積層方向に重なり合っている。
図7に示すように、第2金属セパレータ18の面18bには、それぞれ燃料ガス入口連通孔24a及び燃料ガス出口連通孔24bに連通する複数の通路72a、72bが形成される。各通路72a、72bは、複数の孔部74a、74bに連通するとともに、前記孔部74a、74bは、面18aに設けられた燃料ガス流路40に連通する(図5参照)。
図1に示すように、電解質膜・電極構造体14は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜80と、前記固体高分子電解質膜80を挟持するアノード側電極82及びカソード側電極84とを備える。アノード側電極82の表面積は、カソード側電極84及び固体高分子電解質膜80の表面積よりも小さく設定され、所謂、段差MEAを構成する。
アノード側電極82及びカソード側電極84は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布された電極触媒層とを有する。電極触媒層は、互いに固体高分子電解質膜80を介装して対向するように、前記固体高分子電解質膜80の両面に接合されている。
このように構成される燃料電池10の動作について、以下に説明する。
先ず、図1に示すように、燃料ガス入口連通孔24aに水素含有ガス等の燃料ガスが供給されるとともに、酸化剤ガス入口連通孔20aに酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給される。さらに、冷却媒体入口連通孔22aに純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。
このため、燃料ガスは、図5に示すように、第2金属セパレータ18の燃料ガス入口連通孔24aから通路72aを通った後、複数の孔部74aから面18a側に移動して燃料ガス流路40に導入される。燃料ガス流路40では、燃料ガスが矢印B方向に移動しながら、電解質膜・電極構造体14を構成するアノード側電極82に供給される。
一方、酸化剤ガスは、図2及び図6に示すように、酸化剤ガス入口連通孔20aから第2金属セパレータ18に設けられたゴムブリッジ部52aの各通路用溝部56aを通って第1金属セパレータ16の酸化剤ガス流路26に導入される。これにより、酸化剤ガスは、図1及び図4に示すように、酸化剤ガス流路26を矢印B方向に移動しながら、電解質膜・電極構造体14を構成するカソード側電極84に供給される。
従って、電解質膜・電極構造体14では、カソード側電極84に供給される酸化剤ガスと、アノード側電極82に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費され、発電が行われる。
次いで、アノード側電極82に供給されて消費された燃料ガスは、複数の孔部74bから通路72bに移動した後、燃料ガス出口連通孔24bに沿って矢印A方向に排出される。同様に、カソード側電極84に供給されて消費された酸化剤ガスは、ゴムブリッジ部52bの通路用溝部56bから酸化剤ガス出口連通孔20bに沿って矢印A方向に排出される。
また、冷却媒体入口連通孔22aに供給された冷却媒体は、図7に示すように、ゴムブリッジ部64aの各通路用溝部66aを通って第1及び第2金属セパレータ16、18間の冷却媒体流路46に導入された後、矢印B方向に流通する。この冷却媒体は、電解質膜・電極構造体14を冷却した後、ゴムブリッジ部64bの各通路用溝部66bを通って冷却媒体出口連通孔22bに排出される。
この場合、第1の実施形態では、図5及び図6に示すように、酸化剤ガス入口連通孔20aと酸化剤ガス流路26との間を仕切る複数のゴムブリッジ部52aを備え、前記ゴムブリッジ部52a間には、酸化剤ガス入口連通孔20aと前記酸化剤ガス流路26とを連通する1以上の通路用溝部56aが形成されている。さらに、ゴムブリッジ部52aの頂部上面部54aは、通路用溝部56aに隣接する両側の端縁部分58aの剛性が、他の部分60aの剛性よりも高く設定されている。具体的には、端縁部分58aの高さh1は、他の部分60aの高さh2よりも大きく設定される。
このため、通路用溝部56aは、必要量の酸化剤ガスを流すために、比較的大きな幅寸法に設定されても、前記通路用溝部56aに対応して第2金属セパレータ18の撓み量が大きくなることを阻止することができる。従って、ゴムブリッジ部52aは、シール線圧が低下することがなく、良好なシール性を確実に保持することが可能になるという効果が得られる。
なお、酸化剤ガス出口連通孔20bと酸化剤ガス流路26との間を仕切るゴムブリッジ部52bは、上記のゴムブリッジ部52aと同様の効果が得られる。
一方、図7に示すように、冷却媒体入口連通孔22aと冷却媒体流路46との間を仕切る複数のゴムブリッジ部64aを備え、前記ゴムブリッジ部64a間には、前記冷却媒体入口連通孔22aと前記冷却媒体流路46とを連通する1以上の通路用溝部66aが形成されている。さらに、ゴムブリッジ部64aの頂部上面部65aは、通路用溝部66aに隣接する両側の端縁部分68aの剛性が、他の部分70aの剛性よりも高く設定されている。
これにより、通路用溝部66aは、必要量の冷却媒体を流すために、比較的大きな幅寸法に設定されても、前記通路用溝部66aに対応して第2金属セパレータ18の撓み量が大きくなることを阻止することができる等、上記のゴムブリッジ部52aと同様の効果が得られる。
なお、冷却媒体出口連通孔22bと冷却媒体流路46とを仕切るゴムブリッジ部64bは、上記のゴムブリッジ部64aと同様の効果が得られる。
さらにまた、第1の実施形態では、第2金属セパレータ18の面18a、18bに第2シール部材48が一体成形される際、ゴムブリッジ部52a、52b、64a及び64bも一体成形されている。これにより、シール成形工程が一挙に簡素化され、第2金属セパレータ18の生産性を有効に向上させることができるという利点が得られる。
なお、第1の実施形態では、第2金属セパレータ18の面18a、18bにそれぞれ外側凸状シール50a、内側凸状シール50b、外側凸状シール62a及び内側凸状シール62bを設けているが、これに限定されるものではない。例えば、第2金属セパレータ18の面18bに、内側凸状シール62bとゴムブリッジ部64a、64bとを一体成形する一方、前記第2金属セパレータ18の面18aには、外側凸状シール50aのみを設けてもよい。また、以下に説明する第2〜第7の実施形態においても、同様である。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池を構成する第2金属セパレータ90の一方の面18aの説明図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池10を構成する第2金属セパレータ18と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3〜第7の実施形態においても同様に、その説明は省略する。
酸化剤ガス入口連通孔20a及び酸化剤ガス出口連通孔20bの近傍に位置してそれぞれゴムブリッジ部(ゴム製壁部材)92a、92bが複数形成される。図8及び図9に示すように、ゴムブリッジ部92aは、分割用溝部94aを介して2分割される。分割用溝部94aには、酸化剤ガスの流れを阻止する遮蔽用ゴム部材96aが設けられる。
各ゴムブリッジ部92aは、通路用溝部56a側の端縁部分58aの剛性が、分割用溝部94a側の他の部分60aの剛性よりも高く設定される。
図8に示すように、ゴムブリッジ部92bは、分割用溝部94bを介して2分割される。分割用溝部94bには、酸化剤ガスの流れを阻止する遮蔽用ゴム部材96bが設けられる。各ゴムブリッジ部92bでは、上記のゴムブリッジ部92aと同様に、通路用溝部56b側の端縁部分58bの剛性が、分割用溝部94b側の他の部分60bの剛性よりも高く設定される。
そこで、図10に示すように、ゴムブリッジ部92a、92bを用いた場合と、高さ寸法が一定のゴムブリッジ部9(比較例)を用いた場合とにおいて、線圧変動を比べたところ、高さが一定のゴムブリッジ部9では、特に、通路用溝部56a、56b間で線圧が著しく低下している。
これに対して、ゴムブリッジ部92a、92bでは、端縁部分58a、58bが他の部分60a、60bよりも高く構成されており、剛性が向上して通路用溝部56a、56b間での線圧変動が有効に抑制されている。これにより、第2の実施形態では、線圧のばらつきが減少し、第2金属セパレータ90の変形が有効に抑制されるという効果が得られる。なお、この効果は、第1の実施形態でも同様である一方、第3の実施形態以降においても同様である。
図11は、本発明の第3の実施形態に係る燃料電池を構成する第2金属セパレータ100の一方の面18aの説明図である。
酸化剤ガス入口連通孔20a及び酸化剤ガス出口連通孔20bの近傍に位置して、それぞれゴムブリッジ部(ゴム製壁部材)102a、102bが複数形成される。図11及び図12に示すように、ゴムブリッジ部102aは、複数、例えば、2つの分割用溝部104aを介して3分割される。各分割用溝部104aには、酸化剤ガスの流れを阻止する遮蔽用ゴム部材106aが設けられる。
各ゴムブリッジ部102aは、実質的に3つのブロック部108a、110a及び108aに分割されるとともに、通路用溝部56a側の前記ブロック部108a、108aは、他の前記ブロック部110aよりも高さ方向の寸法が大きく設定される。
ゴムブリッジ部102bは、同様に、2つの分割用溝部104bを介して3つのブロック部108b、110b及び108bに分割される。各分割用溝部104bには、遮蔽用ゴム部材106bが設けられるとともに、通路用溝部56b側のブロック部108b、108bは、他のブロック部110bよりも高さ方向の寸法が大きく設定される。
このように構成される第3の実施形態では、通路用溝部56a、56b側のブロック部108a、108bが、他のブロック部110a、110bよりも高さ方向の寸法が大きく設定されている。このため、通路用溝部56a、56b側の変形を有効に阻止することができる等、上記の第1及び第2の実施形態と同様の効果が得られる。
図13は、本発明の第4の実施形態に係る燃料電池を構成する第2金属セパレータ120の要部断面説明図である。
第2金属セパレータ120を構成する金属プレート122は、ゴムブリッジ部52a、52bの通路用溝部56a、56bに近接する部分に対応し、すなわち、端縁部分58a、58bに対応して、補強用屈曲部124を設ける。従って、第2金属セパレータ120は、通路用溝部56a、56bの幅寸法が比較的大きく設定されていても、締め付け荷重によってこの第2金属セパレータ120に部分的な大きな変形が発生することを阻止することができ、良好なシール性を保持することが可能になる。
図14は、本発明の第5の実施形態に係る燃料電池を構成する第2金属セパレータ130の要部断面説明図である。
この第2金属セパレータ130には、ゴムブリッジ部102a、102bが設けられる。第2金属セパレータ130を構成する金属プレート132は、各ブロック部108a、108b、110a及び110bに対応して、補強用屈曲部134を設ける。これにより、ゴムブリッジ部102a、102bに荷重が付与された際、金属プレート132が変形することを可及的に阻止し、第2金属セパレータ130全体の変形を防止することができるという効果が得られる。
図15は、本発明の第6の実施形態に係る燃料電池を構成する第2金属セパレータ140の要部断面説明図である。
第2金属セパレータ140は、ゴムブリッジ部52a、52bを有するとともに、前記ゴムブリッジ部52a、52bの裏面側には、通路用溝部56a、56bの範囲を覆って端縁部分58a、58bに対応する範囲まで延在する補強用樹脂部材142が設けられる。この補強用樹脂部材142としては、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等が採用される。従って、第2金属セパレータ140では、通路用溝部56a、56bに対応して良好に補強することができ、この第2金属セパレータ140全体の変形を有効に阻止することが可能になる。
図16は、本発明の第7の実施形態に係る燃料電池を構成する第2金属セパレータ150の要部断面説明図である。
第2金属セパレータ150は、ゴムブリッジ部102a、102bを設けるとともに、前記ゴムブリッジ部102a、102bの裏面側には、上記の第6の実施形態と同様に、通路用溝部56a、56bの範囲を覆って補強用樹脂部材142が設けられる。従って、この第7の実施形態では、上記の第6の実施形態と同様の効果が得られる。
なお、例えば、第1の実施形態では、ゴムブリッジ部52a、52bを構成して通路用溝部56a、56bに近接する端縁部分58a、58bの剛性を、他の部分60a、60bの剛性よりも高く設定するために、前記端縁部分58a、58bの高さh1を前記他の部分60aの高さh2よりも大きく設定しているが、これに限定されるものではない。
例えば、端縁部分58a、58bを他の部分60aよりも硬い材料で構成することができる。これにより、同一の高さ寸法であっても、端縁部分58a、58bの剛性を、他の部分60a、60bの剛性よりも高く設定することが可能になる。
本発明の第1の実施形態に係る燃料電池の要部分解斜視説明図である。 前記燃料電池が積層された燃料電池スタックの、図1中、II−II線断面説明図である。 前記燃料電池スタックの、図1中、III−III線断面説明図である。 前記燃料電池を構成する第1金属セパレータの正面説明図である。 前記燃料電池を構成する第2金属セパレータの一方の面の説明図である。 前記燃料電池を構成するゴムブリッジ部の概略斜視説明図である。 前記第2金属セパレータの他方の面の説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る燃料電池を構成する第2金属セパレータの一方の面の説明図である。 前記燃料電池を構成するゴムブリッジ部の概略斜視説明図である。 前記ゴムブリッジ部と比較例のゴムブリッジ部との線圧変動の比較説明図である。 本発明の第3の実施形態に係る燃料電池を構成する第2金属セパレータの一方の面の説明図である。 前記燃料電池を構成するゴムブリッジ部の概略斜視説明図である。 本発明の第4の実施形態に係る燃料電池を構成する第2金属セパレータの要部断面説明図である。 本発明の第5の実施形態に係る燃料電池を構成する第2金属セパレータの要部断面説明図である。 本発明の第6の実施形態に係る燃料電池を構成する第2金属セパレータの要部断面説明図である。 本発明の第7の実施形態に係る燃料電池を構成する第2金属セパレータの要部断面説明図である。 特許文献1に係る燃料電池スタックを構成するセパレータの正面視説明図である。
符号の説明
10…燃料電池 12…燃料電池スタック
14…電解質膜・電極構造体
16、18、90、100、120、130、140、150…金属セパレータ
20a…酸化剤ガス入口連通孔 20b…酸化剤ガス出口連通孔
22a…冷却媒体入口連通孔 22b…冷却媒体出口連通孔
24a…燃料ガス入口連通孔 24b…燃料ガス出口連通孔
26…酸化剤ガス流路 32、48…シール部材
40…燃料ガス流路 46…冷却媒体流路
52a、52b、64a、64b、92a、92b、102a、102b…ゴムブリッジ部
54a、54b、65a、65b…頂部上面部
56a、56b、66a、66b…通路用溝部
58a、58b、68a、68b…端縁部分
60a、60b、70a、70b…部分
80…固体高分子電解質膜 82…アノード側電極
84…カソード側電極
94a、94b、104a、104b…分割用溝部
96a、96b、106a、106b…遮蔽用ゴム部材
108a、108b、110a、110b…ブロック部
124、134…補強用屈曲部 142…補強用樹脂部材

Claims (6)

  1. 電解質の両側に一対の電極を配設した電解質・電極構造体を備え、前記電解質・電極構造体と金属セパレータとが積層されるとともに、少なくとも燃料ガス、酸化剤ガス又は冷却媒体のいずれかである流体を前記金属セパレータの面方向に流す流体流路と、前記流体を積層方向に供給する流体連通孔とが形成される燃料電池であって、
    前記金属セパレータには、前記流体流路と前記流体連通孔との間を仕切る複数のゴム製壁部材が設けられ、
    前記ゴム製壁部材間には、前記流体流路と前記流体連通孔とを連通する通路用溝部が形成されるとともに、
    前記ゴム製壁部材の頂部上面部は、前記通路用溝部に隣接する少なくとも一方の端縁部分の剛性が他の部分の剛性よりも高く設定されることを特徴とする燃料電池。
  2. 請求項1記載の燃料電池において、少なくとも一方の前記端縁部分は、前記他の部分よりも高さ方向の寸法が大きく設定されることを特徴とする燃料電池。
  3. 請求項1又は2記載の燃料電池において、前記ゴム製壁部材は、前記通路用溝部間で分割用溝部を介して3以上のブロック部に分割されるとともに、
    前記通路用溝部側の前記ブロック部は、他の前記ブロック部よりも高さ方向の寸法が大きく設定されることを特徴とする燃料電池。
  4. 請求項3記載の燃料電池において、前記分割用溝部には、前記ブロック部間から前記流体の流れを阻止可能な隔壁部が設けられることを特徴とする燃料電池。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池において、前記金属セパレータを構成する金属プレートには、前記ゴム製壁部材の前記端縁部分に対応して1以上の補強用屈曲部が設けられることを特徴とする燃料電池。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池において、前記金属セパレータには、前記ゴム製壁部材の裏面側に前記通路用溝部の範囲を覆って補強用樹脂部材が設けられることを特徴とする燃料電池。
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