JP2008174518A - 多分岐型ウレタン化合物およびその製造方法 - Google Patents

多分岐型ウレタン化合物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】分子鎖末端に多官能性(メタ)アクリレート残基を有する分岐型不飽和ウレタン化合物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される、スルフィド結合を介して2つ以上のウレタン結合を有する繰り返し分岐単位からなることを特徴とする多分岐型ウレタン化合物である。
Figure 2008174518

(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子および/または炭素数1〜6のアルキル基および置換アルキル基、Xは水酸基由来の2つ以上の酸素原子を有する有機残基(nは2以上)、Yは2価以上の有機残基(mは1以上)を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、インク、コーティング、塗料などのビヒクル用材料、レジスト材料、光学材料などの電子・光機能材料などに有用な多分岐型ウレタン化合物およびその製造方法に関する。
一般的にオリゴマーや高分子はモノマー単位が線状に結合して形成されるのに対して、コアをなす中心分子から分岐した側鎖部分がつぎつぎに結合して発達した一群の高分岐型化合物が知られている。このような高分岐型化合物は化学構造が一義的であり、かつ、分子量が揃った高分岐型化合物がデンドリマーであり(非特許文献1)、一方、分岐構造を持つモノマーが重合して生成する高分子量物質はハイパーブランチポリマーと呼ばれる(非特許文献2)。
これらの化合物の分子構造は、コア部、インテリア部、分子表面部から成り立ち、それぞれの部位の化学的、物理的あるいは生物学的な特性を組み込むことによって多様な機能を発現させることができる。特に、デンドリマーは逐次的に合成されるので、それぞれの部位に任意の化学構造を導入することができ、目的に沿った多彩な機能を発現する材料として注目されている。
また、デンドリマーやハイパーブランチポリマーは表面官能基が多数存在する一方で、これらの官能基が結合した側鎖部位は他の分子の側鎖部位と絡み合いが極端に少ないために、線状オリゴマーあるいはポリマーに比較して粘度が著しく低い、などの特徴をも併せ持つ。こうした化学構造における特徴によって、多分岐化合物は多くの応用に展開されている。
例えば、分岐側鎖の結合回数に対応する世代をある程度増やしたデンドリマーは球状の形態をとり、かつ、たんぱく質と同程度の大きさを持つことなどから、ナノ材料としてとりわけバイオ分野で活発な研究が行なわれている(非特許文献3)。
そのひとつがナノレベルでのカプセルへの展開であり、その内部に医薬品などを分子レベルで包接する機能である。あるいは、1分子が一定の大きさを持つナノサイズであることから、超微細加工用のレジスト材料やコア部位やインテリア部位に光あるいは電子機能を有する分子団を導入することによって、多様な光・電子機能材料としても期待されている。こうした球状構造に由来する基本的な特徴的あるバルク物性として、分子表面部に官能基が濃縮されることによる高反応性、分子鎖間でのからみあいが顕著に低減されるゆえの低粘度性が挙げられる。
さらには、分子表面部がアクリレートあるいはメタアクリレート基で置換された多官能性(メタ)アクリレート(以下、(メタ)アクリレートはメタアクリレートあるいはアクリレートを意味し、(メタ)アクリロイルはメタクリロイルあるいはアクリロイルを意味する)デンドリマーは、線状オリゴマーあるいはプレポリマーに比較して重合収縮が低減されるという特徴を持つ。このような特徴を活用し、電磁波照射によって硬化する材料への応用が提案されている(特許文献1〜8)。
デンドリティックな多官能性(メタ)アクリレート化合物を製造するための前駆体として、例えば、分岐型ポリエステル構造を有するデンドリティックポリオールあるいはポリ(プロピレンイミン)型デンドリマーが用いられている。前者の場合には、分子鎖末端の水酸基をエステル化法によって(メタ)アクリレート基を導入する方法が提案されている(特許文献5、9)。このために用いられるポリエステルポリオールとしては、2,2−ジメチロールプロピオン酸の脱水縮合反応によって得られるデンドリティックなポリマーであり、分子表面部が1,3−ジオール単位からなるデンドリティックな化学構造で表されることが多い。
しかしながら、実際には、分子鎖末端としての1,3−ジオール構造だけでなく、一方の水酸基のみがエステル化されたリニア構造のインテリア部を含有するなど、化学構造は複雑であることが知られており、例えば、第4世代のポリエステルポリオールではリニア構造は57%と報告されており(非特許文献4)、分子量分布の比較的広く、Mw/Mnが2.6と報告されている(非特許文献5)。
それに対して、ポリ(プロピレンイミン)型デンドリマーは分子量分布も狭く、世代が異なる化学構造が一義的な化合物であり、その分子鎖末端の1級アミノ基にヒドロキシエチルメタクリレートをマイケル付加反応させ、ついで、水酸基にイソシアネートエチルメタクリレートを付加させる方法(特許文献10)、あるいは、イソシアネートエチルメタクリレートなどのイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート類を直接付加させる方法(特許文献9)などが提案されている。しかしながら、紫外線硬化などを目的として大量に用いられる材料とするためには、格段に安価にすることが求められている。
一方、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーあるいはプレポリマーはジイソシアネートとヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの付加反応によって容易に得られるが、ウレタン結合に由来して、その硬化物は耐衝撃性などの力学特性に優れた物性を示すことなどから、紫外線硬化材料などとして広く用いられている。一方で、ウレタンオリゴマーは一般的に分子鎖間での水素結合形成のために粘度が高い、溶解性が低い、といった性質を示す。
それに対して、ハイパーブランチポリウレタンでは、水素結合形成が分子内で起こる確率が高くなるために、有機溶媒に容易に溶解することが知られている(非特許文献2)。このような背景から、デンドリティック構造を有し、溶解性に優れたウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーあるいはプレポリマーが求められている。
以上のように、分子鎖末端が(メタ)アクリレート基で置換された高分岐型多官能性不飽和化合物、さらには、ウレタン結合を有する高分岐型多官能性不飽和化合物は、その高分岐構造に由来する特徴ある物性が期待できるにもかかわらず、これまで知られていなかった。
特開平11−193317号公報 特開平11−193318号公報 特開2003−327645号公報 特開2005−36105号公報 特開2005−76005号公報 特開2005−134893号公報 特開2006−282764号公報 特開2005−255681号公報 特開2005−134893号公報 特開2000−73055号公報 A.W.Bosman, H.M.Janssen and E.W.Weijer,Chem.Rev.,99、1665(1999) A.Hult,M.Johansson and E.Malmstroem,Advances in Polymer Science,143,1(1999) S. Svensons and D.A.Tomalia,Advanced Drug Delivery Reviews,57,2106(2005) E.Zagarなど、Macromolecules,38,3933(2005) E.Zagar and M.Zigon、J.Chromatogr.、A、1034、77(2004) A.Kumar and S.Ramakrishnan,J.Chem.Soc.Chem.Commun.,1453(1993)
本発明は、分子鎖末端に多官能性(メタ)アクリレート残基を有する分岐型不飽和ウレタン化合物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明によれば、分子鎖末端に多官能性(メタ)アクリレート残基を有する分岐型不飽和ウレタン化合物及びその製造方法が提供される。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される、スルフィド結合を介して2つ以上のウレタン結合を有する繰り返し分岐単位からなることを特徴とする多分岐型ウレタン化合物である。
Figure 2008174518
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子および/または炭素数1〜6のアルキル基および置換アルキル基、Xは水酸基由来の2つ以上の酸素原子を有する有機残基(nは2以上)、Yは2価以上の有機残基(mは1以上)を示す。)
また、本発明は、下記一般式(2)で表される多価不飽和化合物と、下記一般式(3)で表される2個以上の水酸基を持つチオール化合物とを付加反応させてポリオールとし、次いで、前記ポリオールに、下記一般式(4)で表される不飽和エステル基を有するイソシアネート化合物を付加反応させることを特徴とする前記の多分岐型ウレタン化合物の製造方法である。
Figure 2008174518
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子および/または炭素数1〜6のアルキル基および置換アルキル基、Zは有機残基を示し、pは1以上を示す。)
Figure 2008174518
(式中、Xは水酸基由来の2つ以上の酸素原子を有する有機残基(nは2以上)を示す。)
Figure 2008174518
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子および/または炭素数1〜6のアルキル基および置換アルキル基、Yは2価以上の有機残基(mは1以上)を示す。)
本発明によると、(1)一つの(メタ)アクリレート残基を一挙に2つもしくは4つの(メタ)アクリレート残基へ変換できるので、容易に分岐型不飽和ウレタン化合物を製造することができる。(2)本発明に用いる反応は2種類の付加反応のみであるため、用いる化合物すべてを目的物に変換できるうえ、同一の反応容器で2種類の反応を実施することができる。(3)2種類の付加反応を繰り返すことによって、世代が拡張されたデンドリマーを製造することができる。
本発明の分岐型不飽和ウレタン化合物は、以下に説明するように、2段階の付加反応によって得ることができる。
第一の反応に用いられる一般式(1)で表されるスルフィド結合を介してジオール基からなる残基を少なくとも2つ以上有するポリオール型化合物は、一般式(2)で表される不飽和基を少なくとも2つ有する多価不飽和化合物と、一般式(3)で表される2つ以上の水酸基を持つチオール化合物とのマイケル付加反応によって容易に製造される。
不飽和基を少なくとも2つ有する化合物としては、例えば、「光硬化技術ハンドブック 材料編」(テクノネット社、2000年)、20〜42ページおよび60〜68ページに記載の多官能性(メタ)アクリレートモノマー、あるいは、84〜118ページに記載の(メタ)アクリレートオリゴマーを用いることができる。
多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、エチレンジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジアクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、アルコキシル化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アルコキシル化シクロヘキサンジ(メタ)メタノールジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロイル化イソシアヌレート、EO変性ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリエステル系アクリレートオリゴマー、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、およびこれらの類似物が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、混合物として用いてもよい。
不飽和基を少なくとも2つ有する多価不飽和化合物と、一般式(3)で表される2つ以上の水酸基を持つチオール化合物との反応では、不飽和結合に対して0.5モル量から1.5モル量のチオール化合物を添加する。すべての不飽和結合基をジオール構造からなる残基に変換するには、1.0モル量から1.2モル量添加すればよい。
反応を促進させるためには、塩基性触媒を用いることが好ましい。このための触媒としては3級アミンが好適に用いられる。例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、N−メチルジエタノールアミン、ピリジン、ピコリン、ルチジンを挙げることができるが、塩基性イオン交換樹脂も用いることができる。
本発明に用いられる不飽和基を少なくとも2つ有する化合物とチオール化合物との反応温度は、室温から100℃、好ましくは室温から80℃であり、反応時間は反応温度にもよるが、10分から60時間、好ましくは1時間から50時間である。
一般式(3)で表される2つ以上の水酸基を持つチオール化合物としては特に限定されないが、1つのチオールと2つ以上の水酸基を持つ化合物であり、コストおよび反応性の点からα−チオグリセリンが好ましい。
第2の反応は、こうして得られる一般式(3)で表される2つ以上の水酸基を持つチオール化合物より誘導される水酸基を持つポリオール化合物に一般式(4)で表されるイソシアネート化合物との付加反応からなる。
このために用いられるイソシアネート化合物としては、2−イソシアネートエチルアクリレート(昭和電工製:カレンズMOI)、2−イソシアネートエチルメタクリレート(昭和電工製:カレンズAOI)、あるいは1,3−ジアクリロイルオキシ−2−イソシアネート−2−メチルプロパン(昭和電工製:カレンズBEI)を挙げることができる。
イソシアネート基が一般式(3)で表される2つ以上の水酸基を持つチオール化合物より誘導される水酸基にウレタン結合を形成して反応するので、一つの残基あたり2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレートの場合には2つの不飽和結合基が、1,3−ジアクリロイルオキシ−2−イソシアネート−2−メチルプロパンの場合には、4つの不飽和結合基を導入することができる。
ポリオール化合物の水酸基に対して、これらのイソシアネート化合物を0.5モル等量から2.0モル等量、好ましくは0.5モル等量から1.5モル等量、より好ましくは1.0モル等量から1.2モル等量を用いればよい。
ポリオール化合物を少なくとも部分的に溶解する溶媒中でこの付加反応を促進するために、第1の反応における塩基性触媒をそのまま用いることができるし、さらには、ジ−n−ブチルチンジラウリレートなどの触媒を用いてもよい。また、重合反応を抑制するために、あらかじめ重合禁止剤を添加することが好ましい。
反応温度は室温から100℃、好ましくは40℃から80℃であり、反応時間は反応温度にもよるが、30分から20時間、好ましくは、1時間から15時間である。
反応終了後に過剰のイソシアネート化合物を除去するには、例えば、N,N−ジメチルエタノールアミンを反応溶液に添加して過剰のイソシアネート化合物と反応させ、ついで、酸性水溶液による洗浄、あるいは、酸性イオン交換樹脂による吸着を施せばよい。
これらイソシアネート基は反応前に保護されていてもよい。保護基としては特に限定されないがメチルエチルケトオキシムブロック、ピラゾールブロックを例示することができる。
本発明の重要な特徴として、一般式(2)で表される不飽和基を少なくとも2つ有する化合物として、本発明で得られる一般式(1)で表されるスルフィド結合を介してウレタン結合からなる不飽和残基を少なくとも2つ有する残基を少なくとも2つ有することを特徴とする分岐型不飽和ウレタン化合物そのものを用いることができることが挙げられる。
これは、不飽和基とα−チオグリセリンなどのチオール基とのマイケル付加反応とイソシアネート化合物と水酸基との付加反応からなる2つの反応を繰り返すことによって、世代が拡張されたデンドリマーが製造できることを意味する。
[実施例1]
ペンタエリスリトールテトラアクリレート37.7g(107mmol)、α−チオグリセリン46.4g(429mmol)および触媒としてのトリエチルアミン3g(30mmol)をテトラヒドロフラン(THF)(250ml)に溶解し、これを室温で2日間攪拌した。溶媒を減圧で留去し、減圧で乾燥することにより1,2−ジオール基を4個有する下記式(5)で表される化合物(8OH)を透明な粘性液体として得た。収率:100%。
化合物の分子構造はH−NMR測定により行った。H−NMR(300MHz,DO)δ(ppm):2.5−2.9(24H,m,C SC ),3.4−3.9(12H,m,C OH,COH),4.23(8H,s,O−CH)。
Figure 2008174518
[実施例2]
実施例1で得たポリオール(8OH)1.0g(1.27mmol)をTHF20mlに溶解し、これにジ−n−ブチルチンジラウリレート0.15mg、および、重合禁止剤としてメチルヒドロキノン15mgを加えた。溶液を還流しながら2−イソシアネートエチルアクリレート(昭和電工製:カレンズMOI)1.72g(12.2mmol)とメチルヒドロキノン15mgとを含むTHF溶液30mlをゆっくり滴下した。8時間還流した後、2−ジメチルアミノエタノール0.22g(2.47mmol)を溶解したTHF溶液(15ml)を滴下し、さらに14時間還流した。室温まで冷却してから溶媒を減圧で留去した後、ジクロロメタンを加え、塩酸(2M)で2回洗浄した。メチルヒドロキノン50mgを投入した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去し、減圧乾燥することによりアクリル基が8個導入された下記式(6)で表されるデンドリマーアクリレート(8Ac)をペースト状化合物として得た。収率 70%。
化合物の分子構造はH−NMR測定により行った。H−NMR(270MHz,CDCl)δ(ppm):2.0−3.0(24H,m,C SC ),3.3−3.8(16H,m,NH−C ),4.0−4.5(36H,m,O−C ,O−C),4.8−5.8(8H,m,N),5.87(8H,d,J=8.1Hz,C=C ),6.0−6.3(8H,m,C=C),6.43(8H,d,J=16.2Hz,C=C )。
Figure 2008174518
[実施例3]
実施例1で得たポリオール(8OH)1.0g(1.27mmol)をTHF20mlに溶解し、これにジ−n−ブチルチンジラウリレート150mg、および、重合禁止剤としてメチルヒドロキノン30mgを加えた。溶液を還流しながら1,3−ジアクリロイルオキシ−2−イソシアネート−2−メチルプロパン(昭和電工製:カレンズBEI)2.92g(12.2mmol)とメチルヒドロキノン30mgとを含むTHF溶液30mlをゆっくり滴下した。10時間還流した後、2−ジメチルアミノエタノール0.22g(2.47mmol)を溶解したTHF溶液(15ml)を滴下し、さらに14時間還流した。室温まで冷却してから溶媒を減圧で留去した後、ジクロロメタンを加え、塩酸(2M)で2回洗浄した。メチルヒドロキノン50mgを投入した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去し、減圧乾燥することによりアクリル基が16個導入された下記式(7)で表されるデンドリマーアクリレート(16Ac)をペースト状化合物として得た。収率 93%。
化合物の分子構造はH−NMR測定により行った。H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):1.42(24H,s,C ),2.5−3.0(24H,m,C SC ),3.8−4.6(52H,m,O−C ,O−C),5.2−5.6(8H,m,N),5.88(16H,d,J=9.0Hz,C=C ),6.0−6.3(16H,m,C=C),6.43(1H,d,J=18.0Hz,C=C )。
Figure 2008174518
[実施例4]
実施例3で得た16Ac7.47g(2.77mmol)、α−チオグリセリン5.07g(46.9mmol)、テトラエチルアミン0.285g(2.81mmol)をTHFとジメチルホルムアミドの9:1(v/v)混合溶媒に溶解し、これを実施例1と同様な条件で反応および後処理を行なった。溶媒を留去することによって1,2−ジオール構造が16個導入された下記式(8)で表される32OHをペースト状物として得た。収率64%。
化合物の分子構造はH−NMR測定により行った。H−NMR(300MHz,MeOD)δ(ppm):1.33(s,24H),2.15−3.10(m,80H),3.50−3.90(m,48H),4.00−4.69(m,32H)。
Figure 2008174518
[実施例5]
実施例4で得た32OH1.504g(0.400mmol)をTHFとジメチルホルムアミドの9:1(v/v)混合溶媒に溶解し、これにジ−n−ブチルチンジラウリレート177mgと重合禁止剤クッペロン134mを添加した。実施例3と同様に、1,3−ジアクリロイルオキシ−2−イソシアネート−2−メチルプロパン(昭和電工製:カレンズBEI)3.21g(13.4mmol)を滴下し、80℃で10時間反応させた。これに2−ジメチルアミノエタノール0.278g(3.12mmol)のテトラヒドロフラン溶液を加えて80℃で10時間反応させ、室温に冷却してから酸性イオン交換樹脂を加えて室温で十分に撹拌した。イオン交換樹脂をろ別してから溶媒を留去し、残渣をクロロホルムに溶解して2N塩酸で3回洗浄し、ついで重曹水で洗浄してから無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ別してから溶媒を留去し乾燥することによりアクリル基が64個導入された下記式(9)で表されるデンドリマーアクリレート(64Ac)をペースト状化合物として得た。収率5.0g。
化合物の分子構造はH−NMR測定により行った。H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):1.40(s,24H,C ),2.83−2.85(m,24H,C SC ),3.97−4.42(m,228H,O−C ,O−C),5.00−5.46(br,40H,m,N),5.92(d,16H,J=9.0Hz,64H,C=C ),6.09−6.19(m,64H,C=C),6.48(d,64H,J=9.6Hz,C=C )。
Figure 2008174518
本発明による多分岐型ウレタン化合物は、インク、コーティング、塗料などのビヒクル用材料、レジスト材料、光学材料などの電子・光機能材料などに有用である。

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)で表される、スルフィド結合を介して2つ以上のウレタン結合を有する繰り返し分岐単位からなることを特徴とする多分岐型ウレタン化合物。
    Figure 2008174518
    (式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子および/または炭素数1〜6のアルキル基および置換アルキル基、Xは水酸基由来の2つ以上の酸素原子を有する有機残基(nは2以上)、Yは2価以上の有機残基(mは1以上)を示す。)
  2. 下記一般式(2)で表される多価不飽和化合物と、下記一般式(3)で表される2個以上の水酸基を持つチオール化合物とを付加反応させてポリオールとし、次いで、前記ポリオールに、下記一般式(4)で表される不飽和エステル基を有するイソシアネート化合物を付加反応させることを特徴とする請求項1に記載の多分岐型ウレタン化合物の製造方法。
    Figure 2008174518
    (式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子および/または炭素数1〜6のアルキル基および置換アルキル基、Zは有機残基を示し、pは1以上を示す。)
    Figure 2008174518
    (式中、Xは水酸基由来の2つ以上の酸素原子を有する有機残基(nは2以上)を示す。)
    Figure 2008174518
    (式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子および/または炭素数1〜6のアルキル基および置換アルキル基、Yは2価以上の有機残基(mは1以上)を示す。)
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