JP2008173875A - マット調ポリアミド積層フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】脂肪族系ポリアミドフィルムを含む基材の少なくとも一方の面に、JIS K 6810(96%硫酸法)による相対粘度が3.8〜5.8のポリアミド6と、該相対粘度が1.3〜2.1のポリアミド12とを、75:25〜25:75の割合で含有する混合層を有する、マット調ポリアミド積層フィルム、及び該ポリアミド積層フィルムの製造方法。
【選択図】なし
Description
従来、二軸延伸ポリアミド系フィルムにマット調を付与する方法としては、(a)フィルム表面を硬い粒状砂、酸、アルカリ、溶媒等で浸食する方法、(b)フィルム表面に無機粒子を含有したバインダー樹脂等のコート剤を被覆する方法、(c)フィルムを構成する樹脂中に無機粒子や有機合成樹脂などを含有させる方法などがあった。また、マット調を付与したフィルムとして、例えば、特許文献1にはポリアミド系粗面フィルムの表面凹凸状態を規定した技術が記載されている。
また、上記特許文献1記載の技術においては、ヘーズ値の低いフィルムしか得られず、二軸延伸熱固定などの工程により表面が平滑となり、十分なマット調は得られ難いという問題があった。
本発明は、
(1)脂肪族系ポリアミドフィルムを含む基材の少なくとも一方の面に、JIS K 6810(96%硫酸法)による相対粘度が3.8〜5.8のポリアミド6と、該相対粘度が1.3〜2.1のポリアミド12とを、75:25〜25:75の割合で含有する混合層を有する、マット調ポリアミド積層フィルム、及び
(2)脂肪族系ポリアミドフィルムを含む基材の少なくとも一方の面に、JIS K 6810(96%硫酸法)による相対粘度が3.8〜5.8のポリアミド6と、該相対粘度が1.3〜2.1のポリアミド12とを、75:25〜25:75の割合で混合して得られる混合層を設ける工程を有する、マット調ポリアミド積層フィルムの製造方法、
に関する。
[マット調ポリアミド積層フィルム]
本発明において、基材を構成する脂肪族系ポリアミドフィルムを形成する脂肪族ポリアミドとしては、環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の自己重縮合物、ジカルボン酸とジアミンとの重縮合物などが挙げられる。具体的には、ナイロン−6と称されるε−カプロラクタムの単独重合体、あるいはナイロン−66と称されるポリヘキサメチレンアジパミドが、安価に入手でき、かつ、延伸操作を円滑に遂行し得るので好ましい。
上記脂肪族系ポリアミドフィルムは1層であっても、2層以上から構成されていてもよく、その総厚みは、強度や経済性の点から、7〜29μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは9〜24μmの範囲内である。
ここで、芳香族ポリアミド層を構成する芳香族ポリアミドは芳香族環を有するポリアミドであって、特に制限されないが、例えば、ガスバリア性の点から、キシリレンジアミンと炭素数が6〜12のα,ω脂肪族ジカルボン酸とからなるポリアミド構成成分を分子鎖中に好ましくは70モル%以上含有するものが好適に用いられる。芳香族ポリアミドに該ポリアミド構成成分を分子鎖中に70モル%以上含有させることにより高いガスバリア性が得られる。
上記ポリアミド構成成分のうち、本発明においては、ガスバリア性の点から、ポリメタキシリレンアジパミドが好ましく用いられる。
本発明においては、上記芳香族ポリアミド層の厚みは、ガスバリア性の点から、2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは3〜8μmである。
マット調フィルムの場合、和紙包装からの影響でフィルムの腰(剛性)が要求される場合が多いが、本発明のポリアミド積層フィルムにおいては、より腰のある芳香族ポリアミドからなる芳香族ポリアミド層を有することにより、良好なフィルムの腰が得られる。
本発明において、上記脂肪族系ポリアミドフィルム、芳香族ポリアミド層、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層等からなる基材フィルムの厚みは、酸素透過度・フィルム強度の両立の点から、7〜29μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは9〜24μmの範囲内である。
また、ポリアミド6とポリアミド12の含有割合は75:25〜25:75であるが、好ましくは70:30〜30:70、より好ましくは65:35〜35:65である。上記ポリアミド6とポリアミド12の含有割合が上記範囲内であれば、表面凹凸が十分に得られ、高いヘーズ値が得られ、また目的とするマット調が得られる。
上記観点から、マット調付与層の厚みは、より好ましくは0.5〜5μm、更に好ましくは0.5〜3μmである。また、フィルム全体の厚みに対する割合は、より好ましくは25%以下、更に好ましくは5〜20%である。
(1)マット調付与層/脂肪族ポリアミド層
(2)マット調付与層/脂肪族ポリアミド層/マット調付与層
(3)マット調付与層/脂肪族ポリアミド層/エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂層/脂肪族ポリアミド層
(4)マット調付与層/脂肪族ポリアミド層/エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂層/脂肪族ポリアミド層/マット調付与層
(5)マット調付与層/(脂肪族ポリアミド+芳香族ポリアミド)層/芳香族ポリアミド層/(脂肪族ポリアミド+芳香族ポリアミド)層
(6)マット調付与層/(脂肪族ポリアミド+芳香族ポリアミド)層/芳香族ポリアミド層/(脂肪族ポリアミド+芳香族ポリアミド)層/マット調付与層
(7)マット調付与層/脂肪族ポリアミド層/(脂肪族ポリアミド+芳香族ポリアミド)層/芳香族ポリアミド層/(脂肪族ポリアミド+芳香族ポリアミド)層/脂肪族ポリアミド層
(8)マット調付与層/脂肪族ポリアミド層/(脂肪族ポリアミド+芳香族ポリアミド)層/芳香族ポリアミド層/(脂肪族ポリアミド+芳香族ポリアミド)層/脂肪族ポリアミド層/マット調付与層
また、一般に印刷はラミネート面に行われるため、極めてシャープな印刷を行う場合には、印刷面(ラミネート面)以外の面に、表面の粗いマット調付与層を有することが好ましい。したがって、上記観点から、上記(1)〜(8)の層構成の中で、(1)、(3)、(5)及び(7)のいずれかの層構成がより好ましい。
本発明のポリアミド積層フィルムは、食品、医療品、および薬品等の包装用に使用することができる。特に食品包装用フィルムとして使用されることが好ましく、製袋加工品、ピロー包装等の自動充填機用に使用されることが多いが、本発明のフィルムはマット調付与層が表層にあるため表面の滑り性が良好であり、製袋加工品の集積のし易さ、自動充填機での機械との滑り性の点で優れているため、使用し易いと言う長所がある。
本発明のポリアミド積層フィルムの製造方法は、脂肪族系ポリアミドフィルムを含む基材の少なくとも一方の面に、JIS K 6810(96%硫酸法)による相対粘度が3.8〜5.8のポリアミド6と、該相対粘度が1.3〜2.1のポリアミド12とを、75:25〜25:75の割合で混合して得られる混合層を設ける工程を有するものである。
マット調付与層は、基材の少なくとも一方の面に設けられていればよいが、シャープな印刷を施すことができる点から、印刷面以外の面に設けられることが好ましい。ポリアミド6とポリアミド12を混合してマット調付与層を設ける場合は、その混合方法については、特に制限はないが、簡便性の点から、原料ペレットのドライブレンドによる方法が好ましい。また、基材にマット調付与層を設ける方法としては、特に制限はなく、積層の安定性の点からは、共押出等の方法によることが好ましい。
1)ポリアミド6及びポリアミド12の相対粘度:
JIS K 6810(96%硫酸法)による方法で行った。すなわち、96%硫酸中での濃度を1g/100mlとし、温度25℃の条件下で測定を行った。
2)ポリアミド積層フィルムのヘーズ値
JIS K 7361に準拠した方法により測定した。すなわち、切り出した試験フィルムの混合層を有する面の反対側の基材表面に流動パラフィンを塗布し、その後、ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製、NDH2000)を用いて測定を行った。尚、測定は5回行い、その平均値を求めた。
下記層構成となるように各ポリマーを共押出し、得られた未延伸フィルムを60℃の条件下でロール式縦延伸機にて縦方向に3.0倍延伸した。次いで、この縦延伸フィルムの端部をテンタークリップで保持し、テンターオーブン内で130℃の条件下で横方向に3.5倍延伸した後、215℃で6秒間の熱処理を行った。
(層構成)
表層から、ポリアミド6Aとポリアミド12の50:50ブレンド/ポリアミド6B/ポリアミド6Bとポリメタキシリレンアジパミドの70:30ブレンド/ポリメタキシリレンアジパミド/ポリアミド6Bとポリメタキシリレンアジパミドの70:30ブレンド/ポリアミド6B
・ポリアミド6A:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製、ノバミッド1040(相対粘度:5.1)
・ポリアミド12:宇部興産(株)社製、UBESTA3014U(相対粘度:1.7)
・ポリメタキシリレンアジパミド:三菱ガス化学(株)社製、MXナイロン6007
・ポリアミド6B:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製、ノバミッド1022C6
熱処理を行った後のフィルムは、クリップの把持部に相当する両端部分はトリミングし、トリミング後の製品フィルム部分をロール状に巻き取り、総厚み15μmの二軸延伸ポリアミド積層フィルムを得た。また、各層厚みは、押出量を調整することにより表層から、各々1μm/4μm/1μm/3μm/1μm/5μmとした。
実施例1において、下記層構成となるように各ポリマーを共押出した以外は、同様に延伸・熱処理して総厚み15μm、各層厚みが表層から2μm/13μmの二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
(層構成)
表層から、ポリアミド6Aとポリアミド12の50:50ブレンド/ポリアミド6B
使用した各ポリマーは以下の通りであった。
・ポリアミド6A:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製、ノバミッド1040(相対粘度:5.1)
・ポリアミド12:宇部興産(株)社製、UBESTA3014U(相対粘度:1.7)
・ポリアミド6B:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製、ノバミッド1022C6
実施例1において、下記層構成となるように各ポリマーを共押出した以外は、同様に延伸・熱処理して、総厚み15μm、各層厚みが表層から1.5μm/4.5μm/3μm/6μmの二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
(層構成)
表層から、ポリアミド6Aとポリアミド12の50:50ブレンド/ポリアミド6B/EVOH/ポリアミド6B
使用した各ポリマーは以下の通りであった。
・ポリアミド6A:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製、ノバミッド1030(相対粘度:4.2)
・ポリアミド12:宇部興産(株)社製、UBESTA3014U(相対粘度:1.7)
・ポリアミド6B:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製、ノバミッド1022C6
・EVOH:日本合成化学工業(株)社製、ソアノール3203B(エチレン含有量:
32モル%)
実施例1において、下記層構成となるように各ポリマーを共押出した以外は、同様に延伸・熱処理して、総厚み15μm、各層厚みが表層から2μm/4μm/3μm/6μmの二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
(層構成)
表層から、ポリアミド6Aとポリアミド12の60:40ブレンド/ポリアミド6Bとポリメタキシリレンアジパミドの80:20ブレンド/ポリメタキシリレンアジパミド/ポリアミド6Bとポリメタキシリレンアジパミドの80:20ブレンド
使用した各ポリマーは以下の通りであった。
・ポリアミド6A:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製、ノバミッド1040(相対粘度:5.1)
・ポリアミド12:宇部興産(株)社製、UBESTA3014U(相対粘度:1.7)
・ポリメタキシリレンアジパミド:三菱ガス化学(株)社製、MXナイロン6007
・ポリアミド6B:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製、ノバミッド1022C6
実施例1において、下記層構成となるように各ポリマーを共押出した以外は、同様に延伸・熱処理して総厚み15μm、各層厚みが表層から2μm/13μmの二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
(層構成)
表層から、ポリアミド6Aとポリアミド12の50:50ブレンド/ポリアミド6B
使用した各ポリマーは以下の通りであった。
・ポリアミド6A:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製、ノバミッド1040(相対粘度:5.1)
・ポリアミド12:宇部興産(株)社製、UBESTA3020U(相対粘度:1.9)
・ポリアミド6B:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製、ノバミッド1022C6
実施例1において、下記層構成となるように各ポリマーを共押出した以外は、同様に延伸・熱処理して、総厚み15μm、各層厚みが表層から2μm/13μmの二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
(層構成)
表層から、ポリアミド6Aとポリアミド610の50:50ブレンド/ポリアミド6B
使用した各ポリマーは以下の通りであった。
・ポリアミド6A:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製、ノバミッド1040(相対粘度:5.1)
・ポリアミド610:東レ(株)社製、アミランCM2001(相対粘度:2.5)
・ポリアミド6B:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製、ノバミッド1022C6
実施例1において、下記層構成となるように各ポリマーを共押出した以外は、同様に延伸・熱処理して、総厚み15μm、各層厚みが表層から2μm/13μmの二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
(層構成)
表層から、ポリアミド6Aとポリアミド12の50:50ブレンド/ポリアミド6B
使用した各ポリマーは以下の通りであった。
・ポリアミド6A:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製、ノバミッド1010(相対粘度:2.3)
・ポリアミド12:宇部興産(株)社製、UBESTA3035U(相対粘度:2.5)
・ポリアミド6B:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製、ノバミッド1022C6
実施例1において、下記層構成となるように各ポリマーを共押出した以外は、同様に延伸・熱処理して、厚み15μm、各層厚みが表層から2μm/13μmの二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
(層構成)
表層から、ポリアミド6Aとポリアミド12の50:50ブレンド/ポリアミド6B
使用した各ポリマーは以下の通りであった。
・ポリアミド6A:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製、ノバミッド1022(相対粘度:3.5)
・ポリアミド12:宇部興産(株)社製、UBESTA3030XA(相対粘度:2.3)
・ポリアミド6B:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製、ノバミッド1022C6
実施例1において、下記層成となるように各ポリマーを共押出した以外は、同様に延伸・熱処理して、総厚み15μm、各層厚みが表層から2μm/13μmの二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
(層構成)
表層から、ポリアミド6Aとポリアミド12の77:23ブレンド/ポリアミド6B
使用した各ポリマーは以下の通りであった。
・ポリアミド6A:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製、ノバミッド1040(相対粘度:5.1)
・ポリアミド12:宇部興産(株)社製、UBESTA3014U(相対粘度:1.7)
・ポリアミド6B:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製、ノバミッド1022C6
実施例1において、下記層構成となるように各ポリマーを共押出した以外は、同様に延伸・熱処理して、総厚み15μm、各層厚みが表層から2μm/13μmの二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
(層構成)
表層から、ポリアミド6Aとポリアミド12の20:80ブレンド/ポリアミド6B
使用した各ポリマーは以下の通りであった。
・ポリアミド6A:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製、ノバミッド1040(相対粘度:5.1)
・ポリアミド12:宇部興産(株)社製、UBESTA3014U(相対粘度:1.7)
・ポリアミド6B:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製、ノバミッド1022C6
Claims (9)
- 脂肪族系ポリアミドフィルムを含む基材の少なくとも一方の面に、JIS K 6810(96%硫酸法)による相対粘度が3.8〜5.8のポリアミド6と、該相対粘度が1.3〜2.1のポリアミド12とを、75:25〜25:75の割合で含有する混合層を有する、マット調ポリアミド積層フィルム。
- 混合層を有する面の反対側の基材表面に流動パラフィンを塗布して、JIS K 7361により測定したヘーズ値が30〜90%である、請求項1記載のマット調ポリアミド積層フィルム。
- 脂肪族系ポリアミドフィルムがポリアミド6を主成分とする、請求項1又は2に記載のマット調ポリアミド積層フィルム。
- 縦方向及び横方向共に2.5〜4倍の延伸倍率で延伸されてなる、請求項1〜3のいずれかに記載のマット調ポリアミド積層フィルム。
- 延伸後、180℃〜225℃の温度で熱固定されてなる、請求項4記載のマット調ポリアミド積層フィルム。
- フィルム全体の厚みが10〜30μmである、請求項1〜5のいずれかに記載のマット調ポリアミド積層フィルム。
- 混合層の厚みが0.1〜10μmであり、かつ該混合層の厚みのフィルム全体の厚みに対する割合が30%以下である、請求項1〜6のいずれかに記載のマット調ポリアミド積層フィルム。
- 基材が、更に芳香族系ポリアミド樹脂層及び/又はエチレン含有量24〜48質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂層を有する、請求項1〜7のいずれかに記載のマット調ポリアミド積層フィルム。
- 脂肪族系ポリアミドフィルムを含む基材の少なくとも一方の面に、JIS K 6810(96%硫酸法)による相対粘度が3.8〜5.8のポリアミド6と、該相対粘度が1.3〜2.1のポリアミド12とを、75:25〜25:75の割合で混合して得られる混合層を設ける工程を有する、マット調ポリアミド積層フィルムの製造方法。
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