JP2008173557A - 透水性浄化壁及び汚染地下水の浄化処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有機化合物に汚染された水を、該有機化合物を分解する微生物の含有する土
壌を用いて浄化する透水性浄化壁において、該微生物が存在する土壌に抗火石を含有せしめたことを特徴とする、透水性浄化壁。
【選択図】なし
Description
すなわち、本発明は、有機化合物で汚染された水を、該有機化合物を分解する微生物を含有する土壌を用いて浄化する透水性浄化壁において、該微生物が存在する土壌に抗火石を含有せしめたことを特徴とする、透水性浄化壁を提供するものである。
また、本発明は、有機化合物に汚染された地下水を上記透水性浄化壁に通過させることを特徴とする、有機化合物に汚染された地下水の浄化処理方法を提供するものである。
本発明における浄化壁は、土壌に抗火石を配合して混合したものが好ましいが、汚染水の流向に直交する向きに複数の層を形成したものでもよい。
本発明で用いる土壌は、対象とする有機化合物を分解する公知の微生物を土壌に配合し、調製したものでもよいが、現地の汚染土壌領域には対象とする有機化合物を分解する微生物の存在の可能性が高いため、現地の汚染土壌領域の土壌を用いるのが好ましい。また、現地汚染土壌領域に存在する汚染対象有機化合物を分解する微生物を抽出し、増殖させたものを現地の汚染土壌領域の土壌又は別の土壌に配合し、調製したものでもよい。
本発明の浄化壁に用いる抗火石の粒径は、微生物の存在する土壌に接し易いように適当なサイズに抗火石を粉砕して用いることが好ましい。粉砕した抗火石の粒径は特に限定されないが、本発明に用いる土壌よりも粗い粒径であることが透水性を高める観点から好ましく、0.5〜50mm程度、特に1〜5mm程度に分級したものを好ましく用いることができる。
また、本発明における浄化壁の適度な透水性を得るため、本発明に用いる土壌及び抗火石の他に、これらより粒径の大きい、ケイ砂、川砂、砂利、砕石等を1種又は2種以上を混合してもよい。
窒素、リン及びカリウムの栄養塩成分を浄化壁に添加する場合には、対象汚染物質の有機化合物に由来する炭素原子に対するモル比換算で、窒素原子が1/1000〜1/10、リン原子が1/1000〜5/100、カリウム原子が1/1000〜1/100とすることが好ましい。
酸素の供給方法としては、浄化壁中のpHを急激に変化させなければどのような方法で供給しても良いが、具体的には酸素徐放剤により供給する方法、空気を直接供給する方法、又はこれらを併用する方法等が挙げられる。
酸素徐放剤は、透水性浄化壁施工時に浄化壁に混合することが一般的であるが、長期間、浄化を実施する場合には酸素放出量が徐々に低下することがあるため、随時追加することが好ましい。このときの追加方法としては、酸素徐放剤のスラリーを透水性浄化壁中に形成したボーリング穴から圧入する方法や、透水性浄化壁中に設けた井戸から酸素徐放剤を供給する方法がある。
本発明の浄化壁に用いる酸素徐放剤の配合容量は、例えば、過酸化マグネシウムや過酸化カルシウム等の過酸化物が酸素徐放剤に25〜35質量%含まれる場合には、経済性及び地下水中の溶存酸素の飽和の状態から浄化壁全容量に対し0.1〜3容量%の混合割合が有効である。より好ましくは、地下水中の溶存酸素の飽和があるため0.1〜2容量%程度である。
透水性浄化壁施工方法及び透水性浄化壁の形状は、特に拘らないが、地下水流向に対して垂直に延ばした壁状もしくは円弧の一部が重なるように円柱状に配した複数の柱状体群とするのが好ましい。また、汚染水を透水性浄化壁に誘導しやすくするために、透水性浄化壁の左右両サイド周辺に地下水流向に対して拡開する止水壁を設けても良い。
地下水流向に対する透水性浄化壁の層厚は、汚染地下水中の有機化合物の濃度と地下水流速等の条件にもよるが、0.1m〜10m、より好ましくは0.5m〜5m程度である。
透水性浄化壁を通過させる汚染地下水の速度は、透水性浄化壁の層厚や微生物における有機化合物の分解能にもよるが、地下水の流速を維持することが好ましい。より好ましくは1〜100cm/日であり、特に好ましくは3〜50cm/日である。
土壌(砂質土)に抗火石を等容量比で均一混合した供試体を、ガラスカラム(内径5cm,長さ20cm)に充填した。使用した抗火石の性状は、下記の通りである。
<抗火石の性状>
粒子サイズ:1〜2.4mmに分級、
かさ密度:1.6g/cm3、
化学組成:SiO2 78.7% Al2O3 12.3%、
透水係数:2×10-1cm/sec以上、
このとき、当該土壌は石油精製施設の土壌より採取し、供試体全容量に対して抗火石50容量%となるように抗火石を配合し、できるだけ均一となるように混合したものを、抗火石50%混合土壌とした。
充填したカラムに、ベンゼン(B)、トルエン(T)及びキシレン(X)の混合物を飽和状態に酸素を溶存させた水に5mg/L(B、T及びXの溶存比は、質量比でB:T:X=1:8:1)の濃度で溶解させたものを原水として、流速30cm/日の速さで垂直に立てたカラムにアップフローで通過させ、カラム出口の処理水を採取し、処理水中のBTX濃度をヘッドスペース-ガスクロマトグラフ質量分析法(平成9年環告10号 JIS K0125 5.2)により測定した。結果を図1に示した。
なお、図中の浄化率の定義は以下に示すとおりである。
浄化率(%)=〔(原水BTX濃度−処理水BTX濃度)/原水BTX濃度〕×100
ガラスカラムに充填した供試体を土壌(砂質土)のみとした他は、実施例1と同じ条件で実施した。結果を図1に示した。
原水に溶解させるベンゼン(B)、トルエン(T)及びキシレン(X)の混合物の濃度を10mg/L(B、T及びXの溶存比は、質量比でB:T:X=1:8:1)とした他は、実施例1と同じ条件で実施した。結果を図2に示した。
ガラスカラムに充填した供試体を土壌(砂質土)とした他は、実施例2と同じ条件で実施した。結果をそれぞれ図2及び表1に示した。
ガラスカラムに充填した供試体として、土壌(砂質土)に実施例1で用いた抗火石と同じ抗火石を等容量比で混ぜ、さらに酸素徐放剤(リジェネシス社製ORC、過酸化マグネシウム成分25〜35質量%含有)を供試体の容量に対し、1.0容量%を入れて均一混合したものを用いた他は、実施例2と同じ条件で実施した。結果を図3に示した。
ガラスカラムに充填した供試体として、土壌(砂質土)に酸素徐放剤(リジェネシス社製ORC、過酸化マグネシウム成分25〜35質量%含有)を供試体の容量に対し、1.0容量%を入れて均一混合したものを用いた他は、実施例3と同じ条件で実施した。結果を図3に示した。
抗火石のBTX吸着作用を検討するため、本実施例で使用した土壌微生物の生育に適さない環境下においてカラム試験を行った。原水をアルカリ性(pH10.5)に調整した他は、実施例2と同じ条件で実施した。結果を表2に示した。
また、表2に示すように、原水のBTX濃度はカラム処理前の入口と処理後の出口とも、ほぼ同一の濃度を示し、抗火石のみのBTXの吸着能は認められなかった。
表1及び2より、抗火石によるBTX分解促進効果は吸着作用によるものではなく、微生物の活性化によるものであることが明らかである。
さらに、図2及び図3に示すように、酸素徐放剤を添加することによって微生物がより活性化し、BTXの有機化合物の分解が促進されたことが認められた。
Claims (4)
- 有機化合物に汚染された水を、該有機化合物を分解する微生物を含有する土壌を用いて浄化する透水性浄化壁において、該微生物が存在する土壌に抗火石を含有せしめたことを特徴とする、透水性浄化壁。
- 抗火石を、浄化壁全容量に対して10〜80容量%配合する請求項1記載の透水性浄化壁。
- さらに浄化壁中に酸素又は酸素徐放剤を供給する、請求項1又は2記載の透水性浄化壁。
- 有機化合物に汚染された地下水を請求項1〜3何れか一項記載の透水性浄化壁を通過させることを特徴とする、有機化合物に汚染された地下水の浄化処理方法。
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