JP2008170536A - 表示駆動装置、表示装置および電子機器 - Google Patents

表示駆動装置、表示装置および電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】表示面内の温度分布による表示のばらつきを解消すること。
【解決手段】表示駆動装置は、コレステリック液晶層を含む複数の表示画素を有する表示装置を駆動する表示駆動装置であって、表示装置の温度を取得する温度取得手段と、多値画像データを記憶する画像記憶手段と、コレステリック液晶層に印加されるデータ電圧の温度依存性を示す補正テーブルを記憶するテーブル記憶手段と、画像記憶手段に記憶された多値画像データを2値のデータに変換し、2値のうち少なくとも一方に対応するデータ電圧が、温度取得手段により取得された温度およびテーブル記憶手段に記憶された補正テーブルに基づいて補正される2値化手段と、2値化手段により決定されたデータ電圧を表示装置に出力する出力手段とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、記憶性液晶層を用いた表示装置の駆動において温度補償を行う技術に関する。
コレステリック液晶などの記憶性液晶は、電子ブックまたは電子ペーパー等の用途に適した表示体として用いられている。コレステリック液晶は、電圧を印加しない状態においても表示が可能であるという利点を有する。しかし一方で、コレステリック液晶は、書き換え速度が遅いという欠点がある。コレステリック液晶を用いた表示装置の書き換え速度を改善する技術として、特許文献1に記載された、いわゆるDDS(Dynamic Drive Scheme)駆動が知られている。DDS駆動によれば、コレステリック液晶の配向状態はいわゆる選択期間において液晶に供給される電力(このとき液晶に印加される電圧を「選択電圧」という)により決定される。
米国特許第5748277号明細書
ここで、選択電圧と液晶の反射率との関係は、温度によって大きな影響を受ける。図8は、反射率−選択電圧の温度特性を模式的に示す図である。図8において、横軸は選択電圧を、縦軸は駆動後の反射率を示す。反射率とは、基準となる標準白色板の反射輝度を100%としたときの相対値である。反射率が高いとより白に近くなり、反射率が低いとより黒に近くなる。黒を表示させたい画素に対しては黒選択電圧Vが、白を表示させたい画素に対しては白選択電圧Vが印加される。図8では、25℃において最適化された駆動パラメータが示されている。例えば、29℃では、白選択電圧Vを印加しても、液晶の反射率は黒に相当するものにしかならない。この状態は、正常に表示を行える状態ではない。これに対し、24〜26℃の温度範囲においては、白選択電圧Vを印加すると反射率は白に相当するものに、黒選択電圧Vを印加すると反射率は黒に相当するものになる。この温度範囲では、白および黒の表示を正しく行うことができる。このとき、温度マージンは24〜26℃である、という。ここで「温度マージン」とは、正常に表示を行うことができる温度範囲をいう。
表示装置の温度は表示面内において均一であることが望ましい。しかし、実際には、表示面内において温度が均一でない環境での使用も予想される。表示面内において温度が均一でないと、階調制御が困難になる。例えば、同じ選択電圧を印加しても、相対的に温度が高い領域では液晶層の反射率はより黒に近くなり、温度が低い領域では反射率はより白に近くなる。すなわち、文字を表示した場合に、高温領域においては文字がより太くなり、低温領域においては文字が細くなってしまう。
この問題を解決するための手段のひとつとして、表示面内において温度にばらつきが発生した場合には多階調表示を行わず2階調表示を行うことが考えられる。しかし、ある種の液晶においては、反射率−選択電圧の温度特性が詳細には図9のようになっているものがある。この例では、低電圧領域において反射率が一定ではなく、電圧が低くなるにつれ反射率が徐々に上昇している。すなわち、黒を表示させるために選択電圧Vを印加しても、温度がより高い領域では反射率がより白に近くなってしまう。したがって2階調表示を行ったとしても、図9で考えた場合、25度の領域では、最適な黒表示が可能であるにもかかわらず、27度の領域では黒が薄く表示されてしまうという問題がある。このことは、例えば表示面にランプを当てて使用する場合において、もっともランプが当たっている箇所の黒表示が良好に行われないことを意味する。
本発明は以上の事情に鑑みてなされたものであり、表示面内の温度分布による表示のばらつきを解消する技術を提供する。
上述の課題を解決するため、本発明は、複数の走査電極と複数のデータ電極との交点に対応して設けられ、前記走査電極に走査電圧が印加され、かつ前記データ電極にデータ電圧が印加されたときに、前記データ電圧および前記走査電圧に応じた駆動電圧が印加されるコレステリック液晶層を含む複数の表示画素を有する表示装置を駆動する表示駆動装置であって、前記表示装置の温度を取得する温度取得手段と、多値画像データを記憶する画像記憶手段と、前記多値画像データを2値のデータに変換する際の2値のうち少なくとも一方に対応するデータ電圧を、前記温度取得手段により取得された温度に応じて補正する補正手段と、前記画像記憶手段に記憶された多値画像データを2値画像データに変換する2値化手段と、前記2値化手段により変換された2値画像データに対応し、前記補正手段により補正されたデータ電圧を前記表示装置に出力する出力手段とを有する表示駆動装置を提供する。
この表示駆動装置によれば、温度に応じて補正されたデータ電圧を出力することができる。
好ましい態様において、この表示駆動装置は、前記表示装置が複数の領域に区分され、前記温度取得手段が、前記複数の領域の各々の温度を取得し、前記2値化手段が、前記領域毎に補正を行ってもよい。
この表示駆動装置によれば、領域毎に温度に応じて補正されたデータ電圧を出力することができる。
別の好ましい態様において、この表示駆動装置は、前記温度取得手段により取得された温度から、処理の基準となる基準温度を決定する基準温度決定手段をさらに有し、前記2値化手段が、前記複数の領域の各々について、その領域の温度と前記基準温度との差に基づいて補正を行ってもよい。
この表示駆動装置によれば、領域毎に、基準温度との差に応じて補正されたデータ電圧を出力することができる。
さらに別の好ましい態様において、この表示駆動装置は、前記出力手段が、それぞれ電圧値の異なる第1の動作モードおよび第2の動作モードのうちいずれか1つの動作モードに対応するデータ電圧を前記コレステリック液晶層に印加し、前記第1の動作モードおよび前記第2の動作モードにおいて前記コレステリック液晶層で2値表示を行うことができる温度範囲である温度マージンがそれぞれ異なってもよい。
この表示駆動装置によれば、温度マージンの異なる2つの動作モードを有する場合でも、温度に応じて補正されたデータ電圧を出力することができる。
また、本発明は、複数の走査電極と複数のデータ電極との交点に対応して設けられ、前記走査電極に走査電圧が印加され、かつ前記データ電極にデータ電圧が印加されたときに、前記データ電圧および前記走査電圧に応じた駆動電圧が印加されるコレステリック液晶層を含む複数の表示画素と、前記表示画素の温度を取得する温度取得手段と、多値画像データを記憶する画像記憶手段と、前記コレステリック液晶層に印加されるデータ電圧の温度依存性を示す補正テーブルを記憶するテーブル記憶手段と、前記画像記憶手段に記憶された多値画像データを2値のデータに変換し、前記2値のうち少なくとも一方に対応するデータ電圧が、前記温度取得手段により取得された温度および前記テーブル記憶手段に記憶された補正テーブルに基づいて補正される2値化手段と、前記2値化手段により決定されたデータ電圧を前記表示画素に出力する出力手段とを有する表示装置を提供する。
さらに、本発明は、上記の表示装置を有する電子機器を提供する。
この表示装置または電子機器によれば、温度に応じて補正されたデータ電圧に従って画像が表示される。
1.構成
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置100の構成を示す図である。情報処理装置100は、与えられたデータに従って文字または画像の表示を行う電子機器である。制御回路110は、情報処理装置100の構成要素を制御する。電源回路120は、表示装置140の駆動に必要な電圧を供給する。表示体駆動回路130は、制御回路110の制御下で、表示装置140を駆動する信号を出力する、すなわち、表示装置を駆動する。表示装置140は、電気光学層を有する表示装置である。表示装置140には、複数の温度センサ150が取り付けられている。温度センサ150は、その温度を示す信号を出力する。UI160は、ユーザが情報処理装置100に指示を入力するためのユーザインターフェースである。UI160は、例えば画面の書き換えを指示する書き換えボタンを含む。
本実施形態において、表示装置140は複数の領域に区分される。各領域はそれぞれ1つの温度センサ150に対応する。言い換えると、複数の温度センサ150は、それぞれある領域に割り当てられている。ROM112は、画像データの画素と温度センサとを対応させる情報を記憶している。
制御回路110は、詳細には次のような構成を有する。CPU(Central Processing Unit)111は、制御回路110の構成要素を制御する。ROM(Read Only Memory)112は、制御回路110の動作に必要なプログラムやデータを記憶する記憶装置である。RAM(Random Access Memory)113は、CPU111がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する記憶装置である。ADC(Analog/Digital Converter)114は、温度センサ150から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。すなわち、温度情報はADC114を介して入力される。表示体駆動制御回路115は、ADC114から出力される温度信号およびCPU111から出力される制御信号に基づいて、表示体駆動回路130を制御する。より詳細には、表示体駆動制御回路115は、温度信号に基づいて、表示装置140を駆動するのに必要な電圧値およびパルス幅などの駆動パラメータを決定する。表示体駆動制御回路115は、内部メモリ(図示略)に、温度と、その温度に対応する駆動パラメータとを含む情報、例えば、温度と駆動パラメータとを対応させるテーブルを記憶している。
電源回路120は、データ電極用電源回路121および走査電極用電源回路122を有する。データ電極用電源回路121は、データ電極に出力される駆動信号に用いられる電圧を提供する。走査電極用電源回路122は、走査電極に出力される駆動信号に用いられる電圧を提供する。
表示体駆動回路130は、データ電極駆動回路131および走査電極駆動回路132を有する。データ電極駆動回路131は、表示装置140のデータ電極に対し駆動信号を出力する。走査電極駆動回路132は、表示装置140の走査電極に対し駆動信号を出力する。表示体駆動回路130は、「通常モード」と「温度優先モード」を含む少なくとも2つの動作モードで動作することができる。表示体駆動回路130は、通常モードと温度優先モードのそれぞれについて、温度と駆動パラメータとを対応させるテーブルを記憶している。これらの動作モードの詳細は後述する。
図2は、温度センサ150の構成を例示する図である。本実施形態において、温度センサ150は、サーミスタ151を含む。サーミスタ151は、温度によってその抵抗値が変化する、具体的には、温度が上昇すると抵抗値が減少する素子である。サーミスタ151の一端には抵抗152が直列に接続されており、他端は接地されている。抵抗152の他端は電圧源に接続されている。サーミスタ151と抵抗152との間の点153の電位は、サーミスタ151の抵抗値と抵抗152の抵抗値との比に応じて変化する。すなわち、温度センサ150から出力される電圧は、温度によって変化する。
図3は、表示装置140の構成を示す図である。表示装置140は、n行の走査電極(Y、Y、…、Y)およびm列のデータ電極(X、X、…、X)を含むn×mマトリクス配線を有する。なお、nおよびmは正の整数である。また、本実施形態において、表示装置140はいわゆるパッシブマトリクス式の表示装置であるので、走査電極およびデータ電極がそれぞれ走査線およびデータ線の機能も兼ねる。走査電極およびデータ電極の交点には、電気光学素子141が形成されている。電気光学素子141は、2枚の電極(データ電極(画素電極またはセグメント電極ということもある)および走査電極(共通電極またはコモン電極ということもある)、いずれも図示略)、これら2枚の電極間に封止された電気光学層を有する。本実施形態において、電気光学層として、記憶性液晶であるコレステリック液晶を含む液晶層が用いられる。記憶性液晶とは、電力を供給しなくても表示を維持できる液晶をいう。電気光学素子141には、対応する走査電極に印加される電圧(以下「走査電圧」という)および対応するデータ電極に印加される電圧(以下「データ電圧」という)に応じた電圧が印加される。電気光学層に印加される電圧を「駆動電圧」という。電気光学層の光学的性質(施光性、光散乱性など)は、印加される電圧によって変化する。電気光学素子141は、液晶の光学的性質の変化によって画像を形成するものである。なお、基本的に一の電気光学素子141は、一の画素(表示画素)に対応する。RGB表色系でカラー表示を行うカラーディスプレイの場合、一の電気光学素子141は、ある画素のうち、RGBの色成分のうちいずれか一の色成分に対応する。
図4は、コレステリック液晶の配向を示す図である。本実施形態において、電気光学素子141は、2枚の透明電極(透明電極1414および1415)の間に挟まれたコレステリック液晶層1411を有する。さらに、コレステリック液晶層1411、透明電極1414および1415は、2枚のガラス基板(ガラス基板1412および1413)の間に挟まれている。ガラス基板1413の下には光吸収層1416が設けられている。
コレステリック液晶層1411による光の反射率は、コレステリック液晶分子の配向状態によって変化する。図4(a)は、プレーナ配向(以下「P配向」という)を示す図である。P配向状態では、入射光は反射される。すなわち、白が表示される。図4(b)は、フォーカルコニック配向(以下「F配向」という)を示す図である。F配向状態では、入射光はほぼ透過される。透過光は光吸収層1416により吸収されるため、黒が表示される。このように、コレステリック液晶層1411の配向状態を制御することにより、白、黒、または中間階調を表示することができる。コレステリック液晶は双安定性の材料であり、電圧を印加しない状態でもP配向またはF配向を維持することができる。すなわち、電圧を印加しない状態でも表示が維持される。P配向とF配向を切り換えるには、コレステリック液晶層1411を一旦ホメオトロピック配向(以下「H配向」という)にする必要がある。図4(c)は、H配向を示す図である。H配向は、コレステリック液晶分子のらせん構造が崩れた状態に相当する。このとき、入射光は透過される。H配向は安定状態ではないため、電圧が印加されている状態でのみ存在する。
2.DDS駆動
図5は、DDS駆動を説明する図である。DDS駆動において、電気光学素子141に印加される電圧は、非選択期間(Non-selection phase)、リセット期間(Preparation phase)、選択期間(Selection phase)および保持期間(Evolution phase)の4つの期間に区分される。走査電極Y〜Yに対応する画素に対して、1ラインずつ順番に選択期間が割り当てられる。DDS駆動によれば、コレステリック液晶層1411の配向状態は選択期間およびその後の保持期間により決定される。DDS駆動が開発される以前は、コレステリック液晶層の配向状態は選択期間のみによって決定されていた(以下この駆動方法を「コンベンショナル駆動」という)。コンベンショナル駆動によれば、選択期間として、例えば50msec程度の時間が必要であった。そのため例えば2000ラインの画素を書き換えるには、100sec程度の時間が必要であった。DDS駆動によれば選択期間は1msec程度に短縮されるため、2000ラインの画素を書き換えるのに必要な時間も2sec程度に短縮される。
図6は、DDS駆動におけるコレステリック液晶の配向遷移を示す図である。リセット期間において、P配向またはF配向の液晶をH配向にさせる電圧が印加される。次に選択期間において、要求される表示状態(2階調であれば白または黒、すなわちP配向またはF配向)を選択するための電圧(以下「選択電圧」という。すなわち選択電圧とは、特に選択期間における駆動電圧をいう)が印加される。本実施形態において、選択電圧によりコレステリック液晶層はH配向を維持するかまたは過渡プレーナ配向(以下「TP配向」という)に遷移される。TP配向は、液晶分子のらせん構造が若干弛緩した、H配向とP配向の中間的な状態である。次に、保持期間において、要求される表示状態を保持するための電圧(以下「保持電圧」という)が印加される。選択電圧によりH配向になった液晶層は、H配向が維持される。選択電圧によりTP配向になった液晶層は、F配向に遷移される。次に、非選択期間において、電圧が消去される(厳密には電圧はゼロにはならない)。保持電圧によりH配向になっていた液晶層は、P配向(白表示)に遷移される。
図7は、DDS駆動における駆動電圧波形を例示する図である。ここでは、液晶の劣化を防ぐため、正負の電圧が交互に印加される。まず、白を表示させる場合、データ電圧VSEGは、選択期間の前半において白選択電圧V、後半において黒選択電圧Vである(これは非選択期間でも同様である)。このとき、走査電圧VCOMは、選択期間の前半においてゼロ、後半において(V+V)である。したがって、選択期間においてコレステリック液晶層1411に印加される駆動電圧(VSEG−VCOM)は、選択期間の前半においてV、後半において−Vである。一方、非選択期間において、走査電圧VCOMは(V+V)/2である。したがって、非選択期間においてコレステリック液晶層1411に印加される駆動電圧(VSEG−VCOM)は、前半において(V−V)/2、後半において−(V−V)/2である。
黒を表示させる場合、データ電圧VSEGは、選択期間の前半において黒選択電圧V、後半において白選択電圧Vである(これは非選択期間でも同様である)。走査電圧VCOMは白を表示させる場合と同一である(これは非選択期間でも同様である)。したがって、選択期間においてコレステリック液晶層1411に印加される駆動電圧(VSEG−VCOM)は、前半においてV、後半において−Vである。また、非選択期間においてコレステリック液晶層1411に印加される駆動電圧(VSEG−VCOM)は、前半において−(V−V)/2、後半において(V−V)/2である。
中間階調を表示させる場合、データ電圧VSEGは、(VSEG−VCOM)において白選択電圧Vがパルスとして印加されるような電圧である。すなわち、(VSEG−VCOM)において、黒選択電圧Vに対して白選択電圧Vが幅Bのパルス電圧として印加される。白選択電圧Vのパルス幅Bを制御することにより、多階調が表示される。なお、図7に示される交流信号の周波数は任意である。
図8は、コレステリック液晶層の反射率−選択電圧の温度特性を模式的に示す図である。図8において、駆動パラメータは25℃において最適化されている。図8において、選択電圧の値は、交流の実効電圧を意味する。また、図8において、4階調表示に対応する駆動パラメータが例示されている。例えば、29℃では、白選択電圧Vを印加しても、液晶の反射率は黒に相当するものにしかならない。この状態は、正常に表示を行える状態ではない。これに対し、24〜26℃の温度範囲においては、白選択電圧Vを印加すると反射率は白に相当するものに、黒選択電圧Vを印加すると反射率は黒に相当するものになる。この温度範囲では、白および黒の表示を正しく行うことができる。このとき、温度マージンは24〜26℃である、という。ここで「温度マージン」とは、正常に白黒2値表示を行うことができる温度範囲をいう。すなわち、温度マージンとは、液晶を、あらかじめ決められた2つの階調(例えば白および黒)に相当する反射率にするのに必要な2つの電圧値がその選択電圧の最大値および最小値で規定される範囲内に収まっている温度範囲をいう。
図9は、反射率−選択電圧の温度特性の詳細を示す図である。ある種のコレステリック液晶においては、このように、理想的には反射率が一定であるべき領域において、反射率が選択電圧に応じて変化するという現象が起こる。図9の例では、低電圧領域において反射率が一定ではなく、電圧が低くなるにつれ反射率が徐々に上昇している。例えばある黒表示電圧Vが印加されたとき、温度が高くなるにつれ反射率が上昇してしまう。したがって表示面内に温度ムラが発生した場合、温度の高い領域ほど色が黒が薄くなってしまう。そこで本実施形態においては、以下で説明するように、温度に応じて黒表示電圧が変更される。
3.動作
図10は、情報処理装置100の動作を示すフローチャートである。図10に示されるフローは、例えば、ユーザが書き換えボタンを押したことをトリガとして開始される。ステップS100において、CPU111は温度を測定する。すなわち、CPU111は、各温度センサ150から出力された温度信号を、ADC114を介して取得する。ROM112は、温度センサ150の出力電圧を温度に変換するテーブルを記憶している。CPU111は、このテーブルに従って温度センサ150の出力電圧を温度に変換する。CPU111は、得られた温度データに、その温度データに対応する温度センサ150を特定する識別子を付加してRAM113に記憶する。あるいは、CPU111は、温度データに、その温度データに対応する領域の識別子を付加してRAM113に記憶してもよい。
ステップS110において、CPU111は、温度ムラを算出する。「温度ムラ」とは、表示装置140の表示面内における温度分布を示す情報である。「表示面」とは、電気光学素子141が配置されている面をいう。例えば、「温度ムラ」とは、表示装置140の基準温度と、各測定点(温度センサ150)の温度との差をいう。基準温度は、例えば、全測定点における温度の平均値である。すなわち、CPU111は、基準温度を算出する。次に、CPU111は、対象となる測定点を1つずつ順番に特定する。CPU111は、対象となる測定点の温度と、基準温度との差を算出する。CPU111は、算出された差を温度ムラとしてRAM113に記憶する。なお、基準温度として用いられる温度は全測定点の平均値に限定されない。例えば、ある特定の測定点の温度が基準温度として用いられてもよい。
ステップS120において、CPU111は、温度ムラがあらかじめ決められた条件を満たすか判断する。この条件は、温度ムラが大きいか否かを判断する条件である。ROM112は、この条件を示す情報を記憶している。具体的には、例えば、ある測定点における温度ムラの絶対値があらかじめ決められたしきい値よりも大きい、という条件が用いられる。あるいは、温度ムラの絶対値がしきい値よりも大きい測定点の数が一定数以上存在する、という条件が用いられてもよい。さらにあるいは、温度ムラΔTと測定温度の分散σが、あらかじめ決められた関係、例えば、ΔT>3σを満たすという条件が用いられてもよい。
温度ムラがあらかじめ決められた条件を満たすか否かに応じて、表示体駆動回路130の動作モードが通常モードであるか、温度優先モードであるかが決定される。ここで、「通常モード」と「温度優先モード」について説明する。本実施形態において、通常モードと温度優先モードとは、画像データの階調数が異なる。通常モードにおける階調数の方が、温度優先モードにおける階調数よりも多い。本実施形態において、通常モードでは16階調の画像データに従って表示装置140が駆動され、温度優先モードでは2階調の画像データに従って表示装置140が駆動される。すなわち、温度優先モードでは、16階調の画像データを2階調に変換する処理が行われる。
温度ムラがあらかじめ決められた条件を満たすと判断された場合(S120:YES)、CPU111は、処理をステップS130に移行する。ステップS130において、CPU111は、表示体駆動制御回路115を通常モードで動作させることを決定する。CPU111は、動作モードを通常モードに切り換える信号を表示体駆動制御回路115に出力する。
温度ムラがあらかじめ決められた条件を満たさないと判断された場合(S120:NO)、CPU111は、処理をステップS140に移行する。ステップS140において、CPU111は、表示体駆動制御回路115を温度優先モードで動作させることを決定する。CPU111は、動作モードを温度優先モードに切り換える信号を表示体駆動制御回路115に出力する。
ステップS150において、CPU111は、画像データを16階調(0〜15)から2階調に変換する。変換は次のように行われる。いま変換後の階調値のうち値が小さい方を「黒レベル」と、値が大きい方を「白レベル」という。CPU111は、変換前の階調値をしきい値と比較し、しきい値以上である場合には階調値を白レベルに変換し、しきい値未満である場合には階調値を黒レベルに変換する。例えば黒レベルのデフォルト値は「0」であり、白レベルのデフォルト値は「15」である。本実施形態において、黒レベルの値は、その画素に対応する領域の温度に応じて変更される。CPU111は、補正テーブルに従って画像データの変換を行う。
図11は、補正テーブルを例示する図である。補正テーブルは、基準温度と、領域の温度と、黒レベルの値とを対応させるテーブルである。図11の例によれば、基準温度が25℃、処理対象となる画素に対応する領域の温度が28℃であった場合、黒レベルとして「5」が得られる。CPU111は、補正テーブルから、対象画素に対応する黒レベルを読み出し、画像データを変換する。例えば、しきい値が「7」、基準温度が25℃、領域の温度が28℃であった場合を例に説明する。この場合、変換前の階調値が7〜15の範囲にあれば階調値は白レベル(15)に変換され、変換前に0〜6の範囲にあれば階調値は黒レベル(ここでは「5」)に変換される。
CPU111は、画像データに含まれる複数の画素のすべてについて、階調値の変換を行う。すなわち、CPU111は、対象となる画素を1つずつ順番に特定する。CPU111は、対象画素について、領域の温度を取得し、補正テーブルから黒レベルを読み出し、階調値の変換を行う。
再び図10を参照して説明する。ステップS160において、表示体駆動制御回路115は、基準温度および動作モードに基づいて駆動パラメータ(電圧を含む)を決定する。さらに、表示体駆動制御回路115は、決定された駆動パラメータに従って表示体駆動回路130を制御する。また、電源回路120は、表示体駆動制御回路115に指定された電圧を、表示体駆動回路130に出力する。
以上で説明したように本実施形態によれば、表示装置140は、温度ムラがある基準よりも小さいときは通常モードで駆動され、温度ムラが基準よりも大きいときは温度優先モードで駆動される。すなわち、温度ムラが発生したときには、画像データは2階調に変換される。これにより、表示面の温度ムラに起因する、文字の太さのばらつきの問題を解消することができる。さらに、このとき2値化の黒レベルの値は表示面の温度に応じて補正されるので、より良好な黒を表示することができる。
4.他の実施形態
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。
上述の実施形態において、表示装置140の温度ムラがあらかじめ決められた範囲内にあるか否かに応じて、画像変換を行うか否かが決定された。すなわち、温度ムラが決められた範囲内にあれば、画像変換は行われず多階調のデータに従って表示装置140が駆動される。しかし、温度ムラが決められた範囲内にあるか判断する処理は省略されてもよい。すなわち、画像の変換処理は、温度ムラによらずに毎回行われてもよい。この場合、図10のステップS110において、温度ムラは算出されなくてもよい。また、ステップS120およびS130の処理は行われず、ステップS110に続いてステップS140の処理が行われる。
上述の実施形態において、通常モードと温度優先モードとは、画像データの階調数が異なっていた。通常モードと温度優先モードにおいて、さらに、駆動パラメータ、例えば、黒選択電圧Vと白選択電圧Vとの電圧差ΔVが異なっていてもよい。このとき、通常モードにおける電圧差ΔVと温度優先モードにおける電圧差ΔVとは、ΔV<ΔVを満たす。すなわち、温度優先モードにおける温度マージンは通常モードにおける温度マージンよりも大きい。このように駆動パラメータの変更が行われる場合、補正テーブルは、基準温度と、領域の温度と、駆動パラメータと、黒レベルの値とを対応させるテーブルである。
いま通常モードと温度優先モードにおいて、電圧差ΔVがそれぞれ異なる例について説明したが、通常モードと温度優先モードとは、その温度範囲が異なっていればよいのであって、必ずしも電圧差が異なっている必要はない。要は、それぞれ電圧値の範囲が異なる少なくとも2つの動作モード(第1の動作モードおよび第2の動作モード)であって、電気光学層において2値表示を行うことができる温度範囲である温度マージンがそれぞれ異なる少なくとも2つの動作モードが存在すればよい。例えば、通常モードの温度マージンが24〜26℃であって、温度優先モードの温度マージンが26〜28℃であってもよい。
また、図1では、温度センサ150が3個設けられている例について説明した。しかし、温度センサ150の数および配置はこれに限定されるものではない。より局所的な温度ムラを検出するには、温度センサの数は多いほうがよい。コストの観点からは、温度センサの数は少ないほうがよい。温度センサは少なくとも2つ設置されていればよい。温度センサの数が2つのみである場合、いずれか一方の測定点における温度を、基準温度として用いてもよい。
また、上述の実施形態において、温度センサ150がサーミスタを含む例について説明した。しかし、サーミスタ以外の素子、例えば、熱電対、または非接触式の放射温度計が用いられてもよい。
上述の実施形態において、電気光学層の反射率−選択電圧の温度特性は図9を用いて説明された。しかし、電気光学層の反射率−選択電圧の温度特性は図9に示されるものに限定されない。例えば高電圧側で反射率が一定にならない反射率−選択電圧特性を有するコレステリック液晶層に対し、本発明が適用されてもよい。
本発明の一実施形態に係る情報処理装置100の構成を示す図である。 温度センサ150の構成を例示する図である。 表示装置140の構成を示す図である。 コレステリック液晶の配向を示す図である。 DDS駆動を説明する図である。 DDS駆動におけるコレステリック液晶の配向遷移を示す図である。 DDS駆動における駆動電圧波形を例示する図である。 反射率−選択電圧の温度特性を模式的に示す図である。 反射率−選択電圧の温度特性の詳細を示す図である。 情報処理装置100の動作を示すフローチャートである。 補正テーブルを例示する図である。
符号の説明
100…情報処理装置、110…制御回路、111…CPU、112…ROM、113…RAM、114…ADC、115…表示体駆動制御回路、120…電源回路、121…データ電極用電源回路、122…走査電極用電源回路、130…表示体駆動回路、131…データ電極駆動回路、132…走査電極駆動回路、140…表示装置、141…電気光学素子、150…温度センサ、151…サーミスタ、152…抵抗、153…点、160…UI、1411…コレステリック液晶層、1412・1413…ガラス基板、1414・1415…透明電極、1416…光吸収層

Claims (6)

  1. 複数の走査電極と複数のデータ電極との交点に対応して設けられ、前記走査電極に走査電圧が印加され、かつ前記データ電極にデータ電圧が印加されたときに、前記データ電圧および前記走査電圧に応じた駆動電圧が印加されるコレステリック液晶層を含む複数の表示画素を有する表示装置を駆動する表示駆動装置であって、
    前記表示装置の温度を取得する温度取得手段と、
    多値画像データを記憶する画像記憶手段と、
    前記コレステリック液晶層に印加されるデータ電圧の温度依存性を示す補正テーブルを記憶するテーブル記憶手段と、
    前記画像記憶手段に記憶された多値画像データを2値のデータに変換し、前記2値のうち少なくとも一方に対応するデータ電圧が、前記温度取得手段により取得された温度および前記テーブル記憶手段に記憶された補正テーブルに基づいて補正される2値化手段と、
    前記2値化手段により決定されたデータ電圧を前記表示装置に出力する出力手段と
    を有する表示駆動装置。
  2. 前記表示装置が複数の領域に区分され、
    前記温度取得手段が、前記複数の領域の各々の温度を取得し、
    前記2値化手段が、前記領域毎に補正を行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の表示駆動装置。
  3. 前記温度取得手段により取得された温度から、処理の基準となる基準温度を決定する基準温度決定手段をさらに有し、
    前記2値化手段が、前記複数の領域の各々について、その領域の温度と前記基準温度との差に基づいて補正を行う
    ことを特徴とする請求項2に記載の表示駆動装置。
  4. 前記出力手段が、それぞれ電圧値の異なる第1の動作モードおよび第2の動作モードのうちいずれか1つの動作モードに対応するデータ電圧を前記コレステリック液晶層に印加し、前記第1の動作モードおよび前記第2の動作モードにおいて前記コレステリック液晶層で2値表示を行うことができる温度範囲である温度マージンがそれぞれ異なる
    ことを特徴とする請求項1に記載の表示駆動装置。
  5. 複数の走査電極と複数のデータ電極との交点に対応して設けられ、前記走査電極に走査電圧が印加され、かつ前記データ電極にデータ電圧が印加されたときに、前記データ電圧および前記走査電圧に応じた駆動電圧が印加されるコレステリック液晶層を含む複数の表示画素と、
    前記表示画素の温度を取得する温度取得手段と、
    多値画像データを記憶する画像記憶手段と、
    前記コレステリック液晶層に印加されるデータ電圧の温度依存性を示す補正テーブルを記憶するテーブル記憶手段と、
    前記画像記憶手段に記憶された多値画像データを2値のデータに変換し、前記2値のうち少なくとも一方に対応するデータ電圧が、前記温度取得手段により取得された温度および前記テーブル記憶手段に記憶された補正テーブルに基づいて補正される2値化手段と、
    前記2値化手段により決定されたデータ電圧を前記表示画素に出力する出力手段と
    を有する表示装置。
  6. 請求項5に記載の表示装置
    を有する電子機器。
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